【実施例】
【0021】
先ず、
図1において、本発明の各網目研削砥石10〜40の構成と製作手順を説明する第1実施形態の網目研削砥石10は、網目シート1を円板状に成型した網目円板(砥石円板)2、即ち、一層の網目円板体2である。上記網目円板体の外周面2Aは、外周径を均一に切削加工するために加工面fがフラットな刃具Fにより切削加工して薄板平面となしている。この処理後に、上記網目円板体2の外周面2Aにダイヤ,CBN電着砥粒又はWA,GC砥粒4等を電着又は溶着(総称して固着と言う)される。この処理後に、上記網目研削砥石10は、工具ホルダH1に取付けられて使用される。通常は、薄板切断として使用する時は、網目研削砥石10は撓みのない平板とし、薄板の湾曲切断する時は、工具ホルダH1で網目研削砥石10を湾曲させて取付け、薄板の湾曲切断として使用される。
【0022】
次に、第2実施形態の網目研削砥石20,21においては、網目シート1を円板状に成型した網目円板(砥石円板)2とし、これを、多層に積層させた円板積層体20Aとし、上記円板積層体の外周面20Bは、外周径を均一平面に切削加工する為の加工面fをフラットにした刃具Fにより切削加工される。尚、傾斜面(テーパー面)21Bに切削加工するためには、加工面fを傾斜面(テーパー面)にした刃具F1により切削加工される。この処理後に、上記円板積層体の外周面20B,21Bにダイヤ,CBN電着砥粒又はWA,GC砥粒4等を電着又は溶着(総称して固着と言う)させたものである。上記網目研削砥石20,21は、工具ホルダH1に取付けられて使用される。
【0023】
次に、網目研削砥石30,31の実施形態においては、網目シート1を円板状に成型した網目円板(砥石円板)2、これを、多層に積層された円板積層体30Aであり、上記円板積層体の外周面30Bは、外周径を凸面に切削加工するために加工面fを凹面にした刃具Fにより切削加工される。尚、外周面30Bを片側凸面(半球面)31Bに切削加工するためには、加工面fを片側凹面31Bにした刃具Fにより切削加工される。この処理後に、外周面30B,31Bは、ダイヤ,CBN電着砥粒又はWA,GC砥粒4等を電着又は溶着(総称して固着と言う)させたものである。上記網目研削砥石30,31は、工具ホルダH1に取付けられて使用される。
【0024】
次に、網目研削砥石40,41の実施形態においては、網目シート1を円板状に成型した網目円板(砥石円板)2、これを、多層に積層された円板積層体40Aであり、上記円板積層体の外周面40Bは、外周径を段差平面に切削加工するために加工面fを段差面にした刃具Fにより切削加工される。尚、外周面41Bを凹凸面(鋸刃状面)41Bに切削加工するためには、加工面fが凹凸面(鋸刃状面)41Bの刃具Fで加工される。上記外周面40B,41Bは、ダイヤ,CBN電着砥粒又はWA,GC砥粒4等を電着又は溶着(総称して固着と言う)させたものである。上記網目研削砥石40,41は、工具ホルダH1に取付けられて使用される。
【0025】
尚、網目シート又は網目円板は、鉄系金属,非鉄,石油系繊維,植物系繊維,炭素繊維,セルロースナノファイバー,不織布等の何れか又は混合から成る繊維を織った網又は不織の網目のシートであることを特徴とする網目研削砥石である。更に、上記網目円板体2の各外周面20B,21B,30B,31B,40B,41Bにダイヤ,CBN電着砥粒4を電着するには、一層又は多層に積層された円板積層体20A,30A,40Aに対して、この外径よりもやや小径とした電気絶縁質のフランジ5,6により両端面を把持した状態で、電着法(電解法又は科学メッキ法、詳細は後記する)により、フランジ5,6の外周面から突出した上記網目円板体2の各外周面20B,21B,30B,31B,40B,41Bの外周縁のみに砥粒4を電着させる。
【0026】
また、上記第2実施形態のとなる研削砥石10〜41において、網目シート2又は網目円板2A他は、繊維で織られたものでは、鉄系金属,非鉄,石油系繊維,植物系繊維,炭素繊維,セルロースナノファイバー,不織布等の何れか又は混合から成る繊維を織った網又は不織の網目のシートとなる繊維糸Yである。そして、導電繊維の網には、超砥粒を電着し固定する。絶縁体繊維の網は、超砥粒を溶着,蒸着し固定する。電着ユニットとなる治具50(
図2と
図3に後記する)は、網目シート2又は網目円板2A以外を絶縁体(プラスチック、陶器、磁器)にしているからマスクが不必要になる。
【0027】
更に、網目円板体の外周面2A,20B〜41Bは、刃具F(F1)により外周径を各種形状に切削加工されるが、刃具Fにより切削加工される時に、
図1の拡大図に見るように網目円板2の繊維糸群Yの先端は、砥石回転方向Nの後方に向けられた配置としている。これにより、砥粒4の固着量が増大するとともに剥離も抑制され、長期間にわたり研削能率・研削量が確保される。
【0028】
上記網目研削砥石10〜40によると、従来の網目砥石と比べて、必要にして最少限の網目シートと必要にして最少限に砥石外周面にのみ砥粒を絶縁体の治具を介して固着したから、低コスト化が図られるとともに、砥石内の研削液は、網目外周面の領域から外部へ浸透しやすく、外部加工点に円滑に長期間に渡り安定して供給され、研削焼けを大幅に防止出来る。更に、1枚構成ならば薄板の切断用や薄板の曲線切断用の網目研削砥石としてまた、多層に積層された円板積層体による網目研削砥石ならば、平面,凸面,凹面,段差面,テーパー面,鋸歯状等の任意面形状の研削面の研削が可能になり多様に使用される。
【0029】
また、網目シートは、鉄系金属,非鉄,石油系繊維,植物系繊維,炭素繊維,セルロースナノファイバー,不織布等の何れか又は混合から成る繊維を織った網又は不織の網目のシートを構成する繊維糸としたから、砥石の素材の制限がなく、砥石の製造コストの低廉化が可能の他、網目シート加工が容易となり、砥石製作の簡易化に寄与できる。
【0030】
次に、
図2で、第3実施形態となる上記網目研削砥石10の製造方法を説明する。
先ず、1枚の網目円板(砥石円板)2からなる網目研削砥石10の外周面2Aに砥粒4を電着する為の治具50は、
図2に示すように電気絶縁質の絶縁体(プラスチック、陶器、磁器)からなる。具体的には、網目研削砥石10を両側から把持するゴム又は厚紙の一対の絶縁円形シート51と、この両外側から網目研削砥石10を把持する電気絶縁体のフランジ52,53からなる。上記一対のフランジ52,53に把持された網目円板(砥石円板)2の外周面2Aは、外部に僅かに突出しており、ここに砥粒4が電着される。上記網目研削砥10の外側に金属製のフランジ54,55により把持すべく、工具ホルダH0のアーバーH1を各フランジ他の中心孔hを通して座金56とボルト57で締結される。
【0031】
以下、第3実施の形態となる網目研削砥石の製造方法を
図2(a)(b)(c)により説明する。網目シート1を円板状に切断成型した網目円板2を一層の網目円板体2とする成形工程(a)で、
図2(a)に図示、上記網目円板体2の外周面2Aを刃具Fの加工面fで平面と成す外周面加工工程(b)で、
図2(b)に図示、電気絶縁質の治具50となる一対の円形基板(フランジ)52,53は上記網目円板体2の外周径よりもやや小径と成すとともに中心孔hに挿通した電気絶縁質の締結ボルトとナットで両側から把持する装着工程(c)で、
図2(a)に図示、上記網目円板体において一対の円形基板(フランジ)52,53の外周縁から露出した外周径面2Aに砥粒4を電着させる砥粒固着工程(d)
図4に図示、上記締結ボルトとナットを一対の円形基板(フランジ)52,53から離脱して円板積層体2の外周2Aに砥粒4を固着形成した網目研削砥石10を摘出する離脱工程(e)と、研削液Cをセンタースルーで網目研削砥石10に供給する工具ホルダH1に取付ける装着工程(H0)を、
図2(a)(b)に図示する。尚、砥粒4の電着法(電解法又は科学メッキ法)は、
図4に見るように、電気分解容器60に治具50と砥粒4と電解液Eを入れて電流iを流して電気分解(電解)し、外部に露出した外周面2Aのみに砥粒4を電着形成する。
【0032】
続いて、
図3に基づき、第4実施の形態となる網目研削砥石20〜40の製造方法を説明する。上記
図1において、本発明の各網目研削砥石10〜40の構成と製作手順でも説明したように、網目研削砥石20の外周面20Bは外周径を均一平面となし,網目研削砥石21は傾斜面(テーパー面)21Bとし、網目研削砥石30の外周面30Bは凸面とし、網目研削砥石31の外周面31Bは片側凸面(半球面)とし、網目研削砥石40の外周面40Bは段差面とし、網目研削砥石41の外周面41Bは凹凸面(鋸刃状面)としている。
【0033】
そして、
図3には、その製造手順として、先ず網目シート1を円板状に切断成型した網目円板(砥石円板)2を多層に積層した円板積層体とし、各砥石20〜40となる上記網目円板(砥石円板)2をフランジ52,53で締め固定する積層工程(1)と、網目円板(砥石円板)2の外周面と側面を任意形状に研削して成形、即ち、上記円板積層体の外周面を平面,凸面,凹面,段差面等の任意面形状の一つと成す外周面加工工程(2)と、上記各網目研削砥石20〜40の左右両側面を絶縁体で形成された治具50で把持するとともに、各網目研削砥石20〜40の外周縁が治具のフランジ52,53から少量突出させるとともに中心孔に挿通した電気絶縁質の締結具(図示なし)で両側から把持する装着工程(3)と、上記円板積層体において一対のフランジの外周縁から露出した外周径面に砥粒を電着させる砥粒電着工程(4)と、上記治具50のフランジ52、53を分離して網目研削砥石20〜40を摘出する離脱工程(5)と、この工程後に治具から外された各網目研削砥石20〜40を工具ホルダH1に組み付ける組立工程(6)と、からなる。
【0034】
本発明の第4と第5実施の形態となる各網目研削砥石10〜40とこの製造方法によると、以下の作用と効果を呈する。
上記請求項1〜3記載の網目研削砥石において、網目シートを円板状に成型して網目円板とし、これを一層又は多層に積層された円板積層体による製造方法としたから、円板積層体の任意形状の外周面にのみ確実且つ正確に砥粒を電着又は溶着(総称して固着と言う)させられる。これにより、砥石の製造時間が短縮されるとともに低廉化が可能の他、網目シートから円板積層体への加工が容易となり、砥石製作の簡易化に寄与する。更に、多層に積層された円板積層体による網目研削砥石であるから、平面,凸面,凹面,段差面,テーパー面,鋸歯状等の任意面形状の研削面の研削が可能に多様に使用される。
【0035】
更に、網目研削砥石10〜40とこの製造方法によると、砥石の製造時間が短縮されるとともに低廉化が可能の他、網目シートの加工が容易となり、砥石製作の簡易化に寄与する。更に、
図5で図示するように、工具ホルダH1に取付けられた網目研削砥石10〜40は、工具ホルダの尾端から供給される冷却液Cを網目研削砥石10〜40の外周面における砥粒4のかな隙間からの噴出効率を高める。これによる切粉の排出効率は、従来の砥石と比較して飛躍的に向上するメリットが得られる。
【0036】
更に、研削砥石10〜40の効果を追記すれば、▲1▼砥石の回転中心から砥石の外周加工点に研削液が供給され、研削焼けを大幅に抑制する。▲2▼ノイズレスにより、内径研削、R凹部の研削、細溝研削に対して、研削液が確実に供給できる。▲3▼砥石の気泡に研削液が詰まらないから砥石の切れ味(研削効率)の長寿命化が実現できる。また、上記治具により、マスクが不要となる。