特許第6324862号(P6324862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324862
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】表示制御装置および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20180507BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20180507BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20180507BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G09B29/10 A
   G09B29/00 A
   G06T11/60 300
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-198355(P2014-198355)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-70736(P2016-70736A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】箱崎 智広
【審査官】 平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−267675(JP,A)
【文献】 特開2007−178209(JP,A)
【文献】 特開2003−114130(JP,A)
【文献】 特開2000−221876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36、
23/00 − 25/00
G08G 1/00 − 99/00
G09B 23/00 − 29/14
G06T 1/00、
11/60 − 13/80、
17/05、
19/00 − 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画面の表示を制御する表示制御装置であって、
立体表示の対象とされた高架道路の道路画像と、前記高架道路以外の他の道路の道路画像とをディスプレイに表示させる道路表示処理部と、
前記高架道路の道路画像に対し、当該高架道路の道路画像に沿って延伸する影画像を前記ディスプレイに表示させる影表示処理部と、
前記他の道路と前記高架道路との接続地点を特定する接続地点特定部と、
前記高架道路のうち、前記接続地点から所定の距離範囲内の部分である第1の部分と、それ以外の部分である第2の部分とを特定する部分特定部と
を備え、
前記道路表示処理部は、
前記部分特定部によって特定された前記第1の部分においては、前記影表示処理部が前記影画像を前記ディスプレイに表示させた後に、前記道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させ、
前記部分特定部によって特定された前記第2の部分においては、前記道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させた後に、前記影表示処理部が前記影画像を前記ディスプレイに表示させる
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
地図画面の表示を制御する表示制御装置であって、
立体表示の対象とされた高架道路の道路画像と、前記高架道路以外の他の道路の道路画像とをディスプレイに表示させる道路表示処理部と、
前記高架道路の道路画像に対し、当該高架道路の道路画像に沿って延伸する影画像を前記ディスプレイに表示させる影表示処理部と、
前記他の道路と前記高架道路との接続地点を特定する接続地点特定部と、
前記高架道路のうち、前記接続地点から所定数の道路リンクによって構成される部分である第1の部分と、それ以外の部分である第2の部分とを特定する部分特定部と
を備え、
前記道路表示処理部は、
前記部分特定部によって特定された前記第1の部分においては、前記影表示処理部が前記影画像を前記ディスプレイに表示させた後に、前記道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させ、
前記部分特定部によって特定された前記第2の部分においては、前記道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させた後に、前記影表示処理部が前記影画像を前記ディスプレイに表示させる
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
地図画面の表示を制御する表示制御方法であって、
表示制御装置の接続地点特定部が、立体表示の対象とされた高架道路と、前記高架道路以外の他の道路との接続地点を特定する接続地点特定工程と、
前記表示制御装置の部分特定部が、前記高架道路のうち、前記接続地点から所定の距離範囲内の部分である第1の部分と、それ以外の部分である第2の部分とを特定する部分特定工程と、
前記第1の部分においては、前記表示制御装置の影表示処理部が、前記高架道路の道路画像に沿って延伸する影画像をディスプレイに表示させた後に、前記表示制御装置の道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させ、前記第2の部分においては、前記道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させた後に、前記影表示処理部が前記影画像を前記ディスプレイに表示させる画像表示工程と
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項4】
地図画面の表示を制御する表示制御方法であって、
表示制御装置の接続地点特定部が、立体表示の対象とされた高架道路と、前記高架道路以外の他の道路との接続地点を特定する接続地点特定工程と、
前記表示制御装置の部分特定部が、前記高架道路のうち、前記接続地点から所定数の道路リンクによって構成される部分である第1の部分と、それ以外の部分である第2の部分とを特定する部分特定工程と、
前記第1の部分においては、前記表示制御装置の影表示処理部が、前記高架道路の道路画像に沿って延伸する影画像をディスプレイに表示させた後に、前記表示制御装置の道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させ、前記第2の部分においては、前記道路表示処理部が前記他の道路の道路画像を前記ディスプレイに表示させた後に、前記影表示処理部が前記影画像を前記ディスプレイに表示させる画像表示工程と
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画面の表示を制御する表示制御装置および表示制御方法に関し、特に、高架道路の道路画像を疑似的に立体的に表示する表示制御装置および表示制御方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置等の地図表示装置では、高速道路等の高架道路の道路画像(以下、「高架道路画像」と示す)に沿って影画像を表示することにより、高架道路画像を疑似的に立体的に表示する手法が採用されている。これにより、高架道路画像とその他の一般道路の道路画像(以下、「一般道路画像」と示す)との区別をユーザが直感的に把握することができるようになるため、地図画面の視覚的効果を高めることができる。特に、高架道路のランプ道と一般道路との接続地点の近傍において、ランプ道と一般道路とが並走しているような場合がある。この場合、ランプ道の道路画像(以下、「ランプ道画像」と示す)を影画像によって疑似的に立体的に表示することにより、両者を容易に区別することができるようになる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、優先順位が高い道路(高速道路、国道、県道等)に対し、当該道路から右下にずらした描画位置に帯状の影画像を描画することにより、当該道路を疑似的に立体表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−297029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の地図表示装置では、地図画面上に影画像が不自然に表示され、ユーザに違和感を与えてしまう場合がある。例えば、図7は、従来の地図表示装置による地図画面の表示例を示す図である。図7に示す地図画面700は、一般道路画像710と、ランプ道画像720と、影画像722とを含んで構成されている。ランプ道画像720は、接続地点P01において、一般道路画像710と接続されている。影画像722は、ランプ道画像720を疑似的に立体表示するために、ランプ道画像720から右下に所定距離ずらした位置に、ランプ道画像720に沿って延伸する帯状の画像である。
【0006】
図7に示すように、従来の地図表示装置は、ランプ道画像720の全区間に亘って、その側方に影画像722を一様に表示するようになっている。また、従来の地図表示装置は、一般道路画像710を表示した後に、影画像722を重ねて表示するようになっている。このため、図7に示すように、影画像722と一般道路画像710との重なりが生じた場合、影画像722の表示が優先され、影画像722によって一般道路画像710が隠されてしまう。
【0007】
ここで、ランプ道画像720で表されるランプ道は、実際には、接続地点P01から徐々に高度が高くなる高架構造を有している。このため、接続地点P01の近傍においては、一般道路とランプ道との高低差が小さくなっている。それにも関わらず、図7に示すように、接続地点P01から一様に影画像722によって立体表示を行うことはかえって不自然であり、影画像722によってランプ道画像720を立体表示するメリットよりも、影画像722によって一般道路画像710が見にくくなるというデメリットの方が大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ユーザに違和感を与えることがないように、高架道路画像を影画像によって疑似的に立体表示することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、立体表示の対象とされた高架道路と、当該高架道路以外の他の道路との接続地点を特定するとともに、当該高架道路のうち、接続地点から所定の距離範囲内の部分または接続地点から所定数の道路リンクによって構成される部分である第1の部分と、それ以外の部分である第2の部分とを特定し、第1の部分においては、高架道路の道路画像に沿って延伸する影画像をディスプレイに表示させた後に、高架道路以外の他の道路の道路画像をディスプレイに表示させる一方、第2の部分においては、他の道路の道路画像をディスプレイに表示させた後に、影画像をディスプレイに表示させるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、高架道路の影画像と、高架道路以外の他の道路の道路画像とが重なる場合、他の道路の道路画像の下に影画像を表示することができる。このため、影画像によって他の道路の道路画像が見にくくなってしまうことを防止することができる。特に、高架道路と他の道路との高低差が少ない場合において、影画像が他の道路の道路画像よりも優先的に表示されることが無くなるため、影画像による立体表示を、実際の高架道路と他の道路との高低差に応じた自然な表示とすることができる。したがって、本発明によれば、ユーザに違和感を与えることがないように、高架道路の道路画像を影画像によって疑似的に立体表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置による地図画面の表示例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置による地図画面の作成手順の具体例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置による処理の変形例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置による地図画面の作成手順の変形例を示す図である。
図7】従来の地図表示装置による地図画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
〔ナビゲーション装置10の機能構成例〕
図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置10の機能構成例を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、特許請求の範囲に記載の表示制御装置の一例であって、自動車等の車両に搭載される装置である。但し、特許請求の範囲に記載の表示制御装置はこれに限定されず、車両に搭載されるナビゲーション装置以外の他の装置(例えば、携帯用のナビゲーション装置、スマートフォン等の携帯端末等)にも適用することができる。
【0014】
ナビゲーション装置10は、一般的なナビゲーション装置と同様に、例えば、車両の現在位置の周辺の地図画面を表示する機能、ユーザが任意に設定した目的地までの誘導経路を探索する経路探索機能、探索された誘導経路に基づいて車両を目的地まで誘導する経路誘導機能等を有している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーション装置10は、地図データ記憶部101、現在位置検出装置102およびディスプレイ103を備えている。また、ナビゲーション装置10は、その機能構成として、地図画面表示制御部120を備えている。なお、図1では、ナビゲーション装置10が備える機能のうち、本実施形態に関連する機能について図示されている。
【0016】
地図データ記憶部101は、地図データを記憶する。当該地図データには、複数のノードのノード情報、複数の道路リンクの道路リンク情報、施設データ、地名データ等が含まれている。各ノード情報には、例えば、識別番号、位置座標等が含まれている。また、各道路リンク情報には、例えば、接続先のノードの識別番号、道路種別(例えば高速道路、有料道路、一般道路等)、道路幅等が含まれている。
【0017】
現在位置検出装置102は、車両の現在位置を検出する。現在位置検出装置102は、例えば、GPS(Global Positioning System)と自律航法ユニットとを備えて構成されている。ディスプレイ103は、各種情報(主に、地図画面)を表示する。ディスプレイ103には、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0018】
地図画面表示制御部120は、地図データ記憶部101に記憶されている地図データに基づいて地図画面を生成し、当該地図画面をディスプレイ103に表示させる。図1に示すように、地図画面表示制御部120は、道路表示処理部121、接続地点特定部122、部分特定部123および影表示処理部124を含んでいる。
【0019】
道路表示処理部121は、地図データ記憶部101に記憶されている地図データ(ノード情報およびリンク情報)に基づいて、地図画面を構成する道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、道路表示処理部121は、道路幅および道路種別に応じた色および道路幅を有する帯状のポリゴン画像を道路画像として生成し、これをディスプレイ103に表示させる。
【0020】
地図画面を構成する道路画像は、高架道路画像と、高架道路以外の他の道路(以下、単に「他の道路」と示す)の道路画像とを含んでいる。高架道路は、疑似的な立体表示の対象とされた道路である。高架道路としては、例えば高速道路、有料道路等が挙げられる。他の道路としては、一般道路等が挙げられる。なお、立体表示の対象とする高架道路は、特定の高架道路であってもよく、全ての高架道路であってもよい。
【0021】
接続地点特定部122は、高架道路と他の道路との接続地点を特定する。具体的には、接続地点特定部122は、地図データ記憶部101に記憶されている地図データを参照することにより、道路種別が高架道路に属する道路リンクと、道路種別が他の道路に属する道路リンクとの双方が接続されるノードを、高架道路と他の道路との接続地点として特定する。
【0022】
部分特定部123は、高架道路のうち、接続地点特定部122によって特定された接続地点から所定の距離範囲内の部分である第1の部分と、それ以外の部分である第2の部分とを特定する。具体的には、部分特定部123は、高架道路を構成する複数の道路リンクのうち、接続地点特定部122によって特定された接続地点から所定の距離範囲内の道路リンクを第1の部分として特定し、それ以外の道路リンクを第2の部分として特定する。
【0023】
影表示処理部124は、高架道路画像に対し、当該高架道路画像に沿って延伸する影画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、影表示処理部124は、図2に示すように、高架道路画像からその右下に所定の距離ずらした位置に、帯状且つ所定色(例えば、灰色)の影画像をディスプレイ103に表示させる。
【0024】
特に、影表示処理部124は、部分特定部123によって特定された第1の部分(すなわち、高架道路と他の道路との接続地点から所定の距離範囲内)においては、影表示処理部124が影画像をディスプレイ103に表示させた後に、道路表示処理部121が一般道路画像をディスプレイ103に表示させる。すなわち、一般道路画像が影画像の上に重なって表示されるようにする。
【0025】
一方、影表示処理部124は、部分特定部123によって特定された第2の部分(すなわち、高架道路と他の道路との接続地点から所定の距離範囲外)においては、道路表示処理部121が一般道路画像をディスプレイ103に表示させた後に、影表示処理部124が影画像をディスプレイ103に表示させる。すなわち、影画像が一般道路画像の上に重なって表示されるようにする。
【0026】
上記各機能ブロック121〜124は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック121〜124は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0027】
〔ナビゲーション装置10による地図画面の表示例〕
図2は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10による地図画面の表示例を示す図である。図2に示す地図画面200は、一般道路画像210と、ランプ道画像220と、影画像222と、一般道路画像230と、施設の画像232,234と、地名236,238とを含んで構成されている。
【0028】
ランプ道画像220は、高架道路画像の一例である。一般道路画像210,230は、一般道路画像の一例である。ランプ道画像220は、接続地点P1において、一般道路画像210と接続されている。また、ランプ道画像220は、一般道路画像230の上方を横切っている。影画像222は、ランプ道画像220を疑似的に立体表示するために、ランプ道画像220から右下に所定距離ずらした位置に、ランプ道画像220に沿って延伸する帯状の画像である。なお、図2において、円弧状の境界線Sは、接続地点P1からの所定の距離範囲を示す。
【0029】
図2に示すように、本実施形態のナビゲーション装置10は、接続地点P1からの所定の距離範囲内においては、影画像222を表示した後に一般道路画像210を重ねて表示することにより、影画像222よりも一般道路画像210が優先的に表示された地図画面200を形成する。また、本実施形態のナビゲーション装置10は、接続地点P1からの所定の距離範囲外においては、一般道路画像230を表示した後に影画像222を重ねて表示することにより、一般道路画像230よりも影画像222が優先的に表示された地図画面200を形成する。
【0030】
一般的に、ランプ道と一般道路との接続地点の近傍においては、ランプ道と一般道路との高低差が比較的小さくなっている。一方、ランプ道と一般道路との接続地点から離れた場所においては、ランプ道と一般道路との高低差が比較的大きくなっている。そこで、本実施形態のナビゲーション装置10は、図2に示すように、接続地点P1に近傍の場所においては、影画像222よりも一般道路画像230の表示を優先し、接続地点P1から離れた場所においては、一般道路画像230よりも影画像222の表示を優先している。これにより、本実施形態のナビゲーション装置10は、実際のランプ道と一般道路との高低差に応じた自然な表示形態で影画像222を表示することができ、ユーザに違和感を与えてしまうことを防ぐことができる。
【0031】
〔ナビゲーション装置10による処理の一例〕
図3は、本実施形態に係るナビゲーション装置10による処理の一例を示すフローチャートである。例えば、図3に例示する処理は、地図画面表示制御部120が、地図画面(例えば、車両の現在位置周辺の地図画面、ユーザが任意に指定した地点の周辺の地図画面等)をディスプレイ103に表示させる際に実行される。
【0032】
まず、接続地点特定部122が、高架道路と他の道路との接続地点を特定する(ステップS302)。次に、部分特定部123が、高架道路のうち、ステップS302にて特定された接続地点から所定の距離範囲内の部分である第1の部分を特定する(ステップS304)。また、部分特定部123が、高架道路のうち、ステップS302にて特定された接続地点から所定の距離範囲外の部分である第2の部分を特定する(ステップS306)。
【0033】
次に、影表示処理部124が、ステップS304で特定された高架道路の第1の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS308)。そして、道路表示処理部121が、一般道路画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS310)。また、影表示処理部124が、ステップS306で特定された高架道路の第2の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS312)。さらに、道路表示処理部121が、高架道路画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS314)。
【0034】
その後、地図画面表示制御部120が、その他の画像(例えば、施設、地名等)をディスプレイ103に表示させる(ステップS316)。そして、ナビゲーション装置10は、図3に例示する一連の処理を終了する。
【0035】
〔地図画面の作成手順の具体例〕
図4は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10による地図画面の作成手順の具体例を示す図である。以下、図4を参照しつつ、図3に示したフローチャートによる地図画面の具体的な作成手順を説明する。
【0036】
まず、接続地点特定部122が、高架道路と他の道路との接続地点P1を特定する。そして、部分特定部123が、高架道路のうち、接続地点P1から所定の距離範囲内(半径rを有する円弧状の境界線Sの内側)の部分である第1の部分と、接続地点P1から所定の距離範囲外(境界線Sの外側)の部分である第2の部分とを特定する。
【0037】
例えば、図4(a)に示す例では、リンクL1〜L2からなる他の道路と、リンクL3〜L6からなる高架道路とが接続されるノードBが、高架道路と他の道路との接続地点P1として特定される。そして、高架道路を構成するリンクL3〜L6のうち、接続地点P1から所定の距離範囲内(境界線Sの内側)のノードに接続されているリンクL3〜L5が第1の部分として特定され、接続地点P1から所定の距離範囲内(境界線Sの内側)のノードに接続されていないリンクL6が第2の部分として特定される。なお、図4(a)に示す例では、所定の距離範囲内および所定の距離範囲外の双方にまたがるリンクL5を第1の部分としているが、第2の部分としてもよい。
【0038】
次に、影表示処理部124が、高架道路の第1の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図4(b)に示す例では、高架道路の第1の部分を構成するリンクL3〜L5の影画像222aがディスプレイ103に表示されている。
【0039】
次に、道路表示処理部121が、一般道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図4(c)に示す例では、一般道路画像210,230がディスプレイ103に表示されている。
【0040】
次に、影表示処理部124が、高架道路の第2の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図4(d)に示す例では、高架道路の第2の部分を構成するリンクL6の影画像222bがディスプレイ103に表示されている。
【0041】
次に、道路表示処理部121が、高架道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図4(e)に示す例では、高架道路画像220がディスプレイ103に表示されている。
【0042】
最後に、地図画面表示制御部120が、その他の画像(例えば、施設、地名等)をディスプレイ103に表示させることにより、地図画面が完成する。例えば、図4(f)に示す例では、その他の画像として、施設の画像232,234と、地名236,238とが、ディスプレイ103に表示されている。これにより、図2に示した地図画面200と同様の地図画面がディスプレイ103に表示されている。
【0043】
すなわち、上記の作成手順によって地図画面を作成することにより、接続地点P1からの所定の距離範囲内においては、影画像222aよりも一般道路画像210の表示が優先され、接続地点P1からの所定の距離範囲外においては、一般道路画像230よりも影画像222bの表示が優先された、自然な立体表示がなされた地図画面が形成される。
【0044】
〔変形例〕
以下、図5および図6を参照して、本実施形態の変形例を説明する。この変形例では、先に、高架道路と他の道路との接続地点から所定の距離範囲内の、高架道路の影画像、一般道路画像、高架道路画像を、ディスプレイ103に表示させる。その後、高架道路と他の道路との接続地点から所定の距離範囲外の、一般道路画像、影画像、高架道路画像を、ディスプレイ103に表示させる。
【0045】
〔ナビゲーション装置10による処理の変形例〕
図5は、本実施形態に係るナビゲーション装置10による処理の変形例を示すフローチャートである。
【0046】
この変形例では、まず、接続地点特定部122が、高架道路と他の道路との接続地点を特定する(ステップS502)。次に、部分特定部123が、高架道路のうち、ステップS502にて特定された接続地点から所定の距離範囲内の部分である第1の部分を特定する(ステップS504)。また、部分特定部123が、高架道路のうち、ステップS502にて特定された接続地点から所定の距離範囲外の部分である第2の部分を特定する(ステップS506)。
【0047】
次に、影表示処理部124が、ステップS504で特定された高架道路の第1の部分の影画像を、ディスプレイ103に表示させる(ステップS508)。そして、道路表示処理部121が、ステップS502にて特定された接続地点から所定の距離範囲内にある、一般道路画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS510)。さらに、道路表示処理部121が、ステップS504で特定された高架道路の第1の部分の高架道路画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS512)。
【0048】
次に、道路表示処理部121が、ステップS502にて特定された接続地点から所定の距離範囲外にある、一般道路画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS514)。そして、影表示処理部124が、ステップS506で特定された高架道路の第2の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS516)。さらに、道路表示処理部121が、ステップS506で特定された高架道路の第2の部分の高架道路画像をディスプレイ103に表示させる(ステップS518)。
【0049】
その後、地図画面表示制御部120が、その他の画像(例えば、施設、地名等)をディスプレイ103に表示させる(ステップS520)。そして、ナビゲーション装置10は、図5に例示する一連の処理を終了する。
【0050】
〔地図画面の作成手順の変形例〕
図6は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10による地図画面の作成手順の変形例を示す図である。以下、図6を参照して、図5に示したフローチャートによる地図画面の具体的な作成手順を説明する。
【0051】
まず、接続地点特定部122が、高架道路と他の道路との接続地点P1を特定する。そして、部分特定部123が、高架道路のうち、接続地点P1から所定の距離範囲内(半径rを有する円弧状の境界線Sの内側)の部分である第1の部分と、接続地点P1から所定の距離範囲外(境界線Sの外側)の部分である第2の部分とを特定する。
【0052】
例えば、図6(a)に示す例では、リンクL1〜L2からなる他の道路と、リンクL3〜L6からなる高架道路とが接続されるノードBが、高架道路と他の道路との接続地点P1として特定される。そして、高架道路を構成するリンクL3〜L6のうち、接続地点P1から所定の距離範囲内(境界線Sの内側)の部分であるリンクL3〜L5が第1の部分として特定され、接続地点P1から所定の距離範囲外(境界線Sの外側)の部分であるリンクL6が第2の部分として特定される。なお、図6(a)に示す例では、所定の距離範囲内および所定の距離範囲外の双方にまたがるリンクL5を第1の部分としているが、第2の部分としてもよい。
【0053】
次に、影表示処理部124が、高架道路の第1の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図6(b)に示す例では、高架道路の第1の部分を構成するリンクL3〜L5の影画像222aがディスプレイ103に表示されている。
【0054】
次に、道路表示処理部121が、接続地点P1から所定の距離範囲内にある、一般道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図6(c)に示す例では、接続地点P1から所定の距離範囲内にある一般道路画像である一般道路画像210がディスプレイ103に表示されている。
【0055】
次に、道路表示処理部121が、高架道路の第1の部分の高架道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図6(d)に示す例では、高架道路の第1の部分を構成するリンクL3〜L5の道路画像220aがディスプレイ103に表示されている。
【0056】
次に、道路表示処理部121が、接続地点P1から所定の距離範囲外にある一般道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図6(e)に示す例では、接続地点P1から所定の距離範囲外にある一般道路画像である一般道路画像230がディスプレイ103に表示されている。
【0057】
次に、影表示処理部124が、高架道路の第2の部分の影画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図6(f)に示す例では、高架道路の第2の部分を構成するリンクL6の影画像222bがディスプレイ103に表示されている。
【0058】
次に、道路表示処理部121が、高架道路の第2の部分の高架道路画像をディスプレイ103に表示させる。例えば、図6(g)に示す例では、高架道路の第2の部分を構成するリンクL6の道路画像220bがディスプレイ103に表示されている。
【0059】
最後に、地図画面表示制御部120が、その他の画像(例えば、施設、地名等)をディスプレイ103に表示させることにより、地図画面が完成する。例えば、図6(h)に示す例では、その他の画像として、施設の画像232,234と、地名236,238とが、ディスプレイ103に表示されている。これにより、図2に示した地図画面200と同様の地図画面がディスプレイ103に表示されている。
【0060】
すなわち、上記の作成手順によって地図画面を作成することにより、接続地点P1からの所定の距離範囲内においては、影画像222aよりも一般道路画像210の表示が優先され、接続地点P1からの所定の距離範囲外においては、一般道路画像230よりも影画像222bの表示が優先された、自然な立体表示の地図画面が形成される。
【0061】
以上説明したとおり、本実施形態(およびその変形例)によれば、高架道路と他の道路との高低差が小さくなっている接続地点P1の近傍において、一般道路画像210の下に高架道路の影画像222を表示することができる。このため、影画像222によって一般道路画像210が見にくくなってしまうことを防止することができる。また、影画像222による立体表示を、実際の高架道路と他の道路との高低差に応じた自然な表示とすることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、高架道路と他の道路との高低差が大きくなっている接続地点P1から離間した場所において、高架道路の影画像222の下に一般道路画像230を表示することができる。このため、影画像222による立体表示を、実際の高架道路と他の道路との高低差に応じた自然な表示とすることができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、高架道路のうち、接続地点から所定の距離範囲内の部分を第1の部分とし、それ以外の部分を第2の部分としたが、本発明はこれに限らない。例えば、高架道路のうち、接続地点から所定数の道路リンクによって構成される部分を第1の部分とし、それ以外の部分を第2の部分としてもよい。例えば、図4の例において、上記所定数を「2」とした場合、道路リンクL3,L4を第1の部分とし、道路リンクL5,L6を第2の部分としてもよい。
【0064】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 ナビゲーション装置(表示制御装置)
101 地図データ記憶部
102 現在位置検出装置
103 ディスプレイ
120 地図画面表示制御部
121 道路表示処理部
122 接続地点特定部
123 部分特定部
124 影表示処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7