特許第6324928号(P6324928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324928
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】複数のセンサに係わる処理
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/73 20060101AFI20180507BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   H04M1/73
   H04M1/00 R
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-143280(P2015-143280)
(22)【出願日】2015年7月17日
(62)【分割の表示】特願2013-543396(P2013-543396)の分割
【原出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-1886(P2016-1886A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2015年8月17日
【審判番号】不服2017-5623(P2017-5623/J1)
【審判請求日】2017年4月19日
(31)【優先権主張番号】12/965,695
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】コースロ・エム.・ラビー
【合議体】
【審判長】 大塚 良平
【審判官】 山中 実
【審判官】 吉田 隆之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−61929(JP,A)
【文献】 特開2005−64562(JP,A)
【文献】 特開2006−203953(JP,A)
【文献】 特開平11−83529(JP,A)
【文献】 特開2000−98018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/73 , H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動モードで作動すると第一の電力消費水準を示す第一のセンサと、ここで前記第一のセンサが休眠モードをさらに有しており、
前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す第二のセンサと、ここで前記第二のセンサは前記第一のセンサの前記活動モードでの作動に応じて停止され、
前記活動モードから前記休眠モードに前記第一のセンサを移行させるかどうかを決定するように構成された回路と、ここで前記第一のセンサはビデオカメラの一部であり、前記第二のセンサは反響定位装置の一部であり、前記反響定位装置は超音波信号を生成し、前記反響定位装置は前記超音波信号の戻りを検出し、前記回路は前記第一のセンサの前記活動モードから前記休眠モードへの移行に基づいて前記第二のセンサを起動させるようにさらに構成される、
を備る装置。
【請求項2】
前記回路は、前記第二のセンサの振動の検出に応じて前記休眠モードから前記活動モードに移行するように前記第一のセンサに命令するようにさらに構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記振動は、ハンドジェスチャの検出に関連している請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記振動は、物体の動きに関連している請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ビデオカメラは、前記反響定位装置よりも高い前記物体の動きの分析検出を提供する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記反響定位装置が複数の指向性マイクロフォンを含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第一のセンサが全地球測位システム(GPS)センサをさらに含み、前記第二のセンサが動き検出器を含み、振動が前記動き検出器による前記装置の動きの検出を含む請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記動き検出器が加速度計を含む請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記動き検出器がジャイロスコープを含む請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記動き検出器がコンパスを含む請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記GPSセンサは、第二の活動モードで作動すると第三の電力消費水準を示し、前記GPSセンサは第二の休眠モードをさらに有し、前記動き検出器は、前記第三の電力消費水準よりも低い第四の電力消費水準を示し、前記動き検出器は、前記GPSセンサの前記第二の活動モードでの作動に応じて停止している請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記回路は、前記第一のセンサに関連している事象検出基準が満たされないときに物体の近さを決定するようにさらに構成され、前記回路は、前記物体の前記近さが近接閾値を満たすと前記ビデオカメラを前記休眠モードに移行させて前記反響定位装置を起動させるようにさらに構成され、前記物体の前記近さが前記近接閾値を満たさないときに、前記ビデオカメラが前記活動モードに留まり、前記反響定位装置が停止されたままに留まる請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記回路は、前記第一のセンサに関連している事象検出基準が満たされないとき期間に検出されるハンドジェスチャの数を決定するようにさらに構成され、ここで前記事象検出基準がハンドジェスチャの前記数についての閾値を含み、前記回路は、前記事象検出基準に基づいて前記第一のセンサを前記活動モードから前記休眠モードに移行させるかどうかを決定するようにさらに構成され、前記回路は、前記期間に検出されたハンドジェスチャの前記数が前記閾より多くないと前記ビデオカメラを前記休眠モードに移行させて前記反響定位装置を起動するようにさらに構成され、前記期間に検出されたハンドジェスチャの前記数が前記閾値をより多いときに、前記ビデオカメラが前記活動モードに留まり、前記反響定位装置が停止されたままに留まる請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第二のセンサが停止しているときの前記第二のセンサの停止電力消費水準がゼロより大きい請求項1に記載の装置。
【請求項15】
装置の第一のセンサの非検出に応じて、前記第一のセンサを活動モードから休眠モードに移行させることと、
前記装置の第二のセンサを前記第一のセンサの前記活動モードから前記休眠モードへの移行の検出により、休眠状態から、作動させること
備え、ここにおいて前記第一のセンサは前記活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示し、前記第二のセンサは前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示し、前記第一のセンサは前記装置の動きを検出し、前記第二のセンサは前記装置の動きを検出し、前記第一のセンサは前記第二のセンサよりも高い前記装置の動きの分析検出を提供する方法。
【請求項16】
前記第二のセンサの振動の検出に基づいて前記休眠モードから前記活動モードに移行するように前記第一のセンサに命令することと、
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に応じて前記第二のセンサを停止させることと
をさらに備え、ここにおいて前記第二のセンサが停止されると前記第二のセンサによる電力の消費がゼロである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記装置がビデオカメラおよび複数の指向性マイクロフォンを用いる反響定位装置を含み、前記反響定位装置が超音波信号を生成し、前記反響定位装置が前記超音波信号の戻りを検出する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一のセンサが前記装置の位置を追跡する全地球測位システム(GPS)センサを含み、前記第二のセンサが動き検出器を含み、前記振動が前記装置の動きの検出を含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記動き検出器が加速度計ジャイロスコープまたはコンパスの内の一つを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第一のセンサと、
第二のセンサと、
前記第一のセンサの非検出に応じて、前記第一のセンサを活動モードから休眠モードに移行させるための手段と、
前記第一のセンサの前記活動モードから前記休眠モードへの移行を検出すると前記第二のセンサを起動させるための手段と
を備、ここにおいて前記第二のセンサは前記第一のセンサが前記活動モードであることに基づいて停止していて、前記第一のセンサは前記活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示し、前記第二のセンサは前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示し、前記第一のセンサは、装置の動きを検出するための第一の手段を含み、前記第二のセンサは、前記装置の動きを検出するための第二の手段を含み、前記第一のセンサは前記第二のセンサよりも高い前記装置の動きの分析検出を提供する装置。
【請求項21】
前記第二のセンサの振動の検出に基づいて前記休眠モードから前記活動モードに移行するように前記第一のセンサに命令するための手段と、
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に基づいて前記第二のセンサを停止させるための手段と
をさらに備え、前記第二のセンサが停止されると前記第二のセンサによる電力の消費がゼロである請求項20に記載の装置。
【請求項22】
物体の動きを検出するための第一の手段と、
前記物体の動きを検出するための第二の手段と
をさらに備、ここにおいて前記物体の動きを検出するための前記第一の手段が前記物体の動きを検出する前記第二の手段よりも高い前記物体の動きの分析検出を提供する請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記第二のセンサが停止しているときの前記第二のセンサの第三の電力消費水準がゼロより大きい請求項20に記載の装置。
【請求項24】
プロセッサにより実行されると、
第一のセンサの非検出に応じて、前記第一のセンサを活動モードから休眠モードに移行させることと、
前記第一のセンサの前記活動モードから前記休眠モードへの移行の検出を表す情報を受信すること、ここで前記第一のセンサは前記活動モードで作動すると第一の電力消費水準を示し、
停止している第二のセンサを前記情報の受信に基づいて起動させること、ここで前記第二のセンサが前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示し、前記第一のセンサおよび前記第二のセンサは、装置の動きを検出し、前記装置は前記第一のセンサおよび前記第二のセンサを含み、前記第一のセンサは、前記第二のセンサよりも高い前記装置の動きの分析検出を提供する、
を前記プロセッサに行わせる諸命令を備えるコンピュータ可読記録媒体。
【請求項25】
前記プロセッサにより実行されると、
前記第二のセンサの振動の検出に基づいて前記第一のセンサを前記休眠モードから前記活動モードに移行させること
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に基づいて前記第二のセンサを停止させること
を前記プロセッサに行わせる諸命令をさらに備え、前記第二のセンサが停止すると前記第二のセンサによる電力の消費がゼロである請求項24に記載のコンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.分野
[0001] この開示は、複数のセンサに係わる処理に一般に関係している。
【背景技術】
【0002】
II.関連技術の説明
[0002] 科学技術の進歩によって益々小さくてより一層強力な計算装置がもたらされた。例えば、ユーザにより容易に携帯され軽量で小さいページング装置、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯用無線電話機のような、無線計算装置を含む様々な携帯式の個人用計算装置が現在では存在している。より詳細には、インターネットプロトコル(IP)電話機および小型携帯移動電話機のような携帯無線電話機は無線ネットワークによりデータパケットおよび音声を伝えることができる。さらに、多くのそのような無線電話機はその中に組み込まれる別の種類の装置を含んでいる。例えば無線電話機は、オーディオファイルプレイヤ、デジタルレコーダ、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラも含むことができる。そのような無線電話機は、インターネットにアクセスするために使用されることのできるウェブブラウザアプリケーションのようなソフトウェアアプリケーションを含む実行可能な諸命令を処理することもできる。そのようなものとしてこれらの無線携帯電話はかなりの計算能力を有することがある。
【0003】
[0003] 典型的な無線電話は、電力消費水準の異なる複数のセンサを備えていることがある。センサの幾つかは他のセンサよりも高い分析検出能力(resolution sensing capabilities)を提供する。分析検出能力の高いセンサは分析検出能力の低いセンサよりも電力を消費する。電力を浪費しないために電力消費水準の高いセンサを不能にすることが望まれる。しかし、そのようなセンサを不能にすると無線電話機は環境の認識(environmental awareness)を維持することができなくなってしまう。
【発明の概要】
【0004】
III.要約
[0004] パーソナルデジタルアシスタントや移動電話のような装置は性能を高めて電力消費を下げる(すなわち、バッテリの寿命を改善する)ために相互運用の可能な異なるセンサを有している。比較的高い電力消費水準のセンサが休眠(dormant)モードに入ると、比較的低い電力水準の第二のセンサが起動される。第二のセンサは、電力の消費が少ない代わりに分析検出能力が第一のセンサよりも低い。しかし、第二のセンサにより装置は振動(stimulus)(すなわち、物体の動き(movement)や装置の動き)を継続的に監視することができるようになる。そのような振動を検出すると分解能の高いセンサが休眠モードから覚醒される。
【0005】
[0005] ある特定の実施態様では、活動(active)モードと休眠モードとを有している第一のセンサを装置は備えている。活動モードで作動しているときに第一のセンサは第一の電力消費水準を示す。装置は、第一の電力消費水準(すなわち、第一のセンサの電力消費水準)よりも低い第二の電力消費水準を示す第二のセンサをさらに備えている。第二のセンサは、第一のセンサが活動モードで作動しているときには停止している。装置は、第一のセンサが活動モードから休眠モードに移行すると第二のセンサを起動させる論理回路を備えている。
【0006】
[0006] 別の実施態様では、活動モードから休眠モードへの第一のセンサの移行を検出すると装置の第二のセンサを起動させることを方法が備えている。第二のセンサは、第一のセンサが活動モードであるときに停止している。第一のセンサは、活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示す。第二のセンサは、(起動されると)第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す。特定の実施態様では、第二のセンサが停止されると第二のセンサによる電力消費はゼロである。
【0007】
[0007] 開示されている実施態様の少なくとも一つにより提供される一つの特定の利点は比較的高い電力消費水準の第一のセンサが休眠モードに入っていても通常は働きが停止されている第二のセンサを用いて振動(すなわち、物体の動きや装置の動き)を監視し続ける装置の機能である。
【0008】
[0008] この開示の他の態様、長所、特徴は、以下の部分、すなわち、図面の簡単な説明、詳細な説明、特許請求の範囲を含む本願全体を調べることにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
IV.図面の簡単な説明
図1図1は、センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善するシステムの第一の特定の例示的な実施態様のブロック図である。
図2図2は、センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善するシステムの第二の特定の例示的な実施態様のブロック図である。
図3図3は、センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善する第三の特定の例示的な実施態様のブロック図である。
図4図4は、センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善する第三の特定の例示的な実施態様のブロック図である。
図5図5は、センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善する第一の特定の例示的な実施態様のフローチャートである。
図6図6は、センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善する第二の特定の例示的な実施態様のフローチャートである。
図7図7は、センサ間の協調処理を利用することによってバッテリの寿命を改善する論理回路を有している携帯電子装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
V.詳細な説明
[0016] 装置は、類似した振動を検出することのできる複数のセンサを備えている。例えば、手の動き(gestures)または他の視覚的な振動を視覚的に検出するためにビデオカメラが用いられ、超音波探知法に基づく物体の位置の変化の検出に反響定位装置が用いられる。ビデオカメラは、活動モード中に反響定位装置よりも高い電力消費水準を示すが休眠モード(例えば、休止モード)も備えている。電力を浪費しないようにするためにビデオカメラは休眠モードに移行する。環境の認識を維持するために、ビデオカメラが休眠モードに入ると反響定位を起動させ、反響定位が振動を検出するとビデオカメラを目覚めさせるコントローラまたは他の回路を装置は備えている。
【0011】
[0017] 別の例として、装置の位置を測定するために全地球測位システム(GPS)センサが用いられる。GPSセンサは、電力を維持するために休眠モードに入るように制御される。加速度計または他の動き検出器は、装置の動きを検出するために使用することができ、活動モードのGPSセンサよりも少ない電力を使用する。GPSセンサが休眠モードに入ると、装置の動きの認識を維持するために加速度計が起動される。加速度計が装置の動きを検出すると装置の位置をより正確に突き止めるためにGPSセンサが起動される。
【0012】
[0018] 図1を参照する。センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善するシステムの第一の特定の例示的な実施態様が開示されていて全体が100で示されている。図1のシステム100は、活動中の第一のセンサよりも少ない電力を消費する第二のセンサを第一のセンサが休眠モードであるときに利用して環境の認識を維持しながらバッテリの寿命を維持することが協調処理により可能になることを示している。
【0013】
[0019] 図1のシステム100は第一のセンサ102、第二のセンサ104、センサ論理回路106を備えている。センサ論理回路106は、活動モードから休眠モードへの第一のセンサ102の移行を検出するために作動可能である。センサ論理回路106は、活動モードから休眠モードに移行するように第一のセンサ102に指示するためにも作動可能である。さらにセンサ論理回路106は、第一のセンサ102が活動モードであるときに第二のセンサ104が停止されている場合に第一のセンサ102の休眠モードへの移行の検出により第二のセンサ104を起動させるためにも作動可能である。あるいは、第一のセンサ102が活動モードであるときに第二のセンサ104は休眠モードで作動していて、第一のセンサ102の休眠モードへの移行に応じて、または第一のセンサ102が休眠モードに移行するのと実質的に同時に、または第一のセンサ102が休眠モードに移行した後で、または第一のセンサ102が休眠モードに移行してしまう前に、第二のセンサ104が起動される。第一のセンサ102は、活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示す。第二のセンサ104は、(起動されると)第一のセンサ102の第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す。第二のセンサ104は、第一のセンサ102が活動モードで作動しているときは停止されている。
【0014】
[0020] 図1に示されている休眠モードではセンサ論理回路106は、第二のセンサ104による振動の検出に応じて第一のセンサ102に休眠モードから活動モードに移行するように指示する作動が可能である。さらにセンサ論理回路106は、第一のセンサ102の活動モードから休眠モードへの移行に応じて第二のセンサ104を停止させる作動が可能である。例えば、第二のセンサ104は停止すると電力を消費しなくなる。
【0015】
[0021] 第一のセンサ102および第二のセンサ104は(装置の外部の)物体の動きを検出する作動が可能であり、第一のセンサ102は、第二のセンサ104よりも高い物体の動きの分析検出を提供する。別の例では第一のセンサ102および第二のセンサ104は(第一のセンサ102および第二のセンサ104を備えている)装置の動きを検出する作動が可能であり、第一のセンサ102は第二のセンサ104よりも高い装置の動きの分析検出を提供する。
【0016】
[0022] 高感度モード108(すなわち、比較的高い電力消費水準)で作動しているとき第一のセンサ102は活動モードであり、第二のセンサ104は作動していない。節電モード110(すなわち、比較的低い電力消費水準)で作動しているとき第一のセンサ102は休眠モードであり、第二のセンサ104が作動している。図1に示されているように第一のセンサ102が高感度モード108から節電モード110(すなわち、112で示されている「休止」)に移行すると、センサ論理回路106は(114で示すように)第二のセンサ104を起動させる。さらに第一のセンサ102が節電モード110から高感度モード108(すなわち、116で示す「起動」)に移行すると、センサ論理回路106は(118で示すように)第二のセンサ104を停止させる。このように図1には、主要なセンサ(すなわち、第一のセンサ102)よりも電力の消費が少ない二次的なセンサ(すなわち、第二のセンサ104)を選択的に起動させたり停止させたりして環境の認識を維持しながらバッテリの寿命を延ばすことが示されている。
【0017】
[0023] 図2を参照する。センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善するシステムの別の特定の例示的な実施態様が開示されていて全体が200で示されている。図2のシステム200は、環境の認識を維持している二次的なセンサが振動を検出すると装置202が節電モードから高感度モードに移行することが協調処理により可能になることを示している。このように装置202のバッテリの寿命を改善するために装置202の比較的高い電力のセンサは比較的低い電力のセンサが振動を検出するまで休眠のまま留まっている。
【0018】
[0024] 図2に示されている実施態様では装置202は、複数の物体動き(motion)センサ206および複数の装置動きセンサ212と通信をしているセンサ論理回路204を備えている。例えば、複数の物体動きセンサ206は第一のセンサ208(例えば、ビデオカメラ)および第二のセンサ210(例えば、反響定位装置)を備えている。複数の装置動きセンサ212は第一のセンサ214(例えば、全地球測位システム(GPS)センサ)および第二のセンサ216(例えば、加速度計)を備えている。あるいは、第二のセンサ216はジャイロスコープ、コンパス、その他の動き検出器を備えている。別の実施態様では装置202は、複数の物体動きセンサ206や複数の装置動きセンサ212以外のセンサを備えている。
【0019】
[0025] 図2に示すように節電モード217では第一のセンサ208、214は休眠モードにあって第二のセンサ210、216が作動している。第二のセンサ210、216は第一のセンサ208、214に比べて低い電力消費水準を示す。別の実施態様では複数の物体動きセンサ206および複数の装置動きセンサ212の一方または両方が二つより多いセンサ(例えば、電力消費水準の異なるセンサの層(a tier of sensors))を有している。
【0020】
[0026] 複数の物体動きセンサ206の内の第二のセンサ210が(218で示すように)作動中に振動を検出すると、センサ論理回路204は複数の物体動きセンサ206の内の第一のセンサ208に休眠モードから活動モードに移行するように指示する。例えば、第二のセンサ210は第一のセンサ208(例えば、ビデオカメラ)よりも低い分解能で物体の動きを検出する反響定位装置である。複数の装置動きセンサ212の内の第二のセンサ216が(220で示すように)振動を検出すると、センサ論理回路204は複数の装置動きセンサ212の内の第一のセンサ214に休眠モードから活動モードに移行するように指示する。第二のセンサ216が加速度計であり第一のセンサ102がGPSセンサである場合、加速度計は装置202の動きを検出することはできるが(GPSセンサとは著しく異なって)装置202の位置を正確に測定することはできない。
【0021】
[0027] 複数の物体動きセンサ206の内の第一のセンサ208が休眠モードから活動モードに移行するのに応じて218で示すようにセンサ論理回路204は複数の物体動きセンサ206の内の第二のセンサ210を停止させる。同様に、複数の装置動きセンサ212の内の第一のセンサ214が休眠モードから活動モードに移行するのに応じて220で示すようにセンサ論理回路204は複数の装置動きセンサ212の内の第二のセンサ216を停止させる。特定の実施態様では第二のセンサ210、216は停止すると電力消費がゼロになる。あるいは、第二のセンサ210、216が停止後に消費する電力はゼロより多いが、それでも低い水準である。すなわち、第二のセンサ210、216の停止は休眠モードに関連している。したがって図2は、分析検出能力は低いけれども活動モードでの一次的なセンサよりも作動中の電力消費の低い二次的なセンサにより振動が検出されるまで節電モード217で作動することにより装置202のバッテリの寿命が維持されることを説明している。
【0022】
[0028] 図3を参照する。センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善するシステムの別の特定の例示的な実施態様が開示されていて全体が300で示されている。図3のシステム300は、二次的なセンサ(例えば、反響定位装置)が振動を検出すると装置302が節電モードから高感度モードに移行することが協調処理により可能になることを示している。このようにバッテリの寿命を改善するために比較的高電力のセンサ(例えば、ビデオカメラ)が休眠モードである間に比較的低電力のセンサ(例えば、反響定位装置)が環境の認識を維持している。動きの検出に関する分解能を改善するために比較的低電力のセンサによる振動の検出に応じて比較的高電力のセンサが活動モードに移行する。バッテリの寿命をさらに改善するためにこれに応じて比較的低電力のセンサが停止される。
【0023】
[0029] 図3の装置302は、センサ論理回路304、ビデオカメラ308、反響定位装置310を備えている。ビデオカメラ308および反響定位装置310は320で示すようにどちらも物体318の動きを検出するように設計されている。例えば、図3のビデオカメラ308は図1の第一のセンサ102または図2の第一のセンサ208に対応していて、図3の反響定位装置310は図1の第二のセンサ104および図2の第二のセンサ210に対応している。反響定位装置310は複数の指向性マイクロフォン(例えば、一群のマイクロフォン)を備えている。例えば、図3に示した実施態様では一群のマイクロフォンには第一のマイクロフォン324、第二のマイクロフォン326、第三のマイクロフォン328が含まれている。この他にも二つのマイクロフォンが用いられる態様もあれば、三つより多いマイクロフォンが用いられる態様もある。
【0024】
[0030] 作動中ビデオカメラ308は最初のうちは休眠モードであり、反響定位装置310が作動している。したがって、装置302は節電モード(例えば、図1の節電モード110または図2の節電モード217)で作動している。反響定位装置310が320で示すように物体318の動きを検出する。例えば、第一のマイクロフォン324、第二のマイクロフォン326、第三のマイクロフォン328が超音波探知法を用いて物体318の動きを検出する。振動(例えば、動き)を検出すると、反響定位装置310は対応する情報330をセンサ論理回路304に伝達する。これに応じてセンサ論理回路304は休眠モード(すなわち、節電モード)から活動モード(すなわち、高感度モード)に移行させる命令332をビデオカメラ308に伝達する。さらに、センサ論理回路304は反響定位装置310を停止させる命令334を伝達する。ビデオカメラ308は(図4との関連でこれから記載するように)閾値検出基準を満たす振動を受けなくなるまで活動モードに留まる。
【0025】
[0031] その結果、分析検出能力は一次的なセンサ(例えば、ビデオカメラ308)より低くても作動中の電力消費は一次的なセンサより少ない二次的なセンサ(例えば、反響定位装置310)を用いることにより装置302のバッテリの寿命が維持される。そのようなわけで装置302は物体318の動きに関する環境の認識を維持することができる。このようなことは、二次的なセンサを起動させずに一次的なセンサを単に休眠モードに移行させただけで場合には不可能である。
【0026】
[0032] 図4を参照する。センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善するシステムの別の特定の例示的な実施態様であり全体が400で示されている。図4のシステム400は、事象検出基準(event detection criteria)を満たす一つ以上の事象が一次的なセンサ(例えば、ビデオカメラ)により検出されない場合に装置402を高感度モードから節電モードに移行させることが協調処理により可能になることを示している。このように装置402のバッテリの寿命を改善することおよび環境の認識を維持することのために装置402の比較的高電力のセンサを休眠モードに移行させて比較的低電力のセンサ(例えば、反響定位装置)を作動させる。
【0027】
[0033] 装置402はセンサ論理回路404、ビデオカメラ408、反響定位装置410を備えている。ビデオカメラ408および反響定位装置410は物体422の動きを検出するように設計されている。例示的な実施態様では、図4のビデオカメラ408は図1の第一のセンサ102または図2の第一のセンサ208または図3のビデオカメラ308に対応している。同様に図4の反響定位装置410は、図1の第二のセンサ104または図2の第二のセンサ210または図3の反響定位装置310に対応している。反響定位装置410は一群のマイクロフォンを備えている。例えば、図4に示されている実施態様では、一群のマイクロフォンが第一のマイクロフォン424、第二のマイクロフォン426、第三のマイクロフォン428を備えている。別の実施態様では、異なる数のマイクロフォンを用いて反響定位能力を提供している。反響定位装置410は、物体422が近接閾値434の内側にあれば十分な動き検出能力を提供するが物体422が近接閾値434の外側にあるときには十分な動き検出能力を提供しないと考えられている。
【0028】
[0034] 作動されるとビデオカメラ408は最初のうちは活動モードであり反響定位装置410は起動されていない。したがって、装置402は高感度モード(例えば、図1の高感度モード108または図2の高感度モード221)で作動する。ビデオカメラ408は一つ以上の事象検出基準を満たす振動を検出しないことがある。例えば、ビデオカメラ408は閾値数の認識された手つき(a threshold number of recognized hand gestures)を所定期間内に検出しないことがある。その結果、ビデオカメラ408は対応する情報436をセンサ論理回路404に伝達する。さらに、例示した実施態様では物体422が近接閾値(proximity threshold)434の内側にある。したがってセンサ論理回路404は、活動モードから休眠モードに移行する命令440をビデオカメラ408に伝達する。さらにセンサ論理回路404は、一群のマイクロフォンを起動して環境の認識を維持させる命令438を反響定位装置410に伝達する。別の実施態様では近接閾値434の内側に物体422が存在していない場合には休眠モードに移行させる命令440をセンサ論理回路404はビデオカメラ408に伝達しない。このように、反響定位装置410が適切な動き検出能力を提供しないと考えられる場合には、事象検出基準を満たす振動がなくてもビデオカメラ408は活動モードに留まる。
【0029】
[0035] このように装置402は、分析検出能力は一次的なセンサ(すなわち、ビデオカメラ408)より低くても作動中の電力消費が一次的なセンサより少ない二次的なセンサ(すなわち、反響定位装置410)を利用してバッテリの寿命を維持する。そのようなものとして装置402は物体422の動きに関する環境の認識を維持する。このようなことは一次的なセンサを単に休眠モードに移行させただけで二次的なセンサを起動させない場合には実現することができない。さらに図4には、物体422が近接閾値434の外側にあると二次的なセンサが十分な検出能力を提供しないことが示されている。この場合、一次的なセンサが活動モードに留まって十分な環境の認識を維持する。
【0030】
[0036] このように図1から図4を参照して説明したセンサ論理回路(すなわち、図1のセンサ論理回路106、図2のセンサ論理回路204、図3のセンサ論理回路304、図4のセンサ論理回路404)は、装置のバッテリの寿命を改善することに関連した様々な機能を果たすように構成されている。例えば、図1のセンサ論理回路106は第一のセンサ102の活動モードから休眠モードへの移行(例えば、高感度モード108から節電モード110への移行)を検出する機能を果たすように構成されている。例を挙げれば検出回路を用いて移行に関連した電圧の変化(またはその他の変化)を検出する。例えば、第一のセンサ102は活動モードでは第一の電圧水準で作動し、休眠モードでは第二の電圧水準で作動するように構成されていて、検出回路は第一の電圧水準と第二の電圧水準との差に対応する電圧水準の減少を検出する。
【0031】
[0037] センサ論理回路106は、第一のセンサ102が活動モードであるときに第二のセンサ104が停止している場合には、第一のセンサ102の休眠モードへの移行(例えば、高感度モード108から節電モード110への移行)を検出すると第二のセンサ104を作動させる機能を果たすように構成されている。例を挙げれば信号生成回路が、第一の信号線を介して第一のセンサ102に伝達可能に結合されていて、第二の信号線を介して第二のセンサ104に伝達可能に結合されている。信号生成回路を用いて起動信号が生成され、第二の信号線を介して起動信号が第二のセンサ104に伝達される。
【0032】
[0038] センサ論理回路106は、第二のセンサ104による振動の検出に応じて休眠モードから活動モードに移行するように(例えば、節電モード110から高感度モード108に移行するように)第一のセンサ102に命令する機能を果たすように構成されている。例を挙げれば、信号生成回路を用いて活動モードに移行させる移行信号が生成され、第一の信号線を介して移行信号が第一のセンサ102に伝達される。センサ論理回路106は、第一のセンサ102の活動モードへの移行(すなわち、節電モード110から高感度モード108への移行)に応じて第二のセンサ104を停止させる機能を果たすように構成されている。例を挙げれば信号生成回路を用いて停止信号が生成され、第二の信号線を介して停止信号が第二のセンサ104に伝達される。
【0033】
[0039] あるいは、別個の信号生成回路を用いて第一のセンサ102や第二のセンサ104に命令を伝達しても良い。この場合、第一の信号生成回路が第一の信号線を介して第一のセンサ102に伝達可能に結合され、第二の信号生成回路が第二の信号線を介して第二のセンサ104に伝達可能に結合される。
【0034】
[0040] センサ論理回路106には、上に述べた諸機能を達成するための諸命令の集合または複数の集合を個々にまたは共同で実行するシステムまたはサブシステムの任意の集積が含まれる。ある実施態様ではセンサ論理回路106は、メモリ(図7参照)の中に完全に納められている一つ以上の命令(例えば、ソフトウェア)を用いて諸機能を実行する。あるいはセンサ論理回路106は、ソフトウェアまたは特定用途向け集積回路もしくはプログラムの可能な論理回路もしくはその他のハードウェアまたはそれらの任意の組み合わせを用いて諸機能を実行する。あるいはセンサ論理回路106により実行される一つ以上の機能が活動モードと休眠モードとの間の高出力センサの移行や高出力センサが休眠モードである間に環境の認識を維持するために低出力センサの起動を決定する諸命令を実行するプロセッサにより実行される。
【0035】
[0041] 特定の実施態様では第一のセンサ102および第二のセンサ104は物体の動きを検出するように構成されている。この場合、第一のセンサ102は物体の動きの分析検出能が第二のセンサ104よりも高い。例を挙げれば、第一のセンサ102はビデオカメラを備えていて、第二のセンサ104は(一群のマイクロフォンを用いて超音波測位をする)反響定位装置を備えている。別の実施態様では第一のセンサ102または第二のセンサ104は別の動き検出技術を用いて(センサを備えている装置の外部の)物体の動きを検出する。
【0036】
[0042] 別の実施態様では第一のセンサ102および第二のセンサ104は装置の動きを検出するように構成されている。この場合、第一のセンサ102は装置の動きの分析検出が第二のセンサ104よりも高い。例を挙げれば、第一のセンサ102にはGPSセンサが含まれ、第二のセンサ104には加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、その他の動き検出器が含まれる。別の実施態様では第一のセンサ102または第二のセンサ104は別の動き検出技術を用いて(センサを備えている)装置の動きを検出する。
【0037】
[0043] 図5を参照する。センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善する方法の第一の特定の例示的な実施態様が開示されていて全体が500で示されている。図5には、第一のセンサを休眠モードに移行させて電力消費の少ない第二のセンサを作動させることによって環境の認識を維持しながらバッテリの寿命を最適化する方法が説明されている。
【0038】
[0044] 方法500には、装置の第一のセンサの活動モードから休眠モードへの移行を502で検出することが含まれている。例えば、図1の第一のセンサ102が高感度モード108から節電モード110に移行する(すなわち、センサ論理回路106が休止の命令112を第一のセンサ102に供給する)。特定の実施態様では第一のセンサは物体動きセンサ(例えば、ビデオカメラ)である。例を挙げれば、図4のビデオカメラ408は事象検出基準を満たす振動を検出しないでいると活動モードから休眠モードに移行する。別の実施態様では第一のセンサは装置動きセンサ(例えば、GPSセンサ)である。例えば、図2の第一のセンサ214は装置202が動かないでいると活動モードから休眠モードに移行する。
【0039】
[0045] 方法500には、第一のセンサの活動モードから休眠モードへの移行を検出すると装置の第二のセンサを作動させること504が含まれている。第一のセンサの休眠モードへの移行に応じて第二のセンサが作動すると装置(例えば、図2の装置202、図3の装置302、図4の装置402)の電力消費水準は低くなるので、(姿勢(positioning)を含む)装置の環境の認識は維持されながらもバッテリの寿命が延びる。第一のセンサが活動モードであるときには第二のセンサは停止している。ある実施態様では第二のセンサが停止すると第二のセンサによる電力の消費はゼロである。第一のセンサは、活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示す。第二のセンサは(起動すると)第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す。
【0040】
[0046] 起動されると第二のセンサは振動(すなわち、装置の動きまたは物体の動き)を検出する。したがって、第一のセンサが休眠状態であっても装置は依然としてある程度の振動を検出することができる。第二のセンサは、少ない電力を消費し、第一のセンサよりも低い分析検出能力を提供する。例えば、ビデオカメラは反響定位装置よりも高い物体の動きの分析検出を提供する。別の例としてGPSセンサは、コンパスまたはジャイロスコープまたは加速度計よりも改善された能力を装置の動きの検出に関して提供する。
【0041】
[0047] 方法500は、第二のセンサが振動を検出したかどうかを506で決定することを含んでいる。例えば、第二のセンサが反響定位装置である場合には振動は物体の動きの検出を含む。別の例として、第二のセンサが加速度計(またはジャイロスコープまたはコンパス)であれば、振動は装置の動きの検出を含む。第二のセンサが振動を検出しない場合には508で第二のセンサは作動したままであり、第一のセンサは休眠しているままである。第二のセンサが振動を検出すると、方法500は510で活動モードに移行するように第一のセンサに指示することを含んでいる。この移行に応答して第二のセンサは512で作動が停止される。このように第二のセンサが振動を検出するまで低出力のセンサの作動を利用することでバッテリの寿命が維持される。図5に示すように事象検出基準を満たす振動の欠如に応じて第一のセンサが休眠モードに移行すると方法500は繰り返す。
【0042】
[0048] 図6を参照する。センサ間の協調処理でバッテリの寿命を改善する方法の第二の特定の例示的な実施態様が開示されていて全体が600で示されている。図6は、バッテリの寿命を改善するために事象検出基準および物体の近接性を用いて第一のセンサを活動モードから休眠モードに移行させるかどうかを決定することを例示している。
【0043】
[0049] 方法600には、第一のセンサ(例えば、活動モードのビデオカメラ)が振動を検出したかどうかを事象検出基準に基づいて決定すること602が含まれている。第一のセンサは活動モードで第一の電力消費水準を示す。例えば、図4のビデオカメラ408が第一のセンサに含まれる。例を挙げると、手つき(hand gestures)の検出にビデオカメラが用いられ、所定の時間内に検出された手つきの閾値数(threshold number)が事象検出基準に含まれる。認識された手つきの数が多いことは手つき認識(HGR:hand gesture recognition)アプリケーションが活発に利用されていることを示す(比較的高い電力消費水準のビデオカメラを活動させ続けることが正当化される)。対照的に比較的少ししかない手つきの検出は振動の検出に低い分解能のセンサ(例えば、反響定位装置)で十分であることを示す。
【0044】
[0050] 事象検出基準を満たす振動を第一のセンサが検出すると、604で第一のセンサは活動モードに留まり、第二のセンサは停止状態に留まる。例示している実施態様では事象検出基準を満たす振動を第一のセンサが検出しないと606で第一のセンサを用いて装置に対する物体の近さを決定することが方法600に含まれている。物体の近さが閾値(例えば、図4の近接閾値434)を満たさない場合には608で第一のセンサは活動モードに留まり、第二のセンサは作動が停止されたままである。このように事象検出基準を満たす振動を第一のセンサが検出していなくても近接閾値が満たされていない場合には周囲の振動を確実に検出することに関して第二のセンサが満足であるとは思われない。例えば、物体が装置の比較的近くにある場合には物体の動きの検出に関して反響定位装置で十分であると思われる。対照的に物体が装置から比較的離れている場合には反響定位装置はビデオカメラよりも低い分析検出能力しか提供しないので反響定位装置は不適切であると思われる。
【0045】
[0051] 物体の近さが閾値を満たすと610で第一のセンサは活動モードから休眠モードに移行する。方法600には、第一のセンサが休眠モードに移行することに応じて第二のセンサを起動させること612が含まれている。
【0046】
[0052] 図6に示されているように第二のセンサが振動を検出すると614で第一のセンサは休眠モードから活動モードに移行する。この場合、第二のセンサは作動が停止される(例えば、電力の消費がゼロになる)。方法600が繰り返される。このように図6には比較的高い電力消費水準の第一のセンサが活動モードから休眠モードに移行すべきか否かを決定するときに事象検出基準を使用し、その一方で活動モードに移行するように第一のセンサに指示するには比較的低出力のセンサによる振動の検出で十分である。さらに、図6には、近接基準が満たされていないときには電力の比較的低い電力消費水準のセンサを用いて節電をすることができないことが示されている。
【0047】
[0053] 図7を参照する。センサ間の協調処理を利用することによってバッテリの寿命を改善する命令を有している携帯電子装置の特定の例示的な実施態様のブロック図であり全体が700で示されている。ある実施態様では図7の携帯電子装置は図1のシステム100または図2の装置202または図3の装置303または図4の装置402を備えている。さらに、図5および図6で述べた方法の一部または全部が図7の携帯電子装置で実行される。携帯電話装置700は、メモリ732に接続されているデジタル信号プロセッサ(DSP)710のようなプロセッサを備えている。協調センサ処理を用いてバッテリの寿命を改善するためにDSP710はセンサ論理回路746を使用する。メモリ732は協調センサ処理を用いてバッテリの寿命を改善する諸命令752を備えている。例えば、図7に示す実施態様では携帯電子装置700は第一のセンサ748および第二のセンサ750を備えていて、センサ論理回路746はバッテリの寿命を改善するためにセンサ748、750を管理する。例えば、第一のセンサ748は図1の第一のセンサ102に対応していて、第二のセンサ750は図1の第二のセンサ104に対応している。別の例では第一のセンサ748は図3のビデオカメラ308に対応していて、第二のセンサ750は図3の反響定位装置310または図4の反響定位装置410に対応している。
【0048】
[0054] さらに別の例では第一のセンサ748は図2の物体動きセンサ206の内の一つ(例えば、第一のセンサ208)に対応していて、第二のセンサ750は物体動きセンサ206の内の別の一つ(例えば、第二のセンサ210)に対応している。同様に、第一のセンサ748は図2の装置動きセンサ212の内の一つ(例えば、第一のセンサ214)に対応していて、第二のセンサ750は装置動きセンサ212の内の別の一つ(例えば、第二のセンサ216)に対応している。別の実施態様では携帯電子装置700は二つ以上のセンサ(すなわち、物体動きセンサと装置動きセンサの両者に関連したセンサ)を備えている。例えば、携帯電子装置700は図2の装置動きセンサ212および物体動きセンサ206の両者を備えている。さらに、携帯電子装置700は物体動きセンサおよび装置動きセンサの両者を備えていないこともある(物体動きセンサを複数台備えている装置を示している図3および図4参照)。
【0049】
[0055] メモリ732は、協調センサ処理を用いてバッテリの寿命を改善する諸命令752を格納している非一次的な有体的コンピュータ可読記憶媒体である。諸命令752はセンサ論理回路746を実現するためにDSP710により実行可能である。例えば、諸命令752には、第一のセンサ748の活動モードから休眠モードへの移行の検出を示す情報を受け取るための諸命令が含まれる。第一のセンサ748は活動モードで作動すると第一の電力消費水準を示す。諸命令752には、第一のセンサが活動モードであるときに作動が停止されている第二のセンサ750を前記の情報の受け取りに応じて起動させる諸命令が含まれる。第二のセンサ750は、第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す。諸命令752には、第二のセンサ750による振動の検出に応じて第一のセンサ748を休眠モードから活動モードに移行させる諸命令が含まれる。諸命令752には、第一のセンサ748の活動モードへの移行に応じて第二のセンサ750を停止させる諸命令が含まれる。特定の実施態様では、第二のセンサ750の作動が停止されると第二のセンサ750による電力の消費はゼロである。
【0050】
[0056] 図7には、デジタル信号プロセッサ710およびディスプレイ728に接続されているディスプレイコントローラ726も示されている。コーダ/デコーダ(CODEC)734もデジタル信号プロセッサ710に接続されている。スピーカ736およびマイクロフォン738をCODEC734に接続することができる。図7には、無線コントローラ740をデジタル信号プロセッサ710および無線アンテナ742に接続することができることも示されている。特定の実施態様ではDSP710、ディスプレイコントローラ726、メモリ732、CODEC734、無線コントローラ740がシステム−イン−パッケージまたはシステム−オン−チップの装置722に含まれている。特定の実施態様では入力装置730および電源機構(power supply)744がシステム−オン−チップの装置722に接続されている。さらに、特定の実施態様では、図7に示されているように、ディスプレイ728、入力装置730、スピーカ736、マイクロフォン738、無線アンテナ742、電源機構744、第一のセンサ748、第二のセンサ750がシステム−オン−チップの装置722の外部にある。しかし、ディスプレイ728、入力装置730、スピーカ736、マイクロフォン738、無線アンテナ742、電源機構744、第一のセンサ748、第二のセンサ750をインターフェースまたはコントローラのようなシステム−オン−チップの装置722のコンポーネントに接続しても良い。
【0051】
[0057] ここに開示した実施態様との関連で説明した種々様々の例示的な論理ブロック、構成、モジュール、回路、アルゴリズムの諸工程はこれらを電子的なハードウェア、コンピュータソフトウェア、両者の組み合わせのいずれかとして具体化することができることは当業者には明らかある。種々の例示したコンポーネント、ブロック、構成、モジュール、回路、工程を一般に機能の観点から上に記載した。そのような機能をハードウェアまたはソフトウェアのいずれとして実現するのかはシステム全体に課せられた特定の用途や設計による制約に依存する。当業者であれば記載した機能を特定の用途毎に異なる方法で実現することができるが、そのような実現に関する決定をこの開示の範囲からの新しい試みであると解釈してはならない。
【0052】
[0058] ここに開示した実施態様との関連で記載したアルゴリズムまたは方法の諸工程はこれらをプロセッサにより実行されるソフトウェアモジュールまたはハードウェアまたは両者の組み合わせで直接に実現することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセス記憶装置(RAM)、フラッシュメモリ、読出し専用記憶素子(ROM)、プログラム可能読出し専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能読取り専用記憶装置(EPROM)、電気的消去可能なPROM(EEPROM(登録商標))、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、この技術分野で公知の任意の他の形式の記憶媒体のいずれに存在していても構わない。プロセッサが記憶媒体から情報を読み込んだり記憶媒体に情報を書き込んだりすることができるように代表的な記憶媒体がプロセッサに接続されている。あるいは、記憶媒体はプロセッサと一体である。プロセッサと記憶媒体とが特定用途向け集積回路(ASIC)に内蔵されていても良い。このようなASICがユーザの端末または計算装置に内蔵されていても良い。あるいは、プロセッサと記憶媒体とが離散的コンポーネントとしてユーザの端末または計算装置に組み込まれていても良い。
【0053】
[0059] 実施態様の様々な開示に関する以上の説明はこの技術分野で通常の知識を有する者が開示されている実施態様を作ったり使用したりすることができるようにこれを提示した。この技術分野で通常の知識を有する者であれば実施態様を容易に修正することができる。ここに定義されている諸原理は開示の範囲を逸脱することなく別の実施態様に適用することができる。したがって以上の開示は、以上に示した諸実施態様に限定することを意図しているのではなくて、次の特許請求の範囲に定義されている新規な特徴および原理にしたがっている可能な限り広い範囲との一致を意図している。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
活動モードで作動すると第一の電力消費水準を示す第一のセンサと、ここで前記第一のセンサが休眠モードをさらに備えており、
前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す第二のセンサと、ここで前記第二のセンサは前記第一のセンサが前記活動モードで作動しているときには停止され、
前記第一のセンサが前記活動モードから前記休眠モードに移行すると前記第二のセンサを起動させる論理回路と
を具備する装置。
[C2]
前記第二のセンサの振動の検出に応じて前記休眠モードから前記活動モードに移行するように前記第一のセンサに命令する論理回路をさらに具備するC1に記載の装置。
[C3]
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に応じて前記第二のセンサを停止させる論理回路をさらに具備するC2に記載の装置。
[C4]
前記第一のセンサがビデオカメラを含み、前記第二のセンサが反響定位装置を含み、前記振動が物体の動きの検出を含むC2に記載の装置。
[C5]
前記反響定位装置が複数の指向性マイクロフォンを含むC4に記載の装置。
[C6]
前記ビデオカメラが前記反響定位装置よりも高い物体の動きの分析検出を提供するC4に記載の装置。
[C7]
前記第一のセンサが全地球測位システム(GPS)センサを含み、前記第二のセンサが動き検出器を含み、前記振動が前記動き検出器による前記装置の動きの検出を含むC2に記載の装置。
[C8]
前記動き検出器が加速度計を含むC7に記載の装置。
[C9]
前記動き検出器がジャイロスコープを含むC7に記載の装置。
[C10]
前記動き検出器がコンパスを含むC7に記載の装置。
[C11]
前記活動モードから前記休眠モードに前記第一のセンサを移行させるかどうかを前記第一のセンサに関連している事象検出基準に基づいて決定する論理回路をさらに含み、ここで前記第一のセンサがビデオカメラを含み、前記第二のセンサが反響定位装置を含むC1に記載の装置。
[C12]
前記第一のセンサに関連している前記事象検出基準が満たされないときに物体の近さを決定する論理回路と、
前記物体の前記近さが近接閾値を満たすと前記ビデオカメラを前記休眠モードに移行させて前記反響定位装置を起動させる論理回路とを具備し、
前記物体の前記近さが前記近接閾値を満たさないときに、前記ビデオカメラが前記活動モードに留まり、前記反響定位装置が停止されたままに留まるC11に記載の装置。
[C13]
前記第二のセンサが停止しているときには前記第二のセンサによる電力の消費がゼロであるC1に記載の装置。
[C14]
前記第二のセンサが停止しているときの前記第二のセンサの電力消費水準がゼロより大きいC1に記載の装置。
[C15]
装置の第一のセンサが活動モードであるときに停止している前記装置の第二のセンサを前記第一のセンサの前記活動モードから休眠モードへの移行の検出により作動させることを含み、
ここにおいて前記第一のセンサは前記活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示し、前記第二のセンサは前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す方法。
[C16]
前記第二のセンサの振動の検出に応じて前記休眠モードから前記活動モードに移行するように前記第一のセンサに命令することと、
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に応じて前記第二のセンサを停止させることとをさらに含み、
ここにおいて前記第二のセンサが停止されると前記第二のセンサによる電力の消費がゼロであるC15に記載の方法。
[C17]
前記第一のセンサがビデオカメラを含み、前記第二のセンサが複数の指向性マイクロフォンを用いる反響定位装置を含み、前記振動が物体の動きの検出を含むC16に記載の方法。
[C18]
前記第一のセンサが前記装置の位置を追跡する全地球測位システム(GPS)センサを含み、前記第二のセンサが動き検出器を含み、前記振動が前記装置の動きの検出を含むC16に記載の方法。
[C19]
前記動き検出器が加速度計およびジャイロスコープおよびコンパスの内の一つを含むC18に記載の方法。
[C20]
第一のセンサと、
第二のセンサと、
前記第一のセンサの活動モードから休眠モードへの移行を検出すると前記第二のセンサを起動させる手段とを具備し、ここにおいて前記第二のセンサは前記第一のセンサが前記活動モードであるときには停止していて
前記第一のセンサは前記活動モードで作動しているときに第一の電力消費水準を示し、前記第二のセンサは前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す装置。
[C21]
前記第二のセンサの振動の検出に応じて前記休眠モードから前記活動モードに移行するように前記第一のセンサに命令する手段と、
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に応じて前記第二のセンサを停止させる手段とをさらに備え、
前記第二のセンサが停止されると前記第二のセンサによる電力の消費がゼロであるC20に記載の装置。
[C22]
前記第一のセンサおよび前記第二のセンサが物体の動きを検出する手段を備えていて、前記第一のセンサが前記第二のセンサよりも高い物体の動きの分析検出を提供するC20に記載の装置。
[C23]
前記第一のセンサおよび前記第二のセンサが前記装置の動きを検出する手段を備えていて、前記第一のセンサが前記第二のセンサよりも高い前記装置の動きの分析検出を提供するC20に記載の装置。
[C24]
プロセッサにより実行されると、
第一のセンサの活動モードから休眠モードへの移行の検出を表す情報を受信すること、ここで前記第一のセンサは前記活動モードで作動すると第一の電力消費水準を示し、
前記第一のセンサが活動モードであるときに停止している第二のセンサを前記情報の受信に応じて起動させること、ここで前記第二のセンサが前記第一の電力消費水準よりも低い第二の電力消費水準を示す、
を前記プロセッサに行わせる諸命令を備えているコンピュータ可読有形媒体。
[C25]
前記プロセッサにより実行されると、
前記第二のセンサの振動の検出に応じて前記第一のセンサを前記休眠モードから前記活動モードに移行させること、
前記第一のセンサの前記活動モードへの移行に応じて前記第二のセンサを停止させることをコンピュータに行わせる諸命令をさらに備えていて、
前記第二のセンサが停止すると前記第二のセンサによる電力の消費がゼロであるC24に記載のコンピュータ可読有形媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7