(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブランケットの咥え尻側端部は、内側に折曲する折曲部を有し、前記第1押圧部は、前記折曲部を前記ブランケットの咥え側端部に重ねて内側から前記開口部壁面に押圧することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブランケット締め付け装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ブランケットは、長手方向の両端部が締め付け装置によりブランケット胴に固定されている。この場合、ブランケットは、各端部が締め付け装置により摩擦力を用いて固定されているものの、締め付けの信頼性を向上させることが望まれている。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、信頼性の向上を図るブランケット締め付け装置、ブランケット胴、印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のブランケット締め付け装置は、ブランケット胴の溝部から開口部に挿入されたブランケットの端部を締め付けて固定するブランケット締め付け装置であって、前記開口部で回動自在に支持されるテンションバーと、前記テンションバーに設けられて前記ブランケットの咥え尻側端部を挿入可能なスリットと、前記テンションバーに設けられて前記ブランケットの咥え側端部と咥え尻側端部を重ねて前記開口部壁面に押圧する第1押圧部と、前記テンションバーを前記第1押圧部が前記開口部壁面に接近する方向に付勢する付勢部材と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
従って、ブランケットの咥え尻側端部をスリットに挿入し、テンションバーを付勢部材の付勢力により回動すると、第1押圧部がブランケットの咥え側端部と咥え尻側端部を重ねて開口部壁面に押圧することとなり、ブランケットを適正にブランケット胴に装着することができ、信頼性を向上することができる。
【0010】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記ブランケットの咥え尻側端部は、内側に折曲する折曲部を有し、前記第1押圧部は、前記折曲部を前記ブランケットの咥え側端部に重ねて内側から前記開口部壁面に押圧することを特徴としている。
【0011】
従って、ブランケットの咥え側端部の反力とブランケットの咥え尻側端部との反力が逆方向に作用することから、第1押圧部によりブランケットの咥え側端部と咥え尻側端部を強固に支持することができる。
【0012】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記第1押圧部は、前記テンションバーの外周面から外方に突出する突出部であり、前記開口部壁面は、平面であることを特徴としている。
【0013】
従って、テンションバーが回動することで、第1押圧部としての突出部が平面の開口部壁面に押圧してブランケットの咥え側端部と咥え尻側端部を強固に押圧することとなり、構造を簡素化することができる。
【0014】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記テンションバーは、前記ブランケットの咥え側端部だけを前記開口部壁面に押圧する第2押圧部が設けられることを特徴としている。
【0015】
従って、第1押圧部だけでなく、第2押圧部がブランケットの咥え側端部を押圧することとなり、ブランケットの締め付け作業の信頼性を向上することができる。
【0016】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記テンションバーにおける径方向への変形を規制する規制部材が設けられることを特徴としている。
【0017】
従って、規制部材によりテンションバーにおける径方向への変形を規制することができ、ブランケット胴やテンションバーの小型化を可能とすることができる。
【0018】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記規制部材は、前記テンションバーの外周面を回動自在に支持する支持部材を有することを特徴としている。
【0019】
従って、支持部材がテンションバーの外周面を回動自在に支持することで、テンションバーの作動に支障をきたすことなく、径方向への変形を規制することができる。
【0020】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記規制部材は、前記テンションバーにおける変形側への移動を阻止する阻止部材を有することを特徴としている。
【0021】
従って、阻止部材によりテンションバーにおける変形側への移動を阻止することができ、構造を簡素化することができる。
【0022】
本発明のブランケット締め付け装置では、前記開口部は、円形孔であり、円柱形状をなすテンションバーが偏心位置に配置されることを特徴としている。
【0023】
従って、第1押圧部が突出部であるとき、テンションバーを開口部内に効率的に収容することができ、開口部を小型化することができる。
【0024】
また、本発明のブランケット胴は、円柱形状をなす胴本体の外周面にブランケットが装着されたブランケット胴であって、前記胴本体の内部に前記ブランケット締め付け装置が設けられる、ことを特徴とするものである。
【0025】
従って、ブランケットを適正に胴本体に装着することができ、ブランケット胴の信頼性を向上することができる。
【0026】
また、本発明の印刷機は、インキ供給源と、前記インキ供給源のインキを供給するインキ供給ローラと、前記インキ供給ローラに対接する版胴と、前記版胴に対接する前記ブランケット胴と、を有することを特徴とするものである。
【0027】
従って、ブランケットを適正にブランケット胴に装着することができ、印刷機の信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のブランケット締め付け装置、ブランケット胴、印刷機によれば、テンションバーにブランケットの咥え側端部と咥え尻側端部を重ねて開口部壁面に押圧する第1押圧部を設けるので、ブランケットを適正にブランケット胴に装着することができ、信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るブランケット締め付け装置、ブランケット胴、印刷機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0031】
図7は、新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図、
図8は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
【0032】
本実施形態の印刷機は、
図7に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機であって、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとから構成されている。給紙装置Rは、複数(実施形態1では、7台)の給紙ユニットR1〜R7を有し、インフィード装置Iは、複数(実施形態1では、7台)のインフィードユニットI1〜I7を有し、印刷装置Uは、複数(実施形態1では、6台)の印刷ユニットU1〜U6を有し、ウェブパス装置Dは、複数(実施形態1では、2台)のウェブパスユニットD1,D2を有し、折機Fは、複数(実施形態1では、2個)の折ユニットF1,F2を有している。
【0033】
この場合、印刷ユニットU1〜U6を6台として説明したが、各印刷ユニットU1〜U6は、4色刷りが可能であると共に、上下に分割して12台の2色刷りが可能な印刷ユニットU11,U12,U21・・・U61,U62として用いることができる。また、2つの折ユニットF1,F2を上下に並べて記載したが、実際には、紙面に直交する方向に並んで配置される操作側折ユニットF1と駆動側折ユニットF2となっている。更に、印刷装置Uを2つの部分から記載したが、機能上2つに分けて記載しただけであり、実際には、1つの装置となっている。
【0034】
そして、この新聞用オフセット輪転印刷機では、図示しない建屋の1階の床面上に給紙ユニットR1〜R7が設置され、2階にインフィードユニットI1〜I7が設置され、2階及び3階に印刷ユニットU1〜U6が設置され、3階から5階にウェブパス装置Dが設置され、また、2階、3階に折機Fが設置されている。
【0035】
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1〜R7は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブ(印刷媒体)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アーム11を有し、この保持アーム11を回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。また、この各給紙ユニットR1〜R7には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙が残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙に対して、待機位置にある巻取紙を紙継することができる。
【0036】
インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1〜I7は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U6に送り込むウェブWのテンションを調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWのテンションを適正値に安定して維持するようにしている。例えば、各インフィードユニットI1〜I7は、インフィードローラ、紙押えゴムローラ、ダンサローラ、ガイドローラなどを有している。そして、ダンサローラをウェブWの張り方向に付勢することでウェブWのテンションを適正にし、このダンサローラの揺動に応じてインフィードローラの周速を変更し、ウェブWの適正なテンションを維持している。
【0037】
なお、給紙装置Rからインフィード装置IまでのウェブWのテンションは、給紙ユニットR1〜R7に設けられた図示しないブレーキ装置により行っており、給紙装置Rに設けられたテンション検出ローラの検出結果に基づいて、このブレーキ装置を制御している。また、印刷装置Uの下流側には、駆動源により駆動回転可能なドラグローラ12が設けられており、このドラグローラ12の周速やダンサローラの付勢力を制御することで、ウェブWのテンションを調整している。
【0038】
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1〜U6は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1〜U6は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11〜U62とすることができる。各印刷ユニットU11〜U62は、ほぼ同様の構成をなし、後述するが、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有している。本実施形態では、各印刷ユニットU1〜U6は、版胴に周方向に沿って印刷物としての新聞の1頁分に対応する刷版を装着可能であり、この版胴の周長(直径)に対して、ブランケット胴の周長(直径)が同じに設定されている。
【0039】
なお、本実施形態では、印刷ユニットU1〜U6を、全て多色刷印刷ユニットにより構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面2色刷印刷ユニット、両面単色刷印刷ユニット、一面4色または単色刷印刷ユニットなど、印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
【0040】
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1〜U3に対して設けられ、ウェブパスユニットD2は、印刷ユニットU4〜U6に対して設けられている。各ウェブパスユニットD1,D2は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWを縦(ウェブWの天地長手方向、ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWにおける天地長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータなどを有している。
【0041】
即ち、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
【0042】
折機Fにて、2つの折ユニットF1,F2は、操作側と駆動側に配設されている。即ち、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。この場合、折機Fでは、折ユニットF1,F2が各ウェブパスユニットD1,D2からのウェブW1,W2を処理するだけでなく、各折ユニットF1,F2の一方がまとめて処理することもできる。
【0043】
従って、新聞用オフセット輪転印刷機では、給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R7からそれぞれ供給された各ウェブWは、インフィード装置Iの各インフィードユニットI1〜I7によりテンションが調整され、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U6に供給される。この印刷装置Uにおける各印刷ユニットU1〜U6にて、各ウェブWの両面に印刷が施される。そして、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
【0044】
その後、折機Fでは、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。
【0045】
ここで、印刷装置Uにおける印刷ユニットU1について詳細に説明する。印刷ユニットU1は、
図8に示すように、4色印刷が可能となるように、H型のタワーユニットとなっている。この印刷ユニットU1は、ウェブWの搬送方向(下から上)に沿って、墨(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)ごとの4つのスタック21,22,23,24が配置されて構成されており、各スタック21,22,23,24は、それぞれ左右対称となるローラ配列となっている。
【0046】
即ち、印刷ユニットU1における各スタック21,22,23,24は、左右に対向してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがウェブWの搬送経路を挟んで対接可能であり、各ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bが対接している。そして、各スタック21,22,23,24は、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが設けられている。また、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、湿し装置61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bが設けられている。
【0047】
この場合、スタック21,23は、ブランケット胴31a,31b,33a,33bと版胴41a,41b,43a,43bがハの字形状に配列され、スタック22,24は、ブランケット胴32a,32b,34a,34bと版胴42a,42b,44a,44bが逆ハの字形状に配列されている。そして、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bにて、外周面に異なる絵柄を印刷する刷版(図示略)が軸方向、つまり、ウェブWの幅方向に2つ(または、4つ)並べて装着可能となっている。なお、刷版の取付数は適宜設定すればよい。
【0048】
なお、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bは、一般的に、インキつぼ、インキ元ローラ、インキ受渡しローラ、複数のインキ練ローラ、複数のインキ往復ローラ、複数のインキ着ローラなどにより構成され、インキつぼが本発明のインキ供給源であり、インキ元ローラとインキ受渡しローラと複数のインキ練ローラと複数のインキ往復ローラと複数のインキ着ローラが本発明のインキ供給ローラである。
【0049】
以下、印刷ユニットU1におけるブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bについて説明する。なお、各ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、ほぼ同様の構成をなすことからブランケット胴31aについてのみ詳細に説明する。
【0050】
図1は、本実施形態のブランケット胴を表す正面図、
図2は、ブランケット胴を表す側面図、
図3は、ブランケットの装着状態を表す
図1のIII−III断面図、
図4は、ブランケットの装着方法を表す断面図、
図5は、
図1のV−V断面図、
図6は、
図1のVI−VI断面図である。
【0051】
ブランケット胴31aは、
図1から
図3に示すように、胴本体101と、ブランケット102と、ブランケット締め付け装置103とを有している。
【0052】
胴本体101は、所定長さを有する円柱形状をなし、軸方向端部に設けられた支持軸111,112が図示しない印刷機フレームに軸受を介して回転自在に支持されている。ブランケット102は、版胴から供給された印刷画像(インキ)をウェブ(印刷媒体)に転写するものであり、所定の大きさを有する金属プレートからなるブランケットシート201と、このブランケットシート201の表面に貼り付けられたゴムシート202とから構成されている。このブランケット102は、ブランケットシート201における長手方向の端部が内側に折曲されることで、咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204が形成されている。
【0053】
ブランケット締め付け装置103は、胴本体101の外周面に巻き付けられたブランケット102の端部、つまり、咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を締め付けることで、ブランケット102を胴本体101に装着するものである。
【0054】
胴本体101は、回転中心より外周部側に寄って開口部としての円形断面形状をなす収容孔113が胴本体101の軸心方向に沿って形成され、軸方向における各端部が胴本体101の端部にそれぞれ開口している。この収容孔113は、中心O1を有するものであり、胴本体101の軸心方向に沿う溝部114を通して胴本体101の外方に開放されている。収容孔113は、開口部壁面となるカム面115が形成されている。このカム面115は、平面であり、外側端部が溝部114に連続し、内側端部が収容孔113の円弧面に連続している。また、カム面115に対向して傾斜面116が形成されている。この傾斜面116は、平面であり、外側端部が溝部114に連続し、内側端部が収容孔113の円弧面に連続している。そのため、収容孔113は、その幅(胴本体101における周方向の隙間の長さ)が、狭い溝部114からカム面115と傾斜面116により内部に向けて拡大している。
【0055】
胴本体101は、収容孔113内にテンションバー117が配置されている。このテンションバー117は、円柱形状をなし、外径が収容孔113の内径より小径であり、各端部が胴本体101の端部に回転自在に支持されている。テンションバー117は、胴本体101の収容孔113内で中心O2をもって回動可能であり、収容孔113の中心O1に対して偏心位置に配置されている。
【0056】
テンションバー117は、第1押圧バー118と第2押圧バー119が設けられている。即ち、テンションバー117は、切欠部120が形成され、この切欠部120に第1押圧バー118と第2押圧バー119が収容されている。第1押圧バー118は、テンションバー117の軸方向に沿い、基端部が切欠部120の底部に密着し、複数の固定ボルト121によりテンションバー117に固定されている。第2押圧バー119は、テンションバー117の軸方向に沿い、基端部が切欠部120の底部に密着し、複数の固定ボルト122によりテンションバー117に固定されている。
【0057】
第1押圧バー118と第2押圧バー119は、切欠部120内で所定隙間をもって配置されることで、両者の間にスリット123が形成されている。このスリット123の幅(第1押圧バー118と第2押圧バー119の距離)は、例えば、固定ボルト121を回動して調整することかできる。この場合、スリット123は、ブランケット102の咥え尻側端部プレート204を挿入可能であり、適正幅に調整される。
【0058】
第1押圧バー118は、先端部にブランケット102の咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を重ねてカム面115に押圧可能な第1押圧部124が設けられている。一方、第2押圧バー119は、先端部にブランケット102の咥え側端部プレート203だけをカム面115に押圧可能な第2押圧部125が設けられている。
【0059】
第1押圧部124及び第2押圧部125は、テンションバー117の外周面から外方に突出する突出部であり、テンションバー117が回動することで、カム面115に対し接近離反自在となっている。即ち、第1押圧部124及び第2押圧部125がカム面115に接近する方向にテンションバー117が回動するとき、この回動方向の上流側に第1押圧部124が位置し、下流側に第2押圧部125が位置している。そのため、テンションバー117が回動すると、第2押圧部125が咥え側端部プレート203だけをカム面115に押圧し、第1押圧部124が咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を重ねてカム面115に押圧する。
【0060】
また、ブランケット102は、咥え尻側端部プレート204の途中が内側に折曲される折曲部205が形成されている。そのため、咥え尻側端部プレート204は、先端部がスリット123に挿入された状態でテンションバー117が回動すると、第1押圧部124が折曲部205の内側に接触して引き込んだ後、咥え尻側端部プレート204と咥え側端部プレート203とを重ねてカム面115に押圧する。
【0061】
テンションバー117は、第1押圧部124と第2押圧部125がカム面115に接近する方向に付勢する付勢部材が設けられている。即ち、テンションバー117は、軸方向における各端部に回動プレート131,132が固定されている。一方、胴本体101は、軸方向における各端部に回動体133,134が回動自在に設けられている。回動レバー135,136は、一端部が回動プレート131,132に回動自在に連結され、他端部が回動体133,134に軸方向に移動自在に連結されている。そして、回動レバー135,136と回動体133,134との間に圧縮コイルばね(付勢部材)137,138が張設されている。また、胴本体101は軸方向における各端部に回動プレート131,132のストッパ139,140が固定されている。
【0062】
そのため、テンションバー117は、圧縮コイルばね137,138の付勢力により、
図2にて反時計回り方向に付勢されており、回動プレート131,132の端部がストッパ139,140に当接することで位置決めされている。このとき、第2押圧部125が咥え側端部プレート203だけをカム面115に押圧し、第1押圧部124が咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を重ねてカム面115に押圧している。そして、工具141を回動プレート131,132に係止し、この回動プレート131,132を圧縮コイルばね137,138の付勢力に抗して、
図2にて時計回り方向に回動すると、テンションバー117を同方向に回動し、第2押圧部125と第1押圧部124がカム面115から離間し、咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204の押圧を解除することができる。
【0063】
胴本体101は、テンションバー117における径方向への変形を規制する規制部材が設けられている。本実施形態にて、この規制部材は、テンションバー117の外周面を回動自在に支持する支持部材151と、テンションバー117における変形側への移動を阻止する複数の阻止部材152,153から構成されている。即ち、
図1及び
図5に示すように、胴本体101は、外周面側から収容孔113に交差するように支持孔154が形成されており、支持部材151は、外側からこの支持孔154に嵌合し、固定されている。支持部材151は、テンションバー117の下円弧部分が嵌合する嵌合切欠155が形成されている。この嵌合切欠155は、約270度の円弧面を有し、テンションバー117の外周面の全領域における約70%に接触している。そのため、支持部材151は、テンションバー117における胴本体101の外周側への変形を規制することができる。
【0064】
また、
図1及び
図6に示すように、胴本体101は、外周面側から収容孔113に交差するようにねじ孔156,157が形成されており、ねじ孔156,157は、収容孔113の周方向にずれて形成されている。阻止部材152,153は、ねじ部材であり、外側からこのねじ孔156,157に螺合し、固定されている。阻止部材152,153は、先端部がテンションバー117の外周面に当接している。そのため、阻止部材152,153は、テンションバー117における胴本体101の外周側への変形を規制することができる。
【0065】
以下、ブランケット締め付け装置103を用いた胴本体101へのブランケット102の装着作業について説明する。
【0066】
図2に示すように、工具141を回動プレート131,132に係止し、この回動プレート131,132を圧縮コイルばね137,138の付勢力に抗して、
図2にて時計回り方向に回動する。すると、テンションバー117を同方向に回動し、
図4に示すように、第2押圧部125と第1押圧部124がカム面115から離間し、スリット123が溝部114側を向く。ここで、ブランケット102の咥え側端部プレート203を溝部114から収容孔113内に挿入し、カム面115側に沿わせる。その後、工具141によるテンションバー117の保持を解除すると、テンションバー117は、圧縮コイルばね137,138の付勢力により、
図4にて反時計回り方向に回動し、第2押圧部125の第2押圧面125aが咥え側端部プレート203だけをカム面115に押圧して保持する。
【0067】
そして、ブランケット102における咥え側端部プレート203がテンションバー117に支持された状態で、胴本体101(ブランケット胴31a)を
図4にて時計回り方向に回転すると、ブランケット102が胴本体101の外周部に巻き付けられていく。
【0068】
ブランケット102が胴本体101の外周部に巻き付けられると、再び、
図2に示すように、工具141を回動プレート131,132に係止し、この回動プレート131,132を圧縮コイルばね137,138の付勢力に抗して、
図2にて時計回り方向に回動する。すると、テンションバー117を同方向に回動し、
図4に示すように、第2押圧部125と第1押圧部124がカム面115から離間し、スリット123が溝部114側を向く。ここで、ブランケット102の咥え尻側端部プレート204を溝部114から収容孔113内に挿入し、スリット123に挿入する。このとき、咥え尻側端部プレート204は、事前に折曲部205が設けられていることから、スリット123に容易に挿入することができる。
【0069】
その後、工具141によるテンションバー117の保持を解除すると、テンションバー117は、圧縮コイルばね137,138の付勢力により、
図4にて反時計回り方向に回動する。すると、
図3に示すように、まず、第2押圧部125の第2押圧面125aが咥え側端部プレート203だけをカム面115に押圧して保持する。次に、第1押圧部124の第1押圧面124aが咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を重ねてカム面115に押圧して保持する。このとき、ブランケット102は、咥え側端部プレート203がカム面115から離間する方向への弾性力が作用し、咥え尻側端部プレート204がカム面115に接近する方向への弾性力が作用する。そのため、咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204は、互いに接近する方向に弾性力が作用することから、各端部プレート203,204が各押圧部124,125から抜けにくくなり、ブランケット102が適正に支持される。
【0070】
このように本実施形態のブランケット締め付け装置にあっては、ブランケット胴31aの収容孔113内で回動自在に支持されるテンションバー117と、テンションバー117に設けられてブランケット102の咥え尻側端部プレート204を挿入可能なスリット123と、テンションバー117に設けられてブランケット102の咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を重ねてカム面115に押圧する第1押圧部124と、テンションバー117を第1押圧部124がカム面115に接近する方向に付勢する圧縮コイルばね137,138とを設けている。
【0071】
従って、ブランケット102の咥え尻側端部プレート204をスリット123に挿入し、テンションバー117を圧縮コイルばね137,138の付勢力により回動すると、第1押圧部124がブランケット102の咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を重ねてカム面115に押圧することとなり、ブランケット102を適正にブランケット胴31aに装着することができ、信頼性を向上することができる。
【0072】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、ブランケット102の咥え尻側端部プレート204に内側へ折曲する折曲部205を設け、第1押圧部124は、この折曲部205をブランケット102の咥え側端部プレート203に重ねて内側からカム面115に押圧している。従って、ブランケット102は、咥え側端部プレート203の反力と咥え尻側端部プレート204の反力が逆方向、つまり、咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204が接近する方向に作用することから、第1押圧部124によりブランケット102の各端部プレート203,204を強固に支持することができる。
【0073】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、第1押圧部124をテンションバー117の外周面から外方に突出する突出部とし、カム面115を平面としている。従って、テンションバー117が回動することで、第1押圧部124としての突出部が平面のカム面115に押圧してブランケット102の咥え側端部プレート203と咥え尻側端部プレート204を強固に押圧することとなり、簡単な構成で適正にブランケット102の各端部プレート203,204を支持することができる。
【0074】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、テンションバー117にブランケット102の咥え側端部プレート203だけをカム面115に押圧する第2押圧部125を設けている。従って、第1押圧部124だけでなく、第2押圧部125がブランケット102の咥え側端部プレート203を押圧することとなり、ブランケット102の締め付け作業の信頼性を向上することができる。
【0075】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、テンションバー117における径方向への変形を規制する規制部材として支持部材151と阻止部材152,153を設けている。ブランケット胴31aが単胴であると、このブランケット胴31aが高速回転するとき、テンションバー117における軸方向の中間部が遠心力によりブランケット胴31aの外側に撓むように変形する。しかし、規制部材が設けられていることで、テンションバー117における径方向への変形が規制され、ブランケット胴31aやテンションバー117の小型化を可能とすることができる。
【0076】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、規制部材として、テンションバー117の外周面を回動自在に支持する支持部材151を設けている。従って、支持部材151がテンションバー117の外周面を回動自在に支持することで、テンションバー117の作動に支障をきたすことなく、径方向への変形を規制することができる。
【0077】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、規制部材として、テンションバー117における変形側への移動を阻止する阻止部材152,153を設けている。従って、阻止部材152,153によりテンションバー117における変形側への移動を阻止することができ、構造を簡素化することができる。
【0078】
本実施形態のブランケット締め付け装置では、収容孔113を円形孔とし、円柱形状をなすテンションバー117を偏心位置に配置している。従って、第1押圧部124や第2押圧部125が突出部であるとき、テンションバー117を収容孔113と同心位置ではなく、偏心位置に配置することで、テンションバー117を収容孔113内に効率的に収容することができ、収容孔113を小型化することができ、その結果、ブランケット胴31aの剛性を高めることができる。
【0079】
また、本実施形態のブランケット胴にあっては、円柱形状をなす胴本体101の外周面にブランケット102を装着可能とし、胴本体101の内部にブランケット締め付け装置103を設けている。従って、ブランケット102を適正に胴本体101に装着することができ、ブランケット胴31aの信頼性を向上することができる。
【0080】
また、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機にあっては、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴により構成し、ブランケット胴の内部にブランケット締め付け装置103を設けている。従って、ブランケット102を適正に胴本体101に装着することができ、ブランケット胴31aの信頼性を向上することができ、印刷機の信頼性を向上することができる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、テンションバー117に対して第1押圧バー118と第2押圧バー119を別体としたが、突出部として一体に形成してもよい。また、テンションバー117に第1押圧バー118と第2押圧バー119を設けたが、第1押圧バー118だけとしてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、ブランケット胴を単胴として版胴と同径としたが、ブランケット胴を倍胴として版胴に対して複数倍の径としてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、本発明の印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用オフセット輪転印刷機やオフセット枚葉印刷機などに適用してもよい。更に、本実施形態では、版胴を有する印刷機としたが、ブランケット胴を有するバリアブル印刷機であってもよく、編集システムなどで作成したデータをそのまま受け取って印刷可能なデジタル印刷機であればよく、インクジェット式や電子写真方式などでもよい。この場合、両面印刷機であっても、片面印刷機であってもよい。