(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る冷却システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、冷却システム1は、流量センサ11と、装置台数判定回路12と、基準信号発生回路13と、異常判定器14と、装置20−1〜20−Nと、冷却水主配管P1と、冷却水枝配管P2−1〜P2−Nと、流量信号経路S11と、基準指示信号経路S12と、異常検出基準信号経路S13と、流量異常信号経路S14と、装置接続信号経路S20−1〜S20−Nとを備える。装置20−1〜20−Nは、コールドプレート21−1〜21−Nを備える。
但し、装置20は、冷却システム1の一部に含まれていてもよいし、冷却システム1の外部の構成となっていてもよい。
【0012】
冷却システム1は、冷却の対象であるN個の装置20−1〜20−Nに冷却水を供給して、これら装置20−1〜20−Nを冷却する。Nは正整数であり、冷却システム1による冷却対象である装置の台数を示す。以下では、装置20−1〜20−Nを総称して、装置20と表記する。また、冷却システム1は、冷却水の流量異常を検出する。冷却システム1は、流量異常検出装置の例に該当する。
但し、冷却システム1が冷却に用いる冷媒は、冷却水に限らず流量を測定可能な冷媒であればよい。
【0013】
N台の装置20−1〜20−Nには、それぞれコールドプレート21−1〜21−Nが取り付けられている。コールドプレート21−1〜21−Nは、例えば装置20−1〜20−N内の高発熱の電子機器など、装置20−1〜20−N内の熱源の近くに設置される。以下では、コールドプレート21−1〜21−Nを総称してコールドプレート21と表記する。
【0014】
冷却システム1は、装置20−1〜20−Nを冷却するために、コールドプレート21−1〜21−Nに冷却水を供給する。冷却水の供給源から供給された冷却水は、冷却水主配管P1を経由した後、冷却水枝配管P2−1〜P2−Nへ分配されてコールドプレート21−1〜21−Nへ流入する。以下では、冷却水枝配管P2−1〜P2−Nを総称して冷却水枝配管P2と表記する。
【0015】
流量センサ11は、冷却水主配管P1に設けられて冷却水主配管P1を流れる冷却水の流量を検出する。流量センサ11は、検出した流量を示す流量信号を、流量信号経路S11を経由して異常判定器14へ出力する。
流量センサ11が、冷却水主配管P1を流れる冷却水の流量に比例した電流値の信号を出力するようにしてもよい。この場合、冷却水主配管P1を流れる冷却水の流量は、装置20に供給される冷媒の合計流量の例に該当する。この場合の流量センサ11は、流量検出部の例に該当する。
【0016】
流量センサ11が、冷却水主配管P1を流れる冷却水の流量に比例した電圧値の信号を出力するようにしてもよい。この場合、冷却水主配管P1を流れる冷却水の流量は、装置20に供給される冷媒の合計流量の例に該当する。この場合の流量センサ11は、流量検出部の例に該当する。
あるいは、流量センサ11が、冷却水主配管P1を流れる冷却水の流量を示すデジタル信号を出力するようにしてもよい。
【0017】
装置20−1〜20−Nの各々と装置台数判定回路12とは装置接続信号経路S20−1〜S20−Nを介して接続されている。以下では、装置接続信号経路S20−1〜S20−Nを総称して装置接続信号経路S20と表記する。
装置20−1〜20−Nの各々は、装置接続信号経路S20−1〜S20−Nを経由して装置接続信号を装置台数判定回路12へ出力する。
【0018】
装置台数判定回路12は、装置20から出力された装置接続信号の数を計数することで、冷却水の供給を受ける装置20の台数を判定(計数)する。装置台数判定回路12は、台数判定部の例に該当する。
装置20−1〜20−Nのうち一部のみが動作している場合、これら装置20−1〜20−Nのうち動作中の装置にのみ冷却水が供給されるようにしてもよい。この場合、動作中の装置20のみが装置接続信号を出力するようにし、装置台数判定回路12は、動作中の装置20の台数を判定する。
【0019】
動作中の装置20にのみ冷却水を供給する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、冷却水枝配管P2の各々に遮断弁が設けられ、装置接続信号を出力した動作中の装置20への冷却水枝配管に設けられた遮断弁のみが開くようにしてもよい。あるいは、動作中の装置20のみが冷却水を循環させて新たな冷却水を装置20自らに流入させるようにしてもよい。
【0020】
装置台数判定回路12は、判定にて検出した装置20の台数を示す基準指示信号を、基準指示信号経路S12を経由して基準信号発生回路13へ出力する。
装置台数判定回路12が、検出した装置20の台数に比例する電流値の基準指示信号を出力するようにしてもよい。装置台数判定回路12が、検出した装置20の台数に比例する電圧値の基準指示信号を出力するようにしてもよい。あるいは、装置台数判定回路12が、検出した装置20の台数を示すデジタル信号にて基準指示信号を出力するようにしてもよい。
【0021】
基準信号発生回路13は、基準指示信号が示す装置20の台数に基づいて冷却水流量異常の判定閾値を算出する。基準信号発生回路13は、閾値設定部の例に該当する。
例えば、装置20の1台当たりの冷却水流量が定数で予め定められており、基準信号発生回路13は、装置20の1台当たりの冷却水流量に装置20の台数を乗算して判定閾値を算出する。基準信号発生回路13は、算出した判定閾値を示す異常検出基準信号を、異常検出基準信号経路S13を経由して異常判定器14へ出力する。
【0022】
基準信号発生回路13が電流増幅回路を用いて構成され、所定の電流値に装置20の台数を乗算した電流値の信号を出力するようにしてもよい。基準信号発生回路13が電圧増幅回路を用いて構成され、所定の電圧値に装置20の台数を乗算した電圧値の信号を出力するようにしてもよい。あるいは、基準信号発生回路13が所定の流量に装置20の台数を乗算した流量を示すデジタル信号を異常検出基準信号として出力するようにしてもよい。
異常検出基準信号は装置20の温度を温度異常が発生しない温度以下に冷却する流量を示す信号に設定される。
【0023】
異常判定器14は、流量センサ11が検出した冷却水流量測定値と、基準信号発生回路13が算出した判定閾値とを比較する。冷却水流量測定値が判定閾値より小さいと判定した場合、異常判定器14は、冷却水流量異常を示す流量異常信号を、流量異常信号経路S14へ出力する。異常判定器14は、異常判定部の例に該当する。
【0024】
流量センサ11が流量測定値に応じた電流値の流量信号を出力し、基準信号発生回路13が閾値の大きさに応じた電流値の異常検出信号を出力する場合、異常判定器14は、これらの電流の大きさの比較にて異常判定を行う。具体的には、異常判定器14は、流量センサ11が出力した信号の電流の大きさが、基準信号発生回路13が出力した信号の電流の大きさよりも小さい場合、異常有りと判定する。
【0025】
流量センサ11が流量測定値に応じた電圧値の流量信号を出力し、基準信号発生回路13が閾値の大きさに応じた電圧値の異常検出信号を出力する場合、異常判定器14は、これらの電圧の大きさの比較にて異常判定を行う。具体的には、異常判定器14は、流量センサ11が出力した信号の電圧の大きさが、基準信号発生回路13が出力した信号の電圧の大きさよりも小さい場合、異常有りと判定する。
【0026】
あるいは、異常判定器14が、流量センサ11の流量測定値と、基準信号発生回路13が設定した閾値との比較をソフトウェア処理にて行うようにしてもよい。
例えば上位装置又は警報盤が流量異常信号を受けて警報を表示することで、ユーザは、冷却水流量異常の発生を認識することができ、点検及び補修等の対応を行うことができる。
【0027】
図2は、異常判定器14による冷却水流量異常判定の例を示す図である。
図2の線L11、冷却水の供給を受ける装置20の台数が1台、2台、3台、4台、・・・、N台の場合それぞれの判定閾値を示す。
線L21は、冷却水流量測定値の第一例を示している。線L21は、冷却水の供給を受ける装置20の台数が3台である場合の例を示しており、線L21が示す冷却水流量測定値は、装置20が3台の場合の判定閾値以上の値となっている。これにより、異常判定器14は、冷却水流量が正常であると判定する。
線L22は、冷却水流量測定値の第二例を示している。線L22は、冷却水の供給を受ける装置20の台数が3台である場合の例を示しており、線L22が示す冷却水流量測定値は、装置20が3台の場合の判定閾値よりも小さい値となっている。これにより、異常判定器14は、冷却水流量が異常であると判定する。
【0028】
以上のように、装置台数判定回路12は、装置20の台数を判定する。基準信号発生回路13は、装置20の台数に基づいて閾値を設定する。異常判定器14は、冷媒の流量が閾値より小さい場合、異常有りと判定する。
このように、基準信号発生回路13が装置20の台数に基づいて閾値を設定することで、閾値を自動設定することができ、人手による設定ミスを回避することができる。この点で、冷却システム1では、比較的安定して冷却システムの異常を検出することができる。
【0029】
また、流量センサ11は、装置20に供給される冷媒の合計流量に比例した電流値の信号を出力する。基準信号発生回路13は、所定の電流値に装置20の台数を乗算した電流値の信号を出力する。異常判定器14は、流量センサ11が出力した信号の電流の大きさが、基準信号発生回路13が出力した信号の電流の大きさよりも小さい場合、異常有りと判定する。
【0030】
このように、異常判定器14が電流の大きさの比較によって異常の有無を判定することで、ソフトウェア的な処理を必要とせずにハードウェア的な処理で判定を行うことができる。異常判定器14がソフトウェア的な処理を必要としない点で、ソフトウェアを動作させるプロセッサのフリーズ等により異常監視を行えない事態を回避することができる。
閾値の設定についても、基準信号発生回路13はソフトウェア的な処理を必要とせずにハードウェア的な処理で閾値を設定することができる。基準信号発生回路13がソフトウェア的な処理を必要としない点で、ソフトウェアを動作させるプロセッサのフリーズ等により閾値を設定ない事態、さらには、異常判定器14が異常監視を行えない事態を回避することができる。
【0031】
また、流量センサ11は、装置20に供給される冷媒の合計流量に比例した電圧値の信号を出力する。基準信号発生回路13は、所定の電圧値に装置20の台数を乗算した電圧値の信号を出力する。異常判定器14は、流量センサ11が出力した信号の電圧の大きさが、基準信号発生回路13が出力した信号の電圧の大きさよりも小さい場合、異常有りと判定する。
【0032】
このように、異常判定器14が電圧の大きさの比較によって異常の有無を判定することで、ソフトウェア的な処理を必要とせずにハードウェア的な処理で判定を行うことができる。異常判定器14がソフトウェア的な処理を必要としない点で、ソフトウェアを動作させるプロセッサのフリーズ等により異常監視を行えない事態を回避することができる。
閾値の設定についても、基準信号発生回路13はソフトウェア的な処理を必要とせずにハードウェア的な処理で閾値を設定することができる。基準信号発生回路13がソフトウェア的な処理を必要としない点で、ソフトウェアを動作させるプロセッサのフリーズ等により閾値を設定ない事態、さらには、異常判定器14が異常監視を行えない事態を回避することができる。
【0033】
冷却システムが、冷却対象の装置毎に設けられたフロースイッチを用いて流量異常の判定を行うようにしてもよい。この点について、
図3を参照して説明する。
図3は、冷却対象の装置毎にフロースイッチが設けられている場合の、冷却システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
図3に示すように、冷却システム2は、流量センサ11と、装置台数判定回路12と、基準信号発生回路13と、異常判定器14と、装置20と、フロースイッチ30−1〜30−Nと、冷却水主配管P1と、冷却水枝配管P2と、流量信号経路S11と、基準指示信号経路S12と、異常検出基準信号経路S13と、流量異常信号経路S14と、装置接続信号経路S30−1〜S30−Nとを備える。装置20は、コールドプレート21を備える。
【0034】
図1の場合と同様、装置20は、冷却システム2の一部に含まれていてもよいし、冷却システム2の外部の構成となっていてもよい。
図3の各部のうち
図1の各部と対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(11、12、13、14、20、20−1〜20−N、21、21−1〜21−N、P1、P2、P2−1〜P2−N、S11、S12、S13、S14)を付して説明を省略する。
【0035】
冷却システム2は、冷却水枝配管P2−1〜P2−Nにそれぞれフロースイッチ30−1〜30−Nが設けられている点で、冷却システム1の場合と異なる。また、冷却システム2では、装置接続信号経路S20−1〜S20−Nに代えて装置接続信号経路S30−1〜S30−Nがフロースイッチ30−1〜30−Nの各々と装置台数判定回路12とを接続している点で、冷却システム1の場合と異なる。
以下では、フロースイッチ30−1〜30−Nを総称してフロースイッチ30と表記する。装置接続信号経路S30−1〜S30−Nを総称して装置接続信号経路S30と表記する。
【0036】
フロースイッチ30−1〜30−Nは、それぞれ冷却水枝配管P2−1〜P2−Nに所定値以上の流量の冷却水が流れていることを検出すると、装置接続信号を装置台数判定回路12へ出力する。例えば、フロースイッチ30−1〜30−Nは、それぞれ冷却水枝配管P2−1〜P2−Nを流れる冷却水の流量が所定値以上になるとOFFの状態からONの状態に遷移し、装置接続信号を出力する。また、フロースイッチ30−1〜30−Nは、それぞれ冷却水枝配管P2−1〜P2−Nを流れる冷却水の流量が所定値未満になるとONの状態からOFFの状態に遷移し、装置接続信号の出力を停止する。
装置台数判定回路12は、装置接続信号経路S20の数に代えて装置接続信号S30の数を計数することで、装置20の数を計数する。
【0037】
以上のように、フロースイッチ30は、装置20の各々への流路である冷却水枝配管P2に設けられて所定流量以上の冷媒流量を検出する。装置台数判定回路12は、所定流量以上の冷媒流量を検出したフロースイッチの数を計数する。
これにより、冷却システム2では、装置接続信号を出力する仕組みを装置20の各々が備える必要無しに冷却水の流量異常を検出することができ、装置20をブラックボックス化することができる。装置20に対する改造が不要な点で、冷却システム2では、より容易にシステムを構成することができる。
【0038】
次に、
図4を参照して、本発明の最小構成について説明する。
図4は、本発明に係る流量異常検出装置の最小構成の例を示す図である。
図4に示す流量異常検出装置100は、台数判定部101と、閾値設定部102と、異常判定部103とを備える。
かかる構成にて、台数判定部101は、冷却対象装置の台数を判定する。閾値設定部102は、冷却対象装置の台数に基づいて閾値を設定する。異常判定部103は、冷却対象装置に供給される冷媒の合計流量が閾値より小さい場合、異常有りと判定する。
このように、閾値設定部102が冷却対象装置の台数に基づいて閾値を設定することで、閾値を自動設定することができ、人手による設定ミスを回避することができる。この点で、流量異常検出装置100では、比較的安定して冷却システムの異常を検出することができる。
【0039】
冷却システム1、冷却システム2及び流量異常検出装置100における処理の全部または一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【解決手段】流量異常検出装置が、冷却対象装置の台数を判定する台数判定部と、前記冷却対象装置の台数に基づいて閾値を設定する閾値設定部と、前記冷却対象装置に供給される冷媒の合計流量が前記閾値より小さい場合、異常有りと判定する異常判定部と、を備える。