特許第6324894号(P6324894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6324894食用ウェブが表面に付着された食品又は食事用品を提供するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324894
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】食用ウェブが表面に付着された食品又は食事用品を提供するための方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 13/45 20170101AFI20180507BHJP
   A23L 19/18 20160101ALI20180507BHJP
   A23L 7/135 20160101ALI20180507BHJP
   A47G 19/00 20060101ALI20180507BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20180507BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20180507BHJP
【FI】
   A21D13/45
   A23L19/18
   A23L7/135
   A47G19/00 Z
   A23L33/135
   A23L5/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-533912(P2014-533912)
(86)(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公表番号】特表2014-528728(P2014-528728A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】EP2012069682
(87)【国際公開番号】WO2013050511
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】11184134.2
(32)【優先日】2011年10月6日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】クスリス, マルチナス
【審査官】 北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0231425(US,A1)
【文献】 特開2000−093127(JP,A)
【文献】 特表2007−507209(JP,A)
【文献】 特開平03−076561(JP,A)
【文献】 特開2010−132653(JP,A)
【文献】 特開平07−184531(JP,A)
【文献】 特開平10−146157(JP,A)
【文献】 特開昭60−030647(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01417895(EP,A1)
【文献】 国際公開第2011/117012(WO,A1)
【文献】 特表2011−519565(JP,A)
【文献】 特開2005−112845(JP,A)
【文献】 特開平07−135917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 13/00−13/80
A23L 7/00−7/25
A23L 19/00−19/20
A23L 5/00−5/49
A23L 29/00−29/30
A23L 31/00−31/15
A23L 33/00−33/29
A61K 35/12−35/768
A61K 36/00−36/9068
A47G 19/00−19/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌の1種又は複数種のプロバイオティクス菌株を含む食用ウェブが表面に付着された食品又は食事用品を提供するための方法であって、
i.1種又は複数種の微生物を含む懸濁物を用意するステップと、
ii.食用ウェブを用意するステップと、
iii.食用ウェブに前記懸濁物を印刷して、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するステップと、
iv.1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを乾燥するステップと、
v.前記食用ウェブを、ラミネーションによってウエハース、ポテトチップス及びシリアルからなる群から選ばれる食品又は食事用品の表面に付着させるステップと
を含み、
前記食用ウェブは、食用紙、及び食用箔、食用シート、食用フィルム、薄くてフレキシブルな食用接着材、及び/又はそれらの任意の組み合わせである、方法。
【請求項2】
プロバイオティクス細菌が、印刷前に着色される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
ステップiv.における懸濁物の印刷が、インクジェットプリンターを使用して行われる、請求項又はに記載の方法。
【請求項4】
ステップ(iv)の乾燥が、8時間以下にわたって行われる、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
乾燥が、摂氏90度(℃)以下の温度で行われる、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、細菌、プロバイオティクス細菌、バクテリオファージ、又はウイルスなどの微生物を含む食用ウェブに関する。特に、本発明は、例えばインクジェット印刷の使用により印刷された細菌、プロバイオティクス細菌、バクテリオファージ、又はウイルスなどの微生物を有する食用ウェブに関する。
【0002】
[発明の背景]
ある種のタイプの微生物は、経口摂取によって投与されたときに、ヒト又は動物の健康に良い影響を与え得ることが、一般に認められている。そのような微生物の例が、プロバイオティクスである。FAO/WHOによって現在採用されている定義によれば、プロバイオティクスは、「適量で与えると宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物」である。乳酸菌及びビフィズス菌は、プロバイオティクスとして使用される最も一般的なタイプの微生物であるが、ある種の酵母菌及び桿菌も有益である。プロバイオティクスは、一般的に、活性を有する生きた培養菌が特別に添加された発酵食品の一部として、例えば、ヨーグルト、大豆ヨーグルトに含まれ、又は、栄養補助食品として消費されている。
【0003】
しかし、プロバイオティクスは、摂取の間に生存していることにより、その効果をもたらすので、摂取は、例えば、消費前に保存されているときに、長期間にわたって安定である、生存プロバイオティクス(生菌数;CFU)の十分高い濃度を得る障害になり得る。
【0004】
ヨーグルトの中でなど、液体の状態で保存されている場合、プロバイオティクスは、長期間の間生存できない可能性がある。加えて、液体状態で保存する場合、製品を冷やしておくことが必要となる可能性があり、製品を冷やしておくことは、問題がある可能性、及びコストがかかる可能性があり、また、製品に液体が存在することにより、その製品は、より多くの保存場所を必要とする。乾燥状態で保存する場合、プロバイオティクスの正確な濃度(CFU)を制御することが困難になり得る。
【0005】
したがって、プロバイオティクスに関する現在の技術についての問題がいくつか存在し、その問題は、本発明により克服することができる。
【0006】
Merrinらは、インクジェットプリンターを使用して、ガラス板、寒天平板、及びニトロセルロースシートなどの平らな表面に、遺伝子組換え大腸菌の異なる菌株を印刷することを開示している(Merrinら、Printing Multistrain Bacterial Patterns with a Piezoelectric Inkjet Printer、PLoS ONE、2007年7月25日)。
【0007】
Xuらは、市販のインクジェットプリンターを使用して、寒天被覆基板に大腸菌を直接印刷することを開示している(Xuら、Construction of high−density bacterial colony arrays and patterns by the ink−jet method、Biotechnol Bioeng.、2004年1月5日。
【0008】
したがって、所望の量の微生物を消費者に投与することができる食用品の必要性と同時に、その食用品の安定性の向上、及びその食用品に存在する微生物の生存能力の向上をもたらす必要性がある。
【0009】
[発明の概要]
したがって、本発明の一目的は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブに関する。そのような微生物は、プロバイオティクスなどの非病原性微生物であることが好ましい。
【0010】
本発明の別の目的は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するための方法であって、
i.1種又は複数種の微生物を含む懸濁物を用意するステップと、
ii.食用ウェブを用意するステップと、
iii.食用ウェブに前記懸濁物を印刷して、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するステップと、
iv.場合により、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを乾燥するステップと
を含む方法に関する。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、食品原材料と、本発明による、1種又は複数種の微生物を含んだ食用ウェブとを含む食品を提供することである。
【0012】
本発明のまた別の態様は、1種又は複数種の微生物を投与するための、本発明による食用ウェブの使用に関する。
【0013】
さらなる態様は、1種又は複数種の微生物を消費者に送達するための、本発明による食用ウェブの使用に関する。
【0014】
さらなる一態様は、ウエハース、ポテトチップス、シリアル、チューインガム、トローチ、錠剤、又はドロップなどの食品の表面に1種又は複数種の微生物を付着させるための、食用ウェブの使用に関する。
【0015】
別の態様は、ストロー、スプーン、フォーク、グラス、フラスコの口、哺乳瓶の乳首又は容器などの食事用品の表面に1種又は複数種の微生物を付着させるための、食用ウェブの使用に関する。
【0016】
さらなる態様は、おしゃぶりの表面に1種又は複数種の微生物を付着させるための、食用ウェブの使用に関する。
【0017】
さらなる一態様は、本発明による食用ウェブを含む食事用品に関する。
【0018】
さらなる態様は、本発明による食用ウェブを含むおしゃぶりに関する。
【0019】
別の態様は、医薬品として使用するための、本発明による食用ウェブに関する。さらなる態様は、胃腸障害を予防、治療、及び/又は軽減するのに使用するための食用ウェブに関する。一態様はまた、アレルギーを予防、治療、及び/又は軽減するのに使用するための食用ウェブに関する。
【0020】
[発明の詳細な説明]
本発明は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブに関する製品、方法、及び使用に関する。本発明の1つの態様について記述した実施形態が、本発明の他の態様も適用することは、本発明の範囲内である。
【0021】
微生物
本発明は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブに関する。本文脈において、用語「微生物(microorganism)」は、用語「微生物体(microbe)」と同じ、及び互換可能である。本発明による1種又は複数種の微生物は、微生物として分類される任意の生物、特に、プロバイオティクス細菌、ウイルス、バクテリオファージ、又はそれらの任意の組み合わせを含む細菌であり得る。ある種の状況下でのバクテリオファージは、ウイルスとして考えることもできるが、用語「ウイルス」は、本文脈において、バクテリオファージを除く任意の種類のウイルスと理解すべきである。本発明の1つの実施形態において、1種又は複数種の微生物は、1種又は複数種の細菌、1種又は複数種のバクテリオファージ、1種又は複数種のウイルス、又はそれらの任意の組み合わせである。好ましい実施形態において、1種又は複数種の微生物は、1種又は複数種の細菌である。
【0022】
微生物の中には、微生物が寄生する宿主において疾患を引き起こすものもいて、これらの微生物は、病原性生物として知られている。本文脈において、用語「病原性生物(複数可)」は、用語「病原菌」と互換可能である。したがって、寄生する宿主において疾患を引き起こさない微生物は、「非病原性生物」として知られている。宿主は、ヒト又は動物であり得ることが好ましい。本発明による1種又は複数種の微生物は、任意の微生物であってもよく、病原性及び/又は非病原性であってもよいが、好ましい実施形態においては、本発明による微生物は、非病原性微生物である。
【0023】
述べたとおり、該食用ウェブは、1種又は複数種の微生物、例えば、2種以上の微生物、例えば、3種以上の微生物、例えば、4種以上の微生物を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、食用ウェブは、2種以上の異なる微生物を含んでいてもよい。この場合、本発明の食用ウェブは、微生物の同じクラスに属する2種以上の微生物、例えば、少なくとも2種以上の異なる細菌、2種以上の異なるウイルス、又は、2種以上のバクテリオファージを含む。
【0025】
本発明の別の実施形態において、食用ウェブは、微生物の異なるクラスに属する2種以上の異なる微生物、例えば、1種若しくは複数種の細菌と1種若しくは複数種のウイルス、又は1種若しくは複数種の細菌と1種若しくは複数種のバクテリオファージ、又は1種若しくは複数種のウイルスと1種若しくは複数種のバクテリオファージを含む。
【0026】
本発明のさらなる一実施形態において、食用ウェブは、微生物の異なるクラスに属する3種以上の異なる微生物、例えば、1種又は複数種の細菌と、1種又は複数種のバクテリオファージと、1種又は複数種のウイルスとを含む。
【0027】
本発明の食用ウェブに適用された後、少なくとも2種以上の異なる該微生物は、一実施形態において、同じ濃度で存在する。しかし、本発明の別の実施形態において、少なくとも2種の異なる該微生物は、食用ウェブに適用された後、異なる濃度で存在する。少なくとも3種以上の異なる微生物が食用ウェブに適用される場合、その異なる微生物の少なくとも2種は、同じ濃度で存在することができるのに対し、その異なる微生物の残りは、異なる濃度(複数可)で存在することができる。
【0028】
本発明の一実施形態において、食用ウェブは、1種又は複数種のウイルスを含んでいてもよい。特に、消費者に健康上の利益をもたらすことができるウイルス、例えば、疾患を引き起こすことなく免疫系を活性化できるウイルス、例えば、ワクチンとして働く不活化又は死滅ウイルスは、本発明の適切なウイルスである。そのようなウイルスの非限定的な例は、レオウイルス群(ロタウイルス)、及び/又はピコルナウイルス群(ポリオ)に属するウイルスである。
【0029】
本発明の別の実施形態において、食用ウェブは、1種又は複数種のバクテリオファージを含んでいてもよい。本発明の食用ウェブに適用するのに適したバクテリオファージとしては、大腸菌に対するバクテリオファージ、例えば、λファージ、T2ファージ、T4ファージ、T7ファージ、T12ファージ、R17ファージ、M13ファージ、MS2ファージ、G4ファージ、P1ファージ、腸内細菌ファージP2、P4ファージ、Phi X174ファージ、N4ファージ、Φ6ファージ、Φ29ファージ、及び186ファージが挙げられる。
【0030】
しかし、他のグラム陰性病原菌に対するファージ、例えば、サルモネラ属、シゲラ属、及び他の腸内細菌科、シュードモナス属、モラクセラ属、ヘリコバクター属、ステノトロホモナス属、ブデロビブリオ属、酢酸菌、レジオネラ属、シアノバクテリア、スピロヘータ、緑色硫黄細菌及び緑色非硫黄細菌、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Hemophilus influenzae)、クレブシラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、及びサルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)に対するファージも、本発明のウェブに適用するのに適している。
【0031】
本発明の食用ウェブに適用するためのバクテリオファージとしては、任意のグラム陽性細菌、例えば、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、リステリア属、コリネバクテリウム属、バチルス属及びクロストリジウム属に属する細菌に対するバクテリオファージを挙げることもできる。そのようなバクテリオファージの例としては、それらに限定されないが、SPO1様ファージ、グラム陽性領域のT4ファージ、及びマイコバクテリオファージが挙げられる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、食用ウェブは、1種又は複数種のプロバイオティクス細菌を含む。本文脈において、用語「プロバイオティクス細菌(単数)」又は「プロバイオティクス細菌(複数)」は、用語「プロバイオティクス微生物(複数可)」又は「プロバイオティクス(複数可)」と互換可能である。プロバイオティクスは、宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物である。
【0033】
それ故、本発明の1つの実施形態において、食用ウェブは、1種又は複数種のプロバイオティクス細菌を含み、その1種又は複数種のプロバイオティクス細菌は、ビフィドバクテリウム属、エンテロコッカス属、ラクトバチルス属、及びストレプトコッカス属からなる群から選択される。
【0034】
本発明の別の実施形態において、食用ウェブは、1種又は複数種のプロバイオティクス細菌を含み、そのプロバイオティクス細菌は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ亜種ブレーベ(Bifidobacterium breve subspecies breve)、ビフィドバクテリウム・リケニフォルミス(Bifidobacterium licheniformis)、ビフィドバクテリウム・サブチルス(Bifidobacterium subtilus)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスGG(Lactobacillus GG)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・コーカシクス(Lactobacillus caucasicus)、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・スポロゲネス(Lactobacillus sporogenes)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、及びストレプトコッカス・インファンティス(Streptococcus infantis)からなる群から選択される。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、食用ウェブは、ラクトバチルス・アシドフィルス、及び/又はラクトバチルス・ラムノサスを含む。
【0036】
本明細書に上記したとおり、食用ウェブが2種以上の異なる微生物を含むことは、本発明の範囲内である。2種以上の異なる微生物は、本発明のある種の実施形態において、異なるプロバイオティクス微生物の組み合わせであってもよい。プロバイオティクス微生物のそのような組み合わせは、異なる種類の障害/状態を治療及び/又は軽減するのに適し得る。例として、ラクトバチルス・ラムノサスと、ラクトバチルス・アシドフィルスと、ラクトバチルス・ラクティスと、ストレプトコッカス・サーモフィルスと、ラクトバチルス・ブルガリクスとの組み合わせは、胃腸障害を治療/軽減するのに適していることが知られており、ラクトバチルス・カゼイと、ラクトバチルス・ラムノサスと、ラクトバチルス・アシドフィルスと、ビフィドバクテリウム・ロンガムとの組み合わせは、食物アレルギー状態を治療/軽減するのに適していることが知られている。
【0037】
それ故、本発明の一実施形態において、食用ウェブは、ラクトバチルス・ラムノサスと、ラクトバチルス・アシドフィルスと、ラクトバチルス・ラクティスと、ストレプトコッカス・サーモフィルスと、ラクトバチルス・ブルガリクスとの組み合わせを含む。
【0038】
本発明の別の実施形態において、食用ウェブは、ラクトバチルス・カゼイと、ラクトバチルス・ラムノサスと、ラクトバチルス・アシドフィルスと、ビフィドバクテリウム・ロンガムとの組み合わせを含む。
【0039】
本発明の一目的は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブであって、優れた保存特性を有し、生存能力の度合いを妥協した又は生存能力の度合いの妥協を少なくとも減らした食用ウェブを提供するように、微生物が高い生存能力を有する食用ウェブを提供することである。本文脈において、用語「生存能力」は、微生物が、生き残る、及び/又はそれ自身を維持する、及び/又はその潜在力を取り戻すか回復する、及び/又は成長する、及び/又は増殖することができる能力を意味する。それ故、本発明は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブであって、少なくとも1週間の貯蔵期間後の微生物(複数可)の生存能力の度合いが、食用ウェブに適用された微生物(複数可)の総数に対して少なくとも10%、例えば、食用ウェブに適用された微生物(複数可)の総数に対して少なくとも20%、例えば、食用ウェブに適用された微生物(複数可)の総数に対して少なくとも30%、例えば、食用ウェブに適用された微生物(複数可)の総数に対して少なくとも40%、例えば、食用ウェブに適用された微生物(複数可)の総数に対して少なくとも50%である食用ウェブに関する。
【0040】
本発明のある種の実施形態において、食用ウェブは、複製しない微生物(NRM)を含んでいてもよい。そのような微生物としては、前述の不活化又は死滅ウイルスが挙げられるが、不活化細菌、例えば、死滅若しくは不活化プロバイオティクス、及び/又は不活化若しくは死滅バクテリオファージも、本発明の食用ウェブに適用することができる。
【0041】
食用ウェブ
本発明は、微生物を含む食用ウェブに関する。本文脈において、用語「食用(edible)」は、食べるのに適し、ヒト又は動物の胃腸系を通過したときに消化できる又は一部消化できるものに関する。本文脈において、用語「ウェブ(web)」は、微生物(複数可)を含むことができる表面を有する、薄くてフレキシブルな材料に関する。例示的なウェブは、シート、例えば、基板シート、紙、フィルム、箔、メッシュ、ネット、フェルト、テープ、及び接着材である。
【0042】
したがって、本発明は、食用紙、食用箔、食用シート、食用フィルム、食用接着材、及び/又はそれらの組み合わせである食用ウェブに関連する。食用ウェブのタイプに応じて、本発明は、ポリマーを含む食用ウェブに関し得る。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、食用ウェブは、シュガーペーパー、スターチペーパー、コーンスターチペーパー、ライスペーパー、大豆ペーパー、金紙、銀紙、繊維ベースの紙、繊維ベースの箔からなる群から選択することができる。
【0044】
食用ウェブのタイプ及び/又は用途に応じて、前記ウェブは、ラミネートされていてもよい。本文脈において、用語「ラミネートされている」は、食用ウェブに少なくとも1つのさらなる層が加えられていることを意味する。
【0045】
本発明の一実施形態において、食用ウェブのラミネーションは、微生物が食用ウェブの表面に印刷される前に行われてもよい。本発明の別の実施形態において、食用ウェブのラミネーションは、微生物が食用ウェブの表面に印刷された後に行われてもよい。
【0046】
食用ウェブのラミネーションは、ウェブの特性、例えば、耐久性、外観、接着性の向上;摩損、圧力及び引っかきに対する特性の改善;並びに食用ウェブの表面に印刷するための表面特性の改善を行うことができる。食用ウェブをラミネートすることにより、食用ウェブは、湿気、太陽光、物理的相互作用などの影響に対してより抵抗性になることができ、貯蔵期間を向上することができる。ラミネーションは、食用フィルムをより消費しやすくさせることもできる。
【0047】
本発明によれば、食用ウェブは、食材から作られていてもよい。本発明の食用ウェブを製造するのに使用できる例示的な食材は、パンケーキ、ビスケット、菓子製品、ウエハース、ポテトチップス、シリアル、チューインガム、トローチ、錠剤、又はドロップである。
【0048】
本発明の食用ウェブは、プレバイオティクスで作られていてもよい。本文脈において、「プレバイオティクス」は、消化系において、健康上有益な細菌の成長及び/又は活性を刺激又は維持できる、食品の非消化性食品原材料である。プレバイオティクスとしては、炭水化物のものと非炭水化物のものの両方を挙げることができ、食物繊維の多くの形態は、あるレベルのプレバイオティック効果を示し得る。しかし、通常、プレバイオティクスは、難消化性オリゴ糖に関する。
【0049】
一実施形態において、本発明の食用ウェブは、1種又は複数種のプレバイオティクスをさらに含み、したがって、プレバイオティクスは、食用ウェブに添加されている。或いは、食用ウェブは、プレバイオティクスからなり、したがって、食用ウェブ全体が、1種又は複数種のプレバイオティクスで作られている。
【0050】
したがって、本発明は、1種又は複数種のプレバイオティクスを含む、又は含有する食用ウェブであって、その1種又は複数種のプレバイオティクスが、イヌリン、フラクトオリゴ糖、短鎖フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、難消化性デキストリン、キシロオリゴ糖、アラビノオリゴ糖、グルコオリゴ糖、マンノオリゴ糖、及びイソマルトオリゴ糖から好ましくは選択される難消化性オリゴ糖である食用ウェブに関連する。
【0051】
本発明による食用ウェブは、1種又は複数種の添加剤をさらに含んでいてもよい。本文脈において、添加剤は、食用ウェブの物理的、化学的、又は感覚的な特性を向上させるために食用ウェブに添加される任意の化学的及び/又は生物学的物質を指してもよい。したがって、本発明は、添加剤をさらに含む食用ウェブであって、前記添加剤が、香味料、風味向上化合物、表面特性制御剤を含めた物理的特性制御剤、ビタミン、及び/又は栄養剤、又はそれらの任意の組み合わせである食用ウェブに関する。
【0052】
微生物を含む食用ウェブを提供するための方法
本発明の一目的は、微生物を含む食用ウェブを提供するための方法を提供することである。前記微生物は、印刷により、ウェブに適用されることが好ましい。そのような方法は、いくつかの利点を有する。第1に、食用ウェブに直接印刷することは、ウェブに適用される微生物の量の非常に高度な制御を可能にし、それにより、非常に正確な投与量制御を可能にする。特に、食用ウェブの面積あたり非常に少ない量の微生物を適用することが、印刷によって可能になる。第2に、2種以上の異なる微生物は、独立した量で、しかし、同じ食用ウェブの異なる別個の領域において同じ量で、食用ウェブに適用することができる。したがって、一実施形態において、本発明は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するための方法であって、
i.1種又は複数種の微生物を含む懸濁物を用意するステップと、
ii.食用ウェブを用意するステップと、
iii.食用ウェブに前記懸濁物を印刷して、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するステップと、
iv.場合により、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを乾燥するステップと
を含む方法に関する。
【0053】
異なる微生物は、同じ又は異なる食用ウェブに印刷され得るので、いくつかの例では、印刷前に微生物(複数可)を着色することが有利であろう。微生物を着色することは、微生物(複数可)が、正しい量で食用ウェブに適用されていることを目で確認することを可能にするだけでなく、食用ウェブに印刷する前に、異なる微生物が、異なる着色料で着色された場合、異なる食用ウェブ、又は同じ食用ウェブの異なる領域を区別することも可能にする。さらに、微生物を着色することは、十分な量の微生物を食用ウェブに確保にするための、生存能力の度合いの調査も可能にする。したがって、本発明は、印刷前に着色された1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するための方法にさらに関する。
【0054】
微生物を視覚化するのに適した、異なる特性を有する多くの着色料が利用可能であり、着色料の選択は、着色しようとする微生物、及び着色された微生物が印刷されることになる食用ウェブのタイプ、並びに、着色された微生物を含む食用ウェブの保存条件及び用途に依存する。
【0055】
本発明の1つの実施形態において、本発明の1種又は複数種の微生物を着色するための着色料は、タートラジンE10(FD&C黄色5号)、キノリンイエローE104、サンセットイエローFCF E110(FD&C黄色6号)、カルモイシン、アゾルビンE122、アマランスE123、ポンソー4R E124、エリスロシンE127(FD&C赤色3号)、レッド2G E128、アルラレッドAC E129(FD&C赤色40号)、パテントブルーE131、インジゴチン、インジゴカルミンE132(FD&C青色2号)、ブリリアントブルーFCF E133(FD&C青色1号)、グリーンS E142、ブリリアントブラックBN E1515、ブラウンFK E154、ブラウンHT E155、二酸化チタンE171(二酸化チタン)、及びそれらの任意の組み合わせからなる合成着色料の群から選択される。
【0056】
本発明の別の実施形態において、本発明の1種又は複数種の微生物を着色するための着色料は、ウコン、天然カロテン、βカロテン、ルテイン、クルクミン、アナトー、パプリカ、カルミン酸、カルミン、アントシアニン、レッドビート、ブルーアントシアニン、銅クロロフィル、クロロフィル、カーボンブラック、カラメル、及びそれらの任意の組み合わせからなる天然又は非合成着色料の群から選択される。
【0057】
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の1種又は複数種の微生物を着色するための着色料は、ウコン抽出物、ニンジン、ニンジン濃縮物、ベニバナ、カボチャ濃縮物、黒ニンジン、ニワトコ、アロニア、ブドウのアントシアニン、クロフサスグリ、スピルリナ、イラクサ、ホウレンソウ濃縮物、麦芽、及びそれらの任意の組み合わせからなる着色性の食材の群から選択される。
【0058】
さらに、合成着色料、天然又は非合成着色料、及び着色性の食材の任意の組み合わせが、本発明の1種又は複数種の微生物を着色するために使用できることは、本発明の範囲内である。1種又は複数種の微生物を着色するために使用される着色料に関係なく、食品等級着色料(food grade dye)が好ましい。
【0059】
本発明の方法による、微生物の懸濁物の印刷は、印刷しようとする微生物(複数可)のタイプ、懸濁物の粘度、1種又は複数種の微生物が適用されることになる食用ウェブのタイプ、印刷された微生物を含む食用ウェブの保存条件及び/又は用途に依存し得る。1種又は複数種の微生物、場合によっては、上記したとおりに着色されている1種又は複数種の微生物の印刷は、それらに限定されないが、スクリーン印刷、オフセット印刷、熱転写、インクジェット印刷、リソグラフブランケット転写(lithographic blanket transfer)印刷、フレキソ印刷、凸版式活版輪転印刷(letter press rotary relief plate printing)、ウェブ印刷、リールツーリール印刷、グラビア印刷、又はそれらの任意の組み合わせを含めた任意の印刷技術を使用して行われる。
【0060】
本発明の一実施形態は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するための方法であって、着色された及び/又は着色されていない微生物の懸濁物の印刷を含むステップ(iii)が、インクジェットプリンターを使用して行われる方法に関する。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するための方法であって、着色された及び/又は着色されていない微生物の懸濁物の印刷を含むステップ(iii)が、加熱式インクジェットプリンター又は圧電式インクジェットプリンターを使用して行われる方法に関する。
【0062】
1種又は複数種の微生物が、同じ領域で同じ食用ウェブに、又は異なる領域で同じ食用ウェブに、又は1つ又は複数の異なる食用ウェブに印刷され得ることは、本発明の範囲内である。これらの1つ又は複数の異なる食用ウェブは、続いて組み合わされていてもよい。
【0063】
本明細書の別の箇所に記述しているとおり、本発明による、微生物の懸濁物の印刷は、非常に少量の微生物を極めて投与量を制御できる方法で適用することを可能にする。それ故、1つの実施形態において、本発明は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを提供するための方法であって、印刷滴の大きさが、5〜100ピコリットルの範囲である、微生物の懸濁物の印刷を含む方法に関する。本発明の別の実施形態において、食用ウェブに印刷した後の滴の直径は、80マイクロメーター以下、例えば、5〜80マイクロメーターの範囲内である。
【0064】
本発明の方法を用いることにより、高度な生存能力を有する微生物を含む食用ウェブがもたらされ得る。保存特性を考えた場合、高度な生存能力は、利点であり、それ故、本発明は、印刷後の微生物の生存能力の度合いが、1週間の貯蔵期間後に10〜100%の範囲、例えば、1週間の貯蔵期間後に20〜95%の範囲、例えば、1週間の貯蔵期間後に30〜90%の範囲、例えば、1週間の貯蔵期間後に40〜85%の範囲、例えば、1週間の貯蔵期間後に50〜80%の範囲である、微生物を含む食用ウェブを提供するための方法に関する。
【0065】
本発明による食用ウェブに1種又は複数種の微生物の懸濁物を印刷した後、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブは、場合により乾燥させることができる。微生物を含む食用ウェブを乾燥することは、乾燥プロセス後の本発明の微生物の最高度の生存能力を確保するように、乾燥手順が非常に制御された条件下で行われなければならないので、極めて重要なステップである。乾燥が行われる温度と時間枠の両方を制御することは、微生物の高い生存能力を確保するために重要であり得る。
【0066】
本発明の1つの実施形態において、ステップ(iv)の乾燥手順は、8時間以下、例えば、6時間以下、例えば、4時間以下、例えば、2時間以下、例えば、1時間以下、例えば、45分間以下、例えば、30分間以下、例えば、20分間以下、例えば、15分間以下、例えば、10分間以下、例えば、5分間以下、例えば、2分間以下、例えば、1分間以下、例えば、30秒間以下にわたって行うことができる。
【0067】
本発明の別の実施形態において、ステップ(iv)の乾燥手順法は、摂氏90度(℃)以下、例えば、摂氏80度以下、例えば、摂氏70度以下、例えば、摂氏60度以下、例えば、摂氏50度以下、例えば、摂氏40度以下、例えば、摂氏30度以下、例えば、摂氏25度以下、例えば、摂氏20度以下、摂氏0〜90度の範囲、例えば、摂氏5〜70度の範囲、例えば、摂氏10〜50度の範囲、例えば、摂氏15〜35度の範囲、例えば、摂氏20〜30度の範囲の温度で行われる。
【0068】
食品
本発明の微生物を含む食用ウェブの重要な用途は、ヘルスケア及び/又は医療用栄養にある。それ故、一実施形態において、本発明の微生物を含む食用ウェブは、特殊医療用食品(Food for Special Medical Purpose)(FSMP)に関する。本文脈において、特殊医療用食品は、欧州委員会指令199/21/ECに規定された以下のカテゴリーの1つ又は複数に属するダイエタリー食品である:
1.製造者の指示に従って使用されて、意図される人々のための唯一の栄養源を構成し得る、標準の栄養配合を有する栄養的に完全な食品
2.製造者の指示に従って使用されて、意図される人々のための唯一の栄養源を構成し得る、疾患、障害、又は医学的状態に特定的な、栄養物に適合した配合を有する栄養的に完全な食品。これらの食品は、患者の食事の部分的代替、又は補助として使用することもできる
3.唯一の栄養源として使用するのに適していない、標準の配合、又は疾患、障害、若しくは医学的状態に特定的な、栄養物に適合した配合を有する栄養的に不完全な食品。これらの食品は、患者の食事の部分的代替、又は補助として使用することもできる。
【0069】
本発明は、食品原材料を含む食品にさらに関する。本文脈における食品原材料は、通常、タンパク質、炭水化物、及び/又は脂質の形態で、例えば、すぐに消費できる食品及び/又は調合乳の形態で、消費者に栄養及び/又はエネルギーを与える任意の食用物質に関する。本文脈における食品は、食品原材料と、本発明による食用ウェブとの組み合わせである。
【0070】
1つの実施形態では、本発明の食品は、食品原材料と、1種又は複数種の微生物を含んだ食用ウェブとを含む。食品が、2種以上の異なる食品原材料、及び/又は、1種又は複数種の微生物を含んだ2種以上の異なる食用ウェブを含み得ることも、本発明の範囲内である。
【0071】
本発明の食品を共に形成する、食品原材料と1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブは、別個の物体であってもよい。しかし、ある種の実施形態において、本発明の食品は、本発明の食用ウェブを包含する食品原材料を含む。本発明の別の実施形態において、食品は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブにより、完全に又は部分的に包まれた食品原材料を含む。
【0072】
本発明の一実施形態において、食品原材料は、それらに限定されないが、乳製品、穀物製品、アイスクリーム、チョコレート及びチョコレートバー、ビスケット、スナック菓子、クラッカー、ウエハース、コーヒー、紅茶、すぐに飲める製品、ヘルスケア製品、ベビーフード、乳児用調合乳、ペットフード、及び機能食品などの任意のすぐに消費できる食品及び/又は調合乳であってもよい。
【0073】
本文脈において、用語「機能食品(performance food)」は、アスリートの機能を向上させる目的で開発された任意の種類の食品に関する。そのような機能食品は、筋肉量を得ること、エネルギー及び持久力を上げること、覚醒状態を高めること、ストレス耐性を高めること、緊張感に立ち向かう能力を高めること、幸福感を高めること、トレーニング後により早く回復させること、免疫応答を高めること、体重を管理すること、並びに、全身の強さ及び健康を増進することに対する特性が向上した任意の食品であり得る。
【0074】
機能食品の例としては、エネルギーバー、エナジャイザーバー(energizer bar)、エネルギー飲料、エナジャイザー飲料、タンパク質の豊富なサプリメント、炭水化物が豊富なサプリメント、並びに、ビタミン及び/又は栄養が豊富なサプリメントが挙げられる。
【0075】
使用
前に本明細書で説明したとおり、1種又は複数種の微生物を食用ウェブに直接印刷することは、より正確な投与量制御をもたらす。したがって、本発明は、1種又は複数種の前記微生物を投与するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブの使用に関する。
【0076】
さらに、本発明はまた、1種又は複数種の微生物を消費者に送達するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブの使用に関連する。消費者は、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブを消費できるいかなる消費者、特にヒト又は動物であってもよい。
【0077】
加えて、本発明は、食品又は食事用品の表面を含めた様々な表面に付着させるための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブの使用に関する。これらの表面への食用ウェブの付着は、本発明の食用ウェブによる前記表面のラミネーション又はコーティングによって行うことができる。したがって、本発明は、ウエハース、ポテトチップス、シリアル、チューインガム、トローチ、錠剤、又はドロップなどの食品の表面に1種又は複数種の微生物を付着させるための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブの使用に関する。
【0078】
さらに、本発明は、ストロー、スプーン、フォーク、グラス、フラスコの口、哺乳瓶の乳首又は容器などの食事用品の表面に1種又は複数種の微生物を付着させるための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブの使用に関する。
【0079】
本発明はまた、おしゃぶりの表面に1種又は複数種の微生物を付着させるための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブの使用に関する。
【0080】
他の製品
本発明はさらに、1種又は複数種の微生物を含んだ食用ウェブを含む食事用品に関する。そのような食事用品の例は、それらに限定されないが、ストロー、スプーン、フォーク、グラス、フラスコの口、哺乳瓶の乳首又は容器である。
【0081】
本発明はさらに、1種又は複数種の微生物を含んだ食用ウェブを含むおしゃぶりに関する。
【0082】
1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブは、ラミネーション、コーティング、又は接着剤の使用により、食事用品及び/又はおしゃぶりに付着させることができる。このようにして、食事用品及び/又はおしゃぶりは、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブによって、部分的に又は全体的に覆われ得る。
【0083】
医学的使用
上記したとおり、本発明の微生物を含む食用ウェブは、特殊医療用食品に関するものであり得、本発明は、健康上有益な微生物を提供することができるので、本発明はまた、医薬品として使用するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブに関する。
【0084】
本発明はまた、胃腸障害を予防、治療、及び/又は軽減するのに使用するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブに関する。具体的には、本発明は、胃腸障害を予防、治療、及び/又は軽減するのに使用するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブであって、胃腸障害が、過敏性腸症候群、クロストリジウム定着、旅行者下痢症、ロタウイルス胃腸炎に関連した下痢症、急性非特異性下痢症、便秘、慢性ガス痛、及び大腸炎からなる群から選択される食用ウェブに関する。
【0085】
本発明はさらに、アレルギーを予防、治療、及び/又は軽減するのに使用するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブに関する。具体的には、本発明は、アレルギーを予防、治療、及び/又は軽減するのに使用するための、1種又は複数種の微生物を含む食用ウェブであって、アレルギーが、呼吸アレルギー、食物アレルギー、乳糖不耐性、アレルギー性鼻炎からなる群から選択される食用ウェブに関する。
【0086】
本発明の1つの態様又は実施形態の文脈において記述した実施形態及び特徴は、本発明の他の態様又は実施形態にも適用されることに留意すべきである。