(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持格子および前記側板は、上下方向に複数のユニットに分割形成され、各前記ユニットを全て締着および嵌め込みにより組み立て連結することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料収納ラック。
前記補強格子は、隣接する各前記格子に連通する貫通穴が形成されており、前記外枠板は、各前記格子に連通する貫通穴が形成されており、前記底板は、前記支持格子における各前記格子、および前記補強格子の各前記格子の位置に対応して貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の燃料収納ラック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献3〜特許文献5では、ボロンを添加した鋼板の溶接を避けている。しかし、特許文献3では、燃料集合体を収納するセルを構成するラック本体は、ラック上部およびラック底部に溶接接合により強度を確保するため、側板がステンレス鋼で形成されている。そのため、燃料収納ラックの外周部となる側板の部分での中性子吸収性能が低下することになる。特許文献4も同様に、燃料収納ラックの外周部となる外枠の部分での中性子吸収性能が低下することになる。この結果、燃料プール内で各燃料収納ラックの間隔を大きくしなければならず、燃料集合体の収納容量の低下を招くことになる。
【0012】
一方、特許文献5では、格子状構造物のセルの内面にボロン添加ステンレス鋼板をビスで止めて貼り付けており、燃料収納ラックの外周部となる部分にもボロン添加ステンレス鋼板が配置されているため、特許文献3および特許文献4のような問題は回避される。しかし、特許文献5では、ボロン添加ステンレス鋼板を貼り付けるために、ステンレス鋼製の格子状構造物がボロン添加ステンレス鋼板に沿って配置されている。ステンレス鋼は、ボロン添加ステンレス鋼板と共に積層配置されている場合、ボロン添加ステンレス鋼が吸収する中性子を反射する性質を有する。そのため、中性子吸収性能が低下するおそれがある。
【0013】
本発明は上述した課題を解決するものであり、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことのできる燃料収納ラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するために、発明例の燃料収納ラックは、燃料プールの冷却水中で燃料を収納する燃料収納ラックにおいて、非中性子吸収材からなり、複数の格子を形成する上部支持格子、複数の格子を形成し底部が底板で覆われた下部支持格子、および前記上部支持格子を上端部に固定し前記下部支持格子を下端部に固定する固定部を有したラック本体と、前記ラック本体の上下方向に連続する中性子吸収材からなる複数の板材が、各前記支持格子における各前記格子を囲むように各前記支持格子に挿入して配置された燃料収納セルと、を備えることを特徴とする。
【0015】
この燃料収納ラックによれば、ラック本体と燃料収納セルとを独立して別に形成でき、ラック本体は、少なくとも上下に分割された各支持格子を有し、燃料収納セルは、ラック本体の各支持格子に中性子吸収材からなる複数の板材が挿入して配置される。このため、ラック本体側は、中性子を反射させる要素を低減し、かつ強度を確保するため溶接により接合して組み立てられる。一方、燃料収納セル側は、ラック本体に挿入できるように板状に形成され溶接などで形成する必要がない。この結果、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。
【0016】
また、発明例の燃料収納ラックでは、前記燃料収納セルは、前記板材の上端部に、前記ラック本体の前記上部支持格子の上縁に掛かる掛止部材を有することを特徴とする。
【0017】
この燃料収納ラックによれば、中性子吸収材からなる板材を、ラック本体に対して適宜配置させることができる。
【0018】
また、発明例の燃料収納ラックでは、前記ラック本体の前記下部支持格子における前記底板に挿入穴が形成されており、前記燃料収納セルにおける前記板材の下端に前記挿入穴に挿入される突起が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この燃料収納ラックによれば、中性子吸収材からなる板材を、ラック本体に対して位置決めして配置させることができる。
【0020】
また、発明例の燃料収納ラックでは、前記燃料収納セルは、隣接する各前記格子に跨るように2つの前記板材の上端部が連結して形成されることを特徴とする。
【0021】
この燃料収納ラックによれば、2つの板材が隣接する格子の収納エリアにまとめて配置されるため、板材の配置を容易に行うことができる。
【0022】
また、発明例の燃料収納ラックでは、前記上部支持格子および前記下部支持格子は、前記格子の仕切が二重に形成されていることを特徴とする。
【0023】
この燃料収納ラックによれば、燃料の間隔を広く取れるので、燃料の臨界防止効果を高めることができる。
【0024】
また、発明例の燃料収納ラックでは、前記ラック本体がパンチングメタルにより形成されることを特徴とする。
【0025】
燃料収納セルをなす中性子吸収材は、高速中性子よりも熱中性子を吸収しやすい性質を持っている。一方、燃料プールの冷却水(厳密には、冷却水中に含まれる水素)は、高速中性子を減速して熱中性子に変換する機能を有する。よって、ラック本体をパンチングメタルにて構成すれば、パンチング穴へも減速材である冷却水が満たされ、高速中性子を効率よく熱中性子に変換するため、中性子吸収材は熱中性子を捕捉しやすくなり、燃料の臨界防止効果を高めることができる。
【0026】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る燃料収納ラックは、燃料プールの冷却水中で燃料を収納する燃料収納ラックにおいて、上下に連続する複数の仕切板が交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成する支持格子と、前記支持格子の外周を囲む側板と、前記支持格子における各前記格子の底部を覆う底板と、前記底板を介して前記支持格子の下部に配置される台盤と、を有し、前記支持格子、前記側板、前記底板および前記台盤を全て締着および嵌め込みにより組み立て、かつ少なくとも前記支持格子および前記側板を中性子吸収材からなる板材で形成することを特徴とする。
【0027】
この燃料収納ラックによれば、支持格子、側板、底板および台盤を全て締着および嵌め込みにより組み立て、かつ少なくとも支持格子および側板を中性子吸収材からなる板材で形成することで、中性子吸収材からなる板材を溶接により組み立てることがない。このため、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。しかも、この燃料収納ラックによれば、支持格子、側板、底板および台盤を全て締着および嵌め込みにより組み立てることから、中性子吸収材の溶接による接合が不要であり、溶接接合部の健全性を管理する必要がない。このため、燃料収納ラックの組み立てを燃料プールの近くである原子力発電プラントの施設内で行うことができ、燃料収納ラックの燃料プールへの搬入を容易に行うことができる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記支持格子は、二重の前記仕切板が交差して組まれており、二重の前記仕切板の間で接続金具を締着して組み立てられており、かつ前記接続金具を介し、前記支持格子と前記側板と前記底板と前記台盤とを組み立てることが好ましい。
【0029】
この燃料収納ラックによれば、支持格子が接続金具を締着して仕切板が二重に形成されており、接続金具を介して支持格子と側板と底板と台盤とが組み立てられている。中性子吸収材からなる仕切板および側板は、中性子吸収機能を有するが、この中性子吸収材は、高速中性子よりも熱中性子を吸収しやすい性質を持っている。一方、燃料プール内の冷却水(厳密には、冷却水中に含まれる水素)は、高速中性子を減速して熱中性子に変換する機能を有する。従って、二重に形成した仕切板の間に冷却水が満たされることで、仕切板を間においた各燃料での冷却水の厚さ(ウオータートラップ)が大きく確保され、多くの高速中性子を熱中性子に変換することから、中性子吸収材は中性子(熱中性子)を効率よく捕捉することができ、燃料の臨界防止効果をより高めることができる。
【0030】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記接続金具が前記仕切板の交差部に配置され、各前記仕切板がなす内角に沿うL字金具を介して前記接続金具および前記仕切板が締着されることが好ましい。
【0031】
この燃料収納ラックによれば、L字金具を介して接続金具および仕切板を締着することで、燃料を収納する強度を向上することができる。
【0032】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記支持格子および前記側板は、上下方向に複数のユニットに分割形成され、各前記ユニットを全て締着および嵌め込みにより組み立て連結することが好ましい。
【0033】
燃料は、その長さが4mを超えるものであり、この燃料を収納する燃料収納ラックは燃料の長さを超える高さを要する大型のものとなる。従って、支持格子および側板を、上下方向に複数のユニットに分割形成した燃料収納ラックによれば、各ユニット単位で組み立てることが可能であり、組み立てを容易に行うことができる。
【0034】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記仕切板が、各前記格子単位で分割して形成され、前記接続金具を介して締着して連結されることが好ましい。
【0035】
この燃料収納ラックによれば、仕切板を細分割することで、取り扱いを容易に行うことができる。
【0036】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記台盤は、複数の補強板が交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成する補強格子と、前記補強格子の外周を囲む外枠板と、を有し、前記補強格子および前記外枠板を全て締着および嵌め込みにより組み立てることが好ましい。
【0037】
この燃料収納ラックによれば、補強板が交差して組まれた補強格子、および補強格子の外周を囲む外枠板により、燃料を収納する収納エリアをなす支持格子および側板を支持することで、燃料を収納する強度を向上することができる。
【0038】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記補強格子は、二重の前記補強板が交差して組まれており、二重の前記補強板の間で接続金具を締着して組み立てられており、かつ前記接続金具を介し、前記補強格子と前記外枠板とを組み立てることが好ましい。
【0039】
この燃料収納ラックによれば、補強板を二重に組むことで、燃料を収納する強度をより向上することができる。
【0040】
また、本発明の一態様に係る燃料収納ラックでは、前記補強格子は、隣接する各前記格子に連通する貫通穴が形成されており、前記外枠板は、各前記格子に連通する貫通穴が形成されており、前記底板は、前記支持格子における各前記格子、および前記補強格子の各前記格子の位置に対応して貫通穴が形成されていることが好ましい。
【0041】
この燃料収納ラックによれば、台盤の貫通穴、および底板の貫通穴を介し、支持格子および側板がなす各格子における燃料の収納エリア内に冷却水を導く。このため、収納エリア内で燃料プール内の冷却水により燃料の崩壊熱を効率的に除去することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、発明例に係る燃料収納ラックのラック本体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、発明例に係るラック本体の上部支持格子を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、発明例に係る燃料収納ラックのラック本体の他の例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、発明例に係る燃料収納ラックの一部を示す平断面図である。
【
図5】
図5は、発明例に係る燃料収納ラックを示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルの一部を示す拡大断面図である。
【
図9】
図9は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルの一部を示す拡大断面図である。
【
図10】
図10は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルの一部を示す拡大断面図である。
【
図11】
図11は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルの一部を示す拡大斜視図である。
【
図12】
図12は、発明例に係る燃料収納ラックのラック本体の一部を示す平面図である。
【
図13】
図13は、発明例に係る燃料収納ラックのラック本体の他の例を示す縦断面図である。
【
図14】
図14は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルの他の例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、発明例に係る燃料収納ラックの燃料収納セルの他の例を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックを示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットにおける仕切板を示す側面図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットにおける仕切板を示す側面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットを示す縦断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットにおける仕切板の他の例を示す側面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットにおける仕切板の他の例を示す側面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す平面図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す縦断面図
であり、図23の矢視A図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す平面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す縦断面図
であり、図25の矢視B図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す縦断面図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す底面図
であり、図27の矢視C図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す縦断面図である。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの上部ユニットの一部を示す底面図
であり、図29の矢視D図である。
【
図31】
図31は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの中間ユニットを示す縦断面図である。
【
図32】
図32は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの中間ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図33】
図33は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの中間ユニットの一部を示す縦断面図
であり、図31の範囲E拡大図である。
【
図34】
図34は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの中間ユニットの一部を示す縦断面図
であり、図31の範囲F拡大図である。
【
図35】
図35は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの下部ユニットを示す縦断面図である。
【
図36】
図36は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの下部ユニットの一部を示す仰角斜視図である。
【
図37】
図37は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの底板の一部を示す仰角斜視図である。
【
図38】
図38は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤を示す斜視図である。
【
図39】
図39は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤における補強板を示す側面図である。
【
図40】
図40は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤における補強板を示す側面図である。
【
図41】
図41は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤の一部を示す平面図である。
【
図42】
図42は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤の一部を示す縦断面図である。
【
図43】
図43は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤の一部を示す平面図である。
【
図44】
図44は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤の一部を示す縦断面図である。
【
図45】
図45は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの台盤の他の例を示す斜視図である。
【
図46】
図46は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの脚を示す縦断面図である。
【
図47】
図47は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの脚を示す底面図である。
【
図48】
図48は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの支持格子の他の例を示す斜視図である。
【
図49】
図49は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの支持格子の他の例を示す斜視図である。
【
図50】
図50は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの支持格子の他の例を示す斜視図である。
【
図51】
図51は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの支持格子の他の例を示す斜視図である。
【
図52】
図52は、本発明の実施形態に係る燃料収納ラックの支持格子の他の例を示す斜視図である。
【
図53】
図53は、原子力発電プラントを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、発明例および本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この発明例および実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記発明例および実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0045】
本実施形態の燃料貯蔵設備は、原子力発電プラントにおいて適用される。
図53は、原子力発電プラントを示す概略構成図であり、
図54は、原子炉格納容器を示す概略図である。
【0046】
本実施形態において、原子力発電プラントは、例えば、
図53に示すように、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)112が適用される。加圧水型原子炉112は、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器113に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン118へ送って発電機123で発電する。
【0047】
この加圧水型原子炉112を有する原子力発電プラントにおいて、原子炉格納容器111の内部に、加圧水型原子炉112および蒸気発生器113が格納されている。加圧水型原子炉112と蒸気発生器113とは、冷却水配管114,115を介して連結されている。冷却水配管114は、加圧器116が設けられ、冷却水配管115は、冷却水ポンプ117が設けられている。この場合、減速材および一次冷却水として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器116により160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉112にて、燃料としての低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水としての軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器116により所定の高圧に維持された状態で冷却水配管114を通して蒸気発生器113に送られる。この蒸気発生器113では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管115を通して加圧水型原子炉112に戻される。
【0048】
蒸気発生器113は、原子炉格納容器111の外部に設けられたタービン118および復水器119と冷却水配管120,121を介して連結されており、冷却水配管121に給水ポンプ122が設けられている。また、タービン118は、発電機123が接続され、復水器119は、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管124および排水管125が連結されている。従って、蒸気発生器113にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管120を通してタービン118に送られ、この蒸気によりタービン118を駆動して発電機123により発電を行う。タービン118を駆動した蒸気は、復水器119で冷却して水に戻された後、冷却水配管121を通して蒸気発生器113に戻される。
【0049】
このように構成された原子力発電プラントにおいて、原子炉格納容器111は、
図54に示すように、その内部に、上述した加圧水型原子炉112、蒸気発生器113、加圧器116などが収容されている。また、原子炉格納容器111に隣接して燃料取扱建屋130が設置され、この燃料取扱建屋130に燃料貯蔵設備131が設けられている。
【0050】
燃料貯蔵設備131は、コンクリート製で床面132aおよび内壁面132bがステンレス製のライニング板で防水被覆された燃料プール132を有している。燃料プール132は、平面視で矩形状の床面132aの4辺に、内壁面132bが垂直に立設するように形成されている。この燃料プール132は、冷却水が満たされ、その中に本実施形態の燃料収納ラック1が設置される。
【0051】
[発明例]
図1〜
図15は、本発明例に係る燃料収納ラックを示す。本発明例の燃料収納ラック1は、燃料としての燃料集合体を複数立てた状態で収納するものである。燃料集合体は、図には明示しないが、PWR用の場合、複数の燃料棒が支持格子により外形が矩形状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。また、燃料集合体は、沸騰型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)用の場合、複数の燃料棒がスペーサグリッドにより外形が矩形状に束ねられ、上端部に上部タイプレートが固定される一方、下端部に下部タイプレートが固定されており、下部タイプレートの下側にノーズピースが突出して固定されている。
【0052】
燃料収納ラック1は、
図1に示すように、ラック本体2を備えている。ラック本体2は、ステンレス鋼製の上部支持格子3、下部支持格子4、中間支持格子5、支柱6、補強部材7および脚8により強固な構造物として構築され、燃料収納ラック1としての構造強度部材をなす。
【0053】
上部支持格子3は、全体として平面視で矩形状に形成され、格子部材3Aと外枠3Bとを有する。格子部材3Aは、複数の仕切が交差して井桁状に組まれて複数の格子を形成している。本発明例では、
図2に示すように、格子部材3Aは、複数の仕切板3Aaが互いにスリット3Abに上下方向で挿入されて交差して井桁状に組まれて複数の格子を形成している。各仕切板3Aaは、溶接により接合される。外枠3Bは、
図1に示すように、格子部材3Aの外周を囲んで設けられた板材からなる。格子部材3Aおよび外枠3Bは、溶接により接合される。これにより、上部支持格子3は、各格子内の領域が上下に貫通して燃料が挿入される収納エリアAをなす。なお、図には明示しないが、上部支持格子3は、仕切板3Aaを、鋼棒、または角鋼管などの鋼管とした構成に代えてもよく、または1つの格子を形成する角筒を外枠3Bで束ねた構成であってもよい。
【0054】
下部支持格子4および中間支持格子5は、上部支持格子3と同寸法で全体として平面視で矩形状に形成され、上部支持格子3と同様に構成されている。すなわち、下部支持格子4および中間支持格子5は、格子部材4A,5Aと外枠4B,5Bとを有し、溶接により接合され、各格子が上下に貫通して燃料が挿入される収納エリアAをなす。また、下部支持格子4にあっては、その底部が底板4Cで覆われている。この底板4Cは、燃料の下端部を支持するものである。この底板4Cは、PWR用の燃料を挿通させない程度で冷却水を通す貫通穴4Ca(
図4参照)が、各格子である収納エリアAに対応して設けられている。なお、BWR用の燃料を収納する場合、貫通穴4Caは、ノーズピースを挿入させる穴として用いられる。
【0055】
支柱6は、上部支持格子3と中間支持格子5との間、および中間支持格子5と下部支持格子4との間を連結するもので、L字形の平断面で上下方向に長手状に形成され、各支持格子3,4,5の4隅に溶接により接合される。
【0056】
補強部材7は、隣接する支柱6の間において、上部支持格子3と中間支持格子5との間、および中間支持格子5と下部支持格子4との間を連結するもので、長板状に形成され、各支持格子3,4,5の間で交差して配置されて、各支持格子3,4,5および支柱6に溶接により接合される。
【0057】
脚8は、下部支持格子4の4隅(および
図5に示すように下部支持格子4の中央)であって支柱6の直下となる位置で、下部支持格子4の底部である底板4Cの底面に設けられ、燃料プール132の床面132a上で燃料収納ラック1を支持するものである。脚8は、例えば、板材により角筒状に形成され、底板4Cの底面に溶接により接合される。この場合、脚8は、下部支持格子4における格子部材4Aの仕切板4Aaの直下に位置するように設けられ、その側壁に、筒内に配置される底板4Cの貫通穴4Caを外部に連通させる貫通穴8aが形成される。または、脚8は、支柱6と同様にL字形の平断面で形成されていてもよい。
【0058】
図3は、他のラック本体2を示し、このラック本体2は、
図1に示すラック本体2に対し、支柱6および補強部材7に代えて、各支持格子3,4,5の外枠3B,4B,5B、支柱6および補強部材7を一体とした側板9を有する。この場合、各支持格子3,4,5の格子部材3A,4A,5Aの端部に、突起3Ac,4Ac,5Acが設けられ、側板9には、この突起3Ac,4Ac,5Acが挿入される挿入穴9aが設けられる。そして、各支持格子3,4,5の格子部材3A,4A,5Aおよび側板9は、溶接により接合される。
【0059】
なお、
図1および
図3に示すラック本体2において、上部支持格子3と下部支持格子4の間に中間支持格子5を1個のみ配設した例を示しているが、複数個の中間支持格子5を配設してもよい。この際、
図1に示すラック本体2において、支柱6および補強部材7は、各中間支持格子5の間にも配置される。また、脚8も、適宜に増やすことができる。また、
図1および
図3に示すラック本体2において、上部支持格子3と下部支持格子4の間に中間支持格子5を設けなくてもよい。
【0060】
また、
図4および
図5に示すように、本発明例の燃料収納ラック1は、燃料収納セル10を備えている。燃料収納セル10は、中性子吸収材からなる複数の板材11を有する。中性子吸収材は、ボロン、ガドリニウムの少なくとも一方を添加したステンレス鋼や、ボロン化合物(好ましくは炭化ホウ素)、ガドリニウムの少なくとも一方を含有するアルミニウム複合材からなる。この板材11は、各支持格子3,4,5における各格子を囲むように配置されている。具体的に、板材11は、ラック本体2の上下方向に連続して形成され、
図4に示すように、各支持格子3,4,5の格子部材3A,4A,5Aにおける各仕切板3Aa,4Aa,5Aaで囲まれる格子である収納エリアA、または格子部材3A,4A,5Aにおける各仕切板3Aa,4Aa,5Aaおよび外枠3B,4B,5Bで囲まれる格子である収納エリアAを囲むように、各仕切板3Aa,4Aa,5Aaや外枠3B,4B,5Bに沿って配置されている。そして、1つの収納エリアAを囲む各板材11(
図4では4つの板材11)により1つの燃料が挿入し収納される燃料収納セル10となる。
【0061】
燃料収納セル10は、
図5および
図6に示すように、各支持格子3,4,5の格子部材3A,4A,5Aにおける各仕切板3Aa,4Aa,5Aaに対応する内側セルユニット10Aと、
図5および
図7に示すように、各支持格子3,4,5の外枠3B,4B,5Bに対応する外側セルユニット10Bとを有する。
【0062】
内側セルユニット10Aは、
図5および
図6に示すように、2つの板材11が対面して設けられ、各板材11の上端がブラケット(掛止部材)12に固定され互いに連結されている。そして、ブラケット12が上部支持格子3における各仕切板3Aaの上縁に掛け止められることで、2つの板材11が上部支持格子3の仕切板3Aaを跨ぎ、隣接する各格子を跨ぐように、隣接する収納エリアAに配置される。この内側セルユニット10Aを、矩形状の1つの格子において、4辺の仕切板3Aaにブラケット12を掛け止めることで、1つの格子において各仕切板3Aa,4Aa,5Aaに沿って収納エリアAを囲むように4つの板材11が配置される。同時に、この1つの格子に隣接する4つの格子の1辺の各仕切板3Aa,4Aa,5Aaに沿って1つの板材11が配置されることになる。この内側セルユニット10Aにより、2つの板材11が隣接する収納エリアAにまとめて配置されるため、板材11の配置を容易に行うことができる。なお、ブラケット12は必ずしも設けなくてもよく、例えば、板材11の上端がつながって折り曲げられている構成により、ブラケット12をなくしてもよい。
【0063】
外側セルユニット10Bは、
図5および
図7に示すように、1つの板材11の上端がブラケット(掛止部材)12に固定されている。そして、ブラケット12が上部支持格子3における外枠3Bの上縁に掛け止められることで、1つの板材11が外枠3B,4B,5Bに沿って配置される。これにより、
図5に示すように、全ての格子において、収納エリアAを囲むように各板材11が配置される。なお、ブラケット12は必ずしも設けなくてもよく、例えば、板材11の上端が折り曲げられている構成により、ブラケット12をなくしてもよい。
【0064】
ここで、ブラケット12は、
図6および
図7に示すように、ステンレス鋼板を下側が閉塞する閉塞部12aを有するように折り曲げられて形成されている。この閉塞部12aが上部支持格子3における仕切板3Aaの上縁や外枠3Bの上縁に掛かる部分となる。また、ブラケット12は、開放側となる上端が窄まるように傾斜面12bが形成されている。傾斜面12bは、
図5に示すように、収納エリアAに向けて漸次狭まるように配置されるため、燃料を挿入する際のガイドとなる。なお、外側セルユニット10Bのブラケット12は、1つの板材11が固定されるものであり、この板材11と対面する側に係止板13が固定されている。この係止板13は、外枠3Bの上縁に係り止り、外側セルユニット10Bが収納エリアA側にずれないように支持するためのものである。
【0065】
このブラケット12に対し、板材11は、ネジ止めにより固定される。具体的に、板材11は、ブラケット12に対し、例えば、
図8〜
図10のようにネジ止めされる。
図8では、収納エリアAの内側からブラケット12側に螺着される皿ネジ12cにより板材11が固定される。皿ネジ12cは、収納エリアA側に突出されない。
図9では、収納エリアAの外側から板材11に螺着されるボルト12dにより板材11が固定される。ボルト12dは、収納エリアA側に突出されない。
図10では、収納エリアAの内側から皿ネジ12cを挿入してナット12eが螺着される間で板材11が固定される。皿ネジ12cは、収納エリアA側に突出されない。このように、収納エリアA側に突出されないネジ止めにより板材11をブラケット12に固定すれば、燃料を収納エリアAに挿入する際にネジに燃料が接触する事態を防ぐことができる。
【0066】
なお、
図11に示すように、ブラケット12は、ステンレス鋼板を削り出しにより形成されていてもよい。この場合、ブラケット12の底面が閉塞部12aに相当し、上部支持格子3における仕切板3Aaの上縁や外枠3Bの上縁に掛かる部分となる。
【0067】
また、
図6および
図7に示すように、各セルユニット10A,10Bは、板材11の下端に突起11aが形成されている。一方、
図12に示すように、ラック本体2の下部支持格子4における底板4Cに挿入穴4Cbが形成されている。突起11aは、挿入穴4Cbに挿入される。すなわち、各セルユニット10A,10Bは、板材11の下端の突起11aが底板4Cの挿入穴4Cbに挿入されることで位置決めされる。
【0068】
また、
図13に示すように、ラック本体2の各支持格子3,4,5は、格子の仕切となる各仕切板3Aa,4Aa,5Aaが二重に形成されている。この場合、図には明示しないが、上述した燃料収納セル10は、内側セルユニット10Aが各板材11の間隔が広く形成される。また、
図13に示すように、燃料収納セル10は、二重の仕切板3Aa,4Aa,5Aaの間に挿入されるように形成されてもよい。この場合、
図13に示すように、燃料収納セル10は、1つの板材11の上端が2つのブラケット12で挟まれてネジ止めされる。また、燃料収納セル10は、板材11の下端に突起11aが形成され、この突起11aが、下部支持格子4の底板4Cにおける二重の仕切板4Aaの間に形成された挿入穴4Cbに挿入される。
【0069】
なお、ラック本体2は、各支持格子3,4,5、支柱6、補強部材7、脚8を、穴の開いたパンチングメタルで構成してもよい。
【0070】
ところで、燃料収納セル10の内側セルユニット10Aおよび外側セルユニット10Bは、
図14および
図15に示すように構成されていてもよい。
図14および
図15において、
図6および
図7に示す内側セルユニット10Aおよび外側セルユニット10Bと同等部分には同一の符号を付す。
【0071】
内側セルユニット10Aは、
図14に示すように、上述した
図6に示す内側セルユニット10Aに対し、ブラケット12の両端が、90度の角度でそれぞれ反対方向に延在している。延在長さは、
図6に示すブラケット12の幅の半分である。そして、このブラケット12の延在された部分に、板材11が固定されている。板材11は、
図6に示す板材11の半分の幅である。また、板材11のブラケット12への固定は、
図8〜
図10に示す構成と同様である。
【0072】
この内側セルユニット10Aは、ブラケット12が上部支持格子3における各仕切板3Aaの上縁に掛け止められることで、幅の広い2つの板材11が上部支持格子3の仕切板3Aaを跨ぎ、隣接する各格子を跨ぐように、隣接する収納エリアAに配置される。そして、90度向きを変えて配置された半分の幅の板材11が、隣接する収納エリアAに配置される。この内側セルユニット10Aを、矩形状の1つの格子において、対向する2辺の仕切板3Aaにブラケット12を掛け止めることで、1つの格子において各仕切板3Aa,4Aa,5Aaに沿って収納エリアAを囲むように2つの幅広の板材11と、4つの幅狭の板材11が配置される。このように、2つの内側セルユニット10Aにより、1つの収納エリアAを板材11で囲むことができ、板材11の配置をより容易に行うことができる。
【0073】
外側セルユニット10Bは、
図15に示すように、上述した
図7に示す外側セルユニット10Bに対し、ブラケット12の両端が、90度の角度でそれぞれ延在している。延在長さは、
図7に示すブラケット12の幅の半分である。そして、このブラケット12の延在された部分に、板材11が固定されている。板材11は、
図7に示す板材11の半分の幅である。また、板材11のブラケット12への固定は、
図8〜
図10に示す構成と同様である。
【0074】
この外側セルユニット10Bは、ブラケット12が上部支持格子3における外枠3Bの上縁に掛け止められることで、1つの板材11が外枠3B,4B,5B、および各仕切板3Aa,4Aa,5Aaの1辺の半分に沿って配置される。これにより、
図5に示すように、全ての格子において、収納エリアAを囲むように各板材11が配置される。
【0075】
このように構成された燃料収納ラック1は、各収納エリアAにそれぞれ燃料が挿入されて収納される。この燃料は、燃料収納セル10において中性子吸収材により形成された板材11により周りが囲まれる。このため、燃料収納ラック1は、燃料における中性子を吸収することから、各収納エリアAに収納された各燃料の臨界安全性を高めることができる。
【0076】
そして、本発明例に係る燃料収納ラック1は、燃料プール132の冷却水中で燃料を収納するものであり、例えば、ステンレス鋼などの非中性子吸収材からなり、複数の格子を形成する上部支持格子3、複数の格子を形成し底部が底板4Cで覆われた下部支持格子4、および上部支持格子3を上端部に固定し下部支持格子4を下端部に固定する支柱6や補強部材7などの固定部を有したラック本体2と、ラック本体2の上下方向に連続する中性子吸収材からなる複数の板材11が、各支持格子3,4における各格子を囲むように各支持格子3,4に挿入して配置された燃料収納セル10と、を備える。
【0077】
この燃料収納ラック1によれば、ラック本体2と燃料収納セル10とを独立して別に形成でき、ラック本体2は、少なくとも上下に分割された各支持格子3,4を有し、燃料収納セル10は、ラック本体2の各支持格子3,4に中性子吸収材からなる複数の板材11が挿入して配置される。このため、ラック本体2側は、中性子を反射させる要素を低減し、かつ強度を確保するため溶接により接合して組み立てられる。一方、燃料収納セル10側は、ラック本体2に挿入できるように板状に形成され溶接などで形成する必要がない。この結果、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。
【0078】
また、本発明例に係る燃料収納ラック1では、燃料収納セル10は、板材11の上端部に、ラック本体2の上部支持格子3の上縁に掛かるブラケット(掛止部材)12を有することが好ましい。
【0079】
この燃料収納ラック1によれば、中性子吸収材からなる板材11を、ラック本体2に対して適宜配置させることができる。
【0080】
また、本発明例に係る燃料収納ラック1では、ラック本体2の下部支持格子4における底板4Cに挿入穴4Cbが形成されており、燃料収納セル10における板材11の下端に挿入穴4Cbに挿入される突起11aが形成されていることが好ましい。
【0081】
この燃料収納ラック1によれば、中性子吸収材からなる板材11を、ラック本体2に対して位置決めして配置させることができる。
【0082】
また、本発明例に係る燃料収納ラック1では、燃料収納セル10は、隣接する各格子に跨るように2つの板材11の上端部がブラケット12により連結して形成されることが好ましい。
【0083】
この燃料収納ラック1によれば、2つの板材11が隣接する格子の収納エリアAにまとめて配置されるため、板材11の配置を容易に行うことができる。
【0084】
また、本発明例に係る燃料収納ラック1では、各支持格子3,4,5は、格子の仕切が二重に形成されていてもよい。
【0085】
この燃料収納ラック1によれば、燃料の間隔を広く取れるので、燃料の臨界防止効果を高めることができる。
【0086】
また、各支持格子3,4,5の格子の仕切が二重に形成されている場合、燃料収納セル10は、板材11が二重の仕切の間に挿入されてもよい。この燃料収納ラック1によれば、ラック本体2と燃料収納セル10とを独立して別に形成でき、ラック本体2は、上下に分割された各支持格子3,4を有し、燃料収納セル10は、ラック本体2の各支持格子3,4に中性子吸収材からなる複数の板材11が挿入して配置される。このため、ラック本体2側は、中性子を反射させる要素を低減し、かつ強度を確保するため溶接により接合して組み立てられる。一方、燃料収納セル10側は、ラック本体2に挿入できるように板状に形成され溶接などで形成する必要がない。この結果、中性子吸収性能および強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。
【0087】
また、本発明例に係る燃料収納ラック1では、ラック本体2がパンチングメタルにより形成されることが好ましい。
【0088】
燃料収納セル10をなす中性子吸収材は、高速中性子よりも熱中性子を吸収しやすい性質を持っている。一方、燃料プール132の冷却水(厳密には、冷却水中に含まれる水素)は、高速中性子を減速して熱中性子に変換する機能を有する。よって、ラック本体2をパンチングメタルにて構成すれば、パンチング穴へも減速材である冷却水が満たされ、高速中性子を効率よく熱中性子に変換するため、中性子吸収材は熱中性子を捕捉しやすくなり、燃料の臨界防止効果を高めることができる。
【0089】
[実施形態]
図16〜
図52は、本実施形態に係る燃料収納ラックを示す。本実施形態の燃料収納ラック21は、上述した発明例の燃料収納ラック1と同様に、燃料としての燃料集合体を複数立てた状態で収納するものである。燃料集合体は、発明例において説明したように、PWR用やBWR用のものがある。
【0090】
燃料収納ラック21は、
図16に示すように、支持格子22、側板23、底板24、台盤25、および脚26により構築されている。支持格子22、側板23、底板24、および台盤25は、中性子吸収材からなる板材により形成される。中性子吸収材は、ボロン、ガドリニウムの少なくとも一方を添加したステンレス鋼や、ボロン化合物(好ましくは炭化ホウ素)、ガドリニウムの少なくとも一方を含有するアルミニウム複合材からなる。なお、少なくとも、支持格子22および側板23は中性子吸収材からなる板材で形成されていてもよい。
【0091】
支持格子22は、上下に連続する複数の仕切板27が交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成するもので、各格子内の領域が、燃料が挿入されるセルとして収納エリアAをなす。側板23は、支持格子22の周りを矩形状に囲むものである。底板24は、支持格子22における各格子の底部を覆うものである。台盤25は、底板24を介して支持格子22の下部に配置されるものである。脚26は、台盤25の底部に設けられ、燃料プール132の床面132a上で支持格子22、側板23、底板24および台盤25を支持するものである。
【0092】
本実施形態において、支持格子22および側板23は、上下方向に複数のユニットに分割形成されている。本実施形態では、上部ユニットUA、2つの中間ユニットUBおよび下部ユニットUCの4つのユニットに分割されている。
【0093】
上部ユニットUAは、支持格子22が分割された上部支持格子22A、および側板23が分割された上部側板23Aで構成されている。上部支持格子22Aは、
図16および
図17に示すように、対向する上部側板23Aの間で連続した仕切板27が二重に交差して組まれて格子状に形成されている。仕切板27は、
図18に示すように下半部に下方に開口する切欠27Aaが格子単位で形成された第一仕切板27Aと、
図19に示すように上半部に上方に開口する切欠27Baが格子単位で形成された第二仕切板27Bとを有する。そして、
図17および
図20に示すように、第一仕切板27Aおよび第二仕切板27Bをそれぞれ二重とし、相互の切欠27Aa,27Baを合わせて挿入することで、二重の第一仕切板27Aおよび第二仕切板27Bが互いに交差して格子状に組まれる。また、第一仕切板27Aおよび第二仕切板27Bは、後述するネジ(皿ネジ)28や不図示のボルトが挿入されるネジ取付穴28aが形成されている。なお、仕切板27(27A,27B)は、上部側板23Aの間で連続して形成されておらず、分割して形成されていてもよい。例えば、仕切板27(27A,27B)は、
図21および
図22に示すように、切欠27Aa,27Baの位置で分割され、接続金具としての継板27Ab,27Bbを介してネジ(皿ネジ)28などによりネジ止めにより連結される。
【0094】
図17および
図20に示すように、二重の第一仕切板27Aの間には、接続金具29が配置されている。そして、この接続金具29に締め付けられるネジ(皿ネジ)28により各第一仕切板27Aが第二仕切板27Bの切欠27Baに挿入される幅にて固定される。また、二重の第二仕切板27Bの間には、接続金具29が配置されている。そして、この接続金具29に締め付けられるネジ(皿ネジ)28により各第二仕切板27Bが第一仕切板27Aの切欠27Aaに挿入される幅にて固定される。
【0095】
接続金具29は、
図17、
図20、
図23および
図24に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分であって、
図24に示すように、上部ユニットUAの上端となる位置と、
図20に示すように、各切欠27Aa,27Baの閉塞部が当接する位置とに設けられている。上部ユニットUAの上端となる位置に設けられた接続金具29は、上部ユニットUAの上端に揃えて配置される。この接続金具29は、上下にネジ28が締め付けられるように構成され、それぞれ一方の仕切板27A,27B側と他方の仕切板27A,27B側とからネジ28が締め付けられる。また、ネジ28は、1つの接続金具29に締め付けられる方向が上下で反対とされ、かつ第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分において各仕切板27A,27Bに締め付けられる方向が上下で反対とされている。
【0096】
接続金具29は、上部支持格子22Aと上部側板23Aとの固定に用いられる。この接続金具29は、
図20、
図25および
図26に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部であって、
図26に示すように、上部ユニットUAの上端となる位置と、
図20に示すように、各切欠27Aa,27Baの閉塞部が当接する位置と同じ高さ位置に設けられている。上部ユニットUAの上端となる位置に設けられた接続金具29は、上部ユニットUAの上端に揃えて配置される。この接続金具29は、二重の第一仕切板27Aや二重の第二仕切板27Bを固定する2つのネジ28に加え、上部側板23Aの外側からネジ28が締め付けられるように構成され、これにより、上部支持格子22Aと上部側板23Aとが固定され上部ユニットUAをなす。
【0097】
また、上部ユニットUAは、その下端部にネジ取付穴28aが設けられている。ネジ取付穴28aは、後述する中間ユニットUBに固定された接続金具30に締め付けられるネジ(皿ネジ)28が挿入される。このネジ取付穴28aは、
図27および
図28に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分と、
図29および
図30に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部と、上部側板23Aとに設けられている。
図27および
図28に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分では、ネジ取付穴28aは、ネジ28の皿部を受ける部分が、対向する各第一仕切板27Aおよび各第二仕切板27Bにおいて上下で反対に向き、かつ1つの仕切板27A,27Bにおいて上下で反対に向いている。また、
図29および
図30に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部では、ネジ取付穴28aは、ネジ28の皿部を受ける部分が、対向する各第一仕切板27Aおよび各第二仕切板27Bにおいて上下で反対に向いている。また、
図29および
図30に示すように、上部側板23Aでは、ネジ取付穴28aは、各第一仕切板27Aおよび各第二仕切板27Bの間の位置であって、各第一仕切板27Aおよび各第二仕切板27Bに設けられるネジ取付穴28aの下方に設けられている。
【0098】
中間ユニットUBは、
図31に示すように、支持格子22が分割された中間支持格子22B、および側板23が分割された中間側板23Bで構成されている。中間支持格子22Bは、
図31および
図32に示すように、対向する中間側板23Bの間で連続した仕切板27が二重に交差して組まれて格子状に形成されている。仕切板27は、上部支持格子22Aの仕切板27と同様の構成である。
【0099】
図31に示すように、二重の第一仕切板27Aの間には、接続金具29および接続金具30が配置されている。そして、この接続金具29,30に締め付けられるネジ(皿ネジ)28により各第一仕切板27Aが第二仕切板27Bの切欠27Baに挿入される幅にて固定される。また、二重の第二仕切板27Bの間には、接続金具29および接続金具30が配置されている。そして、この接続金具29,30に締め付けられるネジ(皿ネジ)28により各第二仕切板27Bが第一仕切板27Aの切欠27Aaに挿入される幅にて固定される。
【0100】
接続金具29は、
図31に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分であって、各切欠27Aa,27Baの閉塞部が当接する位置に設けられ、上部ユニットUAと同様の構成である。また、接続金具29は、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部であって、各切欠27Aa,27Baの閉塞部が当接する位置と同じ高さ位置に設けられ、上部ユニットUAと同様に中間支持格子22Bと中間側板23Bとの固定に用いられる。
【0101】
接続金具30は、
図31〜
図33に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分であって、中間ユニットUBの上端となる位置に設けられている。接続金具30は、中間ユニットUBの上端から上方に突出して配置される。この接続金具30は、二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に配置される部分において、上下にネジ28が締め付けられるように構成され、それぞれ一方の仕切板27A,27B側と他方の仕切板27A,27B側とからネジ28が締め付けられる。また、ネジ28は、1つの接続金具30に締め付けられる方向が上下で反対とされ、かつ第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分において各仕切板27A,27Bに締め付けられる方向が上下で反対とされている。
【0102】
また、接続金具30は、中間ユニットUBの上端から上部に突出した部分が、上部ユニットUAの下端部であって、上部支持格子22Aにおける二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に挿入される。そして、中間ユニットUBの上端から上部に突出した接続金具30は、上部支持格子22Aにおける二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に挿入された状態で、上部ユニットUAにおける第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分に設けられたネジ取付穴28aと対応する位置に、ネジ(皿ネジ)28が締め付けられるネジ穴30aが形成されている。すなわち、接続金具30は、上部支持格子22Aにおける二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に挿入され、第一仕切板27Aや第二仕切板27Bを介してネジ28が締め付けられることで、中間ユニットUBを上部ユニットUAに連結する。または、接続金具30は、他の中間支持格子22Bにおける二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に挿入され、第一仕切板27Aや第二仕切板27Bを介してネジ28が締め付けられることで、中間ユニットUB同士を連結する。
【0103】
接続金具30は、中間支持格子22Bと中間側板23Bとの固定に用いられる。この接続金具30は、
図31および
図34に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部であって、中間ユニットUBの上端となる位置に設けられ、中間ユニットUBの上端から上方に突出して配置される。この接続金具30は、二重の第一仕切板27Aや二重の第二仕切板27Bを固定する2つのネジ28に加え、中間側板23Bの外側からネジ28が締め付けられるように構成され、これにより、中間支持格子22Bと中間側板23Bとが固定され中間ユニットUBをなす。また、この接続金具30は、中間ユニットUBの上端から上部に突出した部分が、上部ユニットUAの下端部であって、上部支持格子22Aにおける二重の第一仕切板27Aの端部の間、および二重の第二仕切板27Bの端部の間に挿入される。そして、中間ユニットUBの上端から上部に突出した接続金具30は、上部支持格子22Aにおける二重の第一仕切板27Aの端部の間、および二重の第二仕切板27Bの端部の間に挿入された状態で、上部ユニットUAにおける第一仕切板27Aおよび第二仕切板27Bの端部や、上部側板23Aに設けられたネジ取付穴28aと対応する位置に、ネジ(皿ネジ)28が締め付けられるネジ穴30aが形成されている。すなわち、接続金具30は、上部支持格子22Aにおける二重の第一仕切板27Aの端部の間、および二重の第二仕切板27Bの端部の間に挿入され、第一仕切板27A、第二仕切板27Bおよび上部側板23Aを介してネジ28が締め付けられることで、中間ユニットUBを上部ユニットUAに連結する。または、接続金具30は、他の中間支持格子22Bにおける二重の第一仕切板27Aの端部の間、および二重の第二仕切板27Bの端部の間に挿入され、第一仕切板27A、第二仕切板27Bおよび中間側板23Bを介してネジ28が締め付けられることで、中間ユニットUB同士を連結する。
【0104】
また、中間ユニットUBは、その下端部にネジ取付穴28aが設けられている。このネジ取付穴28aは、上部ユニットUAと同様の構成である。
【0105】
下部ユニットUCは、
図35に示すように、支持格子22が分割された下部支持格子22C、および側板23が分割された下部側板23Cで構成されている。下部支持格子22Cは、
図35および
図36に示すように、対向する下部側板23Cの間で連続した仕切板27が二重に交差して組まれて格子状に形成されている。仕切板27は、上部支持格子22Aと同様の構成である。
【0106】
図35に示すように、二重の第一仕切板27Aの間には、接続金具29、接続金具30および接続金具31が配置されている。そして、この接続金具29,30,31に締め付けられるネジ(皿ネジ)28により各第一仕切板27Aが第二仕切板27Bの切欠27Baに挿入される幅にて固定される。また、二重の第二仕切板27Bの間には、接続金具29、接続金具30および接続金具31が配置されている。そして、この接続金具29,30,31に締め付けられるネジ(皿ネジ)28により各第二仕切板27Bが第一仕切板27Aの切欠27Aaに挿入される幅にて固定される。
【0107】
接続金具29は、
図35に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分であって、各切欠27Aa,27Baの閉塞部が当接する位置に設けられ、上部ユニットUAと同様の構成である。また、接続金具29は、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部であって、各切欠27Aa,27Baの閉塞部が当接する位置と同じ高さ位置に設けられ、上部ユニットUAと同様に下部支持格子22Cと下部側板23Cとの固定に用いられる。
【0108】
接続金具30は、
図35に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分であって、下部ユニットUCの上端となる位置に設けられ、中間ユニットUBと同様の構成である。また、接続金具30は、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部であって、下部ユニットUCの上端となる位置に設けられ、中間ユニットUBと同様に、下部支持格子22Cと下部側板23Cとの固定に用いられる。また、接続金具30は、中間ユニットUBと同様に、中間支持格子22Bにおける二重の第一仕切板27Aの端部の間、および二重の第二仕切板27Bの端部の間に挿入され、第一仕切板27A、第二仕切板27Bおよび中間側板23Bを介してネジ28が締め付けられることで、下部ユニットUCを中間ユニットUBに連結する。
【0109】
接続金具31は、
図35および
図36に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分であって、下部ユニットUCの下端となる位置に設けられている。接続金具31は、下部ユニットUCの下端に揃えて配置される。この接続金具31は、二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に配置される部分において、上下にネジ28が締め付けられるように構成され、それぞれ一方の仕切板27A,27B側と他方の仕切板27A,27B側とからネジ28が締め付けられる。また、ネジ28は、1つの接続金具31に締め付けられる方向が上下で反対とされ、かつ第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分において各仕切板27A,27Bに締め付けられる方向が上下で反対とされている。
【0110】
接続金具31は、下部支持格子22Cと下部側板23Cとの固定に用いられる。この接続金具31は、
図35および
図36に示すように、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部であって、下部ユニットUCの下端となる位置に設けられ、下部ユニットUCの下端に揃えて配置される。この接続金具31は、二重の第一仕切板27Aや二重の第二仕切板27Bを固定する2つのネジ28に加え、下部側板23Cの外側からネジ28が締め付けられるように構成され、これにより、下部支持格子22Cと下部側板23Cとが固定され下部ユニットUCをなす。
【0111】
また、接続金具31は、下部ユニットUCと底板24との固定に用いられる。この場合、接続金具31は、少なくとも底面に開口して上下方向に形成されたネジ穴31aが設けられる。一方、底板24は、
図37に示すように、下部ユニットUCの下端に底板24を合わせた状態で、ネジ穴31aに対応する位置にネジ取付穴24aが形成されている。そして、底板24を介してネジ取付穴24aにネジ(皿ネジ)28を挿入し、このネジ28を接続金具31のネジ穴31aに締め付けることで、下部ユニットUCと底板24とが固定される。なお、ネジ穴31aは、第一仕切板27Aと第二仕切板27Bとの交差部分、および第一仕切板27Aと第二仕切板27Bの両端部に設けられる全ての接続金具31に設けてもよいが、下部ユニットUCと底板24とを適宜固定できる要所の接続金具31に設けるようにしてもよい。
【0112】
底板24は、上述したように、下部ユニットUCに固定されることで、上下に連続する支持格子22の格子にて構成される収納エリアAの底部を覆うものである。すなわち、底板24は、収納エリアAに挿入された燃料の下端を支持する。
図37に示すように、底板24は、各収納エリアAに対応して貫通穴24bが形成されている。貫通穴24bは、PWR用の燃料を挿通させない程度で冷却水を通す一方、BWR用の燃料を収納する場合はノーズピースを挿入させる穴として用いられる。また、底板24は、台盤25との固定に用いられるネジ取付穴24cが形成されている。
【0113】
台盤25は、
図38に示すように、補強格子34と外枠板35とを有する。補強格子34は、複数の補強板36が交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成するもので、各格子内の領域が、支持格子22の各収納エリアAに上下の位置で対応する。外枠板35は、補強格子34の周りを矩形状に囲むものである。
【0114】
台盤25は、対向する外枠板35の間で連続した補強板36が二重に交差して組まれて格子状に形成されている。補強板36は、
図39に示すように下半部に下方に開口する切欠36Aaが格子単位で形成された第一補強板36Aと、
図40に示すように上半部に上方に開口する切欠36Baが格子単位で形成された第二補強板36Bとを有する。そして、
図38および
図41に示すように、第一補強板36Aおよび第二補強板36Bをそれぞれ二重とし、相互の切欠36Aa,36Baを合わせて挿入することで、二重の第一補強板36Aおよび第二補強板36Bが互いに交差して格子状に組まれる。また、第一補強板36Aおよび第二補強板36Bは、ボルト37や不図示のネジが挿入されるボルト取付穴37aが形成されている。
【0115】
図41および
図42に示すように、二重の第一補強板36Aの間には、接続金具38が配置されている。そして、この接続金具38に挿通されるボルト37により各第一補強板36Aが第二補強板36Bの切欠36Baに挿入される幅にて固定される。また、二重の第二補強板36Bの間には、接続金具38が配置されている。そして、この接続金具38に挿通されるボルト37により各第二補強板36Bが第一補強板36Aの切欠36Aaに挿入される幅にて固定される。
【0116】
接続金具38は、
図38、
図41および
図42に示すように、第一補強板36Aと第二補強板36Bとの交差部分で、台盤25の高さ分設けられている。この接続金具38は、上下にボルト37が挿通されるように構成されている。二重の補強板36A,36Bを介してボルト37が締め付けられる。また、本実施形態では、補強板36Aと補強板36Bとの交差する内角部分にL字金具39が設けられ、このL字金具39がボルト37によりともに締め付けられることで、補強板36Aと補強板36Bとを連結している。これにより補強格子34が組まれる。
【0117】
接続金具38は、補強格子34と外枠板35との固定に用いられる。この接続金具38は、
図38および
図43に示すように、第一補強板36Aと第二補強板36Bの両端部であって、台盤25の高さ分設けられている。この接続金具38は、二重の第一補強板36Aや二重の第二補強板36Bにボルト37により固定される。そして、二重の第一補強板36Aや二重の第二補強板36Bと外枠板35とでなる内角部分にL字金具39が設けられ、このL字金具39がボルト37により二重の第一補強板36Aや二重の第二補強板36B側と外枠板35側とに締め付けられることで、補強格子34と外枠板35とが固定され、台盤25をなす。
【0118】
また、接続金具38は、底板24と台盤25との固定に用いられる。この場合、接続金具38は、
図41および
図43に示すように、上面に開口して上下方向に形成されたネジ穴38aが設けられる。一方、底板24は、
図37および
図38に示すように、台盤25の上端に底板24を合わせた状態で、ネジ穴31aに対応する位置にネジ取付穴24cが形成されている。そして、底板24を介してネジ取付穴24cにネジ(皿ネジ)28を挿入し、このネジ28を接続金具38のネジ穴38aに締め付けることで、底板24と台盤25とが固定される。なお、ネジ穴38aは、第一補強板36Aと第二補強板36Bとの交差部分、および第一補強板36Aと第二補強板36Bの両端部に設けられる全ての接続金具38に設けられていなくてもよく、底板24と台盤25とを適宜固定できる要所の接続金具38に設けるようにしてもよい。
【0119】
また、接続金具38は、下部ユニットUCと台盤25との固定に用いられる。この場合、接続金具38は、
図44に示すように、第一補強板36Aと第二補強板36Bの両端部の位置で、台盤25の上端から上方に突出して配置される。この接続金具38は、台盤25の上端から上方に突出した部分が、下部ユニットUCの下端部であって、下部支持格子22Cにおける二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間であって、下部側板23Cの内面に沿って挿入される。この場合、接続金具38が挿入される部分に接続金具31を設けない。そして、接続金具38は、下部側板23C側に向かってネジ穴38bが形成されている。一方、下部ユニットUCの下端部には、接続金具38のネジ穴38bに対応する位置にネジ取付穴(図示せず)が形成されている。すなわち、接続金具38は、下部支持格子22Cにおける二重の第一仕切板27Aの間、および二重の第二仕切板27Bの間に挿入され、
図16に示すように、下部側板23Cを介してネジ穴38bにネジ28が締め付けられることで、台盤25を下部ユニットUCに連結する。なお、台盤25の上端から上方に突出する接続金具38を下部ユニットUC側に挿入させるため、
図38に示すように、底板24は、その外縁の所要箇所に切欠24dが形成されている。また、台盤25の外枠板35に沿う部分において、底板24と台盤25との固定に用いられる接続金具38と、下部ユニットUCと台盤25との固定に用いられる接続金具38とは、
図38に示すように、本実施形態では交互に設けられている。
【0120】
また、台盤25は、
図38〜
図40に示すように、補強格子34の補強板36(36A,36B)において、各格子を連通して冷却水を通す貫通穴36Ab,36Bbが形成されている。さらに、台盤25は、
図38に示すように、外枠板35において、各格子に連通して冷却水を通す貫通穴35aが形成されている。
【0121】
ところで、
図45に示すように、台盤25は、底板24と台盤25との固定に用いられる接続金具38以外の接続金具38が、台盤25の上端から上方に突出して配置され、下部ユニットUCの下部に挿入されて下部ユニットUCと台盤25との固定に用いられてもよい。この場合、下部ユニットUCは、接続金具38が挿入される部分に接続金具31を設けない。また、底板24は、台盤25の上端から上方に突出する接続金具38を挿通させる挿通穴24eが形成される。なお、接続金具38、および接続金具38を挿通させる挿通穴24eの設置数は、適宜に選択することができる。
【0122】
なお、本実施形態の燃料収納ラック21は、
図16に示すように、側板23(23A,23B,23C)の接続、各ユニットUA,UB,UCの接続、下部ユニットUCと台盤25との接続において、相互間を跨ぐ接続ラグ40を介してネジ28を締め付けて接続強度を向上している。なお、接続ラグ40は、設置数を適宜に増減することができる。
【0123】
脚26は、
図16に示すように、台盤25の4隅であって台盤25の底部に設けられ、燃料プール132の床面132a上で燃料収納ラック21を支持するものである。脚26は、
図46および
図47に示すように、基部26aおよび脚部26dを有する。基部26aは、板状に形成され、台盤25の外枠板35の下端が挿入される溝26bを有している。また、基部26aは、側部から固定ボルト26cが複数締め付けられる。固定ボルト26cは、台盤25の外枠板35の下端部に設けられたボルト挿通穴35bに挿通され、基部26aに締め付けられる。これにより、基部26aが台盤25に固定される。脚部26dは、基部26aに対して下方から締め付けられるもので、その下端が燃料プール132の床面132a上に当接する。脚部26dは、ボルトで構成され、その雄ネジ部に一対のナット26eが基部26aを挟むように取り付けられる。このため、各ナット26eを脚部26dの雄ネジ部に対して緩めることで、脚部26dの下方への突出長さを変えることができ、基部26aを挟むように各ナット26eを締めることで脚部26dの下方への突出長さを維持できる。また、基部26aは、外枠板35の内側に位置する上面に、外枠板35の内面に沿うように補強ブラケット26fが一体に形成され、外枠板35への基部26aの取り付け状態を補強する。
【0124】
このように構成された燃料収納ラック21は、各収納エリアAにそれぞれ燃料が挿入されて収納される。この燃料は、中性子吸収材により形成された仕切板27および側板23により周りが囲まれる。このため、燃料収納ラック21は、燃料における中性子を吸収することから、各収納エリアAに収納された各燃料の臨界安全性を高めることができる。
【0125】
そして、本実施形態に係る燃料収納ラック21は、燃料プール132の冷却水中で燃料を収納するものであり、上下に連続する複数の仕切板27が交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成する支持格子22と、支持格子22の外周を囲む側板23と、支持格子22における各格子の底部を覆う底板24と、底板24を介して支持格子22の下部に配置される台盤25と、を有し、支持格子22、側板23、底板24および台盤25を全て締着および嵌め込みにより組み立て、かつ少なくとも支持格子22および側板23を中性子吸収材からなる板材で形成する。
【0126】
この燃料収納ラック21によれば、支持格子22、側板23、底板24および台盤25を全て締着および嵌め込みにより組み立て、かつ少なくとも支持格子22および側板23を中性子吸収材からなる板材で形成することで、中性子吸収材からなる板材を溶接により組み立てることがない。このため、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。
【0127】
しかも、この燃料収納ラック21によれば、支持格子22、側板23、底板24および台盤25を全て締着および嵌め込みにより組み立てることから、中性子吸収材の溶接による接合が不要であり、溶接接合部の健全性を管理する必要がない。このため、燃料収納ラック21の組み立てを燃料プール132の近くである原子力発電プラントの施設内で行うことができ、燃料収納ラック21の燃料プール132への搬入を容易に行うことができる。
【0128】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、支持格子22は、二重の仕切板27が交差して組まれており、二重の仕切板27の間で接続金具29,30,31を締着して組み立てられており、かつ接続金具29,30,31を介し、支持格子22と側板23と底板24と台盤25とを組み立てる。
【0129】
この燃料収納ラック21によれば、支持格子22が接続金具29,30,31を締着して仕切板27が二重に形成されており、接続金具29,30,31を介して支持格子22と側板23と底板24と台盤25とが組み立てられている。中性子吸収材からなる仕切板27および側板23は、中性子吸収機能を有するが、この中性子吸収材は、高速中性子よりも熱中性子を吸収しやすい性質を持っている。一方、燃料プール132内の冷却水(厳密には、冷却水中に含まれる水素)は、高速中性子を減速して熱中性子に変換する機能を有する。従って、二重に形成した仕切板27の間に冷却水が満たされることで、仕切板27を間においた各燃料での冷却水の厚さ(ウオータートラップ)が大きく確保され、多くの高速中性子を熱中性子に変換することから、中性子吸収材は中性子(熱中性子)を効率よく捕捉することができ、燃料の臨界防止効果をより高めることができる。
【0130】
なお、仕切板27を二重にした場合、一方の仕切板27のみを中性子吸収材で形成し、他方の仕切板27は、例えば、ステンレス鋼などの非中性子吸収材で形成してもよい。この場合、非中性子吸収材とした他方の仕切板27により、中性子吸収材とした一方の仕切板27が吸収する中性子を反射することを抑制するため、他方の仕切板27の板厚を中性子を反射しない程度に薄くしたり、他方の仕切板27をパンチングメタルとしたり、接続金具29,30,31で接続される部分を残して他方の仕切板27を枠状に形成したりすることが好ましい。
【0131】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、支持格子22および側板23は、上下方向に複数のユニットUA,UB,UCに分割形成され、各ユニットUA,UB,UCを全て締着および嵌め込みにより組み立て連結する。
【0132】
燃料は、その長さが4mを超えるものであり、この燃料を収納する燃料収納ラック21は燃料の長さを超える高さを要する大型のものとなる。従って、支持格子22および側板23を、上下方向に複数のユニットUA,UB,UCに分割形成した燃料収納ラック21によれば、各ユニットUA,UB,UC単位で組み立てることが可能であり、組み立てを容易に行うことができる。なお、燃料収納ラック21の分割数は、適宜な数に増減することができる。
【0133】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、接続金具29,30,31が仕切板27の交差部に配置され、各仕切板27がなす内角に沿うL字金具39を介して接続金具29,30,31および仕切板27が締着される。
【0134】
この燃料収納ラック21によれば、L字金具39を介して接続金具29,30,31および仕切板27を締着することで、燃料を収納する強度を向上することができる。
【0135】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、仕切板27が、各格子単位で分割して形成され、接続金具としての継板27Ab,27Bbを介して締着して連結される。
【0136】
この燃料収納ラック21によれば、仕切板27を細分割することで、搬入などの取り扱いを容易に行うことができる。
【0137】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、台盤25は、複数の補強板36が交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成する補強格子34と、補強格子34の外周を囲む外枠板35と、を有し、補強格子34および外枠板35を全て締着および嵌め込みにより組み立てる。
【0138】
この燃料収納ラック21によれば、補強板36が交差して組まれた補強格子34、および補強格子34の外周を囲む外枠板35により、燃料を収納する収納エリアAをなす支持格子22および側板23を支持することで、燃料を収納する強度を向上することができる。
【0139】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、補強格子34は、二重の補強板36が交差して組まれており、二重の補強板36の間で接続金具38を締着して組み立てられており、かつ接続金具38を介し、補強格子34と外枠板35とを組み立てる。
【0140】
この燃料収納ラック21によれば、補強板36を二重に組むことで、燃料を収納する強度をより向上することができる。
【0141】
また、本実施形態に係る燃料収納ラック21では、補強格子34は、隣接する各格子に連通する貫通穴36Ab,36Bbが形成されており、外枠板35は、各格子に連通する貫通穴35aが形成されており、底板24は、支持格子22における各格子、および補強格子34の各格子の位置に対応して貫通穴24bが形成されている。
【0142】
この燃料収納ラック21によれば、台盤25の貫通穴36Ab,36Bb,35a、および底板24の貫通穴24bを介し、支持格子22および側板23がなす各格子における燃料の収納エリアA内に冷却水を導く。このため、収納エリアA内で燃料プール132内の冷却水により燃料の崩壊熱を効率的に除去することができる。
【0143】
ところで、本実施形態の燃料収納ラック21では、側板23により周りを矩形状に囲まれる支持格子22が、
図48〜
図52に示すように構成されていてもよい。
【0144】
図48に示す支持格子22は、各収納エリアAを囲むように短冊状に分割された中性子吸収材からなる仕切板27C(仕切板27)を有する。仕切板27Cは、収納エリアAの角部の位置にて接続金具としての十字金具41の突片を間に挟むように二重に配置され、この十字金具41に対してネジ(皿ネジ)28が締め付けられることで組み立てられる。仕切板27Cは、ネジ28を挿入するネジ取付穴28aが形成されている。また、仕切板27Cは、上下で分割されて、上述したようなユニットをなし、各ユニットが十字金具41へのネジ28の締め付けにより連結される。また、十字金具41は、一塊で十字形状に形成されていてもよいが、本実施形態では、2つの板状部材41A,41Bの組み合わせで形成されている。一方の板状部材41Aは、その中央の下半部に下方に開口する切欠41Aaが形成されている。他方の板状部材41Bは、その中央の上半部に上方に開口する切欠41Baが形成されている。そして、相互の切欠41Aa,41Baを合わせて挿入することで、各板状部材41A,41Bが十字状に組み合わされる。このように、十字金具41を2つの板状部材41A,41Bの組み合わせで形成する場合、1つの仕切板27Cの上端側と下端側とで各板状部材41A,41Bの組み合わせを90度ずらして配置する。すると、各板状部材41A,41Bの組み合わせが上下で互い違いとなって互いに噛み合うようになるため、複数の仕切板27Cの組み合わせ強度が向上することになる。
【0145】
図49に示す支持格子22は、各収納エリアAを囲むように短冊状に分割された中性子吸収材からなる仕切板27D(仕切板27)を有する。仕切板27Dは、収納エリアAの角部の位置にて接続金具としての十字金具42の突片を間に挟むように二重に配置され、この十字金具42に対してネジ(皿ネジ)28が締め付けられることで組み立てられる。仕切板27Dは、上記仕切板27Cと同様に、ネジ28を挿入するネジ取付穴が形成されている。また、仕切板27Dは、上記仕切板27Cと同様に、上下で分割されて、上述したようなユニットをなし、各ユニットが十字金具42へのネジ28の締め付けにより連結される。
【0146】
また、十字金具42は、
図50に示すように、2つの板状部材42A,42Bの組み合わせで形成されている。一方の板状部材42Aは、2つの板材42Aa,42Aaと、各板材42Aaの間に挟まれる2つの小板材42Ac,42Acとで構成される。各板材42Aaは、その中央の下半部に下方に開口する切欠42Abが形成されている。また、各小板材42Acは、各板材42Aaにおける切欠42Abを間においてそれぞれ各板材42Aaに挟まれる。そして、各板材42Aaおよび各小板材42Acは、積層された部分に貫通されてネジ28が締め付けられるネジ穴42Adが形成されている。他方の板状部材42Bは、一方の板状部材42Aと同じく形成され、2つの板材42Ba,42Baと、各板材42Baの間に介在される2つの小板材42Bc,42Bcとで構成される。各板材42Baは、その中央の上半部に上方に開口する切欠42Bbが形成されている。また、各小板材42Bcは、各板材42Baにおける切欠42Bbを間においてそれぞれ各板材42Baに挟まれる。そして、各板材42Baおよび各小板材42Bcは、積層された部分に貫通されてネジ28が締め付けられるネジ穴42Bdが形成されている。そして、板状部材42A,42Bは、相互の切欠42Ab,42Bbを合わせて挿入することで、十字状に組み合わされ、二重の仕切板27Dの間に、2つの板材42Aaおよび1つの小板材42Acが積層された突片や、2つの板材42Baおよび1つの小板材42Bcが積層された突片を挿入し、仕切板27Dを介してネジ穴42Ad,42Bdにネジ28を締め込むことで、支持格子22が形成される。このような十字金具42を用いることで、2つの板材42Aaおよび1つの小板材42Ac分の間隔で二重の仕切板27Dの間を離すことができ、各収納エリアAに収納される各燃料集合体の間隔を空けることができる。すなわち、二重に形成した仕切板27Dの間により多くの冷却水が満たされることで、仕切板27Dを間においた各燃料での冷却水の厚さ(ウオータートラップ)がより大きく確保され、多くの高速中性子を熱中性子に変換することから、収納エリアA内で燃料プール132内の冷却水(厳密には、冷却水中に含まれる水素)により高速中性子を減速して熱中性子に変換する効果を高めることから、中性子吸収材により中性子(熱中性子)を捕捉する効率をより高め、燃料の臨界防止効果をより高めることができる。なお、各板材42Aa,42Baの厚さを厚くして、小板材42Ac,42Bcを省略してもよい。
【0147】
なお、十字金具42は、
図51に示すように構成されていてもよい。
図51に示すように、この十字金具42は、2つの板状部材42A,42Bの組み合わせで形成されている。一方の板状部材42Aは、2つの板材42Aa,42Aaと、各板材42Aaの間に挟まれる2つの小板材42Ac,42Acとで構成される。各板材42Aaは、その中央の下半部に下方に開口し、小板材42Acの厚み分をあけて平行に設けられた2つの切欠42Abが形成されている。また、各小板材42Acは、各板材42Aaにおける各切欠42Abを間においてそれぞれ各板材42Aaに挟まれる。そして、各板材42Aaおよび各小板材42Acは、積層された部分に貫通されてネジ28が締め付けられるネジ穴42Adが形成されている。他方の板状部材42Bは、一方の板状部材42Aと同じく形成され、2つの板材42Ba,42Baと、各板材42Baの間に介在される2つの小板材42Bc,42Bcとで構成される。各板材42Baは、その中央の上半部に上方に開口し、小板材42Bcの厚み分をあけて平行に設けられた2つの切欠42Bbが形成されている。また、各小板材42Bcは、各板材42Baにおける各切欠42Bbを間においてそれぞれ各板材42Baに挟まれる。そして、各板材42Baおよび各小板材42Bcは、積層された部分に貫通されてネジ28が締め付けられるネジ穴42Bdが形成されている。そして、板状部材42A,42Bは、相互の各切欠42Ab,42Bbを合わせて挿入することで、十字状に組み合わされ、二重の仕切板27Dの間に、2つの板材42Aaおよび1つの小板材42Acが積層された突片や、2つの板材42Baおよび1つの小板材42Bcが積層された突片を挿入し、仕切板27Dを介してネジ穴42Ad,42Bdにネジ28を締め込むことで、支持格子22が形成される。このような十字金具42を用いることで、2つの板材42Aaおよび1つの小板材42Ac分の間隔で二重の仕切板27Dの間を離すことができ、各収納エリアAに収納される各燃料集合体の間隔を空けることができる。すなわち、二重に形成した仕切板27Dの間により多くの冷却水が満たされることで、仕切板27Dを間においた各燃料での冷却水の厚さ(ウオータートラップ)がより大きく確保され、多くの高速中性子を熱中性子に変換することから、収納エリアA内で燃料プール132内の冷却水(厳密には、冷却水中に含まれる水素)により高速中性子を減速して熱中性子に変換する効果を高めることから、中性子吸収材により中性子(熱中性子)を捕捉する効率をより高め、燃料の臨界防止効果をより高めることができる。しかも、
図51に示す十字金具42は、板材42Aa,42Baにおいて、小板材42Ac,42Bcの厚み分をあけて平行に設けられた2つの切欠42Ab,42Bbが形成されているため、板状部材42A,42Bの組み合わせを強固にし、支持格子22をなす各仕切板27Dの接続強度を向上する。このため、燃料を収納する強度を向上することができる。
【0148】
また、
図52に示す支持格子22は、各収納エリアAを囲むように短冊状に分割された中性子吸収材からなる仕切板27E(仕切板27)を有する。仕切板27Eは、収納エリアAの角部の位置にて端部を突き合わせて全体として交差するように配置される。そして、各仕切板27Eの交差部の内角部分に接続金具としてのL字金具43が設けられ、このL字金具43がネジ(皿ネジ)28により締め付けられることで、各仕切板27Eを連結し、支持格子22が組まれる。
【0149】
なお、
図48に示す二重の仕切板27Cおよび板状部材41A,41Bは、双方を中性子吸収材とするか、もしくは一方の仕切板27Cのみを中性子吸収材で形成し、他方の仕切板27Cは、例えば、ステンレス鋼などの非中性子吸収材で形成してもよい。また、
図52において、仕切板27EおよびL字金具43は、いずれか一方または双方を中性吸収材で形成してもよい。さらに、仕切板27Eは、2枚の短冊板を重ね合わせたうえで、一方を中性子吸収材とし、他方をステンレス鋼などの非中性子吸収材で形成してもよい。このような場合、非中性子吸収材とした他方の仕切板27C,27Eにより、中性子吸収材とした一方の仕切板27C,27Eが吸収する中性子を反射することを抑制するため、他方の仕切板27C,27Eの板厚を中性子を反射しない程度に薄くしたり、他方の仕切板27C,27Eをパンチングメタルとしたり、板状部材41A,41BやL字金具43で接続される部分を残して他方の仕切板27C,27Eを枠状に形成したりすることが好ましい。
【0150】
このように、
図48〜
図52に示すような支持格子22を有する燃料収納ラック21においても、上下に連続する複数の仕切板27C,27D,27Eが交差して組まれて上下方向に貫通する複数の格子を形成する支持格子22と、支持格子22の外周を囲む側板23と、支持格子22における各格子の底部を覆う底板24と、底板24を介して支持格子22の下部に配置される台盤25と、を有し、支持格子22、側板23、底板24および台盤25を全て締着および嵌め込みにより組み立て、かつ少なくとも支持格子22および側板23を中性子吸収材からなる板材で形成するものである。
【0151】
従って、
図48〜
図52に示すような支持格子22を有する燃料収納ラック21によれば、支持格子22、側板23、底板24および台盤25を全て締着および嵌め込みにより組み立て、かつ少なくとも支持格子22および側板23を中性子吸収材からなる板材で形成することで、中性子吸収材からなる板材を溶接により組み立てることがない。このため、収納される燃料における中性子の吸収性能および燃料を収納する強度を確保し、かつ中性子吸収材の溶接による不都合を防ぐことができる。
【0152】
しかも、この燃料収納ラック21によれば、支持格子22、側板23、底板24および台盤25を全て締着および嵌め込みにより組み立てることから、中性子吸収材の溶接による接合が不要であり、このような溶接接合部の健全性を管理する必要がない。このため、燃料収納ラック21の組み立てを燃料プール132の近くである原子力発電プラントの施設内で行うことができ、燃料収納ラック21の燃料プール132への搬入を容易に行うことができる。
【0153】
なお、
図16、
図48および
図49において、二重の仕切板27に挟まれた隙間へ、炭化ホウ素またはボロンを含有する金属複合材(ボロン添加ステンレス鋼、ボロン含有アルミニウム複合材など)の、球形または不定形な粒を装填することで、二重の仕切板27に挟まれた隙間へ中性子吸収材と水の混合体を形成させてもよい。この場合、仕切板27は、中性子吸収材または非中性子吸収材から適宜選択することができる。仕切板27を中性子吸収材とすれば中性子吸収性能を高めることができ、仕切板27を非中性子吸収材とすればコストを抑制することができる。さらに、二重の仕切板27のうちの一方を中性子吸収材とし、他方を非中性子吸収材とすれば、中性子吸収性能を高めるとともにコストも抑制することができる。なお、非中性子吸収材とした仕切板27により、中性子吸収材の粒や、中性子吸収材の仕切板27が吸収する中性子を反射することを抑制するため、非中性子吸収材とした仕切板27の板厚を中性子を反射しない程度に薄くしたり、非中性子吸収材とした仕切板27をパンチングメタル(ただし、中性子吸収材の粒を通さない穴径であること)としたりすることが好ましい。
【0154】
また、
図16、
図48および
図52において、燃料収納ラック21における上部ユニットUAの下端の高さ位置を、収納エリアAに収納される燃料のうち核燃料物資(ウランペレットなど)の上端よりも低くないものとしたうえで、上部ユニットUAのみが非中性子吸収材からなる板材で形成されていてもよい。