(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1及び
図2を参照して、塗装補修部材(車両用塗装補修部材)1の構成について説明する。
図1は、塗装補修部材1の一部分解斜視図である。
図2は、塗装補修部材1の断面図である。なお、以下の説明では、位置関係、大きさ、又は形状等を説明する用語を用いる際には、その用語の意味が正確に成立している構成だけでなく、その用語の意味が略成立している構成も含むものとする。
【0013】
塗装補修部材1は、車両の塗装面に形成された傷を補修するための部材である。車両とは、例えば、自動車、自動二輪車、及び作業車両等であり、走行可能な機械全般を指す。また、塗装補修部材1が補修の対象としている傷は、車両の塗装面(主として、バンパー、フェンダー、ドア等のボディ全般)に形成された傷であって、特に直線的な傷(線傷)である。また、塗装補修部材1が対象としている傷は、大きな凹み傷ではなく、塗装面の表面に形成された傷(引っ掻き傷)である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、塗装補修部材1は、台座シート10と、固形塗料20と、カバーシート30と、を備える。固形塗料20は、台座シート10上に配置されており、更にカバーシート30で覆われている。なお、本明細書では、塗装補修部材1の構成を分かり易くするために、実際の厚みとは異なる厚みで塗装補修部材1の各部を図示することがある。
【0015】
台座シート10は、厚みが小さく可撓性を有するフィルム状(シート状)の部材である。台座シート10は、厚み方向で見たときに長方形状(長手方向を有する形状)であるが、他の形状(正方形、円形、星等の図形)であっても良い。また、長方形状とは、四隅が直角である形状、四隅が直線状に面取りされている形状、四隅が円弧状に面取り(R付け)されている形状等を含むものとする(固形塗料20、カバーシート30においても同様)。また、台座シート10は気密性を有しており、固形塗料20が外気に触れて乾燥することを防止している。
【0016】
台座シート10は、例えばアルミニウム等の金属(即ち、不透明な素材)であるが、可撓性及び気密性を有していれば、他の金属又は樹脂であっても良い(なお、台座シート10は、固形塗料20と化学反応を起こさない素材であることが好ましい)。また、台座シート10には、凹凸加工(エンボス加工)が行われており、微小な凹凸が形成されている(
図1では、この微小な凹凸がドットで示されている)。この構成により、台座シート10は、固形塗料20が剥離可能に固定されている。なお、凹凸の大きさ及び形状は任意であるが、固形塗料20が台座シート10から剥離し易い大きさ及び形状であることが好ましい。また、台座シート10は、固形塗料20のうち、車両の傷の補修後に外側を向く面(車両の傷に接触させる面とは反対側の面)に接触している。
【0017】
固形塗料20は、厚みが小さくフィルム状(シート状)に形成されている。固形塗料20は、厚み方向で見たときに台座シート10と同じく長方形状であるが、他の形状であっても良い。固形塗料20は、台座シート10の長手方向と固形塗料20の長手方向とが一致するように、台座シート10(詳細には台座シート10の一面)の中央に配置されている(なお、中央からオフセットした位置に配置されていても良い)。
【0018】
また、固形塗料20は、スプレー缶等に封入されている液体塗料とは異なる。即ち、スプレー缶等に封入されている液体塗料は、高い流動性を有しており、定まった形状を有していない。例えば、液体塗料はスプレー缶の形状に応じて広がっており、スプレー缶を傾けるとそれに応じて液体塗料の形状が変化する。これに対し、本実施形態の固形塗料20は、所定の形状を有しており、カバーシート30によってカバーされていない状態であっても、所定の形状を維持する(台座シート10上で広がらない)。また、車両の傷に固形塗料20を直接塗布(即ち、特許文献1等のように粘着層を介さずに塗布)した場合であっても、表面の形状を維持する(広がったり、自重で下方に流れ出したりしない)。これは、法線が鉛直方向上向きとなる面(天井面)に固形塗料20を塗布した場合に限られず、法線が水平方向となる面(バンパー、ドア等)に塗布した場合であっても表面の形状を維持する。この固形性は、例えば、粘性及び表面張力等によって実現されている。なお、固形塗料20は、完全に硬化している訳ではなく、流動性を有している。従って、例えば、作業者が固形塗料20を押圧することで、車両の傷の形状に応じて形状を変化させることができる。なお、固形塗料20は、乾燥させることで硬化する(即ち、台座シート10に配置されている固形塗料20は硬化前の塗料である)。また、固形塗料20は、光沢を有することが好ましい。例えば、エナメル材を添加することで、塗料に光沢性を持たせることができる。
【0019】
一般的に車両の塗装の厚みは下地のサーフェイサー層を含めて約100μmから200μm(例えば約140μm)である。従って、塗装剥がれ等の傷を、1回の固形塗料20の塗布で確実に完了させるために、固形塗料20の厚みは、100μm以上300μm以下であることが好ましい(更に好ましくは、100μm以上200μm以下)。固形塗料20をこのような厚みにすることで、1度の固形塗料20の塗布により、塗装剥がれ等の傷を補修することができる。なお、一般的なスプレー等の液体塗料では一度の塗布で20μm程度しか塗膜を形成できないため、固形塗料20の厚みを20μmより大きくすることで(例えば、50μm以上)、スプレー等を用いる場合と比較して、重ね塗りの回数を抑えることができる。
【0020】
カバーシート30は、厚みが小さく可撓性を有するフィルム状(シート状)の部材である。カバーシート30は、厚み方向で見たときに台座シート10と同じく長方形状であるが、他の形状であっても良い。また、カバーシート30は気密性を有しており、台座シート10とともに固形塗料20が外気に触れて乾燥することを防止している。具体的には、カバーシート30は、固形塗料20を覆うように(好ましくは固形塗料20が気体に触れないように当該固形塗料20に密着しつつ)台座シート10に接着されている。従って、
図2に示すように、カバーシート30は、平坦状の部分だけでなく、固形塗料20の形状に応じて段差状に構成されている部分も含んでいる。なお、塗装補修部材1は、カバーシート30を剥がして使用するため、カバーシート30は剥離可能に台座シート10に接着されている。また、カバーシート30を剥がし易くするために、カバーシート30の周囲について一部(例えば四隅のうちの1つ)の接着を省略しても良い。
【0021】
カバーシート30は、透明又は半透明のポリプロピレン等の樹脂であるが、可撓性及び気密性を有していれば別の樹脂又は金属であっても良い(なお、カバーシート30は、固形塗料20と化学反応を起こさない素材であることが好ましい)。また、カバーシート30は、台座シート10と異なる素材であっても良いし、同じ素材であっても良い。ただし、後述のようにカバーシート30を剥離した際に、固形塗料20を台座シート10上に残すために、カバーシート30は台座シート10よりも固形塗料20に対する剥離性(剥離し易さ)が高い方が好ましい。なお、本実施形態ではカバーシート30には凹凸加工は行われていないが、カバーシート30に凹凸加工が行われていても良い。また、カバーシート30は、固形塗料20のうち、車両の傷に接触させる面に接触している。
【0022】
なお、本実施形態では、台座シート10が不透明で、カバーシート30が透明又は半透明であるが、台座シート10が透明又は半透明であっても良いし、カバーシート30が不透明であっても良い。
【0023】
次に、塗装補修部材1の製造方法について簡単に説明する。初めに、シート状のアルミニウム等に凹凸加工等を行い、所定の大きさに切ることで台座シート10を製造する。次に、台座シート10上に固形塗料20を配置する処理を行う。この処理は、様々な機械を用いて行うことができるが、例えば、基板にエポキシ樹脂等を注入して、BGA(Ball Grid Array)を基板に固定する機械を用いて行うことができる。
【0024】
その後、固形塗料20を覆うようにカバーシート30を配置し、熱等を加えることで、カバーシート30を台座シート10に接着する処理を行う。この処理は、様々な機械を用いて行うことができるが、例えば、例えばラミネート加工機を用いて行うことができる。なお、固形塗料20の乾燥を防止するために、台座シート10に固形塗料20を配置する処理と、台座シート10にカバーシート30を接着する処理とは、同じタイミングで行うことが好ましい。
【0025】
次に、塗装補修部材1を用いて車両の塗装面の傷を補修する方法について、
図3から
図6を参照して説明する。
図3は、塗装補修部材1からカバーシート30を剥離する様子を示す断面図である。
図4は、カバーシート30が剥離された塗装補修部材1を車両50の傷51に当てる様子を示す断面図である。
図5は、車両50の傷51に固形塗料20を移す様子を示す断面図である。
図6は、塗装補修部材1から台座シート10を剥離する様子を示す断面図である。
【0026】
初めに作業者は、車両50の傷51に所定の薬剤を吹きかける等して、傷51の脱脂を行う。また、作業者は、傷51の高低差が大きい場合は、必要に応じてサンドペーパー等で研磨を行い傷51をある程度平坦化する。なお、本実施形態の塗装補修部材1を用いる場合は、スプレー又はシール等を用いて傷を補修する場合と異なり、傷51にある程度高低差が残っていても良い。
【0027】
次に、作業者は、必要に応じて傷51の大きさに合うように塗装補修部材1を切断する。なお、塗装補修部材1を切断することに代えて又は加えて、傷51の周囲をマスキングしても良い。その後、作業者は、
図3に示すように、塗装補修部材1からカバーシート30を剥離する。上述のように、塗装補修部材1からカバーシート30を剥離した場合においても、固形塗料20は台座シート10上に残る(固形塗料20の極一部がカバーシート30に付着していても良い)。なお、塗装補修部材1はカバーシート30を含んで構成されているが、説明の便宜上、カバーシート30を剥がした後の台座シート10及び固形塗料20についても、塗装補修部材1と称する。
【0028】
次に、作業者は、
図4に示すように、塗装補修部材1を車両50に当てる。具体的には、塗装補修部材1の固形塗料20が車両50の傷51に直接当たる向き、かつ、固形塗料20と傷51の位置が合うように、塗装補修部材1を車両50に当てる。
【0029】
次に、作業者は、
図5に示すように、塗装補修部材1を保持しつつ、指等を用いて台座シート10を擦ることで、固形塗料20を傷51に移す(刷り込む)。ここで、固形塗料20はある程度の流動性を有しているため、傷51に高低差が存在しても、その高低差を埋めるように固形塗料20が入り込む。また、固形塗料20の外側は、平坦な台座シート10に接触しているため、平坦となる。
【0030】
次に、作業者は、
図6に示すように、塗装補修部材1から台座シート10を剥離させる。上述のように固形塗料20は車両50に直接塗布しても表面の形状が維持できる程度の固形性を有しているため、また固形塗料20の表面張力により、一般的な液体塗料と異なり、固形塗料20が液垂れしない。また、上述のように台座シート10と接触していたため固形塗料20の表面は平坦である。この状態で、固形塗料20を外気に触れさせることで、固形塗料20を硬化させる。これにより、傷51を補修することができる。なお、固形塗料20は車両50の塗装面に相当する程度の厚みを有しているため、固形塗料20を一度塗布するだけで(重ね塗りすることなく)、傷51を補修した位置と、その他の部分と、の高さを揃えることができる。以上により、表面が平坦であるとともに、周囲と比較しても段差が少なくなるように、傷51を補修することができる。
【0031】
次に、
図7及び
図8を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。
図7は、台座シート10に第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12が形成された変形例を示す一部分解斜視図である。
図8は、第1折曲げ線11を用いて車両50の傷51に固形塗料20を移す様子を示す断面図である。
図9は、第2折曲げ線12を用いて車両50の傷51に固形塗料20を移す様子を示す断面図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0032】
図7に示すように、本変形例の台座シート10には、第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12が形成されている。第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12は、台座シート10を折り曲げ易くするための破線状の切込み等である。第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12は、台座シート10の一端から他端まで形成されている。本変形例では、台座シート10の長手方向に平行な方向に、2本の第1折曲げ線11が形成されている。従って、この2本の第1折曲げ線11は、互いに平行である。第1折曲げ線11が形成されている位置は、固形塗料20とは重なっていない。言い換えれば、台座シート10を厚み方向で見たときに、固形塗料20の一方側と、他方側と、に第1折曲げ線11が形成されている。
【0033】
第2折曲げ線12は、台座シート10の長手方向に平行(即ち、第1折曲げ線11と平行)となるように、複数形成されている。複数の第2折曲げ線12は、互いに平行である。第2折曲げ線12が形成されている位置は、固形塗料20と重なっている。詳細には、第2折曲げ線12の一部(両端を除く部分)が固形塗料20と重なっている。
【0034】
以下、第1折曲げ線11の使用方法について説明する。作業者は、カバーシート30を剥離する前、又は剥離した後において、台座シート10を第1折曲げ線11を用いて折り曲げる。折り曲げる方向は、
図8に示すように、台座シート10の端部が、固形塗料20が配置されている側とは反対側となる方向である。このように台座シート10を折り曲げることで、台座シート10の端部から固形塗料20までの長さが短くなる。従って、作業者は、台座シート10のどの位置に固形塗料20が配置されているかを把握し易くなる。同様に、塗装補修部材1を車両50に接触させた後に、どの範囲を擦れば良いかが分かり易くなる。更に、固形塗料20を傷51に移した後に、台座シート10を剥離させる作業が簡単になる。なお、
図8に示す例では、作業者が指ではなく、ヘラ(刷込み部材)40を用いて固形塗料20を刷り込む。ヘラ40は、塗装補修部材1とまとめて販売されていても良い。
【0035】
以下、第2折曲げ線12の使用方法について説明する。作業者は、カバーシート30を剥離する前、又は剥離した後において、台座シート10を第2折曲げ線12を用いて折り曲げる。折り曲げる方向は、
図9に示すように、固形塗料20が配置されていない面同士を近づける方向(固形塗料20が配置されている面が鈍角になる方向)である。このように台座シート10を折り曲げることで、固形塗料20が押し出されるため、固形塗料20が傷51に移り易くなるので、固形塗料20を刷り込む作業が容易となる。また、傷51が細い場合であっても、傷51が存在する部分のみに固形塗料20を刷り込み易くなる。また、本変形例では、台座シート10に複数の第2折曲げ線12が形成されているため、
図9に示すように、ある第2折曲げ線12を用いて傷51に固形塗料20を刷り込む作業を行った後に、別の第2折曲げ線12を用いて同じ傷51に固形塗料20を刷り込む作業を行うことができる。本実施形態では、液体塗料ではなく固形塗料を用いているため、長時間の乾燥時間が不要であるため、短時間で複数回の固形塗料20の刷り込みを行うことができる。なお、本変形例の塗装補修部材1の別の使用方法としては、ある第2折曲げ線12を用いて、ある傷51に固形塗料20を刷り込み、その後、別の第2折曲げ線12を用いて別の傷51に傷を刷り込むという方法が考えられる。
【0036】
また、上記では、第1折曲げ線11が2本形成されているが、1本であっても良いし、3本以上であっても良い(第2折曲げ線12の本数も4本以外であっても良い)。また、第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12は、台座シート10の長手方向と平行に形成されているが、長手方向に対して傾斜するように(例えば垂直)形成されていても良い。また、固形塗料20を囲むように4つの第1折曲げ線11が形成されていても良い。また、第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12は、破線の切れ目に限られない。例えば、第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12に相当する部分の厚みが小さくなっていても良い。あるいは、第1折曲げ線11及び第2折曲げ線12に相当する部分に折り痕が形成されていても良い。
【0037】
なお、本変形例では、台座シート10に凹凸加工が行われていないが、凹凸加工が行われていても良い。このように、本変形例の特徴と上記実施形態の特徴は適宜組み合わせることができる。また、上記実施形態及び変形例において、凹凸加工は台座シート10の全面に形成されていても良いし、固形塗料20が配置される部分の全体(又は固形塗料20が配置される部分の一部のみに)形成されていても良い。また、台座シート10には、第1折曲げ線11と第2折曲げ線12のうち一方のみが形成されていても良い。
【0038】
以上に説明したように、塗装補修部材1は、台座シート10と、固形塗料20と、カバーシート30と、を備える。台座シート10は、可撓性及び気密性を有する。固形塗料20は、台座シート10上に配置されており、車両50の表面に直接塗布しても表面の形状を維持する程度の固形性及び流動性を有しており、乾燥させることで硬化する。カバーシート30は、可撓性及び気密性を有しており、台座シート10に対面するように当該台座シート10に接着されることで当該台座シート10とともに固形塗料20を覆っており、固形塗料20のうち車両50に接触させる面と密着しており、剥離させたときに固形塗料20が台座シート10に残る。
【0039】
これにより、カバーシート30を剥離させた後に、固形塗料20を車両50の塗装面の傷51に当て、固形塗料20を車両50側に移すことで、車両50の塗装面の傷51を補修することができる。また、固形塗料20は車両50の表面で形状を維持する程度の固形性を有しているため、ある程度の厚みの塗膜を一度に形成することができる。従って、スプレー等で塗膜を複数回積層する方法と比較して、傷51を簡単な作業で補修することができる。また、固形塗料20は初めから硬化しておらず流動性を有するので、台座シート10と接触することで表面が平坦になり易いため、傷51を的確に補修できる。
【0040】
また、塗装補修部材1は、固形塗料20の厚みが100μm以上300μm以下である。
【0041】
一般的なスプレー等の液体塗料では一度の塗布で20μm程度しか塗膜を形成できないが(それ以上塗布すると液垂れが生じる)、本実施形態では上記の厚みの固形塗料20を用いているため、一般的な液体塗料と比較して5倍以上の厚みの塗膜を一度の作業で形成できる。
【0042】
また、塗装補修部材1では、台座シート10のうち固形塗料20が配置される箇所には、凹凸加工が形成されている。
【0043】
これにより、固形塗料20が台座シート10から剥離し易くなるため、固形塗料20を台座シート10から車両50の塗装面の傷51に移し易くなる。
【0044】
また、塗装補修部材1において、台座シート10、固形塗料20、及びカバーシート30は、何れも長方形状である。
【0045】
これにより、塗装補修部材1の(メインの)補修対象である直線状の傷(細長い傷)に合うように、塗装補修部材1の各部の形状を構成することができる。
【0046】
また、塗装補修部材1において、台座シート10には、当該台座シート10を折り曲げ易くするための折曲げ線(第1折曲げ線11、第2折曲げ線12)が形成されている。
【0047】
これにより、台座シート10を折り曲げることで、台座シート10のどの部分に固形塗料20が配置されているかが分かり易くなるため、車両50の傷51の位置に固形塗料20を的確に当てることができる。また、固形塗料20を傷51に当てた後においても、どの範囲を擦れば良いかが分かり易くなる。更に、固形塗料20を傷51に移した後に、台座シート10を剥離させる作業が簡単になる。
【0048】
また、塗装補修部材1において、台座シート10には、固形塗料20と重ならない位置に第1折曲げ線11が複数形成されている。複数の第1折曲げ線11は、互いに平行であり、複数の第1折曲げ線11の間に固形塗料20が配置されている。
【0049】
これにより、固形塗料20を傷51に当てた後において、どの範囲を擦れば良いかが更に分かり易くなる。
【0050】
また、塗装補修部材1において、台座シート10には、少なくとも一部が固形塗料20と重なる第2折曲げ線12が複数形成されている。複数の第2折曲げ線12は、互いに平行である。
【0051】
これにより、傷51が細い場合であっても、傷51が存在する部分のみに固形塗料20を刷り込み易くなる。また、台座シート10に複数の第2折曲げ線12が形成されていることで、第2折曲げ線12を用いて固形塗料20を刷り込む作業を連続的に行うことができる。
【0052】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0053】
上記実施形態では、1枚の台座シート10に1つの固形塗料20が配置されているが、複数の固形塗料20が配置されていても良い。この場合、それぞれの固形塗料20の形状(厚み方向で見たときの形状、大きさ、及び厚み)等を異ならせることで、1枚の塗装補修部材1で様々な傷に対応することができる。この場合、固形塗料20を個別に使用可能にするために、固形塗料20毎にカバーシート30が設けられていることが好ましい(即ち、1つの塗装補修部材1は複数のカバーシート30を備えていても良い)。
【0054】
上記実施形態では、塗装補修部材1は、台座シート10と、固形塗料20と、カバーシート30と、のみからなるが、これらの3つを更に覆うシートが設けられていても良い。
【解決手段】塗装補修部材1は、台座シート10と、固形塗料20と、カバーシート30と、を備える。台座シート10は、可撓性及び気密性を有する。固形塗料20は、台座シート10上に配置されており、車両の表面に直接塗布しても形状を維持する程度の固形性及び流動性を有しており、乾燥させることで硬化する。カバーシート30は、可撓性及び気密性を有しており、台座シート10に対面するように当該台座シート10に接着されることで当該台座シート10とともに固形塗料20を覆っており、固形塗料20のうち車両に接触させる面と密着しており、剥離させたときに固形塗料20が台座シート10に残る。