(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3次元CADを用いるとともに3次元CGによる任意の視点からの図示を用いて配管経路を立体的に把握しながら複数の管路部材で構成される配管経路の生産施工データを作成する設計工程と、
前記生産施工データの各管路部材に部材番号を付与するとともに、管路部材ごとの部材データを出力する工程と、
前記生産施工データに基づき、部材番号の記入された配管経路のアイソメトリック図を生産施工図として出力する工程と、
前記部材番号を金属管に付与するとともに、前記部材番号と対応した部材データに基づいて金属管を加工し、個々の管路部材を作製する部材加工工程と、を有し、
構築現場にて前記管路部材を前記生産施工図に基づいて接続することで配管を構築することを特徴とする配管構築方法であって、
前記部材加工工程における分岐部の形成を、1本の金属管に複数の分岐部を連続して形成可能なプルアップ式バーリング装置を用いて行うとともに、
前記プルアップ式バーリング装置は、
金属管に穿孔された下孔の周縁を立ち上げてバーリング加工を行うバーリング加工部と、
前記金属管の一端側を保持して前記バーリング加工部に対する金属管の回転制御と位置制御とを行うバーリング用搬送部と、
前記金属管に下孔を穿孔する穿孔部と、
前記バーリング用搬送部に対し平行に配置され、前記金属管の一端側を保持して前記穿孔部に対する前記金属管の回転制御と位置制御とを行う穿孔用搬送部と、を有し、
前記バーリング加工部は、
上面が略半球状を呈するとともに中心にグリップ穴を有するビットと、
前記ビットの中心が前記下孔の中心と略一致するように前記金属管内に位置させるビットレストと、
前記下孔を通して前記グリップ穴に挿入され、前記ビットを保持しながら上下動するビットグリッパと、を備え、
前記ビットグリッパは、前記ビットを保持して上方向に移動させることで前記下孔の周縁を立ち上げバーリング部を形成するとともに、前記バーリング部の形成後に前記ビットを下方向に移動させて前記ビットレストに再度載置し、
さらに、前記穿孔用搬送部と前記バーリング用搬送部との間には、前記穿孔用搬送部で保持した金属管を回転することなく前記バーリング用搬送部に保持させる金属管移送部を有することを特徴とする配管構築方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る配管構築方法について図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る配管構築方法のフローチャートである。先ず、周知の3次元CADに建築物の寸法等の躯体データを入力する。また、配管を接続する電気設備、空調設備、給排水設備、配管接続口等の位置、寸法等を入力する。次に、各設備、接続口を繋ぐ配管経路の生産施工データを3次元CADプログラムの支援を受けて設計する。尚、この配管経路のデータは複数の管路部材のデータにより構成され、これら各管路部材の寸法、曲げ部や分岐部の有無、使用部材、接続手段等も3次元CADプログラムの支援を受けて設計する。この際、一つの管路部材に分岐部と曲げ部とが極力混在しないように設計することが好ましい。また、後述の自動加工機で対応可能な寸法やピッチ等の適用条件を予め把握しておき、この適用条件から逸脱しないように管路部材の設計を行う事が好ましい。尚、これらのことはCADプログラム側が支援するようにしても良い。例えば、CADプログラム側に自動加工機の適用条件を予め入力しておき、自動加工機では対応できない寸法で管路部材の設計がなされた場合には、CADプログラム側が自動加工機で対応可能な数値を表示等で示唆するようにしても良い。
【0011】
またこの際、生産施工データは例えば
図2に示すように3次元CGによる任意の視点からの図示を可能とす
る。これにより、設計者は配管経路を立体的に把握しながら生産施工データの設計を行うことができる。以上が本発明に係る配管構築方法の設計工程(ステップS102)に相当する。
【0012】
尚、この生産施工データの設計時に、各管路部材には形状ごとの部材番号が付与されていく。また、管路部材の寸法、形状等を示す部材データが管路部材ごとに作成されていく。この部材データとしては例えば、使用する金属管の種類及び管径の情報、直線部分の長さの情報、また分岐部が存在する場合には分岐部の位置及び方向、内径の情報、また曲げ部が存在する場合には曲げ部の位置、方向、角度の情報、また管端の加工方法もしくは接続部材の情報、その他の構成部材や加工方法の情報等が挙げられる。そして、これら部材番号と部材データとは管路部材ごとに電子データもしくは紙媒体にて出力される(部材データ出力工程:ステップS104)。尚、部材データを紙媒体にて出力した場合は、例えば
図3に示すような、加工に必要な情報が記入された部材図(部材作製図)となる。そして、この部材データは加工部門に送られ、この部材データ(部材図)に基づいて管路部材が作製される(部材加工工程:ステップS108)。
【0013】
また、これと並行して例えば
図4に示すような生産施工データのアイソメトリック図が作成される(生産施工図出力工程:ステップS106)。このアイソメトリック図には各管路部材で構築された配管経路が図示されており、管路部材には部材番号が記入されている。そして、このアイソメトリック図は構築現場にて生産施工図として機能する。尚、生産施工図は生産施工データの全ての範囲を図示するようにしても良いし、配管系統ごとに図示しても良い。また、特定の範囲のみを図示するようにしても良い。
【0014】
次に、部材加工工程(ステップS108)に関して説明する。先ず、設計部門から部材データを受信すると、作業者は部材データで指定された金属管1を用意する。そして、これに部材データの部材番号を記載もしくは印字して金属管1と部材データとを対応させる。尚、部材データや部材番号をバーコード化してこれを貼着することで金属管1と部材データとを対応させても良い。尚、管路部材の特に分岐部(バーリング部)の形成と曲げ加工(ベンダー加工)には寸法精度が要求されるため、自動加工機によって行うことが好ましい。
【0015】
次に、自動加工機としての押圧式バーリング装置100によるバーリング加工の例を以下に示す。ここで、
図5に示す自動加工機としての押圧式バーリング装置100は、パイプ搬送部20と、加工部12と、プッシャ部60とを有している。
【0016】
そして、押圧式バーリング装置100によるバーリング加工では、先ず、後述するパイプチャック22a、挟持爪72等を加工する金属管1の径と対応するものに交換する。また、バーリングユニット600を金属管1の径及び加工するバーリングの径と対応するものに交換する。
【0017】
次に、加工する管路部材の部材データのうち、少なくともバーリング加工データを押圧式バーリング装置100に入力する。このバーリング加工データは分岐部となるバーリング部5の形成位置の情報、形成するバーリング部5の径の情報、また金属管1にバーリング部5を複数形成する場合にはそれぞれのバーリング部5の相対角度の情報等を有している。尚、バーリング加工データの入力は有線や記録メディアによる伝送や前述のバーコード等を介した入力としても良いし、作業者が部材図に記載された部材データを確認して手入力で行っても良い。次に、作業者は対応する部材番号の付与された金属管1を押圧式バーリング装置100のパイプ搬送部20にセットする。
【0018】
このパイプ搬送部20は、金属管1の一端を保持してこの金属管1の回転制御と長手方向の位置制御とを行うものであり、
図6に示すように、金属管1を保持するパイプチャック22aと、このパイプチャック22aを備えたチャックアーム22と、このチャックアーム22をスライドレール25に沿って移動させるアーム移動手段24aと、パイプチャック22aを回転させて金属管1の角度を変えるアーム回転手段24bと、金属管1を支持するサポータ26と、を有している。
【0019】
次に、作業者は押圧式バーリング装置100の起動ボタンを押下する。これにより、押圧式バーリング装置100の制御部はパイプチャック22aを閉動作させる。これにより、パイプチャック22aは金属管1を挟持する。次に、制御部は入力されたバーリング加工データに基づいてアーム移動手段24aを動作させ、チャックアーム22をスライドレール25に沿って移動させる。そして、金属管1の分岐部形成位置を加工部12の加工位置に位置させる。
【0020】
ここで、押圧式バーリング装置100の加工部12には、
図7に示す挟持部70が設置されている。尚、
図7(a)、(b)は挟持部70の開状態の正面図及び上面図である。この挟持部70は金属管1を左右から挟持する挟持爪72と、この挟持爪72を開閉する油圧シリンダ等の挟持手段74と、を有している。そして、制御部は挟持部70の挟持手段74を閉動作させ、左右の挟持爪72によって金属管1を挟持固定する。尚、挟持爪72は
図7(b)に示すように、加工位置Aを挟んで手前側の挟持爪72aと、奥側の挟持爪72bとで構成される。よって、挟持状態において加工位置Aの上方と下方は露出する。
【0021】
また、押圧式バーリング装置100の加工部12は
図8に示すように、挟持部70の下方に穿孔部30を有し、上方に面取り部40を有している。そして、穿孔部30は、ドリルやエンドミル等の穿孔刃32aと、この穿孔刃32aを回転させるモータ等の穿孔手段32と、穿孔刃32aを昇降させるステージ34と、を有している。また、面取り部40は、フライス等の端面切削刃42aと、この端面切削刃42aを回転させるモータ等の面取り手段42と、端面切削刃42aを昇降させるステージ44と、を有している。
【0022】
次に、制御部は穿孔手段32を動作させ穿孔刃32aを回転させる。そして、ステージ34を切削位置に上昇させる。これにより、穿孔刃32aが下側から金属管1の加工位置に当接し、この位置に下孔3を穿孔する。尚、下側から下孔3を穿孔することで切削屑は外部に落下し、金属管1内に残留することはない。これにより、切削屑に起因するバーリング加工時の悪影響を防止することができる。そして、下孔3の穿孔が完了すると、制御部はステージ34を待機位置まで降下させ、穿孔刃32aの回転を停止する。これにより、バーリング加工を行う下孔3の穿孔が完了する。
【0023】
次に、制御部はパイプ搬送部20のアーム回転手段24bを制御して金属管1を180°回転させ下孔3を上方に位置させる。次に、制御部は押圧式バーリング装置100のプッシャ部60を動作させる。ここでプッシャ部60は、
図9に示すように、油圧シリンダ等の周知の押圧手段61と、この押圧手段61が固定したプッシャステージ64と、このプッシャステージ64をガイドレール64aに沿って移動させるプッシャステージ移動手段68と、先端にバーリングユニット600が固定した接続ロッド62と、金属管1を支持するサポータ26と、を有している。尚、接続ロッド62は外筒62bと、この外筒62b内を移動するプッシュロッド62aとで構成され、外筒62bがプッシャステージ64と固定し、プッシュロッド62aが押圧手段61の動端61aと固定する。
【0024】
そして、制御部は先ずプッシャステージ移動手段68を動作させて押圧手段61をプッシャステージ64ごと加工部12側に移動させる。これにより、バーリングユニット600が接続ロッド62とともに移動し、バーリングユニット600が待機位置から加工位置に移動する。尚、このバーリングユニット600の加工位置とは、バーリングユニット600を構成するコマ部材90aの中心と下孔3の中心とが上面視で略一致する位置である。
【0025】
ここで、バーリングユニット600は、
図10(a)の模式断面図に示すように、上面が略半球状を呈したコマ部材90aと、このコマ部材90aを押圧して上下動させる押圧部602と、コマ部材90aと押圧部602の移動方向を規制して押圧部602の前後動をコマ部材90aの上下動に変換するガイド筒604と、を有している。そして、ガイド筒604と接続ロッド62の外筒62bとが接続し、押圧部602と接続ロッド62のプッシュロッド62aとが接続する。
【0026】
また、バーリングユニット600のコマ部材90aは、下方が下に開いたコの字状を呈している。そして、コの字の底面は押圧部602の上面602aと同等の角度の斜面で構成されている。また、コマ部材90aのコの字状の側壁の内面には押圧部602の上面602aと平行な溝96aと凸条96bとが形成されている。そして、押圧部602の側面には上面602aと平行な凸条606aと溝606bとが形成され、この押圧部602の溝606bとコマ部材90aの凸条96bとが係合し、押圧部602の凸条606aとコマ部材90aの溝96aとが係合する。これにより、コマ部材90aは押圧部602の上面602aに沿って摺動する。また、コマ部材90aはガイド筒604の上下方向に形成されたコマガイド孔608にスライド可能に挿入されている。
【0027】
次に、制御部はプッシャ部60の押圧手段61を動作させる。これにより、バーリングユニット600の押圧部602が動端61a、プッシュロッド62aを介して押圧される。このとき、接続ロッド62の外筒62bと接続したガイド筒604は移動せず、押圧部602のみがガイド筒604内を先側に移動する。そして、この押圧部602の移動によってコマ部材90aが押圧部602の上面602aに沿って摺動し、コマガイド孔608に沿って上昇する。これにより、コマ部材90aは、
図10(b)に示すように、金属管1の内側から下孔3の周縁を押圧して立ち上げる。これにより、金属管1にバーリング部5が形成される。
【0028】
次に、制御部は押圧手段61を待機位置に後退させる。これにより、押圧部602が奥側に後退し、これに伴いコマ部材90aが下降して、バーリングユニット600内に収容される。次に、制御部はプッシャステージ移動手段68を動作させてプッシャステージ64を待機位置に後退させる。これにより、バーリングユニット600は加工位置から待機位置に移動する。
【0029】
次に、制御部は面取り手段42を動作させ、端面切削刃42aを回転させる。次に、制御部は面取り部40のステージ44を切削位置まで下降させる。これにより、端面切削刃42aがバーリング部5の端面に当接し、端面の面取りを行う。これにより、バーリング部5の端面は平滑となる。そして、バーリング部5の面取りが完了すると、制御部はステージ44を待機位置まで上昇させ、端面切削刃42aの回転を停止する。これにより、分岐部となるバーリング部5が完成する。
【0030】
また、金属管1に複数のバーリング部5を形成する場合、制御部はバーリング加工データに基づいてパイプ搬送部20を制御し、金属管1の次の分岐部形成位置を加工位置に位置させる。また、先のバーリング部5の方向とは異なる方向にバーリング部5を形成する場合、バーリング加工データに基づいてバーリング部5を形成する方向に金属管1を回転させる。そして、前述した一連の動作によりバーリング部5を形成する。このようにして、全てのバーリング部5の形成が終了すると、制御部はチャックアーム22を初期位置に移動させパイプチャック22aを開動作する。そして、金属管1に対するバーリング加工を終了する。バーリング加工の完了した金属管1は搬出され次の加工工程に送られる。尚、この押圧式バーリング装置100は同一径のバーリング部5を連続して形成する場合に好適である。
【0031】
次に、異なる径のバーリング部5の形成に好適な
本発明に係るプルアップ式バーリング装置110によるバーリング加工の例を以下に示す。ここで、
図11に示すプルアップ式バーリング装置110は、バーリング用搬送部20Aと、穿孔用搬送部20Bと、金属管移送部20Cと、穿孔部30’と、面取り部40と、バーリング加工部50と、サポート部63と、を有している。
【0032】
そして、プルアップ式バーリング装置110によるバーリング加工では、先ず、後述するビットレスト620をバーリング加工する金属管1の径と対応するものに交換する。また、初めに形成するバーリング部5の径と対応したビット90bを選択し、ビットレスト620に載置する。また、穿孔部30’と面取り部40の挟持爪48、クランプ部56、パイプサポータ58、パイプチャック22a等を加工する金属管1の径に対応したものに交換する。
【0033】
次に、加工する管路部材の部材データのうち、少なくともバーリング加工データをプルアップ式バーリング装置110に入力する。バーリング加工データの入力は押圧式バーリング装置100と同様に有線や記録メディアによる伝送、バーコード等を介した入力としても良いし、作業者による手入力としても良い。
【0034】
次に、作業者は対応する部材番号の付与された金属管1をプルアップ式バーリング装置110の穿孔用搬送部20Bにセットする。この穿孔用搬送部20B及び後述のバーリング用搬送部20Aは、押圧式バーリング装置100のパイプ搬送部20と同等の構成を有している。そして、穿孔用搬送部20Bは穿孔部30’に対して金属管1の回転制御及び位置制御を行い、バーリング用搬送部20Aはバーリング加工部50に対して金属管1の回転制御及び位置制御を行う。尚、バーリング用搬送部20Aと穿孔用搬送部20Bとは平行に配置されるとともに、互いに対称に構成され双方ともチャックアーム22が内側に位置する。そして、バーリング用搬送部20Aと穿孔用搬送部20Bとの間には金属管移送部20Cが設置される。
【0035】
次に、作業者はプルアップ式バーリング装置110の起動ボタンを押下する。これにより、プルアップ式バーリング装置110の制御部は穿孔用搬送部20Bのパイプチャック22aを閉動作させる。これにより、パイプチャック22aは金属管1を挟持する。次に、制御部は入力されたバーリング加工データに基づいてアーム移動手段24aを動作させ、チャックアーム22をスライドレール25に沿って移動させる。そして、金属管1の分岐部形成位置を穿孔部30’の穿孔位置に位置させる。
【0036】
ここで、プルアップ式バーリング装置110の穿孔部30’は
図12に示すように金属管1を挟持固定する挟持部70と、穿孔刃32aと、この穿孔刃32aを回転させる穿孔手段32と、穿孔刃32aを昇降させるステージ34と、を有している。尚、プルアップ式バーリング装置110の穿孔部30’は穿孔刃32aが金属管1の上方に配置され、穿孔刃32aが下降することで金属管1を穿孔する。また、ステージ34はX軸、Y軸方向に移動が可能で、金属管1の径方向もしくは長手方向に楕円形の下孔3を穿孔することができる。
【0037】
次に、制御部は穿孔部30’の挟持手段74を閉動作させ、金属管1を挟持固定する。このとき、金属管1の穿孔位置は前後の挟持爪72a、72bの間に位置し、穿孔位置の上下は露出する。次に、制御部は穿孔手段32を動作させ穿孔刃32aを回転させる。次に、制御部はステージ34を切削位置に下降させる。これにより、穿孔刃32aが金属管1の加工位置に当接し、この位置に下孔3を穿孔する。このとき、必要に応じて穿孔刃32aをX軸方向もしくはY軸方向に移動させる。これにより、金属管1に楕円の下孔3を穿孔することができる。そして、下孔3の穿孔が完了すると、制御部はステージ34を待機位置まで上昇させる。これにより、下孔3の穿孔が完了する。尚、金属管1に複数のバーリング部を形成する場合、制御部は入力されたバーリング加工データに基づいて、次の分岐部形成位置を穿孔部30’の穿孔位置に位置させる。また、先の下孔3の方向とは異なる方向にバーリング部5を形成する場合、バーリング加工データに基づいて指定された角度となるよう金属管1を回転させる。そして、同様にして穿孔刃32aによる下孔3の穿孔を行う。このようにして、全ての下孔3の穿孔が完了すると、制御部は穿孔用搬送部20Bのチャックアーム22を初期位置に後退させる。
【0038】
次に、制御部は金属管移送部20Cを制御して、金属管1を回転することなく穿孔用搬送部20Bからバーリング用搬送部20Aに移動する。
【0039】
次に、制御部はバーリング加工データに基づいてバーリング用搬送部20Aのアーム移動手段24a及びアーム回転手段24bを制御して、バーリング加工を行う下孔3が上を向くようにバーリング加工部50の加工位置に位置させる。
【0040】
ここで、バーリング加工部50の本体部500は、
図13に示すように、後述のビット90bを保持するビットグリッパ52と、このビットグリッパ52の先端を開閉動作させるグリッパ開閉手段502と、ビットグリッパ52を上下動させる油圧シリンダ等の周知のグリッパ移動手段504と、金属管1を上方向から押圧保持するクランプ部56と、このクランプ部56が固定したスライドステージ506と、クランプ部56をスライドステージ506ごと上下動させるクランプ移動機構と、金属管1の下方を支持するパイプサポータ58と、を有している。尚、
図13(a)はバーリング加工部50のクランプ部56の開いた状態を示す図であり、
図13(b)はクランプ部56の閉じた状態を示す図である。
【0041】
また、プルアップ式バーリング装置110のサポート部63は
図14に示すように、先側にビットレスト620が設置されたロッド66と、金属管1を支持する金属管サポータ26と、を有している。また、ビットレスト620に載置されるビット90bは、
図15に示すように、上面が略半球状を呈するとともに中心にグリップ穴92を有し、このグリップ穴92の内周面には一定幅で所定の深さの凹条94が全周に亘って形成されている。また、ビット90bの底面には円形の位置決め凹部95aが形成されている。また、ビットレスト620は金属管1の内径よりも若干小さな略円筒状を呈するとともに、中央部分が平面状に切り欠かれ、その切欠き面がビット90bを載置するレスト面622となっている。また、レスト面622の略中心には、ビット90b側の位置決め凹部95aと係合する位置決め凸部95bを有している。尚、位置決め凹部95aと位置決め凸部95bの寸法はビット90bの径によらず基本的に同一とする。これにより、異なる径のビット90bを全てのビットレスト620で使用することが可能となる。
【0042】
そして、下孔3がバーリング加工部50の加工位置に位置した状態とは、ビットレスト620が金属管1内に内挿され、ビット90bの中心と下孔3の中心とが上面視で略一致した状態である。
【0043】
次に、制御部はバーリング加工部50のクランプ移動機構を動作させる。ここで、クランプ移動機構の好適な一例を説明する。クランプ移動機構の好適な一例は、
図13(a)、(b)に示すように、スライドステージ506と上板510とを左右2つの上リンク512a及び下リンク512bを介して接続する。また、上リンク512aと下リンク512bとの接続軸514は、ガイド板508に形成された左右のガイドスリット518に可動な状態で挿入される。また、ガイド板508には接続軸514をそれぞれ内外方向に移動させる油圧シリンダ等の周知のリンク押圧手段519が設けられる。そして、制御部がこのリンク押圧手段519を閉動作させる。これにより、左右の接続軸514はガイドスリット518に沿って内側に移動する。この接続軸514の移動に伴い上リンク512aと下リンク512bとの屈曲角度は拡がり、スライドステージ506と上板510との間隙は押し拡げられる。これにより、スライドステージ506が下方に移動し、これに伴ってクランプ部56が下降して
図13(b)に示すクランプ部56が閉じた状態となる。これにより、金属管1はクランプ部56とパイプサポータ58とで押圧保持される。尚、クランプ部56の中央部分には少なくともビット90bが通過可能な大きさの開口部を有しており、下孔3はクランプ部56の開口部により露出する。
【0044】
次に、制御部はバーリング加工部50のグリッパ移動手段504を下降動作させる。これにより、ビットグリッパ52が下方向に移動する。そして、
図16(a)に示すように、ビットグリッパ52の先部がクランプ部56の開口部及び下孔3を通過して金属管1内に内挿されたビット90bのグリップ穴92内に挿入する。尚、ビットグリッパ52の先部は一対のグリップ部材520a、520bを有しており、これらグリップ部材520a、520bの先端部分の所定の位置には開方向に突出した凸部522が形成されている。そして、ビットグリッパ52はグリップ部材520a、520bの凸部522とグリップ穴92の凹条94とが略一致する位置で停止する。
【0045】
次に、制御部はグリッパ開閉手段502を動作させる。これにより、グリップ部材520a、520bの先端部分が開き、
図16(b)に示すように、ビットグリッパ52の凸部522が凹条94内に嵌入する。これにより、ビットグリッパ52がビット90bを保持する。
【0046】
次に、制御部はグリッパ移動手段504を上昇動作させる。これにより、ビットグリッパ52はビット90bを保持したまま上方向に移動する。このとき、ビット90bの径は下孔3の径よりも大きいから、ビット90bの略半球状の上面は下孔3の周縁に当接し、ビット90bの上昇に伴ってこれを徐々に立ち上げる。そして、この下孔3周縁の塑性変形により
図16(c)に示すようにバーリング部5が形成される。このとき、金属管1の上面はクランプ部56によって押圧保持されているため、金属管1の全体が湾曲することはない。
【0047】
次に、制御部はビット90bがバーリング部5から抜けきらない位置でグリッパ移動手段504の動作を停止する。そして、再度、グリッパ移動手段504を下降動作させる。これにより、ビットグリッパ52がビット90bを保持したまま下方向に移動する。そして、
図16(d)に示すように、ビット90bをビットレスト620の元の位置に戻して停止する。次に、制御部はグリッパ開閉手段502を閉動作させる。これにより、
図16(e)に示すように、グリップ部材520a、520bの先端部分が閉じ、ビットグリッパ52によるビット90bの保持は解除される。そして、位置決め凹部95a、位置決め凸部95bによってビット90bはレスト面622の特定の位置に載置される。次に、制御部はグリッパ移動手段504を上昇動作させる。これにより、ビットグリッパ52は上方向に移動し、ビットグリッパ52の先端はグリップ穴92から抜き出され、
図16(f)に示すように、バーリング部5よりも上方の待機位置で停止する。
【0048】
次に、制御部は本体部500のリンク押圧手段519を開動作させる。これにより、
図13(a)に示すように、接続軸514が外側に移動し上リンク512a、下リンク512bの屈曲角度は狭まる。これにより、クランプ部56がスライドステージ506とともに上昇し、クランプ部56による金属管1の押圧保持は解除される。
【0049】
次に、制御部はバーリング用搬送部20Aを制御して金属管1を所定量後退させ、形成後のバーリング部5を面取り部40の加工位置に位置させる。次に、制御部は面取り部40の面取り手段42を動作させ、端面切削刃42aを回転させる。次に、制御部は面取り部40のステージ44を切削位置まで下降させる。これにより、端面切削刃42aがバーリング部5の端面に当接し、端面の面取りを行う。これにより、バーリング部5の端面は平滑となる。そして、面取り部40による面取りが完了すると、制御部はステージ44を待機位置まで上昇させ、端面切削刃42aの回転を停止する。
【0050】
次に、この金属管1に同一径のバーリング部5を複数形成する場合、制御部は形成済みのバーリング部5がプルアップ式バーリング装置110の各部に接触しないようアーム移動手段24a、アーム回転手段24bを適宜動作させながら、次にバーリング加工を行う下孔3をバーリング加工部50の加工位置に位置させる。そして、上記の一連の動作によりバーリング部5を形成する。そして、形成したバーリング部5の面取りを行う。
【0051】
また、異なる径のバーリング部5を形成する場合、制御部はバーリング用搬送部20Aを制御して金属管1をバーリング加工部50から一旦退避させ、ビットレスト620及びビット90bを露出させる。そして、ランプやブザー等によって作業者に報知する。作業者はこれを受けてビット90bを次にバーリング加工を行う径のものと交換する。そして、再始動ボタン等を押下する。これにより、制御部はアーム移動手段24a、アーム回転手段24bを適宜動作させながら、新たな径のバーリング部5を形成する下孔3をバーリング加工部50の加工位置に位置させる。そして、上記の一連の動作によりバーリング部5を形成し、面取りを行う。このようにして、金属管1の全てのバーリング部5の形成が完了したら、制御部はアーム移動手段24a、アーム回転手段24bを適宜動作させながらチャックアーム22を初期位置に移動させパイプチャック22aを開動作する。そして、金属管1に対するバーリング加工を終了する。バーリング加工の完了した金属管1は搬出され次の加工工程に送られる。
【0052】
次に、自動加工機としてのベンダー加工機120を用いたベンダー加工の例を以下に示す。ここで、
図17(a)は金属管1を配置していない状態のベンダー加工機120を上から見た概略図であり、
図17(b)はベンダー加工機120を金属管1の挿入方向から見た概略図である。また、
図17(c)は金属管1を保持したベンダー加工機120の上面概略図であり、
図17(d)はベンダー加工を行ったベンダー加工機120の上面概略図である。
【0053】
先ず、
図17に示すベンダー加工機120は、ベンダー用搬送部20Dと、金属管1を内側からサポートする保持バー88と、ベンダー加工時に金属管1の基側を保持するスライドクランプ84及び補助クランプ86と、ベンダー加工時に金属管1の先側を保持して回転するドラムクランプ80及び回転クランプ82と、を有している。そして先ず、パイプチャック22a、ドラムクランプ80、回転クランプ82、スライドクランプ84、補助クランプ86、保持バー88等をベンダー加工を行う金属管1の径に対応するものに交換する。
【0054】
次に、加工する管路部材の部材データのうち、少なくともベンダー加工データをベンダー加工機120に入力する。このベンダー加工データは曲げ部の形成位置の情報、曲げ角度の情報、また金属管1に曲げ部を複数形成する場合には先の曲げ部との相対角度の情報等を有している。尚、ベンダー加工データの入力は押圧式バーリング装置100と同様に有線や記録メディアによる伝送やバーコード等を介した入力としても良いし、作業者が部材図に記載された部材データを確認して手入力で行っても良い。
【0055】
次に、作業者は対応する部材番号の付与された金属管1をベンダー用搬送部20Dにセットする。この際、保持バー88は金属管1内に内挿される。尚、保持バー88の先端部分はある程度の範囲で屈曲が可能な屈曲部88aとなっており、この屈曲部88aはベンダー加工機120の加工位置に位置する。次に作業者はベンダー加工機120の起動ボタンを押下する。
【0056】
これにより、ベンダー加工機120の制御部はベンダー用搬送部20Dのパイプチャック22aを閉動作させ金属管1を挟持する。これにより、金属管1は保持バー88を内挿した状態で保持される。
【0057】
次に、制御部はベンダー加工データに基づいてベンダー用搬送部20Dのアーム移動手段24aを動作させ金属管1のベンダー加工位置をベンダー加工機120の加工位置に位置させる。このとき、保持バー88は移動せず、保持バー88の屈曲部88aは加工位置に位置している。
【0058】
次に、制御部はドラムクランプ80、回転クランプ82、スライドクランプ84、補助クランプ86を閉動作させる。これにより、
図17(c)に示すように、金属管1は先側がドラムクランプ80と回転クランプ82とで挟持され、基側がスライドクランプ84と補助クランプ86とで挟持される。
【0059】
次に、制御部はドラムクランプ80、回転クランプ82をベンダー加工データに指示された角度だけ回転させる。このときの回転はドラムクランプ80の回転軸を中心に行う。またこの時、チャックアーム22及びスライドクランプ84は金属管1の湾曲の分、先側に移動する。これにより、金属管1は
図17(d)に示すように、ドラムクランプ80の周面溝80aに沿って弧を描いて湾曲する。この際、保持バー88の屈曲部88aが適宜屈曲してベンダー加工時の金属管1の潰れを防止する。次に、制御部はドラムクランプ80、回転クランプ82、スライドクランプ84、補助クランプ86をそれぞれ開動作させ初期位置に移動させる。これにより、金属管1の曲げ部が形成される。
【0060】
次に、この金属管1に複数の曲げ部を形成する場合、制御部はベンダー加工データに基づいてアーム移動手段24a動作させ、次にベンダー加工を行う位置をベンダー加工機120の加工位置に位置させる。また、次の曲げ部の方向が前の曲げ部の方向とは異なる場合には、制御部はベンダー加工データに基づいてアーム回転手段24bを動作させ指定された角度となるよう金属管1を回転させる。そして、上記の一連の動作によりベンダー加工を行う。このようにして、全てのベンダー加工が終了すると、制御部はパイプチャック22aを開動作する。そして、金属管1に対するベンダー加工を終了する。ベンダー加工の完了した金属管1は搬出され次の加工工程に送られる。
【0061】
そして、上記のようにしてバーリング加工及びベンダー加工が終了した金属管1には、切断加工、フランジの設置やネジ切り、フレア加工、分岐管の溶接や接続等の加工が必要に応じて施され、管路部材として完成する。尚、完成した管路部材には目視可能な位置に部材番号のラベルを貼着することが好ましい。この構成によれば、組み立て作業者が部材番号の確認を迅速に行う事ができる。以上が本発明に係る配管構築方法の部材加工工程(ステップS108)に相当する。
【0062】
次に、作製された管路部材は配管の構築現場に搬入される。そして、組み立て作業者は部材番号が記入された生産施工図と、管路部材の部材番号を確認しながら配管経路の構築を行う(施工工程:ステップS110)。この際、管路部材には部材加工工程により、分岐管、曲げ部、各種継手等が既に設けられており、現場で部材加工を行う必要がない。このため、組み立て作業者は管路部材を生産施工図に基づいて接続するだけで配管経路の構築を行うことができる。よって、配管加工技術を有さない作業者でも配管経路の施工を短時間で簡単に行うことができる。また、これら管路部材は3次元CADプログラムによって設計され、この設計時の部材データに基づいて自動加工機で加工される。従って高い寸法精度を有しており、配管経路を高精度で施工する事ができる。
【0063】
尚、管路部材ごとの部材データ(部材図)及び生産施工データ(生産施工図)は、その他の関連資料とともに一括して記録、保管することが好ましい。尚、保管は電子データで行っても良いし、紙媒体でファイリングしても良い。この構成によれば、後日、配管経路の保守管理や改修工事、補修等を行う際に、配管経路の全体像と各管路部材の形状とが瞬時に把握でき、調査や工事期間等の短縮を図ることができる。また、3次元CADプログラムの支援により、部材データ及び生産施工データに加え、これら配管経路で接続する電気設備、空調設備、給排水設備等の一覧表データを作成し、各設備及び管路部材の取得時期、取得金額を記述し、これを資産管理、即ち減価償却費や固定資産税の算出等に用いても良い。尚、これら各設備のデータは、各設備の改修や維持管理にも利用可能である。
【0064】
以上のように、本発明に係る配管構築方法では配管経路の設計を3次元CADを用いて行う。これにより、設計者は配管経路を立体的に把握しながら生産施工データの設計を行うことができる。またこの際、生産施工データを構成する各管路部材の部材データが作成されるとともに、この部材データが管路部材ごとに出力される。また、生産施工データのアイソメトリック図が生産施工図として出力される。そして、出力された部材データに基づいて管路部材の加工が行われる。この加工は主に自動加工機により行われるため管路部材を高い寸法精度で作製することができる。このようにして作製された各管路部材は、配管の構築現場において作業者によって組み立てられる。この際、各管路部材は既に加工が完了しプレキャスト化しているため、組み立て作業者は管路部材を生産施工図に基づいて接続するだけで配管経路の構築を行うことができる。これにより、配管加工技術を有さない作業者でも配管経路の施工を短時間で簡単に行うことができる。
【0065】
また、管路部材ごとの部材データ(部材図)及び生産施工データ(生産施工図)を一括して記録、保管することで、配管経路の全体像と各構成部材とを図面上で把握することができる。これにより、配管経路の保守管理や改修工事、補修等を効率的に行う事ができる。また、これら配管経路で接続する各設備のデータも同時に出力することで、これらデータを資産管理、設備の改修、維持管理等に用いることができる。
【0066】
尚、本例で示した配管構築方法は一例であるから、各工程は本発明の要旨を逸脱しない範囲で入れ替え及び変更して実施することが可能である。また、本例で示した自動加工機の構成、動作、金属管1の加工順序、加工方法等は一例であるから、特に本例に限定されず適宜変更して実施することができる。