特許第6323800号(P6323800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6323800-頁押さえ装置、及び頁めくり装置 図000002
  • 特許6323800-頁押さえ装置、及び頁めくり装置 図000003
  • 特許6323800-頁押さえ装置、及び頁めくり装置 図000004
  • 特許6323800-頁押さえ装置、及び頁めくり装置 図000005
  • 特許6323800-頁押さえ装置、及び頁めくり装置 図000006
  • 特許6323800-頁押さえ装置、及び頁めくり装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6323800
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】頁押さえ装置、及び頁めくり装置
(51)【国際特許分類】
   B42D 9/00 20060101AFI20180507BHJP
   B42D 9/04 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   B42D9/00 F
   B42D9/04 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-177026(P2016-177026)
(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-39235(P2018-39235A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】今村 尚人
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−010907(JP,A)
【文献】 特開2012−171133(JP,A)
【文献】 特開2014−061619(JP,A)
【文献】 特開2005−138519(JP,A)
【文献】 特開平11−157252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 9/00
B42D 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めくり上げられた本の頁をめくり先位置で押さえ込む頁押さえ装置であって、
弾性部材を回動させることで前記頁を前記めくり先位置に巻き込む羽根部と、
前記めくり先位置に巻き込まれた頁に対する前記回動する羽根部による打ち付けを規制する規制部と、
を備えることを特徴とする頁押さえ装置。
【請求項2】
前記規制部は、
前記めくり先位置に前記頁を巻き込んだ後の前記羽根部の先端部の回転軌道を、より小さな半径の回転軌道に制限するように規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の頁押さえ装置。
【請求項3】
前記規制部は、
前記回動する羽根部の少なくとも一部を覆うカバーである、
ことを特徴とする請求項2に記載の頁押さえ装置。
【請求項4】
前記回動する羽根部の少なくとも一部を覆うカバーを更に備え、
前記規制部は、
前記めくり先位置に前記頁を巻き込んだ後の前記羽根部を、前記カバー内に引き込む位置に配設される、
ことを特徴とする請求項2に記載の頁押さえ装置。
【請求項5】
前記羽根部は、
弾性部材からなる基材と、
前記基材の先端部に、前記基材の一部が露出した隙間部を有し、前記頁と接触するように設けられた摩擦部材と、を有し、
前記規制部は、
前記回動する羽根部を引き込む際に、前記摩擦部材から一部が露出した前記基材に接触する凸部を有する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の頁押さえ装置。
【請求項6】
前記摩擦部材は、その両端に前記基材の一部が露出している隙間部を有するよう構成され、
前記凸部は、前記隙間部の位置に対応する箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の頁押さえ装置。
【請求項7】
前記摩擦部材は、その内側に前記基材の一部が露出している隙間部を有するよう構成され、
前記凸部は、前記隙間部の位置に対応する箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の頁押さえ装置。
【請求項8】
見開きの本の頁をめくり、めくった頁をめくり先位置で押さえ込む頁押さえ装置を備える頁めくり装置であって、
前記頁押さえ装置は、
弾性部材を回動させることで前記頁を前記めくり先位置に巻き込む羽根部と、
前記めくり先位置に巻き込まれた頁に対する前記回動する羽根部による打ち付けを規制する規制部と、を有する、
ことを特徴とする頁めくり装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頁押さえ装置、及び頁めくり装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば本等の頁を自動でめくる装置としては、重なっている頁を一枚ずつ吸着して頁をめくる頁めくり装置が知られている(例えば特許文献1参照)。当該頁めくり装置では、めくり上げられたページを引き込む羽根車を有する。羽根車は、頁を巻き込むための複数の羽根部が周方向に沿って取り付けられている。羽根部は、可撓性の板状部材から形成されており、先端部の頁に当接する面には、頁よりも摩擦抵抗の高い素材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−010907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、羽根車が回転すると、羽根部がめくり先位置で保持されている頁と衝突する際にパタパタと周期的な音を発生するという問題あった。
【0005】
そこで本発明の課題は、頁を引き込む際の周期的な音の発生を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る頁押さえ装置は、めくり上げられた本の頁をめくり先位置で押さえ込む頁押さえ装置であって、弾性部材を回動させることで前記頁を前記めくり先位置に巻き込む羽根部と、前記めくり先位置に巻き込まれた頁に対する前記回動する羽根部による打ち付けを規制する規制部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る頁めくり装置は、見開きの本の頁をめくり、めくった頁をめくり先位置で押さえ込む頁押さえ装置を備える頁めくり装置であって、前記頁押さえ装置は、弾性部材を回動させることで前記頁を前記めくり先位置に巻き込む羽根部と、前記めくり先位置に巻き込まれた頁に対する前記回動する羽根部による打ち付けを規制する規制部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、頁を引き込む際の周期的な音の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の頁めくり装置1の概略構成を示す斜視図である。
図2】本実施形態の頁押さえ装置75の内部構成を模式的に示す側面図である。
図3】本実施形態の巻き込み部751の構造を示す斜視図及び側面図である。
図4】本実施形態の羽根部のローラカバー100の構造を示す模式図である。
図5】本実施形態の頁押さえ装置75の設置状態、及び巻き込み部751の動作を示す模式図である。
図6】本実施形態の羽根部81のローラカバー100内での状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、本実施形態の頁めくり装置1の概略構成を示す斜視図である。なお、以下の説明においては本Bの頁Pを左から右へとめくる場合について説明する。
図1に示すように、頁めくり装置1は、本Bの頁Pをめくる頁めくり部3と、本Bを設置する保持台6と、めくり先位置で頁Pを保持するための頁保持部7とを備えている。なお、図では省略しているが、本Bの頁Pを撮像する撮像手段を有する情報処理端末(スマートフォンや、タブレットなど)を設置するスタンド部を別途備えている。
【0012】
頁めくり部3は、略直方体形状の収納ケース31と、モータなどの駆動手段によって回転駆動する駆動軸32と、駆動軸32を中心に揺動するアーム部34と、アーム部34の先端に取り付けられ、本Bの頁Pに対して吸着する吸着部35と、めくり元位置にある頁Pの上方に風を通過させ、めくり先位置にある頁Pに対して風を当てる送風部36と、各部を制御する図示しない制御部とを備えている。
【0013】
収納ケース31は、駆動軸32、アーム部34、吸着部35、及び送風部36を収納している。収納ケース31の主面には、駆動軸32、アーム部34、及び吸着部35を収納するための第一収納凹部と、送風部36を収納するための第二収納凹部とが設けられている。
【0014】
保持台6は、図示しないヒンジにより折り畳み自在な一対の保持板61、62を備えている。ここで、本Bの頁Pが左から右へとめくられる場合は、一対の保持板61、62のうち、左側に配置された一方の保持板61が卓上に沿うように置かれ、右側に置かれる他方の保持板62が一方の保持板61に対して所定の角度で起き上がるように傾斜して卓上に置かれる。一方の保持板61上には、本Bのめくり元位置となる頁Pが置かれ、他方の保持板62上には、本Bのめくり先位置となる頁Pが置かれることになる。
【0015】
これにより、保持台6は、めくり元位置にある頁Pよりもめくり先にある頁Pの方が本Bの綴じ目b2に対して起きる方向に傾斜するように本Bを保持することになる。なお、一対の保持板61、62がヒンジにより折り畳み自在となっているので、一対の保持板61、62のなす角度も調整することができ、めくり先位置にある頁Pの水平面に対する傾斜角度θが調整自在となっている。傾斜角度θとしては30〜45度内の範囲で調整することが好ましい。
【0016】
頁保持部7は、頁押さえ装置75と位置調整部76とからなる。頁押さえ装置75は、巻き込み部751と、引き込みローラ752と、押さえローラ753とを備えている。巻き込み部751は、頁Pがめくり元位置に戻らないようにめくり先位置に巻き込む。引き込みローラ752は、巻き込み部751と同軸上で回転し、吸着部35より搬送され、巻き込み部751によって巻き込まれた頁Pがめくり元位置に戻らないように、頁Pを引き込む。押さえローラ753は、頁Pをめくり先位置で押さえ込む。
【0017】
また、位置調整部76は、めくり先位置にめくられた頁Pの端部に、引き込みローラ752、及び押さえローラ753のロール面が乗るように、本Bの大きさに応じて、保持板62上における固定位置を調整するとともに保持板62に固定する。
【0018】
上記構成において、駆動軸32が回転するとアーム部34が駆動軸32を中心にして円弧を描くように頁Pのめくり元位置と、頁Pのめくり先位置との間を往復動作するようになっている。以下の説明においては、頁Pのめくり元位置からめくり先位置までの移動を往動とし、めくり先位置からめくり元位置までの移動を復動とする。
【0019】
めくり動作によってアーム部34が往動する際には、めくり元位置の頁Pを吸着部35によって吸着し、アーム部34の往動に追従して吸着された頁Pがめくり先位置へと移動することになる。
【0020】
頁押さえ装置75では、吸着部35より吸着された頁Pがめくり先位置へ搬送されてくると、巻き込み部751の羽根部(後述)の回転動作によって頁Pを巻き込み、巻き込んだ頁Pを、引き込みローラ752でさらに引き込んで、押さえローラ753でめくり先位置に確実に押さえ込んで留めるようになっている。
【0021】
また、アーム部34の復動時では、往動時と進行方向は逆であり、同経路で吸着部35は頁Pから分離した状態で移動し、最終的に頁Pのめくり元位置で新たな頁Pに吸着する。この往復動作を繰り返すことで頁Pのめくり動作が進行する。
【0022】
図2は、本実施形態による頁保持部7の外観構造を示す斜視図である。頁押さえ装置75を構成する、巻き込み部751、引き込みローラ752、及び押さえローラ753は、同軸上に配設され、ローラカバー100で覆われている。頁めくり動作中、巻き込み部751、引き込みローラ752、及び押さえローラ753は、図示しないモータにより駆動される回転軸40を中心に同一方向に回転するように駆動力が与えられる。
【0023】
巻き込み部751は、吸着部35より頁Pが搬送されてくると、羽根部81が頁面を擦るようしてめくり先位置に巻き込む。羽根部81の先端部の頁に当接する面には、頁よりも摩擦抵抗の高い素材からなるシート部材83が設けられている。ローラカバー100には、規制部120が着脱可能に取り付けられている。
【0024】
規制部120は、回転軸40の側面から回動する羽根部81の下側に延設されており、回動する羽根部81がすでに送り先に固定された頁P(又は保持板62)と衝突するよりも先に、めくられた頁Pを巻き込んだ後の羽根部81を、ローラカバー100内に引き込む。羽根部81は、弾性部材から形成されているので、規制部120によって大きく曲げられた状態でローラカバー100内に引き込まれる。また、羽根部81は、その弾性力により元の可動範囲に復帰した状態でローラカバー100から出てくる。
【0025】
引き込みローラ752は、自由形状において、巻き込み部751の径より小さく、かつ押さえローラ753より大きい径を有する、柔軟性を有するスポンジ状の素材からなる。引き込みローラ752は、巻き込み部751の羽根部81により巻き込まれた頁Pを引き込む。
【0026】
引き込みローラ752の径が巻き込み部751の径より小さいので、巻き込み部751によって巻き込まれた頁Pを容易に引き込むことができる。また、引き込みローラ752は、頁Pを押さえる箇所ではつぶれて押さえローラ753と同径になるので、引き込みローラ752が必要以上の押圧力を頁Pに加えることがない。
【0027】
押さえローラ753は、引き込みローラ752の径よりさらに小さな径を有し、頁Pとの摩擦係数が大きい材質(ウレタンゴム等)で形成された表面を有する。押さえローラ753は、引き込みローラ752より小さな径を有するので、引き込みローラ752によって巻き込まれた頁Pを容易にめくり先位置で押さえ込むことができる。
【0028】
アーム部101には、巻き込み部751、引き込みローラ752、及び押さえローラ753を回転させる図示しないモータが内蔵されている。該モータには、所定のケーブル(例えばUSBケーブル等)を介して頁めくり部3側から電源が供給されており、頁めくり動作に連動して駆動制御される。なお、押さえローラ753には不図示のトルクリミッタが備えられ、駆動力の伝達トルクを制限し、用紙P上で押さえローラ753が空転し続けて用紙Pにダメージを与えるのを防止している。
【0029】
また、アーム部101は、めくり先位置の頁Pの厚さに追従して本体フレーム部102内の回転軸41を中心に回動し、どのような厚さでも最適な高さ方向の位置に巻き込み部751、引き込みローラ752、及び押さえローラ753を配置することができる。言い換えると、ローラカバー100とアーム部101とは連結されており、アーム部101を本体フレーム部102に対して回転させることで、ローラカバー100(巻き込み部751、引き込みローラ752、及び押さえローラ753)全体を連動して回転させることが可能となっている。
【0030】
また、アーム部101は、図示しないバネ等の付勢手段、及び自重によって、巻き込み部751、引き込みローラ752、及び押さえローラ753を、頁Pに対して所定の押圧力で付勢するようになっている。なお、上記バネ等の付勢手段による押圧力は、本Bのサイズ、用紙種類、本Bの開き角度に応じて調整可能となっている。
【0031】
本体フレーム部102は、位置調整部76を構成するスライドレール110に矢印aの方向に移動可能に固定されている。スライドレール110には、矢印aと直交する向きに複数のレール溝111が所定の間隔で形成されている。本体フレーム部102に内蔵されているスライダ(図示略)をいずれかのレール溝111に嵌合させることで、頁押さえ装置75がそのレール溝111の位置で固定される。固定スイッチ112は、頁保持部7を保持板62に固定する機構を動作/解除するための操作子である。
【0032】
図3(a)、(b)は、本実施形態の巻き込み部751の構造を示す斜視図及び側面図である。巻き込み部751は、不図示のモータによって回転駆動される円筒状のローラ部80と、該ローラ部80の円周上に沿って所定の間隔を空けて取り付けられた複数の羽根部81とを備えている。
【0033】
羽根部81は、例えばPETなどの樹脂からなる可撓性の板状部材82と、その先端部における頁Pに当接する面に設けられたシート部材83とからなる。板状部材82は、無負荷時においてはローラ部80の接線に沿って延在するように取り付けられている。シート部材83は、例えばウレタンゴムなど、頁Pとの摩擦抵抗が高く、耐摩耗性のある素材から形成されている。
【0034】
シート部材83の両端には、板状部材82が一部露出するように隙間部84が設けられている。換言すれば、シート部材83の幅を、板状部材82の幅より小さくすることで、シート部材83の両端に隙間部84を形成している。
【0035】
図4(a)〜(c)は、本実施形態の羽根部81のローラカバー100の構造を示す模式図である。ローラカバー100には、巻き込み部751の設置箇所に、回転する羽根部81を引き込む規制部120が設けられている。該規制部120の内側には、羽根部81が当接する部分に2列のリブ121が形成されている。2列のリブ121の間隔は、シート部材83の両端に設けられている隙間部84の間隔と略同一となっている。
【0036】
羽根部81は、回転動作時、羽根部81がすでに送り先に固定された頁P(又は保持板62)と衝突するよりも先に、規制部120により規制され、板状部材82の弾性により大きく曲げられた状態でローラカバー100内に引き込まれる。これにより、羽根部81がめくり先位置で保持されている頁と衝突することを防ぐことができ、パタパタと周期的な音の発生を防ぐ(又は低減する)ことができる。
【0037】
また、羽根部81がローラカバー100内に収納される際には、シート部材83の両端の隙間部84とリブ121とが接触するようになっている。このため、シート部材83は、規制部120の内壁に直接接触しないので、必要以上に摩耗することなく、シート部材83の寿命を短縮することはない。なお、巻き込み時、頁Pは浮き上がろうとする力を持つため、押さえつけなくとも、シート部材83との摩擦力が作用するので、確実に頁Pを巻き込むことが可能である。
【0038】
また、ローラカバー100は、押さえローラ753及び引き込みローラ752の直径より大きく、かつ、ローラカバー100内に収納される羽根部81の先端部の回転軌道を、より小さな半径の回転軌道に制限するような大きさとなっている。回動する羽根部81の先端部の回転軌道は、押さえローラ753及び引き込みローラ752の直径より大きい。すなわち、押さえローラ753及び引き込みローラ752に接触することなく、かつ、ローラカバー100内を回動する羽根部81が変形しない程度に、ローラカバー100の内面を、羽根部81が取り付けられているローラ部80の外周面に近くなるような大きさとする。これにより、羽根部81の先端部の回転軌道に合わせたサイズとしていたローラカバー100を可能な限り小さくすることができる。
【0039】
さらに、ローラカバー100の内側にも、規制部120と同様に、羽根部81が当接する部分に2列のリブ122が形成されている。2列のリブ122の間隔は、リブ121と同様に、シート部材83の両端に設けられている隙間部84の間隔と略同一となっている。したがって、ローラカバー100内に収納された羽根部81がローラカバー100内を回転する間も、リブ122がシート部材83の両端の隙間部84と接触することで、シート部材83がローラカバー100の内壁に直接接触しないので、必要以上に摩耗することなく、シート部材83の寿命を短縮することはない。
【0040】
なお、本実施形態では、図4に示す規制部120は、ローラカバー100に着脱可能となっている。すなわち、規制部120とローラカバー100とは別体である。しかしながら、規制部120が別体であることに限定されず、規制部120とローラカバー100とを一体に構成するようにしてもよい。換言すれば、「規制部」とは、規制部120単体であってもよいし、規制部120を備えたローラカバー100全体であってもよい。
【0041】
図5は、本実施形態の頁押さえ装置75の設置状態、及び巻き込み部751の動作を示す模式図である。また、図6は、本実施形態の羽根部81のローラカバー100内での状態を示す模式図である。
【0042】
頁押さえ装置75は、スライドレール110を調整することで、保持板62の適切な位置に固定されている。アーム部34の往動に追従して吸着された頁Pがめくり先位置へと移動してくると、回転する羽根部81(のシート部材83)とめくられた頁Pとがめくり先のやや上方の位置CPの辺りで当接する。
【0043】
羽根部81(のシート部材83)と当接した頁Pは、羽根部81の回転動作によって巻き込まれ、引き込みローラ752、押さえローラ753によって、さらに引き込まれ、めくり先に固定される。頁Pが引き込みローラ752、押さえローラ753に引き込まれた時点では、羽根部81は、巻き込んだ頁P(保持板62)と衝突するよりも先に、規制部120のリブ121(図4参照)がシート部材83の両端の隙間部84と接触し、板状部材82の弾性により、リブ121に沿った状態でローラカバー100内に収納される。
【0044】
ローラカバー100内においても、図4に示すリブ122がシート部材83の両端の隙間部84と接触することで、羽根部81は、板状部材82の弾性により、リブ122に沿った状態、すなわち畳まれた状態で回転することになる。そして、リブ122がシート部材83の両端の隙間部84と接触しているので、シート部材83がローラカバー100の内壁に直接接触することはない。羽根部81がリブ122を通り過ぎると、板状部材82の弾性により、反りが解消され、羽根部81は、元の可動範囲に復帰した状態でローラカバー100から出てくることになる。
【0045】
上述した実施形態によれば、弾性部材からなる板状部材82を回動させることで頁Pをめくり先位置に巻き込む羽根部81を、めくり先位置に巻き込まれた頁に対する回動する羽根部81による打ち付けを規制部120によって規制するようにしたので、羽根部81がめくり先位置で保持されている頁と衝突することを防ぐことができ、パタパタと周期的な音の発生を防ぐことができる。
【0046】
上述した実施形態によれば、めくり先位置に頁Pを巻き込んだ後の羽根部81の先端部の回転軌道を、より小さな半径の回転軌道に制限するように規制部120によって規制するようにしたので、羽根部81がめくり先位置で保持されている頁と衝突することを防ぐことができ、タパタと周期的な音の発生を防ぐことができる。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、回動する羽根部81の少なくとも一部を覆うローラカバー100によって回動する羽根部81による打ち付けを規制するようにしたので、羽根部81の先端部の回転軌道に合わせたサイズとしていたローラカバー100を可能な限り小さくすることができる。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、めくり先位置に頁Pを巻き込んだ後の羽根部81を、ローラカバー100内に引き込む位置に配設した規制部120によって回動する羽根部81による打ち付けを規制するようにしたので、羽根部81がめくり先位置で保持されている頁と衝突することを防ぐことができ、パタパタと周期的な音の発生を防ぐことができる。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、羽根部81を、弾性部材からなる板状部材82と、板状部材82の先端部に、板状部材82の一部が露出した隙間部84を有し、頁Pと接触するように設けられた摩擦部材からなるシート部材83とから構成し、回動する羽根部81を引き込む際に、一部が露出した板状部材82に接触するリブ121を規制部120に設けるようにしたので、シート部材83が規制部120の内壁に直接接触せず、必要以上に摩耗することなく、シート部材83の寿命を短縮することはない。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、隙間部84をシート部材83の両側、あるいはシート部材83の内側に設けるようにしたので、シート部材83が規制部120や、ローラカバー100の内壁に直接接触せず、必要以上に摩耗することなく、シート部材83の寿命を短縮することはない。
【0051】
なお、上述した実施形態では、シート部材83の両端に隙間部84を設けた例を示したがシート部材83を2分割して中央に隙間部を形成し、それに対応した1つのリブを、ローラカバー100、規制部120に形成する構成であってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、羽根部81が複数の場合を好ましい例として説明したが、一枚の場合を除外するものではない。
【0053】
また、上述した実施形態では、羽根部81は可撓性の板状部材82としたが、弾性のある金属ワイヤーをループ状に形成して羽根と同様の働きを持たせてもよい。この場合、羽根部の面積が減るので羽根部81の発生する騒音を軽減する効果がある。
【0054】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0055】
(付記1)
付記1に記載の発明は、めくり上げられた本の頁をめくり先位置で押さえ込む頁押さえ装置であって、弾性部材を回動させることで前記頁を前記めくり先位置に巻き込む羽根部と、前記めくり先位置に巻き込まれた頁に対する前記回動する羽根部による打ち付けを規制する規制部と、を備えることを特徴とする頁押さえ装置である。
【0056】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記規制部は、前記めくり先位置に前記頁を巻き込んだ後の前記羽根部の先端部の回転軌道を、より小さな半径の回転軌道に制限するように規制する、ことを特徴とする付記1に記載の頁押さえ装置である。
【0057】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記規制部は、前記回動する羽根部の少なくとも一部を覆うカバーである、ことを特徴とする付記2に記載の頁押さえ装置である。
【0058】
(付記4)
付記4に記載の発明は、前記回動する羽根部の少なくとも一部を覆うカバーを更に備え、前記規制部は、前記めくり先位置に前記頁を巻き込んだ後の前記羽根部を、前記カバー内に引き込む位置に配設される、ことを特徴とする付記2に記載の頁押さえ装置である。
【0059】
(付記5)
付記5に記載の発明は、前記羽根部は、弾性部材からなる基材と、前記基材の先端部に、前記基材の一部が露出した隙間部を有し、前記頁と接触するように設けられた摩擦部材と、を有し、前記規制部は、前記回動する羽根部を引き込む際に、前記摩擦部材から一部が露出した前記基材に接触する凸部を有する、ことを特徴とする付記3又は4に記載の頁押さえ装置である。
【0060】
(付記6)
付記6に記載の発明は、前記摩擦部材は、その両端に前記基材の一部が露出している隙間部を有するよう構成され、前記凸部は、前記隙間部の位置に対応する箇所に設けられている、ことを特徴とする付記5に記載の頁押さえ装置である。
【0061】
(付記7)
付記7に記載の発明は、前記摩擦部材は、その内側に前記基材の一部が露出している隙間部を有するよう構成され、前記凸部は、前記隙間部の位置に対応する箇所に設けられている、ことを特徴とする付記5に記載の頁押さえ装置である。
【0062】
(付記8)
付記8に記載の発明は、見開きの本の頁をめくり、めくった頁をめくり先位置で押さえ込む頁押さえ装置を備える頁めくり装置であって、前記頁押さえ装置は、弾性部材を回動させることで前記頁を前記めくり先位置に巻き込む羽根部と、前記めくり先位置に巻き込まれた頁に対する前記回動する羽根部による打ち付けを規制する規制部と、を有する、ことを特徴とする頁めくり装置である。
【符号の説明】
【0063】
1…頁めくり装置、3…頁めくり部、7…頁保持部、31…収納ケース、32…駆動軸、34…アーム部、35…吸着部、40、41…回転軸、6…保持台、61、62…保持板、75…頁押さえ装置、76…位置調整部、80…ローラ部、81…羽根部、82…板状部材、83…シート部材、84…隙間部、100…ローラカバー、101…アーム部、102…本体フレーム部、110…スライドレール、111…レール溝、112…固定スイッチ、120…規制部、121、122…リブ、751…巻き込み部、752…引き込みローラ、753…押さえローラ、B…本、P…頁
図1
図2
図3
図4
図5
図6