特許第6324488号(P6324488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6324488-カプセル封止形サージアレスタ 図000002
  • 特許6324488-カプセル封止形サージアレスタ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324488
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】カプセル封止形サージアレスタ
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/12 20060101AFI20180507BHJP
【FI】
   H01C7/12
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-509307(P2016-509307)
(86)(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公表番号】特表2016-521003(P2016-521003A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2013058782
(87)【国際公開番号】WO2014173462
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ズリッツェ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】グリュンヴァルト、レギーナ
(72)【発明者】
【氏名】ゲーラー、ラインハルト
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−347753(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0307793(US,A1)
【文献】 米国特許第03412273(US,A)
【文献】 特開昭58−186183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング軸(30)に沿って下部蓋(4)と上部蓋(5)との間に延びる1つのケーシング壁(3)を有する1つの流体密なケーシング(2)と、前記ケーシング(2)内に設置された、サージ防護のための1つの能動部(6)とを有する、サージアレスタであって、
積層部(7)内に複数のアレスタ素子(8)が含まれるように構成されており、
複数の前記積層部(7)が、絶縁性のスペーサ(9)を介してその上下に配置されて、1つのスタック(10)を構成しており、
前記能動部(6)が、複数の前記スタック(10)を備えており、それらスタック(10)の長手方向軸(31)が、前記ケーシング軸(30)と平行に配置されており、
前記複数のスタック(10)の隣り合う積層部(7)が、前記能動部(6)中を電流路(11)が蛇行状に導かれるように、互いに電気的に接続されており、
前記複数のスタック(10)が、1列に横並びに配列されており、かつ
前記蛇行状の電流路(11)が、前記複数のスタック(10)の複数の前記積層部(7)を通って、前記下部蓋(4)の方向に、および、前記下部蓋(4)の方向とは逆方向に、交互に連続して走っていることを特徴とするサージアレスタ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のサージアレスタ(1)において、
前記ケーシング壁(3)は、そのケーシング軸(30)に沿った1つの部位(17)における断面が、1つの長軸(12)と1つの短軸(13)とを有する楕円状の断面輪郭を有しており、前記複数のスタック(10)の列が、前記長軸(12)に沿って配列されていることを特徴とするサージアレスタ(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサージアレスタ(1)において、
隣り合う前記複数のスタック(10)における前記スペーサ(9)同士が、同じ高さに配置されており、前記スペーサ(9)とそのスペーサ(9)の上下面に各々接する前記積層部(7)との間に、複数の接続要素(14)が配置されていて、それら接続素子の各々が、1つのスタック(10)の1個の積層部(7)とそれに対して隣り合ったスタック(10)の1個の積層部(7)とを、電気的に接続することを特徴とするサージアレスタ(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサージアレスタ(1)において、
1つのスタック(10)の1つのスペーサ(9)と、それに隣り合う1つのスタック(10)の1つのスペーサ(9)とが、それらスペーサ(9)を両端とする一体型の1つの支持プレート(15)を構成している
ことを特徴とするサージアレスタ(1)。
【請求項5】
請求項3を引用する請求項4に記載のサージアレスタ(1)において、
前記複数の接続要素(14)が、前記支持プレート(15)の上面および下面に被着された被覆である
ことを特徴とするサージアレスタ(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による流体密なケーシングでカプセル封止されたサージアレスタに関する。
【背景技術】
【0002】
サージアレスタは、例えば開閉装置用の保護システムであり、これらの保護システムは、雷撃または他の部分システムの誤作動に起因して過電圧が生じたときに、その過電圧をアースに流すことによって、開閉装置における他の部品を保護する。
【0003】
この種のサージアレスタは、1つまたは複数の能動部を含み、それらの能動部は、複数の個別の円筒形のバリスタ素子によって構成された、1つのバリスタスタックを有する。
バリスタ素子の特徴は、電圧に依存する抵抗にある。これらは、低電圧では絶縁物として機能する。物質によって決まる或る特定の電圧閾値を超えると、これらは良好な導電性を示す。バリスタ素子は、多くの場合、酸化亜鉛のような金属酸化物で製造される。アレスタ部品は、その両端が端部取付台に接し、それらの端部は、開閉装置とアースとに電気的に接続される。機械的な負荷が掛かっている状態においても良好な電気的接触を保証すべく、バリスタスタックは、押圧を加えた状態で保持されねばならない。これは、例えば、特にグラスファイバーで強化された樹脂製の管、ロープまたはロッドのような複数の拘束要素を、両方の端部取付台に張力下で固定することによって、実現することができる。その場合、それらの拘束要素は、バリスタスタックを取り囲む。
【0004】
ガス絶縁開閉装置内での使用のために、サージアレスタは、カプセル封止された流体密なケーシングを有し、このケーシングが、アレスタ部品を取り囲んでいる。この場合、絶縁破壊強度を高めるべく、このケーシングには流体が、大抵は六フッ化硫黄が、充填される。このケーシングは、例えば金属製の導電性材料からなり、電気的に接地されている。サージアレスタスタックの一方の端部取付台は、このケーシングを通って導かれる接点を介してアースされている。他方の端部取付台は、ブッシングを介してケーシングの外部にある接点と電気的に接続されており、この接点によって、開閉装置への接続が行われる。
【0005】
この種のサージアレスタは、例えば特許文献1によって公知である。そこでは1つの1スタック式の能動部が、1つの流体密なケーシングの中に配置されている。しかし、その能動部は、高電圧用のものでは数メートルの長さになることがある。
【0006】
4つのスタックで構成された1つの能動部を有するサージアレスタが、特許文献2によって公知である。それらのスタックは、1つのケーシング軸の周りに回転対称に正方形に配置されている。この形態は、前出の文献1よりは長手方向に短いが、その代りに、横方向の広がりにおいてはさらに多くの構造スペースを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011077394A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第4814936A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、開閉装置のスペース条件に対してさらに良好に適合したサージアレスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1による本発明の手段によって解決される。
【0010】
このサージアレスタは、1つのケーシング壁を備えた1つの流体密なケーシングを有し、そのケーシング壁は、ケーシング軸に沿って下部蓋と上部蓋の間に延びている。さらに、このサージアレスタは、サージを防護するべく上記のケーシング内に配置された1つの能動部を有し、その能動部には、複数の積層部内に配置された複数のアレスタ素子が含まれており、絶縁スペーサで以て互いに分離されてその上下に配置された複数の積層部によって、1つのスタックが構成されている。その能動部は、多数のスタックを有し、それらスタックは、その長手方向軸がケーシング軸と平行になるように配置されており、而して隣り合うスタックの複数の積層部は、電流路が能動部を通って蛇行状に導かれるように互いに電気的に接続される。その接続は、複数のアレスタ素子の側面に配置されている例えばケーブルまたは導電性テープによって行うことができるが、より好適には、隣り合う2つのスタックの2個の積層部とそれらにそれぞれ接している複数のスペーサとの間に配置される1つの接続素子によって、その接続が行われて、それら隣り合う2つの積層部同士が電気的に接続されるようするとよい。本発明によれば、複数のスタックが1列に横並びに配置される。1スタック式の1つの能動部を有するサージアレスタと比べて、本発明によるサージアレスタは、明確に短い。本発明によるサージアレスタは、複数のスタックが1列に配置されるので、四角形に配置された複数の能動部スタックを有するサージアレスタと比べて、幅寸法が小さい。一般に、開閉装置の内部では、その全ての方向に十分なスペースが確保されるというわけではない。本発明によるサージアレスタでは、開閉装置の内部でサージアレスタの幅狭側がスペースの少ない方向を向くように、その位置を調整することができる。
【0011】
有利な一実施形態では、上記のケーシング壁は、ケーシング軸上での1つの部位における断面が、1つの長軸と1つの短軸とを有する楕円形の輪郭を有し、その長軸に沿って複数のスタックが配列される。楕円形のケーシング壁は、左様な複数のスタックの配列に最適であり、しかも、高い耐圧力強度を有する。
【0012】
さらに好適には、隣り合う複数のスタックにおいては、複数のスペーサがそれらスタックの同一の高さに配置されており、かつ、そのスペーサの両面に接する積層部には、1つのスタックの1つの積層部を他の1つのスタックの1つの積層部と電気的に接続する接続要素が、それぞれ配置される。このような配置によって、1つのスペーサ毎に、隣り合うスタックに対する2つの電気接続が可能となる。斯くして、スペーサの節約が可能となり、また、スタックをさらに短いものとすることが可能となる。
【0013】
他の好適な形態では、1つのスタックの1つのスペーサと、隣り合う1つのスタックの同一高さに配置されている1つのスペーサとが、一体化された1つの支持プレートの両端として形成される。このようにすることにより、その1つのスペーサが、隣り合う2つのスタック同士の間の補助的な機械的結合としての役割を果たし、以て能動部の機械的安定性が、さらに高められる。
【0014】
さらに、本発明の好適な形態では、上記の接続要素が、上記の支持プレートの上面および下面に被着された層であるように構成される。これにより、3つの部品ではなく、1つの部品だけを取り扱えばよいこととなるので、その使用が容易なものとなる。
【0015】
以下、本発明を図に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるサージアレスタの長手方向断面図。
図2図1のサージアレスタの平面図。 全ての図において、同一部分には同一符号が付されている。添字等が付された符号は、同類の要素を示す。添字等が付与されていない符号は、全ての対応する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明によるサージアレスタ1の長手方向断面図である。図2は、同じサージアレスタ1の上面図である。能動部6のスタック10a、10bおよび10cが、ここでは蓋5を通して見えるように示されている。このサージアレスタ1は、1つのケーシング2を有し、このケーシングは流体密で、ほぼ全体的に導電性材料からなり、電気的にアースされている。このケーシング2は、下部蓋4と上部蓋5を有する。両方の蓋4、5の間に、1つのケーシング軸30に沿って、1つのケーシング壁3が延びている。このケーシングには、運転準備のできた状態では油または六フッ化硫黄のような絶縁性流体が充填されている。ケーシング2内には、サージを防護するための1つの能動部6が配置されている。その能動部6では、高電圧側端部26が上部の端部取付台20と接している。それらは高電圧接点16と電気的に接続されており、その高電圧接点はさらに、高電圧ブッシング25を介し上部蓋5を通って外部と電気的に接続されている。これにより、ケーシング2の外部にて、ここには示されていない高電圧開閉装置との接続を行うことができる。能動部6は、そのアース側端部27で下部の端部取付台21と接しており、ここでは3つの部分で示されている。但しこれは一体形の1つの端部取付台21とすることも可能であることは勿論である。下部の端部取付台21は、導電性の材料からなるものとすることが可能であり、その場合には、能動部6から下部の端部取付台21と下部の蓋4とを介して外部と接地接続せしめるようにすることが可能である。このケーシング2の外部で、接地接続をアースすることができる。代案としては、下部の端部取付台21を電気絶縁的に設置することができる。この場合には、能動部6を、流体密で、かつ、下部蓋4に対して電気絶縁されたアース接点(ここには示されていない)を介して、ケーシング2の外部で接地接続せしめるようにすることができる。能動部6は基本的に、ここには示されていない複数の拘束要素によって、一体に保持される。それら拘束要素は、能動部の周りに籠状に配置されているか、または、個別の管状の拘束要素として能動部を取り囲んでいる。その1つまたは複数の拘束要素は、一方の側が上部の端部取付台20に固定され、他方の側が下部の端部取付台21または下部蓋4に固定されることで、能動部を一体に保持している。
【0018】
能動部6は、ここでは3つのスタック10a、10bおよび10cを有する。2個、4個またはそれ以上のスタック10からなる代案構成も可能である。本発明によるサージアレスタは、好適には3つ以上のスタックからなる1つの能動部6を有している。これらのスタック10はそれぞれ、ケーシング軸30に平行な長手方向軸31に沿って延び、1列に横並びに配置されている。内側のスタック10bは、外側の2つのスタック10aおよび10cの両方と隣り合っている。これらのスタック10はそれぞれ、複数のアレスタ素子8からなる多数の積層部7で以て構成されている。それらの積層部7は、絶縁スペーサ9によって互いに分離されている。アレスタ素子8は、ここでは範例として一つの符号のみを付して示してあり、一般に1つの円板状のバリスターブロックからなるものである。スタック10aを例に、その構造を詳細に説明することとする。スタック10aは、合計18個のアレスタ素子8からなり、それらのアレスタ素子は、4つの積層部7a、7b、7cおよび7dにおいて上下方向に積層配置されており、ここでは積層部7aは3個のサージアレスタ素子8を有し、積層部7b、7cおよび7dは、それぞれ5個のアレスタ素子8を有する。これら4つの積層部7a、7b、7cおよび7dは、3つの絶縁スペーサ9a、9bおよび9cによって互いに分離され、1つのスタック内で互いに電気的に絶縁されている。例えば、スペーサ9bは、積層部7bと7cとを互いに分離し、それらを互いに絶縁している。能動部6のアース側端部27においてスタックを終端するスペーサ9dが積層部7dに接しており、そのスペーサによって、積層部7dが端部取付台21に対して絶縁されている。スタック10bおよび10cも同様に構成されているが、積層部7、アレスタ素子8およびスペーサ9の個数が異なっている。外側のスタック10aおよび10cは、同様に作られるが、回転対称に配置することが、より望ましい。内側のスタック10bの複数の積層部7、すなわち内側の複数のスタック10は、ここに示されている好適な例では、全て同数の、ここでは2個の、アレスタ素子8を有している。この態様の好適な一変形形態においては、内側のスタック10bが、n個のアレスタ素子を有する積層部7のみを有し、外側のスタック10aおよび10cは2n+1個のアレスタ素子を有する積層部7を有し、n+1個のアレスタ素子8を有する1つの積層部7が外側のスタック10a、10cをそれぞれ1つの側で終端する。
【0019】
1つの積層部7とこれに接する1つのスペーサ9との間には、それぞれ1つの接続要素9が設置されている。その接続要素9は、隣り合うスタック10の2つの積層部7を電気的に接続する。例えばスタック10aでは、積層部7cとこれに接するスペーサ9bとの間に、1つの接続要素14cが配置されている。この接続要素14cは、スタック10aからその長手方向軸31に対して垂直方向に隣のスタック10bにまで延びていて、そこで積層部7iとこれに接するスペーサ9fとの間に配置される。すなわち、接続要素14cは、スタック10aおよびスタック10bを同じ高さにて接続する。これにより、積層部7cと7iとの電気接続が行われる。斯くして、積層部7cと7iとが、直列に接続される。スタック10aを通る電流路11は、上記と同様にして、すなわち電気絶縁スペーサ9cによって遮断され、スタック10bを通るように導かれることとなる。このようにして、能動部6を通る電流路11は、上部の端部取付台20で始まり、アース側端部27へ向かってスタック10aの積層部7aを通り、接続要素14aを介して、スタック10bの積層部7eへ導かれ、そこで一旦、高電圧側端部26の方向に向かい、さらに、接続要素14dを介してスタック10cの積層部7gへ導かれ、そこで再びアース側端部27の方向に向かい、続いて接続要素14eを介して戻って積層部7f、接続要素14bを通り、スタック10aの積層部7cに導かれる。同様な方法で、電流路11は、互いに直列に接続された複数の積層部7を通り、而して蛇行状に能動部6の全部を通って、スタック10cの積層部7hへと導かれる。この電流路は、既述の如く、下部の端部取付台21またはアース接点を介して、ケーシング2からその外部へと導かれる。なお、分かり易く表示するために、複数の接続素子14と並んで水平方向の接続線が示されている。勿論、実際には、電流路11の電流はそれら接続素子14を通って流れる。
【0020】
2箇所においては、スペーサが、一体形の支持プレート15a、15bの端部として形成されている。隣り合う2つのスタックのスペーサは、このような1つの一体形の支持プレート15a、15bとして組み立てられる。こうして、スタック10aの積層部7cと7dとの間のスペーサは、スタック10bの積層部7jと7kとの間のスペーサと共に、1つの支持プレート15aとして形成される。その支持プレート15aは、スタック10aとスタック10bとをそれぞれ同じ高さで結合して、能動部6の機械的な安定性を高める役割を果たしている。スペーサ9および支持プレート15は、例えばエポキシ樹脂、熱可塑性樹脂または他の電気絶縁性の固体から形成することができる。以下の説明においては、スペーサ9について記載されたことは、支持プレート15に関するということが明確に言及されていない場合には、支持プレート15にも当てはまるものとする。
【0021】
積層部10の端部に位置するスペーサ9までの全てのスペーサ9においては、そのそれぞれの上面側および下面側に、それぞれ1つの接続素子14が、そのスペーサ9とその両面に接している積層部7との間に配置されている。すなわち、それらスペーサ9の全てにおいて同様に、隣り合うスタック10に対する2つの電気的接続が行われることとなる。このスペーサ9および接続素子14の厚さは、複数のスタック10に含まれているスペーサ9および積層部7の数が異なっている場合にも、これら複数のスタック10の高さが同じになるように決められる。1つのスタック10の2個の積層部7の間にそれぞれ1つのスペーサ9および2つの接続素子14が配置されているスタック10内では、1つのスペーサ9と2つの接続素子14の合計厚さを、1つのアレスタ素子8の厚さと同じになるようにする。複数のスタック10の両端では、1つのスペーサ9と1つの接続素子14との合計厚さを、1つのアレスタ素子の厚さと同じになるようにする。これらの接続素子14は、薄い金属プレートとすることが可能であるが、支持プレート15の場合には、その支持プレート15の上面および下面に被着された金属被膜とすることが可能である。
【0022】
ケーシング壁3は、ケーシング軸30に沿った1つの部位17において楕円状の断面輪郭を有するが、この場合の楕円状には、楕円も、長円または卵形も含まれる。この場合、ケーシング2は、1つの長軸12と1つの短軸13とを有し、その長軸12はその短軸13よりも長い。複数のスタック10の列が、長軸12に沿って配列される。
【0023】
上記のケーシング2は、さらに、マンホール蓋23によって閉鎖可能な1つの噴出口22を有するものとすることができる。このマンホールの内部には、膜で以て閉鎖された吹出し開口を設けることができ、その膜は、故障によるケーシング2内の圧力上昇時に裂けて、その圧力を外へと逃がす。その場合、そこで生じる流体の流れを、吹出しキャップ24が、他のどの装置部分も損害を受けない方向へと、方向転換させるようにすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 サージアレスタ
2 ケーシング
3 ケーシング壁
4 下部蓋
5 上部蓋
6 能動部
7 積層部
8 アレスタ素子
9 スペーサ
10 スタック
12 長軸
13 短軸
14 接続要素
15 支持プレート
30 ケーシング軸
31 スタックの長手方向軸
図1
図2