(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)渋滞度決定処理:
(3)他の実施形態:
【0011】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる渋滞度決定システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両に備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aと経路情報30bとを記録する。
【0012】
地図情報30aは、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータと、ノード同士を接続するリンクについての情報を示すリンクデータと、ノード同士を接続するリンクの形状を示す形状補間点データとを含んでいる。ノードは交差点に対応し、リンクは交差点間を接続する道路区間に対応する。リンクデータは、リンクごとにリンクの長さを示す情報と、リンクごとに道路種別を示す情報とを含んでいる。リンクには、細街路リンクと通常路リンクとが含まれている。通常路リンクは幅員等が所定基準以下の細街路に対応するリンクであり、通常路リンクは細街路以外の道路に対応するリンクである。また、通常路リンクが本発明のリンクに相当する。
【0013】
図2Aは、道路の模式図である。
図2Aにおいて、太線は通常リンクRを示し、細線は細街路リンクrを示す。通常リンクRの始点または終点をなすノードを通常ノードN(白丸)とする。通常リンクRの途中において、1個以上の細街路リンクrが接続している地点を細街路ノードn(黒丸)とする。図示しないが、細街路ノードnのみが2個以上のが接続している地点も細街路ノードnとする。
【0014】
経路情報30bは、走行予定経路P上に存在する通常リンクRと細街路リンクrと通常ノードNと細街路ノードnと出発地と目的地とを示す情報である。
図2Aにおいて、出発地Sから目的地Gに向かう走行予定経路Pが示されている。
図2Aの走行予定経路Pの経路情報30bとして、走行順が早い順に、出発地Sと細街路リンクr
1と細街路ノードnと通常リンクR
1と通常ノードN
2と通常リンクR
2と通常ノードN
3と通常リンクR
3と目的地Gとを示す情報が記録されている。また、経路情報30bには、走行予定経路P上において連続するノード(通常ノードN,細街路ノードn)間の距離を示す情報が記録されている。
図2Aの走行予定経路Pについては、出発地Sから細街路ノードnまでの細街路リンクr
1上の距離と、細街路ノードnから通常ノードN
2までの通常リンクR
1上の距離と、通常ノードN
2から通常ノードN
3までの通常リンクR
2上の距離と、通常ノードN
3から目的地Gまでの通常リンクR
3上の距離とを示す情報が記録されている。
【0015】
なお、走行予定経路Pは、公知の経路探索手法によって探索することができ、地図情報30aに基づいて制御部20が予め探索したものである。経路情報30bは、ナビゲーション装置10が経路案内を行うために利用されるほか、後述する車両の動力部47を制御するために利用される。
【0016】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44と通信I/F部45と動力ECU46と動力部47とを備える。
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部20に出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を制御部20に出力する。
【0017】
制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43から出力された信号に基づく自立航法情報と地図情報30aとに基づいて車両の現在地が存在し得る比較対象道路を複数設定し、GPS受信部41にて取得されたGPS信号の誤差円に基づいて比較対象道路を絞り込む。そして、制御部20は、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行している道路である走行道路として特定するマップマッチング処理を行い、当該マップマッチング処理によって特定された走行道路上で車両の現在地を特定する。
【0018】
ユーザI/F部44は、制御部20から出力された映像信号や音声信号に基づいて各種案内を出力する出力装置(ディスプレイ,スピーカ等)と、ユーザから出発地Sや目的地Gの指定等の各種操作を受け付ける入力装置(操作ボタン、タッチセンサ等)とを含む。
通信I/F部45は、外部のサーバから交通情報を受信するための通信回路を備える。通信I/F部45が受信した交通情報は制御部20に出力される。交通情報は、車両の周辺(所定距離以内)の通常リンクR上に存在する渋滞区間ごとに、渋滞度と区間長とを示す情報である。
【0019】
動力ECU46は、動力部47を制御するコンピュータである。本実施形態の動力部47は、動力源としてモータ47aとエンジン47bとを備える。また、動力部47は、モータ47aに電力を供給するバッテリ47cを備える。バッテリ47cは充電可能な電池であり、動力ECU46はバッテリ47cに充電されている残電力量を取得する。本実施形態の車両において、モータ47aとエンジン47bとから駆動輪に供給される動力比が可変である。
【0020】
制御部20はナビゲーションプログラム21を実行する。ナビゲーションプログラム21は、走行予定経路取得部21aと重複リンク取得部21bと渋滞情報取得部21cと渋滞度決定部21dとを含む。
走行予定経路取得部21aは、車両の走行予定経路を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。走行予定経路取得部21aの機能により制御部20は、記録媒体30に記録された経路情報30bが示す走行予定経路Pを取得する。
【0021】
重複リンク取得部21bは、走行予定経路Pとの重複部分が少なくとも一部に存在する通常リンクである重複リンクを取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、重複リンク取得部21bの機能により制御部20は、経路情報30bが示す通常リンクRを重複リンクとして取得する。
【0022】
図2Bは
図2Aの走行予定経路Pにおける重複リンクR
1を示す図であり、
図2Cは当該走行予定経路Pにおける重複リンクR
3を示す図である。
図2Aの走行予定経路Pが取得された場合、通常リンクR
1〜R
3が重複リンクR
1〜R
3として取得されることとなる。
図2Bに示すように、重複リンクR
1のうち走行予定経路Pと重複している重複部分DR
1は、細街路ノードnと終点の通常ノードN
2までの区間ある。細街路ノードnは、細街路リンクr
1から通常リンクR
1への進入地点を意味する。さらに、
図2Cに示すように、重複リンクR
3のうち重複部分DR
3は、始点の通常ノードN
3から目的地Gまでの区間である。また、
図2Aに示すように、重複リンクR
2は全体が走行予定経路Pと重複しており、重複リンクR
2の全体が重複部分DR
2となる。
【0023】
渋滞情報取得部21cは、重複部分DR
1〜DR
3の長さが重複リンクR
1〜R
3の長さよりも小さい場合、重複リンクR
1〜R
3についての渋滞情報のうち、重複部分DR
1〜DR
3についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、重複リンクR
1〜R
3の長さを地図情報30aのリンクデータから取得する。また、制御部20は、経路情報30bが示す重複リンクR上におけるノード(通常ノードN,細街路ノードn)間の距離を、重複部分DRの長さとして取得する。
【0024】
具体的に、制御部20は、細街路ノードnから通常ノードN
2までの通常リンクR
1上の距離を重複部分DR
1の長さとして取得し、通常ノードN
2から通常ノードN
3までの通常リンクR
2上の距離を重複部分DR
2の長さとして取得し、通常ノードN
3から目的地Gまでの通常リンクR
3上の距離を重複部分DR
3の長さとして取得する。そして、制御部20は、重複部分DR
1〜DR
3の長さがそれぞれ重複リンクR
1〜R
3の長さよりも小さいか否かを判定する。
図2A〜2Cの例において、重複部分DR
1の長さは重複リンクR
1の長さよりも小さいと判定され、重複部分DR
2の長さは重複リンクR
2の長さと同じ(小さくない)と判定され、重複部分DR
3の長さは重複リンクR
3の長さよりも小さいと判定されることとなる。
【0025】
さらに、制御部20は、通信I/F部45にて受信された交通情報のなかから、重複リンクR
1〜R
3についての渋滞情報を取得する。重複リンクR
1〜R
3についての渋滞情報とは、重複リンクR
1〜R
3上に存在する渋滞区間について渋滞度と区間長と渋滞の終点位置を示す情報である。渋滞度とは、"渋滞"と"混雑"とのいずれかであり、"渋滞"の方が"混雑"よりも道路が混雑していることを意味する。なお、渋滞区間が存在しない区間は、渋滞度が"渋滞"と"混雑"とのいずれでもない区間であり、渋滞していない区間を意味する。区間長は、渋滞区間の始点位置から終点位置までの距離、すなわち渋滞長を意味する。渋滞区間の終点位置を示す情報とは、渋滞区間が存在する重複リンクR
1〜R
3の終点から渋滞区間の終点位置までの距離である。
【0026】
【表1】
表1は、重複リンクR
1〜R
3について取得された渋滞情報を示す表である。
表1および
図2Bに示すように、重複リンクR
1上に3個の渋滞区間C
1〜C
3が存在しており、渋滞区間C
1〜C
3のそれぞれについての渋滞情報が取得される。表1に示すように、重複リンクR
2上に1個の渋滞区間C
4が存在しており、渋滞区間C
4についての渋滞情報が取得される。表1および
図2Cに示すように、重複リンクR
3上に2個の渋滞区間C
5,C
6が存在しており、渋滞区間C
5,C
6についての渋滞情報が取得される。
【0027】
制御部20は、重複部分DR
1〜DR
3の長さが重複リンクR
1〜R
3の長さよりも小さい場合、重複リンクR
1〜R
3についての渋滞情報のうち、重複部分DR
1〜DR
3についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得し、重複部分DR
1〜DR
3以外の区間についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得しない。
【0028】
図2Bに示すように、制御部20は、重複リンクR
1上の3個の渋滞区間C
1〜C
3のうち、重複部分DR
1上の渋滞区間C
2,C
3についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得し、渋滞区間C
1についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得しない。また、
図2Cに示すように、制御部20は、重複リンクR
3上に2個の渋滞区間C
5,C
6のうち、重複部分DR
3上の渋滞区間C
5,C
6についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得する。なお、重複部分DR上の渋滞区間Cとは、少なくとも一部分が重複部分DR(走行予定経路P)上に存在する渋滞区間Cである。すなわち、制御部20は、少なくとも一部分が重複部分DRと重複する渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得し、重複リンクRと重複していても全体が重複部分DRと重複しない渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得しない。つまり、制御部20は、重複リンクRのうち走行予定経路Pと重複しない区間にのみ重複している渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得しない。従って、表1にてハッチングで示すように、全体が重複部分DR
1と重複していない渋滞区間C
1についての渋滞情報は有効な渋滞情報とされない。なお、表1の渋滞情報においてハッチングされていない情報は、有効な渋滞情報に対応する。
【0029】
渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、重複部分DRの長さが重複リンクRの長さと同じである場合、重複リンクRについての渋滞情報のすべてを有効な渋滞情報として取得する。すなわち、制御部20は、全体が走行予定経路Pと重複している重複リンクRについては、当該重複リンクRについての渋滞情報のすべてを有効な渋滞情報として取得する。表1および
図2Aにて示すように、全体が走行予定経路Pと重複している重複リンクR
2については、当該重複リンクR
2についての渋滞情報のすべてが有効な渋滞情報として取得される。
【0030】
さらに、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、重複部分DRの長さが重複リンクRの長さよりも小さい場合、当該重複リンクR上に存在する渋滞区間Cのうち、部分的に重複部分DRと重複する部分渋滞区間の区間長を、当該部分渋滞区間と重複部分DRとが重複する部分の長さへと修正する。すなわち、制御部20は、重複部分DRと重複する渋滞区間Cではあるが、重複部分DRと部分的に重複する部分渋滞区間についての区間長を、当該部分的に重複している部分の長さへと下方修正する。
図2B,2Cに示すように、渋滞区間C
2,C
6は、それぞれ重複部分DR
1,DR
3と部分的に重複している部分渋滞区間である。従って、表1にてハッチングで示すように、制御部20は、部分渋滞区間としての渋滞区間C
2,C
6についての区間長L(C
2),L(C
6)を破棄し(ハッチング)、それぞれ渋滞区間C
2,C
6が重複部分DR
1,DR
3と部分的に重複している部分DC
2,DC
6の長さL(DC
2),L(DC
6)へと下方修正する。
【0031】
渋滞度決定部21dは、有効な渋滞情報に基づいて走行予定経路Pの渋滞度を決定する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、走行予定経路Pについての渋滞情報のうち、予め有効な渋滞情報として取得された渋滞情報に基づいて走行予定経路Pの渋滞度を決定する。また、渋滞情報において、渋滞区間Cの区間長が修正されている場合、修正後の区間長に基づいて走行予定経路Pの渋滞度を決定する。本実施形態において、制御部20は、走行予定経路Pを所定の分割規則で分割した制御区間ごとに渋滞度を決定する。例えば、走行予定経路Pは、道路種別が一致する範囲ごとに制御区間に分割されてもよいし、車速が類似する範囲ごとに制御区間に分割されてもよいし、制御区間の数や制御区間についての情報のデータ量が所定値以下となるように分割されてもよい。表1では、重複リンクR
1,R
2とで構成される制御区間Z
1と、重複リンクR
3で構成される制御区間Z
2のそれぞれについて渋滞度が決定されている。制御部20は、制御区間Zごとに、当該制御区間Zについての渋滞情報が示す区間長と渋滞度とに基づいて平均的な渋滞度を決定する。
【0032】
例えば、制御部20は、混雑しているほど大きくなるように渋滞度ごとに渋滞スコアを付与し、制御区間Z全体に占める区間長の割合で重み付けた渋滞スコアの加重平均を算出する。そして、制御部20は、渋滞スコアの加重平均が第1閾値以上である制御区間Zの渋滞度を"渋滞"と決定し、渋滞スコアの加重平均が第1閾値未満かつ第2閾値(<第1閾値)以上である制御区間Zの渋滞度を"混雑"と決定し、渋滞スコアの加重平均が第2閾値未満である制御区間Zの渋滞度を"空き"と決定する。
【0033】
さらに、制御部20は、制御区間Zの渋滞度に基づいて、当該制御区間Zを走行する際に設定されるモータ47aとエンジン47bの動力比を決定する。制御部20は、渋滞度が"空き"または"混雑"の制御区間ZについてHVモードを設定し、渋滞度が"渋滞"である制御区間Z
2においてモータ47aのみを使用するEVモードを設定する。モータ47aとエンジン47bとの動力比をt:(1−t)と表記すると、HVモードでは0<t<1の範囲でtが設定され、EVモードではt=1に設定される。また、HVモードにおいて、渋滞度が"混雑"である場合に、渋滞度が"空き"である場合よりも、tを大きく設定する。
【0034】
なお、制御部20は、渋滞度だけでなく、制御区間Zにおける車速や勾配や車両の空気抵抗や車輪の転がり抵抗や燃料やバッテリ47cの残電力量等に基づいて動力比を決定してもよい。制御部20は、制御区間Zごとのモータ47aとエンジン47bの動力比を示す情報を動力ECU46に送信する。これにより、動力部47は、制御区間Zごとのモータ47aとエンジン47bの動力比を制御できる。
【0035】
以上説明した実施形態において、重複リンクRと重複部分DRの長さが同じである場合、走行予定経路Pを走行する車両が当該重複リンクRの全体を走行することを意味する。一方、重複部分DRの長さが重複リンクRの長さよりも小さい場合、走行予定経路Pを走行する車両が当該重複リンクRの一部のみを走行することを意味する。このように車両が重複リンクRの一部のみを走行する場合に、当該重複リンクRについての渋滞情報のすべてではなく、当該重複リンクRのうち重複部分DRについての渋滞情報を有効な渋滞情報として走行予定経路Pの渋滞度を決定するため、適切に走行予定経路Pの渋滞度を決定できる。すなわち、重複リンクのうち、車両が走行しない区間(重複部分DRでない区間)についての渋滞情報を考慮することなく、適切に走行予定経路Pの渋滞度を決定できる。例えば、表1の制御区間Z
1の渋滞度を決定するにあたり、
図2Bに示すように走行予定経路Pと重複しない渋滞区間C
1の渋滞情報を考慮することを防止できる。
【0036】
上述したように重複リンクRと重複部分の長さが同じである場合、走行予定経路Pを走行する車両は当該重複リンクRの全体を走行することを意味する。従って、重複部分DRと重複リンクRの長さが同じである場合、重複リンクRについての渋滞情報のすべてを有効な渋滞情報として取得すればよい。ここで、重複部分DRの長さが重複リンクRの長さよりも小さい場合、当該重複リンクR上の渋滞区間Cのうち、部分的に重複部分DR(走行予定経路P)と重複する部分渋滞区間が存在し得ることとなる。このような部分渋滞区間の区間長を走行予定経路Pと重複する部分の長さへと修正することにより、当該部分渋滞区間の区間長を当該部分渋滞区間のうち車両が走行する予定の部分の長さへと下方修正できる。すなわち、部分渋滞区間のうち車両が走行しない部分の長さを部分渋滞区間の区間長から控除でき、走行予定経路Pの渋滞度を正確に決定できる。例えば、表1の制御区間Z
1の渋滞度を決定するにあたり、
図2Bに示す渋滞区間C
2のうち走行予定経路Pと重複しない部分の区間長を考慮することを防止できる。
【0037】
(2)渋滞度決定処理:
次に、渋滞度決定処理の一例について詳細に説明する。
図3は、渋滞度決定処理のフローチャートである。渋滞度決定処理は、例えば走行予定経路Pが探索された場合に実行される処理である。まず、走行予定経路取得部21aと重複リンク取得部21bとの機能により制御部20は、走行予定経路Pと重複リンクRとを取得する(ステップS100)。走行予定経路Pとは、公知の経路探索手法によって予め探索された出発地Sから目的地Gまでの経路であり、経路情報30bに基づいて取得できる(
図2A)。重複リンクRとは、地図情報30aに規定された通常リンクRのうち、少なくとも一部が走行予定経路Pと重複している通常リンクRである。
【0038】
次に、制御部20は、通信I/F部45にて受信された交通情報を取得する(ステップS105)。当該交通情報には車両周辺の通常リンクRについての渋滞情報が含まれる。次に、制御部20は、リンクカウンタm(自然数)を1にリセットする(ステップS110)。リンクカウンタmは、処理対象の重複リンクRに対応する整数であり、例えばリンクカウンタmが小さいほど走行予定経路P上において出発地Sに近いことを意味する。リンクカウンタmの最大値Mは、重複リンクRの数である。
図2Aの場合、リンクカウンタmの最大値Mは3となる。
【0039】
次に、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の重複リンクRと走行予定経路Pとの重複部分DRの長さが処理対象の重複リンクRの長さよりも小さいか否かを判定する(ステップS115)。具体的に、制御部20は、処理対象の重複リンクR上におけるノード(通常ノードN,細街路ノードn)間の距離を経路情報30bに基づいて取得し、当該距離を重複部分DRの長さとして取得する。また、制御部20は、地図情報30aに基づいて処理対象の重複リンクRの長さを取得する。
【0040】
重複部分DRの長さが処理対象の重複リンクRの長さよりも小さいと判定しなかった場合(ステップS115:N)、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の重複リンクRについてのすべての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得する。
図2Aに示すように、重複リンクR
2の全体が走行予定経路Pと重複しているため、重複リンクR
2が処理対象である場合、重複リンクR
2上に存在する渋滞区間Cのすべてについての渋滞情報が有効な渋滞情報として取得する。表1に示すように、重複リンクR
2上に存在する1個の渋滞区間C
4についての渋滞情報が有効な渋滞情報として取得される。
【0041】
一方、重複部分DRの長さが処理対象の重複リンクRの長さよりも小さいと判定した場合(ステップS115:Y)、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、渋滞区間カウンタh(自然数)を1にリセットする(ステップS130)。
図2A〜2Cに示すように、重複リンクR
1,R
3は、一部分のみが走行予定経路Pと重複しているため、重複リンクR
1,R
3が処理対象である場合、重複部分DR
1,DR
3の長さが重複リンクR
1,R
3の長さよりも小さいと判定されることとなる。渋滞区間カウンタhは、処理対象の渋滞区間Cに対応する整数である。
【0042】
次に、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の重複リンクRについての渋滞情報のうち、処理対象の渋滞情報を取得する(ステップS135)。処理対象の渋滞情報とは、渋滞区間カウンタhに対応する渋滞区間Cについての渋滞情報である。本実施形態では、渋滞区間カウンタhが小さいほど、重複リンクR上において走行予定経路Pの出発地Sに近い渋滞区間Cが対応することとする。
【0043】
次に、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の渋滞区間C全体が重複部分DR(走行予定経路P)と重複するか否かを判定する(ステップS140)。処理対象の渋滞区間C全体が重複部分DRと重複すると判定した場合(ステップS140:Y)、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の渋滞区間Cについての渋滞情報をそのまま有効な渋滞情報として取得する(ステップS145)。すなわち、処理対象の渋滞区間C全体が走行予定経路Pと重複する場合、渋滞区間Cの区間長を修正することなく当該渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得する。
図2Bに示すように重複リンクR
1上の渋滞区間C
3全体が走行予定経路Pと重複しているため、渋滞区間C
3についての渋滞情報がそのまま有効な渋滞情報として取得される(表1)。
【0044】
なお、
図4Aに示すように、ステップS140において、渋滞区間Cの終点位置Eから重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離cが、重複部分DRの終点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離aよりも大きく、かつ、渋滞区間Cの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離d=c+L(C)が、重複部分DRの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離b=c+L(DR)よりも小さい場合に、制御部20は、当該渋滞区間C全体が重複部分DRと重複すると判定できる。
【0045】
一方、処理対象の渋滞区間C全体が重複部分DRと重複すると判定しなかった場合(ステップS140:N)、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の渋滞区間Cが部分的に重複部分DRと重複するか否かを判定する(ステップS150)。処理対象の渋滞区間Cが部分的に重複部分DRと重複すると判定した場合(ステップS150:Y)、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、処理対象の渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得するとともに、当該渋滞情報において渋滞区間Cの区間長を修正する(ステップS155)。
図2B,2Cに示すように重複リンクR
1,R
3上の渋滞区間C
2,C
6が部分的に重複部分DR
1,DR
3(走行予定経路P)と重複しているため、表1にてハッチングで示すように渋滞区間C
2,C
6についての渋滞情報の区間長が修正される。具体的に、制御部20は、渋滞区間C
2,C
6と重複部分DR
1,DR
3とが重複している部分DC
1,DC
6の長さL(DC
1),L(DC
6)を取得し、当該重複している部分DC
1,DC
6の長さL(DC
1),L(DC
6)で渋滞区間C
2,C
6についての渋滞情報の区間長を下方修正する。
【0046】
なお、
図4Bに示すように、ステップS150において、渋滞区間Cの終点位置Eから重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離cが、重複部分DRの終点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離aよりも大きく、かつ、渋滞区間Cの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離dが、重複部分DRの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離bよりも大きい場合に、制御部20は、当該渋滞区間Cが部分的に重複部分DRと重複すると判定できる。この場合、渋滞区間Cの終点位置Eが重複部分DR上に存在するが、渋滞区間Cの始点位置は重複部分DRよりも手前に位置する。そして、制御部20は、重複部分DRの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離bから、渋滞区間Cの終点位置Eから重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離cを減算した長さを、修正後の渋滞区間Cの区間長L(DC)として取得する。なお、
図2Bにおける重複リンクR
1上の渋滞区間C
2は、当該渋滞区間C
2の終点位置E
2が重複部分DR
1上に存在するが、渋滞区間C
2の始点位置が重複部分DR
2よりも手前に位置する場合に該当する。
【0047】
さらに、
図4Cに示すように、ステップS150において、渋滞区間Cの終点位置Eから重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離cが、重複部分DRの終点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離aよりも小さく、かつ、渋滞区間Cの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離dが、重複部分DRの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離bよりも小さい場合に、制御部20は、当該渋滞区間Cが部分的に重複部分DRと重複すると判定できる。この場合、渋滞区間Cの始点位置が重複部分DR上に存在するが、渋滞区間Cの終点位置Eは重複部分DRよりも前方に位置する。そして、制御部20は、渋滞区間Cの始点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離dから、重複部分DRの終点位置から重複リンクRの終点までの重複リンクR上の距離aを減算した長さを、修正後の渋滞区間Cの区間長L(DC)として取得する。
図2Cにおける重複リンクR
3上の渋滞区間C
6は、当該渋滞区間C
6の始点位置が重複部分DR
3上に存在するが、渋滞区間C
6の終点位置E
6は重複部分DR
3よりも前方に位置する場合に該当する。
【0048】
処理対象の渋滞区間Cが部分的に重複部分DRと重複すると判定されなかった場合(ステップS150:N)、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、そのままステップS165に進む。すなわち、処理対象の渋滞区間C全体が重複部分DRと重複しない場合、制御部20は、当該渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得することなく次の処理を実行する。
図2Bにおける重複リンクR
1上の渋滞区間C
1は、全体が重複部分DR
1と重複せず、当該渋滞区間C
1についての渋滞情報は有効とされない(表1)。
【0049】
以上のようにして、処理対象の渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得した場合(ステップS145,S155)、および、処理対象の渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得しなかった場合、制御部20は、渋滞区間カウンタhが処理対象の重複リンクR上に存在する全渋滞区間Cの数Hと等しいか否かを判定する(ステップS165)。渋滞区間カウンタhが処理対象の重複リンクR上に存在する全渋滞区間Cの数Hと等しいと判定しなかった場合(ステップS165:N)、制御部20は、渋滞区間カウンタhに1を加算し(ステップS170)、ステップS135に戻る。すなわち、次の渋滞区間Cを処理対象として設定した上で、ステップS140〜S165を繰り返して実行する。以上の処理を繰り返すことにより、重複リンクR上に存在するすべての渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得するか否かを順次判定していくことができる。
【0050】
一方、渋滞区間カウンタhが処理対象の重複リンクR上に存在する全渋滞区間Cの数Hと等しいと判定した場合(ステップS165:Y)、制御部20は、リンクカウンタmが全重複リンクRの数Mと等しいか否かを判定する(ステップS175)。また、重複リンクR上のすべての渋滞区間Cについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得した場合も(ステップS120)、制御部20は、リンクカウンタmが全重複リンクRの数Mと等しいか否かを判定する(ステップS175)。リンクカウンタmが全重複リンクRの数Mと等しいと判定しなかった場合(ステップS175:N)、制御部20は、リンクカウンタmに1を加算し(ステップS180)、ステップS115に戻る。すなわち、次の重複リンクRを処理対象として選択した上で、ステップS120〜S180を繰り返して実行する。以上の処理を繰り返すことにより、走行予定経路Pと少なくとも一部が重複するすべての重複リンクRについての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得するか否かを順次判定していくことができる。
【0051】
一方、リンクカウンタmが全重複リンクRの数Mと等しいと判定した場合(ステップS175:Y)、渋滞度決定部21dの機能により制御部20は、有効な渋滞情報に基づいて制御区間Zごとに渋滞度と、モータ47aとエンジン47bとの動力比とを決定する(ステップS185)。すなわち、走行予定経路Pと重複するすべての重複リンクRについて有効な渋滞情報を取得すると、制御部20は、有効な渋滞情報に基づいて渋滞度と動力比とを決定する。そして、制御部20は、制御区間Zごとに動力比を示す情報を動力ECU46に送信する。
【0052】
(3)他の実施形態:
前記実施形態において、渋滞情報取得部21cの機能により制御部20は、部分的に重複部分DRと重複する重複リンクR上の渋滞区間Cである部分渋滞区間の区間長を修正したが、当該部分渋滞区間の区間長を修正しない構成を採用してもよい。例えば、表1の重複リンクR
1上に存在する渋滞区間C
2を修正しなくてもよい。この場合、渋滞区間C
2の区間長には車両が走行する予定でない区間の区間長も含まれることとなるが、車両が一部分も走行しない渋滞区間C
1についての渋滞情報を有効としないため、重複リンクR
1上に存在するすべての渋滞区間C
1,C
2,C
3についての渋滞情報を有効とする場合よりも適切に走行予定経路Pの渋滞度を決定できる。
【0053】
前記実施形態では、重複リンクRが複数存在する例を挙げたが、重複リンクRが単一であってもよい。また、単一の渋滞区間Cが複数の重複リンクRに跨って存在してもよい。この場合、
図3の渋滞度決定処理を重複リンクRごとに実行できるように、単一の渋滞区間Cを重複リンクRの境界(通常ノードN)で分割すればよい。さらに、単一の重複リンクR内に複数の重複部分DRが存在してもよい。例えば、重複リンクRの途中から細街路リンクrへと退出し、再び当該重複リンクRの途中から当該重複リンクRに進入する走行予定経路Pを取得した場合、当該重複リンクR内に2個の重複部分DRが存在することとなる。このような場合、制御部20は、複数の重複部分DRを対象に
図3のステップS140,S150を実行すればよい。
【0054】
前記実施形態では、出発地Sから目的地Gへと向かう走行予定経路Pが取得されたが、走行予定経路Pが経由地を含んでもよい。この場合、重複リンクRの途中の経由地にて折り返すような走行予定経路Pが取得され得るため、制御部20は、経由地を始点または終点とする重複部分DRを取得すればよい。前記実施形態では、制御区間Zごとに渋滞度を決定したが、制御部20は、走行予定経路P全体について単一の渋滞度を決定してもよいし、重複リンクRごとに渋滞度を決定してもよい。むろん、制御部20は少なくとも渋滞度を決定すればよく、必ずしもモータ47aとエンジン47bの動力比を決定しなくてもよい。
【0055】
走行予定経路取得手段は、走行予定経路を取得すればよく、目的地までの経路として探索された走行予定経路を取得してもよい。走行予定経路取得手段は、外部のサーバ等によって探索された走行予定経路を通信を介して取得してもよい。重複リンク取得手段は、走行予定経路との重複部分が少なくとも一部に存在する重複リンクを取得すればよく、リンク全体が走行予定経路と重複する重複リンクと、リンクの一部分のみが走行予定経路と重複する重複リンクとが取得され得る。
【0056】
渋滞情報取得手段は、重複部分の長さが重複リンクの長さよりも小さか否かを判定する。重複部分の長さが重複リンクの長さよりも小さい場合として、走行予定経路の開始点が重複リンクの途中に存在する場合と、走行予定経路の終了点が重複リンクの途中に存在する場合と、走行予定経路の開始点および終了点が重複リンクの途中に存在する場合とが考えられる。これらのいずれに該当する場合も、重複部分の長さが重複リンクの長さよりも小さいことをもって判定できるため、判定処理を簡素化できる。渋滞情報取得手段は、重複リンクについての渋滞情報のうち、重複部分についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得すればよい。すなわち、渋滞情報取得手段は、重複リンクについての渋滞情報のうち、重複部分以外の区間についての渋滞情報を有効な渋滞情報として取得しないようにすればよい。
【0057】
渋滞度決定手段は、有効な渋滞情報に基づいて走行予定経路の渋滞度を決定すればよく、走行予定経路全体の渋滞度を決定してもよいし、走行予定経路を構成する複数の区間ごとに渋滞度を決定してもよい。なお、決定された走行予定経路の渋滞度の利用方法は種々考えられ、各種運転支援に利用できる。例えば、決定された走行予定経路の渋滞度に基づいて、目的地の到着時刻を推定してもよいし、渋滞度の案内を行ってもよいし、車両の制御を行ってもよい。走行予定経路を構成する複数の区間ごとに渋滞度を決定する場合、渋滞度決定手段は、運転支援を行う単位ごとに設定された区間ごとに渋滞度を決定してもよい。
【0058】
また、渋滞情報取得手段は、重複部分の長さが重複リンクの長さと同じである場合、重複リンクについての渋滞情報のすべてを有効な渋滞情報として取得してもよい。上述したように重複リンクと重複部分の長さが同じである場合、走行予定経路を走行する車両は当該重複リンクの全体を走行することを意味する。従って、重複部分と重複リンクの長さが同じである場合、重複リンクについての渋滞情報のすべてを有効な渋滞情報として取得すればよい。
【0059】
さらに、有効な渋滞情報は、渋滞区間ごとに区間長と渋滞度とを示す情報であってもよい。この構成において、渋滞情報取得手段は、重複部分の長さが重複リンクの長さよりも小さい場合、当該重複リンク上に存在する渋滞区間のうち、部分的に重複部分と重複する部分渋滞区間の区間長を、当該部分渋滞区間と重複部分とが重複する部分の長さへと修正してもよい。重複部分の長さが重複リンクの長さよりも小さい場合、当該重複リンク上の渋滞区間のうち、部分的に重複部分(走行予定経路)と重複する部分渋滞区間が存在し得ることとなる。このような部分渋滞区間の区間長を走行予定経路と重複する部分の長さへと修正することにより、当該部分渋滞区間の区間長を当該部分渋滞区間のうち車両が走行する予定の部分の長さへと下方修正できる。すなわち、部分渋滞区間のうち車両が走行しない部分の長さを部分渋滞区間の区間長から控除でき、走行予定経路の渋滞度を正確に決定できる。
【0060】
さらに、本発明のように、走行予定経路とリンクとの重複部分についての渋滞情報に基づいて走行予定経路の渋滞度を決定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような手段を備えた渋滞度決定装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。