特許第6324897号(P6324897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324897
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】ペクチン成分を含む無煙タバコ製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/24 20060101AFI20180507BHJP
   A24B 13/00 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   A24B15/24
   A24B13/00
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-542487(P2014-542487)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-533505(P2014-533505A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】US2012065480
(87)【国際公開番号】WO2013074903
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】13/299,621
(32)【優先日】2011年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594112886
【氏名又は名称】アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ラベット,マーガレット・エリサ
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534475(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0291245(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0083681(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0218779(US,A1)
【文献】 米国特許第03529602(US,A)
【文献】 国際公開第2011/042211(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0303969(US,A1)
【文献】 特表2009−545315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/24
A24B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口の中に挿入するよう形成した無煙タバコ製品であり、前記無煙タバコ製品はタバコ材料及び結合剤成分を含み、前記結合剤成分はタバコ由来ペクチン材料を含み、前記製品は
前記無煙タバコ製品の全乾燥重量に基づいて、
約20〜約50乾燥重量%の量のタバコ材料;
約2〜約10乾燥重量%の量のタバコ由来ペクチン材料;
約10〜約40乾燥重量%の一つ以上の充填剤;
約5〜約15乾燥重量%の任意の量の一つ以上の甘味料;及び
約5乾燥重量%までの量の少なくとも一つの香料
を含む、無煙タバコ製品。
【請求項2】
タバコ由来ペクチン材料がその中の唯一の結合剤成分である、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項3】
無煙タバコ製品が押出加工される、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項4】
無煙タバコ製品が溶解可能である、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項5】
タバコ材料が約50ミクロン未満の平均粒径を有する粒子状形態である、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項6】
タバコ材料が粉砕されたタバコ材料又は水性タバコ抽出物である、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項7】
一つ以上の充填剤が少なくとも一つのイネ由来の充填剤材料を含む、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項8】
一つ以上の甘味料が少なくとも一つの糖アルコールを含む、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項9】
天然ガムの形態の結合剤をさらに含む、請求項1に記載の無煙タバコ製品。
【請求項10】
第一タバコ材料からペクチンを抽出してタバコ由来のペクチン材料を形成すること;及び
前記タバコ由来ペクチン材料を第二タバコ材料と組み合わせて無煙タバコ組成物を形成すること;及び
生じた組成物を請求項1〜9のいずれか一項に記載の無煙タバコ製品に組み込むこと
を含む、無煙タバコ製品を調製する方法。
【請求項11】
第一タバコ材料がタバコ茎、タバコ葉身、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第一タバコ材料が乾燥タバコ材料である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
抽出工程が水溶液を用いて行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
水溶液が、界面活性剤、共溶媒、酵素、及びpH調整剤からなる群から選択される一つ以上の成分を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抽出工程前に第一タバコ材料をペクチン放出剤で処理することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タバコから作られるもしくはこれに由来する製品、又はタバコを組み込んでおり、ヒト消費向けの製品に関する。特に、本開示は、タバコを組み込んだ組成物又は配合物であって、無煙形態で使用することを意図したものに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、葉巻、及びパイプは、タバコを様々な形態で使用する人気の喫煙物品である。このような喫煙物品は、タバコを加熱又は燃焼させて、喫煙者に吸引され得るエアゾール(例えば、煙)を発生させることによって使用される。タバコはまた、いわゆる「無煙」形態でも楽しまれる。特に人気の無煙タバコ製品は、処理タバコ又はタバコ含有処方物のいくつかの形態を使用者の口内に挿入させることによって使用される。例えば、無煙タバコ配合物、成分、及び処理方法の種類は、Schwartzへの米国特許第1,376,586号;Leviへの同第3,696,917号;Pittman等への同第4,513,756号;Sensabaugh,Jr.等への同第4,528,993号;Story等への同第4,624,269号;Tibbettsへの同第4,991,599号;Townsendへの同第4,987,907号;Sprinkle,III等への同第5,092,352号;White等への同第5,387,416号;Williamsへの同第6,668,839号;Williamsへの同第6,834,654号;Atchley等への同第6,953,040号;Atchley等への同第7,032,601号;及びAtchley等への同第7,694,686号;Williamsへの米国特許出願公開第2004/0020503号;Quinter等への同第2005/0115580号;Strickland等への同第2005/0244521号;Strickland等への同第2006/0191548号;Holton,Jr.等への同第2007/0062549号;Holton,Jr.等への同第2007/0186941号;Strickland等への同第2007/0186942号;Dube等への同第2008/0029110号;Robinson等への同第2008/0029116号;Mua等への同第2008/0029117号;Robinson等への同第2008/0173317号;Engstrom等への同第2008/0196730号;Neilsen等への同第2008/0209586号;Crawford等への同第2008/0305216号;Essen等への同第2009/0065013号;Kumar等への同第2009/0293889号;Gao等への同第2010/0291245号;Mua等への同第2011/0139164号;Arnarp等へのPCT出願公開第WO2004/095959号、及びAtchleyへのPCT出願公開第WO2010/132444号(これらのそれぞれは、参照によって本明細書中に組み込まれる)に挙げられている。市販されている代表的な無煙タバコ製品には、R.J.Reynolds Tobacco CompanyによるCAMEL Snus、CAMEL Orbs、CAMEL Strips及びCAMEL Sticks;American Snuff Company,LLCによるGRIZZLY moist tobacco、KODIAK moist tobacco、LEVI GARRETT loose tobacco及びTAYLOR’S PRIDE loose tobacco;Swisher International,Inc.によるKAYAK moist snuff及びCHATTANOOGA CHEW chewing tobacco;Pinkerton Tobacco Co.LPによるREDMAN chewing tobacco;U.S.Smokeless Tobacco CompanyによるCOPENHAGEN moist tobacco、COPENHAGEN Pouches、SKOAL Bandits、SKOAL Pouches、RED SEAL long cut及びREVEL Mint Tobacco Packs;並びにPhilip Morris USAによるMARLBORO Snus及びTabokaと呼ばれるものが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第1,376,586号明細書
【特許文献2】米国特許第3,696,917号明細書
【特許文献3】米国特許第4,513,756号明細書
【特許文献4】米国特許第4,528,993号明細書
【特許文献5】米国特許第4,624,269号明細書
【特許文献6】米国特許第4,991,599号明細書
【特許文献7】米国特許第4,987,907号明細書
【特許文献8】米国特許第5,092,352号明細書
【特許文献9】米国特許第5,387,416号明細書
【特許文献10】米国特許第6,668,839号明細書
【特許文献11】米国特許第6,834,654号明細書
【特許文献12】米国特許第6,953,040号明細書
【特許文献13】米国特許第7,032,601号明細書
【特許文献14】米国特許第7,694,686号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0244521号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2008/0029117号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献33】国際公開第2004/095959号
【特許文献34】国際公開第2010/132444号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無煙タバコ製品などのタバコ製品の楽しめる形態を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、使用者の口の中に挿入するよう形成した無煙タバコ製品、及び無煙タバコ製品に使用するのに適した無煙タバコ組成物を調製することに関する。無煙タバコ組成物は、タバコ又はタバコ材料から由来するペクチン成分を組み込んでいる。種々の特性は、タバコ由来のペクチン材料によってタバコ製品に付与でき、このような特性は、例えば、ペクチン源の選択(例えば、タバコ材料のどの一部又は部分が使用されるのか)、ペクチンを抽出及び単離するために使われる技術によって、及び、ペクチン構造のあらゆる意図的又は非意図的な修飾によって強い影響を受け得る。
【0006】
タバコ由来のペクチンは無煙タバコ製品に種々の属性を提供し得る。例えば、ペクチンは、無煙タバコ製品にある程度の一体性を提供できる。使用時に、ある実施形態において、ペクチン成分は全体的に又は部分的に無煙タバコ製品の形を保つことができる。さらに、無煙タバコ製品内でのタバコ由来のペクチンの組み込みは、タバコ由来成分の含有量がより高い製品を与え得る。
【0007】
本発明の一態様において、使用者の口内への挿入用に構成された無煙タバコ製品、タバコ材料と結合剤成分を含む無煙タバコ製品、及び無煙タバコ製品の全乾燥重量に基づいた重量で少なくとも約2%の量のタバコ由来ペクチン材料を含む結合剤成分を提供する。ある実施形態において、そのタバコ由来ペクチン材料はその中にある唯一の結合剤成分である。
【0008】
いくつかの実施形態において、無煙タバコ製品は押出加工できる。無煙タバコ製品は、例えば、丸剤、ペレット、錠剤、硬貨、ビーズ、卵形、横長形、立方体、フィルム、フレーク、スティック、フォーム、又はジェルの形であり得る。いくつかの実施形態において、その無煙タバコ製品は溶解性である。
【0009】
タバコ由来のペクチンの量は変化し得る。例えば、ある実施形態において、無煙タバコ製品は、タバコ由来ペクチン材料を重量で約3%超、又はタバコ由来ペクチン材料を重量で約4%超含む。種々の他の構成要素は、本発明の無煙タバコ製品内に組み込むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、この無煙タバコ製品は、香料、甘味料、塩、充填剤、脂肪、乳化剤、ゲル化剤、崩壊補助剤、圧縮性助剤、着色剤、湿潤剤、pH調整剤、緩衝剤、口腔ケア添加剤、防腐剤、シロップ剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される一つ以上の成分をさらに含む。ある実施形態において、タバコ材料は、約50ミクロン未満の平均粒径を有する粒子状形態にある。
【0010】
一実施形態において、本発明は、約20〜約50乾燥重量%の量でタバコ材料(例えば、粉砕されたタバコ材料、又は水性タバコ抽出物);約2〜約10乾燥重量%の量でタバコ由来ペクチン物質;約10〜約40%乾燥重量の量で一つ以上の充填剤(例えば、少なくとも一つのイネ由来の充填剤);約5〜約15%乾燥重量の任意の量の一つ以上の甘味料(例えば、少なくとも一つの糖アルコール);及び、約5乾燥重量%までの量で少なくとも一つの香料を含む無煙タバコ製品を提供する。その製品は天然ガムなどの追加の結合剤成分を含んでもよい。
【0011】
本発明の別の態様において、タバコ由来のペクチン材料を形成するため第一タバコ原料からペクチンを抽出すること、無煙タバコ組成物を形成するため第二タバコ原料とこのタバコ由来ペクチン材料を組み合わせること;及び、得られた組成物を無煙タバコ製品中に組み込みこむこと(例えば、押出によるなど、所望の製品形状に組成物を形成することによって)からなる無煙タバコ製品を調整する方法が提供され、このタバコ由来ペクチン材料は無煙タバコ製品の乾燥重量で少なくとも約2%の量で存在する。いくつかの実施形態において、タバコ由来のペクチン材料は、無煙タバコ製品の乾燥重量で少なくとも約3%、又は無煙タバコ製品の乾燥重量で少なくとも約4%の量で存在する。
【0012】
いくつかの実施形態において、抽出工程は、水溶液を用いて行われる。ある実施形態において、その水溶液は、界面活性剤、共溶媒、酵素、及びpH調整剤からなる群から選択される一つ以上の成分を含む。いくつかの実施形態において、抽出工程は、シュウ酸及び/又はシュウ酸アンモニウムの水溶液と乾燥タバコ材料を混合し、水性抽出物を回収することからなる。ある実施形態において、その抽出工程は、ペクチン材料の沈殿をもたらすため水性抽出物に第二溶媒を添加し、沈殿したペクチン材料を回収することをさらに含む。いくつかの実施形態において、その方法は、抽出工程前にペクチン放出剤を用いて第一タバコ材料を処理することをさらに含む。
【0013】
ある実施形態において、第一タバコ原料は、タバコ茎、タバコ葉身、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第一タバコ原料は、乾燥されたタバコ材料である。
【0014】
本発明の更なる態様において、ペクチンを抽出するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、乾燥した第一タバコ原料をシュウ酸水溶液及び/又はシュウ酸アンモニウム水溶液と混合し、水性抽出物を回収することを含む。ある実施形態において、この方法は、抽出したペクチンを第二タバコ原料と組み合わせて無煙タバコ製品を製造することをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明は、以下においてより完全に記載される。本開示は、多くの異なる形態に具体化でき、本明細書に示す態様に限定されるものと解釈すべきでない;むしろ、これらの態様は、本開示が適用可能な法的要件を満たすよう提供される。本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、複数指示対象を含む。
【0016】
種々の実施形態において、本発明は、経口使用に適した無煙タバコ組成物を提供できる。無煙タバコ組成物は、一般的に、タバコ材料、一つ以上のペクチン成分、及び本明細書に記載されるように任意で一つ以上の追加の成分を含む。ある実施形態において、少なくとも一つのペクチン成分は、タバコに由来する。
【0017】
本開示の製品は、Nicotiana種の植物のある形態を組み込み、最も好ましくは、これらの組成物又は製品は、タバコのある形態を組み込む。Nicotiana種の選択は変化し得る;そして、特に、タバコ又はタバコ(複数)の種類の選択は変化し得る。使用され得るタバコとしては、フルキュアード葉又はVirginia葉(例えば、K326)、バーレー葉、サンキュアード葉(例えば、Katerini、Prelip、Komotini、Xanthi及びYambolタバコを含むIndian Kurnool及びOrientalタバコ)、Maryland葉、ダーク葉、ダークファイヤド葉、ダークエアキュアード葉(例えば、Passanda、Cubano、Jatin及びBezukiタバコ)、ライトエアキュアード葉(例えば、North Wisconsin及びGalpaoタバコ)、Indianエアキュアード葉、Red Russian及びRusticaタバコ、並びに様々な他の珍しい特産品タバコが挙げられる。様々な種類のタバコ、栽培実施法及び収穫実施法の説明が、参照により本明細書に組み込まれる、Tabacco Production,Chemistry and Technology、Davisら(編集)(1999)に記載されている。Nicotiana種からの植物の様々な代表的な他の種類が、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Goodspeed,The Genus Nicotiana、(Chonica Botanica)(1954);Sensabaugh,Jr等への米国特許第4,660,577号;White等による同第5,387,416号及びLawson等への同第7,025,066号;Lawrence,Jr等への米国特許出願公開第2006/0037623号及びMarshall等への同第2008/0245377号に記載されている。代表的なタバコ属の種には、タバコ(N.tabacum)、ニコチアナ・ルスティカ(N.rustica)、ハナタバコ(N.alata)、ニコチアナ・アレントシ(N.arentisii)、ニコチアナ・エクセルシオル(N.excelsior)、ニコチアナ・フォルゲティアナ(N.forgetiana)、キダチタバコ(N.glauca)、ニコチアナ・グルチノサ(N.glutinosa)、ニコチアナ・ゴセイ(N.gossei)、ニコチアナ・カワカミ(N.kawakamii)、ニコチアナ・ナイチアナ(N.knightiana)、ニコチアナ・ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、ニコチアナ・オトフォラ(N.otophora)、ニコチアナ・セトチェリ(N.setchelli)、ニコチアナ・シルベストリス(N.sylvestris)、ニコチアナ・トメントサ(N.tomentosa)、ニコチアナ・トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、ニコチアナ・アンドゥラタ(N.undulata)、ニコチアナ・サンデラエ(N.xsanderae)、ニコチアナ・アフリカナ(N.africana)、ニコチアナ・アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、ニコチアナ・ベナビデシ(N.benavidesii)、ニコチアナ・ボナリエンシス(N.bonariensis)、ニコチアナ・デブネイ(N.debneyi)、ニコチアナ・ロンギフロラ(N.longiflora)、ニコチアナ・マリチナ(N.maritina)、ニコチアナ・メガロシホン(N.megalosiphon)、ニコチアナ・オシデンタリス(N.occidentalis)、ニコチアナ・パニクラタ(N.paniculata)、ニコチアナ・プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、ニコチアナ・ライモンジ(N.raimondii)、ニコチアナ・ロスラタ(N.rosulata)、ニコチアナ・シムランス(N.simulans)、ニコチアナ・ストクトニ(N.stocktonii)、ニコチアナ・スアベオレンス(N.suaveolens)、ニコチアナ・アンブラチカ(N.umbratica)、ニコチニア・ベルチナ(N.velutina)、ニコチアナ・ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、ニコチアナ・アカウリス(N.acaulis)、ニコチアナ・アクミナタ(N.acuminata)、ニコチアナ・アテヌアタ(N.attenuata)、ニコチアナ・ベンサミアナ(N.benthamiana)、ニコチアナ・カビコラ(N.cavicola)、ニコチアナ・クレベランジ(N.clevelandii)、ニコチアナ・コルジフォリア(N.cordifolia)、ニコチアナ・コリンボサ(N.corymbosa)、ニコチアナ・フラグランス(N.fragrans)、ニコチアナ・グッドスピーディ(N.goodspeedii)、ニコチアナ・リネアリス(N.linearis)、ニコチアナ・ミエルシ(N.miersii)、ニコチアナ・ヌジカウリス(N.nudicaulis)、ニコチアナ・オブツシフォリア(N.obtusifolia)、ニコチアナ・オシデンタリス亜種ヘルスペリス(N.occidentalis subsp. Hersperis)、ニコチアナ・パウシフロラ(N.pauciflora)、ニコチアナ・ペツニオイデス(N.petunioides)、ニコチアナ・クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、ニコチアナ・レパンダ(N.repanda)、ニコチアナ・ロツンジホリア(N.rotundifolia)、ニコチアナ・ソラニフォリア(N.solanifolia)及びニコチアナ・スペガジニ(N.spegazzinii)が含まれる。
【0018】
Nicotiana種は、遺伝子組換え又は交雑育種技術を使用して得ることができる(例えば、タバコ植物を遺伝子組換え又は異種交配して、成分の産生、特性もしくは属性を増加又は減少させることができる)。例えば、Fitzmaurice等への米国特許第5,539,093号;Wahab等への同第5,668,295号;Fitzmaurice等への同第5,705,624号;Weiglへの同第5,844,119号;Dominguez等への同第6,730,832号;Liu等への同第7,173,170号;Colliver等への同第7,208,659号;及びBenning等への同第7,230,160号;Conkling等への米国特許出願公開第2006/0236434号;及びNielsen等への国際公開第2008/103935号に示されている型の植物の遺伝子組換えを参照されたい。
【0019】
無煙及び吸うことができるタバコ製品を調製するために、収穫したNicotiana種の植物を、乾燥工程に供するのが典型的である。種々の型のタバコのための種々の型の乾燥工程の記載は、Tobacco Production, Chemistry and Technology、Davis等(編)(1999)に示されている。フルキュアード種タバコを乾燥するための代表的な技術及び条件は、参照により本明細書に組み込まれている、Nestor等へのBeitrage Tabakforsch.Int.、20、467〜475(2003)及びPeeleへの米国特許第6,895,974号に示されている。タバコを空気乾燥するための代表的な技術及び条件は、参照により本明細書に組み込まれる、Groves等への米国特許第7,650,892号;Roton等へのBeitrage Tabakforsch.Int.、21、305〜320(2005)及びStaaf等のBeitrage Tabakforsch.Int.、21、321〜330(2005)に示されている。特定の型のタバコは、火力乾燥又は日光乾燥などの別の型の乾燥工程に供することができる。好ましくは、乾燥した収穫タバコは次いで熟成される。このように、タバコ組成物又は製品を調製するために使用するタバコは、最も好ましくは乾燥及び熟成されたタバコの成分を組み込む。本発明に使用するタバコ材料は、発酵、漂白などの使用前の追加の加工に供することができる。
【0020】
Nicotiana種の植物の少なくとも一部(例えば、タバコ部分の少なくとも一部)は、未成熟形態で使用され得る。すなわち、植物又はこの植物の少なくとも一部分は、成熟又は完熟と通常考えられる段階に到達する前に収穫され得る。このように、例えば、タバコは、植物の出芽の時点、葉を形成し始める時点、開花し始める時点などで収穫され得る。
【0021】
Nicotiana種の植物の少なくとも一部(例えば、タバコ部分の少なくとも一部)は、成熟形態で使用され得る。すなわち、植物又はその植物の少なくとも一部分は、その植物(又は植物部分)が成熟、過成熟又は完熟していると通常みなされる時点に到達する時に収穫され得る。このように、例えば、通常農場主によって採用されるタバコ収穫技術の使用を経て、Orientalタバコ植物が収穫され得、バーレータバコ植物が収穫され、又はVirginiaタバコ葉が収穫され得るか又は茎まで摘み取られ得る。
【0022】
収穫後、Nicotiana種の植物、又はこれらの一部は、未乾燥形態で使用され得る(例えば、タバコは任意の乾燥プロセスにかけられずに使用され得る)。例えば、未乾燥形態のタバコは、凍結され、照射に曝され、黄色化され、乾燥され、調理され(例えば、焙煎され、揚げられ又は煮沸される)、又は後の使用のために貯蔵又は処理される。このようなタバコはまた、熟成条件に供することもできる。しかしながら、上述のように、本発明に従ってタバコが乾燥及び熟成されることが好ましい。
【0023】
タバコ材料は、覆われかつ乾燥され、そして、それから所望の形態に粉砕されてもよい。例えば、いくつかの例において、タバコ材料配合物は、糖(例えば、フルクトース、グルコース、及びスクロース)、湿潤剤(例えば、グリセリン及びプロピレングリコール)、風味剤成分(例えば、ココア及びカンゾウ)などの成分を含有する水性ケーシングで覆われてもよい。非水性ケーシング成分が、タバコの乾燥重量に基づいて約1%〜約15%の量でタバコに加えられてもよい。
【0024】
タバコ材料は、典型的には粒子状(すなわち、刻み、粉砕、顆粒化又は粉末形態)として記載できる形態で使用される。タバコ材料を微粒子状又は粉末型の形態で提供する様式はさまざまである。好ましくは、植物の部分又は小片は、粉砕、製粉などのための装置及び技術を使用して粒子状形態に細かく粉化、粉砕、又は微粉砕される。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、エアコントロールミルなどの装置を使用する粉砕又は製粉中、比較的乾燥形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その水分含量が約15重量%未満又は約5重量%未満の場合に粉砕又は製粉できる。最も好ましくは、タバコ材料は、約50ミクロン未満の平均粒径を有する部分又は小片の形態で使用する。一実施形態において、タバコ粒子の平均粒径は、約25ミクロン未満又はこれに等しくてよい。いくつかの例において、タバコ粒子はスクリーンメッシュを通過するようなサイズでよい。必要に応じて、所望の大きさ又は大きさの範囲の小さなサイズのタバコ粒子が収集され得ることを確実にするために、空気式分級装置が使用されてもよい。必要に応じて、異なる大きさの小片の顆粒状タバコを一緒に混合できる。
【0025】
タバコ組成物又は製品に使用するタバコ材料の少なくとも一部(例えば、タバコ成分)は抽出物の形態を有することができる。タバコ抽出物は、蒸留水又は水道水などの水性特性を有する溶媒を用いてタバコを抽出することにより得られる。このように、タバコを水で抽出して、水性溶媒並びにその中に溶解及び分散している水溶性かつ分散性タバコ成分から水不溶性パルプ材料を分離することにより、水性タバコ抽出物を提供することができる。タバコ抽出物は、種々の形態で使用できる。例えば、水性タバコ抽出物は、噴霧乾燥もしくは凍結乾燥工程又は他の類似の型の加工ステップを使用した結果として得られるなど、本質的に溶媒を含まない形態で単離できる。あるいは、水性タバコ抽出物は液体形態で使用でき、このため、液体溶媒中のタバコ可溶物の含量が抽出に使用する溶媒量の選択、溶媒除去によるタバコ抽出液の濃縮、タバコ抽出液を希釈するための溶媒添加などにより制御できる。タバコの成分を抽出するための代表的な技術は、その全てが参照により本明細書に組み込まれる、Fioreへの米国特許第4,144,895号;Osborne,Jr.等への同第4,150,677号;Reidへの同第4,267,847号;Wildman等への同第4,289,147号;Brummer等への同第4,351,346号;Brummer等への同第4,359,059号;Mullerへの同第4,506,682号;Keritsisへの同第4,589,428号;Soga等への同第4,605,016号;Poulose等への同第4,716,911号;Niven,Jr.等への同第4,727,889号;Bernasek等への同第4,887,618号;Clapp等への同第4,941,484号;Fagg等への同第4,967,771号;Roberts等への同第4,986,286号;Fagg等への同第5,005,593号;Grubbs等への同第5,018,540号;White等への同第5,060,669号;Faggへの同第5,065,775号;White等への同第5,074,319号;White等への同第5,099,862号;White等への同第5,121,757号;Faggへの同第5,131,414号;Munoz等への同第5,131,415号;Faggへの同第5,148,819号;Kramerの同第5,197,494号;Smith等への同第5,230,354号;Faggへの同第5,234,008号;Smithへの同第5,243,999号;Raymond等への同第5,301,694号;Gonzalez−Parra等への同第5,318,050号;Teagueへの同第5,343,879号;Newtonへの同第5,360,022号;Clapp等への同第5,435,325号;Brinkley等への同第5,445,169号;Lauterbachへの同第6,131,584号;Turpen等への同第6,284,875号;Kierulff等への同第6,298,859号;Mua等への同第6,772,767号;Berit等への同第6,817,970号;Bratcher等への同第6,906,172号;Turpen等への同第7,034,128号;Bratcher等への同第7,048,211号;及びThompsonへの同第7,337,782号に記載されている。
【0026】
無煙タバコ組成物中のタバコ材料の相対量は変化し得る。好ましくは、無煙タバコ組成物中のタバコ材料の量は、組成物の乾燥重量基準で、少なくとも約10%又は少なくとも約20%であり、タバコ成分と結合剤などの任意のタバコ由来成分を含むタバコの全供給源を含む。特定の例において、無煙タバコ組成物中の他の成分の量は、乾燥重量基準で、約40%を超え得る。無煙タバコ組成物中のタバコ材料の典型的範囲は、約20〜約50乾燥重量%である。タバコ材料は、ある実施形態において、本発明に従って、無煙タバコ製品内にそれを組み込む前にその水分含量を制御するため、熱又は対流加熱に供してもよい。特定の例として、タバコ材料配合物は、約40℃〜約95℃の温度に暖められた空気中で所望の水分含量を得るのに適当な長さの時間、オーブン乾燥できる。例えば、タバコ材料配合物は約54℃〜約60℃で約12時間〜約24時間乾燥できる。
【0027】
いくつかの例において、タバコ材料配合物を調製する前に、タバコの部分又は小片を放射線照射に供し、あるいはこれらの部分及び小片を低温殺菌し、あるいは制御された加熱処理に供してもよい。さらに、必要に応じて、タバコ材料配合物の全部又は一部を調製した後、成分材料を放射線照射に供し、又はこれらの成分材料を低温殺菌し、又は制御された加熱処理に供してもよい。例えば、タバコ材料配合物を調製し、続いて放射線照射又は低温殺菌し、次いで香味剤成分(複数可)を配合物に適用できる。代表的な工程は、参照により本明細書に組み込まれる、Mua等への米国特許出願公開第2009/0025738号及びBrinkley等への同第2009/0025739号;並びにBeeson等への同第2011/0247640号に示されている。
【0028】
前述のタバコ成分に加えて、本発明の無煙タバコ製品は、ペクチンを含む結合剤成分を含む。一般に、用語「ペクチン」は、主に1,4結合α−D−ガラクトシルウロン酸残基を含む多糖類の複合体基を指す。典型的に、ペクチンは少なくともこのようなサブユニットを約65%含む。これらの残基上に存在する酸性基は遊離酸、メチルエステルとしての組み合わせ、又は塩の形態(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、又はアンモニウム塩として)で存在し得る。ペクチンの分子量は変動し得る;例えば、平均分子量は、約60Da〜約13,0000Daであり得、由来及び抽出条件に基づいて変化し得る。
【0029】
特定のペクチン多糖類は、ポリガラクツロナン(直鎖状ガラクツロン酸サブユニットを含む)、ラムノガラクツロナンI(RG1、交互にラムノース及びガラクツロン酸サブユニットを含む)、及びラムノガラクツロナンII(RG2、複合体、高度に分岐した多糖類)を含む。ペクチンは、多くの場合、その「毛状(hairy)」と「平滑(smooth)」領域によって特徴づけられる。ペクチンの毛状領域は、非常に柔軟であり、高度に分岐した構造において、ラムノース、ガラクトース、アラビノース、及び/又は他の糖のような多くの中性糖分子を含むことができる分子の一部分である。ペクチンの平滑領域は、主にホモガラクツロン酸を含む分子の一部分である。
【0030】
ペクチンは、多くの植物において、例えば、細胞壁(ペクチンが共に細胞壁の形を保つための結合剤として作用する)において見出される。ペクチンの量と特性は、異なる植物において、大きく変化し得る。さらに、同じ植物内でさえ、植物の異なる組織からのペクチンと異なる発生段階において植物に存在するペクチンは、異なる特性を示し得る。例えば、種々の単糖誘導体ユニットの配置及び量、エステル化の程度、及びヘテロ多糖類のポリマーの長さは大きく変化し得る。
【0031】
与えられたペクチンサンプル中のペクチンの構造及び特性は、抽出方法に依存し得る。例えば、ペクチンの商業的抽出は、多くの場合、多糖の中性糖含有側鎖の大規模な分解を引き起こす。言い換えれば、多くの抽出方法は、ペクチンの多くの毛状領域の破壊をもたらし、主に滑状ガラクツロン酸領域が残り、少数の中性糖ユニットのみが主な直鎖に結合し及び/又は直鎖中に伴う。これらの残存中性糖ユニットは、ペクチン鎖上における性質及び場所がさまざまであり、ペクチンの特性に影響を与え得る。
【0032】
与えられたペクチンのサンプルは、ある程度のペクチン誘導体を含み得る。このようなペクチン誘導体はペクチンサンプル中に自然に発生し得るか、又は一つ以上のペクチン誘導体の形成を促進するため、サンプルが何らかの方法で処理され得る。ペクチン誘導体は、これらに限定されないが、プロトペクチン、ペクチン酸、一つ以上のカルボン酸基がメチル化されたエステル化ペクチン、ペクチン酸塩、及び/又はペクチン酸を含む。エステル化は一般的であり、エステル化の程度は、典型的に、そのペクチンもしくはその誘導体のカルシウム及び他のカチオンとの反応性の程度を決定する。一般的に、抽出されたペクチンは、約50%超のエステル化されたその酸性官能基を有しており、それ故、時には、「高メチルエステル(HM)ペクチン」として分類される。抽出処理の修飾(例えば広範囲の加水分解)又は酸処理の継続は、典型的に、約50%未満のメチルエステル基をもつ「低メチルエステル(LM)ペクチン」を与える。ペクチンは、いくつかの実施形態において、エステル化の程度を変化させるために、ペクチンの抽出及び単離の間及び/又は後に処理され得る。例えば、ある実施形態において、制御されたメトキシ基の除去(すなわち、脱エステル化)がLMペクチンをHMペクチンへ変換するために行われる。この変換は、例えば、ペクチンメチルエステラーゼによって、及び/又は広範囲の加水分解を介して達成され得る。いくつかのペクチンは、アミド化ペクチンを生成するために製造中にアンモニアで処理される。いくつかのペクチンは、部分的又は完全に塩に変換される(例えば、D−ガラクトピラノシルウロン酸残基のカルボキシル基の修飾によって)。
【0033】
本発明によれば、無煙タバコ製品は、タバコ由来のペクチンを有利に含み得る。本明細書において、用語「タバコ由来ペクチン」は、タバコ植物又はその一部から抽出又は単離されたペクチン材料のことを指し、及び、この材料は、ペクチンに関して様々なレベルの純度を有し、したがって、ペクチンに加えてタバコから抽出又は単離された他の成分を含み得る。ペクチンがタバコ材原料から得られる方法は変化し得る。ペクチンは、タバコ植物又はその一部(例えば、葉、種子、花、葉柄、根、及び/又は茎)の任意の部分から得ることが出来る。そのタバコ材料は変化し得るが、ある実施形態において、ペクチンは、タバコ葉身及び/又は茎から得られる。タバコ植物の様々な場所からのペクチンは別々に保たれ、又はタバコ植物内の様々な場所からのペクチンは組み合わされて加工され、及び/又は本発明に係る組み合わせで使用され得る。いくつかの実施形態において、タバコ材料は、そこからペクチンを単離する工程前に乾燥される。
【0034】
有利に、タバコはより使用に適した(例えば、より濃縮された)形で、その中に含まれるペクチンを提供するため処理される。ペクチンは、任意の適切な方法を用いて、タバコ又はタバコ材料から単離し得る。典型的には、一つ以上の抽出過程が、抽出溶媒中にペクチンを最初に単離するために用いられる。例えば、いくつかの実施形態において、タバコ又はタバコ材料は、最初に抽出される(例えば、水又は一つ以上の試薬の水溶液で)。タバコ又はタバコ材料が水と接触したままでいるための水の温度と時間は変化し得る。いくつかの実施形態において、その混合物は加熱される。例えば、約50℃、約75℃、又は約100℃に加熱できる。いくつかの実施形態において、その混合物は撹拌される。その溶液のpHは変化し得るが、ある実施形態において、抽出溶媒は酸性である。
【0035】
様々な試薬が、抽出溶媒に添加できる。いくつかの実施形態において、加工助剤は、抽出を促進するために添加される。加工助剤は、抽出溶媒中のペクチンの抽出を促進する任意の薬剤である。例えば、適切な加工助剤としては、これらに限定されないが、鉱酸及び酵素が挙げられる。選択された加工助剤は、ペクチンの構造に影響を与え得る;例えば、酵素の使用は、典型的には、より短い、分枝したセグメントをもたらす。様々な他の添加物(界面活性剤と共溶媒を含むがこれに限らず)が、抽出工程において使用され得る。ある実施形態において、シュウ酸及び/又はシュウ酸アンモニウム(すなわち、シュウ酸又はその塩)が混合物に添加される。上述したように、タバコが抽出溶媒と接触したままでいるための抽出条件と時間の量は、ペクチンの特性(例えば、エステル化の程度)に影響を与え得る。
【0036】
抽出工程の後、残った固体は典型的には単離され、得られた溶液は清澄化される。溶液からの固体の単離と清澄は、抽出物を得るための本明細書に記載されているような種々の方法(例えば、限外濾過、遠心分離、及び/又は蒸留を含む濾過)を介して達成できる。ある実施形態において、多数の清澄化工程が行われる。いくつかの実施形態において、抽出された混合物は濃縮される。濃縮は、固形物の分離前及び/又は後に行い得るが、通常、固形物を分離した後に行われる。
【0037】
抽出物は、典型的には、抽出物中に存在する他の化合物からさらにペクチンを分離するためさらに処理される。いくつかの実施形態において、ペクチンは清澄された溶液から沈殿させることができる。例えば、ペクチンを沈殿させ得る一つの方法は、これらに限定されないが、アルコール(例えば、エタノール及び/又はイソプロパノール)、タンパク質含有溶液、及び/又は界面活性剤含有溶液を含むペクチンを沈殿させる試薬と濃縮液を混合することである。ペクチンのサンプルが、一つ以上のペクチン誘導体に全体的又は部分的に変換される場合、その誘導体は、任意の試薬を添加することなしに清澄化溶液から容易に析出させてもよいし、ペクチン並びに所与の試料中に存在し得る様々なペクチン誘導体の沈殿を確実にするために一つ以上の試薬の添加を必要としてもよい。沈殿は下げられた温度で行ってもよい。例えば、混合物は、ペクチンの沈殿を促進するため、およそ0℃(例えば、約5℃)に冷却できる。得られた固体沈殿物は、次いで溶液から分離される(例えば、濾過又は遠心分離によって)。その沈殿物は、次いで、通常洗浄され、乾燥される。
【0038】
タバコ由来ペクチンの純度は変化し得るが、比較的高いものが好ましい。本明細書で意図されるような純度は、上述したようにペクチンとペクチン誘導体の両方の含量を指す。例えば、タバコ由来ペクチンサンプルは、典型的には、少なくとも純度約50%、少なくとも純度約60%、少なくとも純度約70%、少なくとも純度約80%、少なくとも純度約85%、少なくとも純度約90%、少なくとも純度約95%、少なくとも純度約98%、又は少なくとも純度約99%である。ある実施形態において、ペクチンは、約20%未満の非タバコ由来材料、約15%未満の非タバコ由来材料、約10%未満の非タバコ由来材料、約5%未満の非タバコ由来材料、約2%未満の非タバコ由来の材料、約1%未満非タバコ由来材料、又は約0.5%未満の非タバコ由来の材料を含む。
【0039】
ある実施形態において、様々な薬剤が、ペクチンを修飾するため、抽出及び/又は単離工程における特定の段階にて添加し得る。上述したように、本発明は、タバコ由来の純粋なペクチンの単離と使用だけではなく、それから天然に又は合成的に製造されるペクチン誘導体も意図している。例えば、上述したペクチン含有沈殿物は、ペクチンの全部又は一部を塩の形に変換するために、塩含有又はアルカリ含有溶剤で洗われ得る。いくつかの実施形態において、沈殿物はある程度アミド化されたペクチンを生成するためにアンモニアで処理される。
【0040】
タバコ又はタバコ材料からペクチンを抽出するための他の方法は、本発明に従って利用できる。例えば、Zhao等は、参照により本明細書に組み込まれる、Modern Agric.Sci.Tech.,2010−01において、タバコの茎からペクチンを抽出する方法について報告している。Rao等は、参照により本明細書に組み込まれる、Guangzhou Chem.,2009−01において、他の抽出方法を強調している。ペクチン抽出のための他の方法は、例えば、すべて参照により本明細書に組み入れられる、HindとSeligmanへの米国特許第3,353,541号及び第3,420,241号;Deszyckへの同第3,760,815号、及びKeritsis等への同第4,674,519号、そして、Dubeへの米国特許出願公開第2011/0061666号で見出される。ある実施形態において、ペクチンは、2011年3月25日に提出された、参照により本明細書に組み込まれるMorton等への米国特許出願番号第13/072,019号によって教示されるように抽出され、そこでペクチンは、乾燥植物果肉成分を抽出緩衝液(例えば、約10%の酢酸及び約10mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の溶液)と接触させるペクチン抽出装置によって抽出され、そして、単離された抽出物は、エタノールの添加により沈殿させられる。いくつかの実施形態において、微細なタバコ粉末は、ペクチンを放出するため、アルカリ性pHに調整された溶液中で周囲の環境に対して高温で調理され、その後、本発明に従って、分離され及び/又は使用され得る。このような処理はまた、タバコ材料に、所望の官能属性を提供し得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Young等への米国特許第5,099,864号;Young等への同第5,339,838号;そして、Young等への同第5,501,237号を参照されたい。
【0041】
いくつかの実施形態において、タバコ又はタバコ材料(例えば、タバコの細切り、小片、粉末、又は微粉)は、ペクチンの放出を引き起こすために抽出前に処理される。参照により本明細書に組み込まれる、Desczykへの米国特許第3,746,012号によって教示されているように、タバコ中のペクチンは、多くの場合、部分的にエステル化及びアセチル化されたガラクツロン酸ポリマーのカルシウム塩及びマグネシウム塩を含むプロトペクチンを含む。したがって、このような材料をアルカリ金属炭酸塩などの試薬、キレート剤(例えば、EDTA)、又は酸(例えば、塩酸、リン酸)で処理して、プロトペクチンの架橋を破壊しタバコペクチンを放出させることが望ましい。他のペクチン放出剤もまた、本発明の方法の中に包含される。例えば、リン酸水素二アンモニウム(DAP)は、少量で有効であることが指摘されており、一般的に、顕著な形ではペクチンに影響を及ぼさない。
【0042】
タバコ又はタバコ材料由来、及び、無煙タバコ製品で使用されるペクチンの形態は変化し得る。いくつかの実施形態において、タバコ由来ペクチンは、抽出工程によって生産された乾燥固体形態で直接使用される。他の実施形態において、乾燥固体は、様々なサイズの粉末又は顆粒に細かく挽かれる。ペクチン成分は、粉末又は顆粒状の形態で提供される場合、典型的には、平均粒径が約50ミクロン未満を有する部分又は断片の形態で使用される。いくつかの態様によると、ペクチン成分の平均粒径は約25ミクロン未満である。いくつかの実施形態において、ペクチンは、溶液中で使用される。ある実施形態において、ペクチン成分は、本発明の無煙タバコ製品を構成するため、残りの成分と組み合わされる前に無煙タバコ製品の一つ以上の他の成分と混合される。
【0043】
タバコ由来ペクチンは、本発明の無煙タバコ製品に様々な機能を提供できる。ペクチンは、通常、ゲル化剤として使用され、それ故、無煙タバコ製品で増粘化、結合化、及び/又は安定化機能を発揮し得る。例えば、タバコ由来ペクチンは、結合剤として作用し得る。結合剤は、一般的に材料の形態及び/又は構造の維持を助けるために作用する。いくつかの実施形態において、結合剤はタバコ含有製品の形成を所望の形に促進することを助け得る。いくつかの実施形態において、結合剤は形成された生成物に一定のレベルの構造的一体性を提供し得る。タバコ由来ペクチンは、一つ以上の他の結合剤に加えて添加してもよいし、又は単独の結合剤として使用してもよい。いくつかの実施形態において、タバコ由来ペクチンは、特定の再構成タバコ組成物用の結合剤として有用である。
【0044】
様々なタバコ組成物がペクチン(タバコ由来ペクチンを含む)を組み込んでいることは本明細書にて取り上げられている。例えば、ペクチンは、参照により本明細書に組み込まれる、Banerjee等への米国特許第5,105,831号で述べられているように、導電性のエアロゾル室を有する喫煙物品の燃料要素用絶縁材料内に結合剤として組み込まれている。様々なペクチン含有再構成タバコ材料が開発されており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Hindへの米国特許第3,386,449号;Hind等への同第3,420,241号;Hind等への同第3,529,602号、Hind等への同第3,353,541号;Deszyckへの同第3,760,815号;Keritsisへの同第4,674,519号;Young等への同第5,099,864号、同第5,339,838号及び同第5,501,237号に述べられている。ペクチンはまた、食物繊維の供給源として使用され得る。
【0045】
ある実施形態において、本明細書で提供されるタバコ由来ペクチンは、無煙タバコ製品中の意図した結合剤機能を果たすのに充分である。例えば、タバコ由来ペクチンは凝集性タバコ組成物を充分提供でき、またそれが好ましい。例えば、タバコ由来ペクチンは、使用時に無煙タバコ製品の形を保つように機能できる。ある実施形態において、タバコ由来ペクチンは、固体煙草組成物にある程度の構造的一体性を提供する。フィルムベースの無煙タバコ組成物においては、タバコ由来ペクチンは、ある程度のフィルム形成能又はコントロールを提供できる。しかしながら、ある実施形態において、1種以上の追加の結合剤(例えば、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の変性セルロース型の結合剤、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、デンプン系結合剤、アラビアガム、ジェランガム、レシチンなど)が、本発明に従って、所望の製品特性を得るため添加できる。天然のタバコのペクチンを使用することで、所望のシート又はフィルム抗張力の特質を助けるため必要とされる追加のガム/親水コロイド、セルロース由来、又はデンプンベースの結合剤の量を減らすことができる。
【0046】
タバコ由来ペクチン結合剤(又は結合剤の組み合わせ)は、無煙タバコ組成物に所望の物理的属性及び物理的一体性を提供するため充分な量使用されてよい。例えば、無煙タバコ組成物は、無煙タバコ組成物又は製品の総乾燥重量に基づいて、約1%超、約2%超、約3%超、約4%超、約5%超、約6%超、約7%超、約8%超、約9%超、又は約10%超のタバコ由来ペクチンを含む。結合剤の代表的な量は、無煙タバコ製品の全乾燥重量で約1%〜約25%のタバコ由来ペクチン、又は、無煙タバコ製品の全乾燥重量で約2%〜約20%のタバコ由来ペクチン、又は無煙タバコ製品の全乾燥重量で約3%〜約10%のタバコ由来ペクチンであってよい。好ましくは、組成物中の結合剤の総量は、組成物の全乾燥重量の約45%を超えないであろう。多くの場合、所望の組成物中の結合剤の量は、組成物の全乾燥重量の約40%を超えず、しばしば、約35%、約25%、約15%、又は約10%を超えないであろう。無煙タバコ製品は、例えば、タバコ由来ペクチンを重量で約1%、重量で約2%、重量で約3%、重量で約4%、重量で約5%、重量で約6%を、重量で約7%、重量で約8%、重量で約9%、又は重量で約10%含む。
【0047】
ある実施形態において、本発明の無煙タバコ製品に用いられる場合、一つ以上の追加の結合剤は、天然ガムを含む。本明細書で使用されるように、天然ガムは増粘剤又はゲル化剤として有用な天然由来の多糖材料を指す。典型的にある程度まで水溶性である植物由来の代表的な天然ガムは、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガティガム(ghatti gum)、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びこれらの組み合わせを含む。
【0048】
タバコ由来ペクチンの使用により、より高い度合いでタバコ由来の成分を有する無煙タバコ製品を産することができる。無煙タバコ製品中で従来の結合剤をタバコ由来ペクチンで置換すること及び/又は従来の結合剤にタバコ由来ペクチンを補充をすることで、いくつかの実施形態において、様々な特性をもつ無煙タバコ製品を提供でき、それらのうちのいくつかは従来の結合剤を用いた無煙タバコ製品よりも改善される。例えば、いくつかの実施形態において、タバコ由来ペクチンを用いた無煙タバコ製品は、従来の結合剤を用いた無煙タバコ製品を超えた、強化された剛性を示した。強化された剛性は、いくつかの実施形態において、数値化できる。しかしながら、いくつかの実施形態において、その強化された剛性は単に製品の感触によって(例えば、その商品を曲げる/撓むことを試みることによって)評価される。いくつかの実施形態において、タバコ由来ペクチンを用いた無煙タバコ製品は、従来の結合剤を用いた無煙タバコ製品と比較して低下した粘着性を示した。粘着性の低下は、いくつかの実施形態において数値化できる。いくつかの実施形態において、粘着性の低下は単に製品の感触によって評価される。ある特定の実施形態において、タバコ由来ペクチンを含む無煙タバコ製品は結合剤として、市販のプルラン結合剤よりも強化された剛性及び/又は低下した粘着性を示した。プルラン及びプルランを組み込んだ喫煙可能な製品は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Borsches等への米国特許出願公開第2007/0137668号においてより詳細が検討されている。
【0049】
タバコ材料及びタバコ由来ペクチン結合剤は、単に従来の混合装置を用いて2つの成分を混合することによってなど、当技術分野で公知の任意の方法で組み合わせることができる。タバコ材料及びタバコ由来ペクチン成分はまた、他の材料又は成分と共に処理され、ブレンドされ、配合され、結合され、混合されることができる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Holton等への米国特許公開第2007/0062549号及び同第2007/0186941号に記載される、これらの代表的構成成分、構成成分の組み合わせ、これらの構成成分及び成分のタバコに対する相対的量、並びにこれらの構成成分を使用するための様式及び方法を参照されたい。
【0050】
添加剤は人工的であっても、草本もしくは生物学的供給源から得ても又はこれに由来してもよい。成分の代表的な型には、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、天然甘味剤(例えば、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、バニリン、エチルバニリングルコシド、マンノース、ガラクトース、ラクトースなど)、人工甘味剤(例えば、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなど)、有機及び無機充填剤(例えば、穀物、加工穀物、膨化穀物、デキストロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ラクトース、イソマルト、マンニトール、キシリトール、又はソルビトールなどの糖アルコール、微粉砕セルロース、植物タンパク質など)、ゲル化剤(例えば、フィッシュゼラチン)、pH調整剤又は緩衝剤(例えば、金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、及び金属炭酸塩などの他のアルカリ金属緩衝剤、好ましくは、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、又は重炭酸ナトリウムなどの金属重炭酸塩など)、乳化剤、着色剤(例えば、カラメル色素、二酸化チタンなどを含む染料及び顔料)、湿潤剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコールなど)、オーラルケア添加剤(例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛)、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、シロップ(例えば、ハチミツ、高フルクトースコーンシロップなど)、崩壊補助剤又は圧縮性補助剤(例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グルコール酸ナトリウムデンプン、前処理ゼラチン化コーンスターチなど)、香味剤及び香味剤混合物、抗酸化剤、並びにこれらの混合物が含まれる。添加剤の代表的な型には、例えば、前に参照により本明細書に組み込まれる、Gao等への米国特許出願公開第2010/0291245号に記載されているものが含まれ得る。
【0051】
本発明の無煙タバコ製品の甘味剤は、天然もしくは人工形態で、又は人工及び天然甘味剤の組み合わせとして任意の甘味剤となり得る。一実施形態において、糖(すなわち、スクロース)は主要な甘味剤成分である。他の実施形態において、スクラロース、マルトデキストリン、又はコーンシロップは、主要な甘味剤成分である。ある実施形態において、スクロース及びコーンシロップの両方は、無煙タバコ製品に使用される。他の代表的な甘味料は、糖アルコールである。糖アルコールは、部分的もしくは完全に水素化された形態を有する単糖又は二糖に由来するポリオールである。代表的な糖アルコールは、約4個〜約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びこれらの組み合わせ(例えば、水素化デンプン加水分解産物)が含まれる。存在する場合、甘味剤の代表的な量は、人工甘味剤及び/又は天然糖であろうと、組成物の総乾燥重量の少なくとも約5%、多くの場合少なくとも約10%、しばしば少なくとも約15%を構成し得る。好ましくは、組成物中の甘味剤の量は、組成物の総乾燥重量の約40%を超えず、多くの場合約35%を超えず、及びしばしば約30%を超えない。
【0052】
ある実施形態において、シロップは無煙タバコ組成物に咀嚼性及び遅い可溶化をもたらす、又は所望の香味属性をもたらすのに充分な量使用できる。存在する場合、シロップ(例えば、コーンシロップ)の代表的な量は、組成物の総乾燥重量の少なくとも約5%、多くの場合少なくとも約10%、及びしばしば少なくとも約20%を構成し得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、本開示の無煙タバコ組成物はまた、少なくとも1つの充填剤成分を含む。いくつかの実施形態において、糖アルコールは、いくらかの甘味に寄与し、最終製品の所望の咀嚼特性を破壊しないので、本開示の特定の製品において充填剤成分として特に有利である。いくつかの実施形態において、溶ける充填剤が使用される。溶ける充填剤は、典型的には、砂糖、コーンシロップ、及び水を含む。ある代表的な溶ける充填剤組成物は、糖、コーンシロップ、水、卵白、アルギン、クエン酸、バニリン、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸カリウムから成る。
【0054】
充填剤成分は、通常、肌理及び食感などの特定の感覚受容特性を強化する、製品の凝集性又は圧縮性を強化するなどの複数の機能を満たす。存在する場合、充填剤の代表的な量は、有機及び/又は無機充填剤であろうと、組成物の総乾燥重量基準で、少なくとも約1%、少なくとも約2%、又は少なくとも約5%を構成し得る。好ましくは、組成物中の充填剤の量は、組成物の総乾燥重量の約50%を超えず、多くの場合約40%を超えず、及びしばしば約30%を超えないであろう。ある実施形態において、充填剤成分は、米デンプン又は米粉又はそれらの組み合わせなどの一つ以上のイネ由来の充填剤を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、一つ以上の脂肪が添加される。脂肪は、例えば、加工助剤として、及び/又は無煙タバコ製品の外観を最適化するよう機能し得る。例えば、部分水素化大豆油などの事前溶融した脂肪を成分に含めることができる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「香味剤(flavorant又はflavoring agent)」は、無煙タバコ組成物に関連する感覚属性を変えることができる任意の風味豊かな又は芳香性の物質である。香味剤により修飾できる代表的な感覚属性には、味覚、食感、湿り気、涼感/熱感、及び/又は芳香/香気が含まれる。香味剤は、天然でも合成でもよく、これらの香味の特性は、それだけに限らないが、爽やか、甘い、草本、菓子類、花、果物又は香辛料として記載できる。具体的な型の香味には、それだけに限らないが、バニラ、コーヒー、チョコレート、クリーム、ミント(例えば、ハッカ油)、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、ハチミツ、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、カンゾウ、レモン、オレンジ、リンゴ、モモ、ライム、サクランボ及びイチゴが含まれる。本開示に利用する香味剤はまた、ユーカリなどの湿潤剤、冷却剤又は平滑剤とみなされる成分を含むことができる。これらの香味は、ニート(すなわち、単独)又は複合物(例えば、スペアミント及びメントール、又はオレンジ及びシナモン)で提供できる。いくつかの例において、香味剤は噴霧乾燥形態又は液体形態で提供できる。香味剤は、典型的には約0.5〜約10乾燥重量%、多くの場合約1〜約6乾燥重量%、及び最も多くの場合約2〜約5乾燥重量%の量で存在する。
【0057】
塩(例えば、塩化ナトリウム、粉塩)は、無煙タバコ組成物に所望の感覚属性を提供するのに充分な量使用できる。存在する場合、塩の代表的な量は、少なくとも約0.5乾燥重量%又は少なくとも約1.0乾燥重量%又は少なくとも約1.5乾燥重量%であるが、典型的には組成物の総乾燥重量の約5%未満(例えば、約0.5〜約4乾燥重量%)を構成する。
【0058】
湿潤剤(例えば、グリセリン)は、無煙タバコ組成物に所望の水分属性を提供するのに充分な量使用できる。さらに、いくつかの例において、湿潤剤は、デンプン型に堆積させるために無煙タバコ組成物に所望の流動特性を与えることができる。存在する場合、湿潤剤の代表的な量は、少なくとも約0.5乾燥重量%又は少なくとも約1.0乾燥重量%又は少なくとも約1.5乾燥重量%であるが、典型的には組成物の総乾燥重量の約5%未満(例えば、約0.5〜約4乾燥重量%)を構成する。
【0059】
好ましい緩衝剤は、約6〜約10のpH範囲内で緩衝し、代表的な緩衝剤には金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又はこれらの混合物が含まれる。緩衝剤は、典型的には配合物の乾燥重量基準で約1%未満の量で存在する。
【0060】
このような添加剤は、タバコ材料配合物と混合するために粉末もしくは顆粒形態で提供でき、又は液体形態で提供できる。最も好ましくは、添加剤は、粉末又は顆粒形態で提供される場合、約50ミクロン未満の平均粒径を有する部分又は小片の形態で使用される。いくつかの態様によると、添加剤の平均粒径は約25ミクロン以下であり得る。粉末又は顆粒形態で提供される添加剤の水分含量は変化し得る。最も好ましくは、粉末又は顆粒形態で提供される添加剤の水分含量は、約10重量%未満であり、約5重量%未満であり得、及び多くの場合約2.5重量%未満である。添加剤は、任意の液体添加剤を添加する前に例えばパドルを有するホバートミキサー中で、任意の成分又はタバコ材料と混合できる。液体添加剤を提供する場合、結果として生じる混合物は、約10重量%未満の比較的低い水分含量をまだ有することができ、約5重量%未満であり得、及び多くの場合約2.5重量%未満である。無煙タバコ製品中の種々の添加剤成分の相対量は変化し得る。
【0061】
上記の添加剤の型は、一緒に(例えば、添加剤配合物として)又は別々に(例えば、個々の添加剤成分は最終タバコ製品の調製に関与する異なる段階で添加できる)使用できる。無煙タバコ配合物中の種々の成分の相対量は変化し得、典型的にはタバコ製品に所望の感覚及び性能特性を提供するよう選択される。さらに、上記の添加剤の型は、最終製品又は組成物中に提供される際にカプセル化されてもよい。代表的なカプセル化添加剤は、例えば、前に参照により本明細書に組み込まれる、Atchleyへの国際公開第2010/132444A2号に記載されている。
【0062】
本開示の無煙タバコ組成物のための上記の添加剤のクラスのいずれもが、タバコ植物の少なくとも一部(例えば、葉、種子、花、柄、根又は茎)を分離工程に供することにより得られ、この工程は典型的にはタバコ材料の所望の成分を単離するために複数連続抽出ステップを含んでよい。代表的な分離工程には、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶、溶媒−溶媒分配、冷間圧縮、溶媒抽出(例えば、水、アルコールなどの溶媒又はヘプタンもしくはヘキサンなどの炭化水素を使用する)、又はこれらの組み合わせが含まれる。得られた単離タバコ成分は、本開示の組成物に使用する前に化学的に変換できる。代表的な化学変換には、水素化、エステル化、エステル交換、異性体転換、アセタール形成、アセタール分解、酸/塩基反応、加水分解、熱処理、酵素処理、及びこれらのステップの組み合わせが含まれる。本開示の組成物に使用するためのタバコ単離物を調製するための技術は、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Coleman,III等への米国特許出願公開第2011/0174323号、及び2010年4月21日出願のColeman,III等への米国特許出願第12/764,613号に示されている。タバコ単離物中に存在できる型の化合物の例としては、炭化水素、セルロース、アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミノ酸、エステル、ラクトン、無水物、炭水化物(例えば、還元糖)、フェノール、キノン、エーテル、ニトリル、アミン、アミド、イミド、プラスチド色素、タンパク質、補酵素Q、ペクチン、デンプン、リグニン及び脂質が挙げられる。追加の例は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Lipowiczへの国際公開第2007/012980号に天然タール希釈物として記載されている。タバコ単離物から調製される無煙タバコ添加剤の型又は機能は、単離物の組成に応じて変化し得るが、これは、一部は使用する抽出方法、含まれるタバコ植物の部分、利用する化学変換の型などに基づいて変化し得る。特定のタバコ単離物は、本開示の無煙タバコ組成物に糖、充填剤、結合剤、崩壊もしくは圧縮助剤、又は香味剤を提供できる。
【0063】
代表的な無煙タバコ組成物は、無煙タバコ組成物の総乾燥重量に基づいて約30〜40重量%、の量でタバコ、及び、約4重量%の量で本明細書に記載されているようにタバコ由来ペクチンを組み込むことができる。例えば、一実施形態において、無煙タバコ組成物は、無煙タバコ組成物の総乾燥重量に基づいて、約36重量%の粉砕されたタバコ、約4重量%のタバコ由来ペクチン、約14重量%の米デンプン、約6重量%の米粉、約7重量%のマルチトール粉末、及び約3重量%の香味剤を含み、残部は1種以上の着色剤、甘味剤、充填剤、結合剤、pH調整剤、及び塩を含む。例えば、残部は、一実施形態において、二酸化チタン、キシリトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、マルトデキストリン、キサンタンガム、水酸化ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含み得る。成分の特定のパーセンテージ及び選択は、所望の香味、肌理、及び他の特性により変化するであろう。
【0064】
無煙タバコ組成物の種々の成分を組み合わせる様式は変化し得る。無煙タバコ組成物の種々の成分は、ホバートミキサーなどの円錐型ブレンダー、混合ドラム、リボンブレンダーなどの中で接触させ、組み合わせ、又は混合できる。このように、粉末化タバコ成分と種々の成分の全体的な混合物は、性質が比較的均一であり得る。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Solomon等への米国特許第4,148,325号;Korte等への同第6,510,855号;及びWilliamsへの同第6,834,654号に示されている型の方法論も参照されたい。
【0065】
無煙タバコ製品は、任意の適当な所定の形状又は形態で提供できる。例えば、いくつかの実施形態において、無煙タバコ製品は丸剤、ペレット、錠剤、硬貨、ビーズ、卵形、横長形、立方体、フィルム、フレーク、スティック、フォーム、ゲルなどの一般的な形状を有する形態で提供される。いくつかの実施形態において、形状はその製品が形成される鋳型の形状によって決定される。個々の組成物は、それらがユーザの口内に完全にフィットする、又はそれらが部分的にのみ口内でフィットするような大きさにできる。従って、好ましい寸法は変えることができる。
【0066】
例えば、ロッド及び立方体などの形状は、最初に材料を所望の横断面(例えば、円形又は正方形)を有するダイを通して押出成形し、次いで、任意選択により押出成形した材料を所望の長さに切断することにより形成できる。タバコ材料を押出成形するための技術及び装置は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Wursburgへの米国特許第3,098,492号;Tamol等への同第4,874,000号;Graves等への同第4,880,018号;Keritsis等への同第4,989,620号;Luke等への同第5,072,744号;White等への同第5,829,453号;及びWhite等への同第6,182,670号に示されている。使用に適した代表的な押出成形装置には、食品もしくはガム押出成形機、又はイタリアのEmiliomiti,LLCから市販されているModel TP200/300などの工業用パスタ押出成形機が含まれる。いくつかの例において、例えば、Buss AGから市販されている混練機システムなどの単一の機械が本明細書に記載する方法の複数ステップを達成できる。
【0067】
無煙タバコ製品は、乾燥又は湿らせて最終的な所望の水分レベルに到達させることができる。消費者が使用する前の無煙タバコ製品の水分含量は変化し得る。典型的には、使用者の口の中に挿入する前の製品の一単位中に存在する無煙タバコ製品の水分含量は、製品単位の総重量基準で約5〜約20重量%、多くの場合約8〜約15重量%、より多くの場合約10〜約13重量%の範囲内にあるが、無煙タバコ製品の具体的な形に依存して変化し得る。
【0068】
通常pHの点で特徴づけられる、無煙タバコ製品の酸度又はアルカリ度は変化し得る。典型的には、この配合物のpHは少なくとも約6.5、及び好ましくは少なくとも約7.5である。典型的には、この配合物のpHは約9.5を超えず、及び多くの場合約9.0を超えない。代表的なタバコ配合物は、約6.8〜約8.8(例えば、約7.4〜約8.2)のpHを示す。無煙タバコ配合物のpHを測定するための代表的な技術は、この配合物5gを高速液体クロマトグラフィー水100mlに分散させ、得られた懸濁液/溶液のpHを測定する(例えば、pHメーターで)ことを含む。
【0069】
本発明の組成物は、溶解できる。本明細書で使用する場合、用語「溶融する」、「溶融すること」及び「溶融可能な」とは、口腔内の水分と相互作用して溶液に入り込み、それによって製品の段階的な消費を引き起こす水溶性成分を有する組成物を指す。一態様によると、溶融可能な無煙タバコ製品は、これが完全に溶解するまで、使用者の口内に一定時間間持続可能である。本無煙タバコ製品の溶解速度は、約1分未満〜約60分の広い範囲で変化し得る。例えば、迅速放出組成物は、典型的に約2分未満、多くの場合1分未満(例えば、約50秒未満、約40秒未満、約30秒未満、又は20秒未満)で活性成分を溶解及び/又は放出する。溶解は、溶融、機械的破壊(例えば、咀嚼)、酵素的又は他の化学的分解、又は製品の成分間の相互作用の破壊などによる任意の手段によって発生し得る。いくつかの実施形態において、製品は、例えば、2010年8月11日に出願されたCantrell等への米国特許出願第12/854,342号で述べられているように、溶融可能であり得る。他の実施形態において、組成物は、使用者の口内で無煙タバコ製品がとどまっている間溶解しない。
【0070】
いくつかの実施形態によると、無煙タバコ組成物は、コーティング物質でコーティングできる。例えば、艶出し又は抗粘着コーティング物質、例えば、CAPOL410(Centerchem,Inc.から市販されている)などを無煙タバコ組成物に施して、自由流動特性を与えることができる。外側コーティングはまた、本開示の無煙タバコ製品の貯蔵安定性を改善する、並びに破砕性及び散粉を減少させることにより包装工程を改善するのに役立ち得る。外側コーティング層を本開示の製品に提供するための装置には、パンコーティング装置及び噴霧コーティング装置が含まれ、Thomas EngineeringからCompuLab 24、CompuLab 36、Accela−Cota 48及びAccela−Cota 60として市販されているコーティング装置が特に含まれる。
【0071】
代表的な外側コーティングは、セルロースポリマーなどのフィルム形成ポリマー、任意の可塑剤、及び任意の香味剤、着色剤、塩、甘味剤又は本明細書に示す型の他の添加剤を含む。コーティング組成物は、通常自然状態で水性であり、パンコーティングなどの当技術分野で既知の任意のペレット又は錠剤コーティング技術を使用して施すことができる。代表的なフィルム形成ポリマーには、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマーが含まれる。代表的な可塑剤には、モノステアリン酸グリセリン及びクエン酸トリエチルの水性溶液又は乳濁液が含まれる。代表的なコーティング組成物及び適用方法は、参照により本明細書に組み込まれる、2010年9月7日に出願されたHunt等への米国特許出願第12/876,785号に記載されている。
【0072】
前記記載は各製品単位の全体に渡って均一な組成物に焦点を当てているが、同じ製品単位中に異なる特性を有する複数の異なる配合物を含む製品を形成することもできる。例えば、2種の異なる組成物を、その横断面中に異なる特性を有する製品を形成するために共押出できるだろう。このような方法を使用して、製品の第一の部分は第一の速度(例えば、より速い速度)で溶融し、かつ第二の部分は第二の、より遅い速度で溶融するように異なる溶融速度を特徴とする2種の異なる組成物を含む製品を提供できるだろう。
【0073】
いくつかの態様によると、無煙タバコ組成物のタバコ成分を、例えば、茶微粒子、コーヒー微粒子、ハーブ微粒子、香辛料微粒子、及び/又はこれらの組み合わせなどの他の適当な植物成分に置換する又は補うことができる。微粒子は、典型的には、粉末形態で提供でき、これは適当な植物の供給源から抽出できる。
【0074】
本開示の製品は、任意の適当な包装で、梱包し貯蔵できる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Henson等への米国特許第7,014,039号;Kutsch等の同第7,537,110号;Kutsch等への同第7,584,843号;ThiellierへのD592,956号及びPatel等へのD594,154号;Robinson等の米国特許出願公開第2008/0173317号;Clark等への同第2009/0014343号;Bjorkholmへの同第2009/0014450号;Bellamah等への同第2009/0250360号;Gelardi等への同第2009/0266837号;Gelardiへの同第2009/0223989号;Thiellierへの同第2009/0230003号;Gelardiへの同第2010/0084424号;及びBailey等への同第2010/0133140号;並びにBailey等への2009年8月20日提出の米国特許出願第29/342,212号;Bailey等への2009年4月16日提出の同第12/425,180号;Bailey等への2010年1月12日提出の同第12/685,819号;及びGelardi等への2010年6月11日提出の同第12/814,015号に示されている無煙型製品用の種々の型の容器を参照されたい。
【0075】
試験
本開示に関連するさらなる態様を説明するために以下の実施例を提供するが、これらは本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。特記しない限り、全ての部及び割合は、乾燥重量による。
【0076】
約800ポンドの空気乾燥バーレー種タバコ(葉身及び茎)を、次の通り、ペクチン成分を抽出し乾燥するため処理する。約14,400ポンドの井戸水を約80ポンドのシュウ酸と約80ポンドのシュウ酸アンモニウムに添加する。溶液を形成させるため、シュウ酸とシュウ酸アンモニウムが溶解するまで、得られた結果物を撹拌する。タバコをその溶液に加え、得られた混合物を約95〜98℃で約90分間加熱する。このタバコを、濾過により混合物から除去する(追加的又は代替的に遠心分離を用いることができる)。所望のレベルの清澄度に達し次第すぐに、得られた液体を回収する。所望のレベルの清澄度に達するまで、濾過/遠心分離の工程は二回以上繰り返す必要がある。生成物が約9〜11%の固体を含むまでこの液体を真空下で濃縮する。
【0077】
濃縮された材料に濃縮物重量の1.2倍量のエタノールを加え、濃縮物を希釈する。希釈濃縮液を、約5〜7℃に冷却する。希釈濃縮液を遠心分離し、形成された固体物質を単離する。固体物質を、水中50%のエタノール(v/v)、次いで100%エタノールですすぎ、すすいだ固体を遠心分離によって単離する。組み合わされた固形物を完全真空下で、乾燥機の被覆中55℃の温水を循環させながらトレー乾燥機中で乾燥する。最短で6時間後、そのサンプルを取り出し、重量で5%未満の水分を含むことを確認するために検査をする。サンプルがこの要件を満たしていない場合、さらに単離ペクチン生成物を得るため乾燥する。タバコ材料の原料800グラムを元に、ペクチン生成物30グラムを暗褐色の粉末の形態で単離した。
【0078】
この暗褐色の粉末は、タバコブレンド及びプルラン結合剤を典型的に含む溶解可能な無煙タバコ配合物において使用される。プルラン結合剤の代わりに、上記のように単離した暗褐色粉末が使用される。無煙タバコ配合物は、無煙タバコ組成物の総乾燥重量に基づいて、約36重量%の粉砕されたタバコ、約4重量%の暗褐色粉末(ペクチン成分)、約14重量%の米デンプン、約6重量%の米粉、約7重量%のマルチトール粉末、及び約3重量%の香料化合物を含む。この配合物はまた、二酸化チタン、キシリトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、マルトデキストリン、キサンタンガム、水酸化ナトリウム、及び塩化ナトリウムを少量含む。
【0079】
得られた無煙タバコ製品を、非公式の官能評価により評価した。評価では、対照製品と比べ、実験終了製品について、口当たり、色、又はその他の視覚的特性に関する一切の識別可能な差を認めなかった。工程中に対照材料と比較した時、タバコ由来ペクチンを含む試作製品は、スティックの粘着性の減少と剛性の向上を示す。これらの特性の両方が、この型の配合物の有益な特性と見なされる。
【0080】
前記説明中に示される教示の利点を有する、本発明の多くの修正及び他の実施形態について、本発明が属する技術分野の当業者は思い至るだろう。そのため、本発明を、開示する特定の実施形態に限定すべきでないこと、並びに修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図していることを理解すべきである。本明細書で特定の用語を使用しているが、これらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用しているものであり、限定を目的としたものではない。