特許第6325037号(P6325037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6325037
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】練製食品成形型および練製食品成形方法
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/25 20160101AFI20180507BHJP
   A23L 17/00 20160101ALN20180507BHJP
【FI】
   A23P30/25
   !A23L17/00 102Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-162818(P2016-162818)
(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公開番号】特開2018-29503(P2018-29503A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591098112
【氏名又は名称】イビデンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木部 芳晴
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−060592(JP,U)
【文献】 国際公開第92/021506(WO,A1)
【文献】 特開2013−233138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 30/25
A23L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
練製食品を成型するための練製食品成形型であって、
練製食品の第1材料が充填される第1材料充填空間において、第1材料を保持する第1材料保持部と、
練製食品の第2材料が充填される第2材料充填空間において、第2材料を保持する第2材料保持部と、
前記第1材料充填空間から吐出された第1材料および前記第2材料充填空間から吐出された第2材料を、所定の位置において保持する複数材料保持部と、
前記複数材料保持部において、保持状態から吐出された第1材料および第2材料を結合して成型する成型部と、
前記成型部において成型された第1材料および第2材料を圧縮して練製食品を成型する圧縮部と、
を備え、
前記第1材料充填空間には、第1材料が吐出される複数の第1材料吐出孔が連通し、
前記第2材料充填空間には、第2材料が吐出される複数の第2材料吐出孔が連通し、
練製食品の断面において第1材料が占める面積がS1、第2材料が占める面積がS2であり、
前記第1材料吐出孔から第1材料が吐出される際の圧力がP1、前記第2材料吐出孔から第2材料が吐出される際の圧力がP2であり、
S1:S2=P1:P2が成立する、練製食品成形型。
【請求項2】
請求項に記載の練製食品成形型であって、
前記第1材料吐出孔と前記第2材料吐出孔の面積が等しく、かつ前記第1材料吐出孔の数がN1、前記第2材料吐出孔の数がN2であり、
S1:S2=P1:P2=N1:N2が成立する、練製食品成形型。
【請求項3】
請求項に記載の練製食品成形型であって、
前記第1材料保持部および前記第2材料保持部が、第1材料および第2材料の進行方向に沿って配置される、練製食品成形型。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の練製食品成形型であって、
前記第1材料保持部と、前記第2材料保持部と、前記複数材料保持部と、前記成型部の各々が、互いに独立して分離可能な部品によって形成される、練製食品成形型。
【請求項5】
練製食品を成形するための練製食品成形方法であって、
練製食品の第1材料が充填される第1材料充填空間において第1材料を保持し、
練製食品の第2材料が充填される第2材料充填空間において第2材料を保持し、
前記第1材料充填空間から吐出された第1材料および前記第2材料充填空間から吐出された第2材料を、所定の位置において保持し、
保持状態から同じ速度で吐出された第1材料および第2材料を結合して成型し、
成型された第1材料および第2材料を圧縮して練製食品を成型し、
前記第1材料充填空間には、第1材料が吐出される複数の第1材料吐出孔が連通し、
前記第2材料充填空間には、第2材料が吐出される複数の第2材料吐出孔が連通し、
練製食品の断面において第1材料が占める面積がS1、第2材料が占める面積がS2であり、
前記第1材料吐出孔から第1材料が吐出される際の圧力がP1、前記第2材料吐出孔から第2材料が吐出される際の圧力がP2であり、
S1:S2=P1:P2が成立する、練製食品成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、練製食品を成型する練製食品成形型および練製食品成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
練製食品、いわゆる練り物を成型するため、従来より種々の装置が提供されている。これらの装置は、練製食品の生地な正確な計量や、生地の装置への付着防止などを目的として開発されている(特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−225713号公報
【特許文献2】特開2007−175035号公報
【特許文献3】特開2007−175036号公報
【特許文献4】特開2010−187650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来の装置は、専ら単一の生地を押出成型の技術に関するものであり、複数の種の材料を多色成型することを主眼としたものではない。ましてや、練製食品の多色成型に関し、精度の向上を図る技術は何ら提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、成型の精度向上を図ることにより、見映えの良い練製食品を生産可能な練製食品成形型および練製食品成形方法を提供する。
【0006】
本発明の練製食品を成型するための練製食品成形型は、練製食品の第1材料が充填される第1材料充填空間において、第1材料を保持する第1材料保持部と、練製食品の第2材料が充填される第2材料充填空間において、第2材料を保持する第2材料保持部と、前記第1材料充填空間から吐出された第1材料および前記第2材料充填空間から吐出された第2材料を、所定の位置において保持する複数材料保持部と、前記複数材料保持部において、保持状態から吐出された第1材料および第2材料を結合して成型する成型部と、前記成型部において成型された第1材料および第2材料を圧縮して練製食品を成型する圧縮部と、 を備える。
【0007】
本発明の練製食品を成形するための練製食品成形方法は、練製食品の第1材料が充填される第1材料充填空間において第1材料を保持し、練製食品の第2材料が充填される第2材料充填空間において第2材料を保持し、前記第1材料充填空間から吐出された第1材料および前記第2材料充填空間から吐出された第2材料を、所定の位置において保持し、 保持状態から同じ速度で吐出された第1材料および第2材料を結合して成型し、成型された第1材料および第2材料を圧縮して練製食品を成型する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、練製食品の成型精度を向上させることができ、見映えの良い練製食品を成型することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態の練製食品成形型の斜視図であり、(a)は、ホース取付ノズル側から見た斜視図、(b)は、延長管側から見た斜視図、(c)は、練製食品の例としてのなると巻きを示す図。
図2図2は、実施形態の練製食品成形型の分解斜視図。
図3図3は、実施形態の練製食品成形型を構成する部材の正面図であり、(a)は、第1材料充填プレートの正面図、(b)は、第2材料充填プレートの正面図。
図4図4は、実施形態の練製食品成形型を構成する部材の正面図であり、(a)は、第1および第2材料充填プレートの正面図、(b)は、成形プレートの正面図。
図5図5は、実施形態の練製食品成形型の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の練製食品成形型について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態の練製食品成形型100の斜視図であり、図1(a)はホース取付ノズル10(10a、10b)の側から見た斜視図であり、図1(b)は、延長管90の側から見た斜視図である。本実施形態の練製食品成形型100は、ステンレスなどの金属により構成されており、いわば金型であるが構成材料は特に限定はされない。
【0012】
練製食品成形型100は、練製食品、いわゆる練り物を成型するための型であり、特に複数の練製食品の材料から練製食品を成型するものである。練製食品の代表例は、かまぼこ、はんぺん、さつまあげ、つみれ、ちくわ、笹かまぼこ等のような冷凍すり身を主成分とする魚肉練り製品である。ただし本発明が対象とする練製食品は特に限定はされない。
【0013】
本実施形態では、練製食品の第1材料が第1のホース取付ノズル10aの第1の導入口11aから導入され、第2材料が第2のホース取付ノズル10bの第2の導入口11bから導入される。その後、練製食品成形型100の内部にて練製食品が成型され、延長管90の吐出口91から吐出される。
【0014】
図1(c)は練製食品成形型100によって成型される練製食品の例としてのなると巻きMを示す。なると巻きMは、例えば白色の第1材料M1と、例えば赤色の第2材料M2とから構成されている。すなわち、本実施形態では、第1材料M1と第2材料M2の違いは主として色の違い、すなわち加えられた着色料の違いである。ただし、第1材料と第2材料の違いは色の違いだけには限定されない。
【0015】
図2は、実施形態の練製食品成形型100の分解斜視図である。練製食品成形型100は、ホース取付ノズル10と、接続プレート20と、第1材料充填プレート30と、第2材料充填プレート40と、第1および第2材料充填プレート50と、成型プレート60と、ホルダー70と、固定リング80と、延長管90、の如き複数の部品より構成されている。第1材料および第2材料は、ホース取付ノズル10→第1材料充填プレート30→第2材料充填プレート40→第1および第2材料充填プレート→成型プレート60→延長管90の順にそれぞれの内部を通って流れる。
【0016】
ホース取付ノズル10は、練製食品の材料を外部から練製食品成形型100の内部に導入するための部品であり、本実施形態では、第1材料を導入する第1のホース取付ノズル10aと第2材料を導入する第2のホース取付ノズル10bを含む。第1のホース取付ノズル10aの第1の導入口11aと、第2のホース取付ノズル10bの第2の導入口11の各々には、図示せぬホースが接続され、ポンプにより送られてきた第1材料、第2材料が、第1の導入口11a、第2の導入口11を通過して、練製食品成形型100の内部に導かれる。
【0017】
接続プレート20は、ホース取付ノズル10(第1のホース取付ノズル10aと第2材料を導入する第2のホース取付ノズル10b)を、第1材料充填プレート30に接続し、固定するための部品である。
【0018】
第1材料充填プレート30は、第1のホース取付ノズル10aを通過して導入された第1材料を保持する部品であり、第1材料を保持する第1材料保持部として機能する。第1材料充填プレート30の詳細については後述する。
【0019】
第2材料充填プレート40は、第2のホース取付ノズル10bを通過して導入された第2材料を保持する部品であり、第2材料を保持する第2材料保持部として機能する。第2材料充填プレート40の詳細については後述する。
【0020】
第1および第2材料充填プレート50は、第1材料充填プレート30および第2材料充填プレート40から吐出された第1材料および第2材料を、所定の位置において保持する複数材料保持部として機能する。第1および第2材料充填プレート50の詳細については後述する。
【0021】
成型プレート60は、第1および第2材料充填プレート50において、保持状態から吐出された第1材料および第2材料を結合して成型する成型部として機能する。成型プレート60の詳細については後述する。
【0022】
ホルダー70および固定リング80は、延長管90を成型プレート60に接続し、固定するための部品である。
【0023】
延長管90は、成型プレート60において成型された第1材料および第2材料を圧縮して練製食品を成型する圧縮部として機能する。
【0024】
図3は、実施形態の練製食品成形型100を構成する部材の正面図であり、図3(a)は、第1材料充填プレート30の正面図、図3(b)は、第2材料充填プレート40の正面図である。
【0025】
図3(a)に示すように、第1材料充填プレート30は平面視における中央部において、平面視円形状であって紙面の奥側に窪んだ第1材料充填空間31を有する。第1材料充填空間31は、平面視において外側方向に突出した突出口31aを有し、この突出口31aは、第1のホース取付ノズル10aに連通している。また、第1材料充填空間31の底面には、複数の第1材料吐出孔33が開口し、第1材料充填空間31に連通している。また、第1材料充填プレート30は第2のホース取付ノズル10bに連通した第2材料通過孔35を有する。
【0026】
第1のホース取付ノズル10aを通過して導入された第1材料は、まず突出口31aに達した後、一点鎖線の矢印に示すように流れて第1材料充填空間31に充填される。第1材料は所定の粘性を有するため、第1材料充填空間31内にて圧力が均等になるように充填される。このため第1材料は、複数の第1材料吐出孔33の総てを通じて略等しい圧力P1で吐出され、後述する第2材料充填プレート40の第1材料通過孔45を通過する。一方で、第2のホース取付ノズル10bを通過して導入された第2材料は、第2材料通過孔35を通過する。
【0027】
図3(b)に示すように、第2材料充填プレート40は平面視における中央部において、平面視渦巻き状であって紙面の奥側に窪んだ第2材料充填空間41を有する。第2材料充填空間41は、平面視において外側方向に突出した突出口41aを有し、この突出口41aは、第1材料充填プレート30の第2材料通過孔35に連通している。また、第2材料充填空間41の底面には、複数の第2材料吐出孔43が開口し、第2材料充填空間41に連通している。また、第2材料充填プレート40は、第1材料充填プレート30の複数の第1材料吐出孔33に連通した複数の第1材料通過孔45を有する。
【0028】
第1材料充填プレート30の第2材料通過孔35を通過して導入された第2材料は、まず突出口41aに達した後、二点鎖線の矢印に示すように流れて第2材料充填空間41に充填される。第2材料は所定の粘性を有するため、第2材料充填空間41内にて圧力が均等になるように充填される。このため第2材料は、複数の第2材料吐出孔43の総てを通じて略等しい圧力P2で吐出され、後述する第1および第2材料充填プレート50の第2材料保持孔53に達する。一方で、第1材料充填プレート30の第1材料吐出孔33を通過して導入された第1材料は、第1材料通過孔45を通過する。
【0029】
図4は、実施形態の練製食品成形型100を構成する部材の正面図であり、図4(a)は、第1および第2材料充填プレート50の正面図、図4(b)は、成型プレート60の正面図である。
【0030】
図4(a)に示すように、第1および第2材料充填プレート50は、第2材料充填プレート40の第1材料通過孔45に連通した第1材料保持孔51と、第2材料充填プレート40の第2材料吐出孔43に連通した第2材料保持孔53とを備える。
【0031】
第2材料充填プレート40の第1材料通過孔45を通過して導入された第1材料は、第1材料保持孔51にて保持される。また、第2材料充填プレート40の第2材料吐出孔43を通過して導入された第2材料は、第2材料保持孔53にて保持される。この際、第1材料および第2材料は、実質的に同時に第1および第2材料充填プレート50に充填されることで圧力が互いに等しくなり(均圧化される)、成型プレート60へ移動する。
【0032】
図4(b)に示すように、成型プレート60は、第1および第2材料充填プレート50の第1材料保持孔51に連通した第1材料成型孔61と、第1および第2材料充填プレート50の第2材料保持孔53に連通し、平面視渦巻き状の第2材料成型溝63とを備える。第2材料成型溝63は、成型プレート60から紙面の奥側に突出した突出壁63gによって画定されており、突出壁63gは延長管90の内部にも突出している(図5参照)。
【0033】
第1および第2材料充填プレート50の第1材料保持孔51から導入された第1材料は、第1材料成型孔61を通過した後、直接、延長管90に導入される。また、第1および第2材料充填プレート50の第2材料保持孔53から導入された第2材料は、第2材料成型溝63を通過する。上述した様に、突出壁63gは延長管90の内部にも突出しているため、第1材料および第2材料は、延長管90の内部に至るまで互いに独立した状態で流れる。ここで、第1材料成型孔61を通過する第1材料の移動速度と、第2材料成型溝63を通過する第2材料の移動速度は、実質的に等しい。
【0034】
図5は、実施形態の練製食品成形型100の縦断面図であり、第1のホース取付ノズル10aおよび第2のホース取付ノズル10bの中心点と、延長管90の中心点を含む断面に沿った図である。図2で示したのと同様に、練製食品成形型100は、ホース取付ノズル10と、接続プレート20と、第1材料充填プレート30と、第2材料充填プレート40と、第1および第2材料充填プレート50と、成型プレート60と、ホルダー70と、固定リング80と、延長管90、の如き複数の部品より構成されている。図5では、第1材料および第2材料は左側から右側に向けて流れ、第1材料の流れを一点鎖線、第2材料の流れを二点鎖線で示す。
【0035】
図3(a)、図3(b)で説明した様に、第1材料は、第1の導入口11a→突出口31a→第1材料充填空間31→第1材料吐出孔33→第1材料通過孔45→第1材料保持孔51→第1材料成型孔61→延長管90→吐出口91の経路に沿って流れる。一方、第2材料は、第2の導入口11b→第2材料通過孔35→突出口41a→第2材料充填空間41→第2材料吐出孔43→第2材料保持孔53→第2材料成型溝63→延長管90→吐出口91の経路に沿って流れる。尚、本実施形態では、第2材料充填プレート40は、流れ方向において、第1のプレート40a、第2のプレート40bの二つに分かれており、第1のプレート40aが第2材料充填空間41を形成し、第2のプレート40bが、第2材料充填空間41の底面に連通した第2材料吐出孔43を形成している。
【0036】
第1材料および第2材料は、延長管90の内部において、成型プレート60の先端(第2材料成型溝63および突出壁63gの先端)に相当するX位置において、実質的に等しい速度をもって吐出されるとともに結合する。延長管90の内部空間は、X位置から流れ方向に沿って先端側のY位置まで徐々にテーパー状に縮径している。よって第1材料および第2材料は流れの方向にしたがって径方向に圧縮され、Y位置において圧縮が完了するとともに互いに完全に結合し、最終的な練製食品に成型されたうえで吐出口91から吐出される。
【0037】
そして、本実施形態では、図1(c)に示す、なると巻きMを見映えよく製造するため、第1材料および第2材料を吐出する際の圧力を制御している。すなわち、上述した様に、第1材料充填空間31に連通した第1材料吐出孔33から第1材料が吐出される際の圧力がP1に設定され、かつ第2材料充填空間41に連通した第2材料吐出孔43から第2材料が吐出される際の圧力がP2される。一方で、図1(c)に示す、なると巻きMの断面において第1材料M1が占める面積がS1、第2材料M2が占める面積がS2であり、この値はあらかじめ定められている。面積S1、面積S2を前提として、S1:S2=P1:P2が成立するように、圧力P1、圧力P2が設定される。
【0038】
このように、予め第1材料および第2材料の各々が充填する充填空間を設け、当該充填空間からの各材料の吐出圧力を制御することにより、第1材料および第2材料が流れる速度をも制御し、最終的な生成物である練製食品の断面において、第1材料と第2材料が所定の位置に正確に配置され、見映えの美しい練製食品を成型することが可能となる。
【0039】
尚、本実施形態では、第1材料吐出孔33と第2材料吐出孔43の面積は異なっている。ただし、第1材料吐出孔33と第2材料吐出孔43の面積を等しくすることもでき、この場合、第1材料吐出孔33の数がN1、第2材料吐出孔43の数がN2であるとすると、S1:S2=P1:P2=N1:N2が成立する。
【0040】
さらに上述した様に、第1材料と第2材料は、第1および第2材料充填プレート50の所定の位置である第1材料保持孔51および第2材料保持孔53において保持される。第1材料保持孔51および第2材料保持孔53は、第1材料と第2材料の流れ方向に沿って同じ位置に存在する。そして、第1材料の移動速度と第2材料の圧力が実質的に等しくなるように調整がされる。第1材料と第2材料は、等しい圧力で第1および第2材料充填プレート50から吐出され、成型プレート60へ移動する。成型プレート60の第1材料成型孔61における第1材料の移動速度と、成型プレート60の第2材料成型溝63における第2材料の移動速度は実質的に等しくなる。
【0041】
このように、本実施形態では、成型プレート60より下流側において、第1材料および第2材料が流れ方向に沿って結合する際の同じ位置における移動速度を等しくしておくことにより、最終的な生成物である練製食品の断面において、第1材料と第2材料が所定の位置に正確に配置され、見映えの美しい練製食品を成型することが可能となる。
【0042】
すなわち、実施形態の練製食品成形型100によれば、第1材料および第2材料の各々の吐出圧力が所定の値に制御され、かつ少なくとも第1材料および第2材料が結合する際の移動速度が実質的に等しくなるように制御される。この結果、練製食品の成型精度を向上させることができ、見映えの良い練製食品を成型することが可能となる。
【0043】
また、実施形態の練製食品成形型100によれば、見映えの良い美しい練製食品を成型しやすいため収率を向上させることができ、生産性を向上させることが可能である。
【0044】
また、本実施形態の練製食品成形型100においては、第1材料充填プレート30と第2材料充填プレート40が、第1材料および第2材料の進行方向に沿って配置されている。よって、成形型全体のサイズを小型なものとすることができる。さらに、第1材料充填プレート30、第2材料充填プレート40に加え、第1および第2材料充填プレート50、成型プレート60も第1材料および第2材料の進行方向に沿って配置されているため、成形型全体のサイズがより小型になる。
【0045】
また、本実施形態の練製食品成形型100においては、第1材料充填プレート30、第2材料充填プレート40、第1および第2材料充填プレート50、成型プレート60の各々が、互いに独立して分離可能な部品によって形成されている。よって、一部の部品に不具合が生じても、当該部品のみの交換が容易であり、メンテナンス性に優れる。衛生面にも優れている。
【0046】
尚、実施形態の練製食品成形型100は、互いに独立して分離可能な複数の部品より構成されている。ただし、本発明の練製食品成形型はこのような構成に限定はされず、製造が可能な範囲で一部または全部の部品を一体の部品により形成してもよい。
【0047】
また、実施形態の練製食品成形型100は、第1材料および第2材料ということなる2種の材料を成型している。しかしながら、本発明の練製食品成形型が扱う材料の種類は2種には限定されず、3種類以上の材料も成型することができる。3種類以上の材料を扱う場合は、第1材料充填プレート、第2材料充填プレートに加えて、さらに他の材料充填プレートを追加し、最終的に成形プレートで成型することができる。
【0048】
また、本発明は、練製食品を成形するための練製食品成形方法を提供する。練製食品成形方法の実施にあたっては、第1材料、第2材料を所定の第1材料充填空間、第2材料充填空間において保持する。そして、第1材料充填空間から吐出された第1材料および第2材料充填空間から吐出された第2材料を、所定の位置において保持する。保持状態から同じ速度で吐出された第1材料および第2材料を結合して成型し、成型された第1材料および第2材料を圧縮して練製食品を成型する。
【0049】
練製食品成形型における材料の移動速度や圧力などは、図示せぬ装置によってモニタ可能である。モニタの結果を練製食品成形型に接続され、材料を送り出すポンプにフィードバックし、ポンプの運転状態を適宜調整することにより材料の移動速度や圧力などを調整することができる。
【0050】
本発明の練製食品成形型を用いて下記の材料からかまぼこを成型した。各材料の粘度はスパイラル粘度計を用いて測定した。その結果、見映えの良いかまぼこを成型することができた。
【0051】
【表1】
【0052】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0053】
10 ホース取付ノズル
20 接続プレート
30 第1材料充填プレート(第1材料保持部)
40 第2材料充填プレート(第2材料保持部)
50 第1および第2材料充填プレート(複数材料保持部)
60 成型プレート(成型部)
70 ホルダー
80 固定リング
90 延長管(圧縮部)
100 練製食品成形型
図1
図2
図3
図4
図5