特許第6325047号(P6325047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6325047
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】非燃焼型香味吸引器及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20180507BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 A
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-196993(P2016-196993)
(22)【出願日】2016年10月5日
(62)【分割の表示】特願2015-539359(P2015-539359)の分割
【原出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-46700(P2017-46700A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-204196(P2013-204196)
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
(72)【発明者】
【氏名】太郎良 賢史
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/072790(WO,A1)
【文献】 特開2012−005412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F27/00−47/00
A61M11/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から霧化手段に供給する電力量を制御する制御部を備え、
ユーザが選択可能なモードとして、前記霧化手段によって霧化されたエアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間区間間隔内であるユーザに適用すべき標準モードと、前記エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が前記標準所要時間区間間隔よりも短いユーザに適用すべき短縮モードとが予め定義されており、
前記制御部は、前記標準モード及び前記短縮モードの中から選択されたモードを選択的に実行し、
前記制御部は、前記標準モードの1回あたりのパフ動作において、第1時間が経過するまでの区間で標準電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、
前記制御部は、前記短縮モードの1回あたりのパフ動作において、前記第1時間よりも短い第2時間が経過するまでの区間で前記標準電力量よりも大きい電力を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御することを特徴とする非燃焼型香味吸引器。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザのパフ動作の学習によって、前記標準モード又は前記短縮モードを設定することを特徴とする請求項1に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザの操作によって、前記標準モード又は前記短縮モードを設定することを特徴とする請求項1に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項4】
発光素子をさらに備え、
前記制御部は、前記エアロゾルを吸引しているパフ状態において、第1発光態様で前記発光素子を制御し、前記エアロゾルを吸引していない非パフ状態において、前記第1発光態様とは異なる第2発光態様で前記発光素子を制御し、
前記制御部は、前記第1時間が経過した後の区間においても、前記第1発光態様が継続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項5】
前記霧化手段は、燃焼を伴わずエアロゾル源を加熱する熱源であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項6】
前記制御部は、2以上のパフ動作に適用されるモードとして、前記標準モード及び前記短縮モードの中から選択されたモードを選択的に実行することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項7】
非燃焼型香味吸引器で用いる制御方法であって、
ユーザが選択可能なモードとして、霧化手段によって霧化されたエアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間区間間隔内であるユーザに適用すべき標準モードと、前記エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が前記標準所要時間区間間隔よりも短いユーザに適用すべき短縮モードとが予め定義されており、
前記標準モード及び前記短縮モードの中から選択されたモードを選択的に実行するステップを備え、
前記ステップは、
前記標準モードの1回あたりのパフ動作において、第1時間が経過するまでの区間で標準電力量を前記霧化手段に供給するステップと、
前記短縮モードの1回あたりのパフ動作において、前記第1時間よりも短い第2時間が経過するまでの区間で前記標準電力量よりも大きい電力を前記霧化手段に供給するステップとを含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非吸口端から吸口端に向かって所定方向に沿って延びる形状を有する非燃焼型香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼を伴わずに、香味を吸引するための非燃焼型香味吸引器が知られている。非燃焼型香味吸引器は、非吸口端から吸口端に向かって所定方向に沿って延びる形状を有する。非燃焼型香味吸引器は、エアロゾルを発生するエアロゾル源と、燃焼を伴わずにエアロゾル源を加熱する熱源と、熱源に電力を供給する電源とを有する(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、ユーザがエアロゾルを吸引するパフ動作がユーザ毎に異なるため、1回あたりのパフ動作において吸引されるエアロゾル(TPM;Total Paticulate Matter)の供給量を一定にする試みが検討されている。例えば、1回あたりのパフ動作において、熱源に供給する電力量(熱源に印加する電圧)を制御することによって、熱源の温度を一定に保つ技術が提案されている(例えば、特許文献2,3)。これによって、パフ動作間において、エアロゾルの供給量のバラツキが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−506594号公報
【特許文献2】国際公開第2013/060781号
【特許文献3】国際公開第2013/060784号
【発明の概要】
【0005】
第1の特徴は、非吸口端から吸口端に向かって所定方向に沿って延びる形状を有する非燃焼型香味吸引器であって、エアロゾルを発生するエアロゾル源と、燃焼を伴わずに前記エアロゾル源を霧化する霧化手段と、前記霧化手段に電力を供給する電源と、前記電源から前記霧化手段に供給する電力量を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間区間間隔内であるユーザに適用すべき標準モードと、前記エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が前記標準所要時間区間間隔よりも短いユーザに適用すべき短縮モードとを制御し、前記標準モードの1回あたりのパフ動作において、第1時間が経過するまでの区間で標準電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記第1時間が経過した後の区間で前記標準電力量よりも小さい電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記短縮モードの1回あたりのパフ動作において、第2時間が経過するまでの区間で前記標準電力量よりも大きい第1電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記第2時間後の第3時間が経過するまでの区間で前記第1電力量よりも小さい第2電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記第3時間が経過した後の区間で前記第2電力量よりも小さい電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御することを要旨とする。
【0006】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記第2時間は、前記第1時間よりも短い。
【0007】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記制御部は、ユーザのパフ動作の学習によって、前記標準モード又は前記短縮モードを設定することを要旨とする。
【0008】
第4の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記制御部は、ユーザの操作によって、前記標準モード又は前記短縮モードを設定することを要旨とする。
【0009】
第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴のいずれかにおいて、非燃焼型香味吸引器は、発光素子をさらに備え、前記制御部は、前記エアロゾルを吸引しているパフ状態において、第1発光態様で前記発光素子を制御し、前記エアロゾルを吸引していない非パフ状態において、前記第1発光態様とは異なる第2発光態様で前記発光素子を制御し、前記第1時間が経過した後の区間又は前記第3時間が経過した後の区間においても、前記第1発光態様が継続することを要旨とする。
【0010】
第6の特徴は、第1の特徴乃至第5の特徴のいずれかにおいて、第1の特徴乃至第6の特徴のいずれかにおいて、前記霧化手段は、燃焼を伴わずに前記エアロゾル源を加熱する熱源であることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る霧化ユニット120を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る制御回路50を示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る発光態様の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る発光態様の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係るパフ動作シリーズにおける電力制御の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るパフ動作シリーズにおける電力制御の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る1回あたりのパフ動作における電力制御の一例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係る1回あたりのパフ動作における電力制御の一例を示す図である。
図10図10は、変更例1に係るパフ動作シリーズにおける電力制御の一例を示す図である。
図11図11は、変更例2に係るパフ動作シリーズにおける電力制御の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0013】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[実施形態の概要]
発明者等は、鋭意検討の結果、霧化手段に供給する電力量を一定とした場合に、1回あたりのパフ動作において、単位時間当たりのエアロゾル量が異なる点について着目した。具体的には、1回あたりのパフ動作は、初期区間、中期区間、終期区間に分類することができる。例えば、エアロゾル源を加熱するための熱源を霧化手段として用いた場合、初期区間では、霧化手段が十分な温度に達していないため、単位時間当たりのエアロゾル量が少なく、霧化手段に供給する電圧に対するエアロゾル量の効率が低い。中期区間では、霧化手段が十分な温度に達しているため、単位時間当たりのエアロゾル量が多く、霧化手段に供給する電圧に対するエアロゾル量の効率が高い。終期区間において霧化手段熱源が過加熱状態となるため、霧化手段の近傍にエアロゾル源が供給される供給速度に対して、霧化手段の近傍でエアロゾルが発生する発生速度(霧化手段の近傍でエアロゾル源が消費される消費速度)が大きい。従って、終期区間において、単位時間当たりのエアロゾル量が減少し、霧化手段に供給する電圧に対するエアロゾル量の効率も低下する。
【0015】
従って、1回あたりのパフ動作の所用時間が短いユーザは、十分なエアロゾルを吸引することができず、このようなユーザの満足度が低下する。一方で、1回あたりのパフ動作の所用時間が長いユーザは、単位時間当たりにおいてエアロゾルの発生量の小さい区間でもエアロゾルを吸引することになり、ユーザに与える喫味が低下する。
【0016】
実施形態に係る非燃焼型香味吸引器は、非吸口端から吸口端に向かって所定方向に沿って延びる形状を有する。非燃焼型香味吸引器は、エアロゾルを発生するエアロゾル源と、燃焼を伴わずに前記エアロゾル源を霧化する霧化手段と、前記霧化手段熱源に電力を供給する電源と、前記電源から前記霧化手段に供給する電力量を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間区間間隔内であるユーザに適用すべき標準モードと、前記エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が前記標準所要時間区間間隔よりも短いユーザに適用すべき短縮モードとを制御する。前記制御部は、前記標準モードの1回あたりのパフ動作において、第1時間が経過するまでの区間で標準電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記第1時間が経過した後の区間で前記標準電力量よりも小さい電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御する。前記制御部は、前記短縮モードの1回あたりのパフ動作において、第2時間が経過するまでの区間で前記標準電力量よりも大きい第1電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記第2時間後の第3時間が経過するまでの区間で前記第1電力量よりも小さい第2電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御し、前記第3時間が経過した後の区間で前記第2電力量よりも小さい電力量を前記霧化手段に供給するように前記電源を制御する。
【0017】
実施形態では、短縮モードの導入によって、1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間よりも短いユーザであっても、標準モードよりも早く霧化手段の温度を上昇することによって、このようなユーザの満足度を向上することができる。動作モードによらずに、第2時間が経過した後の区間で、霧化手段に供給する電力量を減少するため、分解物質の吸引が抑制され、喫味の低下が抑制される。
【0018】
実施形態では、予め定められた動作モード(標準モード及び短縮モード)を準備しており、予め定められた動作モードに従って霧化手段に供給する電力量を制御すればよい。これによって、霧化手段熱源に電力が供給されている間において、かかる電力量の供給量をAir flow(吸引量)に基づいて制御し続けるといった複雑な制御が不要である。言い換えると、喫味の低下及びユーザの満足度の向上を簡易な構成で実現できる。
【0019】
[第1実施形態]
(非燃焼型香味吸引器)
以下において、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器について説明する。図1は、第1実施形態に係る非燃焼型香味吸引器100を示す図である。図2は、第1実施形態に係る霧化ユニット120を示す図である。
【0020】
第1実施形態において、非燃焼型香味吸引器100は、燃焼を伴わずに香味を吸引するため器具であり、非吸口端から吸口端に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有する。
【0021】
図1に示すように、非燃焼型香味吸引器100は、電装ユニット110と、霧化ユニット120とを有する。電装ユニット110は、霧化ユニット120に隣接する部位に雌コネクタ111を有しており、霧化ユニット120は、電装ユニット110に隣接する部位に雄コネクタ121を有する。雌コネクタ111は、所定方向Aに直交する方向に沿って延びるらせん状の溝を有しており、雄コネクタ121は、所定方向Aに直交する方向に沿って延びるらせん状の突起を有する。雌コネクタ111及び雄コネクタ121の螺合によって、霧化ユニット120と電装ユニット110とが接続される。霧化ユニット120は、電装ユニット110に対して着脱可能に構成される。
【0022】
電装ユニット110は、電源10と、センサ20と、押しボタン30と、発光素子40と、制御回路50とを有する。
【0023】
電源10は、例えば、リチウムイオン電池である。電源10は、非燃焼型香味吸引器100の動作に必要な電力を供給する。例えば、電源10は、センサ20、発光素子40及び制御回路50に電力を供給する。また、電源10は、後述する熱源80に電力を供給する。
【0024】
センサ20は、ユーザの吸引動作によって生じる風圧を検出する。具体的には、センサ20は、霧化ユニット120に向かって空気が吸引される際に生じる負圧を検出する。センサ20は、特に限定されるものではないが、圧電素子によって構成される。
【0025】
押しボタン30は、所定方向Aに沿って吸口端側に押し込むように構成される。例えば、押しボタン30の所定操作(所定回数に亘って連続的に押し込むなどの操作)によって、非燃焼型香味吸引器100の電源がONにされる。押しボタン30の操作によって電源がONにされると、電源10から制御回路50へ電力が供給され、制御回路50を介して、センサ20及び発光素子40へ電力が供給される。ここで、熱源80への電力供給は、電源がONにされ、かつセンサ20によってユーザの吸引動作が検出された際に行われることに留意すべきである。すなわち、エアロゾルを吸引していない非パフ状態においては、熱源80への電力供給は行われない。
【0026】
或いは、押しボタン30の所定操作(押しボタン30の長押しなどの操作)によって、非燃焼型香味吸引器100の電源がOFFにされてもよい。押しボタン30の所定操作によって非燃焼型香味吸引器100の電源がOFFにされるため、非燃焼型香味吸引器100の非使用時において消費電力を減少することができる。
【0027】
なお、押しボタン30は、非燃焼型香味吸引器100の電源のON及びOFFの少なくとも一方を行うための構成であればよい。
【0028】
発光素子40は、例えば、LEDや電灯などの光源である。発光素子40は、所定方向に沿って延びる側壁に設けられる。発光素子40は、非吸口端の近傍に設けられることが好ましい。これによって、所定方向Aの軸線上において非吸口端の近傍に発光素子が設けられるケースと比べて、ユーザは、吸引動作中において、発光素子40の発光パターンを容易に視認することができる。発光素子40の発光パターンは、非燃焼型香味吸引器100の状態をユーザに通知するパターンである。
【0029】
制御回路50は、非燃焼型香味吸引器100の動作を制御する。具体的には、制御回路50は、発光素子40の発光パターンを制御し、熱源80に供給される電力量を制御する。
【0030】
霧化ユニット120は、図2に示すように、保持体60と、吸収体70と、熱源80と、破壊部90とを有する。霧化ユニット120は、カプセルユニット130と、吸口ユニット140とを有する。ここで、霧化ユニット120は、外気を内部に取り込むための空気導入孔125と、雄コネクタ121を介して電装ユニット110(センサ20)に連通する空気流路122と、筒状に配置されるセラミック123とを有する。霧化ユニット120は、霧化ユニット120の外形を形成する筒状の外壁124を有する。セラミック123によって囲まれる空間は、空気流路を形成する。セラミック123は、例えば、アルミナを主成分として含む。
【0031】
保持体60は、筒状形状を有しており、エアロゾルを発生するエアロゾル源を保持する。エアロゾル源は、グリセリン又はプロピレングリコールなどの液体である。保持体60は、例えば、エアロゾル源が含浸された孔質体によって構成されている。孔質体は、例えば、樹脂ウェブである。
【0032】
なお、第1実施形態においては、上述したセラミック123が保持体60の内側に配置されており、保持体60によって保持されるエアロゾル源の揮発が抑制される。
【0033】
吸収体70は、保持体60に隣接して設けられており、エアロゾル源を保持体60から吸い上げる物質によって構成される。吸収体70は、例えば、ガラス繊維によって構成される。
【0034】
熱源80は、燃焼を伴わずにエアロゾル源を加熱する。例えば、熱源80は、吸収体70に巻き回された電熱線である。熱源80は、吸収体70によって吸い上げられたエアロゾル源を加熱する。
【0035】
破壊部90は、カプセルユニット130が装着された状態において、所定膜133の一部を破壊するための部材である。実施形態において、破壊部90は、霧化ユニット120とカプセルユニット130とを仕切るための隔壁部材126によって保持されている。隔壁部材126は、例えば、ポリアセタール樹脂である。破壊部90は、例えば、所定方向Aに沿って延びる円筒状の中空針である。中空針の先端を所定膜133に突き刺すことによって、所定膜133の一部が破壊される。また、中空針の内側空間によって霧化ユニット120とカプセルユニット130とを空気的に連通する空気流路が形成される。ここで、中空針の内部には、香味源131を構成する原料が通過しない程度の粗さを有する網目が設けられることが好ましい。網目の粗さは、例えば、80メッシュ以上200メッシュ以下である。
【0036】
このようなケースにおいて、カプセルユニット130内に中空針が侵入する深さは、1.0mm以上かつ5.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上かつ3.0mm以下であることがさらに好ましい。これによって、所定膜133の所望部位以外の部位を破壊することがないため、所定膜133とフィルタ132とによって区画される空間に充填される香味源131の脱離を抑制することができる。また、係る空間からの中空針の離脱が抑制されるため、中空針からフィルタ132に至る適切な空気流路を好適に維持することができる。
【0037】
所定方向Aに対する垂直断面において、垂直針の断面積は、2.0mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましい。これによって、中空針を引き抜いた際に、カプセルユニット130から香味源131が脱落することが抑制される。
【0038】
中空針の先端は、所定方向Aに対する垂直方向に対して、30°以上かつ45°以下の傾斜を有することが好ましい。
【0039】
但し、実施形態はこれに限定されるものではなく、破壊部90は、カプセルユニット130が装着された状態において、所定膜133に隣接する部位であってもよい。このような部位に対してユーザが圧力を加えることによって、所定膜133の一部が破壊されてもよい。
【0040】
カプセルユニット130は、本体ユニットに対して着脱可能に構成される。カプセルユニット130は、香味源131と、フィルタ132と、所定膜133とを有する。また、所定膜133とフィルタ132とによって区画される空間内に、香味源131が充填されている。ここで、本体ユニットとは、カプセルユニット130以外の部位によって構成されるユニットである。例えば、本体ユニットは、上述した電装ユニット110、保持体60、吸収体70及び熱源80を含む。
【0041】
香味源131は、エアロゾル源を保持する保持体60よりも吸口端側に設けられており、エアロゾル源から発生するエアロゾルとともにユーザによって吸引される香味を発生する。ここで、香味源131は、所定膜133とフィルタ132とによって区画される空間内から流出しないように、固体状の物質によって構成されることに留意すべきである。香味源131としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体、たばこ原料をシート状に成形した成形体を用いることができる。香味源131は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源131には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0042】
なお、香味源131がたばこ原料によって構成される場合には、たばこ原料が熱源80から離れているため、たばこ原料を加熱せずに香味を吸引することが可能である。言い換えると、たばこ原料の加熱によって生じる不要物質の吸引が抑制されることに留意すべきである。
【0043】
第1実施形態において、フィルタ132及び所定膜133によって区画される空間に充填される香味源131の量は、0.15g/cc以上かつ1.00g/cc以下であることが好ましい。フィルタ132及び所定膜133によって区画される空間において香味源131が占有する体積の占有率は、50%以上かつ100%以下であることが好ましい。なお、フィルタ132及び所定膜133によって区画される空間の容積は、0.6ml以上かつ1.5ml以下であることが好ましい。これによって、カプセルユニット130を適切な大きさに保ちながら、ユーザが香味を十分に味わうことができる程度に香味源131を収容することができる。
【0044】
破壊部90によって所定膜133の一部が破壊され、霧化ユニット120とカプセルユニット130とが連通した状態において、カプセルユニット130の先端部分(被破壊部分)からフィルタ132の末端まで、1050cc/minの流量で空気を吸引した場合のカプセルユニット130の通気抵抗(圧力損失)は、全体として、10mmAq以上かつ100mmAq以下であることが好ましく、20mmAq以上かつ90mmAq以下であることがさらに好ましい。香味源131の通気抵抗を上記の好ましい範囲に設定することによって、エアロゾルが香味源131によって濾過され過ぎる事象が抑制され、効率的に香味をユーザに供給することができる。なお、1mmAqは、9.80665Paに相当するため、上記通気抵抗は、Paで表現することもできる。
【0045】
フィルタ132は、香味源131に対して吸口端側に隣接されており、通気性を有する物質によって構成される。フィルタ132は、例えば、アセテートフィルタであることが好ましい。フィルタ132は、香味源131を構成する原料が通過しない程度の粗さを有することが好ましい。
【0046】
フィルタ132の通気抵抗は、5mmAq以上かつ20mmAq以下であることが好ましい。これによって、香味源131から生じる蒸気成分を効率的に吸着しながら、エアロゾルを効率的に通過させることができ、適切な香味をユーザに供給することができる。また、ユーザに対して適切な空気の抵抗感を与えることができる。
【0047】
香味源131の質量とフィルタ132の質量との比率(質量比率)は、3:1〜20:1の範囲であることが好ましく、4:1〜6:1の範囲であることがさらに好ましい。
【0048】
所定膜133は、フィルタ132と一体として成形されており、通気性を有していない部材によって構成される。所定膜133は、香味源131の外面のうち、フィルタ132と隣接する部分を除いた部分を被覆する。所定膜133は、ゼラチン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートによって構成される群の中から選択される少なくとも一つの化合物を含む。ゼラチン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートは、通気性を有しておらず、かつ、薄膜の形成に適している。また、ゼラチン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートは、香味源131に含まれる水分に対して十分な耐性が得られる。ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートは、特に耐水性に優れる。さらに、ゼラチン、ポリプロピレン及びポリエチレンは、耐塩基性を有しているため、香味源131が塩基性成分を有する場合でも、塩基性成分によって劣化しにくい。
【0049】
所定膜133の膜厚は、0.1μm以上かつ0.3μm以下であることが好ましい。これによって、所定膜133によって香味源131を保護する機能を維持しながら、所定膜133の一部を容易に破壊することができる。
【0050】
上述したように、所定膜133は、フィルタ132と一体として成形されるが、所定膜133は、例えば、糊等によってフィルタ132に接着される。或いは、所定方向Aに対する垂直方向において、所定膜133の外形をフィルタ132の外形よりも小さく設定して、所定膜133内にフィルタ132を詰め込み、フィルタ132の膨張力によって所定膜133内にフィルタ132を嵌合してもよい。或いは、所定膜133を係合するための係合部をフィルタ132に設けてもよい。
【0051】
ここで、所定膜133の形状は、特に限定されるものではないが、所定方向Aに対する垂直断面において、凹形状を有することが好ましい。このようなケースでは、凹形状を有する所定膜133の内側に香味源131を充填した後に、香味源131が充填された所定膜133の開口をフィルタ132によって閉じる。
【0052】
所定方向Aに対する垂直断面において、所定膜133が凹形状を有する場合において、所定膜133によって囲まれる空間の断面積のうち、最大の断面積(すなわち、フィルタ132が嵌合される開口の断面積)は、25mm以上かつ80mm以下であることが好ましく、25mm以上かつ55mm以下であることがさらに好ましい。このような場合において、所定方向Aに対する垂直断面において、フィルタ132の断面積は、25mm以上かつ55mm以下であることが好ましい。所定方向Aにおけるフィルタ132の厚みは、3.0mm以上かつ7.0mm以下であることが好ましい。
【0053】
吸口ユニット140は、吸口孔141を有する。吸口孔141は、フィルタ132を露出する開口である。ユーザは、吸口孔141からエアロゾルを吸引することによって、エアロゾルとともに香味を吸引する。
【0054】
第1実施形態において、吸口ユニット140は、霧化ユニット120の外壁124に対して着脱可能に構成される。例えば、吸口ユニット140は、外壁124の内面に嵌合するように構成されたカップ形状を有する。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。吸口ユニット140は、ヒンジ等によって回動可能に外壁124に取り付けられていてもよい。
【0055】
第1実施形態において、吸口ユニット140は、カプセルユニット130と別体として設けられる。すなわち、吸口ユニット140は、本体ユニットの一部を構成する。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。吸口ユニット140は、カプセルユニット130と一体として設けられていてもよい。このような場合には、吸口ユニット140は、カプセルユニット130の一部を構成することに留意すべきである。
【0056】
(制御回路)
以下において、第1実施形態に係る制御回路について説明する。図3は、第1実施形態に係る制御回路50を示すブロック図である。
【0057】
図3に示すように、制御回路50は、パフ検出部51と、発光素子制御部52と、熱源制御部53とを有する。
【0058】
パフ検出部51は、ユーザの吸引動作によって生じる風圧を検出するセンサ20に接続される。パフ検出部51は、センサ20の検出結果(例えば、非燃焼型香味吸引器100内の負圧)に基づいてパフ状態を検出する。詳細には、パフ検出部51は、エアロゾルを吸引しているパフ状態及びエアロゾルを吸引しているパフ状態を検出する。これによって、パフ検出部51は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数を特定することが可能である。また、パフ検出部51は、エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間を検出することも可能である。
【0059】
発光素子制御部52は、発光素子40及びパフ検出部51に接続されており、発光素子40を制御する。具体的には、発光素子制御部52は、エアロゾルを吸引しているパフ状態において、第1発光態様で発光素子40を制御する。一方で、発光素子制御部52は、エアロゾルを吸引していない非パフ状態において、第1発光態様とは異なる第2発光態様で発光素子40を制御する。
【0060】
ここで、発光態様とは、発光素子40の光量、点灯状態の発光素子40の数、発光素子40の色、発光素子40の点灯及び発光素子40の消灯を繰り返す周期などのパラメータの組合せによって定義される。異なる発光態様とは、上述したパラメータのいずれかが異なっている発光態様を意味する。
【0061】
第1実施形態において、第2発光態様は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数に応じて変化する。第1発光態様は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数に応じて変化してもよく、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数に依存せずに一定であってもよい。
【0062】
例えば、第1発光態様は、燃焼を伴ってエアロゾルを生じる一般的なシガレットの使用感に似せるために、赤色の発光素子40を点灯する態様である。第1発光態様は、発光素子40を継続的に点灯する態様であることが好ましい。或いは、第1発光態様は、発光素子40の点灯及び発光素子40の消灯を第1周期で繰り返す態様であってもよい。また、一般的なシガレットではない非燃焼型香味吸引器を使用していることを強調したい場合には、第1発光態様は、シガレットの燃焼時とは異なる色、例えば、緑色の発光素子40を点灯する態様とすることが好ましい。
【0063】
例えば、第2発光態様は、エアロゾル源が加熱されていないことをユーザに通知するために、第1発光態様と異なる色、例えば、青色の発光素子40を点灯する態様である。第2発光態様は、発光素子40の点灯及び発光素子40の消灯を第1周期とは異なる第2周期で繰り返す態様であってもよい。例えば、発光素子40の点灯及び発光素子40の消灯を第1周期よりも長い第2周期で繰り返す態様であってもよい。その場合、第2発光態様は、第1発光態様と異なる色でもよく、同じ色でもよい。
【0064】
上述したように、第2発光態様は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数に応じて変化する。
【0065】
例えば、第2発光態様は、パフ動作の回数の増大に伴って、発光素子40への電力供給量の調整によって制御対象の発光素子40の数が増大する態様であってもよい。例えば、発光素子制御部52は、1回目のパフ動作において、1つの発光素子40を第2発光態様で制御し、2回目のパフ動作において、2つの発光素子40を第2発光態様で制御する。或いは、発光素子制御部52は、1回目のパフ動作において、n個の発光素子40を第2発光態様で制御し、2回目のパフ動作において、n−1個の発光素子40を第2発光態様で制御する。
【0066】
或いは、第2発光態様は、パフ動作の回数の増大に伴って、発光素子40の光量が増大又は減少する態様であってもよい。或いは、第2発光態様は、パフ動作の回数の増大に伴って、発光素子40の色が変化する態様であってもよい。
【0067】
なお、第1発光態様がパフ動作の回数に応じて変化する場合においても、第1発光態様の変化は、第2発光態様の変化と基本的には同じ考え方である。
【0068】
第1実施形態において、発光素子制御部52は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数が所定回数(例えば、8回)に達した場合に、第1発光態様及び第2発光態様に従う制御を終了して、終了発光態様で発光素子40を制御する。
【0069】
終了発光態様は、パフ動作を終了すべきタイミングである旨をユーザに通知する態様であればよく、第1発光態様及び第2発光態様と異なることが好ましい。例えば、終了発光態様は、第1発光態様及び第2発光態様よりも発光素子40の光量が小さく、発光素子40の光量が徐々に減少する態様である。
【0070】
熱源制御部53は、電源10に接続されており、電源10から熱源80に供給する電力量を制御する。例えば、熱源制御部53は、電源10に併設されるDC−DCコンバータ等を制御することによって、電源10から熱源80に印加される電圧を制御する。
【0071】
第1に、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に供給する電力量を基準電力量から段階的に増大する。これによって、燃焼を伴ってエアロゾルを生じる一般的なシガレットの使用感を似せることが可能である。
【0072】
ここで、熱源制御部53は、パフ動作の回数が所定回数を超えた後においてパフ動作が行われた場合に、基準電力量よりも小さい電力量を熱源80に供給するように電源10を制御してもよい。これによって、パフ動作を終了すべきタイミングであっても、若干のエアロゾルをユーザが吸引することが可能であり、ユーザの満足感を増大することができる。
【0073】
熱源制御部53は、パフ動作の回数が所定回数を超えてから所定時間が経過した場合に、非燃焼型香味吸引器100の電源をOFFにする。これによって、非燃焼型香味吸引器100の電源の消し忘れに伴う非燃焼型香味吸引器100の電力量浪費が抑制される。
【0074】
ここで、熱源制御部53は、上述した動作を組み合わせて、パフ動作の回数が所定回数を超えた後において、基準電力量よりも小さい電力量を熱源80に供給し、パフ動作の回数が所定回数を超えた後、かつ、所定時間が経過した場合に、非燃焼型香味吸引器100の電源をOFFにしてもよい。
【0075】
なお、非燃焼型香味吸引器100の電源は、熱源制御部53の制御に依存せずに、押しボタン30の所定操作(押しボタン30の長押しなどの操作)によって強制的にOFFにされてもよい。言い換えると、非燃焼型香味吸引器100の電源は、パフ動作が所定回数に達する前であっても、押しボタン30の所定操作(押しボタン30の長押しなどの操作)によって強制的にOFFにされてもよい。
【0076】
熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に供給する電力量の勾配を増大することが好ましい。ここで、電力量の勾配とは、一定電力量が維持されるパフ動作の回数と電力量が増大する増大幅とによって定義される。すなわち、パフ動作の回数の増大に伴って、一定電力量が維持されるパフ動作の回数が減少する。或いは、パフ動作の回数の増大に伴って、電力量が増大する増大幅が増大する。或いは、パフ動作の回数の増大に伴って、一定電力量が維持されるパフ動作の回数が減少し、かつ、電力量が増大する増大幅が増大する。
【0077】
さらには、熱源制御部53は、基準電力量として第1基準電力量を用いる第1モードと、基準電力量として第1基準電力量よりも大きい第2基準電力量を用いる第2モードとを制御してもよい。基準電力量として、3段階以上の基準電力量が準備されていてもよい。このようなケースにおいては、基準電力量の切り替えは、押しボタン30の操作によって行われてもよい。例えば、1回の押しボタン30の押下によって第1モードが適用され、2回の押下によって第2モードが適用されてもよい。また、押しボタン30は、タッチセンサによって代替されてもよい。これらの操作によって、非燃焼型香味吸引器100の電源がONにされてもよい。すなわち、押しボタン30の操作によって電源のON及び基準電力量の切り替えが1つの動作によって行われてもよい。但し、押しボタン30の操作によって電源をONにする動作は、基準電力量を切り替える動作と別々であってもよい。
【0078】
第2に、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間区間内であるユーザに適用すべき標準モードと、エアロゾルを吸引する1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間区間よりも短いユーザに適用すべき短縮モードとを制御する。ここで、標準所要時間区間とは、エアロゾルの供給量(TPM:Total Particulate Matter量)のバランスが特に良好な時間区間を意味する。
【0079】
具体的には、熱源制御部53は、標準モードの1回あたりのパフ動作において、第1時間が経過するまでの区間で標準電力量を熱源80に供給するように電源10を制御し、第1時間が経過した後の区間で標準電力量よりも小さい電力量を熱源80に供給するように電源10を制御する。なお、標準電力量よりも小さい電力量は、ゼロを含む概念であり、熱源制御部53は、第1時間が経過した後の区間において、熱源80に供給する電力量を直ちにゼロにする、すなわち、熱源80に対する電力の供給を直ちに停止してもよい。或いは、熱源制御部53は、熱源80に供給する電力量を徐々に減少してもよい。
【0080】
ここで、第1時間は、上述した標準所要時間区間の終了タイミングと同じであることが好ましい。但し、第1時間は、エアロゾルの供給量(TPM量)のバランスが許容される範囲内で、標準所要時間区間の終了タイミングよりも長くてもよい。
【0081】
一方で、熱源制御部53は、短縮モードの1回あたりのパフ動作において、第2時間が経過するまでの区間で標準電力量よりも大きい第1電力量を熱源80に供給するように電源10を制御し、第2時間後の第3時間が経過するまでの区間で第1電力量よりも小さい第2電力量を熱源80に供給するように電源10を制御し、第3時間が経過した後の区間で第2電力量よりも小さい電力量を熱源80に供給するように電源10を制御する。なお、第2電力量よりも小さい電力量は、ゼロを含む概念であり、熱源制御部53は、第3時間が経過した後の区間において、熱源80に供給する電力量を直ちにゼロにする、すなわち、熱源80に対する電力の供給を直ちに停止してもよい。或いは、熱源制御部53は、熱源80に供給する電力量を徐々に減少してもよい。
【0082】
ここで、第2時間は、上述した標準所要時間区間の開始タイミングよりも短いことが好ましい。言い換えると、短縮モードで用いる第2時間は、標準モードで用いる第1時間よりも短いことが好ましい。但し、第2時間は、標準所要時間区間内に含まれてもよく、標準所要時間区間の終了タイミングよりも長くてもよい。第3時間は、上述した標準所要時間区間の終了タイミングと同じであることが好ましい。但し、第3時間は、エアロゾルの供給量(TPM量)のバランスが許容される範囲内で、標準所要時間区間の終了タイミングよりも長くてもよい。
【0083】
また、第1電力量よりも小さい第2電力量は、上述した標準電力量と同じでもよい。但し、第2電力量は、標準電力量よりも大きくてもよく、標準電力量よりも小さくてもよい。
【0084】
なお、上述したように、熱源制御部53は、パフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に供給する電力量を基準電力量から段階的に増大する。言い換えると、1回あたりのパフ動作における標準電力量は、パフ動作の回数の増大に伴って増大することに留意すべきである。
【0085】
熱源制御部53は、ユーザのパフ動作の学習によって、標準モード又は短縮モードを設定してもよい。詳細には、熱源制御部53は、学習によって得られた1回あたりのパフ動作の所要時間が標準所要時間区間内である場合に、標準モードを設定する。熱源制御部53は、学習によって得られた1回あたりのパフ動作の所要時間が標準所要時間区間よりも短い場合には、短縮モードを設定する。
【0086】
第1実施形態において、電装ユニット110に対して、霧化ユニット120が着脱可能である。また、電装ユニット110を含む本体ユニットに対して、カプセルユニット130が着脱可能である。言い換えると、電装ユニット110は、複数回のパフ動作シリーズに亘って使い回すことが可能である。パフ動作シリーズとは、所定回数のパフ動作を繰り返す一連の動作である。従って、最初のパフ動作シリーズにおいて1回あたりのパフ動作の所要時間を学習することによって、2回目以降のパフ動作シリーズにおいて標準モード又は短縮モードが設定されてもよい。或いは、1回あたりのパフ動作シリーズにおいて、最初のn回のパフ動作において1回あたりのパフ動作の所要時間を学習することによって、n+1(或いは、n+2)回目以降のパフ動作について標準モード又は短縮モードが設定されてもよい。
【0087】
或いは、熱源制御部53は、ユーザの操作によって、標準モード又は短縮モードを設定してもよい。このようなケースにおいては、標準モード及び短縮モードを切り替えるためのスイッチが非燃焼型香味吸引器100に設けられる。なお、1回あたりのパフ動作シリーズ内において、標準モード及び短縮モードの切り替えを許容してもよい。或いは、1回あたりのパフ動作シリーズ内において、標準モード及び短縮モードの切り替えを許容せずに、最初に設定されたモードが固定的に適用されてもよい。
【0088】
(発光態様)
以下において、第1実施形態に係る発光態様の一例について説明する。図4及び図5は、第1実施形態に係る発光態様の一例を示す図である。図4及び図5では、パフ動作の回数が8回(所定回数)に達した場合に、原則として、パフ動作シリーズをユーザが終了すべきであるケースについて例示する。
【0089】
第1に、発光態様の第1例について、図4を参照しながら説明する。図4に示すように、パフ状態における第1発光パターンは、パフ動作の回数に依存せずに一定である。一方で、非パフ状態における第2発光パターンは、パフ動作の回数に応じて変化する。
【0090】
例えば、図4に示すように、非パフ状態#1〜非パフ状態#4においては、第2発光態様として、発光態様#2−1が用いられる。非パフ状態#5〜非パフ状態#7においては、第2発光態様として、発光態様#2−2が用いられる。非パフ状態#8において、第2発光態様として、発光態様#2−3が用いられる。なお、9回目以降の非パフ状態においては、上述した終了発光態様が用いられる。
【0091】
一方で、パフ状態#1〜パフ状態#8においては、第1発光態様として、発光態様#1が用いられる。9回目以降のパフ状態においても、第1発光態様として、発光態様#1が用いられてもよいし、8回(所定回数)を超えたパフであることを示すために、第1発光態様及び第2発光態様と異なる発光態様が用いられてもよい。
【0092】
発光態様#1、発光態様#2−1、発光態様#2−2、発光態様#2−3及び終了発光態様は、互いに異なる発光態様である。上述したように、発光態様とは、発光素子40の光量、点灯状態の発光素子40の数、発光素子40の色、発光素子40の点灯及び発光素子40の消灯を繰り返す周期などのパラメータの組合せによって定義される。異なる発光態様とは、上述したパラメータのいずれかが異なっている発光態様を意味する。
【0093】
例えば、発光態様#1は、燃焼を伴ってエアロゾルを生じる一般的なシガレットの使用感に似せるために、燃焼をイメージさせる発光態様であることが好ましい。発光態様#2−1は、パフ動作シリーズの序盤をイメージさせる発光態様であり、発光態様#2−2は、パフ動作シリーズの中盤をイメージさせる発光態様であり、発光態様#2−3は、パフ動作シリーズの終盤をイメージさせる発光態様であることが好ましい。終了発光態様は、パフ動作を終了すべきタイミングである旨をユーザに通知する態様であることが好ましい。
【0094】
第2に、発光態様の第1例について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、パフ状態における第1発光パターン及び非パフ状態における第2発光パターンの双方は、パフ動作の回数に応じて変化する。
【0095】
例えば、図5に示すように、非パフ状態においては、図4に示すケースと同様に、第2発光態様として、発光態様#2−1、発光態様#2−2及び発光態様#2−3が用いられる。
【0096】
一方で、パフ状態#1〜パフ状態#4においては、第1発光態様として、発光態様#1−1が用いられる。パフ状態#5〜パフ状態#7においては、第1発光態様として、発光態様#1−2が用いられる。パフ状態#8において、第1発光態様として、発光態様#1−3が用いられる。なお、9回目以降のパフ状態においては、発光態様#1−4が用いられる。
【0097】
発光態様#1−1は、パフ動作シリーズの序盤をイメージさせる発光態様であり、発光態様#1−2は、パフ動作シリーズの中盤をイメージさせる発光態様であり、発光態様#1−3は、パフ動作シリーズの終盤をイメージさせる発光態様であることが好ましい。なお、発光態様#1−4は、終了発光態様と同様に、パフ動作を終了すべきタイミングである旨をユーザに通知する態様であることが好ましい。
【0098】
第1実施形態においては、図4及び図5に示すように、非パフ状態#1(すなわち、非燃焼型香味吸引器100の電源ON直後の非パフ状態)における発光態様が第2発光態様(発光態様#2−1)であるケースについて例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。非パフ状態#1における発光態様は、第2発光態様と異なる開始発光態様であってもよい。開始発光態様は、パフ動作を開始する準備が整った旨をユーザに通知する態様であることが好ましい。
【0099】
(パフ動作シリーズにおける電力制御)
以下において、第1実施形態に係るパフ動作シリーズにおける電力制御の一例について説明する。図6及び図7は、第1実施形態に係るパフ動作シリーズにおける電力制御の一例を示す図である。図6及び図7では、パフ動作の回数が8回(所定回数)に達した場合に、原則として、パフ動作シリーズをユーザが終了すべきであるケースについて例示する。また、非パフ状態においては、熱源80に電力が供給されないため、図6及び図7では、非パフ状態における供給電力量の挙動が省略されていることに留意すべきである。
【0100】
ここでは、熱源80に供給される電力量は、熱源80に印加される電圧によって制御されるケースについて例示する。従って、電力量が電圧と同義であると考えてよい。また、図6は、基準電圧として第1電圧を用いる第1モード(Lowモード)を示しており、図7は、基準電圧として第1電圧よりも高い第2電圧を用いる第2モード(Highモード)を示している。但し、基準電圧が異なっているが、第1モード(Lowモード)及び第2モード(Highモード)において、熱源80に印加される電圧の挙動は同様である。
【0101】
図6及び図7に示すように、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に印加する電圧を基準電圧から段階的に増大する。具体的には、パフ状態#1〜パフ状態#4において、熱源80に印加される電圧は一定であり、基準電圧が熱源80に印加される。パフ状態#5〜パフ状態#7においては、熱源80に印加される電圧は一定であり、基準電圧よりも1段階大きい電圧が熱源80に印加される。パフ状態#8においては、基準電圧よりも2段階大きい電圧が熱源80に印加される。9回目以降のパフ状態においては、基準電圧よりも小さい電圧が熱源80に印加される。
【0102】
上述したように、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に印加する電圧の勾配を増大する。
【0103】
例えば、パフ動作の回数の増大に伴って、一定電圧が維持されるパフ動作の回数が減少する。すなわち、基準電圧が印加されるパフ動作の回数が4回であり、基準電圧よりも1段階大きい電圧が印加されるパフ動作の回数が3回であり、基準電圧よりも2段階大きい電圧が印加されるパフ動作の回数が1回である。或いは、パフ動作の回数の増大に伴って、一定電圧が維持されるパフ動作の回数が減少する。或いは、2回目の電圧の増大幅Yは、1段階目の電圧の増大幅Xよりも大きい。
【0104】
これによって、一定電圧が維持されるパフ動作の回数と電圧が増大する増大幅とによって定義される電圧の勾配(θ1及びθ2)は、パフ動作の回数の増大に伴って増大する。言い換えると、パフ動作シリーズの中盤の勾配θ2は、パフ動作シリーズの序盤の勾配θ1よりも大きい。
【0105】
図6及び図7では、熱源80に印加される電圧が増大する段階数が2段階であるが、実施形態は、これに限定されるものではない。熱源80に印加される電圧が増大する段階数は、3段階以上であってもよい。或いは、熱源80に印加される電圧が増大する段階数は、1段階であってもよい。
【0106】
(1回あたりのパフ動作における電力制御)
以下において、第1実施形態に係る1回あたりのパフ動作における電力制御の一例について説明する。図8及び図9は、第1実施形態に係る1回あたりのパフ動作における電力制御の一例を示す図である。図8及び図9では、パフ動作の回数が8回(所定回数)に達した場合に、原則として、パフ動作シリーズをユーザが終了すべきであるケースについて例示する。
【0107】
ここでは、熱源80に供給される電力量は、熱源80に印加される電圧によって制御されるケースについて例示する。従って、電力量が電圧と同義であると考えてよい。また、図8は、標準モードにおいて熱源80に印加される電圧の挙動を示しており、図9は、短縮モードにおいて熱源80に印加される電圧の挙動を示している。
【0108】
図8に示すように、標準モードにおいて、第1時間T1が経過するまでの区間で標準電圧が熱源80に印加される。第1時間T1が経過した後の区間で標準電圧よりも小さい電圧が熱源80に印加される。
【0109】
ここでは、第1時間T1が標準所要時間区間の終了タイミングと同じであるケースを例示している。但し、第1時間T1は、上述したように、これに限定されるものではない。
【0110】
図9に示すように、短縮モードにおいて、第2時間T2が経過するまでの区間で標準電圧よりも大きい第1電圧が熱源80に印加される。第2時間T2後の第3時間T3が経過するまでの区間で第1電圧よりも小さい第2電圧が熱源80に印加される。第3時間T3が経過した後の区間で第2電圧よりも小さい電圧が熱源80に印加される。
【0111】
ここでは、第2時間が標準所要時間区間の開始タイミングよりも短いケースを例示している。第3時間が標準所要時間区間の終了タイミングと同じであるケースを例示している。第2電圧が標準電圧よりも小さいケースを例示している。但し、第2時間T2、第3時間T3、第2電圧は、上述したように、これに限定されるものではない。
【0112】
なお、標準モード又は短縮モードが設定されている場合において、1回あたりのパフ動作の所要時間が変化することも考えられる。このようなケースであっても、図8又は図9に示す電圧のプロファイルをトレースして、パフ動作の終了とともに電圧がゼロになることに留意すべきである。言い換えると、予め定められた動作モードに従って熱源に供給する電力量を制御すればよいため、熱源80に電力が供給されている間において、かかる電力量の供給量をAir flow(吸引量)に基づいて制御し続けるといった複雑な制御が不要であることに留意すべきである。
【0113】
(作用及び効果)
第1実施形態では、発光素子制御部52は、エアロゾルを吸引していない非パフ状態において、第1発光態様とは異なる第2発光態様で発光素子40を制御する。これによって、非パフ状態においても、非燃焼型香味吸引器100が使用可能な状態であるのか否かをユーザに把握させることができる。また、パフ状態の発光態様が非パフ状態の発光態様と異なるため、燃焼を伴ってエアロゾルを生じる一般的なシガレットの使用感に似せた使用感を実現できる。
【0114】
第1実施形態では、第2発光態様は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数に応じて変化する。これによって、発光素子40の発光を視認しやすい非パフ状態において、第2発光態様の変化によってパフの進捗状態をユーザが容易に把握することができる。
【0115】
第1実施形態では、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に供給する電力量を基準電力量から段階的に増大する。これによって、燃焼を伴ってエアロゾルを発生する一般的なシガレットにエアロゾルの供給量を近づけることができ、一般的なシガレットに似せた使用感を実現することができる。
【0116】
第1実施形態では、熱源制御部53は、基準電力量として第1基準電力量を用いる第1モードと、基準電力量として第1基準電力量よりも大きい第2基準電力量を用いる第2モードとを制御する。これによって、1つの非燃焼型香味吸引器100によって、ユーザの嗜好に応じたエアロゾル量をユーザが選択することができる。
【0117】
第1実施形態では、短縮モードの導入によって、1回あたりのパフ動作の所用時間が標準所要時間よりも短いユーザであっても、標準モードよりも早く熱源の温度を上昇することによって、このようなユーザの満足度を向上することができる。動作モードによらずに、第1時間又は第3時間が経過した後の区間で、熱源に供給する電力量を減少するため、分解物質の吸引が抑制され、喫味の低下が抑制される。
【0118】
第1実施形態では、予め定められた動作モード(標準モード及び短縮モード)を準備しており、予め定められた動作モードに従って熱源に供給する電力量を制御すればよい。これによって、熱源80に電力が供給されている間において、かかる電力量の供給量をAir flow(吸引量)に基づいて制御し続けるといった複雑な制御が不要である。言い換えると、喫味の低下及びユーザの満足度の向上を簡易な構成で実現できる。
【0119】
第1実施形態では、短縮モードで用いる第2時間は、標準モードで用いる第1時間よりも短い。これによって、短縮モードが選択されている状態において、ユーザが偶発的に長時間のパフ動作(例えば、標準所要時間区間に達するパフ動作)を行った場合であっても、熱源80に対する過剰な電力供給を抑制することができる。短縮モードで用いる第2時間が標準所要時間区間の開始タイミングよりも短ければ、熱源80に対する過剰な電力供給をさらに効果的に抑制することができる。
【0120】
第1実施形態では、非燃焼型香味吸引器100の電源のON又はOFFを行うための押しボタン30が設けられる。ユーザが意図的にパフ動作シリーズの開始又は終了を行うことができるため、押しボタン30が存在しないケースと比べて、燃焼を伴ってエアロゾルを生じる一般的なシガレットの使用感に似せた使用感(パフ動作シリーズの区切り感)を実現できる。
【0121】
第1実施形態では、非燃焼型香味吸引器100の電源をOFFにするための押しボタン30が設けられることによって、非燃焼型香味吸引器100の非使用時においてセンサ20及び発光素子40に電力を供給する必要がなく、消費電力を減少することができる。一方で、消費電力を削減するために押しボタン30が設けられている場合であっても、非燃焼型香味吸引器100の電源がONになっているか否かを発光素子40の発光態様によってユーザに把握させることができる。詳細には、パフ状態に加えて、非パフ状態においても発光素子40が発光するため、発光素子40が発光していれば、非燃焼型香味吸引器100の電源がONになっていることを把握することができ、発光素子40が発光していなければ、非燃焼型香味吸引器100の電源がOFFになっていることを把握することができる。
【0122】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0123】
具体的には、上述した第1実施形態では、熱源制御部53は、電源10から熱源80に印加される電圧の制御によって、電源10から熱源80に供給する電力量を制御する。詳細には、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に供給する電力量(電圧)を基準電力量(基準電圧)から段階的に増大する(図7を参照)。
【0124】
これに対して、変更例1では、熱源制御部53は、電源10から熱源80に印加される電圧をパルス制御によって制御しており、熱源80に電圧を印加するパルス幅(Duty比)の制御によって、電源10から熱源80に供給する電力量を制御する。詳細には、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に電圧を印加するパルス幅を基準パルス幅から段階的に短縮する(図10を参照)。
【0125】
なお、図10では、図7に示す例に倣って、パフ状態#4とパフ状態#5との間で電力量を増大するケースが例示されている。図10では、パフ状態#4及びパフ状態#5以外のパフ状態は省略されているが、パルス幅(Duty比)の制御によって、図7に示す例と同様の効果が得られることは勿論である。
【0126】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0127】
具体的には、上述した第1実施形態では、熱源制御部53は、電源10から熱源80に印加される電圧の制御によって、電源10から熱源80に供給する電力量を制御する。詳細には、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に供給する電力量(電圧)を基準電力量(基準電圧)から段階的に増大する(図7を参照)。
【0128】
これに対して、変更例2では、熱源制御部53は、熱源80に電圧を印加する時間間隔の制御によって、電源10から熱源80に供給する電力量を制御する。詳細には、熱源制御部53は、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、熱源80に電圧を印加する時間間隔を基準時間間隔から段階的に延長する(図11を参照)。
【0129】
変更例2において、基準時間間隔とは、ユーザがパフ動作を継続している場合に、熱源80に対する電圧の印加を継続する最大時間を意味する。従って、ユーザがパフ動作を継続する時間が基準時間間隔を超えると、熱源80に対する電圧の印加が停止する。なお、電圧の印加が停止してもユーザのパフ動作が継続している間は、発光素子40の第1発光態様を維持する。これによって、1回あたりのパフ動作において熱源80に供給される総電力量が変化するため、図7に示す例と同様の効果が得られる。
【0130】
なお、第1実施形態で説明した標準モード及び短縮モードが導入される場合には、エアロゾルを吸引するパフ動作の回数の増大に伴って、第1時間、第2時間及び第3時間が調整(延長)されてもよい。
【0131】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0132】
実施形態では、香味源131を収容する部材として、カプセルユニット130が用いられる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。香味源131を収容する部材は、収容部材が本体ユニットに接続され使用可能状態になった際に、エアロゾルが香味源131を介してユーザまで届けられる構造(エアロゾル発生源とアウトレットが香味源を介して連通している構造)となっていればよい。例えば、カートリッジであってもよい。このような場合に、カートリッジは、筒状部材と、筒状部材の両端に設けられる1対のフィルタと、筒状部材及び1対のフィルタによって区画される空間に充填される香味源131とを有する。
【0133】
実施形態では、特に言及していないが、パフ動作の回数は、1回あたりのパフ動作の所要時間及び熱源80に供給する電力量によって定義される値(エアロゾル発生量)によって補正されてもよい。具体的には、1回あたりのパフ動作で発生するエアロゾル量が既定値よりも少ない場合には、所定係数α(α<1)を1回に乗算した値を加算することによってパフ動作の回数を累積してもよい。一方で、1回あたりのパフ動作で発生するエアロゾル量が既定値よりも多い場合には、所定係数β(β>1)を1回に乗算した値を加算することによってパフ動作の回数を累積してもよい。すなわち、パフ動作の回数は、必ずしも整数でなくてもよい。
【0134】
実施形態では、特に言及していないが、パフ動作シリーズにおける電力制御において、熱源80に供給する電力量を増大するタイミングは、第2発光態様を変化させるタイミングと同期していることが好ましい。例えば、図6図7に示すように、パフ状態#4とパフ状態#5との間で熱源80に供給する電力量(電圧)が増大する場合には、パフ状態#4とパフ状態#5との間で第2発光態様が変化することが好ましい。
【0135】
実施形態では、特に触れていないが、図8及び図9に示すように、第1時間T1又は第3時間T3が経過した後の区間において、標準電圧よりも小さい電圧が熱源80に印加されるが、このような区間においても、第1発光態様が継続することが好ましい。
【0136】
実施形態では、基準電力量として第1基準電力量を用いる第1モード(図6に示すLowモード)と、基準電力量として第1基準電力量よりも大きい第2基準電力量を用いる第2モード(図7に示すHighモード)が設けられる。このようなケースにおいて、第1モードの発光態様は、第2モードの発光態様と異なっていてもよい。すなわち、第1モードにおける第1発光態様、第2発光態様及び終了発光態様は、それぞれ、第2モードにおける第1発光態様、第2発光態様及び終了発光態様と異なっていてもよい。
【0137】
実施形態では詳述していないが、パフ動作シリーズの切替えは以下のように行われることが好ましい。
【0138】
(a)パフ動作シリーズ内においてパフ回数が所定回数に達することによって、制御回路50の制御によって非燃焼型香味吸引器100の電源が自動的にOFFにされるケース
【0139】
このようなケースにおいては、非燃焼型香味吸引器100の電源が再びONにされた場合に、新規のパフ動作シリーズが開始する。
【0140】
(b)パフ動作シリーズ内においてパフ回数が所定回数に達する前において、一定期間(例えば、「所定回数×60秒」、「15分」及び「パフ動作の回数が所定回数を超えてから自動的に電源をOFFにするまでの時間(すなわち、上述した所定時間)×2」のうち、最も短い期間)に亘って吸引動作が行われない場合に、制御回路50の制御によって非燃焼型香味吸引器100の電源が自動的にOFFにされるケース
【0141】
このようなケースにおいて、パフ回数が切替判定回数(例えば、所定回数の1/2)以上である場合に、新規のパフ動作シリーズが開始する。一方で、パフ回数が切替判定回数(例えば、所定回数の1/2)未満である場合に、従前のパフ動作シリーズが継続する。
【0142】
(c)押しボタン30の所定操作(押しボタン30の長押しなどの操作)によって非燃焼型香味吸引器100の電源が強制的にOFFにされるケース
【0143】
このようなケースにおいては、非燃焼型香味吸引器100の電源が再びONにされた場合に、新規のパフ動作シリーズが開始する。或いは、非燃焼型香味吸引器100の電源が再びONにされた場合に、新規のパフ動作シリーズを開始するか或いは従前のパフ動作シリーズを継続するかをユーザが選択可能としてもよい。
【0144】
なお、上述した(a)又は(c)のケースにおいては、パフ動作シリーズ内においてカウントされるパフ回数は、非燃焼型香味吸引器100の電源がOFFにされるタイミングでリセットされてもよい。或いは、パフ動作シリーズ内においてカウントされるパフ回数は、非燃焼型香味吸引器100の電源が再びONにされるタイミングでリセットされてもよい。また、上述した(c)のケースにおいて、新規のパフ動作シリーズを開始するか或いは従前のパフ動作シリーズを継続するかをユーザが選択可能とした場合には、パフ動作シリーズ内においてカウントされるパフ回数は、非燃焼型香味吸引器100の電源が再びONにされ、ユーザが新規のパフ動作シリーズを開始する選択を行ったタイミングでリセットされてもよい。
【0145】
一方で、上述した(b)のケースにおいては、パフ動作シリーズ内においてカウントされるパフ回数は、パフ回数が切替判定回数以上である場合に非燃焼型香味吸引器100の電源がOFFにされるタイミングでリセットされてもよい。或いは、パフ動作シリーズ内においてカウントされるパフ回数は、パフ回数が切替判定回数以上である場合に非燃焼型香味吸引器100の電源が再びONにされるタイミングでリセットされてもよい。
【0146】
実施形態では、非燃焼型香味吸引器100の電源のON又は電源のOFFを行うためのユーザインタフェースとして押しボタン30が設けられるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。非燃焼型香味吸引器100の電源のON又は電源のOFFを行うためのユーザインタフェースは、電力消費を伴わずに非燃焼型香味吸引器100の電源のON又は電源のOFFを行うことが可能なハードスイッチであればよい。
【0147】
実施形態では、電源をONにするための押しボタン30を備えた非燃焼型香味吸引器100について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。非燃焼型香味吸引器100は、電源をONにするための押しボタンを有していなくてもよい。このようなケースにおいては、ユーザのパフ回数がパフ動作シリーズにおける所定回数を超えた後、かつ、所定時間が経過した場合に、上述の実施形態では非燃焼型香味吸引器100の電源をOFFとしている代わりに、発光素子40の終了発光態様のみでユーザにパフ動作シリーズの終了を通知してもよい。同様に、非燃焼型香味吸引器100の電源をOFFとする代わりに、一定時間(例えば、5分間)、センサ20がユーザの吸引を検知しても熱源80への通電を行わないよう制御してもよい。
【0148】
実施形態では、燃焼を伴わずにエアロゾル源を霧化する霧化手段として熱源80を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。燃焼を伴わずにエアロゾル源を霧化する霧化手段は、超音波によってエアロゾル源を霧化するユニットであってもよい。
【0149】
なお、日本国特許出願第2013−204196号(2013年9月30日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明によれば、パフの進捗状態をユーザが容易に把握することを可能とする非燃焼型香味吸引器を提供することができる。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11