(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリカのアルミナに対するモル割合が25〜40の範囲であり、及び前記銅のアルミニウムに対する原子割合が0.30〜0.50の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の触媒。
基材に堆積したCHA結晶構造を有するゼオライトを有する触媒を含むハニカム基材を含む触媒製品であって、ゼオライトは、シリカのアルミナに対するモル割合が15を超え、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が0.25を超え、及びイオン交換した銅を超える量の非交換の銅を含み、
触媒が、イオン交換した銅と非交換の銅を含み、非交換の銅の量が、触媒を熱水的に熟成させた後の前記触媒の、酸化窒素を含む排気ガス流におけるNOX変換性能を維持するのに充分な量であり、
熟成の後の触媒の、200℃におけるNOX変換性能が、熟成の前の触媒の、200℃におけるNOX変換性能に対して、少なくとも90%であり、触媒が、少なくとも2.00質量%の酸化銅を含むことを特徴とする触媒製品。
アンモニアを含む排気ガス流、及び排気ガス中のアンモニアの少なくとも一部を破壊するのに有効な請求項1〜13のいずれか1項に記載の触媒を含むことを特徴とする排気ガス処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この技術分野で見出される、Feベータゼオライト等の他のゼオライト触媒と比較した場合、本発明の実施の形態に従う銅CHA触媒材料では、低温での活性と熱水での安定性が改良される。
【0010】
本発明の一実施の形態は、CHA触媒構造を有し、及びシリカのアルミナに対するモル割合が約15を超え、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.25を超えるゼオライトを含む触媒に関する。特定の実施の形態では、シリカのアルミナに対するモル割合が約15〜約256の範囲であり、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が、約0.25〜0.50の範囲である。より特定的な実施の形態では、シリカのアルミナに対するモル割合が約25〜約40の範囲である。より特定的な実施の形態では、シリカのアルミナに対するモル割合が約30である。ある特定の実施の形態では、銅のアルミニウムに対する原子割合が、約0.30〜0.50の範囲である。ある特定の実施の形態では、銅のアルミニウムに対する原子割合が、約0.40である。特定の実施の形態では、シリカのアルミナに対するモル割合が約25〜約40の範囲であり、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が、約0.30〜0.50の範囲である。特定の実施の形態では、シリカのアルミナに対するモル割合が約30であり、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が、約0.40である。
【0011】
特定の実施の形態では、触媒は、イオン交換した銅を含み、そして非交換の銅の量が、触媒を熱水により熟成(老化:aging)させた後の、酸化窒素(窒素酸化物)を含む排気ガス流における上記触媒のNO
X変換性能を維持するのに充分である。一実施の形態では 熟成の後の触媒の、約200℃におけるNO
X変換性能は、熟成の前の触媒の、約200℃におけるNO
X変換性能に対して、少なくとも90%である。特定の実施の形態では、触媒は、少なくとも約2.00質量%の銅酸化物(酸化銅)を含む。
【0012】
少なくとも一つの実施の形態では、触媒は、ハニカム基材の上に堆積される。一つ以上の実施の形態では、ハニカム基材(honeycomb substrate)は、壁流基材を含む。他の実施の形態では、ハニカム基材は、流通基材(貫流基材:flow through substrate)を含む。ある実施の形態では、流通基材の少なくとも一部が、(基材を通って流れるガス流中に含まれる窒素酸化物を還元するために設けられた)CuCHAで被覆される。特定の実施の形態では、流通基材の少なくとも一部分が、排気ガス流中のアンモニアを酸化するために適用されたPt及びCuCHAで被覆されている。
【0013】
壁流基材を使用する一実施の形態では、壁流基材の少なくとも一部分が、基材を通って流れる(貫流する)ガス流中に含まれる窒素の酸化物を還元するために適用されたCuCHAで被覆されている。他の実施の形態では、壁流基材の少なくとも一部分が、排気ガス流中のアンモニアを酸化するために適用されたPt及びCuCHAで被覆されている。
【0014】
特定の実施の形態では、触媒製品は、(基材に堆積したCHA結晶構造を有するゼオライトを有する)ハニカム基材を含み、ゼオライトは、シリカのアルミナに対するモル割合が約15を超え、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.25を超え、及びイオン交換した銅を超える量の遊離銅を含む。一実施の形態では、遊離銅は、触媒の窒素酸化物変換の熱水による低下を防止するのに十分な量で存在する。一つ以上の実施の形態では、遊離銅は、熱水の熟成で、触媒の窒素酸化物の変換の熱水による劣化を防止する。触媒は、更に、バインダーを含んでいても良い。特定の実施の形態では、イオン交換した銅が酢酸銅を使用して変換される。
【0015】
本発明の他の局面は、上述したタイプの触媒を組み込んだ排気ガス処理システムに関する。更に他の局面は、ガス流中に含まれる窒素の酸化物を、酸素の存在下に還元する方法(該方法は、ガス流を上述した触媒と接触させることを含む)に関する。
【0016】
他の局面は、NO
Xを含む排気ガス流、及び排気ガス中のNO
Xの少なくとも1種の成分を選択的に触媒還元するのに有効な上記触媒を含む排気ガス処理システムに関する。更に他の局面は、アンモニアを含む排気ガス流、及び排気ガス中のアンモニアの少なくとも一部を破壊するのに有効な上記触媒を含む排気ガス処理システムに関する。
【0017】
図面の簡単な説明
図1は、実施例1の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2Oを、反応温度の関数として表したグラフである;
図1Aは、実施例1及び1Aの方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2O(ppm)を、反応温度の関数として表したグラフである;
図2は、実施例2の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2Oを、反応温度の関数として表したグラフである;
図3は、実施例3の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2O(ppm)を、反応温度の関数として表したグラフである;
図4は、実施例4の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2O(ppm)を、反応温度の関数として表したグラフである;
図5は、種々の温度での、CO、プロペン、n−オクタン、及び水がCuCHA SCR活性に与える影響を表したグラフである;
図5Aは、実施例12Aに従いテストされたサンプルについて、貯蔵、放出、コークスとして堆積したHCの量及び燃焼コークスの量を表したグラフである;
図5Bは、実施例12Aに従う、CuY及びFeベータゼオライトと比較したCuCHAの炭化水素性能を表した棒グラフである;
図6は、実施例13及び14の方法に従って製造され、及び熟成されたAMOX触媒出口からのNH
3、NO
X(=NO+NO
2)、N
2O及びN
2の放出を、窒素原子をベースにppmで表したグラフである;
図7は、実施例16の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2O(ppm)を、反応温度の関数として表したグラフである;
図8は、実施例17の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2O(ppm)を、反応温度の関数として表したグラフである;
図9は、実施例18の方法に従い製造されたCuCHAについて、窒素酸化物除去効率(%)、アンモニア消費(%)、及びCuCHA触媒の生成N
2O(ppm)を、反応温度の関数として表したグラフである;
図10A、10B及び10Cは、本発明の排気処理システムの3つの例示的な実施の形態の概略図である;
図11は、実施例20と22AのUV/VISである;
図12は、CHA及び熟成CHAサンプルと比較した、実施例22及び22Aの
27AlMASNMRスペクトルである。
【0018】
詳細な説明
本発明の例示的な実施の形態をいくつか説明する前に、本発明は、以下に記載する構成又は工程の詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施の形態が可能であり、そして種々の方法で行うことができる。
【0019】
本発明の一実施の形態では、菱沸石等のCHA構造を有するゼオライトが提供される。一つ以上の実施の形態では、CHA結晶構造を有し、シリカのアルミナに対するモル割合が約15を超え、そして銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.25を超えるゼオライトが提供される。特定の実施の形態では、シリカのアルミナに対するモル割合が約30であり、そして銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.40である。CHA構造を有する他のゼオライトは、SSZ−13、LZ−218、LindeD、LindeR、Phi、ZK−14及びZYT−6を含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
CHA構造を有するゼオライトの合成は、この技術分野では公知の種々の技術に従い行うことができる。例えば、代表的なSSZ−13合成では、シリカの供給源、アルミナの供給源、及び有機配向剤(organic directing agent)が、アルカリ性水性条件下に混合される。代表的なシリカ供給源は、種々のタイプのヒューミドシリカ、沈降シリカ、及びコロイド状シリカ、及びシリコンアルキキシドである。代表的なアルミナ供給源は、ベーマイト、シュードベーマイト(pseudo-boehmite)、アルミニウムヒドロキシド、アルミニウム塩、例えばアルミニウムサルフェート、及びアルニミウムアルコキシドを含む。代表例では、水酸化ナトリウムが反応混合物に加えられるが、しかしこのことは必要とはされない。この合成のための代表的な配向剤は、アダマンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドであるが、他のアミン及び/又は4級アンモニウム塩が代用されて良く、又は後者の配向剤に加えても良い。反応混合物を圧力容器内で攪拌させながら加熱して、結晶性SSZ−13生成物を製造しても良い。代表的な反応温度は150〜180℃の範囲である。代表的な反応時間は、1〜5日間である。
【0021】
反応の終わりに、生成物はろ過され、そして水で洗浄される。この代わりに、生成物を遠心分離しても良い。有機添加剤を使用し、固体生成物の処理と分離を補助しても良い。生成物の処理(加工)において、任意にスプレー乾燥工程を行っても良い。固体生成物は空気又は窒素中で熱的に処理される。この代わりに、種々のシーケンスで、各ガス処理を施しても良く、又はガスの混合物を施しても良い。代表的なか焼(焼成)温度は、400〜700℃の範囲である。
【0022】
本発明の一つ以上の実施の形態に従うCuCHAゼオライト触媒を、触媒工程(該触媒工程は、酸化及び/又は熱水条件、例えば、約600℃を超える、例えば、約800℃を超え、及び約10%の水蒸気の存在下の条件を含む)で使用しても良い。より特定的には、本発明の実施の形態に従い製造されたCuCHAゼオライト触媒は、CuY及びCuBetaゼオライトと比較して、熱水的な安定性が増している。本発明の実施の形態に従い製造されたCuCHAゼオライト触媒は、NO
Xのアンモニアでの選択的な触媒還元における活性が改良されており、特に、少なくとも約600℃を超え、例えば、約800℃はそれ以上の高温下、及び約10%以上の水蒸気環境下に運転(操作)した場合にその活性が改良されている。CuCHAは、高い固有活性(intrinsic activity)を有しており、これにより、触媒材料の使用を少量にすることができ、従って、CuCHAのワッシュコートで被覆されたハニカム基材の背圧は低減される。一つ以上の実施の形態では、熱水熟成は、約800℃の温度で、約10%以上の高水蒸気環境下に、少なくとも約5時間〜25時間、及び特定の実施の形態では約50時間まで、触媒を曝す(露出させる)ことを表す。
【0023】
本発明の実施の形態は、内燃式エンジンによって生成された、排気ガス流中のNO
Xを、シリカのアルミナに対するモル割合が約15を超え、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.25を超えるCuCHAゼオライト触媒を使用して低減する方法に関する。他の実施の形態は、シリカのアルミナに対するモル割合が約15を超え、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.25を超えるCuCHAゼオライト触媒を含むSCR触媒、及びCuCHAゼオライト触媒を組み込んだ排気ガス処理システムに関する。更に、他の実施の形態は、アンモニア酸化(AMOX)触媒に関し、及びシリカのアルミナに対するモル割合が約15を超え、及び銅のアルミニウムに対する原子割合が約0.25を超えるCuCHAゼオライト触媒を含むAMOX触媒を組み込んだ排気ガス処理システムに関する。一つ以上の実施の形態では、触媒とシステムは、イオン交換した銅、及び(少なくとも約600℃、例えば約800℃以上、及び焼く10%以上の高い水蒸気環境下で運転する場合に、)触媒の熱的劣化を防止するのに十分に過剰な遊離銅を有するCuCHAゼオライト触媒を使用する。
【0024】
本発明に従う触媒の改良された性能は、Cuの積載に帰するものであることを、実験は示していた。ゼオライトの構造内の交換サイトについて、Cuを交換してCuのレベルを上げることができるが、非交換(未交換)Cuを塩の状態、例えばCuSO
4の状態でゼオライト触媒内に残すことが有利であることがわかった。か焼では、銅塩は、CuOに分解する。該CuOを、ここでは「遊離銅」又は「溶解性銅」と称しても良い。一つ以上の実施の形態では、この遊離銅は、活性であり且つ選択的であり、窒素酸化物を含むガス流の処理に使用した場合には、N
2Oの形成を低くする。予期しないことであったが、この「遊離」銅は、約800℃以下の温度での熱的熟成に付した(subject)触媒を安定かさせることがわかった。
【0025】
本発明の実施の形態が特定の原理と結び付いているわけではないが、CHAの通路開口(channel opening)が比較的少ないと、ディーゼル燃料では代表的な高分子量の炭化水素(HC)が入り込めず、そしてCuCHA構造内に吸収することができないと信じられている。Beta又はZSM5のような他のゼオライトとは異なり、本発明の実施の形態に従い製造されたCHA触媒は、これらの分子量が大きなHC種を吸着するのに親和力(affinity)が比較的低い。このことは、選択的触媒還元(SCR)触媒に使用するのに、有利な特性である。
【0026】
ディーゼル酸化触媒(DOC)から下流側にSCRを使用するシステムでは、CuCHA触媒の特性は、本発明の実施の形態に従い、一つ以上の有利な結果をもたらす。立ち上げ(start-up)と長期間にわたる低温での運転(操作)の間、SCRのみ、又はディーゼル酸化触媒(DOC)又はDOCとCuCHASCRの上流側の触媒化煤フィルター(CSF)は、HCを酸化するのに、完全には活性化されない。一つ以上の実施の形態では、低温では、CuCHASCR触媒がHCによって影響されないので、低温運転枠の広い範囲で、触媒の活性が維持される。一つ以上の実施の形態では、低温は、約250℃以下の温度を表す。
【0027】
一つ以上の実施の形態では、CuCHA触媒は、低温枠内で運転(作用)される。エンジンの下流側のDOC前触媒(DOC pre-catalyst)続くSCR触媒及びCSF、又はCSFとSCRの上流側のDOC前触媒を有する排気ガス処理システムの(運転)時間にわたり、DOCは、低温点火及びHC燃料の燃焼を活性化させる傾向を有する。このようなシステムでは、SCRが低温での運転性を維持できるならば有利である。酸化触媒は、NOのNO
2への酸化性能を失うものなので、NOをNO
2と同様の効率で処理できるSCR触媒を設けることが有利である。本発明の実施の形態に従い製造されたCuCHA触媒は、低温で、NOをNH
3によって還元する性能を有する。この特性は、非交換Cuをゼオライト触媒に添加することによって高められる。
【0028】
本発明の実施の形態に従えば、SCR触媒は、自立(self supporting)触媒粒子の状態が可能であり、又はSCR触媒組成物で形成されたハニカムモノリスとしてのものが可能である。しかしながら、本発明の一つ以上の実施の形態では、SCR触媒組成物は、セラミック又は金属基材、例えばハニカム流通(貫流)基材上のワッシュコートとして、又はワッシュコートの組合せとして設けられる。
【0029】
排気処理システムの特定の実施の形態では、SCR触媒は、イオン交換した銅に加えて遊離銅を有する、Cu交換されたCHAゼオライ材料から形成される。
【0030】
ハニカムモノリス基材に堆積された場合、このようなSCR触媒組成物は、少なくとも約0.5g/in
3、例えば約1.3g/in
3、約2.4g/in
3又はそれ以上の濃度で堆積され、NO
X還元が達成され、及び長い(延長された)使用にわたり、触媒の適切な耐久力が達成される。
【0031】
ここで「SCR」触媒という用語は、(選択的触媒還元では、窒素酸化物の還元剤との触媒反応が起こり窒素酸化物を還元する)選択的触媒還元を意味するために、広い意味に使用される。「還元体」又は「還元剤」も、温度を上げてNO
Xを還元する化学物質又は化合物を意味するために、ここでは広い意味に使用される。特定の実施の形態では、還元剤は、アンモニア、特にアンモニア前駆体、すなわち、ウレアであり、そしてSCRは、窒素還元体SCRである。しかしながら、本発明の広い範囲では、還元剤は燃料、特にディーゼル燃料、及びその留分及び集合的にHC還元剤(HC還元体)と称される如何なる炭化水素及び酸化炭化水素も含む。
【0032】
基材
触媒組成物は、基材に設けられる。基材は、触媒を製造するために使用される如何なるものであっても良く、そして通常、セラミック又は金属ハニカム構造を含む。適切な如何なる基材も使用して良く、例えば入口から出口面まで伸びる微細で平行なガス流通路(該ガス流通路は開口しており、流体が通路を流れることができる)を有するモノリス基材(ハニカム流通基材と称される)を使用して良い。その流体入口から流体出口までを実質的にまっすぐに伸びる通路は、壁部によって規定されており、この壁部に触媒材料がワッシュコートとして堆積され、これにより通路を流れるガスが触媒材料と接触する。モノリス基材の流体通路は薄壁の流路(通路:channel)であり、該流路は、台形、長方形、四角形、正弦曲線、六角形、長円形、円形等の適切な如何なる断面形状と大きさを有していても良い。このような構造は、断面の1平方インチ当たり、約60〜約400又はそれ以上の入口開口部(すなわちセル)を含んでいても良い。
【0033】
基材は、流路が交互に閉塞されており、そして一方向(入口方向)から流路に入るガス状流を、流路壁を通って流し、そして他方向(出口方向)から、流路から出す後構成の壁流フィルタ基材も可能である。AMOX及び/又はSCR触媒組成物は、流通(貫流)又は壁流フィルターに被覆することができる。壁流基材が使用された場合、得られるシステムは、ガス状汚染物質の他に、粒子状物質も除去することができる。壁流フィルター基材は、コージライト、アルミニウムチタネート又はシリコンカーバイド等のこの技術分野では公知の材料から作ることができる。壁流基材に触媒組成物を積載することは、基材の特性、例えば多孔度(多孔率)及び壁の厚さに依存し、そして一般的には、その積載量は、流通基材への積載量よりも少ない。
【0034】
セラミック基材は、如何なる適切な如何なる耐火材料から製造しても良く、適切な耐火材料は、例えばコージライト、コージライト-アルミナ、シリコン、ニトライド(窒化物)、ジルコンムライト、リシア輝石、アルミナ−シリアマグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、葉長石、アルファ−アルミナ、アルミナシリケート、及びこれらに類するものである。
【0035】
本発明の実施の形態の触媒に有用な基材は、実質的に金属であっても良く、そして1種以上の金属又は金属合金で構成させていても良い。金属基材は、種々の形状、例えば波形シート又はモノリス状態であって良い。適切な金属担体は、耐熱金属及び金属合金、例えばチタン及びステンレス鋼及び鉄が主体の(又は鉄が大部分を占める)他の合金を含む。このような合金は、1種以上のニッケル、クロム及び/又はアルミニウを含んでも良く、そしてこれらの金属の合計量は、合金の少なくとも15質量%、例えば10〜25質量%のクロム、3〜8質量%のアルミニウム及び20質量%以下のニッケルを含むことが有利である。合金は、少量又は微量の1種以上の金属、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタン、及びこれらに類するものを含んでも良い。金属基材の表面を、高温、例えば1000℃以上で酸化し、基材の表面上に酸化物層を形成することにより、合金の腐食(コロージョン)に対する抵抗性を改良しても良い。このような高温起因の酸化は耐火金属酸化物担体及び触媒的に促進する金属成分の基材への付着力を高める。
【0036】
これに代わる実施の形態では、CuCHA触媒組成物の一方又は両方が連続気泡フォーム基材上に堆積されても良い。このような基材は、この技術分野では公知であり、そして代表例では、耐火セラミック又は金属材料で形成されている。
【0037】
ワッシュコートの製造
一つ以上の実施の形態では、CuCHAのワッシュコートは、バインダーを使用して製造することができる。一つ以上の実施の形態では、適切な前駆体、例えばジルコニルアセテート又は他の適切なジルコニウム前駆体、例えばジルコニルニトレートから誘導されるZrO
2が使用される。一実施の形態では、ジルコニルアセテートバインダーは、均質性を保持し、及び熱的熟成の後、例えば、触媒が、少なくとも約600℃、例えば、約800℃以上で、約10%以上の高水蒸気の環境に曝された場合に損なわれていない触媒被覆を提供する。ワッシュコートを損なうことなく保持することは有利である。この理由は、弛んだ、又は遊離し(単離した)被覆物は、CSFを塞ぎ得るもので、背圧が増加する原因になるからである。
【0038】
一つ以上の実施の形態に従えば、CuCHA触媒は、アンモニア酸化触媒として使用することができる。このようなAMOX触媒は、SCR触媒を含む排気ガス処理システムに使用することが有用である。出願人が同一のU.S.Patent No.5,516,497(この文献は、その全てがここに導入される)に記載されているように、酸素、窒素、窒素酸化物及びアンモニアを含むガス状流は、順次、第1及び第2の触媒(第1の触媒は、主に窒素酸化物を還元する傾向を有し、第2の触媒は、過剰のアンモニアを酸化するか、又は他に分解する傾向を有する)を通過することができる。U.S.Patent No.5,516,497に記載されているように、第1の触媒は、ゼオライトを含むSCR触媒が可能であり、そして第2の触媒は、ゼオライトを含むAMOX触媒が可能である。
【0039】
この技術分野では公知のように、燃料と排気ガスから窒素酸化物の放出を低減するために、窒素酸化物を含むガス状流にアンモニアが加えられ、そして次に、窒素酸化物をアンモニアで触媒的に還元するために、ガス状流が高温で、適切な触媒と接触される。このようなガス状流、例えば、内燃エンジンの燃焼生成物、又はガス燃料又はオイル燃料のタービンエンジンの燃焼生成物は、その特質として、しばしば酸素を相当量で含む。タービンエンジンの一般的な排気ガスは、約2〜15体積パーセントの酸素及び、(百万に対する)約20〜500体積部の窒素酸化物を含み、後者は通常、NOとNO
2の混合物を含む。通常、(存在する全ての窒素酸化物を還元するのに必要とされるアンモニアの化学量論(化学的量)を超える量が使用された場合でも、)ガス状流には、残留アンモニアを酸化するのに充分な酸素が存在する。しかしながら、化学量論的な量を大きく上回る量のアンモニアが使用された場合、又は処理するガス状流に酸素が存在しないか、酸素の含有量が低い場合、酸素含有ガス(通常では空気)を、第1の触媒領域と第2の触媒領域の間に導入し、これにより残留する又は過剰のアンモニアを酸化するために、第2の触媒領域に適切な量の酸素を確保するようにしても良い。
【0040】
酸素とアンモニアの競争反応で、窒素とH
2Oを選択的に形成するアンモニアと窒素酸化物の反応を促進するために金属促進ゼオライトが使用されてきた。従って、アンモニアと窒素酸化物の触媒反応は、しばしば窒素酸化物の選択的触媒還元(「SCR」)と称され、又ここでは、単に「SCR法」と称される。反応を完了させ、及びガス状流中のアンモニアの不適切な混合を克服するために、理論的には、SCR法では、存在する窒素酸化物を完全に反応させるのに必要されるアンモニアの化学量論的な量を超えるアンモニアを供給することが望まし。しかしながら、実際には、このような化学量論を上回る、かなりの量の過剰なアンモニアは、通常では供給されない。この理由は、触媒から大気への未反応アンモニアの排出が、空気汚染問題を発生させるからである。未反応アンモニアのこのような排出は、アンモニアが化学量論的量又は化学量論的量を下回る量で存在する場合でも発生する。そしてアンモニアのこのような排出は、不完全な反応及び/又は(高アンモニア濃度のチャンネル(筋)を形成する)アンモニアのガス状流への混合不良の結果として生じる。このようなチャンネリング(筋形成)は、モノリス状ハニカムタイプの担体(該担体は内部を通る複数の微細で平行なガス流通路を有する耐火物本体を含む)を含む触媒を使用する場合に特に懸念される。この理由は、粒子状触媒の床の場合とは異なり、流路間でガスを混合する機会がないからである。
【0041】
本発明の実施の形態に従えば、CuCHA触媒は、(1)SCR法、すなわち、窒素酸化物をアンモニアで還元し窒素とH
2Oを形成すること、又は(2)アンモニアを酸素で酸化し、窒素とH
2Oを形成すること、の何れに有利になるようにも調節することができ、触媒の選択性は、ゼオライトのCu含有量を制御することで調節することができる。U.S.Patent No.5,516,497は、SCR反応の選択性(銅CHAを除く)、及び(SCR法を犠牲にして)酸素によりアンモニアを酸化するための触媒の選択性を得る、ゼオライトへの鉄と銅の積載レベルを教示している。本発明の実施の形態に従えば、CuCHA銅の積載を調節して、SCR反応及びアンモニアの酸素による酸化のための選択性を得ることができ、及び触媒の両方のタイプを使用する排気ガス処理システムを提供することができる。
【0042】
上述した原理は、段階的な、又は2領域触媒を設けることによって実現できる。ここで、段階的な又は2領域触媒は、ゼオライトに銅を積載した、SCRを促進する第1の触媒領域、及びこれに続く、(アンモニアの酸化を促進する)銅及び/又は貴金属成分を積載したゼオライトを含む第2の触媒領域を有するものである。従って、得られた触媒組成物は、第1の(上流)領域と第2の(下流)領域を有し、第1の(上流)領域は、窒素酸化物をアンモニアで還元させる傾向を有し、第2の(下流)領域は、アンモニアを酸化させる傾向を有する。このように、アンモニアが化学量論的な量よりも過剰に存在する場合、ガス流の流れの断面が処理されていても、又高濃度のアンモニアの局所化した流路が存在しても、残留アンモニアの酸素による酸化は、下流又は第2の触媒領域によって有利に行なわれる。触媒から排出されたガス状流中のアンモニアの量は、これにより、低減され、又は除去される。第1の領域及び第2の領域は、段一の触媒上に存在可能であり、又は別々の(分離した)基材として存在可能である。
【0043】
貴金属、例えばPtを含むCuCHAワッシュコートはAMOX触媒を提供することが立証された。ガス流中のアンモニアが破壊(分解)されるのみならず、N
2に変換することによる、連続的なNO
Xの連続的な除去も期待される。特定の実施の形態では、ゼオライトは、SiO
2/Al
2O
3の割合が約15〜256であり、そしてAl/M割合が2〜10の範囲である(但し、MはCuと貴金属の合計を表す)。一実施の形態では、貴金属は白金を含み、そして白金の含有量は、触媒に対して、0.02質量%〜1.0質量%であり、及び部分積載(part loading)は、0.5〜5g/in
3である。
【0044】
本発明の一つ以上の実施の形態では、CuCHASCR触媒は、壁流フィルター又は触媒煤フィルターに設けることができる。CuCHAワッシュコートを多孔性(細孔性)フィルターに被覆して、煤燃焼、SCR及びAMOX機能を与えることができる。
【0045】
本発明の一つ以上の実施の形態では、触媒は貴金属成分、すなわち、白金族金属成分を含む。例えば、上述のように、AMOXは代表例では白金成分を含む。適切な貴金属成分は、白金、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物を含む。触媒材料の幾つかの成分(例えば、CuCHA及び貴金属成分)を耐火物担体部材、すなわち基材に、(2種以上の成分の混合物として、又は個々の成分を連続する段階で、触媒製造の分野の当業者にとって容易に理解できる方法で、)施しても良い。上述のように、そして実施例で説明するように、本発明の実施の形態に従う触媒を製造する代表的な方法は、(適切な担体部材のガス流通路の壁への)被覆物又はワッシュコートとして触媒材料を提供することである。
このことは、次ぎのように行って良い。すなわち、微細な粒子状耐火金属酸化物担体材料、例えば、ガンマアルミナを1種以上の触媒金属成分、例えば貴金属、すなわち白金族、化合物又は他の貴金属又は卑金属に浸漬させ、乾燥させ、及び浸漬(含浸)した担体粒子をか焼(焼成)し、及びこれら粒子の水性スラリーを形成することによって行って良い。バルク銅菱沸石の粒子をスラリーに含んでも良い。触媒成分をその上に分散させる前に、活性化したアルミナを熱的に安定化しても良い。この熱的な安定化は、この技術分野では公知のように、例えば、バリウム、ランタン、ジルコニウム、希土類金属の溶解性の塩又は他の適切な安定剤前駆体の溶液に浸漬(含浸)させ、次に乾燥(例えば、110℃で1時間)させ、そして浸漬させて活性化したアルミナを、か焼(例えば、550℃で1時間)させてアルミナ上に分散した安定化金属酸化物を形成することにより行っても良い。卑金属触媒を、任意に活性化アルミナに含浸させて良く、例えば、卑金属の溶液をアルミナ粒子に含浸させ、そしてか焼(焼成)してアルミナ粒子に分散した卑金属酸化物を得ても良い。
【0046】
そして、担体を含浸させた活性化アルミナのスラリーに浸漬させ、そして余分のスラリーを除去し、担体のガス流通路の壁にスラリーの薄い被覆(被膜)を設けても良い。次に被覆された担体は、乾燥され、そしてか焼されて触媒成分、及び任意に銅CHA材料の、通路の壁に付着した被覆物が設けられる。1層以上の追加的な層を担体に設けても良い。各層を施した後、又はいくつかの所望の層を施した後、次に担体を乾燥し、そしてか焼して、本発明の一実施の形態に従う、仕上げられた触媒部材が得られる。
【0047】
この代わりに、貴金属又は卑金属成分で含浸したアルミナ又は他の担体粒子を、銅菱沸石材料のバルク又は担持粒子と、水性スラリー中で混合し、そして触媒成分粒子と銅菱沸石材料粒子の混合スラリーを担体のガス流通路の壁への被覆物として施しても良い。
【0048】
使用において、排気ガス流を、本発明の実施の形態に従って製造された触媒に接触させることができる。例えば、本発明の実施の形態に従い製造されたCuCHA触媒は、ディーゼルエンジンを含むエンジンの排気ガスを処理するのに適切である。
【0049】
以下に実施例を使用して本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0050】
実施例1
(シリカ/アルミナモル割合が30の)100gのNH
4+状CHAを400mLの1.0Mの銅(II)サルフェート溶液と混合することにより、CuCHA粉末触媒を製造した。硝酸で、pHを3.5に調節した。スラリーを80℃で1時間攪拌させて、NH
4+状CHAと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。得られた混合物を次にろ過し、800mLの脱イオン水で、ろ液が透明で無色になるまで(3箇所で)洗浄した。このことは、溶解性又は遊離銅がサンプル内に実質的に残っていないことを示す。そして洗浄したサンプルを90℃に乾燥した。イオン交換、ろ過、洗浄及び乾燥を含む上述した工程を、もう一度繰り返した。
【0051】
次に得られたCuCHA生成物を、640℃で6時間か焼した。得られたCuCHA触媒は、ICP分析で測定して、CuOを2.41%含んでいた。90gの上述したCuCHAを、215mLの脱イオン水(純水)と混合させることにより、CuCHAスラリーを製造した。混合物をボールミル(粉砕)した。稀酢酸中の15.8gのシツコニウムアセテート(30%のZrO
2を含む)を、スラリーに攪拌させながら加えた。
【0052】
セル密度が400cpsi(平方インチ当たりのセル)及び壁厚が6.5ミルの1”Dx3”Lセル状セラミックコアにスラリーを被覆した。被覆したコア(核)を110℃で3時間乾燥し、そして400℃で1時間か焼した。被覆工程をもう一度繰り返し、2.4g/in
3のワッシュコートの目標積載量を得た。
【0053】
500ppmのNO、500ppmのNH
3、10%O2、5%H
2OのN
2でバランスした供給ガス混合物を、1”Dx3”L触媒コアを含む定常状態の反応器に加えることにより、新しい触媒コアの窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)の効率と選択性を測定した。150℃〜460℃の温度範囲にわたり、空間速度80,000hr
-1で、反応を行った。
【0054】
10%H
2Oの存在下に、800℃で5時間、触媒コアを熱水的に熟成(老化)させ、触媒の熱水の安定性を測定し、次に新しい触媒コア上のSCR評価について上述したものと同一の工程により窒素酸化物のSCR効率と選択性を測定した。
【0055】
図1は、このサンプルについて、NO
X変換とN
2O製造又は形成の温度との関係を示したグラフである。結果を表1に示す。
【0056】
このサンプル(該サンプルは、上述したろ液の色によって示されたように、か焼の前に溶解性銅を含んでいなかった)は、熱的熟成に対して抵抗性が高くなかった。
【0057】
実施例1A
実施例1の被覆スラリーに、銅サルフェートペンタハイドレートが加えられ、合計CuOレベルを3.2%とした。モノリスを640℃でか焼したこと以外は、実施例1に概説したようにスラリーをモノリスに被覆し、及び熟成させ、そしてSCR NO
Xについて試験した。
図1Aで、触媒性能を実施例1と比較した。被覆スラリーに銅サルフェートを加えることにより、熱水的な安定性と低温活性がかなり改良される。
【0058】
実施例2
(シリカ/アルミナモル割合が30の)17KgのNH
4+状CHAと、68Lの1.0Mの銅(II)サルフェート溶液を混合することにより、CuCHA粉末触媒を製造した。硝酸で、pHを3.5に調節した。スラリーを80℃で1時間攪拌させて、NH
4+状CHAと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。得られた混合物を次にろ過し、そして空気乾燥した。イオン交換、及びろ過を含む上述した工程を、もう一度繰り返した。濡れた状態のろ過ケーキを40Lの脱イオン水に再スラリー化し、次にろ過し、そして90℃で乾燥した。得られたCuCHA生成物を次に空気中で640℃で6時間か焼した。得られたCuCHA触媒は2.75質量%のCuOを含んでいた。
【0059】
スラリーの製造、被覆及びSCR NO
X評価は、実施例1について概説したものと同様であった。この実施例は、遊離銅を含み、そして実施例1と比較して、熱水的な安定性が改良されていた。
【0060】
実施例3
実施例2と同様の工程及び次に初期湿潤含浸を行うことにより、3.36質量%CuOを含むCuCHO触媒を製造した。
【0061】
実施例2の手順を使用して、3.11CuO質量%の134gのCuCHAを製造した。この材料に、1.64gの銅サルフェートペンタハイドレート及び105mLの脱イオン水を含む銅サルフェート溶液を加えた。含浸させたサンプルを90℃で乾燥させ、そして640℃で6時間か焼した。
【0062】
スラリーの製造、被覆及びSCR NO
X評価は、実施例1について概説したものと同様である。
図3に示したように、非交換の銅をより多く含むサンプルは、高い低温活性及び良好な熱水的安定性を示した。
【0063】
実施例4
初期湿潤含浸工程だけで、3.85質量%CuOを含むCuCHO触媒を製造した。18.3gの銅サルフェートペンタハイドレート及び168mLの脱イオン水を含む銅サルフェート溶液を、シリカ/アルミナモル割合が30の、140gのNH
4+状CHAに含浸させた。次に、含浸させたサンプルを90℃で乾燥させ、そして640℃で6時間か焼した。
【0064】
スラリーの製造、被覆及びSCR NO
X評価は、実施例1について概説したものと同様である。
図4に示したように、実施例4は、熱水熟成の後、350℃と450℃の間で、性能の低下を示した。
【0065】
実施例5
単一イオン交換(single ion-exchange)でサンプルを製造したこと以外は実施例1と同様の方法で、1.94質量%CuOを含むCuCHA触媒を製造した。
【0066】
スラリーの製造、被覆及びSCR NO
X評価は、熱水的安定性を測定しなかったこと以外は、実施例1について概説したものと同様である。
【0067】
実施例6
(シリカ/アルミナモル割合が15の)0.2KgのNH
4+状CHAと、16mLの25mMの銅(II)サルフェート溶液を混合することにより、CuCHA粉末触媒を製造した。スラリーを80℃で1時間攪拌させて、NH
4+状CHAと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。得られた混合物を次にろ過し、脱イオン水で洗浄し、そして90℃で乾燥した。イオン交換、ろ過、洗浄及び乾燥を含む上述した工程を、もう一度繰り返した。得られたCuCHA生成物を次に空気中で540℃で16時間か焼した。得られたCuCHA触媒は4.57質量%のCuOを含んでいた。
【0068】
触媒粉末を、10%H
2Oの存在下、800℃で50時間、熱水的に熟成し、次に窒素酸化物SCR効率を測定した。
【0069】
約12.6mm
3の触媒床を含むミクロ流路(microchannel)触媒反応器を使用して触媒性能を評価した。Heでバランスさせた、500ppmNO
X、500ppmNH
3、10%O
2、5%H
2Oから成る反応物質500cc/min(標準温度と圧力)と、25cc/minの蒸気の流速を、種々の温度(200、250、300、350、400、450及び500℃)で床に通し、触媒の反応性を測定した。質量スペクトル解析を使用し、100
*(NO
Xfed−NO
Xout)/(NO
Xfed)にNO
Xよりの変換を測定した。
【0070】
実施例7
シリカ/アルミナモル割合が30、及びイオン交換工程を4回繰り返したこと以外は、実施例6と同様の方法(該方法は、イオン交換、ろ過、洗浄、乾燥、か焼及び熱水的熟成を含む)を使用して、2.94質量%のCuOを含むCuCHA粉触媒を製造した。
【0071】
SCR NO
X評価は、実施例6で概説したものと同様である。
【0072】
実施例8
シリカ/アルミナモル割合が50であること以外は、実施例6と同様の方法(該方法は、イオン交換、ろ過、洗浄、乾燥、か焼及び熱水的熟成を含む)を使用して、0.45質量%のCuOを含むCuCHA粉触媒を製造した。
【0073】
SCR NO
X評価は、実施例6で概説したものと同様である。
【0074】
実施例9
(シリカ/アルミナモル割合が256の)15.0gのNH
4+状CHAと、61mLの0.64Mの銅(II)サルフェート溶液を混合することにより、CuCHA粉末触媒を製造した。スラリーを80℃で1時間攪拌させて、NH
4+状CHAと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。得られた混合物を次にろ過し、脱イオン水で洗浄し、そして90℃で乾燥した。イオン交換、ろ過、洗浄及び乾燥を含む上述した工程を、もう4回繰り返した。得られたCuCHA生成物を次に空気中で540℃で16時間か焼した。得られたCuCHA触媒は2.63質量%のCuOを含んでいた。
【0075】
熱水熟成とSCR NO
X評価は、実施例6いついて概説したものと同様であった。
【0076】
比較実施例10
シリカ/アルミナモル割合が5のCu/Yゼオライト粉触媒を以下に説明するように製造した。
【0077】
(シリカ/アルミナモル割合が〜5の)500gのNH
4+状ゼオライトと、2500mLの0.1Mの銅(II)サルフェート溶液を混合することにより、Cu/Y粉末触媒を製造した。pHは2.9〜3.3であった。スラリーを80℃で1時間攪拌させて、NH
4+状Yゼオライトと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。得られた混合物を次にろ過し、脱イオン水で洗浄し、そして90℃で乾燥させた。イオン交換、ろ過、洗浄及び乾燥を含む上述した工程を、合計5回繰り返した(pHは上述したものと同様であった)。得られたCuゼオライトY生成物を次に空気中で640℃で16時間か焼した。得られたCuゼオライトY触媒は4.60質量%のCuOを含んでいた。
【0078】
上述した200gのCu/Yと400mLの脱イオン水とを混合することにより、Cu/Yスラリーを製造した。Eigermillに2回通すことにより、混合物を粉砕し、90%粒子が8μm未満のスラリーを得た。稀酢酸中の15.8gのシツコニウムアセテート(30%のZrO
2を含む)を、スラリーに攪拌させながら加えた。
【0079】
セル密度が400cpsi(平方インチ当たりのセル)及び壁厚が6.5ミルの1”Dx3”Lセル状セラミックコアにスラリーを被覆した。1.6g/in
3のワッシュコートの目標積載量を得るのに2回の被覆が必要であった。被覆されたコアを90℃で3時間乾燥し、そして第2の乾燥工程の後、コアを450℃で1時間か焼した。
【0080】
熱水熟成とSCR評価は、熟成を750℃で25時間行ったこと以外は、実施例1で概説したものと同様である。
【0081】
比較例11
実施例10で製造したサンプルに類似した手順を使用して、シリカ/アルミナモル割合が35のCu/Beta粉末触媒を製造した。熱水熟成及びSCR評は、実施例1で概説したものと同様である。
【0082】
実施例1〜5及び比較例10〜11のデータを以下の表1にまとめて示す。
【0084】
表1は、実施例3が、低温活性、高温活性の最良の条件を示し、そして熱水熟成に起因する劣化を僅かにしか示さないことを示している。
【0085】
表2は、SiO
2/Al
2O
3モル割合及びCu/Al原子割合を変化させたことを含む、実施例6〜9の標準化したNO
X変換を示している。実施例7は、最良の性能を示している。実施例6、8及び9の性能が最良ではない一方、各実施例は、むしろ高温の800℃で成熟されたことに注意するべきである。全ての触媒が、このような高温を被るわけではなく、そして低温で熟成したサンプルは、広範囲の許容できるシリカ/アルミナ割合で、許容できる性能を示す。例えば、触媒化煤フィルターの下流にSCR触媒を有する排気ガス処理システムにおいて、SCRは、典型的には、高温、例えば約700℃を超える温度に曝される。SCRがCFSに設けられた場合、SCRは、約800℃、あるいはそれ以上の温度を被り得る。本発明の実施の形態に従えば、(ゼオライト材料の他のタイプと比較して熱水的安定性が改良されたCuCHA触媒のために、)排気ガス処理システム中のSCR触媒等の触媒の積載に大きな柔軟性が与えられる。約800℃未満の運転温度を被る、シリカのアルミナに対する割合が15〜256の範囲のサンプルは、許容可能な低温NO
X変換を示すと期待されている。従って、本発明の実施の形態に従えば、15〜256の範囲のシリカのアルミナに対する割合が、発明の範囲内である。しかしながら、約10、約20、及び約30の下限値(lower range end point)及び150、100、75、50及び40のより上限値(higher range end point)も本発明の範囲内である。
【0087】
実施例12 CuCHA抑制研究:
実施例で試験するサンプルを以下のように製造した。
【0088】
(シリカ/アルミナモル割合が30の)250gのNH
4+状CHAを2.0Lの0.1Mの銅(II)サルフェート溶液と混合することにより、CuCHA粉末触媒を製造した。硝酸で、pHを3.0〜3.4に調節した。スラリーを80℃で1時間攪拌させて、NH
4+状CHAと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。得られた混合物を次にろ過し、脱イオン水で洗浄し、そして90℃で乾燥した。イオン交換、ろ過、洗浄及び乾燥を含む上述した工程を5回繰り返した。次に得られたCuCHA生成物を、空気中で640℃で16時間か焼した。得られたCuCHA触媒は、3.68質量%のCuOを含んでいた。
【0089】
CO、プロペン、n−オクタン及び水の、CuCHA SCR活性に与える影響を、170、200、250、300及び350℃で調査した。シミュレートしたディーゼル排気混合物中で、触媒コアを試験した。主要なガス濃度は次のようであった:500ppmNO、500ppmNH
3、10%CO
2、10%O
2。以下の成分を順次加え、NO
X変換への影響を調査した:5%H
2O、C1として300ppmC
3H
6、C1として600ppmC
3H
6、C1として100ppmオクタン及び500ppmCO。実験の空間速度は、142,000h
−1に設定した。反応を、170℃、200℃、250℃、300℃及び350℃で定常状態とし、そして後の変換と成分の相互作用を記録した。5cm
−1の分解能で稼動するMKS2030MultiGasFTIRを使用し、NO、NO
2、N
2O、NH
3、CO
2、CO、C
3H
6及びH
2Oのガス分析を行なった。
【0090】
結果を
図5にまとめて示す。170℃と200℃の低温では、水が主たる阻害物質であり、200ppm(600ppmC1)でのハイレベルのプロパンは、200℃でわずかに阻害しており、100ppmプロペン(300ppmC1)、CO、及びn−オクタンは影響がなかった。250℃を超える温度では、水は促進剤であるように観察された。250℃では、試験した成分の何れもがNO
X変換を阻害せず、反対に、これらは促進物質であった。300℃では、CO及びn−クタンがSCR NO
Xを促進し、600ppmC1は、反応を阻害した。350℃では、600ppmC1プロペンが、最限に阻害し、そして他の成分は積極的効果を有していた。この性能は、(媒体を使用し、及び大きな孔を有するゼオライト、例えばベータゼオライトを使用する)他のCu促進SCR触媒の性能よりも良好であると信じられている。SCR触媒は、(孔をコークスで埋める)長鎖炭化水素による一時的な汚染に弱い(敏感)ことが公知である。試験は、小孔CuCHAゼオライトが、この問題を発生させなかったことを示している。
【0091】
実施例12A
HC貯蔵/放出試験:
ガス及び装置:
144個の開口したセルを示し、及び長さが1”のセラミックモノリス(400cpsi/6mill)に被覆されたCuCHAの触媒コアを50時間、800℃で、10%H
2O、10%O
2、バランスO
2中に熟成させた。次に、触媒を実験室反応器内に配置した。触媒を4%H
2O、14%O
2、100ppmNO、バランスN
2を含むガス混合物中に曝し、そして100℃に加熱した。100℃で温度的に安定化させた後、トルエンオクタンのブレンドを質量流制御器を介して加えた。これは、合計空間速度が104kh
−1で、オクタンとして100ppmC1、及びトルエンとして100ppmC1の目標濃度を達成するように行った。流出するガスをPt/アルミナベース酸化触媒を含む再燃焼装置(アフターバーナー)に案内し、そして600℃で一定に保持した。部分的な酸化生成物及びCuCHA触媒上で形成されても良いCOが、再燃焼装置を通過した時にCO
2にされる。再燃焼装置からのCO
2流出物が、IRCO
2分析装置によって監視される。平行して、再燃焼装置を迂回した、CuCHAからの流出物のスリップ流が、FID−HC分析装置によって分析された。
【0092】
試験プロトコル
100℃で、4%H
2O、14%O
2、100ppmNO、バランスN
2中でCuCHA触媒を安定化させた後、オクタンとトルエンの炭化水素ブレンドを導入した。10分の間、触媒温度を100℃に維持した。この期間、HCを触媒上に貯蔵し、これによりCO
2再燃焼装置出口信号がHC入口濃度未満になった。貯蔵期間の後、温度を、20℃/分の傾斜で、直線的に100℃から600℃に上昇させた。CO
2再燃焼装置信号は、鋭く上昇した。これは、貯蔵されたHCが触媒から放出されたことに起因する。脱離が完了した後、CO
2信号は、基準値(=供給ガス濃度)に戻った。温度が上昇するに従い、再燃焼装置出口CO
2が、供給ガスレベル未満に僅かに減少し、HC除去の第2のタイプを示す。これは、触媒上で、トルエンとオクタンから形成された炭素質の堆積(沈澱)に起因する。温度が上昇するに従い、形成された炭素質の更なる堆積物が燃焼され、そして、CO
2再燃焼装置出口信号を上昇させる要因になる。炭素質堆積物の燃焼が完了した後、CO
2再燃焼装置信号は、最終的にその基準値に戻る。
【0093】
データ分析
(コークス及び燃焼コークスとして)貯蔵、放出、堆積したHCの量を測定(調査)するために、CO
2信号再燃焼装置を定量的に評価した。
図5Aに示した、再燃焼装置出口CO
2トレースとHC供給ガス濃度との交差点を積分限界(integration limit)として使用した。CuCHAの実施例のために、これらの積分限界は、貯蔵について、おおよそ0〜800s、放出について、おおよそ800s〜1000s、コークス化について、おおよそ1000s〜1400sであった。貯蔵、放出、コークスとして堆積及び次に燃焼される量を、供給ガス流HCの平均C:H割合に基いて、mgHCとして表した。
【0094】
結果
この実験を、同一条件下で、同一堆積の、Cu−Y(10%H
2O、10%O
2、バランスN
2中、25時間@750℃で熟成後)及びFe−Beta(10%H
2O、10%O
2、バランスN
2中、50時間@800℃で熟成後)SCR触媒を使用して行なった。CuCHAの場合、コークス化は非常に少なく、そしてその結果、顕著なバーンオフ信号はなかった。結果を
図5Bに9示す。CuCHA触媒がHCを最小の量で貯蔵し、大半のHCをHCとして放出し、そしてコークスとして殆ど堆積しないことが明確である。これとは対照的に、Cu−Y触媒は、約200℃〜450℃の温度範囲で、炭素質の堆積を相当量形成した。形成されたコークスの一部は、次に高温で燃焼除去された。
【0095】
実施例13 AMOX触媒の製造
CuCHAを含むアンモニア酸化触媒を実施例12のように製造し、そしてこの触媒は、CuOとして計算して銅の含有量が3.68%、及びSiO
2/Al
2O
3割合が30であった。この材料を、400セル/in
3の四角形セル形状を有する標準モノリスコージライト担体に被覆し、モノリスバルク体積に対して2.40g/in
3の積載量とした。この予備被服されたモノリスを次に、白金含有前駆体(プラチナヒドロキシアミン錯体)の溶液中に漬け、白金前駆体を該当部位に完全に及び均一に分散させた。この部位を110℃で乾燥させ、次に450℃で1時間か焼(焼成)した。これにより、上記部位について、モノリスバルク体積に対して4.3g/ft
3の積載量を得た。従って、触媒は、次の組成を有していた:標準コージライト400/6担体に被覆された、CuCHAに担持された3.68%CuO+0.10%Prで、部位の合計積載量が約2.4g/in
3。本触媒のAl:Cu:Pt原子割合は、約190:90:1である。Al/M割合(M=Cu+Pt)は、約2.1であった。
【0096】
実施例14−実施例13の試験サンプル
熱水熟成させたAMO
X触媒コア(実施例13に記載されたように製造)のアンモニア除去効率及び酸化生成物の選択性を測定した。該測定は、N
2でバランスさせた、500ppmのNH
3、10%O
2,5%H
2Oの供給ガス混合物を定常状態の反応器(反応器内には、正面の断面に144個の開口セルを含む、長さが3.0インチの四角シリンダー状の触媒コアが配置されている)に加えることによって行った。反応は、150℃〜460℃の温度範囲で、空間速度(space velocity)が100,000hr
−1で行った。熱水的熟成の条件は、空気中、10時間、700℃及び10%H
2Oであった。
図6は、熱水的熟成させたCuCHAサンプルからの放出と比較した放出を示したグラフである。このデータは、1)Pt含浸を行わなかったCuCHAによって触媒作用を及ぼされた、NH
3のN
2への変換の高い選択性、及び2)白金成分を含めることによって、(N
2の高い選択性を損なうことなく)NH
3変換が飛躍的に上昇することを示している。従来技術は、金属ガーゼとしの白金、又は他の酸化物又はゼオライト担体に担持された白金が、通常では、N
2O又はNO
Xを生成するのに選択性を有するという点で、後者が重要である。
【0097】
実施例15
同程度の積載量での、流通基材及び壁流フィルター上のCuCHA処方物の比較。壁流フィルターを実施例3の流通触媒担体と同じ触媒で被覆し、そして2個のサンプルを計測して触媒活性を比較した。
【0098】
90gの上述したCuCHAと215mLの脱イオン水とを混合することによりCuCHAスラリーを製造した。この混合物をボールミルで11時間粉砕し、粒子の90%が10μm未満のスラリーを得た。稀酢酸中15.8gのジルコニウムアセテート(30%ZrO
2を含む)を、スラリーに攪拌させながら加えた。
【0099】
セル密度が300cpsi(平方インチ当たりのセル)及び壁厚が612ミルの1”Dx6”Lセル状セラミック壁流フィルターコアにスラリーを被覆した。被覆したコア(核)を120℃で3時間乾燥し、そして540℃で1時間か焼した。被覆工程をもう一度繰り返し、2.0g/in
3のワッシュコートの目標積載量を得た。
【0100】
500ppmのNO、500ppmのNH
3、10%O
2、5%H
2OのN
2でバランスした供給ガス混合物を、1”Dx6”L触媒コアを含む定常状態の反応器に加えることにより、新しい触媒コアの窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)の効率と選択性を測定した。150℃〜400℃の温度範囲にわたり、空間速度40,000hr
−1で、反応を行った。
【0101】
10%H
2Oの存在下、750℃で25時間、触媒コアを熱水的に熟成させ、次に新しい触媒コアでのSCR評価について概説したものと同様の方法で、窒素酸化物SCR効率及び選択性を測定し、触媒の熱水的な安定性を測定した。
【0102】
以下に示す表3は、フィルター上に被覆されたCuCHAの、流通触媒担体に被覆されたCuCHAに対する、熱水的な熟成SCR性能の比較を示している。
【0104】
正確な実験の詳細部には幾分かの差異があるが、この比較は、フィルターコア上のCuCHAと流通モノリ触媒上のCuCHAの触媒性能が等価であることを明確に示している。
【0105】
実施例16
608gのNH
4+−CHA(シリカ/アルミナモル割合が30)と796mLの脱イオン水を混合することにより、NH
4+−CHAスラリーを製造した。この混合物をNetzsch Millを使用して粉砕(製粉)し、90%の粒子が8.4μmよりも小さいもののスラリーを得た。稀酢酸中の106gのジルコニウムアセテート(30%ZrO
2を含む)をスラリーに攪拌させながら加えた。
【0106】
セル密度が400cpsi及び壁厚が6.5ミルの1”Dx3”Lセル状セラミックコアにスラリーを被覆した。被覆したコア(核)を110℃で3時間乾燥した。被覆工程をもう一度繰り返し、2.4g/in
3のワッシュコートの目標積載量を得た。この予備被服されたモノリスを次に、銅アセテートの2.5M溶液中に5分間、室温で漬けた。コアをエアガンで、緩やかに吹き、そして110℃で3時間乾燥させ、そして次に400℃で1時間か焼させた。これにより、モノリス上のCHAに対して2.72質量%の、CuO積載量をCHA上に得た。
【0107】
新しい触媒のSCR NO
X評価は、実施例1について概説したものと同様であった。10%蒸気の存在下、850℃で6時間、触媒の熟成を行い、次に新しい触媒について概説したSCRのNO
X効率を測定し、触媒の熱水的な安定性を測定した。
【0108】
図7は、このサンプルについて、温度に対する、NO
X変換とN
2O形成を示したグラフである。
【0109】
実施例17
12.1gの銅アセテートモノハイドレートを420gの脱イオン化した水に溶解し、次にシリカ/アルミナモル割合が30のNH
4+−CHAを加えた。Netzsch Millを使用して、この混合物を粉砕し、90%の粒子が3.5μmよりも小さいもののスラリーを得た。
【0110】
セル密度が400cpsi及び壁厚が6.5ミルの1”Dx3”Lセル状セラミックコアにスラリーを被覆した。被覆したコア(核)を110℃で3時間乾燥した。被覆工程を二回繰り返し、2.4g/in
3のワッシュコートの目標積載量を得た。この被覆されたコアを次に400℃で1時間か焼させた。これにより、3.3質量%の、CuO積載量をCHA上に得た。
【0111】
新しい触媒のSCR NO
X評価は、実施例1について概説したものと同様であった。10%蒸気の存在下、850℃で6時間、触媒の熟成を行い、次に新しい触媒について概説したSCRのNO
X効率を測定し、触媒の熱水的な安定性を測定した。
【0112】
図8は、このサンプルについて、温度に対する、NO
X変換とN
2O形成を示したグラフである。
【0113】
実施例18
銅アセテートでイオン交換することにより、CuCHA粉末触媒を製造した。89.8gの銅塩を1.125Lの脱イオン水に70℃で加えることにより銅(II)アセテートモノヒドレート溶液を製造した。次に、300gのNH
4+状CHAをこの溶液に加えた。このスラリーを70℃で1時間攪拌することにより、NH
4+状CHAと銅イオンとの間のイオン交換反応を行った。反応の間、pHは、4.8〜4.5の間であった。得られた混合物を次にろ過し、ろ液の伝導度が<200μScm
−1になるまで洗浄し(このことは、溶解性銅又は遊離銅がサンプル内に残っていないことを示す)、そして洗浄したサンプルを90℃で乾燥させた。得られたCuCHA触媒はCuOを3.06質量%及びNa
2Oを140ppm含んでいた。
【0114】
スラリーの製造、被覆及びSCR NO
X評価は、実施例1について概説したものと同様であった。
図7に示すように、実施例18は、実施例3(銅サルフェートで2回イオン交換し、加えて初期湿潤含浸を行うことにより製造したもの)と同様のSCR性能を示した。
【0115】
実施例19
0.30MCu溶液中でこのサンプルを製造したこと以外は、実施例18と同様の方法で、CuOを2.99質量%含むCuCHA触媒を製造した。
【0116】
実施例20
イオン交換を45℃で行ったこと以外は、実施例18と同様の方法で、CuOを2.69質量%含むCuCHA触媒を製造した。
【0117】
実施例21
イオン交換を45℃で行ったこと以外は、実施例19と同様の方法で、CuOを2.51質量%含むCuCHA触媒を製造した。
【0118】
表4で、実施例18〜21のCu積載量を、実施例1のものと比較した。低い反応温度で、低濃度の銅濃度で、所望のCu積載量を得るのに、銅アセテートが銅サルフェートよりも効率的であることがわかる。
【0120】
実施例22 実施例2の熱水的な熟成及び化学的な分析
実施例2で製造したCu/CHA粉末を空気中、10%H
2O、800℃で48時間、熱水的に熟成した。
図11及び
図12及び表5及び6では、実施例2からの分析した材料を実施例22とした。表5及び6及び
図11及び12では、熱水的に熟成したサンプルを実施例22Aとした。
【0121】
標準技術により、X線粉末回折パターンを測定した。発生器の設定は、45kV及び40mAであった。回折計の光学系は、可変分散スリット、入射ビームソラースリット、受取スリット、グラファイト単色体(graphite monochromater)、及びBragg−Brentanoパラフォーカスジオメトリーのシンチレーションカウンターから構成されている。実施例22について、a=13.58及びc=14.76Åの格子パラメータ、実施例22Aについて、a=13.56及びc=14.75Åの格子パラメータから、d−スペースを計算した。サンプルを内部標準として混合したLaB6を有するサンプルをスキャンすることにより、格子パラメータを決定した。データ範囲は、15〜38.8度2シータ(ステップサイズ0.01及び5秒間のカウンティング)であった。得られたパターンを、JADEソフトウェア中のプロピールリファインメントに通した。LaB6格子パラメーターを5.169Aに一定に保ち、サンプルの変位誤差を補償した。表5に、実施例22と実施例22AについてのX線粉末回折線を示した。800℃48時間蒸気熟成の後、CHA結晶構造が保持された。
【0123】
Cary300UV−Visスペクトロメーター内部にBaSO4で被覆された積分及び参照球体を有する拡散反射率アタッチメントを使用して、F(R)で表されるUV/VIS拡散反射率スペクトルを集めた。実施例22と22AのUV/VISを
図11に示す。
【0124】
表6は、実施例22及び22Aの、
29SiMAS NMRデータ及び計算したフレームワークSi/Al原子割合を示している。CHA、及び800℃、48時間、10%水蒸気で熟成したCHAも、比較のために含めた。データは、CHAとCu/CHAサンプルの両方の熟成で、脱アルミニウムがある程度発生していることを示している。しかしながら、Cu/CHAサンプルは、熟成において、脱アルミニウムの程度が低い。また、Cu交換工程自体が、フレームワークSi/Al原子割合を15から17に僅かに変化させている。
【0125】
図12は、実施例22及び22A、及びCHA及び熟成CHAサンプルの
27Al(Magic Angle Spinning Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルを示している。スペクトルは、4面体のAl種が、Cu交換で、ペンタ−及びオクタ−配位の種に、ある程度変換されることを示している。スペクトルは、Cu/CHAサンプルが、熟成で、CHAサンプルよりも脱アルミニウムされる程度が非常に少ないことを明確に示している。
【0127】
図10A、10B及び10Cに、排気ガス処理システムの実施例を示す。11Aとして示した、本発明の排気ガス処理システムの一実施の形態を
図10Aに概略的に示した。ガス状汚染物質(未燃焼炭化水素、一酸化炭素及びNO
Xを含む)及び粒子状物質が、エンジン19から排気ガスシステムの下流側の箇所に運ばれ、この箇所で、還元剤、すなわち、アンモニア又はアンモニア前駆体が排気ガス流に加えられる。還元剤は、ノズル(図示せず)から、スプレー(噴霧)として排気ガス流に注入される。ライン25で示した水性ウレアは、アンモニア前駆体として作用でき、この水性ウレアは、混合ステーション24で、他のライン26で示した空気と混合させることができる。水性ウレア(該水性ウレアは、排気ガス流内でアンモニアに変換される)を正確に計量導入するために、バルブ23を使用することができる。
【0128】
アンモニアが加えられた排気ガス流は、一つ以上の実施の形態に従い、CuCHAを含むSCR基材12(該SCR基材12は、請求項では、「第1の基材」に対応する。)に運ばれる。第1の基材12を通過する際、排気ガス流のNO
X成分は、(NO
XをNH
3で選択的に触媒還元することによって、)N
2及びH
2Oに変換される。更に、入口領域から出てくる過剰のNH
3は、下流側のアンモニア酸化触媒(該触媒もCuCHAを含んでいる)で酸化することによって、N
2とH
2Oに変換可能である。第1の基材は、代表例では、流通モノリス基材である。
【0129】
11Bとして示した、排気ガス処理システムの他の実施の形態を、
図10Bに示す。この実施の形態では、NH
3インジェクターと第1の基材12との間に第2の基材27が配置されている。この実施の形態では、第2の基材がSCR触媒組成物で被覆されている。該SCR触媒組成物は、第1の基材12を被覆するために使用されるものと同様の組成物であっても良く、又は異なる組成物であっても良い。この実施の形態の有利な点は、基材を被覆するのに使用されるSCR触媒組成物を、(排気ガスシステムに沿った箇所の特徴的な運転操作条件について、)NO
X変換を最適化するために選択できるということである。例えば、排気ガスシステムの上流部分で生じる、より高い運転温度(操作温度)のために、より適切なSCR触媒組成物で、第2の基材を被覆することができ、一方、第1の基材(すなわち、第1の基材の入口領域)を被覆するのに、排気ガスシステムの下流側部分で生じる、より低音の排気ガス温度に、より適切な他のSCR組成物を使用することができる。
【0130】
図10Bに示した実施の形態では、第2の基材27は、ハニカム流通基材、連続気泡フォーム基材、又はハニカム壁流基材のいずであっても良い。第2の基材が壁流基材又は高効率連続気泡フォームフィルターである、この実施の形態の構成では、システムは、粒子状物質(粒子状物質は、煤部分及びSOFを含む)を80%以上除去することができる。SCRで被覆された壁流基材及びNO
Xと粒子状物質を還元(除去)するためのその使用が、例えば、同時係属のU.S.特許出願Ser.No.10/634,659(出願日2003年8月5日)に記載されており、(これにより)この文献はここに導入される。
【0131】
ある適用例では、アンモニア/アンモニア前駆体注入の箇所の上流側に酸化触媒を含めることが有利であって良い。例えば、
図10Cに示された実施の形態では、酸化触媒が触媒基材34に配置される。排気ガス処理システム11は、第1の基材12を備え、及び任意に第2の基材27を含む。この実施の形態では、排気ガス流は、最初に触媒基材34に運ばれ、触媒基材34で、ガス状炭化水素、CO及び粒子状物質が、少なくとも部分的に燃焼され、無害の物質とされる。更に、排気ガスのNO
X成分のNOの相当量がNO
2に変換される。NO
X成分中のNO
2の量が多いと、下流側に配置されたSCR触媒でNO
XをN
2とH
2Oに還元することが容易になる。
図10Cに示した実施の形態において、第1の基材12は、触媒化煤フィルターが可能であり、及びSCR触媒を、触媒化煤フィルターに設けることができる。他の実施の形態では、SCR触媒を含む第2の基材27を、触媒基材34の上流側に配置しても良い。
【0132】
本発明の概念又は範囲から逸脱することなく、本発明に種々の変更や変形を加えることができることは、当業者にとって明らかである。従って、請求項及び請求項に相当するものの範囲内であれば、本発明は変更と変形をも含むことが意図されている。