特許第6324977号(P6324977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6324977
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】雑音スプリッティングを用いた増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/26 20060101AFI20180507BHJP
   H03F 1/22 20060101ALI20180507BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20180507BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   H03F1/26
   H03F1/22
   H03F3/34 C
   H04B1/18 C
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-538143(P2015-538143)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公表番号】特表2015-532567(P2015-532567A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】US2013066230
(87)【国際公開番号】WO2014066421
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】13/656,904
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100194814
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 元宏
(72)【発明者】
【氏名】シュ、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、リ−チュン
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−278109(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/143504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/26
H03F 1/22
H03F 3/34
H04B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成された複数の増幅手段と、各増幅手段は、それぞれの負荷回路に結合される、
少なくとも1つの相互接続手段に結合された前記複数の増幅手段のうちの少なくとも2つの出力を選択的に短絡させるように構成された前記少なくとも1つの相互接続手段と
を備え、
前記複数の増幅手段が、
前記入力RF信号を増幅するように構成された複数の利得手段と、
前記複数の利得手段に結合された複数の電流バッファ手段と
を備え、各増幅手段は、前記複数の増幅手段が前記入力RF信号を増幅し、複数の出力RF信号を与えるために有効にされたとき、前記複数の利得手段の各々からの電流の一部分を備える出力電流を与えるように構成された、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの相互接続手段は、前記複数の増幅手段が有効にされたとき、前記複数の増幅手段の出力を短絡させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの相互接続手段は、前記複数の増幅手段が有効にされたとき、前記複数の利得手段の出力を短絡させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの相互接続手段が、
前記複数の利得手段と前記複数の電流バッファ手段との間に結合された複数のカスコードトランジスタ
を備え、各カスコードトランジスタが、1つの増幅手段中の利得手段と別の増幅手段中の電流バッファ手段との間に結合され、前記複数の増幅手段が有効にされたとき、前記複数のカスコードトランジスタがオンにされる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の増幅手段のうちの1つは、前記1つの増幅手段が有効にされたとき、前記入力RF信号を増幅し、出力RF信号を与えるように構成され、前記複数の増幅手段のうちの残りの増幅手段が無効にされる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の増幅手段が第1および第2の増幅手段を備え、前記第1の増幅手段が第1の利得トランジスタと第1のカスコードトランジスタとを備え、前記第2の増幅手段が第2の利得トランジスタと第2のカスコードトランジスタとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの相互接続手段が、前記第1のカスコードトランジスタのドレインと前記第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合されたスイッチを備え、前記スイッチは、前記第1の増幅手段または前記第2の増幅手段のみが有効にされたときに開いており、前記第1の増幅手段と前記第2の増幅手段の両方が有効にされたときに閉じている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記スイッチが、
前記第1のカスコードトランジスタのドレインと中間ノードとの間に結合された第1のトランジスタと、
前記中間ノードと前記第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合された第2のトランジスタと、
前記中間ノードと回路接地との間に結合された第3のトランジスタと
を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記スイッチが、
前記第1のカスコードトランジスタの前記ドレインと前記第2のカスコードトランジスタの前記ドレインとの間に結合されたトランジスタ
を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの相互接続手段が、前記第1の利得トランジスタのドレインと前記第2の利得トランジスタのドレインとの間に結合されたキャパシタを備え、前記第1の増幅手段が有効にされたとき、前記第1のカスコードトランジスタがオンにされ、前記第2のカスコードトランジスタがオフにされ、前記第2の増幅手段が有効にされたとき、前記第2のカスコードトランジスタがオンにされ、前記第1のカスコードトランジスタがオフにされ、前記第1および第2の増幅手段が有効にされたとき、前記第1のカスコードトランジスタと前記第2のカスコードトランジスタの両方がオンにされる、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの相互接続手段が、
前記第1の利得トランジスタのドレインと前記第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合された第3のカスコードトランジスタと、
前記第2の利得トランジスタのドレインと前記第1のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合された第4のカスコードトランジスタと
を備え、前記第1の増幅手段と前記第2の増幅手段の両方が有効にされたとき、前記第3および第4のカスコードトランジスタがオンにされる、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の増幅手段が有効にされたとき、前記第1のカスコードトランジスタのみがオンにされるか、または前記第1のカスコードトランジスタと前記第4のカスコードトランジスタの両方がオンにされる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1および第2の利得トランジスタのソースと回路接地との間に結合されたインダクタ
をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の増幅手段に結合された第1のトランスフォーマを備える第1の負荷回路と、
前記第2の増幅手段に結合された第2のトランスフォーマを備える第2の負荷回路と
をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
複数の増幅器回路に入力無線周波数(RF)信号を印加することと、
前記入力RF信号を増幅し、少なくとも1つの出力RF信号を与えるために、前記複数の増幅器回路のうちの少なくとも1つを有効にすることと、各増幅器回路は、それぞれの負荷回路に結合される、
前記複数の増幅器回路が有効にされたとき、前記複数の増幅器回路の出力を短絡させることと
を備え、
前記複数の増幅器回路中の複数の利得回路を用いて前記入力RF信号を増幅することと、
前記複数の増幅器回路からの出力電流を与えることと
をさらに備え、前記入力RF信号を増幅し、複数の出力RF信号を与えるために、各増幅器回路からの出力電流が、前記複数の利得回路の各々からの電流の一部分を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に電子機器に関し、より詳細には、増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ワイヤレス通信システムにおけるワイヤレスデバイス(たとえば、セルラーフォンまたはスマートフォン)は、双方向通信のためのデータを送信および受信し得る。ワイヤレスデバイスは、データ送信のための送信機と、データ受信のための受信機とを含み得る。データ送信では、送信機は、無線周波数(RF)キャリア信号をデータで変調して被変調RF信号を取得し、被変調RF信号を増幅して、適切な出力電力レベルを有する増幅RF信号を取得し、アンテナを介して増幅RF信号を基地局に送信し得る。データ受信では、受信機は、アンテナを介して受信RF信号を取得し得、受信RF信号を増幅し処理して、基地局によって送られたデータを復元し得る。
【0003】
[0003]ワイヤレスデバイスは、複数のキャリア上での同時動作である、キャリアアグリゲーション(carrier aggregation)をサポートし得る。キャリアは、通信のために使用される周波数の範囲を指し得、いくつかの特性に関連付けられ得る。たとえば、キャリアは、そのキャリア上での動作を記述するシステム情報に関連付けられ得る。キャリアは、コンポーネントキャリア(CC:component carrier)、周波数チャネル、セルなどと呼ばれることもある。ワイヤレスデバイスによってキャリアアグリゲーションを効率的にサポートすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004]ワイヤレスシステムと通信するワイヤレスデバイスを示す図。
図2A】[0005]キャリアアグリゲーション(CA)の例を示す図。
図2B】キャリアアグリゲーション(CA)の例を示す図。
図2C】キャリアアグリゲーション(CA)の例を示す図。
図2D】キャリアアグリゲーション(CA)の例を示す図。
図3】[0006]図1のワイヤレスデバイスのブロック図。
図4】[0007]雑音スプリッティング(noise splitting)を用いない単入力多出力(SIMO)低雑音増幅器(LNA:low noise amplifier)を示す図。
図5】[0008]電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAを示す図。
図6A】[0009]電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図6B】電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図6C】電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図6D】電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図7A】電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図7B】電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図7C】電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図8】[0010]利得回路出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAを示す図。
図9A】[0011]利得回路出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図9B】利得回路出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図9C】利得回路出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAの例示的な設計を示す図。
図10】[0012]信号増幅を実行するためのプロセスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0013]以下に示す発明を実施するための形態は、本開示の例示的な設計を説明するものであり、本開示が実施され得る設計のみを表すものではない。「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例、または例示の働きをすること」を意味するために使用する。「例示的」として本明細書で説明するいかなる設計も、必ずしも他の設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきであるとは限らない。発明を実施するための形態は、本開示の例示的な設計の完全な理解を与えるための具体的な詳細を含む。本明細書で説明する例示的な設計はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。いくつかの事例では、本明細書で提示する例示的な設計の新規性を不明瞭にしないように、よく知られている構造およびデバイスをブロック図の形式で示す。
【0006】
[0014]雑音スプリッティングを用いた、良好な性能と他の望ましい特性とを有する増幅器を本明細書で開示する。これらの増幅器は、複数の送信信号の同時受信をサポートするSIMO LNAを含み得る。これらの増幅器は、ワイヤレス通信デバイスなどの様々なタイプの電子デバイスのために使用され得る。
【0007】
[0015]図1に、ワイヤレス通信システム120と通信するワイヤレスデバイス110を示す。ワイヤレスシステム120は、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)システム、符号分割多元接続(CDMA)システム、モバイル通信用グローバルシステム(GSM(登録商標):Global System for Mobile Communications)システム、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)システム、または何らかの他のワイヤレスシステムであり得る。CDMAシステムは、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))、CDMA 1X、エボリューションデータオプティマイズド(EVDO:Evolution-Data Optimized)、時分割同期CDMA(TD−SCDMA:Time Division Synchronous CDMA)、またはCDMAの何らかの他のバージョンを実装し得る。簡単のために、図1は、2つの基地局130および132と、1つのシステムコントローラ140とを含むワイヤレスシステム120を示している。概して、ワイヤレスシステムは、任意の数の基地局と、ネットワークエンティティの任意のセットとを含み得る。
【0008】
[0016]ワイヤレスデバイス110は、ユーザ機器(UE)、移動局、端末、アクセス端末、加入者ユニット、局などと呼ばれることもある。ワイヤレスデバイス110は、セルラーフォン、スマートフォン、タブレット、ワイヤレスモデム、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ラップトップコンピュータ、スマートブック、ネットブック、コードレスフォン、ワイヤレスローカルループ(WLL)局、Bluetooth(登録商標)デバイスなどであり得る。ワイヤレスデバイス110はワイヤレスシステム120と通信し得る。ワイヤレスデバイス110はまた、放送局(たとえば、放送局134)からの信号、1つまたは複数のグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS:global navigation satellite systems)中の衛星(たとえば、衛星150)からの信号などを受信し得る。ワイヤレスデバイス110は、LTE、WCDMA、CDMA 1X、EVDO、TD−SCDMA、GSM、802.11など、ワイヤレス通信のための1つまたは複数の無線技術をサポートし得る。
【0009】
[0017]ワイヤレスデバイス110は、複数のキャリア上での動作である、キャリアアグリゲーションをサポートし得る。キャリアアグリゲーションはマルチキャリア動作と呼ばれることもある。ワイヤレスデバイス110は、698から960メガヘルツ(MHz)までのローバンド、1475から2170MHzまでのミッドバンド、ならびに/または2300から2690MHzまでのおよび3400から3800MHzまでのハイバンドにおいて動作することが可能であり得る。ローバンド、ミッドバンド、およびハイバンドは、帯域の3つのグループ(または帯域グループ)を指し、各帯域グループは、いくつかの周波数帯域(または単に、「帯域」)を含む。各帯域は、最高200MHzをカバーし得、1つまたは複数のキャリアを含み得る。各キャリアは、LTEでは最高20MHzをカバーし得る。LTEリリース11は35個の帯域をサポートし、それらの帯域は、LTE/UMTS帯域と呼ばれ、3GPP TS 36.101に記載されている。ワイヤレスデバイス110は、LTEリリース11では、1つまたは2つの帯域中の最高5つのキャリアで構成され得る。
【0010】
[0018]概して、キャリアアグリゲーション(CA)は、2つのタイプ、すなわち帯域内CAと帯域間CAとに分類され得る。帯域内CAは、同じ帯域内の複数のキャリア上での動作を指す。帯域間CAは、異なる帯域中の複数のキャリア上での動作を指す。
【0011】
[0019]図2Aに、連続帯域内CAの一例を示す。図2Aに示す例では、ワイヤレスデバイス110は、ローバンドにおける1つの帯域中の4つの連続キャリアで構成される。ワイヤレスデバイス110は、同じ帯域内の複数の連続キャリア上での送信を送信および/または受信し得る。
【0012】
[0020]図2Bに、不連続帯域内CAの一例を示す。図2Bに示す例では、ワイヤレスデバイス110は、ローバンドにおける1つの帯域中の4つの不連続キャリアで構成される。キャリアは、5MHz、10MHz、または何らかの他の量によって分離され得る。ワイヤレスデバイス110は、同じ帯域内の複数の不連続キャリア上での送信を送信および/または受信し得る。
【0013】
[0021]図2Cに、同じ帯域グループにおける帯域間CAの一例を示す。図2Cに示す例では、ワイヤレスデバイス110は、ローバンドにおける2つの帯域中の4つのキャリアで構成される。ワイヤレスデバイス110は、同じ帯域グループにおける異なる帯域中の複数のキャリア上での送信を送信および/または受信し得る。
【0014】
[0022]図2Dに、異なる帯域グループにおける帯域間CAの一例を示す。図2Dに示す例では、ワイヤレスデバイス110は、ローバンドにおける1つの帯域中の2つのキャリアと、ミッドバンドにおける別の帯域中の2つのキャリアとを含む、異なる帯域グループにおける2つの帯域中の4つのキャリアで構成される。ワイヤレスデバイス110は、異なる帯域グループにおける異なる帯域中の複数のキャリア上での送信を送信および/または受信し得る。
【0015】
[0023]図2A図2Dは、キャリアアグリゲーションの4つの例を示す。キャリアアグリゲーションは、帯域と帯域グループとの他の組合せについてもサポートされ得る。
【0016】
[0024]図3に、図1のワイヤレスデバイス110の例示的な設計のブロック図を示す。この例示的な設計では、ワイヤレスデバイス110は、1次アンテナ310に結合されたトランシーバ320と、2次アンテナ312に結合されたトランシーバ322と、データプロセッサ/コントローラ380とを含む。トランシーバ320は、複数の周波数帯域、複数の無線技術、キャリアアグリゲーションなどをサポートするために、複数(K個)の受信機330pa〜330pkと複数(K個)の送信機350pa〜350pkとを含む。トランシーバ322は、複数の周波数帯域、複数の無線技術、キャリアアグリゲーション、受信ダイバーシティ、複数の送信アンテナから複数の受信アンテナへの多入力多出力(MIMO)送信などをサポートするために、L個の受信機330sa〜330slとL個の送信機350sa〜350slとを含む。
【0017】
[0025]図3に示されている例示的な設計では、各受信機330はLNA340と受信回路342とを含む。データ受信では、アンテナ310は、基地局および/または他の送信機局から信号を受信し、受信RF信号を与え、その受信RF信号は、アンテナインターフェース回路324を介してルーティングされ、選択された受信機に入力RF信号として提示される。アンテナインターフェース回路324は、スイッチ、デュプレクサ、送信フィルタ、受信フィルタ、整合回路などを含み得る。以下の説明では、受信機330paが選択された受信機であると仮定する。受信機330pa内で、LNA340paが、入力RF信号を増幅し、出力RF信号を与える。受信回路342paは、出力RF信号をRFからベースバンドにダウンコンバートし、ダウンコンバートされた信号を増幅し、フィルタ処理し、データプロセッサ380にアナログ入力信号を与える。受信回路342paは、ミキサ、フィルタ、増幅器、整合回路、発振器、局部発振器(LO)生成器、位相ロックループ(PLL:phase locked loop)などを含み得る。トランシーバ320および322中の各残りの受信機330は、受信機330paと同様の方法で動作し得る。
【0018】
[0026]図3に示されている例示的な設計では、各送信機350は送信回路352と電力増幅器(PA)354とを含む。データ送信では、データプロセッサ380は、送信されるべきデータを処理(たとえば、符号化および変調)し、選択された送信機にアナログ出力信号を与える。以下の説明では、送信機350paが選択された送信機であると仮定する。送信機350pa内で、送信回路352paは、アナログ出力信号を増幅し、フィルタ処理し、ベースバンドからRFにアップコンバートし、被変調RF信号を与える。送信回路352paは、増幅器、フィルタ、ミキサ、整合回路、発振器、LO生成器、PLLなどを含み得る。PA354paは、被変調RF信号を受信し、増幅し、適切な出力電力レベルを有する送信RF信号を与える。送信RF信号は、アンテナインターフェース回路324を介してルーティングされ、アンテナ310を介して送信される。トランシーバ320および322中の各残りの送信機350は、送信機350paと同様の方法で動作し得る。
【0019】
[0027]図3は、受信機330および送信機350の例示的な設計を示す。受信機および送信機はまた、フィルタ、整合回路など、図3に示されていない他の回路を含み得る。トランシーバ320および322の全部または一部分が、1つまたは複数のアナログ集積回路(IC)、RF IC(RFIC)、混合信号ICなどの上に実装され得る。たとえば、LNA340、および受信回路342およびは、RFICなどであり得る1つのモジュール上に実装され得る。トランシーバ320および322中の回路は他の方法でも実装され得る。
【0020】
[0028]データプロセッサ/コントローラ380は、ワイヤレスデバイス110のための様々な機能を実行し得る。たとえば、データプロセッサ380は、受信機330を介して受信されているデータおよび送信機350を介して送信されているデータのための処理を実行し得る。コントローラ380は、トランシーバ320および322内の様々な回路の動作を制御し得る。メモリ382は、データプロセッサ/コントローラ380のプログラムコードおよびデータを記憶し得る。データプロセッサ/コントローラ380は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または他のIC上に実装され得る。
【0021】
[0029]ワイヤレスデバイス110は1つまたは複数のSIMO LNAを含み得る。SIMO LNAは、単一の入力と複数(M個)の出力とを含み、それの入力における単一の入力RF信号を受信し、最高M個の出力からの最高M個の出力RF信号を与えることができる。SIMO LNAは、(i)帯域内CAのための同じ帯域中の複数のキャリア上で送られる複数の送信、または(ii)異なるワイヤレスシステム(たとえば、LTEおよびWCDMA)からの複数の送信信号を同時に受信するために使用され得る。
【0022】
[0030]図4に、雑音スプリッティングを用いないSIMO LNA440の例示的な設計のブロック図を示す。SIMO LNA440は、それぞれM個の負荷回路490a〜490mに結合された複数(M個)の増幅器回路450a〜450mを含む。すべてのM個の増幅器回路450a〜450mの入力は互いに結合される。各増幅器回路450は、電流バッファ470に結合された利得回路460を含む。各増幅器回路450は、それぞれのVenb制御信号を介してそれの電流バッファ470をオンにすることによって有効にされ得る。
【0023】
[0031]入力RF信号(RFin)がM個の増幅器回路450a〜450mに印加される。1つまたは複数の増幅器回路450は、関連する電流バッファ470をオンにすることによって有効にされ得る。たとえば、N個の増幅器回路450は、帯域内CAのための同じ帯域中のキャリアのN個のセット上での送信を同時に受信するために有効にされ得、ここで、1≦N≦Mである。キャリアの各セットは1つまたは複数のキャリアを含み得る。各有効にされた増幅器回路450は、入力RF信号を増幅し、それの負荷回路490に出力RF信号を与え得る。
【0024】
[0032]SIMO LNA440中のN個の有効にされた増幅器回路450は、独立して動作し、処理されている異なる送信または信号間の絶縁を行うために互いに分離された出力を有する。各利得回路460は、isの信号電流とinの雑音電流とを出力する。各増幅器回路450の雑音指数(NF:noise figure)は、関連する利得回路460からの信号電流と雑音電流とに依存する。増幅器回路450は、一般に、同時に動作しているとき、異なる増幅器回路間の入力整合または雑音結合の低下により、1つの増幅器回路450が単独で動作している場合と比較して、より悪い雑音指数を有する。
【0025】
[0033]本開示の一態様では、複数の送信または信号の同時受信をサポートするために、雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAが使用され得る。雑音スプリッティングは、各出力がより少ない雑音を観測し、より良い/より低い雑音指数を達成することができるような、複数の出力間の雑音の「分割」を指す。
【0026】
[0034]図5に、電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA540の例示的な設計のブロック図を示す。SIMO LNA540は図3の1つまたは複数のLNA340のために使用され得る。SIMO LNA540は、それぞれM個の負荷回路590a〜590mに結合された複数(M個)の増幅器回路550a〜550mを含む。各増幅器回路550は、電流バッファ570に結合された利得回路560を含む。各増幅器回路550は、それぞれのVenb制御信号を介してそれの電流バッファ570をオンにすることによって有効にされ得る。
【0027】
[0035]図5に示されている例示的な設計では、SIMO LNA540は、増幅器回路550の出力間に結合された相互接続回路580をさらに含む。各相互接続回路580は、(図5に示されているように)スイッチ582を用いて、または何らかの他の回路を用いて実装され得る。各スイッチ582は、(i)スイッチに結合された2つの増幅器回路550を絶縁するために開いているか、または(ii)2つの増幅器回路550の出力を接続し、これらの増幅器回路からの出力電流を加算するために閉じていることがある。
【0028】
[0036]概して、任意の数の増幅器回路550、および増幅器回路550のうちのいずれか1つが、所与の瞬間において有効にされ得る。さらに、任意の数のスイッチ582、およびスイッチ582のうちのいずれか1つが、所与の瞬間において閉じていることがある。所与の増幅器回路550は、単独でそれの負荷回路590を駆動し得る。代替的に、複数の増幅器回路550は、それらの出力がそれらの閉じたスイッチ582を介して互いに結合され得、それらの負荷回路590をまとめて駆動し得る。それらの出力が互いに結合された増幅器回路550の雑音指数は雑音スプリッティングを介して改善され得る。
【0029】
[0037]すべてのスイッチ582が開いている場合、各増幅器回路550はそれの負荷回路590のみを駆動し得る。各増幅器回路550によってそれの負荷回路590に与えられた出力電流は
【数1】
として表され得る。上式で、is,mはm番目の増幅器回路550からの信号電流であり、in,mはm番目の増幅器回路550からの雑音電流であり、imはm番目の増幅器回路550からの出力電流である。
【0030】
[0038]各負荷回路590における雑音電力は
【数2】
として表され得る。上式で、Rloadは各負荷回路590のインピーダンスであり、Pnoise,mは、雑音スプリッティングを用いないm番目の負荷回路590における雑音電力である。
【0031】
[0039]すべてのスイッチ582が閉じている場合、すべてのM個の増幅器回路550a〜550mの出力は加算ノードXにおいて互いに短絡させられる。この場合、加算ノードにおける総電流itotal
【数3】
として表され得る。上式で、isは各増幅器回路550からの平均信号電流であり、itotalはすべてのM個の増幅器回路550a〜550mからの総電流である。
【0032】
[0040]M個の増幅器回路550a〜550mからの(またはより詳細には、M個の利得回路560a〜560mからの)信号電流is,1〜is,Mは、それらが、すべてのM個の増幅器回路550に印加される同じ入力RF信号に基づいて生成されるので、同様であるべきである。したがって、総信号電流はM*isにほぼ等しくなり得る。M個の増幅器回路550a〜550mからの雑音電流in,1〜in,Mは無相関であるべきである。したがって、総雑音電流はM個の増幅器回路550a〜550mからの雑音電流の和に等しい。
【0033】
[0041]加算ノードにおける総電流は、分割され、M個の負荷回路590a〜590mに与えられる。各負荷回路590によって受信された電流は
【数4】
として表され得る。上式で、iloadは、各負荷回路590に与えられた負荷電流である。
【0034】
[0042]M個の増幅器回路550a〜550mからの雑音電流は、無相関であるべきであり、強め合うようにまたは弱め合うように加算し得る。したがって、各負荷回路590における雑音電力は
【数5】
として表され得る。上式で、inは各増幅器回路570からの平均雑音電流であり、Pnoiseは、雑音スプリッティングを用いた各負荷回路590における雑音電力である。
【0035】
[0043]式(2)および式(5)に示されているように、雑音スプリッティングは各負荷回路590における雑音電力をM分の1に低減し得、Mは、それらの出力が互いに短絡させられた増幅器回路550の数に対応する。雑音電力の低減は、M個の増幅器回路550a〜550mからの雑音電流が無相関であることによる。増幅器回路550の出力が互いに短絡させられるか否かにかかわらず、各負荷回路590における信号電力はほぼ同じであり得る。雑音スプリッティングを用いたまたは用いない固定信号電力は、M個の増幅器回路550a〜550mからの信号電流が同様であるかまたは高度に相関することによる。信号電力はほぼ同じであるが、雑音電力は雑音スプリッティングを用いてM分の1に低減されるので、各負荷回路590における雑音指数は雑音スプリッティングを用いて改善され得る。
【0036】
[0044]電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA540は様々な回路アーキテクチャを用いて実装され得る。SIMO LNA540のいくつかの例示的な設計について以下で説明する。SIMO LNA540はまた、様々なタイプのトランジスタを用いて実装され得る。Nチャネル金属酸化物半導体(NMOS:N-channel metal oxide semiconductor)トランジスタを用いて実装されるSIMO LNA540のいくつかの例示的な設計について以下で説明する。
【0037】
[0045]図6Aに、電流バッファ出力における別個の誘導性ディジェネレーション(degeneration)および雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA640aの例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA640aは、図5のSIMO LNA540の1つの例示的な設計である。SIMO LNA640aは、2つの増幅器回路650aおよび650bとスイッチ682aとを含む。各増幅器回路650は利得回路660と電流バッファ670とを含む。SIMO LNA640aは入力RF信号を受信し、入力RF信号は、増幅器回路650aと増幅器回路650bの両方に印加される。入力RF信号は、キャリアアグリゲーションのためのキャリアの1つまたは2つのセット上での送信を含み、各セットは1つまたは複数のキャリアを含み得る。代替的に、入力RF信号は、同時に受信されるべき(たとえば、2つのワイヤレスシステムからの)2つの送信信号を含み得る。
【0038】
[0046]図6Aに示されている例示的な設計では、各利得回路660は利得トランジスタ664とソースディジェネレーションインダクタ666とを含む。利得回路660a内で、利得トランジスタ664aは、それのゲートが入力RF信号を受信し、それのソースがインダクタ666aの一方の端部に結合され、それのドレインが利得回路660aの出力を形成する。インダクタ666aの他方の端部は回路接地に結合される。図6Aに示されている例示的な設計では、各電流バッファ670はカスコードトランジスタ674を含む。電流バッファ670a内で、カスコードトランジスタ674aは、それのソースが、電流バッファ670aの入力を形成し、利得トランジスタ664aのドレインに結合され、それのゲートがVenb1制御信号を受信し、それのドレインが、電流バッファ670aの出力を形成し、負荷回路690aに結合される。増幅器回路650bは、利得トランジスタ664bと、ソースディジェネレーションインダクタ666bと、カスコードトランジスタ674bとを含み、それらは、増幅器回路650a中の利得トランジスタ664a、インダクタ666a、およびカスコードトランジスタ674aと同様の方法で結合される。利得トランジスタ664およびカスコードトランジスタ674は、図6Aに示されているように、NMOSトランジスタを用いて、または他のタイプのトランジスタを用いて実装され得る。
【0039】
[0047]図6Aに示されている例示的な設計では、スイッチ682aはNMOSトランジスタ684a、684bおよび686を含む。NMOSトランジスタ684aは、それのドレインがノードAに結合され、それのゲートがSw制御信号を受信し、それのソースが、電流バッファ670aの出力である、カスコードトランジスタ674aのドレインに結合される。NMOSトランジスタ684bは、それのドレインがノードAに結合され、それのゲートがSw制御信号を受信し、それのソースが、電流バッファ670bの出力である、カスコードトランジスタ674bのドレインに結合される。NMOSトランジスタ686は、それのドレインがノードAに結合され、それのゲートが
【数6】
制御信号を受信し、それのソースが回路接地に結合される。
【数7】
信号はSw信号を補足する。スイッチ682aは、それが閉じているとき、低い抵抗を有する必要はない。特に、スイッチ682aのオン抵抗は、負荷回路690のインピーダンスと比較して低くなるべきである。スイッチ682aは、(i)Sw信号の高電圧を用いてNMOSトランジスタ684aおよび684bをオンにすることと、(ii)
【数8】
信号の低電圧を用いてNMOSトランジスタ686をオフにすることとによって閉じていることがある。逆に、スイッチ682aは、(i)Sw信号の低電圧を用いてNMOSトランジスタ684aおよび684bをオフにすることと、(ii)
【数9】
信号の高電圧を用いてNMOSトランジスタ686をオンにすることとによって開いていることがある。
【0040】
[0048]増幅器回路650aおよび650bは他の方法でも実装され得る。別の例示的な設計では、増幅器回路は、それのソースが(ソースディジェネレーションインダクタではなく)回路接地に直接結合された、利得トランジスタを含み得る。また別の例示的な設計では、増幅器回路は、並列に結合され、それらのゲートが入力RF信号を受信する、2つの利得トランジスタを含み得る。図6Aに示されているように、第1の利得トランジスタは、それのソースがソースディジェネレーションインダクタに結合され得る。第2の利得トランジスタは、それのソースが回路接地に直接結合され得る。入力RF信号の受信電力に応じて、第1の利得トランジスタまたは第2の利得トランジスタのいずれかが選択され得る。
【0041】
[0049]図6Aに示されている例示的な設計では、各負荷回路690は、1次コイル694と2次コイル696とを備えるトランスフォーマ692を含む。コイルは、インダクタコイル、巻線、導体などと呼ばれることもある。負荷回路690a内で、トランスフォーマ692aは、(i)増幅器回路650aの出力と電源(VDD)との間に結合された1次コイル694aと、(ii)第1のダウンコンバータ(図6Aに図示せず)に第1の差動増幅RF信号を与える2次コイル696aとを含む。負荷回路690bは、(i)増幅器回路650bの出力とVDD電源との間に結合された1次コイル694bと、(ii)第2のダウンコンバータ(図6Aに図示せず)に第2の差動増幅RF信号を与える2次コイル696bとを有するトランスフォーマ692bを含む。各ダウンコンバータは、RFからベースバンドまたは中間周波数への増幅RF信号の直交ダウンコンバージョンを実行するための2つのミキサを含み得る。
【0042】
[0050]負荷回路690は他の方法でも実装され得る。別の例示的な設計では、負荷回路は、インダクタと、場合によっては増幅器回路の出力とVDD電源との間に結合されたキャパシタとを含み得る。また別の例示的な設計では、負荷回路は、それのソースがVDD電源に結合され、それのドレインがカスコードトランジスタ674のドレインに結合された、Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS:P-channel metal oxide semiconductor)トランジスタを含み得る。PMOSトランジスタはカスコードトランジスタ674に能動負荷を与え得る。
【0043】
[0051]簡単のために、図6Aは、2つの負荷回路690aおよび690bに結合された、2つの増幅器回路650aおよび650bを含むSIMO LNA640aを示している。SIMO LNA640aは、3つ以上の負荷回路690に結合された3つ以上の増幅器回路650を含み得る。
【0044】
[0052]SIMO LNA640aはシングル出力モードまたはマルチ出力モードで動作し得る。シングル出力モードでは、SIMO LNA640aは、入力RF信号を受信し、1つの負荷回路690に1つの出力RF信号を与える。シングル出力モードは、(i)キャリアアグリゲーションを用いない1つのキャリア上での送信、または(ii)帯域間CAのための異なる帯域中のキャリアの複数のセット上での送信間のキャリアの1つのセット上での送信、または(iii)1つのワイヤレスシステムからの送信信号を受信するために使用され得る。マルチ出力モードでは、SIMO LNA640aは、入力RF信号を受信し、2つの負荷回路690に2つの出力RF信号を与える。マルチ出力モードは、(i)帯域内CAのためのキャリアの2つのセット上での送信、または(ii)2つのワイヤレスシステムからの2つの送信信号を受信するために使用され得る。
【0045】
[0053]図6Bに、RFout1が有効にされたシングル出力モードでのSIMO LNA640aの動作を示す。この場合、カスコードトランジスタ674aはオンにされ、カスコードトランジスタ674bはオフにされる。さらに、スイッチ682aは、トランジスタ684aおよび684bをオフにし、トランジスタ686をオンにすることによって開いている。増幅器回路650aは、入力RF信号を増幅し、第1の出力RF信号(RFout1)を与える。増幅器回路650aは、開いたスイッチ682aを介して増幅器回路650bから絶縁される。
【0046】
[0054]図6Cに、RFout2が有効にされたシングル出力モードでのSIMO LNA640aの動作を示す。この場合、カスコードトランジスタ674bはオンにされ、カスコードトランジスタ674aはオフにされ、スイッチ682aは開いている。増幅器回路650bは、入力RF信号を増幅し、第2の出力RF信号(RFout2)を与える。増幅器回路650bは、開いたスイッチ682aを介して増幅器回路650aから絶縁される。
【0047】
[0055]図6Dに、マルチ出力モードでのSIMO LNA640aの動作を示す。この場合、カスコードトランジスタ674aとカスコードトランジスタ674bは両方ともオンにされる。さらに、スイッチ682aは、トランジスタ684aおよび684bをオンにし、トランジスタ686をオフにすることによって閉じている。増幅器回路650aおよび650bは入力RF信号を増幅し、それらの出力電流は加算される。総電流の約1/2がRFout1信号として与えられる。残りの電流はRFout2信号として与えられる。
【0048】
[0056]図7Aに、電流バッファ出力における別個の誘導性ディジェネレーションおよび雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA640bの例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA640bは、図5のSIMO LNA540の別の例示的な設計である。SIMO LNA640bは、2つの増幅器回路650aおよび650bとスイッチ682bとを含む。各増幅器回路650は、(i)利得トランジスタ664とソースディジェネレーションインダクタ666とを備える利得回路660と、(ii)カスコードトランジスタ674を備える電流バッファ670とを含む。スイッチ682bは、それのソースが増幅器回路650aの出力に結合され、それのゲートがSw制御信号を受信し、それのドレインが増幅器回路650bの出力に結合された、NMOSトランジスタ688を含む。MOSトランジスタ(たとえば、NMOSトランジスタ688)は対称構造で実装され得、MOSトランジスタのソースとドレインは交換可能であり得る。SIMO LNA640bは、図6B図6Dについて上記で説明したように、シングル出力モードまたはマルチ出力モードで動作し得る。
【0049】
[0057]図6Aおよび図7Aは、2つの増幅器回路の出力を短絡させるために使用され得るスイッチの2つの例示的な設計を示す。スイッチは他の方法でも実装され得る。別の例示的な設計では、キャパシタおよび/または抵抗器は1つまたは複数のMOSトランジスタと直列に結合され得、その直列組合せは2つの増幅器回路の出力間に結合され得る。キャパシタおよび/または抵抗器は、雑音指数のトレードオフを用いて絶縁を改善し得る。
【0050】
[0058]図7Bに、電流バッファ出力における共有誘導性ディジェネレーションおよび雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA640cの例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA640cは、図5のSIMO LNA540のまた別の例示的な設計である。SIMO LNA640cは、2つの増幅器回路652aおよび652bとスイッチ682aとを含む。各増幅器回路652は、(i)利得トランジスタ664を備える利得回路662と、(ii)カスコードトランジスタ674を備える電流バッファ670とを含む。利得回路662aおよび662b中の利得トランジスタ664aおよび664bは、一方の端部が利得トランジスタ664aおよび664bのソースに結合され、他方の端部が回路接地に結合された、ソースディジェネレーションインダクタ666を共有する。SIMO LNA640cは、図6B図6Dについて上記で説明したように、シングル出力モードまたはマルチ出力モードで動作し得る。
【0051】
[0059]図7Cに、電流バッファ出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA640cと、トランスフォーマベースの信号分割を用いた負荷回路691との例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA640cは、図7Bにおいて説明したように結合された、ソースディジェネレーションインダクタ666ならびにスイッチ682aを共有する、2つの増幅器回路652aおよび652bを含む。負荷回路691は増幅器回路652aおよび652bに結合される。図7Cに示されている例示的な設計では、負荷回路691は、1次コイル693と2つの2次コイル695aおよび695bとを有するトランスフォーマを備える。1次コイル693は、一方の端部が増幅器回路652aの出力に結合され、他方の端部が増幅器回路652bの出力に結合され、中央タップがVDD電源に結合される。2次コイル695aおよび695bは1次コイル693に磁気的に結合される。2次コイル695aは第1のダウンコンバータに第1の差動増幅RF信号を与える。2次コイル695bは第2のダウンコンバータに第2の差動増幅RF信号を与える。例示的な設計では、2次コイル695aと2次コイル695bは互いに対称であり得る。
【0052】
[0060]図8に、利得回路出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA840の例示的な設計のブロック図を示す。SIMO LNA840は図3の1つまたは複数のLNA340のために使用され得る。SIMO LNA840は、それぞれM個の負荷回路890a〜890mに結合された、複数(M個)の増幅器回路850a〜850mを含む。各増幅器回路850は、電流バッファ870に結合された利得回路860を含む。各増幅器回路850は、それぞれのVenb制御信号を介してそれの電流バッファ870をオンにすることによって有効にされ得る。
【0053】
[0061]図8に示されている例示的な設計では、SIMO LNA840は、利得回路860の出力間の相互接続回路880をさらに含む。相互接続回路880は、すべての有効にされた利得回路860からの出力電流が互いに加算されることを可能にする。次いで、すべての有効にされた利得回路860からの総電流は、すべての有効にされた増幅器回路850の電流バッファ870間で分割され得る。相互接続回路880は、以下で説明するように、様々な方法で実装され得る。
【0054】
[0062]利得回路出力における雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA840は、様々な回路アーキテクチャと様々なタイプのトランジスタとを用いて実装され得る。NMOSトランジスタを用いて実装されるSIMO LNA840のいくつかの例示的な設計について以下で説明する。
【0055】
[0063]図9Aに、利得回路出力における別個の誘導性ディジェネレーションおよび雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA940aの例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA940aは、図8のSIMO LNA840の1つの例示的な設計である。SIMO LNA940aは、2つの増幅器回路950aおよび950bと、AC結合キャパシタ982を用いて実装される相互接続回路980aとを含む。各増幅器回路950は、(i)利得トランジスタ964とソースディジェネレーションインダクタ966とを備える利得回路960と、(ii)カスコードトランジスタ974を備える電流バッファ970とを含む。キャパシタ982は、利得回路960aの出力と利得回路960bの出力との間に結合され、利得回路960aの出力と利得回路960bの出力を電気的に短絡させるように働く。電流バッファ970aおよび970bが絶縁を行うので、利得回路960の出力は、スイッチを使用する必要なしにキャパシタ982を介して互いに効果的に短絡させられ得る。SIMO LNA940aは入力RF信号を受信し、入力RF信号は、増幅器回路950aと増幅器回路950bの両方に印加される。増幅器回路950aおよび950bは、それぞれ2つの出力RF信号RFout1およびRFout2を与える。
【0056】
[0064]図9Aは、相互接続回路980aがキャパシタ982を用いて実装される例示的な設計を示す。キャパシタ982は、それのインピーダンスがカスコードトランジスタ974の相互コンダクタンス(または1/gm)と比較して小さくなるように、十分に大きくなるべきである。相互接続回路は、他の回路を用いた他の方法でも実装され得る。
【0057】
[0065]SIMO LNA940aはシングル出力モードまたはマルチ出力モードで動作し得る。シングル出力モードでは、SIMO LNA940aは、入力RF信号を受信し、RFout1またはRFout2のいずれかであり得る、1つの出力RF信号を与える。マルチ出力モードでは、SIMO LNA940aは、入力RF信号を受信し、2つの出力RF信号RFout1およびRFout2を与える。
【0058】
[0066]図9Bに、利得回路出力における共有誘導性ディジェネレーションおよび雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA940bの例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA940bは、図8のSIMO LNA840の別の例示的な設計である。SIMO LNA940bは、2つの増幅器回路952aおよび952bと相互接続回路980aとを含む。各増幅器回路952は、(i)利得トランジスタ964を備える利得回路962と、(ii)カスコードトランジスタ974を備える電流バッファ970とを含む。利得回路962aおよび962b中の利得トランジスタ964aおよび964bは、一方の端部が利得トランジスタ964aおよび964bのソースに結合され、他方の端部が回路接地に結合された、ソースディジェネレーションインダクタ966を共有する。SIMO LNA940bはシングル出力モードまたはマルチ出力モードで動作し得る。
【0059】
[0067]図9Cに、利得回路出力における共有誘導性ディジェネレーションおよび雑音スプリッティングを用いたSIMO LNA 940cの例示的な設計の概略図を示す。SIMO LNA940cは、図8のSIMO LNA840のまた別の例示的な設計である。SIMO LNA940cは、2つの増幅器回路952aおよび952bと、ソースディジェネレーションインダクタ966と、相互接続回路980bとを含む。相互接続回路980bは2つのクロス結合カスコードトランジスタ984aおよび984bを含む。カスコードトランジスタ984aは、それのソースが利得トランジスタ964aのドレインに結合され、それのゲートがVenb12制御信号を受信し、それのドレインが増幅器回路952bの出力に結合される。カスコードトランジスタ984bは、それのソースが利得トランジスタ964bのドレインに結合され、それのゲートがVenb21制御信号を受信し、それのドレインが増幅器回路952aの出力に結合される。
【0060】
[0068]SIMO LNA940cはシングル出力モードまたはマルチ出力モードで動作し得る。RFout1が有効にされたシングル出力モードでは、増幅器回路952aは有効にされ得、増幅器回路952bは無効にされ得、NMOSトランジスタ984aおよび984bはオフにされ得、増幅器回路952aはRFout1信号を与え得る。代替的に、増幅器回路952aは有効にされ得、利得トランジスタ964bおよびカスコードトランジスタ984bは有効にされ得、カスコードトランジスタ974bおよび984aは無効にされ得、増幅器回路952aはRFout1信号を与え得る。
【0061】
[0069]RFout2が有効にされたシングル出力モードでは、増幅器回路952bは有効にされ得、増幅器回路952aは無効にされ得、NMOSトランジスタ984aおよび984bはオフにされ得、増幅器回路952bはRFout2信号を与え得る。代替的に、増幅器回路952bは有効にされ得、利得トランジスタ964aおよびカスコードトランジスタ984aは有効にされ得、カスコードトランジスタ974aおよび984bは無効にされ得、増幅器回路952bはRFout2信号を与え得る。
【0062】
[0070]マルチ出力モードでは、増幅器回路952aと増幅器回路952bは両方とも有効にされ得、NMOSトランジスタ984aおよび984bは有効にされ得、増幅器回路952aおよび952bは、それぞれRFout1信号およびRFout2信号を与え得る。マルチ出力モードでは、利得回路962aは、それの出力電流の1/2をカスコードトランジスタ974aに与え、それの出力電流の残りの1/2をカスコードトランジスタ984aに与え得る。同様に、利得回路962bは、それの出力電流の1/2をカスコードトランジスタ974bに与え、それの出力電流の残りの1/2をカスコードトランジスタ984bに与え得る。カスコードトランジスタ974aおよび984bからの電流は増幅器回路952aの出力において加算され得る。カスコードトランジスタ974bおよび984aからの電流は増幅器回路952bの出力において加算され得る。カスコードトランジスタ984aおよび984bは、利得トランジスタ964aおよび964bに低いインピーダンスを提示しながら、利得トランジスタ964aのドレインと利得トランジスタ964bのドレインとを互いに効果的に短絡させる。増幅器回路952aおよび952bの雑音指数は、カスコードトランジスタ984aおよび984bをオンにし、マルチ出力モードで利得トランジスタ964aおよび964bの出力電流を分割することによって取得された雑音スプリッティングを介して改善され得る。
【0063】
[0071]図9Aおよび図9Cは、利得回路960間の相互接続回路980の2つの例示的な設計を示す。利得回路間の相互接続回路は他の方法でも実装され得る。別の例示的な設計では、相互接続回路は、図7AのNMOSトランジスタ688について示されたように結合され得る、NMOSトランジスタを用いて実装され得る。また別の例示的な設計では、相互接続回路は、図6Aの直列NMOSトランジスタ684aおよび684bとシャントNMOSトランジスタ686とについて示されたように結合され得る、2つの直列NMOSトランジスタとシャントNMOSトランジスタとを用いて実装され得る。相互接続回路は、様々な方法で実装され得、相互接続回路を見て低いインピーダンスを有するべきである。
【0064】
[0072]図6A図9Cは、利得トランジスタとカスコードトランジスタとを備えるLNAのいくつかの例示的な設計を示す。別の例示的な設計では、LNAは、インバータと同様の方法で結合されたNMOSトランジスタとPチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタとを備え得る。また別の例示的な設計では、LNAは差動ペアを備え得る。LNAは他の方法でも実装され得る。
【0065】
[0073]本明細書で説明する雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAは様々な適用例のために使用され得る。SIMO LNAは、キャリアアグリゲーションのための(たとえば、同じ帯域中の)複数のキャリア上での送信を受信するために使用され得る。SIMO LNAは、複数のワイヤレスシステム(たとえば、LTEおよびGSM、EVDOおよびCDMA 1X、WLANおよびBluetoothなど)からの(たとえば、同じ帯域中の)送信信号を同時に受信するためにも使用され得る。SIMO LNAは、異なるサービス(たとえば、音声およびデータ)のための送信を同時に受信するためにも使用され得る。SIMO LNAは、シングル出力モードで単一の出力RF信号を与えるか、またはマルチ出力モードで複数の出力RF信号を与え得る。
【0066】
[0074]本明細書で説明する雑音スプリッティングを用いたSIMO LNAは様々な利点を与え得る。第1に、これらのSIMO LNAは、線形性などの他の性能メトリックを犠牲にすることなしに、雑音スプリッティングによるより良い雑音指数を有し得る。第2に、SIMO LNAは、ダイ面積の追加ほとんどなしに、電流消費の増加なしに実装され得る。第3に、雑音スプリッティングは、同じ入力RF信号を共有する2つ以上の増幅器回路をもつ任意の回路に適用され得る。
【0067】
[0075]例示的な設計では、装置(たとえば、ワイヤレスデバイス、IC、回路モジュールなど)は、複数の増幅器回路と少なくとも1つの相互接続回路とを含み得る。複数の増幅器回路(たとえば、図5の増幅器回路550a〜550mまたは図8の増幅器回路850a〜850m)は、それらの入力が互いに結合され得、入力RF信号を受信し得る。少なくとも1つの相互接続回路(たとえば、図5の相互接続回路580または図8の相互接続回路880)は、少なくとも1つの相互接続回路に結合された複数の増幅器回路のうちの少なくとも2つを短絡させ得る。各相互接続回路は、その相互接続回路に結合された2つの増幅器回路の出力または内部ノードを短絡させるために閉じていることがある。
【0068】
[0076]例示的な設計では、複数の増幅器回路は、複数の利得回路(たとえば、図5の利得回路560または図8の利得回路860)と複数の電流バッファ(たとえば、図5の電流バッファ570または図7の電流バッファ870)とを備え得る。各増幅器回路は、1つの電流バッファに結合された1つの利得回路を含み得る。例示的な設計では、各利得回路は、その利得回路が有効にされたとき、入力RF信号を受信し、増幅信号を与える、利得トランジスタを備え得る。例示的な設計では、各電流バッファは、その電流バッファが有効にされたとき、関連する利得回路から増幅信号を受信し、出力RF信号を与える、カスコードトランジスタを備え得る。
【0069】
[0077]例示的な設計では、複数の増幅器回路のうちの1つは、この1つの増幅器回路が有効にされたとき、入力RF信号を増幅し、1つの出力RF信号を与え得る。残りの増幅器回路は無効にされ得る。例示的な設計では、複数の増幅器回路は、入力RF信号を増幅し、複数の出力RF信号を与えるために有効にされ得る。各増幅器回路は、複数の増幅器回路が有効にされたとき、複数の利得回路の各々からの電流の一部分を備える出力電流を与え得る。
【0070】
[0078]例示的な設計では、たとえば、図5に示したように、電流バッファ出力における雑音スプリッティングが実装され得る。少なくとも1つの相互接続回路は、複数の増幅器回路の出力間に結合された少なくとも1つのスイッチ(たとえば、図5のスイッチ582)を備え得る。各スイッチは、そのスイッチに結合された2つの増幅器回路の出力を短絡させるために閉じていることがある。少なくとも1つの相互接続回路またはスイッチは、複数の増幅器回路が有効にされたとき、複数の増幅器回路の出力を短絡させ得る。
【0071】
[0079]別の例示的な設計では、たとえば、図8に示したように、利得回路出力における雑音スプリッティングが実装され得る。例示的な設計では、少なくとも1つの相互接続回路は、複数の利得回路の出力間に結合された少なくとも1つのキャパシタ(たとえば、図9Aのキャパシタ982)を備え得る。各キャパシタは、そのキャパシタに結合された2つの利得回路の出力を短絡させ得る。少なくとも1つの相互接続回路は、複数の増幅器回路が有効にされたとき、複数の利得回路の出力を短絡させ得る。別の例示的な設計では、少なくとも1つの相互接続回路は、複数の利得回路と複数の電流バッファとの間に結合された複数のカスコードトランジスタ(たとえば、図9Cのカスコードトランジスタ984)を備え得る。各カスコードトランジスタは、1つの増幅器回路中の利得回路と別の増幅器回路中の電流バッファとの間に結合され得る。複数の増幅器回路が有効にされたとき、複数のカスコードトランジスタはオンにされ得る。
【0072】
[0080]例示的な設計では、複数の増幅器回路は第1および第2の増幅器回路を備え得る。第1の増幅器回路(たとえば、図6Aの増幅器回路650a)は、第1の利得トランジスタ(たとえば、利得トランジスタ664a)と第1のカスコードトランジスタ(たとえば、カスコードトランジスタ674a)とを備え得る。第2の増幅器回路(たとえば、増幅器回路650b)は、第2の利得トランジスタ(たとえば、利得トランジスタ664a)と第2のカスコードトランジスタ(たとえば、カスコードトランジスタ674a)とを備え得る。例示的な設計では、各利得回路のために別個のソースディジェネレーションインダクタが使用され得る。第1の増幅器回路は、第1の利得トランジスタのソースと回路接地との間に結合された第1のインダクタ(たとえば、インダクタ666a)を備え得る。第2の増幅器回路は、第2の利得トランジスタのソースと回路接地との間に結合された第2のインダクタ(たとえば、インダクタ666b)を備え得る。別の例示的な設計では、共有ソースディジェネレーションインダクタ(たとえば、図7Bのインダクタ666)が、第1および第2の利得トランジスタのために使用され得、これらの利得トランジスタのソースと回路接地との間に結合され得る。
【0073】
[0081]例示的な設計では、少なくとも1つの相互接続回路は、第1のカスコードトランジスタのドレインと第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合されたスイッチ(たとえば、図6Aのスイッチ682aまたは図7Aのスイッチ682b)を備え得る。スイッチは、第1の増幅器回路または第2の増幅器回路のみが有効にされたときに開いていることがあり、第1の増幅器回路と第2の増幅器回路の両方が有効にされたときに閉じていることがある。例示的な設計では、スイッチは第1、第2および第3のトランジスタを備え得る。第1のトランジスタ(たとえば、図6AのNMOSトランジスタ684a)は、第1のカスコードトランジスタのドレインと中間ノードとの間に結合され得る。第2のトランジスタ(たとえば、NMOSトランジスタ684b)は、中間ノードと第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合され得る。第3のトランジスタ(たとえば、NMOSトランジスタ686)は、中間ノードと回路接地との間に結合され得る。別の例示的な設計では、スイッチは、第1のカスコードトランジスタのドレインと第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合されたトランジスタ(たとえば、図7AのNMOSトランジスタ688)を備え得る。スイッチは他の方法でも実装され得る。
【0074】
[0082]別の例示的な設計では、少なくとも1つの相互接続回路は、第1の利得トランジスタのドレインと第2の利得トランジスタのドレインとの間に結合されたキャパシタ(たとえば、図9Aのキャパシタ982)を備え得る。第1の増幅器回路が有効にされたとき、第1のカスコードトランジスタがオンにされ得、第2のカスコードトランジスタがオフにされ得る。第2の増幅器回路が有効にされたとき、第2のカスコードトランジスタがオンにされ得、第1のカスコードトランジスタがオフにされ得る。第1および第2の増幅器回路が有効にされたとき、第1のカスコードトランジスタと第2のカスコードトランジスタが両方ともオンにされ得る。
【0075】
[0083]また別の例示的な設計では、少なくとも1つの相互接続回路は第3および第4のカスコードトランジスタを備え得る。第3のカスコードトランジスタ(たとえば、図9Cのカスコードトランジスタ984a)は、第1の利得トランジスタのドレインと第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合され得る。第4のカスコードトランジスタ(たとえば、カスコードトランジスタ984b)は、第2の利得トランジスタのドレインと第1のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合され得る。第1の増幅器回路と第2の増幅器回路が両方とも有効にされたとき、第3および第4のカスコードトランジスタがオンにされ得る。第1の増幅器回路が有効にされたとき、第1のカスコードトランジスタのみがオンにされ得るか、または第1のカスコードトランジスタと第4のカスコードトランジスタの両方がオンにされ得る。第2の増幅器回路が有効にされたとき、第2のカスコードトランジスタのみがオンにされ得るか、または第2のカスコードトランジスタと第3のカスコードトランジスタの両方がオンにされ得る。
【0076】
[0084]本装置は、それぞれ第1および第2の増幅器回路に結合された第1および第2の負荷回路を含み得る。例示的な設計では、第1の負荷回路(たとえば、図6Aの負荷回路690a)は、第1の増幅器回路に結合された第1のトランスフォーマ(たとえば、トランスフォーマ692a)を備え得る。第2の負荷回路(たとえば、負荷回路690b)は、第2の増幅器回路に結合された第2のトランスフォーマ(たとえば、トランスフォーマ692b)を備え得る。第1および第2の負荷回路は他の方法でも実装され得る。
【0077】
[0085]図10に、信号増幅を実行するためのプロセス1000の例示的な設計を示す。プロセス1000は、ワイヤレスデバイスによって、または何らかの他のエンティティによって実行され得る。それらの入力が互いに結合され得る複数の増幅器回路に入力RF信号を印加する(ブロック1012)。入力RF信号を増幅し、少なくとも1つの出力RF信号を与えるために、複数の増幅器回路のうちの少なくとも1つを有効にする(ブロック1014)。雑音スプリッティングを実行し、雑音指数を改善するために、複数の増幅器回路が有効にされたとき、少なくとも1つの相互接続回路を介して複数の増幅器回路を短絡させる(ブロック1016)。各相互接続回路は、その相互接続回路に結合された2つの増幅器回路の出力または内部ノードを短絡させ得る。
【0078】
[0086]ブロック1014の例示的な設計では、入力RF信号は、複数の増幅器回路中の複数の利得回路を用いて増幅され得る。複数の増幅器回路は出力電流を与え得る。各増幅器回路からの出力電流は、複数の利得回路の各々からの電流の一部分を備え得る。
【0079】
[0087]本明細書で説明する雑音スプリッティングを用いた増幅器(たとえば、SIMO LNA)は、IC、アナログIC、RFIC、混合信号IC、ASIC、プリント回路板(PCB)、電子デバイスなどの上で実装され得る。雑音スプリッティングを用いた増幅器はまた、相補型金属酸化物半導体(CMOS:complementary metal oxide semiconductor)、NMOS、PMOS、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)、バイポーラCMOS(BiCMOS:bipolar-CMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:heterojunction bipolar transistor)、高電子移動度トランジスタ(HEMT:high electron mobility transistor)、シリコンオンインシュレータ(SOI:silicon-on-insulator)など、様々なICプロセス技術を用いて作製され得る。
【0080】
[0088]本明細書で説明する雑音スプリッティングを用いた増幅器を実装する装置は、スタンドアロンデバイスであり得るか、またはより大きいデバイスの一部であり得る。デバイスは、(i)スタンドアロンIC、(ii)データおよび/または命令を記憶するためのメモリICを含み得る1つまたは複数のICのセット、(iii)RF受信機(RFR)またはRF送信機/受信機(RTR)などのRFIC、(iv)移動局モデム(MSM)などのASIC、(v)他のデバイス内に埋め込まれ得るモジュール、(vi)受信機、セルラーフォン、ワイヤレスデバイス、ハンドセット、またはモバイルユニット、(vii)その他であり得る。
【0081】
[0089]1つまたは複数の例示的な設計では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、あるいはコンピュータ可読媒体を介して送信され得る。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を可能にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD−ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを搬送または記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続もコンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびblu−ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザーで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0082】
[0090]本開示についての以上の説明は、いかなる当業者も本開示を作成または使用することができるように与えたものである。本開示への様々な修正は当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義した一般原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書で説明した例および設計に限定されるものではなく、本明細書で開示した原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成された複数の増幅器回路と、
少なくとも1つの相互接続回路に結合された前記複数の増幅器回路のうちの少なくとも2つを短絡させるように構成された前記少なくとも1つの相互接続回路と
を備える装置。
[C2]
前記複数の増幅器回路が複数の利得回路と複数の電流バッファとを備え、各増幅器回路について、1つの利得回路と1つの電流バッファとである、C1に記載の装置。
[C3]
各増幅器回路は、前記複数の増幅器回路が、前記入力RF信号を増幅し、複数の出力RF信号を与えるために有効にされたとき、前記複数の利得回路の各々からの電流の一部分を備える出力電流を与えるように構成された、C2に記載の装置。
[C4]
前記少なくとも1つの相互接続回路は、前記複数の増幅器回路が有効にされたとき、前記複数の増幅器回路の出力を短絡させるように構成された、C1に記載の装置。
[C5]
前記少なくとも1つの相互接続回路は、前記複数の増幅器回路が有効にされたとき、前記複数の利得回路の出力を短絡させるように構成された、C2に記載の装置。
[C6]
前記少なくとも1つの相互接続回路が、
前記複数の利得回路と前記複数の電流バッファとの間に結合された複数のカスコードトランジスタ
を備え、各カスコードトランジスタが、1つの増幅器回路中の利得回路と別の増幅器回路中の電流バッファとの間に結合され、前記複数の増幅器回路が有効にされたとき、前記複数のカスコードトランジスタがオンにされる、C2に記載の装置。
[C7]
前記複数の増幅器回路のうちの1つは、前記1つの増幅器回路が有効にされたとき、前記入力RF信号を増幅し、出力RF信号を与えるように構成され、前記複数の増幅器回路のうちの残りの増幅器回路が無効にされる、C1に記載の装置。
[C8]
前記複数の増幅器回路が第1および第2の増幅器回路を備え、前記第1の増幅器回路が第1の利得トランジスタと第1のカスコードトランジスタとを備え、前記第2の増幅器回路が第2の利得トランジスタと第2のカスコードトランジスタとを備える、C1に記載の装置。
[C9]
前記少なくとも1つの相互接続回路が、前記第1のカスコードトランジスタのドレインと前記第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合されたスイッチを備え、前記スイッチは、前記第1の増幅器回路または前記第2の増幅器回路のみが有効にされたときに開いており、前記第1の増幅器回路と前記第2の増幅器回路の両方が有効にされたときに閉じている、C8に記載の装置。
[C10]
前記スイッチが、
前記第1のカスコードトランジスタのドレインと中間ノードとの間に結合された第1のトランジスタと、
前記中間ノードと前記第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合された第2のトランジスタと、
前記中間ノードと回路接地との間に結合された第3のトランジスタと
を備える、C9に記載の装置。
[C11]
前記スイッチが、
前記第1のカスコードトランジスタの前記ドレインと前記第2のカスコードトランジスタの前記ドレインとの間に結合されたトランジスタ
を備える、C9に記載の装置。
[C12]
前記少なくとも1つの相互接続回路が、前記第1の利得トランジスタのドレインと前記第2の利得トランジスタのドレインとの間に結合されたキャパシタを備え、前記第1の増幅器回路が有効にされたとき、前記第1のカスコードトランジスタがオンにされ、前記第2のカスコードトランジスタがオフにされ、前記第2の増幅器回路が有効にされたとき、前記第2のカスコードトランジスタがオンにされ、前記第1のカスコードトランジスタがオフにされ、前記第1および第2の増幅器回路が有効にされたとき、前記第1のカスコードトランジスタと前記第2のカスコードトランジスタの両方がオンにされる、C8に記載の装置。
[C13]
前記少なくとも1つの相互接続回路が、
前記第1の利得トランジスタのドレインと前記第2のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合された第3のカスコードトランジスタと、
前記第2の利得トランジスタのドレインと前記第1のカスコードトランジスタのドレインとの間に結合された第4のカスコードトランジスタと
を備え、前記第1の増幅器回路と前記第2の増幅器回路の両方が有効にされたとき、前記第3および第4のカスコードトランジスタがオンにされる、C8に記載の装置。
[C14]
前記第1の増幅器回路が有効にされたとき、前記第1のカスコードトランジスタのみがオンにされるか、または前記第1のカスコードトランジスタと前記第4のカスコードトランジスタの両方がオンにされる、C13に記載の装置。
[C15]
前記第1および第2の利得トランジスタのソースと回路接地との間に結合されたインダクタ
をさらに備える、C8に記載の装置。
[C16]
前記第1の増幅器回路に結合された第1のトランスフォーマを備える第1の負荷回路と、
前記第2の増幅器回路に結合された第2のトランスフォーマを備える第2の負荷回路とをさらに備える、C8に記載の装置。
[C17]
複数の増幅器回路に入力無線周波数(RF)信号を印加することと、
前記入力RF信号を増幅し、少なくとも1つの出力RF信号を与えるために、前記複数の増幅器回路のうちの少なくとも1つを有効にすることと、
前記複数の増幅器回路が有効にされたとき、前記複数の増幅器回路を短絡させることとを備える方法。
[C18]
前記複数の増幅器回路中の複数の利得回路を用いて前記入力RF信号を増幅することと、
前記複数の増幅器回路からの出力電流を与えることと
をさらに備え、各増幅器回路からの出力電流が、前記複数の利得回路の各々からの電流の一部分を備える、C17に記載の方法。
[C19]
入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成された複数の増幅手段と、
少なくとも1つの相互接続手段に結合された前記複数の増幅手段のうちの少なくとも2つを短絡させるように構成された前記少なくとも1つの相互接続手段と
を備える装置。
[C20]
前記複数の増幅手段が、
前記入力RF信号を増幅するように構成された複数の利得手段と、
前記複数の利得手段に結合された複数のバッファ手段と
を備え、各増幅手段は、前記複数の増幅手段が有効にされたとき、前記複数の利得手段の各々からの電流の一部分を備える出力電流を与えるように構成された、C19に記載の装置。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10