特許第6324691号(P6324691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6324691自動引き締め縫合糸アンカー、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324691
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】自動引き締め縫合糸アンカー、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20180507BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/04
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-193958(P2013-193958)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-61379(P2014-61379A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】13/623,449
(32)【優先日】2012年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507083478
【氏名又は名称】デピュイ・ミテック・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メフメット・ゼット・センガン
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0292732(US,A1)
【文献】 特開2012−024276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸アンカーであって、
外側部材であって、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する内側内腔を有し、前記外側部材の外表面上に形成され、かつ骨に係合するように構成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を有し、かつ前記遠位端に隣接して前記内側内腔を横切って延在する縫合糸受容部材を有し、前記縫合糸受容部材が、その周囲に縫合糸を受容するように構成される、外側部材と、
前記外側部材の前記内側内腔内に受容されるように構成される内側部材であって、前記外側部材の前記内側内腔の最小内径未満である最大外径を有し、かつ前記外側部材の前記近位端と遠位端との間に延在する前記外側部材の長さを超えない、前記内側部材の近位端と遠位端との間に延在する長さを有する、内側部材と、を備え、
前記内側部材の前記遠位端が前記縫合糸受容部材の近位端に当接し前記内側部材の近位端が前記外側部材の近位端とほぼ同一平面となるように前記内側部材が前記外側部材の前記内側内腔内に完全に配設されるとき、前記内側部材と外側部材との間かつ前記縫合糸受容部材の周囲に延在する縫合糸が、前記内側部材及び外側部材に対して自在に摺動可能であるように構成される、縫合糸アンカー。
【請求項2】
前記内側部材が、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する中央内腔を有し、前記中央内腔が、それを通って延在する前記縫合糸を有するように構成される、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項3】
前記内側部材及び前記外側部材のうちの少なくとも一方が、その近位端と遠位端との間で外表面に沿って延在する少なくとも1つの溝を有し、前記溝が、その中に前記縫合糸を据え付けるように構成される、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項4】
前記縫合糸受容部材が、前記外側部材の対向する内側壁間に延在するクロスバーを備える、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項5】
前記外側部材の前記内側内腔内に受容されるように構成された縫合糸を更に備え、前記内側部材が前記外側部材の前記内側内腔内に完全に配設されるとき、前記縫合糸が、前記内側部材と前記外側部材との間かつ前記縫合糸受容部材の周囲に延在し、前記内側部材及び前記外側部材に対して自在に摺動可能であるようにする、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項6】
縫合糸アンカーシステムであって、
外側部材であって、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する内側内腔を有し、前記遠位端に隣接し、かつ縫合糸を前記外側部材に結合するように構成される縫合糸受容部材を有する、外側部材と、
前記外側部材の前記内側内腔内に着脱可能に配設可能な内側部材であって、前記内側部材及び外側部材が、前記縫合糸受容部材に結合される縫合糸を摺動可能に受容するために、それらの間に間隙を画定する、内側部材と、を備え、
前記内側部材の近位端が前記外側部材の近位端と同一平面又はほぼ同一平面になるように、前記内側部材が前記外側部材の前記内側内腔内に配設されるときであって、縫合糸が、前記縫合糸受容部材に結合され、前記内側部材と前記外側部材との間に延在し、かつ前記縫合糸に形成され、前記内側部材及び外側部材の前記近位端に隣接して位置決めされる結び目を有するとき、前記縫合糸が、前記内側部材及び外側部材に対して前記間隙内で一方向のみに自在に摺動可能である、システム。
【請求項7】
前記内側部材が、前記縫合糸が前記内側部材及び外側部材に結合されるとき、単に前記結び目によって前記外側部材内に保持されるように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記外側部材が、骨に係合するように構成される、その外表面上に形成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記内側部材が、前記間隙が前記内側部材と前記外側部材との間の空隙によって形成されるように、前記外側部材内の前記内側内腔の直径未満である外径を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記間隙が、前記内側部材及び外側部材のうちの一方の中に形成される溝によって形成される、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、自動引き締め縫合糸アンカー、自動引き締め縫合糸アンカーシステム、及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内において靱帯、腱、及び/又は他の軟組織がそれらが付属する骨から完全又は部分的に剥離することは、特にスポーツ選手の間では比較的一般的に見られる傷害である。こうした傷害は、これらの組織に過剰な応力が加わった結果として起こることが一般的である。例として、組織の剥離は、転倒などの事故、仕事に関連した活動時、スポーツ競技の最中、又は他の多くの状況及び/若しくは活動のうちのいずれか1つにおける過度の労作の結果として発生し得る。
【0003】
部分剥離の場合には、充分な時間が与えられ、傷害が更なる不要なストレスに曝されないように注意が払われるならば傷害は多くの場合自然治癒する。しかしながら、完全剥離の場合には、軟組織をそれが付属する骨に再付着させるために外科手術が必要となる場合もある。軟組織を骨に再付着させるための多くの装置が現在存在している。現在存在する装置の例としては、ネジ、ステープル、縫合糸アンカー、及び鋲が挙げられる。ネジを用いた軟組織の再付着手術では、通常、剥離した軟組織を、元の骨を覆う位置へと戻す。次いで、ネジの軸部及びヘッドによって軟組織を骨に対して押さえ付けた状態でネジを軟組織に貫通させて骨内にねじ込む。同様に、ステープルを用いた軟組織の再付着手術では、通常、剥離した軟組織を、元の骨を覆う位置へと戻す。次いで、ステープルの脚部及び架橋部によって軟組織を骨に対して押さえ付けた状態でステープルを軟組織を貫通させて骨内に打ち込む。
【0004】
縫合糸アンカーを用いた軟組織の再付着手術では、通常、まずアンカー受け孔を骨の所望の組織再付着点にドリル穿孔する。次いで、適当な設置器具を使用して孔の中に縫合糸アンカーを展開する。これにより、縫合糸が効果的に係止され、軟組織がそこに固定される。
【0005】
現在の縫合糸アンカーは、骨を軟組織に対して固定するには効果的であるが、現在の装置の難点の1つとして、縫合糸アンカーを骨内に打ち込んでいる間に縫合糸及びこれに取り付けられた軟組織が滑るか又は動いてしまうことがある。一旦縫合糸アンカーが骨内に打ち込まれると、打ち込まれた縫合糸アンカーによって縫合糸及び軟組織が定位置に固定されるため、骨に対する軟組織の位置を調節するために縫合糸及び軟組織を調節することはできない。したがって軟組織が、治療を促す最適な位置に置かれない場合がある。
【0006】
縫合糸アンカーが骨内に打ち込まれた後に縫合糸及び軟組織が調節され得るとしても、軟組織を骨に対して定位置に固定するように縫合糸を結んで結び目を作ることによって、軟組織が最適な位置から滑る可能性がある。より具体的には、外科医は典型的に、まずテネシースライダー(Tennessee Slider)又はダンカンループ(Duncan Loop)など、外科用摺動結び目を使用することによって、縫合糸の端部を結ぶ。結び目を遠位に前進させてループを締め付けた後に、摺動結び目の新しい場所を固定するために、多数の一結び又は他の結び目が結ばれる。現在の修復構成で使用される従来の摺動結び目は、特に張力がループのリム上に主にかけられたとき、緩み又は滑りに対する必要な保護を提供しないため、追加の結び目が必要とされる。一般的に認められている治療は、縫合糸の交互のポスト上に、少なくとも3つの反転した一結びで、摺動結び目を追従することである。しかしながら、1以上の一結び又は他の結びが摺動結びに追加される前に、摺動結びが滑る、すなわち組織によってループに張力が作用する際にループが拡大する可能性がある。これは「ループ安定性」と呼ばれているものであり、高い経験を積んだ外科医の手によってさえも起きる場合があることが報告されている。時としては完全に結ばれた結び目であっても滑る場合がある。この「ループ安全性」問題に加えて、従来の結び目は、特に密結合において妨害的又は侵入的であり得る外形寸法を有する場合があり、これが結び目での摩耗によって軟骨又は他の組織を損傷させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、軟組織を骨に固定するための改良された方法及び装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は概して、自動引き締め縫合糸アンカー、自動引き締め縫合糸アンカーシステム、及び使用方法を提供する。一態様では、外側部材であって、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する内側内腔を有する、外側部材と、該外側部材の内側内腔内に受容されるように構成される内側部材とを含む、縫合糸アンカーが提供される。外側部材は、骨に係合するように構成されるその外表面上に形成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を有することができる。縫合糸受容部材は、遠位端に隣接して外側部材の内側内腔を横切って延在することができ、この縫合糸受容部材は、その周囲に縫合糸を受容するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、縫合糸受容部材は、外側部材の対向する内側壁間に延在するクロスバーの形態であり得る。内側部材は、外側部材の内側内腔の最小内径未満である最大外径を有することができ、内側部材は、外側部材の近位端と遠位端との間に延在する外側部材の長さを超えない、該内側部材の近位端と遠位端との間に延在する長さを有することができる。内側部材が外側部材の内側内腔内に完全に配設されるとき、内側部材と外側部材との間かつ縫合糸受容部材の周囲に延在する縫合糸は、内側部材及び外側部材に対して自在に摺動可能であるように構成されることができる。
【0009】
内側部材は、あらゆる方法で変化し得る。例えば、内側部材は、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する中央内腔を有することができ、内側内腔は、それを通って延在する縫合糸を有するように構成されることができる。内側部材及び外側部材のうちの少なくとも一方が、その近位端と遠位端との間で外表面に沿って延在する少なくとも1つの溝を有し、その溝が、その中に縫合糸を据え付けるように構成されることができる。
【0010】
別の態様では、外側部材と、該外側部材の内側内腔内に着脱可能に配設可能な内側部材と、を含む縫合糸アンカーシステムが提供される。外側部材は、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する内側内腔を有することができ、遠位端に隣接し、かつ縫合糸を外側部材に結合するように構成される縫合糸受容部材を有することができる。いくつかの実施形態では、外側部材は、骨に係合するように構成される、その外表面上に形成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を有することができる。内側部材及び外側部材は、縫合糸受容部材に結合される縫合糸を摺動可能に受容するためにそれらの間に間隙を画定することができる。内側部材の近位端が外側部材の近位端と同一平面又はほぼ同一平面になるように、内側部材が外側部材の内側内腔内に配設されるときであって、縫合糸が、縫合糸受容部材に結合され、内側部材と外側部材との間に延在し、かつ縫合糸に形成され、内側部材及び外側部材の近位端に隣接して位置決めされる結び目を有するとき、縫合糸は、内側部材及び外側部材に対して間隙内で一方向のみに自在に摺動可能である。内側部材は、縫合糸が内側部材及び外側部材に結合されるとき、単に結び目によって外側部材内に保持されるように構成されることができる。
【0011】
間隙は、様々な方法で画定され得る。例えば、内側部材は、間隙が内側部材と外側部材との間の空隙によって形成されるように、外側部材内の内側内腔の直径未満である外径を有することができる。別の例として、間隙は、内側部材及び外側部材のうちの一方に形成される溝によって形成されることができる。
【0012】
更に別の態様では、縫合糸アンカーの内側内腔を通り、縫合糸アンカーの遠位端部分に位置する縫合糸受容部材を回って、内側内腔を通って戻るように軟組織に結合されて、縫合糸アンカーの近位端から外へ延在する第1の末端部及び第2の末端部を有する、縫合糸を通すこと、を含む、外科的方法が提供される。本方法は、縫合糸アンカーを骨孔に植え込むことと、縫合糸受容部材の周囲の縫合糸を引っ張り、それによって軟組織を縫合糸アンカーに向かって引っ張るように、縫合糸の第1の末端部及び第2の末端部に張力をかけることと、第1の結び目が縫合糸アンカーの近位端及び内側内腔内に配設されるプラグの近位端に隣接して位置決めされるように縫合糸の第1の末端部及び第2の末端部で第1の結び目を形成すること、とを更に含むことができる。縫合糸は、縫合糸アンカーを骨孔に植え付けことの前に、例えば、押し込みアンカーとして、又は縫合糸アンカーを植え付けることの後に、例えば、ねじ付きアンカーとして、縫合糸アンカーの内側内腔に通されてもよい。いくつかの実施形態では、縫合糸の一部分が、プラグ内の中央内腔を通って延在してもよい。プラグは、縫合糸アンカーの内側内腔内で縫合糸の自在な摺動移動を可能にすることができる。第1の結び目は、軟組織によって縫合糸に張力がかけられるとき、第1の結び目が縫合糸アンカー内でプラグを保持するように、縫合糸アンカーとプラグとの間を通過するのを防ぐ外径を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の結び目を形成することの後、第1の結び目に隣接して第2の結び目を形成されてもよい。
【0013】
本方法はまた、プラグを縫合糸アンカーの内側内腔の中に挿入することと、プラグを縫合糸アンカーの内側内腔内に完全に配設することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、プラグを挿入することは、プラグを縫合糸に沿って、かつ縫合糸アンカーの内側内腔の中に摺動することを含むことができる。
【0014】
縫合糸アンカーは、第2の縫合糸アンカーを含むことができる。第2の縫合糸アンカーを骨孔に植え込むことの前に、第1の縫合糸アンカーが、第1の骨孔に植え込まれてもよく、縫合糸は、第1の縫合糸アンカーの遠位端部分に形成される縫合糸受容部材を回り、第1の縫合糸アンカーの内側内腔を通り、軟組織を通って延在する。軟組織を第1の縫合糸アンカーに対して固定するように軟組織に隣接して縫合糸に結び目を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全な理解がなされるであろう。
図1】内側部材及び外側部材を含む縫合糸アンカーの一実施形態の側断面分解図。
図2】内側部材が外側部材内に配設される、図1の縫合糸アンカーの側断面図。
図3】縫合糸が外側部材に結合される、図1の外側部材の側断面図。
図4図3の縫合糸アンカー及び縫合糸の上面図。
図5図1の内側部材が外側部材内に配設される、図3の外側部材及び縫合糸の側断面図。
図6図5の内側部材、外側部材、及び縫合糸の上面図。
図7】結び目が縫合糸に形成される、図5の外側部材、内側部材、及び縫合糸の側断面図。
図8図7の内側部材、外側部材、及び縫合糸の上面図。
図9】第2の縫合糸がそれに第2の結び目を有する、図7の外側部材、内側部材、及び縫合糸の側断面図。
図10図9の内側部材、外側部材、及び縫合糸の上面図。
図11】内側部材及び外側部材を含む縫合糸アンカーの別の実施形態の側面分解図。
図12】内側部材が外側部材内に配設され、かつ縫合糸が内側部材及び外側部材に結合される、図11の縫合糸アンカーの側面図。
図13】結び目が縫合糸に形成される、図12の内側部材、外側部材、及び縫合糸の側面図。
図14】内側部材及び外側部材を含む縫合糸アンカーの別の実施形態の側面分解図。
図15】内側部材が外側部材内に配設され、そこに形成される溝を有し、縫合糸が内側部材及び外側部材に結合され、溝内に据え付けられる、外側部材及び内側部材を含む縫合糸アンカーの一実施形態の側断面図。
図16図15の内側部材、外側部材、及び縫合糸の上面図。
図17】内側部材が外側部材内に配設され、そこに形成されるスロットを有し、縫合糸が内側部材及び外側部材に結合され、スロット内に据え付けられる、外側部材及び内側部材を含む縫合糸アンカーの一実施形態の側断面図。
図18図17の内側部材、外側部材、及び縫合糸の上面図。
図19】内側部材が外側部材内に配設され、それを通って延在する内側通路を有し、縫合糸が内側部材及び外側部材に結合され、内側通路を通って延在する、外側部材及び内側部材を含む縫合糸アンカーの一実施形態の側断面図。
図20図19の内側部材、外側部材、及び縫合糸の上面図。
図21】皮膚の下にある骨、皮膚の下の骨に隣接している組織、及び骨内に形成されている骨孔の側断面図。
図22】骨、皮膚、組織、及び図21の骨孔内に配設され、それに結合される装填縫合糸を有し、装填縫合糸が皮膚を通って延在する、図1の外側部材の側断面図。
図23図3の縫合糸が図22の組織に取り付けられる、図22の骨、皮膚、組織、外側部材、及び装填縫合糸の側断面図。
図24】縫合糸が装填縫合糸に通される、図23の骨、皮膚、組織、外側部材、縫合糸、及び装填縫合糸の側断面図。
図25】縫合糸が外側部材及び皮膚に通される、図24の骨、皮膚、組織、外側部材、及び縫合糸の側断面図。
図26】縫合糸に張力がかけられた、図25の骨、皮膚、組織、外側部材、及び縫合糸の側断面図。
図27図1の内側部材が外側部材内に配設され、縫合糸が内側部材と外側部材との間に延在する、図26の骨、皮膚、組織、外側部材、及び縫合糸の側断面図。
図28】結び目が縫合糸に形成される、図26の骨、皮膚、組織、外側部材、内側部材、及び縫合糸の側断面図。
図29】第2の結び目が縫合糸に形成され、かつ結び目の端部及び第2の結び目が整えられる、図26の骨、皮膚、組織、外側部材、内側部材、及び縫合糸の側断面図。
図30】皮膚の下にある骨、皮膚の下の骨に隣接する組織、組織に通される縫合糸、骨内に形成される第1及び第2の骨孔、第1の骨孔内に配設され、それを通って延在する縫合糸を有する第1の外側部材、第2の骨孔内に配設され、それを通って延在する縫合糸を有する第2の外側部材、及び第2の外側部材内に配設される内側部材の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に開示される装置、並びに方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を与えるため、特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態の1以上の例を添付図面に示す。当業者であれば、本明細書に詳細に述べられ、添付の図面に示される装置及び方法は非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることは認識されるところであろう。例示的な1つの実施形態に関連して図示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴部と組み合わせることができる。このような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0017】
更に、本開示においては、各実施形態の同様の参照符合を付した要素は同様の特徴部を有するものであり、したがって特定の実施形態において、同様の参照符合を付したそれぞれの要素のそれぞれの特徴について必ずしも完全に説明することはしない。加えて、直線状又は円形の寸法が、開示されたシステム、デバイス、及び方法の説明で使用される限りにおいて、このような寸法は、このようなシステム、デバイス、及び方法と共に使用され得る形状のタイプを限定しようとするものではない。当業者であれば、任意の幾何学的形状についてこうした直線的及び円形の寸法に相当する寸法を容易に決定することが可能である点は認識されるところであろう。システム及びデバイス、並びにその構成成分の寸法及び形状は、少なくとも、そこでシステム及びデバイスが使用されるであろう被験者の解剖学的構造、それと共にシステム及びデバイスが使用されるであろう構成成分の寸法及び形状、並びにそこでシステム及びデバイスが使用されるであろう方法及び手順に基づくことができる。
【0018】
軟組織を骨に固定するための様々なデバイス、システム、及び方法が提供される。一般に、様々な例示的な自動引き締め縫合糸アンカー、自動引き締め縫合糸アンカーシステム、及び使用方法が提供される。例示的な一実施形態では、外側部材と、該外側部材内に受容されるように構成される内側部材とを含む縫合糸アンカーが提供される。内側部材は、間隙が内側部材と外側部材との間に存在するように、外側部材内に配設されるように構成されることができる。内側部材及び外側部材は、内側部材が外側部材内に配設されるときに内側部材と外側部材との間、例えば、間隙内で縫合糸が自在に摺動することを可能にするように協働することができる。内側部材は、内側部材を外側部材内に固着するように、間隙の幅を超える直径を有する縫合糸の結び目によって外側部材内で固定されるように構成されることができる。外側部材は、外側部材を骨に固定し、したがって内側部材及び縫合糸を骨に固定するように、その外表面上に、かつ骨に係合するように構成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を含むことができる。使用中、外側部材が骨に固定され、例えば、骨孔内に配設され、かつ内側部材及び縫合糸が外側部材内に配設されるとき、縫合糸は、内側部材及び外側部材に対して移動可能であることができ、縫合糸アンカーが骨に固定された後でさえ、縫合糸に取り付けられる軟組織が骨に対して最適に位置決めされることを可能にすることができる。したがって、アンカーは、アンカーが骨の中に打ち込まれる前後の両方で、軟組織が骨に対して位置決めされることを可能にすることができ、治療するための骨に対して軟組織の最適な位置決めを容易にすることができる。縫合糸に結合される軟組織からの張力は、縫合糸の結び目を自動引き締めすることができ、結び目が緩むのを防ぐのに役立ち、例えば、「ループ安全性」を提供するのに役立ち、それによって治療の間、骨に対して最適な位置で軟組織を保持するのに役立つことができる。結び目は、単純なプロセスで、例えば、基本的な摺動結び目又は基本的な一結びを使用して容易に結ばれることができ、更に結び目を追加することなく単一で使用されることができ、糸結び及び組織固定プロセスを単純化し、利用者から利用者へのアンカーの一貫した結果を確実にするのに役立つことができる。アンカーの構成は、縫合糸によって組織にかかる張力が一方向に調節され、例えば、締め付けられ得るときに特に有利であるが、結び目は反対方向に摺動することから縫合糸を固定する。したがって、システムは、アンカーを「係止」又は「係止解除」することを必要とせず、縫合糸張力の一方向調節を提供することができる。
【0019】
本明細書では軟組織を骨に固定するための方法、システム、及び装置が開示されるが、本方法、システム、及び装置は、異なる物体を互いに固定するための様々な他の医療処置において使用することが可能であることを当業者は認識するであろう。
【0020】
本明細書で開示されるアンカーが骨内、例えば、骨孔又は骨トンネル内に部分的に配設されるとき、アンカーの遠位端が骨内に配設され、アンカーの近位端が骨の近位面の近位にあることを当業者は認識するであろう。アンカーが骨内に完全に配設されるとき、アンカーの遠位端が骨内に配設され、アンカーの近位端が骨の近位面と実質的に同一平面又はほぼ同一平面になることを当業者もまた認識するであろう。
【0021】
本明細書で開示されるアンカーは、様々な材料から形成されることができる。例示的な実施形態では、アンカーを形成する材料(複数可)は、ドライバがアンカーを損傷することなくアンカーを骨の中に打ち込むために使用されることを可能にするのに十分である物理的性質を有することができる。材料(複数可)の性質はアンカーの特定の構成によって決まる。非限定的な例として、ドライバがアンカーの内側内腔の中に挿入される場合、アンカーの内側内腔は、ドライバとアンカーとの間の表面接触量に加えて、アンカーのトルク強度を最大とする長さを有することができ、したがって生体吸収性及び/又は骨伝導性材料などの低強度の材料を使用されることを可能にする。ポリマー(例えば、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、Raynham、MAのDePuy Mitekから入手可能なポリ乳酸Biocryl(登録商標)Rapide、酸(PLA)など)及び金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、ニチノールなど)を含む様々な他の材料がアンカーを形成するために使用されることができることを当業者は認識するであろう。アンカーの外側部材及び内側部材はそれぞれ、同一の材料(複数可)で形成されるか、又は異なる材料(複数可)で形成されることができる。例示的な実施形態では、少なくとも内側部材は、実質的に剛体材料(複数可)で形成されることができ、内側部材が変形又は屈曲するのを防ぐのに役立つことができる。これはまた、後述されるように、縫合糸結び目が内側部材と外側部材との間に画定される空隙の中に入るのを防ぐのに役立つことができる。
【0022】
図1〜10は、軟組織を骨に固定するように構成された縫合糸アンカー10の例示的な一実施形態を示している。アンカー10は概して、少なくとも1つの縫合糸12に結合するように構成されることができ、アンカー10は、少なくとも1つの縫合糸12を骨に固定し、したがって少なくとも1つの縫合糸12に結合される、任意の材料、例えば、軟組織を骨に固定するように、骨内、例えば、骨孔又は骨トンネル内に少なくとも部分的に配設されるように構成されることができる。図3〜7は、アンカー10に結合される1つの縫合糸12を示し、図9及び10は、アンカー10に結合される2つの縫合糸12、12aを示すが、任意の数の縫合糸がアンカー10に結合されることができる。少なくとも1つの縫合糸12は、内側部材16が外側部材14内に配設される前に外側部材14に結合されるように示されるが、いくつかの実施形態では、内側部材16は、少なくとも1つの縫合糸12が内側内腔18内に位置決めされる前に、外側部材の内側内腔18内に配設されることができる。
【0023】
アンカー10は、細長にすることができ、外側部材14と内側部材16とを含むことができる。内側部材16は、本明細書では「プラグ」とも称され、外側部材14に嵌合するように構成される。したがって、アンカー10は、選択的に共に嵌合するように構成される、2つの別個の部材14、16を含むことができる。しかしながら、別の実施形態では、内側部材は、外側部材に非着脱可能に結合されることができる。外側部材14は、その近位端14pと遠位端14dとの間でそれを通って延在する内側内腔18を有することができる。内側部材16は、外側部材14の内側内腔18内に少なくとも部分的に配設されるように構成されることができる。図示された実施形態に示すように、内側部材16は、外側部材14内に完全に配設されるように構成されることができる。内側部材16は、内側部材16を外側部材14の中に完全に遠位に前進させるとき、内側部材14を外側部材16内に完全に配設するように、外側部材14内で実質的に同一平面又はほぼ同一平面になって配設されることができる。換言すれば、内側部材16の近位端16pは、内側部材16の遠位端16dが外側部材14内に位置決めされ、外側部材の遠位端14dの近位にあるか、又はそれと整列されるとき、外側部材14の近位端14pと実質的に同一平面又はほぼ同一平面になって位置決めされるように構成されることができる。図示された実施形態では、図5、7、及び9に示されるように、内側部材16を外側部材14の中に完全に遠位に前進させるとき、内側部材の近位端16pは、内側部材16の遠位端16dが外側部材の遠位端14dの近位である場所で外側部材14内に位置決めされるとき、外側部材の近位端14pと実質的に同一平面になるように構成される。
【0024】
後述されるように、内側部材16は、図2及び図5に示されるように、内側部材16を内側内腔18の中に完全に遠位に前進させるときでさえ、間隙20が内側部材16と外側部材14との間に形成されることを可能にする寸法及び形状を有することができる。したがって、外側部材14及び内側部材16は、内側部材16が外側部材14内に配設されるときにそれら間に、本明細書で「空隙」とも称される、間隙20を画定するように協働することができる。一実施形態では、間隙20は、内側部材16の外表面及び外側部材14の内表面によって画定されることができ、間隙20は、外側部材14の内側内腔18を通って長手方向に延在することができる。別の実施形態では、この間隙は、内側部材及び外側部材に対して自在に摺動するように縫合糸のための空隙を生み出す、内側部材及び/又は外側部材内の溝、チャネル、又は他の特徴部によって形成されることができる。また後述されるように、間隙20は、少なくとも1つの縫合糸12の最大直径12Dを超える最大幅20wを有することができ、少なくとも1つの縫合糸12が間隙20内で自在に移動可能、例えば、外側部材14及び内側部材16に対して間隙20内で長手方向かつ横方向に摺動可能であることを可能にすることができる。例示的な実施形態では、間隙20の最大幅20wは、図5〜10に示されるように、縫合糸12の少なくとも2本分が内側部材16の両側に間隙20を通って延在することを可能にするように、少なくとも1つの縫合糸12の最大直径12Dの2倍を超えることができ、少なくとも1つの縫合糸12が折り曲げられることを可能にすることができる。更に後述されるように、折り曲げられた縫合糸は、縫合糸を軟組織に固定するのを容易にすることができる。
【0025】
外側部材14は、様々な寸法、形状、及び構成を有することができる。外側部材14は、骨孔、例えば、1つの開放端及び1つの閉鎖端を有する孔内、又は骨トンネル、例えば、2つの開放端を有するトンネル内など、骨内に植え付けられるように構成されることができる。例示的な実施形態では、外側部材14は、それが皮質骨の厚さを通って完全に係合されることを可能にする寸法及び形状を有する。図示された実施形態に示すように、外側部材14の近位端14pは、外側部材14のカニューレ状構成によってドライバ又は他の据え付け器具が外側部材14を骨の中に打ち込むように内側内腔18の中に挿入されることを可能になり得るときにヘッドフリーであり得る。しかしながら、他の実施形態では、外側部材は、アンカーを骨の中に打ち込み、及び/又はアンカーの挿入深度を制限するためにその近位端上にヘッド、フランジ、又は他の特徴部を含むことができる。縫合糸アンカーの外側部材の例示的な構成としては、DePuy Mitek of Raynham、MAから全て市販されている以下のアンカーが挙げられる:HEALIX(登録商標)、HEALIX PEEK(登録商標)、及びHEALIX BR(登録商標)。
【0026】
前述のように、外側部材14は、それを通って延在する内側内腔18を有する細長い本体の形態であり得る。縫合糸据え付け部材22は、その周囲に縫合糸を受容するための内側内腔18を横切って延在することができる。内側内腔18は、図示された実施形態に示すように、外側部材14がカニューレ状であるように、外側部材の完全な長手方向の長さ14Lに沿って延在することができる。カニューレ状である外側部材14は、少なくとも1つの縫合糸12が内側内腔18を通り、縫合糸据え付け部材22を回って通過するのを容易にすることができる。別の実施形態では、アンカーの外側部材の内側内腔は、外側部材の部分的な長手方向の長さに沿って延在することができる。
【0027】
縫合糸受容部材22は、様々な寸法、形状、及び構成を有することができる。概して、縫合糸受容部材22は、少なくとも1つの縫合糸12を外側部材14にしっかりと結合するのに役立つように、内側内腔18を少なくとも部分的に通って延在する少なくとも1つの縫合糸12を受容するか、据え付けるか、又は係合するように構成されることができる。本明細書で「クロスバー」、「縫合糸据え付け部材」とも称される、縫合糸受容部材22は、外側部材14の遠位端14dに隣接して内側内腔18内に配設されることができる。図2、5、7、及び9に示されるように、外側部材14の遠位端14dは、アンカー10の遠位端を画定することができるため、したがって縫合糸受容部材22は、アンカー10の遠位端に隣接して配設されることができる。別の実施形態では、縫合糸受容部材は、アンカーの遠位端の近位、例えば、アンカーの外側部材の遠位端の近位に位置することができる。
【0028】
縫合糸受容部材22は、外側部材14の内側内腔18を通って延在する1つ以上の縫合糸、例えば、少なくとも1つの縫合糸12に係合するように構成されることができる。図示された実施形態に示されるように、縫合糸受容部材22は、内側内腔18を横切って横方向に、かつ外側部材14の対向する内側壁間に延在するポストの形態であり得る。内側内腔18の長手方向軸Aに対する縫合糸受容部材22の角度方位が変化し得るが、例示的な実施形態では、縫合糸受容部材22の長手方向軸22Aは、図1及び4に示されるように、内側内腔18の長手方向軸Aにほぼ垂直に延在する。縫合糸受容部材22は、図示された実施形態では、円筒形かつ円形の断面形状を有するが、縫合糸受容部材は、他の形状、例えば、砂時計形などを有することができ、他の断面形状、例えば、楕円形、六角形などを有することができる。例示的な実施形態では、縫合糸受容部材22の少なくとも遠位面は、湾曲するか、又は丸められることができ、その周囲に少なくとも1つの縫合糸12の円滑な摺動を容易にすることができる。
【0029】
縫合糸受容部材22は、外側部材14と共に一体に形成され、例えば、外側部材14及び縫合糸受容部材22が単一ユニットとして成形されるか、又は単一の材料から形成されることができ、あるいは縫合糸受容部材22は、外側部材14に、例えば、スナップ嵌合いによって固定的又は着脱可能に嵌合される別個の要素であり得る。例示的な実施形態では、縫合糸受容部材22は、縫合糸受容部材22が外側部材14と共に一体に形成されるか又は外側部材14に嵌合される別個の要素であるかどうか、外側部材14に対して移動不能、例えば、回転不能かつ摺動不能であるように構成されることができる。別の実施形態では、縫合糸受容部材は、回転可能であり得る。
【0030】
縫合糸受容部材は、その外表面に形成される少なくとも1つの溝(図示せず)を任意に含むことができる。少なくとも1つの溝は、1つ以上の縫合糸、例えば、少なくとも1つの縫合糸12を据え付けるように構成されることができる。少なくとも1つの溝は、その中に少なくとも1つの縫合糸12を据え付けることによって外側部材14に対して少なくとも1つの縫合糸12を予測通りに位置決めするのに役立つことができ、外側部材14、したがって外側部材14が配設される骨に対して、少なくとも1つの縫合糸12に結合される軟組織を予測通りに位置決めするのに役立つことができる。
【0031】
縫合糸受容部材の様々な例示的な実施形態が、2012年2月14日に発行された「Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許第8,114,128号、及び2007年9月14日に出願された「Dual Thread Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許公開第2009/0076544号に更に詳細に記載され、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
外側部材14はまた、骨に係合するための少なくとも1つの骨係合面特徴部24も含むことができる。少なくとも1つの骨係合面特徴部24は、様々な構成、形状、及び寸法を有することができる。一実施形態では、少なくとも1つの骨係合面特徴部24は、外側部材14の外表面の少なくとも一部分、例えば、外側部材14の近位部分に形成されることができる。外側部材14の遠位部分には、骨係合面特徴部が形成されない場合がある。他の実施形態では、この面特徴部は、全長に沿って、又は外側部材の別個の部分に沿って形成されることができる。歯群、隆起、フランジ、リブ、かかり、突出など、様々な面特徴部が使用されることができるが、図示された例示的な実施形態に示すように、外側部材14は、その周囲に延在する1つ以上のねじ山の形態で少なくとも1つの骨係合面特徴部24を含むことができる。図示された実施形態では、外側部材14は、その近位端からその遠位端まで外側部材14の外表面の周囲に延在する単一のねじ山を含むが、外側部材は、複数の骨係合面特徴部、例えば、複数のねじ山、複数の隆起などを含むことができる。骨係合面特徴部の様々な例示的な実施形態が、前述の2012年2月14日に発行された「Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許第8,114,128号、及び2007年9月14日に出願された「Dual Thread Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許公開第2009/0076544号、並びに2011年12月20日に出願された「Knotless Instability Anchor」と題する米国特許出願第13/331,867号に更に詳細に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図11〜13は、第1のねじ山24a及び第2のねじ山24bの形態で複数の骨係合面特徴部を有する外側部材14’を含むアンカー10’の実施形態を示す。図11〜13はまた、外側部材14’に選択的に嵌合し、その内側内腔18’内に受容されるように構成される内側部材16’を示す。これらの図はまた、外側部材14’及び内側部材16’に結合するように構成される少なくとも1つの縫合糸12’を示す。アンカー10’は概して、本明細書で開示される他のアンカーと同様に構成され、使用されることができる。第1のねじ山24a及び第2のねじ山24bは、外側部材14’がねじ付き近位部分14p’及びねじなし遠位部分14d’を有するように、外側部材14’の近位部分14p’で外側部材14’の周囲に延在する。第1のねじ山24aは、外側部材14’の近位端から始まり、これが外側部材14’の縫合糸受容部材22’のちょうど近位で終わる。この図示された実施形態では、縫合糸受容部材22’は、アンカー10’の遠位端の近位、例えば、外側部材14’の遠位端の近位に位置する。第2のねじ山24bは、第1のねじ山24a間に延在することができる。第2のねじ山24bは、外側部材14’の一部分のみ又は外側部材14’の長手方向の全長を超えて延在することができる。図11〜13に示されるように、第2のねじ山24bは、外側部材14’の最近位部分のみに沿って延在することができ、第2のねじ山24bは、第1のねじ山24aの近位で終端することができる。結果として、外側部材14’のねじ付き近位部分14p’は、二重ねじ付き近位領域及び単一ねじ付き遠位領域を含むことができる。複数の骨係合面特徴部を含む外側部材の様々な実施形態が、前述の2007年9月14日に出願された「Dual Thread Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許公開第2009/0076544号に更に詳細に記載される。
【0034】
図1〜10の実施形態を再び参照すると、図1及び2に示されるように、外側部材14は、内側部材16の長手方向の長さ16L以上である長手方向の長さ14Lを有することができ、内側部材16が外側部材14内に完全に配設されることを可能にすることができる。したがって、外側部材14の内側内腔18の長手方向の長さ18Lはまた、内側部材の長手方向の長さ16L以上であり得る。図1及び6に示されるように、外側部材の内側内腔18の最大幅18wは、内側部材16の最大幅16wを超えることができ、内側部材16が内側内腔18内に緩く配設されることを可能にすることができ、それらの間に間隙20を生み出すことができる。図示された実施形態では、内側内腔18が円筒形かつ円形の断面形状を有するため、内側内腔18の最大幅18wは、内側内腔の円形の断面形状の直径と等しい。同様に、図示された実施形態では、内側部材16が円筒形かつ円形の断面形状を有するため、内側部材16の最大幅16wは、内側部材の円形の断面形状の直径と等しい。内側内腔18及び内側部材16が同一の形状、例えば、円筒、及び同一の断面形状、例えば、円形を有するが、図示された実施形態では、内側内腔18及び内側部材16は、互いに同一又は異なる、異なる形状及び異なる断面形状を有することができる。内側内腔18及び/又は内側部材16は、その長手方向の長さに沿って異なる断面形状を有することができ、かつ/あるいは、その長手方向の長さに沿って異なる直径することができ、例えば、内側部材16が切頭円錐台形、球形などを有することができる。換言すれば、内側部材16及び/又は内側内腔18は、その長手方向の長さに沿って可変断面形状を有することができ、例えば、その長さに沿って一定断面積を有する必要がない。内側部材16は、後述されるように、少なくとも1つの結び目を使用して、外側部材14内の内側部材16の固定を可能にするように、外側部材14と内側部材16との間の間隙20を形成するのに適切な寸法及び形状を有する、例えば、尖状又は銃弾形状の遠位先端及び近位端を有することができる。尖状又は銃弾形状の遠位先端などを有する内側部材16は、内側部材16を外側部材14の内側内腔18の中に挿入するのを容易にする。
【0035】
図14は、六角形の断面形状を有する内側部材16”と、六角形の断面形状の内側内腔18”を有する外側部材14”とを含むアンカー10”の別の実施形態を示す。この図示された実施形態では、縫合糸受容部材22”は、アンカー10”の遠位端の近位、例えば、外側部材14”の遠位端の近位に位置する。アンカー10”は概して、本明細書で開示される他のアンカーと同様に構成され、使用されることができる。外側部材14”及び外側部材の様々な他の実施形態が、前述の2012年2月14日に発行された「Cannulated Suture Anchor」と題する米国特許第8,114,128号に更に詳細に記載される。
【0036】
図1〜10の実施形態を再び参照すると、内側部材16は、様々な寸法、形状、及び構成を有することができる。内側部材16は、例示された実施形態に示すように、円筒形かつ円形の断面形状を有する。内側部材16は、例示された実施形態に示すように、実質的に固体であり得る。内側部材16は、小さな気泡を含むことなどによって、製造許容誤差内の1つ以上の材料不一致を含むにもかかわらず実質的に固体であり得ることを当業者は認識するであろう。別の方法として、内側部材16は、閉鎖端を有する中空円筒状部材であることにより、1つの開放端及び1つの閉鎖端を有する中空円筒状部材であることにより、閉鎖端を有する部材内に含まれる1つ以上の中空キャビティを有することなどによって、1つ以上の中空部分を有することができる。
【0037】
内側部材16は、図示された実施形態に示すように、その上に形成されるいかなる面特徴部を有することなく、滑らかな外表面を有することができる。いかなる面特徴部を有しない滑らかな外表面は、外側部材の内側内腔18への内側部材16の円滑な摺動可能な移動を容易にすることができ、かつ/あるいは、内側部材16が外側部材14内に配設されるとき、外側部材14及び内側部材16によって画定される間隙20内で少なくとも1つの縫合糸12の円滑な摺動可能な移動を容易にすることができる。別の実施形態では、内側部材16は、少なくとも1つの面特徴部、例えば、非平滑化表面、内側部材の長手方向の長さに沿って1つ以上の縫合糸を長手方向に整列させるように構成される複数の長手方向の隆起を含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、縫合糸アンカーの内側部材は、内側部材と外側部材との間に間隙を画定する、その外表面に形成される少なくとも1つの溝を含むことができる。少なくとも1つの溝は、様々な寸法、形状、及び構成を有することができる。少なくとも1つの溝は、内側部材に沿って長手方向に延在することができ、その中に少なくとも1つの縫合糸を据え付けるように構成されることができる。少なくとも1つの溝は、少なくとも1つの溝を含む内側部材が配設される外側部材に対して少なくとも1つの縫合糸の予測可能な位置決めを容易にすることができる。図15及び16は、内側部材の外表面に形成され、その中に少なくとも1つの縫合糸112を据え付けるように構成される、少なくとも1つの溝117を有する、内側部材116の例示的な実施形態を示す。この例示された実施形態では、少なくとも1つの溝117は、内側部材116の外表面に形成される単一の長手方向のチャネルを含むが、内側部材がそこに形成される1つ以上の溝を含むことができる。長手方向のチャネルは、例示された実施形態に示すように、例えば、三日月形又は半月形断面形状を有することができ、あるいは長手方向のチャネルは、別の形状及び/又は別の断面形状を有することができる。少なくとも1つの溝117は、内側部材116に結合される少なくとも1つの縫合糸112がその中に据え付けられることを可能にし、内側部材116が外側部材114内に配設されるとき、内側部材116の周辺部を囲むように長手方向に予測可能な位置から延在することができ、少なくとも1つの縫合糸112及び/又は少なくとも1つの縫合糸112に結合される軟組織に張力をかけることを容易にすることができる。図17及び18は、内側部材の外表面に形成され、かつその中に少なくとも1つの縫合糸212を据え付けるように構成されるスロットの形態で少なくとも1つの溝217を有する、内側部材216の別の例示的な実施形態を示す。この図示された実施形態では、少なくとも1つの溝217は、内側部材216の外表面に形成される単一のスロットを含み、半径方向に内向きに延在するが、上述したように、内側部材がそこに形成される2つ以上の溝を含むことができる。長手方向のチャネルは、例示された実施形態に示すように、矩形断面形状を有することができ、あるいは長手方向のチャネルは、別の形状及び/又は別の断面形状を有することができる。少なくとも1つの溝217は、内側部材216に結合される少なくとも1つの縫合糸212がその中に着座させられることを可能にし、内側部材216が外側部材214内に配設されるとき、内側部材216の周辺部を囲むように長手方向に予測可能な位置から延在することができ、少なくとも1つの縫合糸212及び/又は少なくとも1つの縫合糸212に結合される軟組織に張力をかけることを容易にすることができる。他の実施形態では、内側部材は、内側部材の対向する長手方向の側面上に位置決めされる2つの溝を含むことができる。
【0039】
内側部材が外側部材内に配設されるとき、その外表面に結合される少なくとも1つの縫合糸を有するように構成されている内側部材に加えて又は代わりに、内側部材は、内側部材が外側部材内に配設されるとき、その内側内腔を通って延在する少なくとも1つの縫合糸を有するように構成されることができる。図19及び20は、外側部材314に嵌合可能であり、かつそれを通って延在する内側内腔317を有し、その内側内腔がその中に少なくとも1つの縫合糸112を受容するように構成されることができる、内側部材316の例示的な実施形態を示す。この例示された実施形態では、内側内腔317は、単一の長手方向の内側内腔を含むが、内側部材は、2つの平行な内腔など、それを通って延在する2つ以上の内側内腔を含むことができる。内側部材316の内側内腔317は、例示された実施形態に示すように、円筒形かつ円形の断面形状を有することができ、あるいは内側内腔317は、別の形状及び/又は別の断面形状を有することができる。
【0040】
内側部材の異なる断面形状は、使用される異なる縫合糸引き締め技術を必要とすることができ、具体的には、アンカーに結合される縫合糸の結び目の寸法を決定することができる。非限定的な例として、図2の外側部材14と内側部材16との間の間隙20は、少なくとも1つの縫合糸12が間隙20を通って延在して、バントライン結び目などの摺動結び目の使用を必要とし得るが、スロットの形態で少なくとも長手方向に延在する溝217を含む図17及び18の実施形態、並びにカニューレ状内側部材316を含む図19及び20の実施形態などでは、少なくとも1つの縫合糸を据え付けるより狭い空隙は、摺動結び目より小さい、一結びなどの引き締め結び目の使用を可能にすることができる。
【0041】
図1〜10の実施形態を再び参照すると、アンカー10に結合される少なくとも1つの縫合糸12は、当業者に認識されるように、様々な寸法、形状、及び構成を有することができる。また、当業者に認識されるように、少なくとも1つの縫合糸12は、様々な方法、例えば、手動、縫合糸通し装置を使用することによってアンカー10に結合されることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの縫合糸12は、外側部材14の内側内腔18内に予め装填され、例えば、予め装填されたユニットとしてパッケージ化されることができ、外科手術でアンカー10の使用を速めることができる。
【0042】
図3及び4に示されるように、少なくとも1つの縫合糸12は、外側部材14の内側内腔18内に位置決めされるように構成されることができ、縫合糸12が、例えば、縫合糸据え付け部材22を回って摺動することによって外側部材14に対してそこで移動可能であり得るようにする。少なくとも1つの縫合糸12は、少なくとも1つの縫合糸12の第1の部分が、内側内腔18を通り、外側部材14の近位端から外へ延在し、少なくとも1つの縫合糸12の第2の部分が、内側内腔18を通り、外側部材14の近位端から外へ延在し、かつ少なくとも1つの縫合糸12の第1の部分と第2の部分との間に位置する少なくとも1つの縫合糸12の中間部分が、内側部材16の遠位にある場所で縫合糸据え付け部材22の周囲に位置決めされるように、内側内腔18内に位置決めされることができる。例示的な実施形態では、上述したように、少なくとも1つの縫合糸12は、少なくとも1つの縫合糸12を折り曲げて、内側内腔18内に位置決めされることができる。このような折り曲げによって、少なくとも1つの縫合糸12の末端部12e1、12e2が外側部材14から外へ延在する少なくとも1つの縫合糸12の第1の部分の端部を確定し、少なくとも1つの縫合糸12のループ状の端部又は折り曲げられた点12fが少なくとも1つの縫合糸12の第2の部分の端部を画定することができる。少なくとも1つの縫合糸12は、図5及び6に示されるように、内側部材16が内側内腔18内に位置決めされたあとでさえ、内側内腔18内で移動可能、例えば、間隙20内で移動するように構成されることができる。
【0043】
後述されるように、内側部材16が内側内腔18内に位置決めされ、かつ少なくとも1つの縫合糸12が間隙20内に位置決めされ、その末端部が外側部材14の近位端から延在するようにするとき、図5及び6に示されるように、結び目26が、図7及び8に示されるように、少なくとも1つの縫合糸12の末端部12e1、12e2で形成されることができる。結び目26は、結び目26が外側部材14と内側部材16との間を通過するのを防ぐ寸法を有することができる。例示的な実施形態では、結び目26は、間隙20の最大幅20wを超える、図7に示される外径26Dを有することができる。換言すれば、図8に示される結び目26の最小幅26wは、間隙20の最大幅20wを超え得る。間隙20の寸法を超える寸法を有することは、結び目26が、外側部材14と内側部材16との間、例えば、間隙20の中を通過するのを防ぐことができ、(少なくとも1つの縫合糸12の反対側の端部が組織に結合されるときに少なくとも、かつ結び目26を初めに解くことなく)内側部材14が外側部材16から解放可能であるのを防ぐことができる。結び目26の一部分は、間隙20の中に延在、例えば、少なくとも1つの縫合糸12の折り曲げられた端部12fに取り付けられる組織によってもたらされる力によりその中に引っ張られてもよいが、結び目26の寸法によって、結び目26が間隙20の中に完全に通過するのを防ぐことができ、内側部材16が外側部材14から解放されるのを防ぐことができる。
【0044】
結び目26は摺動結び目であり得、あるいは結び目26は、一結びなどの単純な結び目であり得る。結び目26は、自動引き締め、例えば、組織に取り付けられる少なくとも1つの縫合糸12の反対側の端部12fから張力をかけられ得るため、摺動結び目及び単純な結び目の両方は、効果的なアンカー機能性のために少なくとも1つの縫合糸12を固定するのに効果的であり得る。
【0045】
少なくとも1つの縫合糸12で形成された1つのみの結び目26が示されるが、複数の結び目が少なくとも1つの縫合糸12に形成されることができる。複数の結び目のそれぞれは、結び目が外側部材14と内側部材16との間を通過するのを防ぐ、他の結び目のうちのいずれかの寸法と同一又は異なる寸法を有することができる。少なくとも1つの縫合糸12で複数の結び目を形成することは、万一縫合糸結び目損傷、例えば、結び目の解け、縫合糸破損などが起きた場合、アンカー機能性を確保するのに役立つことができる。図9及び10などに示される、複数の縫合糸を含む一実施形態では、縫合糸12、12aに形成されるそれぞれの結び目26、26aは、結び目26、26aが外側部材14と内側部材16との間を通過するのを防ぐ、互いに同一又は異なる寸法を有することができる。複数の縫合糸12、12a、それ故にまた複数の結び目26、26bを有することは、万一縫合糸損傷が起きた場合、アンカー機能性を確保するのに役立つことができる。加えて、上述したように、縫合糸12、12aのそれぞれで形成された1つのみの結び目26、26aが示されるが、縫合糸12、12aのそれぞれは、互いに同一又は異なる、それで形成される任意の数の結び目を有することができる。結び要素は、当業者に認識されるように、縫合糸の代わりに使用されることができる。
【0046】
別の実施形態では、1つ以上の外側部材及び1つ以上の内側部材を含む縫合糸アンカーキットが提供されることができる。例示的な実施形態では、内側部材のそれぞれは、内側部材が外側部材と共に互換的に使用されることができるように、外側部材のそれぞれの内に受容されるように構成されることができる。外側部材のそれぞれは、他の外側部材とは異なる寸法、異なる形状、及び/又は異なる構成を有することができ、内側部材のそれぞれは、他の内側部材とは異なる寸法、異なる形状、及び/又は異なる構成を有することができる。このように、最適な寸法、形状、及び構成を有する外側部材、及び最適な寸法、形状、及び構成を有する内側部材は、特定の患者の特定の外科手術に使用するのに選択されることができ、単一のキットが異なる外科手術、異なる患者解剖、様々な縫合糸寸法、及び様々な組織寸法など、異なる状況に対応するのに役立つことができる。キットは、1つ以上の内側部材及び1つ以上の外側部材と嵌合するように構成される1つ以上の縫合糸を任意に含むことができる。上述したように、縫合糸(複数可)は、外側部材内(複数可)に予め装填されることができ、あるいは縫合糸(複数可)は、外側部材が植え込まれる間又は後に装填されることができる。縫合糸は、互いに異なる寸法、異なる形状、及び/又は異なる構成を有することができ、上述したものと同様に、縫合糸(複数可)が異なる状況に対応するように使用するために選択されることを可能にすることができる。キットは、縫合糸アンカーと共に使用されるように構成される1つ以上の更なる手術器具、例えば、1つ以上のドライバなどを含むことができる。
【0047】
使用するとき、上述したように、本明細書で開示される縫合糸アンカーは、軟組織を骨に固定するための低侵襲性外科手術に使用されることができる。一般的には、最初に標準的な方法によって手術の準備処置を患者に行うことができる。
【0048】
図21〜29は、軟組織修復のための外科手術の例示的な実施形態を示す。図1〜8のアンカー10に関して手順が示されるが、本明細書で開示されるアンカーのうちのいずれかが同様に使用されることができる。また、軟組織修復に関して手順が示されるが、本明細書で開示される縫合糸アンカーのうちのいずれかが様々な問題を外科的に修復するために使用されることができる。
【0049】
図21に示されるように、骨孔404が、患者の皮膚402の下にある患者の骨400に形成されることができる。骨孔404がこの実施形態で示されるが、上述したように、本明細書で開示されるアンカーは、骨トンネルと共に使用されることができる。骨孔404は、ドリル穿孔などによって、当業者に認識されるように、様々な方法で形成されることができる。例示的な実施形態では、骨孔404は、図2に示される外側部材14の最大外側幅14wにわずかに満たない直径404Dを有することができ、骨400との骨係合面特徴部24の係合、及び骨孔404内の外側部材14のしっかりとした嵌合いを容易にすることができる。また、例示的な実施形態では、骨孔404の長手方向の長さ404Lは、図1に示される外側部材14の長手方向の長さ14Lに実質的に等しい可能性があるか、又はそれをわずかに超える可能性があり、例えば、外側部材14の近位端が骨孔404の近位端と実質的に同一平面又はほぼ同一平面になり、即ち、骨400の表面によって、外側部材14が骨孔404内に完全に配設されることを可能にすることができる。骨孔404は、皮質骨を通って完全に延在し、外側部材14が皮質骨の厚さを通って完全に係合されることを可能にすることができる。骨孔404はまた、外側部材14の長手方向の長さ14Lに応じて皮質骨の下にある海綿骨の中に延在することができる。
【0050】
外側部材14は、図22に示されるように、骨孔404の中に挿入されることができる。当業者に認識されるように、外側部材14は、外側部材14の近位端を通ってドライバの遠位先端を内側内腔18の中に挿入すること、外側部材14を遠位方向に骨孔404の中に前進させることなどによって、様々な方法で骨孔404の中に挿入されることができる。外側部材14は、骨孔404の中に衝突させられるか、又は当業者に認識されるように、別の技術を使用してその中に打ち込まれることができる。外側部材14が骨孔404の中に遠位に前進するにつれて、骨係合面特徴部24は骨400に係合する、例えば、外側部材14が骨400に対して回転されるときに骨400の中に通すことができ、骨孔404からの外側部材14の着脱を防ぐのに役立つことができる。
【0051】
例示された実施形態では、外側部材14を骨400の中に前進させる前に、骨孔404が骨400内に予め形成されるが、当業者に認識されるように、骨孔404は、外側部材をその中に前進させる前に骨400内に部分的に形成されることができる。別の方法として、また、当業者に認識されるように、実質的に剛性である尖状遠位先端を有することなどによって、外側部材が骨の中に前進されるときに骨孔を形成するように構成されることができる。
【0052】
少なくとも1つの縫合糸12は、外側部材14が骨孔404の中に挿入される前又は後に外側部材14に結合されることができる。例示的な実施形態では、少なくとも1つの縫合糸12は、外側部材14が骨400の中に挿入される前に外側部材14に結合される。外側部材14が骨400の中に挿入される前に少なくとも1つの縫合糸12が外側部材14に結合される場合、少なくとも1つの縫合糸12の後端、例えば、少なくとも1つの縫合糸12の第1及び第2の部分の後端は、外側部材14を骨400の中に前進させるために使用されるドライバに沿って外部から延在することができ、及び/又はドライバの内側内腔を通って延在することができる。
【0053】
少なくとも1つの装填縫合糸406は、外側部材14に結合され、図22〜25に示されるように、少なくとも1つの縫合糸12を外側部材14に結合するのを容易にすることができる。少なくとも1つの装填縫合糸406は、外側部材14が骨孔404の中に挿入される前又は後に外側部材14に結合されることができる。外側部材14が骨400の中に挿入される前に少なくとも1つの装填縫合糸406が外側部材14に結合される場合、少なくとも1つの装填縫合糸406の後端は、外側部材14を骨400の中に前進させるために使用されるドライバに沿って外部から延在することができ、及び/又はドライバの内側内腔を通って延在することができる。例示的な実施形態では、少なくとも1つの装填縫合糸406は、予め装填されるか、又は外側部材14に工場で据え付けられ、少なくとも1つの縫合糸12は、外側部材14が植え込まれる前に少なくとも1つの装填縫合糸406に通される。縫合糸12は、外側部材14を骨400の中に挿入する前又は後に、例えば、外側部材14が押し込み型部材である場合に装填縫合糸406を使用して外側部材14に結合されることができる。外側部材14が骨400の中に通される場合、縫合糸12は、外側部材14を骨400の中に挿入した後に外側部材14に結合されることができ、縫合糸12が外側部材14及び/又は外側部材14を骨400の中に打ち込むために使用される挿入器具に巻き付くのを防ぐのに役立つことができる。外側部材14を骨400の中に通すことは、ねじなし外側部材との定着よりも骨400とアンカー10との間のより良い定着を与えることができる。
【0054】
外側部材14が骨孔404の中に挿入される前又は後に、少なくとも1つの装填縫合糸406が外側部材14に結合されるものであろうとなかろうと、少なくとも1つの装填縫合糸406は、少なくとも1つの縫合糸12に関して上述したものと同様な内側内腔18内に位置決めされることができる。図22に示されるように、少なくとも1つの装填縫合糸406は、少なくとも1つの装填縫合糸406の第1の部分が、内側内腔18を通り、外側部材14の近位端から外へ延在し、少なくとも1つの装填縫合糸406の第2の部分が、内側内腔18を通り、外側部材14の近位端から外へ延在し、かつ少なくとも1つの装填縫合糸406の第1の部分と第2の部分との間に位置する少なくとも1つの装填縫合糸406の中間部分が、縫合糸据え付け部材22の周囲に位置決めされるように、外側部材14に結合されることができる。少なくとも1つの装填縫合糸406の第1の端部406aが、外側部材14から外へ延在する少なくとも1つの装填縫合糸406の第1の部分の端部を画定することができ、少なくとも1つの装填縫合糸406の第2の端部406bが、少なくとも1つの装填縫合糸406の第2の部分の端部を画定することができる。第2の端部406bは、少なくとも1つの縫合糸12を外側部材14に結合することを容易にするように構成される装填ループを含むことができるが、第1の端部406aはまた、別の方法として、装填ループを含むことができる。外側部材14がそれに結合される装填縫合糸で移植される場合、装填縫合糸の第2の端部406bは、骨400に対して位置決めされることができ、その結果、装填縫合糸の第2の端部406bは、図22に示されるように、軟組織408が骨400に結合されるべきである、位置のより近くに骨孔404の側面上である。
【0055】
少なくとも1つの縫合糸12は、軟組織408に通されることなどによって、例えば、針を使用して当業者に認識されるように、何らかの方法で軟組織408に結合されることができる。図23に示されるように、少なくとも1つの縫合糸12は、少なくとも1つの縫合糸12の末端部12e1の一方が、軟組織408の一側面に位置決めされ、少なくとも1つの縫合糸12の末端部12e2の他方が、軟組織408の別の反対側に位置決めされ、かつ少なくとも1つの縫合糸12の折り曲げられた点12fが、軟組織408を通って延在するか、又はその中に位置決めされるように、軟組織408を通って前進させることができる。
【0056】
少なくとも1つの縫合糸12は、少なくとも1つの装填縫合糸406に結合され、少なくとも1つの縫合糸12を外側部材14に結合するのを容易にすることができる。例示的な実施形態では、少なくとも1つの縫合糸12及び少なくとも1つの装填縫合糸406は、図24に示されるように、少なくとも1つの装填縫合糸406の装填ループ、例えば、第2の端部406bを通って少なくとも1つの縫合糸12の末端部12e1、12e2を通すことによって共に結合されることができる。少なくとも1つの縫合糸12の末端部12e1、12e2は、当業者に認識されるように、何らかの方法、例えば、手動及び/又は糸通し器具などによって前述のように通されることができる。図25に示されるように、少なくとも1つの装填縫合糸に結合され、例えば、その装填ループに通される少なくとも1つの縫合糸12を有する少なくとも1つの装填縫合糸406は、外側部材14に対して移動させられ、少なくとも1つの縫合糸12を内側内腔18の中に前進させるとができる。例示的な実施形態では、少なくとも1つの装填縫合糸406は、少なくとも1つの装填縫合糸406の第2の端部406b及び少なくとも1つの縫合糸12を内側内腔18の中に、縫合糸着座部材22を回り、内側内腔18から外へ引っ張るように、少なくとも1つの装填縫合糸406の第1の端部406aを引っ張ることによって移動させられることができる。軟組織408は、少なくとも1つの縫合糸12が外側部材14に結合される前に少なくとも1つの縫合糸12に結合されるものとして示されるが、軟組織408は、少なくとも1つの縫合糸12が外側部材14に結合された後に折り曲げられた点12fを軟組織408に結ぶことなどによって、少なくとも1つの縫合糸12が外側部材14に結合された後、少なくとも1つの縫合糸12に結合されてもよい。
【0057】
図26に示されるように、少なくとも1つの縫合糸12が外側部材14に結合され、少なくとも1つの縫合糸12が軟組織408に結合されて、少なくとも1つの縫合糸12は、骨400及び外側部材14に対して張力をかけられ、それによって骨400及び外側部材14に対して軟組織408に張力をかけることができる。少なくとも1つの縫合糸12は、当業者に認識されるように、何らかの方法、例えば、手動及び/又は器具によって同時に末端部12e1、12e2を引っ張ることなどによって張力をかけられることができる。
【0058】
内側部材16は、図27に示されるように、少なくとも1つの縫合糸12が外側部材14及び内側部材16によって画定される間隙20内に位置決めされて、外側部材14の内側内腔18の中に挿入されることができる。内側部材16は、少なくとも1つの縫合糸12に張力をかける前に外側部材14の中に挿入されることができるが、内側部材16を外側部材14に挿入する前に少なくとも1つの縫合糸12に張力をかけることは、間隙20内での少なくとも1つの縫合糸12の自在な移動を妨げるように、内側部材16が少なくとも1つの縫合糸12に絡まるのを防ぐのに役立ち、及び/又は少なくとも1つの縫合糸12が内側部材16に巻き付き若しくは絡むのを防ぐのに役立つことができる。また、内側部材16は、外側部材14が植え込まれる前又は後に、少なくとも1つの装填縫合糸406によって外側部材14内に位置決めされることができる。
【0059】
外側部材14及び内側部材16は、それらの間に間隙20を、内側部材16がその中に完全に配設されるときに画定するため、少なくとも1つの縫合糸12、したがってそれに取り付けられる軟組織408は、例えば、骨400並びに外側部材14及び内側部材16に対して間隙20を通る少なくとも1つの縫合糸12を摺動することなどによって、内側部材16が外側部材14の中に挿入された後に張力をかけられることができる。したがって、軟組織408は、アンカー10が骨孔400の中に遠位に前進された後、骨400及びラチェットシステムと同様なアンカー10に対して選択的に張力をかけられ、定位置に調節されることができる。したがって、アンカー10を骨400の中に前進させること、及び少なくとも1つの縫合糸12をアンカー10を通って前進させることは、軟組織408の位置及び少なくとも1つの縫合糸12によってそれにかけられた張力に影響を及ぼさない。
【0060】
図28に示されるように、結び目26が少なくとも1つの縫合糸12に形成され、それによって骨400及びアンカー10に対して定位置に軟組織408を固定することができる。軟組織408は、結び目26を自動引き締めし、結び目26をアンカー10に向かって引っ張るように、少なくとも1つの縫合糸12に張力を提供することができ、結び目26が緩むのを防ぐのに役立つことができ、骨400に対して少なくとも1つの縫合糸12の移動を防ぐのに役立ち、それによって治療目的の骨400に対して軟組織408を定位置に保持することができる。前述のように、結び目26は、結び目26が外側部材14と内側部材16との間の間隙20を通って通過するのを防ぐ、寸法を有するように作製されることができる。結果として、軟組織408は、アンカーの遠位端に向かって遠位に結び目26を引っ張る、即ち、縫合糸受容部材22の周囲に延在する少なくとも1つの縫合糸12の結果として、少なくとも1つの縫合糸12に張力をかける。結び目26は、内側部材16の近位面にこれほど隣接し、それによって内側部材16を遠位に外側部材14の中に押す。したがって、結び目26は、外側部材14内に内側部材16を保持し、少なくとも1つの縫合糸12の滑り、及びアンカー10から離れる軟組織408の移動を同時に防ぐ。しかしながら、少なくとも1つの縫合糸12は、軟組織408をアンカー10に向かって引っ張るように更に張力をかけられることができる。結び目26は、張力を増大させるように少なくとも1つの縫合糸12に沿って摺動させられることができ、及び/又は、図29に示されるように、1つ以上の更なる結び目が、少なくとも1つの縫合糸に追加されることができる。したがって、アンカー10は、少なくとも1つの縫合糸12の一方向移動が軟組織408にかけられる張力を増大させることを可能にする。アンカー10はまた、アンカー10を「係止」又は「係止解除」することを必要とせず、外側部材14内の内側部材16の同時定着を提供する。少なくとも1つの縫合糸12に形成された結び目26、26aのうちのいずれか1つ以上は、結び目(複数可)26、26aを手動で解くこと、例えば、手動及び/又は器具によって結び目(複数可)を選ぶことによって任意に緩められ、再調節され、及び/又は着脱させられることができ、軟組織408が骨400に対して最適な位置でないと決められる場合、例えば、過度の張力がかけられる場合に軟組織408が骨400及びアンカー10に対して再び再調節されることを可能にすることができることを当業者は認識するであろう。
【0061】
図21〜29は、単一アンカーを使用する単列軟組織修復を示すが、本明細書で開示されるアンカーは、複数のアンカーを使用する多列軟組織修復で使用されることができる。図30は、2つのアンカーを使用する複列軟組織修復の外科手術の例示的な実施形態を示す。図1〜8のアンカー10に関して手順が示されるが、本明細書で開示されるアンカーのうちのいずれかが同様に使用されることができ、手順に使用されるアンカーのそれぞれが互いと同一又は異なり得る。また、軟組織修復に関して手順が示されるが、本明細書で開示される縫合糸アンカーのうちのいずれかが様々な問題を外科的に修復するために使用されることができる。図30の手順は、図21〜29に関して上述したものと概ね同一であり得るが、複列軟組織修復における外側部材のうちの1つのみが外側部材に結合される内側部材を有する必要がある。
【0062】
アンカー10の外側部材14と同様に構成され、使用されることができる、第1の外側部材514は、骨500内に形成される第1の骨孔504の中に前進させることができる。少なくとも1つの縫合糸12と同様に構成され、使用されることができる、少なくとも1つの縫合糸512は、第1の外側部材514が骨400の中に進められる前又は後に、第1の外側部材514を通って前進させることができ、少なくとも1つの縫合糸512は、第1の外側部材514が骨400の中に前進させられる前又は後に、軟組織508に結合されることができる。1つ以上の結び目512a、512bが、第1の外側部材514上の軟組織508の第2の側面に対向する軟組織508の第1の表面に面する、少なくとも1つの縫合糸512に形成されることができる。1つ以上の結び目512a、512bと、少なくとも1つの縫合糸512が巻き付けられ得る第1の外側部材514の縫合糸着座部材522との間の張力によって、軟組織508が定位置に保持されることができるため、内側部材が第1の外側部材514の中に前進させられる必要はない。
【0063】
1つ以上の結び目512の後端は、軟組織508の一部分にわたって、例えば、マットレスステッチと同様な骨500内に形成される第2の骨孔604に向かって広がることができる。第1の外側部材514が第1の骨孔504内に位置決めされる前又は後に、第2の外側部材614が第2の骨孔604内に位置決めされることができる。少なくとも1つの縫合糸512は、第2の外側部材614に結合されることができ、少なくとも1つの縫合糸512が外側部材614と内側部材616との間で画定される間隙内に位置決めされて、内側部材616が第2の外側部材616の中に前進させられることができる。1つ以上の結び目512c、512dは、少なくとも1つの縫合糸512に形成され、それによって骨500、第2の外側部材614、及びその関連した内側部材616に対して軟組織508を定位置に固定することができる。第1の外側部材514と関連付けられる1つ以上の結び目512a、512bは、第2の外側部材614と関連付けられる1つ以上の結び目512c、512dを自動引き締めし、1つ以上の結び目512c、512dを第2の外側部材614に向かって引っ張るように、少なくとも1つの縫合糸512に張力を提供することができる。したがって、1つ以上の結び目512c、512dはまた、内側部材616を第2の外側部材614内に固定する。図30は、第1の外側部材514であるように第1の組織定着点を示すが、そうでなければ第1の組織定着点は、例えば、別のアンカーの種類などの外側部材以外の定着を使用して軟組織508である可能性がある。加えて、1つ以上の結び目512a、512bが図示された実施形態に示されるが、1つ以上の結び目512a、512bは、存在する必要がない。外側部材614及び内側部材616を含む第2のアンカーに隣接する1つ以上の結び目512c、512dは、軟組織508を定位置に固定することができる。
【0064】
複数のアンカーを使用する多列軟組織修復の別の実施形態では、アンカーは、複数の縫合糸に結合されることができ、縫合糸のそれぞれは、異なるアンカーから引きずる。非限定的な例として図9及び10のアンカーを使用すると、縫合糸12の一方は、骨内に配設される第1の外側部材に結合されるか、又は別の方法で第1の軟組織定着点に結合されることができ、縫合糸12aの他方は、骨内に配設される第2の外側部材に結合されるか、又は別の方法で第2の軟組織定着点に結合されることができる。別の方法として、縫合糸12、12aのそれぞれは、骨内に配設される同一の外側部材から引きずることができ、又は別の方法で軟組織定着点に結合されることができる。別の実施形態では、1つの縫合糸は、例えば、マットレスステッチのような複数のアンカーに結合されることができる。
【0065】
本発明には従来の低侵襲性及び開放手術器具における用途、並びにロボット支援手術における用途があることを当業者は認識するであろう。
【0066】
本明細書に開示されている装置はまた、1回の使用の後に廃棄されるように設計することができ、又は、複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後、再使用のために再調整されることができる。再調整は、装置の分解こと、これに続く洗浄こと又は特定部品の交換こと、及びその後の再組立ことの任意の組み合わせを含むことができる。詳細には、装置は分解可能であり、装置の任意の数の特定の部品又は部材を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部材の洗浄及び/又は交換に際し、装置を再調整施設において、あるいは外科手術の直前に手術チームによって再組み付けしてからその後の使用に供することができる。当業者であれば、装置の再調整に、分解、洗浄/交換、及び再組み付けのための様々な技術を利用できる点は認識されるであろう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0067】
上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は、当業者には認識されるところであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、具体的に図示及び説明した内容によって限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び文献は、それらの全容を本明細書に援用するものである。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 縫合糸アンカーであって、
外側部材であって、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する内側内腔を有し、前記外側部材の外表面上に形成され、かつ骨に係合するように構成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を有し、かつ前記遠位端に隣接して前記内側内腔を横切って延在する縫合糸受容部材を有し、前記縫合糸受容部材が、その周囲に縫合糸を受容するように構成される、外側部材と、
前記外側部材の前記内側内腔内に受容されるように構成される内側部材であって、前記外側部材の前記内側内腔の最小内径未満である最大外径を有し、かつ前記外側部材の前記近位端と遠位端との間に延在する前記外側部材の長さを超えない、前記内側部材の近位端と遠位端との間に延在する長さを有する、内側部材と、を備え、
前記内側部材が前記外側部材の前記内側内腔内に完全に配設されるとき、前記内側部材と外側部材との間かつ前記縫合糸受容部材の周囲に延在する縫合糸が、前記内側部材及び外側部材に対して自在に摺動可能であるように構成される、縫合糸アンカー。
(2) 前記内側部材が、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する中央内腔を有し、前記中央内腔が、それを通って延在する前記縫合糸を有するように構成される、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(3) 前記内側部材及び前記外側部材のうちの少なくとも一方が、その近位端と遠位端との間で外表面に沿って延在する少なくとも1つの溝を有し、前記溝が、その中に前記縫合糸を据え付けるように構成される、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(4) 前記縫合糸受容部材が、前記外側部材の対向する内側壁間に延在するクロスバーを備える、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(5) 前記外側部材の前記内側内腔内に受容されるように構成された縫合糸を更に備え、前記内側部材が前記外側部材の前記内側内腔内に完全に配設されるとき、前記縫合糸が、前記内側部材と前記外側部材との間かつ前記縫合糸受容部材の周囲に延在し、前記内側部材及び前記外側部材に対して自在に摺動可能であるようにする、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
【0069】
(6) 縫合糸アンカーシステムであって、
外側部材であって、その近位端と遠位端との間でそれを通って延在する内側内腔を有し、前記遠位端に隣接し、かつ縫合糸を前記外側部材に結合するように構成される縫合糸受容部材を有する、外側部材と、
前記外側部材の前記内側内腔内に着脱可能に配設可能な内側部材であって、前記内側部材及び外側部材が、前記縫合糸受容部材に結合される縫合糸を摺動可能に受容するために、それらの間に間隙を画定する、内側部材と、を備え、
前記内側部材の近位端が前記外側部材の近位端と同一平面又はほぼ同一平面になるように、前記内側部材が前記外側部材の前記内側内腔内に配設されるときであって、縫合糸が、前記縫合糸受容部材に結合され、前記内側部材と前記外側部材との間に延在し、かつ前記縫合糸に形成され、前記内側部材及び外側部材の前記近位端に隣接して位置決めされる結び目を有するとき、前記縫合糸が、前記内側部材及び外側部材に対して前記間隙内で一方向のみに自在に摺動可能である、システム。
(7) 前記内側部材が、前記縫合糸が前記内側部材及び外側部材に結合されるとき、単に前記結び目によって前記外側部材内に保持されるように構成される、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記外側部材が、骨に係合するように構成される、その外表面上に形成される少なくとも1つの骨係合面特徴部を有する、実施態様6に記載のシステム。
(9) 前記内側部材が、前記間隙が前記内側部材と前記外側部材との間の空隙によって形成されるように、前記外側部材内の前記内側内腔の直径未満である外径を有する、実施態様6に記載のシステム。
(10) 前記間隙が、前記内側部材及び外側部材のうちの一方の中に形成される溝によって形成される、実施態様6に記載のシステム。
【0070】
(11) 外科的方法であって、
縫合糸アンカーの内側内腔を通り、前記縫合糸アンカーの遠位端部分に位置する縫合糸受容部材を回って、前記内側内腔を通って戻るように軟組織に結合されて、前記縫合糸アンカーの近位端から外へ延在する第1の末端部及び第2の末端部を有する、縫合糸を通すことと、
前記縫合糸アンカーを骨孔に植え込むことと、
前記縫合糸受容部材の周囲の前記縫合糸を引っ張り、それによって前記軟組織を前記縫合糸アンカーに向かって引っ張るように、前記縫合糸の前記第1の末端部及び第2の末端部に張力をかけることと、
前記縫合糸の前記第1の末端部及び第2の末端部で第1の結び目を形成することであって、前記第1の結び目が、前記縫合糸アンカーの前記近位端及び前記内側内腔内に配設されるプラグの近位端に隣接して位置決めされるようにし、前記プラグが、前記縫合糸アンカーの前記内側内腔内で前記縫合糸の自在な摺動移動を可能にし、前記第1の結び目が、前記第1の結び目が前記縫合糸アンカーと前記プラグとの間を通過するのを防ぐ外径を有し、前記第1の結び目が、前記軟組織によって前記縫合糸に張力がかけられるとき、前記縫合糸アンカー内で前記プラグを保持するようにする、ことと、を含む、方法。
(12) 前記縫合糸の一部分が、前記プラグ内の中央内腔を通って延在する、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記プラグを前記縫合糸アンカーの前記内側内腔の中に挿入し、前記プラグを前記縫合糸アンカーの前記内側内腔内に完全に配設することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記プラグを挿入することが、前記プラグを前記縫合糸に沿って、かつ前記縫合糸アンカーの前記内側内腔の中に摺動することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記第1の結び目を形成することの後、前記第1の結び目に隣接して第2の結び目を形成することを更に含む、実施態様11に記載の方法。
【0071】
(16) 前記縫合糸アンカーが、第2の縫合糸アンカーを備え、前記方法が、前記第2の縫合糸アンカーを前記骨孔に植え込むことの前に、第1の縫合糸アンカーを第1の骨孔に植え込むことを更に含み、前記縫合糸が、前記第1の縫合糸アンカーの遠位端部分に形成される縫合糸受容部材を回り、前記第1の縫合糸アンカーの内側内腔を通り、前記軟組織を通って延在する、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記軟組織を前記第1の縫合糸アンカーに対して固定するように前記軟組織に隣接して前記縫合糸に結び目を形成すること、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記縫合糸が、前記縫合糸アンカーを前記骨孔に植え込むことの前に、前記縫合糸アンカーの前記内側内腔内に通される、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記縫合糸が、前記縫合糸アンカーを前記骨孔に植え込むことの後、前記縫合糸アンカーの前記内側内腔内に通される、実施態様11に記載の方法。
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