(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体を一時的に貯留可能な貯留空間が、前記第1区画体にて区画される第1貯留空間、前記第2区画体にて区画される第2貯留空間、前記第3区画体にて区画される第3貯留空間として、前記第1貯留空間と前記第2貯留区間と前記第3貯留空間とを連通する状態で設けられ、
前記吸収液通流室は、その下方側にて前記貯留空間に連通接続されている請求項2又は3に記載の吸収式冷凍機。
前記第1積層体は、前記第1外板と前記第1区画体との間、又は、前記第3区画体と前記第2外板との間に、追加区画体及び追加伝熱板とから成る単位追加体を追加して積層自在に構成され、
前記追加区画体と前記追加伝熱板と前記第1外板、又は、前記追加区画体と前記追加伝熱板と前記第2外板は、追加流体通流室を形成自在に構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収式冷凍機。
前記第1積層体は、前記第1外板、前記第1区画体、前記第1伝熱板、前記第2区画体、前記第2伝熱板、前記第3区画体、前記第2外板をロウ付けにより互いを接着させて製造され、前記吸収器と前記蒸発器と前記凝縮器として働く第1単位モジュールである請求項1〜5の何れか一項に記載の吸収式冷凍機。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る吸収式冷凍機の実施形態について図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
当該第1実施形態に係る吸収式冷凍機は、吸収材を臭化リチウム水溶液とし、冷媒を水とした二重効用吸収式冷凍機100にて構成されている。当該二重効用吸収式冷凍機100は、再生器1として、バーナ2により冷媒Aと吸収材との混合液である吸収液Kを加熱する高温再生器3とその高温再生器3から供給される吸収液K2を高温再生器3からの冷媒蒸気A1により加熱する低温再生器4とを備えている。そして、二重効用吸収式冷凍機100は、冷媒蒸気A1を凝縮させる凝縮器5と、その凝縮器5からの冷媒液A2を蒸発させる蒸発器6と、その蒸発器6からの冷媒蒸気A1を低温再生器4からの吸収液K3に吸収させる吸収器7とを備えている。
【0021】
吸収液Kが通流する流路として、吸収器7から高温再生器3へ吸収液K1(低濃度の吸収液)を供給する第1溶液流路R1と、高温再生器3から低温再生器4へ吸収液K2(中濃度の吸収液)を供給する第2溶液流路R2と、低温再生器4から吸収器7へ吸収液K3(高濃度の吸収液)を供給する第3溶液流路R3と、第1溶液流路R1の吸収液K1を第2溶液流路R2の吸収液K2に合流させる第4溶液流路R4とが備えられている。
【0022】
冷媒Aが通流する流路として、低温再生器4にて発生された冷媒蒸気A1を凝縮器5に供給する第1冷媒流路S1と、凝縮器5にて凝縮された冷媒液A2を蒸発器6に供給する第2冷媒流路S2と、蒸発器6にて蒸発された冷媒蒸気A1を吸収器7に供給する第3冷媒流路S3と、低温再生器4からの冷媒液A2を第2冷媒流路S2の冷媒液A2に合流させる第4冷媒流路S4と、蒸発器6の冷媒液A2を第1溶液流路R1の吸収液K1に合流させる第5冷媒流路S5とが備えられている。
【0023】
冷却用流体としての冷却水Bが通流する流路として、吸収器7に冷却水Bを供給して吸収器7内を通流させた後、凝縮器5に冷却水Bを供給して凝縮器5内を通流させる冷却水流路Cが備えられている。また、冷房等に用いる冷却用水Eが通流する流路として、蒸発器6に冷却用水Eを供給して蒸発器6内を通流させた後、冷却用水Eを冷房等に用いる箇所に供給する冷却用水流路Fが備えられている。
【0024】
第1溶液流路R1には、吸収液K1の通流方向の上流側から順に、低温再生器4から流出した第3溶液流路R3の吸収液K3にて第1溶液流路R1の吸収液K1を加熱する低温溶液熱交換器8と、高温再生器3から流出した第2溶液流路R2の吸収液K2にて第1溶液流路R1の吸収液K1を加熱する高温溶液熱交換器9とが備えられている。第4溶液流路R4には、低温再生器4から流出した冷媒液A2にて第4溶液流路R4の吸収液K1を加熱する冷媒熱交換器10が備えられている。
【0025】
第1溶液流路R1において、吸収器7と第4溶液流路R4との接続箇所との間の部位に溶液ポンプP1が備えられている。
【0026】
第2溶液流路R2において高温溶液熱交換器9と第4溶液流路R4との接続箇所との間の部位、第3溶液流路R3において低温溶液熱交換器8と吸収器7との間の部位、第4溶液流路R4において冷媒熱交換器10と第2溶液流路R2との接続箇所との間の部位、第2冷媒流路S2において凝縮器5と第4冷媒流路S4との接続箇所との間の部位、及び、第4冷媒流路S4において冷媒熱交換器10と第5冷媒流路S5との接続箇所との間の部位の夫々には、制限抵抗となる第1〜第5膨張弁D1〜D5の夫々が備えられている。外部に設置することも可能であるが、抵抗を固定してもよい場合は内部に設置することが可能である。本実施形態では固定抵抗とし、内部に設けている。
【0027】
第1実施形態における二重効用吸収式冷凍機100の動作について説明する。
まず、冷媒Aの流れについて説明する。
高温再生器3にて吸収液K1から発生した冷媒蒸気A1を加熱源として低温再生器4にて吸収液K2から発生した冷媒蒸気A1を、第1冷媒流路S1により凝縮器5に供給して、凝縮器5において冷媒蒸気A1を凝縮させる。凝縮器5にて凝縮された冷媒液A2を、第2冷媒流路S2により蒸発器6に供給すると共に、蒸発器6内の冷媒液A2は第5冷媒流路S5により第1溶液流路R1の吸収液K1に混合させる。また、低温再生器4からの冷媒液A2も第4冷媒流路S4により蒸発器6に供給されており、その冷媒液A2も蒸発器6において蒸発される。そして、蒸発器6にて蒸発された冷媒蒸気A1を、第3冷媒流路S3により吸収器7に供給し、吸収器7において冷媒蒸気A1が吸収液に吸収させる形態で、吸収器7と蒸発器6の内部を十分に低圧の状態を維持する。
【0028】
次に、吸収液Kの流れについて説明する。
吸収器7にて冷媒蒸気A1が吸収液に吸収された吸収液K1を、蒸発器6からの冷媒液A2を混合した状態で、第1溶液流路R1により高温再生器3に供給している。このとき、第1溶液流路R1
では、低温溶液熱交換器8と高温溶液熱交換器
9とにより順次吸収液K1を加熱して、その加熱した吸収液K1を高温再生器3に供給している。高温再生器3においてバーナ2により吸収液K1を加熱して、吸収液K1から冷媒蒸気A1を発生させる。高温再生器3にて冷媒蒸気A1が発生された吸収液K2を第2溶液流路R2により低温再生器4に供給している。このとき、第4溶液流路R4にて供給される吸収液K1も合流させて、合流後の吸収液K4を低温再生器4に供給している。低温再生器4において高温再生器3から供給される高温の冷媒蒸気A1にて吸収液K4を加熱して、吸収液K4から冷媒蒸気A1を発生させる。低温再生器4にて冷媒蒸気A1が発生された吸収液K3を第3溶液流路R3によって吸収器7に供給する。
【0029】
このように、二重効用吸収式冷凍機100は、高温再生器3、低温再生器4、凝縮器5、蒸発器6、吸収器7、低温溶液熱交換器8、高温溶液熱交換器9、及び、冷媒熱交換器10の複数の機器を備えて構成されている。
当該第1実施形態では、二重効用吸収式冷凍機100を構成する複数の機器のうち、高温再生器3を除く複数の機器、及び、それら複数の機器を接続する流路等が、
図1、2、3等に示すように、第1積層体11と第2積層体12の2つの積層体から構成されている。
【0030】
以下、
図2〜4に基づいて、第1積層体11及び第2積層体12の構成について説明する。
【0031】
図2、4に示すように、第1積層体11は、第1外板18、第1区画体19、第1伝熱板20、第2区画体21、第2伝熱板22、第3区画体36、第2外板37を順に積層して構成されている。第1積層体11は、第1外板18、第1区画体19、第1伝熱板20、第2区画体21、第2伝熱板22、第3区画体36、第2外板37の夫々が、平面視(
図2でZ方向視)で長方形状に形成されており、その厚みが薄い薄型に形成されている。そして、第1積層体11は
、第1外板18、第1区画体19、第1伝熱板20、第2区画体21、第2伝熱板22、第3区画体36、第2外板37を順に積層してロウ付けにより互いに接着させて、第1単位モジュールとして製造される。
【0032】
図3に示すように、第2積層体12も、第1積層体11と同様に、第3外板13、第4区画体14、第3伝熱板15、第5区画体16、第4外板17を順に積層して構成されている。第3外板13、第4区画体14、第3伝熱板15、第5区画体16、第4外板17の夫々が、平面視(
図3でZ方向視)で長方形状に形成されており、その厚みが薄い薄型に形成されている。そして、第2積層体12は、第3外板13、第4区画体14、第3伝熱板15、第5区画体16、第4外板17を順に積層してロウ付けにより互いを接着させて、第2単位モジュールとして製造される。
【0033】
第1積層体11及び第2積層体12は、第1伝熱板20、第2伝熱板22、及び第3伝熱板15の長手方向(
図2、3で、矢印Xに沿う方向)を第1積層体11及び第2積層体12の上下方向とし、且つ、第1伝熱板20、第2伝熱板22、及び第3伝熱板15の短手方向(
図2、3で矢印Yに沿う方向)を第1積層体11及び第2積層体12の左右方向として縦長形状に形成されている。ここで、以下、第1伝熱板20、第2伝熱板22、及び第3伝熱板15の長手方向を「第1積層体11及び第2積層体12の上下方向」とし、第1伝熱板20、第2伝熱板22、及び第3伝熱板15の短手方向を「第1積層体11及び第2積層体12の左右方向」として説明する。
【0034】
図2、4に示すように、第1積層体11における第1区画体19、第2区画体21、第3区画体36は、第1外板18と第1伝熱板20の間の空間、第1伝熱板20と第2伝熱板22の間の空間、及び第2伝熱板22と第2外板の間の空間を複数の空間に区切る枠体にて構成されており、その枠体にて区切られた空間を第1流体通流室27、第2流体通流室28、及び第3流体通流室39として区画形成している。第1区画体19、第2区画体21、及び第3区画体36にて形成される複数の第1流体通流室27、第2流体通流室28、及び第3流体通流室39の夫々には、その内部の流体の流れ方向(
図2で黒矢印で示す方向:ただし第2流体通流室28には紙面の都合上、黒矢印を図示していない)に伝熱面が沿う状態で伝熱フィン(図示せず)が備えられている。ここで、伝熱フィンの形状については、各種の形状が適用可能であり、例えば、波形形状としたり、フィンピッチを変更させたオフセットフィンとしたり、コルゲートフィンとすることができ、また、適用箇所によって使用を変えてもよい。
【0035】
図3に示すように、第2積層体12における第4区画体14及び第5区画体16も、第1積層体11の第1区画体19、第2区画体21、及び第3区画体36と同様に、第2外板37と第3伝熱板15との間の空間、及び第3伝熱板15と第4外板17との間の空間を複数の空間に区切る枠体にて構成されており、その枠体にて区切られた空間を、記載の順に第4流体通流室25、第5流体通流室26として区画形成している。図示は省略するが、第4流体通流室25、及び第5流体通流室26内の夫々にも、流体の流れ方向(
図3で矢印に沿う方向)に伝熱面を沿わせる状態で、伝熱フィンが備えられている。
【0036】
図2、4に示すように、第1積層体11において、第1区画体19により第1外板18と第1伝熱板20との間に複数の第1流体通流室27a、27bが第1伝熱板20に沿う方向で並ぶ形態で区画形成されている。
また、第1積層体11において、第2区画体21によって第1伝熱板20と第2伝熱板22との間に複数の第2流体通流室28a〜28cが区画形成されており、一部の第2流体通流室28a、28bは、第1伝熱板20に沿う方向で並ぶ形態で設けられている。また、第2区画体21には、積層方向(
図2、4で矢印Zに沿う方向)で第1伝熱板20側と第2伝熱板22側との間を遮蔽する遮蔽板40が設けられており、当該遮蔽板40を挟んで積層方向で対向する状態で、第2流体通流室28bと第2流体通流室28cとが設けられている。
ここで、第1区画体19にて区画形成される複数の第1流体通流室27a、27bは、第1伝熱板20を挟む形態で、第2区画体21にて区画形成される複数の第2流体通流室28a、28bと対向する状態で区画形成されている。即ち、第1伝熱板20を挟んで対向する状態で設けられる第1流体通流室27aと第2流体通流室28aを一組とし、第1流体通流室27bと第2流体通流室28bとを一組とする第1対向室モジュール30が、第1伝熱板20に沿う方向に並ぶ形態で複数(第1実施形態では、2つ)形成されている。ここで、第1伝熱板20に沿う方向とは、第1伝熱板20の表面に沿った方向で、例えば、
図2、4で、矢印X及び矢印Yに沿う方向である。
【0037】
更に、第1積層体11は、第3区画体36により第2伝熱板22と第2外板37との間に複数の第3流体通流室39a、39bが第2伝熱板22に沿う方向で並ぶ形態で区画形成されている。
ここで、第3区画体36にて区画形成される複数の第3流体通流室39a、39bは、第2伝熱板22を挟む形態で、第2区画体21にて区画形成される複数の第2流体通流室28a、28
cと対向する状態で区画形成されている。即ち、第
2伝熱板
22を挟んで対向する状態で設けられる第3流体通流室39aと第2流体通流室28aとを一組とし、第3流体通流室39bと第2流体通流室28
cとを一組とする第2対向室モジュール42が、第2伝熱板22に沿う方向に並ぶ形態で複数(第1実施形態では、2つ)形成されている。ここで、第2伝熱板22に沿う方向とは、第2伝熱板22の方面に沿った方向で、例えば、
図2、4で、矢印X及び矢印Yに沿う方向である。
【0038】
図3に示すように、第2積層体12において、第4区画体14によって第3外板13と第3伝熱板15との間に複数の第4流体通流室25a〜25dが第3伝熱板15に沿う方向で並ぶ形態で区画形成されている。また、第2積層体12において、第5区画体16によって第4外板17と第3伝熱板15との間に複数の第5流体通流室26a〜26dが第3伝熱板15に沿う方向で並ぶ形態で区画形成されている。複数の第4流体通流室25a〜25dの夫々と複数の第5流体通流室26a〜26dの夫々は、第3伝熱板15を挟んで対向する位置に設けられている。即ち、第3伝熱板15を挟んで対向位置する第4流体通流室25と第5流体通流室26との2つの流体通流室を1組とする第3対向室モジュール29が第3伝熱板15に沿う方向で並ぶ形態で複数(当該第1実施形態では4つ)形成されている。ここで、第3伝熱板15に沿う方向とは、第3伝熱板15の表面に沿った方向で、例えば、
図3中X方向及びY方向としている。
【0039】
第1積層体11及び第2積層体12には、第1流体通流室27、第2流体通流室28、第3流体通流室39、第4流体通流室25、及び第5流体通流室26に対して流体を流入可能な流入部31、及び、それらから流体を排出可能な排出部32が備えられている。流入部31及び排出部32は、区画体や外板を貫通する管通孔を形成することで、第1流体通流室27、第2流体通流室28、第3流体通流室39、第4流体通流室25、及び第5流体通流室26の夫々に流体を流入可能及び排出可能に構成されている。
【0040】
第1積層体11の第1対向室モジュール30を、凝縮器5、及び蒸発器6として機能させると共に、第1積層体11の第2対向室モジュール42が、凝縮器5
、及び吸収器7として機能させるように構成されている。また、第2積層体12の第3対向室モジュール29が、低温再生器4、高温溶液熱交換器9、及び低温溶液熱交換器8として機能させる。具体的には、第1積層体11では、
図2、4に示すように、凝縮器5が、第1対向室モジュール30a及び第2対向室モジュール42aにて構成されており、蒸発器6が第1対向室モジュール30bにて構成されている。第2積層体12では、
図3に示すように、低温再生器4が第3対向室モジュール29aにて構成されており、冷媒熱交換器10が第3対向室モジュール29bにて構成されており、低温溶液熱交換器8が第3対向室モジュール29cにて構成されており、高温溶液熱交換器9が第3対向室モジュール29dにて構成されている。
【0041】
図2、4に示すように、第1積層体11では、第1対向室モジュール30aと第2対向室モジュール42aとが、第2流体通流室28aを共通とする状態で、その上方側に配置されている。また、第1対向室モジュール30bと第2対向室モジュール42bとが、遮蔽板40を挟んで対向する状態で下方側に配置されている。これにより、第1対向室モジュール30a及び第2対向室モジュール42aにて構成される凝縮器5を上方側に配置し、第1対向室モジュール30bにて構成される蒸発器6と、第2対向室モジュール42bにて構成される吸収器7とを、遮蔽板40を挟んで対向する状態で下方側に配置している。
【0042】
図3に示すように、第2積層体12では、第3対向室モジュール29aが上方側に配置されており、3つの第3対向室モジュール29b〜29dが下方側に配置されている。3つの第3対向室モジュール29b〜29dは、右側(
図3で矢印Yの先端側)から順に、第3対向室モジュール29b、第3対向室モジュール29c、第3対向室モジュール29dに配置されている。これにより、第3対向室モジュール29aにて構成される低温再生器4を上方側に配置し、第3対向室モジュール29bにて構成される冷媒熱交換器10を右下方側に配置し、第3対向室モジュール29cにて構成される低温溶液熱交換器8を下方中央部に配置し、第3対向室モジュール29dにて構成される高温溶液熱交換器9を左下方側に配置している。
【0043】
図2に示すように、第1積層体11には、第1区画体19にて区画形成される第1流体通流室27と第2区画体21にて区画形成される第2流体通流室28と、第3区画体36にて区画形成される第3流体通流室39とを連通させるための複数の連通室33が設けられている。
【0044】
第1区画体19において上方側に位置する第1流体通流室27aの下方側に、横長状の第6連通室33fが区画形成されている。当該第6連通室33fは、第1伝熱板20に形成される複数の第2貫通部34bを通して、第2区画体21において上下方向(
図2で矢印Xに沿う方向)で中央側で積層方向(
図2で矢印Zに沿う方向)で第1伝熱板20側に形成される第2流体通流室28bの上部に連通されている。
【0045】
第3区画体36において上方側に位置する第3流体通流室39aの下方側に、横長状の第7連通室33gが区画形成されている。当該第7連通室33gは、第2伝熱板22に形成される複数の第3貫通部34cを通して、第2区画体21において上下方向(
図2で矢印Xに沿う方向)で中央側で積層方向(
図2で矢印Zに沿う方向)で第2伝熱板22側に形成される第2流体通流室28cの上部に連通されている。
【0046】
第2区画体21において、上下方向(
図2で矢印Xに沿う方向)で中央側で、遮蔽板40を挟んで積層方向(
図2で矢印Zに沿う方向)で対向位置に配設される第2流体通流室28bと第2流体通流室28cとの左右方向(
図2で矢印Yに沿う方向)で両側方部位に一対の連通路として第8連通室33hと第9連通室33iとが設けられている。当該第8連通室33hと第9連通室33iとは、上下方向で、第2流体通流室28bと第2流体通流室28cとに沿って延びるスリット状に形成されている。
更に、積層方向において、第8連通室33hと第9連通室33iとの対向部位には、第1伝熱板20及び第2伝熱板22が設けられていないと共に、第1区画体19には第10連通室33j及び第11連通室33kが夫々設けられ、第3区画体36には第12連通室33l及び第13連通室33mが夫々設けられている。
【0047】
第3区画体36において、上方側に設けられる第3流体通流室39aと中央側に設けられる第3流体通流室39bとを繋ぐ第14連通室33nが設けられると共に、第1区画体19において、上方側に設けられる第1流体通流室27aに繋がる第15連通室33oが設けられている。当該第14連通室33nは、第2伝熱板22に設けられる第3開口部35c、第2区画体21に設けられる第4開口部35d、及び第1伝熱板20に設けられる第5開口部35fを通して、第15連通室33oに連通されている。
【0048】
第2区画体21において、遮蔽板40を挟む状態で対向位置する第2流体通流室28bと第2流体通流室28cとの下方側には、遮蔽板40が設けられていない部位で、第2流体通流室28bと第2流体通流室28cとに連通接続する第2貯留空間41cが設けられている。
第1区画体19においても、上下方向(
図2で矢印Xに沿う方向)で中央の第1流体通流室27bの下方側に第1貯留空間41eが設けられ、第3区画体36においても、上下方向で中央の第3流体通流室39bの下方側に第3貯留空間41aが設けられている。第1伝熱板20には、第1貯留空間41e及び第2貯留空間41cに対向する位置に第6開口部35gが設けられると共に、第2伝熱板22には、第2貯留空間41c及び第3貯留空間41aに対向する位置に第7開口部35hが設けられている。これにより、第1貯留空間41eと第2貯留空間41cと第3貯留空間41aとを連通接続する状態で、一次的に流体を貯留可能な貯留空間が形成されている。
【0049】
第2積層体12では、
図3に示すように、第4区画体14にて区画形成される第4流体通流室25と第5区画体16にて区画形成される第5流体通流室26との間で、流体の行き来がないように第3伝熱板15で区切るだけでなく、第4区画体14にて区画形成される第4流体通流室25と第5区画体16にて区画形成される第5流体通流室26とを連通するための連通室33が複数
設けられている。
図3に示すように、第4区画体14には、第4区画体14において上方側に位置する第4流体通流室25aの上方側に、横長状の第1連通室33aが区画形成されている。この第1連通室33aは、第3伝熱板15に形成された複数の第1貫通部34aを通して、第5区画体16において上方側に位置する第5流体通流室26aの上端部に連通されている。そして、第1連通室33aは、第4区画体14によって、左下方側に位置する第4流体通流室25dに連通されている。
第4区画体14には、第4区画体14において上方側に位置する第4流体通流室25aの下方側に、横長状の第2連通室33bが区画形成されている。この第2連通室33bは、第3伝熱板15に形成された横長状の第1開口部35aを通して、第5区画体16において上方側に位置する第5流体通流室26aの下方側部に連通されている。そして、第2連通室33bは、第4区画体14によって、下方中央部に位置する第4流体通流室25cに連通されている。
【0050】
また、第2積層体12では、第4区画体14において左下方側に位置する第4流体通流室25dと第5区画体16において右下方側に位置する第5流体通流室26bとを連通するために、第4区画体14により区画形成された横長状の第3連通室33c、第3伝熱板15に形成された第2開口部35b、第5区画体16により形成された横長状の第5連通室33eが備えられている。
さらに、第2積層体12では、第5区画体16において上方側に位置する第5流体通流室26aの左側に、第4区画体14と第5区画体16との間に第3伝熱板15が存在しない部位を有している。これにより、第4区画体14にて形成される区画空間と第5区画体16にて形成される区画空間とが合体した第4連通室33dが備えられている。この第4連通室33dは、第5区画体16によって、上方側に位置する第5流体通流室26aに連通されており、上下方向で流体の通流方向が反転する流路状に形成されている。
【0051】
以下、高温再生器3を除く、凝縮器5、蒸発器6、吸収器7、低温溶液熱交換器8、高温溶液熱交換器9、及び冷媒熱交換器10の夫々の機器について説明する。
【0052】
〔凝縮器〕
図1、2、4に示すように、第1積層体11の上方側に位置する第1対向室モジュール30aでは、低温再生器4から流出した冷媒蒸気A1を第
2流体通流室2
8aに通流させ、且つ、吸収器7を流出した冷却水Bを第
1流体通流室2
7aに通流させている。
更に、第1積層体11の上方側に位置する第2対向室モジュール42aでも、低温再生器4から流出した冷媒蒸気A1を第
2流体通流室
28aに通流させ、且つ、吸収器7を流出した冷却水Bを第
3流体通流室
39aに通流させている。
即ち、低温再生器4から流出した冷媒蒸気A1を冷却水Bにより凝縮させる凝縮器5が、第2流体通流室28aが第1対向室モジュール30aと第2対向室モジュール42aとに共有される状態で、第1対向室モジュール30aと第2対向室モジュール42aとにより構成されている。
【0053】
第2流体通流室28aに流入させる冷媒蒸気A1は、第4流入部31dにより第2流体通流室28aの左上端部に流入されている。第2流体通流室28aを通流した冷媒蒸気A1は、冷媒液A2となって、その右下端部に設けられる第5排出部32eにより第1積層体11の外部に排出されている。
第3流体通流室39aに流入させる冷却水Bは、第14連通室33nと第3流体通流室39bとの連通により、第1積層体11の外部に排出されることなく、第3流体通流室39aの左下端部に直接流入されている。当該構成により、後述する吸収器7から凝縮器5に冷却水Bを直接流入可能に構成されている。
また、第1流体通流室27aに流入させる冷却水Bは、第15連通室33oと第14連通室33nとの連通により、第1積層体11の外部に排出されることなく、第1流体通流室27aの左下端部に直接流入されている。当該構成により、吸収器7から凝縮器5に冷却水Bを直接流入可能に構成されている。
第3流体通流室39a及び第1流体通流室27aを通流した冷却水Bは、それらの右上端部から、第5排出部32fにより第1積層体11の外部に排出されている。
【0054】
〔蒸発器〕
図1、2、4に示すように、第1積層体11の中央に位置する第1対向室モジュール30bは、凝縮器5及び冷媒熱交換器10を流出した冷媒液A2を第2流体通流室28bに通流させ、且つ、冷却用水Eを第1流体通流室27bに通流させている。これにより、凝縮器5及び冷媒熱交換器10を流出した冷媒液A2を冷却用水Eにより蒸発させる蒸発器6が、第1対向室モジュール30bにて構成されている。
【0055】
第2流体通流室28bに流入される冷媒液A2は、第1積層体11の外部にて、凝縮器5及び冷媒熱交換器10を流出した冷媒液A2が合流されて、横長状の第6連通室33fの中央に流入し、複数の第2貫通部34bを通して、第2流体通流室28bの上端部に流入される。第2流体通流室28b(冷媒通流室の一例)を通流した冷媒液A2は、冷媒蒸気A1となって、第2流体通流室28bの左右方向(
図2で矢印Yに沿う方向)で両側方側に設けられる一対の連通路としての第8連通室33h及び第9連通室33iを通り、第2流体通流室28c(吸収液通流室の一例)へ流入されている。また、第2流体通流室28bを通流過程において蒸発せず冷媒液A2のままのものは、その下方側の第2貯留空間41cに貯留される。
尚、冷媒蒸気A1は、第1区画体19の第10連通室33j及び第11連通室33k、及び第3区画体36の第12連通室33l及び第13連通室33mを通り、積層方向(
図2で矢印Zに沿う方向)に通流自在に構成されている。
【0056】
第1流体通流室27bに流入させる冷却用水Eは、第8流入部31hにより第1流体通流室27bの右下端部に流入されている。第1流体通流室27bを通流した冷却用水Eは、その右上端部から、第8流出部32hにより第1積層体11の外部に排出されている。
【0057】
〔吸収器〕
図1、2、4に示すように、第1積層体11の中央に位置する第2対向室モジュール42bでは、低温溶液熱交換器8を流出した吸収液K3及び蒸発器6を流出した冷媒蒸気A1を第2流体通流室28cに通流させ、且つ、冷却水Bを第3流体通流室39bに通流させている。これにより、低温溶液熱交換器8を流出した吸収液K3に蒸発器6を流出した冷媒蒸気A1を吸収させる吸収器7が、第2対向室モジュール42bにて構成されている。
【0058】
第2流体通流室28cに流入させる吸収液K3は、第7流入部31gにより第3区画体36において上下方向(
図2で矢印Xに沿う方向)で中間に位置して横長状の第7連通室33gの中央部に流入され、その第7連通室33gから複数の第3貫通部34cを通して、第2流体通流室28cの上端部に流入されている。また、第2流体通流室28cに流入される冷媒蒸気A1は、第2流体通流室28cの左右方向(
図2で矢印Yに沿う方向)で両側方側の一対の連通路としての第8連通室33hと第9連通室33iから、両側方側から中央側へ向けて流入される。つまり、第2流体通流室28bで発生した冷媒蒸気A1が、第1積層体11の外部へ排出されることなく、第2流体通流室28b(冷媒通流室の一例)から第2流体通流室28c(吸収液通流室の一例)に流入されている。そして、第2流体通流室28cを通流する吸収液K3に冷媒蒸気A1が吸収されている。第2流体通流室28cは、その下方側に形成される貯留空間(第1貯留空間41e、第2貯留空間41c、第3貯留空間41aとからなる空間)と連通されており、当該貯留空間に、吸収液K3に冷媒蒸気A1が吸収された吸収液K1が貯留され、その吸収液K1が、貯留空間の下端部から、第7排出部32gにより第1積層体11の外部に排出されている。
【0059】
第3流体通流室39bに流入させる冷却水Bは、第5流入部31eにより第3流体通流室39bの左下端部に流入されている。第3流体通流室39bを通流した冷却水Bは、その左上端部から、第14連通室33nに直接流入されている。
【0060】
〔低温再生器〕
図1、3に示すように、上方側に位置する第3対向室モジュール29aでは、高温再生器3から流出した冷媒蒸気A1を第4流体通流室25aに通流させ、且つ、高温溶液熱交換器9から流出した吸収液K2と冷媒熱交換器10から流出した吸収液K1が混合した吸収液K4を第5流体通流室26aに通流させている。これにより、冷媒蒸気A1にて吸収液K4を加熱して吸収液K4から冷媒蒸気A1を発生させる低温再生器4が、第3対向室モジュール29にて構成されている。
【0061】
第4流体通流室25aに流入される冷媒蒸気A1は、第1流入部31aにより第4流体通流室25aの右上端部に流入されている。第4流体通流室25aを通流した冷媒蒸気A1は冷媒液A2となって、その右下端部から、第2積層体12の外部に排出されることなく、第4流体通流室25bの上端部に直接流入されている。
【0062】
第5流体通流室26aに流入される吸収液K4は、第4区画体14において左下方側に位置する第4流体通流室25dから第4区画体14において上端部に位置する第1連通室33aの流入、及び、その第1連通室33aからの複数の第1貫通部34aを通して、第2積層体12の外部に排出されることなく、第5流体通流室26aの上端部に直接流入されている。これにより、第5流体通流室26aが、吸収液K4を低温再生器4に直接流入可能に構成されている。第5流体通流室26aを通流した吸収液K4は、その左端部から、第5流体通流室26aに連通された第4連通室33dに供給されて、その第4連通室33dにて吸収液K4から冷媒蒸気A1が分離される。このようにして、第4連通室33dは、吸収液K4から冷媒蒸気A1を分離させる分離室として構成されており、分離された冷媒蒸気A1は、その左上端部から、第1排出部32aにより第2積層体12の外部に排出される。
〔冷媒熱交換器〕
図1、3に示すように、第2積層体12において右下方側に位置する第3対向室モジュール29bでは、低温再生器4から流出した冷媒液A2を第4流体通流室25bに通流させ、且つ、吸収器7から流出した吸収液K1を第5流体通流室26bに通流させている。これにより、低温再生器4から流出した冷媒液A2にて吸収器7から流出した吸収液K1を加熱する冷媒熱交換器10が、第3対向室モジュール29bにて構成されている。
【0063】
第4流体通流室25bに流入される冷媒液A2は、第4流体通流室25aとの連通により、第2積層体12の外側に排出されることなく、第4流体通流室25bの上端部に直接流入されている。これにより、第4流体通流室25bが、低温再生器4から冷媒熱交換器10に冷媒液A2を直接流入可能に構成されている。第4流体通流室25bを通過した冷媒液A2は、その右下端部から、第2排出部32bにより第2積層体12の外部に排出されている。
【0064】
第5流体通流室26bに流入される吸収液K1は、第2流入部31bにより第5流体通流室26bの下端部に流入されている。第5流体通流室26bを通流した吸収液K1は、その上端部から第5連通室33eに流入し、その第5連通室33eの左端部から第2開口部35を通して第4区画体14において上下方向の中央部に位置する第3連通室33cに流入して、第1連通室33aの吸収液K2に合流されている。
【0065】
〔低温溶液熱交換器〕
図1、3に示すように、第2積層体12の下方中央部に位置する第3対向室モジュール29cでは、低温再生器4を流出した吸収液K3を第4流体通流室25cに通流させ、且つ、吸収器7を流出した吸収液K1を第5流体通流室26cに通流させている。これにより、低温再生器4を流出した吸収液K3にて吸収器7を流出した吸収液K1を加熱する低温溶液熱交換器8が、第3対向室モジュール29cにて構成されている。
第4流体通流室25cに流入させる吸収液K3は、第5区画体16において上方側に位置する第5流体通流室26aの下方側端部から、第2積層体12の外部に排出されることなく、第1開口部35aを通して第4区画体14においてた上下方向の中央部に位置する第2連通室33bに流入し、その第2連通室33bから第4流体通流室25cの左下端部に直接流入されている。これにより、第4流体通流室25cが、低温再生器4から低温溶液熱交換器8に吸収液K3を直接流入可能に構成されている。第4流体通流室25cを通流した吸収液K3は、その右下端部から、第3排出部32cにより第2積層体12の外部の排出されている。
【0066】
第5流体通流室26cに流入させる吸収液K1は、第2流入部31bにより第5流体通流室26cの右下端部に流入されている。第2流入部31bは
、第5流体通流室26bと第5流体通流室26cの両者に吸収液K1を流入させるために用いられている。第5流体通流室26cを通流した吸収液K1は、その左上端部から、第2積層体12の外部に排出されることな
く、第5流体通流室26dに直接流入されている。
【0067】
〔高温溶液熱交換器〕
図1、3に示すように、第2積層体12の左下方側に位置する第3対向室モジュール29dでは、高温再生器3を流出した吸収液K2を第4流体通流室25dに通流させ、且つ、低温溶液熱交換器8を流出した吸収液K1を第5流体通流室26dに通流させている。これにより、高温再生器3を流出した吸収液K2にて低温溶液熱交換器8を流出した吸収液K1を加熱する高温溶液熱交換器9が、第3対向室モジュール29dにて構成されている。
【0068】
第4流体通流室25dに流入させる吸収液K2は、第3流入部31cにより第4流体通流室25dの左下端部に流入されている。第4流体通流室25dを通流した吸収液K2は、その右下端部から、第2積層体12の外部に排出されることなく、第1連通室33aに流入されている。
【0069】
第5流体通流室26dに流入させる吸収液K1は、第5流体通流室26cとの連通により、第2積層体12の外部に排出されることなく、第5流体通流室26dの右上端部に直接流入されている。これにより、第5流体通流室26dが、低温溶液熱交換器8から高温溶液熱交換器9に吸収液K1を直接流入可能に構成されている。第5流体通流室26dを通流した通流した吸収液K1は、その左下端部から、第4排出部32dにより第2積層体12の外部に排出されている。
【0070】
〔単位追加体〕
上述の第1積層体11において、
図5の概略側断面図に示すように、第1外板18と第1区画体19の間、又は、第3区画体36と第2外板37との間に、追加区画体T2と追加伝熱板T1とから成る単位追加体Uを追加して積層自在に構成されている。ここで、追加区画体T2は、第1区画体19、第2区画体21、及び第3区画体36と同様に、複数の空間に区画自在な枠体にて構成されており、その区画空間の夫々に、その伝熱面を流体の流れ方向に沿わせる状態で伝熱フィン(図示せず)が備えられている。
当該単位追加体Uを複数追加した第1積層体11の一例である
図5に関し、説明を追加すると、第1外板18と第1区画体19の間で、積層方向(
図5で矢印Zに沿う方向)で第1区画体19の側には、第1単位追加体U1が追加されており、その第1追加区画体T2aには、上下方向(
図5で矢印Xに沿う方向)で上方側から、第2区画体21の第2流体通流室28aに対応する追加流体通流室28a'、 第2区画体21の第2流体通流室28bに対応する追加流体通流室28b'、及び、貯留空間が、順に区画形成されている。更に、積層方向(
図5で矢印Zに沿う方向)で第1単位追加体U1の第1外板18の側には、第2単位追加体U2が追加されており、その第2追加区画体T2bには、上下方向で上方側から、第1区画体19の第1流体通流室27aに対応する第2追加流体通流室27a'、第1区画体19の第6連通室33fに対応する第1追加連通室33f'、第1区画体19の第1流体通流室27bに対応する第2追加流体通流室27b'、及び貯留空間が、順に区画形成されている。
このように、第1単位追加体U1と第2単位追加体U2を追加する場合、第1追加流体通流室28a'と第2追加流体通流室27a'、及び第1追加流体通流室28b'と第2追加流体通流室27b'が、夫々対向室モジュールを形成して、順に、凝縮器5、蒸発器6として機能する。この意味で、第1単位追加体U1と第2単位追加体U2とは、凝縮器5及び蒸発器6として働く単位体と見ることができ、第1単位追加体U1と第2単位追加体U2とを合わせて一つの単位体として追加できる。
【0071】
尚、第1単位追加体U1の第1追加流体通流室28a'、28b'は、第1区画体19の第1流体通流室27a、27bの夫々とも、対向室モジュールを形成するように構成されている。従って、第2単位追加体U2を追加せず第1単位追加体U1のみを追加する構成を採用した場合でも、第1単位追加体U1は、第1区画体19と対向室モジュールを形成して、凝縮器5及び蒸発器6としての機能を発揮する。
同様の意味で、第2単位追加体U2と第1外板18との間には、第1単位追加体U1と同一の第3単位追加体U3を追加している。
【0072】
一方、第3区画体36と第2外板37との間で、積層方向(
図5で矢印Zに沿う方向)で第1区画体19の側には、第4単位追加体U4が追加されており、その第4追加区画体T2cには、上下方向(
図5で矢印Xに沿う方向)で上方側から、第2区画体21の第2流体通流室28aに対応する追加流体通流室28a'、 第2区画体21の第2流体通流室28cに対応する追加流体通流室28c'、及び貯留空間が、順に区画形成されている。更に、積層方向(
図5で矢印Zに沿う方向)で第4単位追加体U4の第2外板37の側には、第5単位追加体U5が追加されており、その第5追加区画体T2dには、上下方向で上方側から、第3区画体36の第3流体通流室39aに対応する第5追加流体通流室39a'、第3区画体36の第7連通室33gに対応する第2追加連通室33g'、第3区画体36の第3流体通流室39bに対応する第5追加流体通流室39b'、及び貯留空間が、順に区画形成されている。
このように、第4単位追加体U4と第5単位追加体U5を追加する場合、第4追加流体通流室28a'と第5追加流体通流室39a'、及び第4追加流体通流室28c'と第5追加流体通流室39b'が、夫々対向室モジュールを形成して、順に、凝縮器5、吸収器7として機能する。この意味で、第4単位追加体U4と第5単位追加体U5とは、凝縮器5及び吸収器7として働く単位体と見ることができ、第4単位追加体U4と第5単位追加体U5とを合わせて一つの単位体として追加できる。
【0073】
尚、第4単位追加体U4の第4追加流体通流室28a'、28c'は、第3区画体36の第3流体通流室39a、39bの夫々とも、対向室モジュールを形成するように構成されている。従って、第5単位追加体U5を追加せず第4単位追加体U4のみを追加する構成を採用した場合でも、第4単位追加体U4は、第3区画体36と対向室モジュールを形成して、凝縮器5及び吸収器7としての機能を発揮する。
このように、所望の冷凍能力に応じて、順次単位追加体を追加することができ、
図5に示す形態においては、第5単位追加体U5と第2外板37との間に、第6〜第8単位追加体U6〜U8を追加している。
尚、第1積層体11にあっては、上述したように、各区画体に設けられる一対の連通路を通って、積層方向(
図5で矢印Zに沿う方向)で、蒸発器6にて発生した冷媒蒸気A1が移動自在に構成されている。これにより、積層化された蒸発器6の夫々にて発生した冷媒蒸気A1は、積層化された吸収器7の夫々の吸収液Kに吸収可能となっている。
【0074】
また、図示は省略するが、第2積層体12についても、第1積層体11と同様に、第3外板13と第4区画体14との間、又は、第5区画体16と第4外板17との間に、追加区画体及び追加伝熱板からなる単位追加体を追加して積層自在に構成されている。当該追加区画体も、第4区画体14や第5区画体16と同様に、複数の空間に区画自在な枠体にて構成されており、その区画空間の夫々に、その伝熱面を流体の流れ方向に沿わせる状態で伝熱フィン(図示せず)が備えられる。これにより、単位追加体を必要に応じて追加して積層させて第2積層体12を構成することにより、求められる冷凍能力に的確に対応することができる。
【0075】
このようにして、第2積層体12と第1積層体11とによって、高温再生器3を除く、低温再生器4、凝縮器5、蒸発器6、吸収器7、低温溶液熱交換器8、高温溶液熱交換器9、及び、冷媒熱交換器10を構成することができる。
【0076】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、吸収式冷凍機を二重効用吸収式冷凍機100にて構成しているが、この第2実施形態では、吸収式冷凍機を単効用吸収式冷凍機101にて構成している。この第2実施形態における単効用吸収式冷凍機101でも、吸収剤を臭化リチウム水溶液とし、冷媒を水としている。単効用吸収式冷凍機101は、二重効用吸収式冷凍機100に対して、構成する機器の数等が異なるだけであり、第1積層体に関しては、第1実施形態と実質的に同一の構成であるので、この第2実施形態では、第2積層体にて構成する機器について中心に説明し、その他の構成については簡単に説明する。
【0077】
この単効用吸収式冷凍機101では、
図6に示すように、再生器として、加熱温水Gを熱源として吸収液Kから冷媒蒸気A3を発生させる再生器1を1つ備えているだけであり、溶液熱交換器についても、再生器1から流出した吸収液Kにて吸収器7を流出した吸収液Kを加熱する溶液熱交換器50の1つを備えているだけである。
【0078】
吸収液Kが通流する流路として、吸収器7から再生器1へ吸収液K5(低濃度の吸収液)を供給する第5溶液流路R5と、再生器1から吸収器7へ吸収液K6(高濃度の吸収液)を供給する第6溶液流路R6とが備えられている。
【0079】
冷媒Aが通流する流路として、再生器1にて発生された冷媒蒸気A3を凝縮器5に供給する第6冷媒流路S6と、凝縮器5にて凝縮された冷媒液A4を蒸発器6に供給する第7冷媒流路S7と、蒸発器6にて蒸発された冷媒蒸気A3を吸収器7に供給する第8冷媒流路S8とが備えられている。第7冷媒流路S7の途中部位に、第6膨張弁D6が備えられており、第6溶液流路R6において溶液熱交換器50と吸収器7との間の部位に、第7膨張弁D7が備えられている。
冷却水Bが通流する冷却水流路C、及び、冷却用水Eが通流する冷却用水流路Fについては、上記第1実施形態と同様であるが、再生器1に加熱温水Gを供給する加熱温水流路Hが備えられている。
【0080】
第2実施形態における単効用吸収式冷凍機101の動作について説明する。
まず、冷媒Aの流れについて説明する。
再生器1にて吸収液K5から発生した冷媒蒸気A3を、第6冷媒流路S6により凝縮器5に供給して、凝縮器5において冷媒蒸気A3を凝縮させる。凝縮器5にて凝縮された冷媒液A4を、第7冷媒流路S7により蒸発器6に供給して、蒸発器6において冷媒液A4を蒸発させる。そして、蒸発器6にて蒸発された冷媒蒸気A3を、第8冷媒流路R8により吸収器7に供給して、吸収器7において冷媒蒸気A3が吸収剤に吸収されて吸収液となる。
【0081】
次に、吸収液Kの流れについて説明する。
吸収器7にて冷媒蒸気A3が吸収剤に吸収された吸収液K5を、第5溶液流路R5により再生器1に供給している。このとき、第5溶液流路R5では、第6溶液流路R6の吸収液K6にて吸収液K5を加熱しており、その加熱された吸収液K5を再生器1に供給している。再生器1において加熱温水Gにより吸収液K5を加熱して、吸収液K5から冷媒蒸気A3を発生させる。再生器1にて冷媒蒸気A3が発生された吸収液K6を第6溶液流路R6により吸収器7に供給している。
【0082】
このように、単効用吸収式冷凍機101は、再生器1、凝縮器5、蒸発器6、吸収器7、溶液熱交換器50の複数の機器を備えて構成されている。この第2実施形態では、単効用吸収式冷凍機101を構成する複数の機器、及び、それら複数の機器を接続する流路等が、第1積層体51と第2積層体52の2つの積層体から構成されている。上述したように、蒸発器6、吸収器7、及び、凝縮器5が、第1積層体51にて構成されており、当該構成については、上記第1実施形態と変わるところがない。
【0083】
上記第1実施形態と同様に、
図7に示すように、第2積層体52は、第3外板53、第4区画体54、第3伝熱板55、第5区画体56、第4外板57を順に積層して構成されている。
【0084】
以下、第3伝熱板55の長手方向(
図7中X方向)を「第2積層体52の上下方向」とし、第3伝熱板55及び第2伝熱板60の短手方向(
図7中Y方向)を「第2積層体52の左右方向」として説明する。
【0085】
図7に示すように、第2積層体52では、第4区画体54により第4流体通流室65a,65bが区画形成されるとともに、第5区画体56により第5流体通流室66a,66bが区画形成されており、第3対向室モジュール69として、1組目及び2組目の2つの第3対向室モジュール69a、69bが形成されている。
【0086】
以下、第4流体通流室65及び第5流体通流室66については、複数の第3対向室モジュール69a,69bのどちらの組に属するかに対応して添え字をa,bの何れかを付記する。例えば、1組目の第3対向室モジュール69aに属する第4流体通流室65及び第5流体通流室66は、第4流体通流室65a及び第5流体通流室66aとする。
【0087】
再生器1、及び、溶液熱交換器50が、第2積層体52の第3対向室モジュール69にて構成されている。具体的には、
図7に示すように、第2積層体52では、再生器1が1組目の第3対向室モジュール69aにて構成されており、溶液熱交換器50が2組目の第3対向室モジュール69bにて構成されている。
【0088】
図7に示すように、第2積層体52では、1組目の第3対向室モジュール69aが上方側に配置されており、2組目の第3対向室モジュール69が下方側に配置されている。これにより、1組目の第3対向室モジュール69aにて構成される再生器1を上方側に配置し、2組目の第3対向室モジュール69bにて構成される溶液熱交換器50を下方側に配置している。
【0089】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、第2積層体52において、第4区画体54にて区画形成される第4流体通流室65と第5区画体56にて区画形成される第5流体通流室66とを連通するための連通室73が複数備えられている。
【0090】
図7に示すように、第2積層体52において、第4区画体54において上方側に位置する第4流体通流室65aの右側には、縦長状の第1連通室73aが区画形成されている。この第1連通室73aは、第1連通室73aの上端部が、第3伝熱板55に形成された第2開口部75bを通して、第5区画体56にて上端部に形成された横長状の第2連通室73bの右端部に連通されているとともに、第1連通室73aの下端部が、第3伝熱板55に形成された第1開口部75aを通して、第5区画体56にて上下方向の中間部に形成された横長状の第3連通室73cの右端部に連通されている。
【0091】
また、第2積層体52では、第4区画体54において上方側に位置する第4流体通流室65aの左側に、第4区画体54と第5区画体56との間に第3伝熱板55が存在しない部位を有している。これにより、第4区画体54にて形成される区画空間と第5区画体56にて形成される区画空間とが合体した第4連通室73dが備えられている。この第4連通室73dは、第4区画体54によって、上方側に位置する第4流体通流室65aに連通されており、上下方向で流体の通流方向が上方側と下方側とに分岐された流路状に形成されている。
【0092】
以下、第2積層体52にて構成される再生器1、溶液熱交換器50の夫々の機器について説明する。
【0093】
〔再生器〕
図6,7に示すように、上方側に位置する1組目の第3対向室モジュール69aでは、溶液熱交換器50から流出した吸収液K5を第4流体通流室65aに通流させ、且つ、加熱温水Gを第5流体通流室66aに通流させている。これにより、加熱温水Gにて吸収液K5を加熱して吸収液K5から冷媒蒸気A3を発生させる再生器1が、1組目の第3対向室モジュール69aにて構成されている。
【0094】
第4流体通流室65aに流入される吸収液K5は、第5区画体56において上下方向の中間部に位置する第3連通室73cから、第2積層体52の外部に排出されることなく、第1開口部75aを通して第4区画体54において右端部に位置する第1連通室73aの下端部に流入し、その第1連通室73aの上端部から、第2開口部75bを通して第5区画体56の上端部に位置する第2連通室73bに流入し、その第2連通室73bから、複数の第1貫通孔部74aを通して、第4流体通流室65aの上端部に直接流入されている。これにより、第4流体通流室65aが直接流入用流体通流室として構成されており、溶液熱交換器50から再生器1に吸収液K5を直接流入可能に構成されている。第4流体通流室65aを通流した吸収液K5は、その左端部から、第1流体通流室6aに連通された第4連通室73dに供給されて、その第4連通室73dにて吸収液K5から冷媒蒸気A1が分離される。このようにして、第4連通室33dは、吸収液K1から冷媒蒸気A3を分離させる分離室として構成されており、分離された冷媒蒸気A3は、第4連通室33dの左上端部から、第1排出部72aにより第2積層体52の外部に排出されている。
【0095】
第5流体通流室66aに流入される加熱温水Gは、第1流入部71aにより第5流体通流室66aの右下端部に流入されている。第5流体通流室66aを通流した加熱温水Gは、その右上端部から、第2排出部72bにより第2積層体52の外部に排出されている。
【0096】
〔溶液熱交換器〕
図6,7に示すように、下方側に位置する2組目の第3対向室モジュール69bでは、再生器1から流出した吸収液K6を第4流体通流室65bに通流させ、且つ、吸収器7を流出した吸収液K5を第5流体通流室66bに通流させている。これにより、再生器1から流出した吸収液K6にて吸収器7を流出した吸収液K5を加熱する溶液熱交換器50が、2組目の第3対向室モジュール69bにて構成されている。
【0097】
第4流体通流室65bに流入される吸収液K6は、第4区画体54の左側に位置する第4連通室73dを通して、第2積層体52の外部に排出されることなく、第4流体通流室65bの左下端部に流入されている。これにより、第4流体通流室65bが直接流入用流体通流室として構成されており、再生器1から溶液熱交換器50に吸収液K6を直接流入可能に構成されている。第4流体通流室65bを通流した吸収液K6は、その右上端部から、第3排出部72cにより第2積層体52の外部に排出されている。
【0098】
第5流体通流室66bに流入される吸収液K5は、第2流入部71bにより第5流体通流室66bの右下端部に流入されている。第5流体通流室66bを通流した吸収液K5は、その左上端部から第3連通室73cに流入し、その第3連通室73cの右端部から第1開口部75aを通して第4区画体54において右端部に位置する第1連通室73aに流入し、その第1連通室73aから複数の第1貫通孔部74aを通して第4流体通流室65aの上端部に直接流入されている。
【0099】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、第2積層体52において、第1追加区画体及び第1追加伝熱板の第1単位追加体を追加して積層自在に構成されている。第1積層体51において、第2追加区画体及び第2追加伝熱板の第2単位追加体を追加して積層自在に構成されている。
【0100】
このようにして、第2積層体52と第1積層体51とによって、再生器1、凝縮器5、蒸発器6、吸収器7、溶液熱交換器50を構成することができる。
【0101】
<別実施形態>
(1)第1実施形態に係る二重効用吸収式冷凍機100にあっては、冷媒熱交換器10を備えた回路を示しているが、当該冷媒熱交換器10をなくし、低温再生器4で熱が奪われた高温再生器3からの冷媒蒸気A1を凝縮器5を経由して蒸発器6に入れる回路を採用しても構わない。
【0102】
(2)上記第1実施形態では、二重効用吸収式冷凍機100を例示し、上記第2実施形態では、単効用吸収式冷凍機101を例示したが、その他、各種の吸収式冷凍機に適応することができる。
また、複数の機器のうち、第2積層体12にてどの機器を構成するか、第1積層体11にてどの機器を構成するのかについては、適宜変更可能であり、上記第1及び第2実施形態にて示したものに限るものではない。
【0103】
(3)上記実施形態では、第1積層体11の製造方法として、第1外板18、第1区画体19、第1伝熱板20、第2区画体21、第2伝熱板22、第3区画体36、第2外板37を順に積層して互いに接着させて製造する例を示した。しかしながら、別の構成例として、第1外板18、第1区画体19、第1伝熱板20、第2区画体21、第2伝熱板22、第3区画体36、第2外板37を順に積層してパッキン等により互いに接合することもできる。このようにパッキン等により接合すると、第1積層体を分解して点検作業を行うことが可能となる。
また、第2積層体12についても、第1積層体11と同様に、パッキン等により接合することもできる。
【0104】
(4)上記第1及び第2実施形態において、第1積層体11、第2積層体12にて形成する対向室モジュールの数については、適宜変更が可能であり、上記第1及び第2実施形態にて示したものに限るものではない。
【0105】
(5)上記第1及び第2実施形態では、吸収器7に冷却水Bを供給して吸収液と冷媒蒸気とを混合させているが、例えば、吸収器7に戻す吸収液を冷却水等の冷却用流体にて冷却させる溶液冷却用熱交換器を吸収器7とは別に備え、その溶液冷却用熱交換器を流出した吸収液を吸収器7に供給してその吸収液と冷媒蒸気とを混合させることもできる。