(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御部と記憶部と表示部とを少なくとも備えるBIMシステムであって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関する情報とともに、当該パーツの保守に用いる属性として、予め定められている当該パーツの第1の交換時期が示された想定保守情報を含んだパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報で示されるパーツ毎に、保守員が実測することで得られた、当該パーツの経年劣化によるもので前記第1の交換時期より短い期間となる、当該パーツの第2の交換時期が示された実測保守情報を記憶する実測情報記憶部と、を備え、前記制御部は、入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段と、定期点検または監視時に、前記パーツ情報で示されるパーツの実測保守情報を、前記実測情報記憶部に登録する登録処理手段と、前記パーツ情報に含まれる前記想定保守情報と、前記実測情報記憶部に記憶された前記実測保守情報と、に基づいた表示情報として、前記第1の交換時期と前記第2の交換時期とを選択可能に、前記表示部に表示する表示制御手段と、前記第2の交換時期が選択された場合に、前記第2の交換時期に基づいて、保守作業のタイミングを示した保全計画情報を生成する保全計画情報生成手段と、を備えることを特徴とするBIMシステム。
前記制御部は、前記保全計画情報に含まれる情報、及び前記BIMパーツに基づいた建物の3次元モデルのうちいずれか一つ以上を、顧客の情報処理端末に対して通知する通知手段を、さらに備える、請求項2に記載のBIMシステム。
前記制御部は、前記表示制御手段は、前記パーツの部品交換と、予め定められた定期点検日と、が所定の期間内の場合、当該部品交換と、当該定期点検日で行う内容と、を所定の日にまとめて行うよう表示する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のBIMシステム。
制御部と記憶部と表示部とを少なくとも備えたBIMシステムにおいて実行される方法であって、前記記憶部は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関する情報とともに、当該パーツの保守に用いる属性として、予め定められている当該パーツの第1の交換時期が示された想定保守情報を含んだパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段と、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報で示されるパーツ毎に、保守員が実測することで得られた、当該パーツの経年劣化によるもので前記第1の交換時期より短い期間となる、当該パーツの第2の交換時期が示された実測保守情報を記憶する実測情報記憶部と、を備え、前記制御部が、入力される作成条件に対応する前記BIMパーツを、前記パーツ情報記憶手段に記憶された前記パーツ情報を用いて作成する昇降機モデリングステップと、定期点検または監視時に、前記パーツ情報で示されるパーツの実測保守情報を、前記実測情報記憶部に登録する登録処理ステップと、前記パーツ情報に含まれる前記想定保守情報と、前記実測情報記憶部に記憶された前記実測保守情報と、に基づいた表示情報として、前記第1の交換時期と前記第2の交換時期とを選択可能に、前記表示部に表示する表示制御ステップと、前記第2の交換時期が選択された場合に、前記第2の交換時期に基づいて、保守作業のタイミングを示した保全計画情報を生成する保全計画情報生成ステップと、を実行する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態にかかるBIMシステム、及び方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
BIMによる設計方法では、各業者にて建物全体のデータである建築物の3次元モデル(すなわち、建築物のBIMモデル)を共有することができる。このため、各業者は、共通のデータ上でそれらの関連性および整合性の確認できる。以下の実施形態では、このBIMを使用した保守管理システムについて説明する。
【0009】
以下、実施形態の構成および処理について詳細に説明する。なお、以下において、原則として、単に「パーツ」と称する場合は建築物を構成する現実の構成部品を指し、「BIMパーツ」と称する場合はパーツに対応するBIM上の仮想的な構成部品を指すものとするが、説明の便宜上、「パーツ」が対応する「BIMパーツ」を指す場合や、「BIMパーツ」が対応する「パーツ」を指す場合もあるものとする。
【0010】
以下に実施形態について、
図1乃至
図11を参照して説明する。なお、第1の実施形態で例示するBIMシステムにおける機能分散の形態は以下に限られず、同様の効果や機能を奏し得る範囲において、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0011】
[第1の実施形態におけるBIMシステムの構成]
まず、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例について、
図1を参照して以下に説明する。
図1は、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち主要な部分を概念的に示している。なお、本実施形態においては、通信型のBIMシステムを具体例として説明するが、これに限ることなく、スタンドアロン型のBIMシステムなどにも適用可能である。
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態のBIMシステムは、概略的に、BIMモデルの昇降機の3次元モデル(すなわち、昇降機のBIMパーツ)等の情報を提供できるBIMサーバ200、保守に関する情報を管理する保守サーバ100、情報処理装置300と、を通信可能に接続して構成される。ここで、
図1に示すように、通信には、一例として、ネットワーク400を介した有線・無線通信等の遠隔通信等を含む。また、これらBIMシステムの各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0013】
図1に示すように、BIMサーバ200は、概略的に、制御部202と記憶部206とを少なくとも備える。また、保守サーバ100は、表示部114と入力部118と制御部102と記憶部106とを少なくとも備える。
【0014】
[BIMサーバ200の構成]
ここで、
図1において、BIMサーバ200は、保守サーバ100から送信される作成条件に対応するBIMパーツを作成し、保守サーバ100へ送信する等の機能を有する。BIMサーバ200は、通信制御インターフェース部204を介してネットワーク400を経由し、保守サーバ100と相互に通信可能に接続されている。
【0015】
制御部202は、各種処理を行う制御手段である。通信制御インターフェース部204は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、BIMサーバ200とネットワーク400との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部204は、保守サーバ100等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。記憶部206は、HDD(Hard Disk Drive)等の固定ディスク装置またはSSD(Solid State Drive)等のストレージ手段であり、各種のデータベースやテーブル等の情報(パーツ情報データベース206a等)を格納する。
【0016】
記憶部206に記憶される情報のうち、パーツ情報データベース206aは、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するためのパーツに関するパーツ情報を記憶するパーツ情報記憶手段である。
【0017】
本実施形態において、昇降機は、エレベータおよび乗客コンベアを含む概念であり、乗客コンベアは、エスカレータおよび動く歩道を含む。ここで、パーツ情報は、利用者が昇降機のBIMパーツを設計する上で必要となるあらゆる情報を含む。パーツ情報としては、例えば、用途、定員、積載量、動作速度、色、機種等といった昇降機の仕様、昇降機を建築物に設置する際に必要とされるスペース、寸法、各種付属設備に関する情報、価格、寸法、質量、色、素材、固有振動数といった情報、更に、納期、在庫状況、据付時間、仕上げ材、メーカ情報、品番型番などが含まれているが、上記に限定されない。
【0018】
本実施形態において、パーツ情報は、例えば、制御部202によりBIMパーツをBIMモデルに組み込む際等に参照されるBIMパーツのサイズ情報を含む。ここで、BIMパーツのサイズ情報は、BIMパーツを構成するパーツ(すなわち、各ユニットや構成部品)のサイズ情報も含む。BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、本実施形態のように昇降機がエレベータである場合には、昇降路、乗りかご、カウンタウェイト、メインロープ、巻上機、ガイドレール、乗り場ホール関連品、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管等が挙げられる。また、BIMパーツを構成する各ユニットとしては、例えば、昇降機がエスカレータである場合には、トラス、踏段、踏段チェーン、移動手摺、乗降板、欄干、駆動装置、機械室、制御盤、電源設備、各種配線配管等が挙げられる。また、パーツ情報は、例えば、制御部202によりBIMパーツを変更する際に用いられる設定パラメータを含む。ここで、設定パラメータは、BIMパーツを構成する各ユニットのサイズ、色、材質、上記各種配線配管等を規定するパラメータを含む。なお、BIMパーツは、典型的なBIMモデルと同様に、このBIMパーツ自体に対象の昇降機に関連するパーツ情報等の属性情報を含んでいる。
【0019】
さらに、本実施形態のパーツ情報等の属性情報として、当該パーツの保守に用いる属性として、予め定められている当該パーツの交換時期が示された想定保守情報が含まれている。想定保守情報としては、例えば、昇降機を構成する必要部材の部材強度、当該パーツの耐用年数、当該パーツの交換周期、及びパーツの保守に要するコストに関するコスト情報を含んでいる。
【0020】
集計実測情報記憶部206bは、パーツ情報で示されるパーツにおける、定期点検等の実測することで得られた実測保守情報を集計して、記憶する。本実施形態の集計実測情報記憶部206bは、保守サーバ100から送信されてきた実測保守情報を記憶する。
【0021】
実測保守情報は、建築物における定期点検や部品交換などの実測することで得られる、経年劣化情報、交換状況情報、及び、当該パーツのトラブルに対応して行われた事象を示すトラブル対応情報、のうちいずれか一つ以上が含まれた情報とする。
【0022】
次に、制御部202について説明する。制御部202は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部202は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部202は、機能概念的に、作成条件受信部202a、昇降機モデリング部202b、および、情報送受信部202cを備える。
【0023】
作成条件受信部202aは、保守サーバ100から送信される作成条件を受信する作成条件受信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様等を示す条件である。つまり、作成条件は、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件は、例えば、機種、色、素材、希望の価格、納期、利用者の嗜好性等のうちの少なくとも1つを含んでいればよい。また、作成条件は、利用者により保守サーバ100において入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
【0024】
昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する昇降機モデリング手段である。昇降機モデリング部202bは、例えば、
図2に示すようなエレベータの3次元のBIMパーツを作成する。ここで、
図2は、昇降機のBIMパーツの一例を示す図である。
図2の左側は、昇降路、乗りかご、ガイドレール等のユニットから構成されるBIMパーツであり、
図2の右側は、乗り場ホーム関連品の一例として、乗降口のドアのユニット等から構成されるBIMパーツである。
【0025】
図1に戻って、昇降機モデリング部202bは、利用者が画面上で確認しながら選択可能なように、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。昇降機モデリング部202bは、例えば、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に基づいた後述のBIMモデルの構造情報等に基づいて、建築物の概要、規模、設置位置、電源設備容量等から当該建築物に設置可能な昇降機のBIMパーツを単数あるいは複数作成する。また、昇降機モデリング部202bは、作成条件受信部202aにより受信された作成条件に基づいた納期、価格、あるいは、嗜好性に応じてBIMパーツを自動的に最適化して作成するようにしてもよい。例えば、昇降機モデリング部202bは、利用者によって昇降機の設置に際し納期優先の選択がなされている場合には、設置可能な昇降機のBIMパーツのうち納期が早いものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。同様に、昇降機モデリング部202bは、利用者によって価格優先の選択がなされている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち価格が安いものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。昇降機モデリング部202bは、利用者によって利用者の嗜好性が設定されている場合には、設置可能な複数の昇降機のBIMパーツのうち嗜好性にあったものから順に自動で複数作成するようにしてもよい。ここで、昇降機モデリング部202bは、作成した昇降機のBIMパーツを記憶部206に格納して、BIMパーツデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0026】
情報送受信部202cは、各種情報を保守サーバ100と送受信する情報送受信手段である。情報送受信部202cは、例えば、保守サーバ100から作成条件の情報を受信したり、保守サーバ100にBIMパーツの情報を送信したりする。
【0027】
[保守サーバ100の構成]
図1において、保守サーバ100は、例えば、建築物の保守に関する情報を管理するために設けられたサーバ装置等である。保守サーバ100は、BIMサーバ200へBIMパーツを作成するのに必要な作成条件を送信し、作成条件にしたがって作成されたBIMパーツを含むBIMサーバ200の計算結果を、BIMサーバ200から受信する等の機能を有する。
【0028】
また、保守サーバ100は、
図3に示すように、BIMサーバ200から受信した昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する等の機能を有する。ここで、
図3は、昇降機のBIMパーツを建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルの一例を示す図である。
図3では、昇降機組込建築物の完成時におけるエレベータの設置状態を示す統合BIMモデルの一部が示されている。
【0029】
本実施形態の保守サーバ100は、統合BIMモデルを用いて、建築物の保守に関する情報を管理する。
【0030】
図1に戻って、保守サーバ100は、インターネットブラウザ等を搭載していてもよく、BIMアプリケーション等を搭載していてもよい。保守サーバ100は、統合BIMモデルを表示するための表示部114を備えていてもよい。保守サーバ100は、データ入力等を行う入力部118を備えていてもよい。
【0031】
表示部114は、例えば、アプリケーション等の表示画面を表示する表示手段(例えば、液晶または有機EL等から構成されるディスプレイ等)である。入力部118は、例えば、キー入力部、タッチパネル、コントロールパッド(例えば、タッチパッド、および、ゲームパッド等)、マウス、キーボード、および、マイク等である。入出力制御インターフェース部108は、表示部114、および、入力部118等の制御を行う。
【0032】
通信制御インターフェース部104は、通信回線や電話回線等に接続されるアンテナやルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、保守サーバ100とネットワーク400との間における通信制御を行う機能を有する。すなわち、通信制御インターフェース部104は、BIMサーバ200等と通信回線を介してデータを通信する機能を有している。
【0033】
ネットワーク400は、保守サーバ100、BIMサーバ200、及び情報処理装置300と、図示しない外部機器または外部システム(例えば、BIMモデルデータベースサーバ等として機能する外部のデータベース装置など)とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網および一般電話回線網等)、イントラネット、または、電力線通信(PLC)等であってもよい。
【0034】
記憶部106は、HDDやSSD等の大容量のストレージ手段、および/または、SRAM(Static Random Access Memory)等を用いて構成される小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)等のストレージ手段であり、各種のデータベースやファイルやテーブルの情報(BIMモデルデータベース106a、保守用情報記憶部106b、部品経年劣化画像情報記憶部106c、実測情報記憶部106d等)を格納する。ここで、記憶部106は、各種のファイル等を一時的に記憶するものであってもよい。
【0035】
BIMモデルデータベース106aは、建築物のBIMモデルを記憶するBIMモデル記憶手段である。本実施形態において、BIMモデルデータベース106aには、予め設計者により設計された建築物のBIMモデルが格納されている。BIMモデルには、例えば、建物形状、空間関係、地理情報、建物部材の数量や特性、部材強度、固有振動数、耐用年数等の構造情報が含まれるが、これらに限定されない。この他、構造情報は、建物用途、建物規模、階床数、階床名、階高、各階の使用用途、フロア人員、占有面積等から算出可能な昇降機の利用人数などの情報を含んでいてもよい。更に、構造情報は、対象の建築物を構成する各構造ユニットに関する寸法、位置等を示す情報を含んでいてもよい。ここで、BIMモデルを構成する各構造ユニットとしては、例えば、建築物に配置される部屋、壁、通路、非常階段、避難経路、ガス管、水道管、火災報知機、スプリンクラー、梁、安全対策品等が挙げられる。
【0036】
保守用情報記憶部106bは、保全計画表で示されたスケジュールに従って、作業者が作業するための情報を記憶する保守用情報記憶手段である。例えば、保守用情報記憶部106bは、利用者により選択された交換時期や、移動する保守ルートを決定するための情報を記憶している。
【0037】
部品経年劣化画像情報記憶部106cは、保全計画表に含まれているBIMパーツに対応するパーツが経年劣化したときの状態を示す経年劣化画像の情報を記憶する経年劣化画像情報記憶手段である。なお、経年劣化画像を用意しておくパーツは、保守作業によって交換される対象となっているパーツである。
【0038】
実測情報記憶部106dは、BIMモデルデータベース106aに含まれるBIMパーツで示されるパーツ毎に、定期点検等で実測することで得られた、当該パーツの経年劣化による、当該パーツの交換時期が示された実測保守情報を記憶する。本実施形態の実測情報記憶部106dは、情報処理装置300や入力部118から入力された実測保守情報を記憶する。
【0039】
実測保守情報は、建築物における定期点検や部品交換などの実測することで得られる、経年劣化情報、交換状況情報、及び、当該パーツのトラブルに対応して行われた事象を示すトラブル対応情報、のうちいずれか一つ以上が含まれた情報とする。
【0040】
経年劣化情報は、パーツ情報で示される、建築物に用いられたパーツの経年劣化に関する情報とする。例えば、経年劣化情報は、保守員が、部品経年劣化画像情報記憶部106cに記憶された経年劣化画像情報を参照した結果に基づいて、パーツの交換周期と比べて経年劣化が進んでいるか否かを示す情報や、経年劣化に基づいた交換時期を示した情報が格納される。
【0041】
交換状況情報は、管理者が入力した、複数の建築物における修理の交換状況を示す情報とする。例えば、交換状況情報には、交換時期の前に当該パーツの交換が生じたか否かを示す情報が格納される。
【0042】
トラブル対応情報は、パーツを交換したか否かと関係ない、当該パーツのトラブルに関する情報とする。例えば、センサで異常を検出したが、点検した際には、異常は発見できなかった、又は当該パーツを用いた戸開制御ができない場合があった等の情報が格納される。
【0043】
制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、作成条件送信部102a、情報送受信部102b、統合モデリング部102c、表示制御部102d、入力処理部102e、登録処理部102f、保全計画表作成部102g、実測情報送信部102h、通知部102iを備える。
【0044】
作成条件送信部102aは、利用者により入力される作成条件をBIMサーバ200へ送信する作成条件送信手段である。ここで、作成条件は、利用者が所望する昇降機の仕様を示す条件である。つまり、利用者は、作成条件として、建築物のBIMモデルに組込可能な昇降機のBIMパーツを作成するための条件を指定する。作成条件は、利用者により入力部118を介して入力されたものであってもよいし、予め作成条件が記憶された外部記憶装置(図示せず)から読み込まれたものであってもよい。
【0045】
情報送受信部102bは、各種情報をBIMサーバ200と送受信する情報送受信手段である。情報送受信部102bは、例えば、BIMサーバ200に作成条件の情報を送信したり、BIMサーバ200からBIMパーツの情報を受信したりする。
【0046】
統合モデリング部102cは、情報送受信部102bにより受信された昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する統合モデリング手段である。ここで、統合モデリング部102cは、
図3に示したように作成した統合BIMモデルを記憶部106に格納して、統合BIMモデルデータベース(図示せず)を構築してもよい。
【0047】
表示制御部102dは、各種情報を表示部114に表示させる表示制御手段である。本実施形態において、表示制御部102dは、例えば、保全計画表、実測情報入力画面などを表示部114に表示させる。
【0048】
入力処理部102eは、保守サーバ100に対して入力された情報を処理する。例えば、保守員による点検時に、入力処理部102eは、点検対象のパーツにおける実測保守情報を入力する。
【0049】
図4は、本実施形態の実測保守情報の入力画面の一例を示す図である。
図4に示されるように、入力画面例では、パーツの識別情報401と、当該パーツ周辺を示した統合BIMモデルの一部402と、実測保守情報の一種である経年劣化情報の入力項目403、実測保守情報の一種であるトラブル対応情報の入力項目404、及び経年劣化画像情報405、実測保守情報の一種である交換状況情報の入力可能な欄406が示されている。
【0050】
図4に示されるように、保守員が、部品経年劣化画像情報記憶部106cに記憶されていた経年劣化画像情報405を参照しながら、入力項目403に現在の経年劣化の度合いを示した情報や、交換の予測時期を示した情報を入力する。これにより、入力処理部102eは、現在の経年劣化の度合いを示した情報や、交換の予測時期を示した情報を、当該パーツに対応する経年劣化情報として入力処理する。
【0051】
また、保守員は、センサによる異常検出等に基づいて、パーツの確認作業を行った場合に、(当該パーツを交換したか否かにかかわらず)入力項目404に、パーツの確認作業を、トラブル対応の情報として入力する。そして、入力項目404にトラブル対応の情報が入力された場合に、入力処理部102eは、トラブル対応の情報を、当該パーツに対応するトラブル対応情報として、入力処理する。
【0052】
また、保守員は、パーツの交換を行った場合に、欄406に当該パーツの交換に関する情報を入力する。そして、欄406にパーツの交換に関する情報が入力された場合に、入力処理部102eは、パーツの交換に関する状況を、当該交換状況情報として入力処理する。
【0053】
そして、登録処理部102fは、定期点検または監視時に、BIMパーツで示されるパーツの情報として入力処理された実測保守情報(経年劣化情報、交換状況情報、及び、トラブル対応情報のうちいずれか一つ以上)を、実測情報記憶部106dに登録する。
【0054】
保全計画表作成部102gは、実測情報記憶部106dに記憶された実測保守情報と、BIMパーツと、当該BIMパーツに記憶されている想定保守情報と、に基づいて、当該BIMパーツそれぞれについて稼働開始してから稼働年数を経過したときを保守作業のタイミングを示す保全計画表を作成する保全計画表作成手段である。ここで、保全計画表について説明する。
図5は、昇降機の乗りかごモデルの一例を示す図である。
【0055】
図5において、符号1は乗りかごモデル、符号2は照明装置モデル、符号3はLEDユニットモデルを示す。符号3を含む図では、LEDから出た光が導光板を経由して下方に出ている様子を示している。
【0056】
この
図5に示すBIMモデルのBIMパーツ毎の想定保守情報として、
図6に示されるように、パーツ毎に、交換周期、及び交換周期に基づいた交換時期が記憶されている。
【0057】
具体的には、保全計画表作成部102gは、例えば、BIMパーツを、保守項目、保守内容によって分類し、更に、BIMパーツそれぞれについて、想定保守情報に記憶されている交換周期、及び交換時期と、実測保守情報に記憶されている経年劣化情報と、に基づいて、保守作業のタイミングを示した保全計画表を作成する。
【0058】
図6は、本実施形態のBIMパーツ毎の想定保守情報に基づいた交換周期、及び交換時期を例示した図である。
図6に示されるように、交換可能なパーツにおいては、BIMパーツ毎に交換周期、及び交換時期が格納されている。
【0059】
本実施形態では、BIMパーツにおいて、想定保守情報に基づいた交換時期と、実測保守情報に基づいた交換時期と、が存在する場合がある。
図7は、想定保守情報に格納された交換周期、及び交換時期と、実測保守情報に記憶されている経年劣化情報と、の比較を表した概念図である。
図7に示されるように、想定保守情報に格納された交換周期、及び交換時期と、実測保守情報に記憶されている経年劣化情報を、比較した上で、交換時期を設定する必要がある。
【0060】
そこで、本実施形態の保全計画表作成部102gは、一つのBIMパーツにおいて、想定保守情報に基づいた交換時期と、実測保守情報に基づいた交換時期と、を選択可能な、保全計画表を生成する。
図8は、本実施形態の保全計画表作成部102gが生成した保全計画表を例示した図である。
【0061】
図8に示す例では、保守内容が「LED交換」の場合、2007年3月に稼働し、稼働年数が10年で、2017年3月が想定保守情報に基づいた交換時期702とする。しかしながら、先日の定期点検でLEDの劣化が早いため、実測保守情報に基づいた交換時期701に、2016年12月が登録されていたものとする。この場合に、保全計画表作成部102gは、LEDの交換時期の選択欄711を生成して、管理者に交換時期の選択を受け付け可能とする。なお、本実施形態は、選択手法の一例を示したもので、他の選択手法を用いても良い。
【0062】
なお、LED交換においては、稼働年数が10年であるが、実測保守情報に基づいて交換時期が早まった場合でも、本実施形態の保全計画表作成部102gは、次の交換時期を、想定保守情報に基づいて10年後に設定する。ただし、保全計画表作成部102gは、交換後の部品の交換時期に関するメッセージとして、実測保守情報に基づいた警告(例えば、“前回は経年劣化のため部品の交換が早まりました”)等が含まれるような保全計画表を作成しても良い。
【0063】
さらに、本実施形態では、保全計画表作成部102gが生成する保全計画表に、定期点検を行う日程を含めても良い。
【0064】
さらに、保全計画表作成部102gは、さらに、パーツ情報におけるコスト情報を用いて、保全計画表に対して、保守のコストを示す見積もり額欄712を設けても良い。
図7の見積もり額欄712は、定期点検や交換時期として○印及び△印の部分に対応して、月ごとの合計金額が表示されている。これにより、管理者は、見積り額を確認することで、クライアントに対して保守に要するコストを通知することが可能となる。
【0065】
表示制御部102dは、生成された保全計画表を、表示部114に表示する。なお、本実施形態は、保全計画表を表示する例について説明するが、BIMパーツに含まれる想定保守情報と、実測情報記憶部106dに記憶された実測保守情報と、に基づいた表示画面であれば良い。
【0066】
そして、表示された保全計画表に、交換時期の選択欄が設けられている場合に、入力処理部102eは、管理者により選択された交換時期を入力処理する。そして、登録処理部102fは、入力処理された交換時期を、生成された保全計画表と共に、保守用情報記憶部106bに登録する。これ以降、保全計画表作成部102gは、再度保全計画表を作成する場合に、登録された交換時期を考慮して、保全計画表を作成する。
【0067】
ところで、複数の部品の交換時期や、交換時期と定期点検が、別の日に設定されている場合、何日も昇降機をメンテナンスすることになる。そこで、本実施形態の保全計画表作成部102gは、部品交換と、予め定められた定期点検日と、が所定の期間内(例えば2ヶ月以内)の場合、当該部品交換と、当該定期点検日で行う内容と、を所定の日にまとめた、保全計画表を作成する。なお、部品交換を点検日にまとめるのは、部品交換を前倒しする場合に制限する。これにより、部品交換前に故障が生じる可能性を抑止できる。
【0068】
図9は、本実施形態の保全計画表作成部102gが交換時期と定期点検とをまとめた場合の保全計画表の例を示した図である。
図9に示される例は、12月に行われる予定だった、LED交換901と、インターホン充電池交換902と、が定期点検の行われる11月にまとめられた例である。11月にまとめられたことで、昇降機の停止が一回で済むことになり、保守員の負担を軽減することができる。また、保全計画表作成部102gは、交換時期と定期点検とをまとめた場合、見積もり額もまとめて欄903に提示する。
【0069】
また、保全計画表作成部102gは、交換時期と定期点検とをまとめた場合の保全計画表と、交換時期と定期点検とをまとめない場合の保全計画表と、のそれぞれを作成するようにしても良い。
【0070】
実測情報送信部102hは、実測情報記憶部106dに記憶された実測保守情報を、BIMサーバ200に送信する。
【0071】
そして、BIMサーバ200の情報送受信部202cは、受信した実測保守情報を、集計実測情報記憶部206bに記憶する。これにより、BIMサーバ200は、保守対象の建築物の様々な実測情報を集計することができる。
【0072】
そして、BIMサーバ200の情報送受信部202cは、集計実測情報記憶部206bに記憶された実測保守情報を、当該パーツに関連する部門の情報処理装置に送信する。部門としては、例えば、当該パーツの修理部門や、当該パーツの開発部門がある。これにより、各部門は、パーツの実際の劣化度合い等を認識することができる。これにより、当該パーツの先行修理や、開発を行うことが可能となる。
【0073】
通知部102iは、生成された保全計画表に含まれていた情報、及びBIMモデルに基づいた建物の3次元形状モデルのうちいずれか一つ以上を、施主物件管理者(顧客)の情報処理装置300に通知する。本実施形態においては、保全計画表に含まれていた情報のち、スケジュール、交換時期、及び見積もり額を施主物件管理者の情報処理装置300に通知する。なお、通知する情報は、スケジュール、交換時期、及び見積もり額に制限するものではなく、施主物件管理者が要求する情報等に基づいて、変更可能とする。
【0074】
さらには、通知部102iは、BIMモデルに基づいた建物の3次元形状モデルを、スケジュールや交換時期と共に送信しても良い。建物の3次元形状モデルは、BIMモデルと比べて簡略化されたモデルであるが、スケジュールに従って点検する部品に対応するパーツや、交換対象の部品に対応するパーツの情報を保持している。これにより、施主物件管理者は、どの部品が交換されるのか、又は点検箇所を認識することができる。
【0075】
さらには、保全計画表作成部102gが、複数の保全計画表を生成した場合に、通知部102iは、それぞれに応じたスケジュール、交換時期、及び見積もり額を、施主物件管理者の情報処理装置300に通知する。これにより、施主物件管理者は、見積もり額等を考慮して、どちらのスケジュールが良いのか検討することができる。
【0076】
そして、通知部102iは、施主物件管理者の情報処理装置300から、どちらのスケジュールが良いのか選択結果を受け付けた場合に、登録処理部102fは、当該選択結果を、保守用情報記憶部106bに登録する。これにより、施主物件管理者の選択結果に応じた、スケジュールを実現できる。
【0077】
[情報処理装置300の構成]
情報処理装置300は、建築物の施主物件管理者が利用する情報処理装置等である。情報処理装置300は、例えば、一般に市販されるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、携帯電話、スマートフォン、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置等である。情報処理装置300は、例えば、インターネットブラウザ、BIMアプリケーション等を搭載していている。
【0078】
情報処理装置300は、保守サーバ100から、保守に関する情報(例えば、スケジュール、部品の交換時期)を受信する。これにより、施主物件管理者は、保守のスケジュールや、部品の交換時期を認識できる。また、複数のスケジュールや、部品の交換時期を、複数受信する場合がある。このような場合に、施主物件管理者は、見積もり額等を考慮して、どちらのスケジュールが適切か選択する必要がある。
【0079】
情報処理装置300は、施主物件管理者から、いずれかのスケジュールの選択を受け付ける。そして、情報処理装置300は、選択結果を保守サーバ100に送信する。例えば、施主物件管理者は、定期点検と部品交換とを別々に行うスケジュールと、定期点検と部品交換とをまとめて行うスケジュールと、のうちいずれか一つを選択する。これにより、施主物件管理者は、予算や昇降機の停止日を考慮して、適切なスケジュールを選択することができる。
【0080】
以上で、第1の実施形態におけるBIMシステムの構成の一例の説明を終える。
【0081】
[第1の実施形態におけるBIMシステムの処理]
次に、このように構成された第1の実施形態におけるBIMシステムの処理の一例について、以下に
図10乃至
図11を参照して詳細に説明する。
【0082】
まず、
図10を参照して、第1の実施形態においてBIMシステムにより実行されるBIMモデルの作成までの処理の一例について説明する。
図10は、第1の実施形態におけるBIMシステムにより実行されるBIMモデルの作成までの処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
図10に示すように、BIMサーバ200においては、制御部202は、パーツ情報データベース206aに格納されているBIMパーツ毎に、交換周期等を含んだ想定保守情報を入力しておく(SA−1)。
【0084】
保守サーバ100の作成条件送信部102aは、情報送受信部102bを介して、利用者により入力される作成条件をBIMサーバ200へ送信する(ステップSA−2)。そして、BIMサーバ200の作成条件受信部202aは、情報送受信部202cを介して、その作成条件を受信する(ステップSA−3)。
【0085】
次に、BIMサーバ200の昇降機モデリング部202bは、作成条件に対応する昇降機のBIMパーツを、パーツ情報データベース206aに記憶されたパーツ情報を用いて作成する(ステップSA−4)。例えば、昇降機モデリング部202bは、
図2に示すようなエレベータのBIMパーツを作成する。ここで、ステップSA−4において、昇降機モデリング部202bは、作成条件を満たす複数の昇降機のBIMパーツを作成してもよい。
【0086】
次に、BIMサーバ200の情報送受信部202cは、ステップSA−4で作成された昇降機のBIMパーツを保守サーバ100へ送信する(ステップSA−5)。そして、保守サーバ100の情報送受信部102bは、その昇降機のBIMパーツを受信する(ステップSA−6)。これにより、想定保守情報が含まれたBIMパーツを受信したことになる。
【0087】
次に、保守サーバ100の統合モデリング部102cは、ステップSA−6で受信した単数または複数の昇降機のBIMパーツを、BIMモデルデータベース106aに記憶された建築物のBIMモデルに組み込んだ状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する(ステップSA−7)。例えば、統合モデリング部102cは、
図3に示すような、エレベータのBIMパーツが建築物のBIMモデルに組み込まれた状態の昇降機組込建築物に対応する統合BIMモデルを作成する。
【0088】
そして、保守サーバ100の登録処理部102fは、BIMモデルデータベース106aのBIMパーツに含まれている想定保守情報に対して、稼働時期を登録する(ステップSA−8)。これにより、想定保守情報に基づいた交換時期が特定されたことになる。
【0089】
次に、
図11を参照して、第1の実施形態においてBIMシステムにより実行される実測保守情報に基づいた保全計画表の作成処理の一例について説明する。
図11は、第1の実施形態におけるBIMシステムにより実行される実測保守情報に基づいた保全計画表の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
まず、保守サーバ100の入力処理部102eは、定期点検または監視時に、保守員が実測した部品の状態を示す実測保守情報を入力処理する(ステップSB−1)。保守員は、
図4に示す入力画面に従うことで、BIMパーツに対応する実測保守情報として、経年劣化情報、交換状況、及び、トラブル対応情報のうちいずれか一つ以上を入力できる。
【0091】
そして、登録処理部102fは、BIMパーツに用いられたパーツ情報で示されるパーツに関する情報として入力処理された、実測保守情報(経年劣化情報、交換状況、及び、トラブル対応情報のうちいずれか一つ以上)を、実測情報記憶部106dに登録する(ステップSB−2)。
【0092】
実測情報送信部102hは、実測情報記憶部106dに記憶された実測保守情報を、BIMサーバ200に送信する(ステップSB−3)。
【0093】
BIMサーバ200の情報送受信部202cは、実測保守情報を保守サーバ100から受信する(ステップSB−4)。
【0094】
そして、制御部202は、受信した実測保守情報を、集計実測情報記憶部206bに登録する(ステップSB−5)。
【0095】
その後、情報送受信部202cは、関係各部門へ実測保守情報を、関係各部門の情報処理装置に送信する(ステップSB−6)。これにより、関係各部門により先行修理・開発が開始され、保守サーバ100は、関係各部門に対して、必要な情報を提供する(ステップSB−7)。
【0096】
一方、保守サーバ100においては、保全計画表作成部102gが、実測情報記憶部106dに記憶された実測保守情報と、BIMパーツと、当該BIMパーツに記憶されている想定保守情報と、に基づいて、保全計画表を作成する(ステップSB−8)。
【0097】
次に、表示制御部102dは、作成された保全計画表を、表示部114に表示する(ステップSB−9)。本フローチャートでは、
図8に示されるように、保全計画表に、交換時期の選択欄が設けられているものとする。
【0098】
そして、入力処理部102eは、利用者により選択された交換時期の選択を受け付ける(ステップSB−10)。そして、登録処理部102fは、選択を受け付けた交換時期を、保守用情報記憶部106bに、設定する(ステップSB−11)。
【0099】
これ以降、保全計画表作成部102gが、保全計画表を作成する場合には、保守用情報記憶部106b設定された交換時期を考慮して、保全計画表を作成する。
【0100】
さらに、保全計画表作成部102gが、保全計画表を作成する場合には、交換時期や定期点検等が所定の期間内に含まれている場合に、交換時期や定期点検をまとめた保全計画表を作成してもよい。
【0101】
そして、通知部102iは、保全計画表に含まれていた情報、BIMモデルに格納されている情報(例えば、想定保守情報)、実測情報記憶部106dに記憶された実測保守情報、及び保守用情報記憶部106bに記憶されている情報のうち、建築物の施主物件管理者への開示情報を選択する(ステップSB−12)。本フローチャートでは、開示情報として、BIMモデルを簡易化した、建築物の3次元形状モデルと、交換時期や定期点検の日程が示されたスケジュールと、見積もり額と、が選択される。
【0102】
そして、通知部102iは、建築物の施主物件管理者の情報処理装置300に、ステップSB−12において選択された開示情報を通知する(ステップSB−13)。
【0103】
本実施形態では、想定保守情報と実測保守情報との間で、部品の交換時期が異なる場合に、管理者から部品の交換時期の選択を受け付け可能としたので、より適切な部品の保守管理を実現できる。
【0104】
(変形例1)
上述した第1の実施形態においては、想定保守情報の交換時期と、実測保守情報の交換時期とが異なる場合に、表示制御部102dが、交換時期を選択可能な保全計画表を表示する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、交換時期を選択可能な保全計画表を作成、表示することに制限するものではない。
【0105】
本変形例の保全計画表作成部102gは、想定保守情報の交換時期と、実測保守情報の交換時期とが異なる場合に、想定された交換時期と比べて実際に測定された結果が異なる旨の警告が示された保全計画表を作成してもよい。表示制御部102dは、警告が示された保全計画表を表示する。これにより管理者は、想定された交換時期と異なる劣化度合いを有した部品を認識できる。さらに、管理者は、当該警告に応じて、手入力で交換時期を変更してもよい。
【0106】
(変形例2)
上述した第1の実施形態では、管理者が部品の交換時期を設定する例について説明したが、上述した実施形態は、管理者が部品の交換時期を設定する手法に制限するものではない。変形例2では、保守サーバ100の保全計画表作成部102gが、交換時期の比較を行う比較部を備える例とする。
【0107】
比較部は、任意のBIMパーツにおいて、実測保守情報の交換時期と、BIMパーツに含まれた想定保守情報の交換時期とが異なる場合に、想定保守情報と、実測保守情報と、に基づいてパーツの交換時期を比較し、比較結果に基づいた交換時期を、保守用情報記憶部106bに設定する。
【0108】
本変形例の比較部は、実測保守情報の交換時期を、想定保守情報の交換時期より、優先して、交換時期を設定する。つまり、想定された交換時期より、実測結果に基づいた交換時期の方が、実際の部品の状況を示していると考え、実測結果に基づいた交換時期を優先することとした。これにより、想定と比べて劣化が早い場合であっても、部品の交換を実現できる。これにより、当該部品による不具合等を抑止できる。さらには、想定と比べて劣化が遅い場合に、部品の交換を遅らせることで、コストを削減できる。
【0109】
そして、本変形例の保全計画表作成部102gは、設定された交換時期を用いた保全計画表を作成する。本変形例では、比較部による比較結果に応じた保全計画表が作成されることで、経年劣化に応じた交換時期が自動的に設定されるので、利便性を向上させることができる。
【0110】
上述した実施形態及び変形例においては、BIMパーツの想定保守情報で交換時期を管理することで、統合BIMモデルによる保守の管理を実現できる。さらには、実測保守情報で、経年劣化に応じた交換時期を管理した上で、実測保守情報の交換時期と、想定保守情報の交換時期と、を表示することで、実際の状況に応じた交換時期を把握することができる。
【0111】
[他の実施形態]
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0112】
例えば、上述の実施形態では、昇降機としてエレベータを例にして説明したが、エスカレータ、動く歩道等の乗客コンベアについても同様に本発明を適用できる。
【0113】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0114】
この他、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0115】
また、保守サーバ100、及びBIMサーバ200に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0116】
例えば、保守サーバ100、及びBIMサーバ200の各装置が備える処理機能、特に制御部102、及び制御部202にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて保守サーバ100、及びBIMサーバ200に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDDなどの記憶部106、及び記憶部206などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0117】
また、このコンピュータプログラムは、保守サーバ100、及びBIMサーバ200に対して任意のネットワーク400を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0118】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0119】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0120】
記憶部106、及び記憶部206に格納される各種のデータベース等(例えば、BIMモデルデータベース106a等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0121】
また、保守サーバ100、及びBIMサーバ200は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置300として構成してもよく、また、該情報処理装置300に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、保守サーバ100、及びBIMサーバ200は、該情報処理装置300に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0122】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。