(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6325048
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】削岩リグ
(51)【国際特許分類】
E21B 6/00 20060101AFI20180507BHJP
【FI】
E21B6/00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-198664(P2016-198664)
(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-106299(P2017-106299A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】15189089.4
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン, イルポ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェリヴァアラ, ヨハンネス
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−541370(JP,A)
【文献】
特開平08−086186(JP,A)
【文献】
特表2011−525575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア(2)及び少なくとも2つのブームユニット(3a、3b)を備えた削岩リグ(2)であって、
前記削岩リグ(1)が、
工具(10)、及び前記工具(10)の先端部にあるドリルビット(11)が設けられる第1の削岩機(6a)を備えた第1のブームユニット(3a)と、
工具(10)、及び前記工具(10)の先端部にあるドリルビット(11)が設けられる第2の削岩機(6b)を備えた第2のブームユニット(3b)とを備えており、
前記第2のブームユニット(3b)が、少なくとも1つのドリルビット(11)を収容するための少なくとも1つのラック(20)を備え、
前記第1のブームユニット(3a)及びそれにおける前記第1の削岩機(6a)が、前記第2のブームユニット(3b)における前記少なくとも1つのラック(20)から前記ドリルビット(11)を受け取るように構成されていることを特徴とする、削岩リグ(2)。
【請求項2】
前記第1のブームユニット(3a)が、少なくとも1つのドリルビット(11)を収容するための少なくとも1つのラック(20)を備え、
前記第2のブームユニット(3b)及びそれにおける前記第2の削岩機(6b)が、前記第1のブームユニット(3a)における前記少なくとも1つのラック(20)から前記ドリルビット(11)を受け取るように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の削岩リグ。
【請求項3】
前記ブームユニット(3a、3b)が、前記キャリア(2)によって支持されたブーム(4)、前記ブーム(4)の先端部にあるクレードル(13)、及び前記クレードル(13)に設置されたフィードアセンブリ(7)を備えており、
前記フィードアセンブリ(7)が、前記削岩機(6a、6b)が可動に設置されたフィードビーム(8)を備え、
前記少なくとも1つのラック(20)が、前記フィードビーム(8)の底部(8’)で前記フィードビーム(8)に設置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の削岩リグ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのラック(20)が、前記クレードル(13)と前記フィードビーム(8)の先端部の間において、前記フィードビーム(8)の一部の上で前記フィードビーム(8)に設置されていることを特徴とする、請求項3に記載の削岩リグ。
【請求項5】
前記削岩リグ(1)が、前記削岩機(6a、6b)の前記工具(11)のための前記ドリルビット(11)を交換する又は受け取るために、少なくとも前記ブームユニット(3a、3b)及びそれにおける前記削岩機(6a、6b)の動作を制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット(15)を備えていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の削岩リグ。
【請求項6】
前記制御ユニット(15)が、前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)のための前記ドリルビット(11)を交換する又は受け取るために、
前記ドリルビット(11)を前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部から取り外すことと、
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部を、前記削岩リグ(1)の別のブームユニット(3a、3b)に設けられた前記ラック(20)の中のドリルビット(11)に誘導することと、
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部を前記ラック(20)の中の前記ドリルビット(11)に固定することと、
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部に固定された前記ドリルビット(11)を前記ラック(20)から解放することと
のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の削岩リグ。
【請求項7】
前記制御ユニット(15)が、前記削岩リグ(1)のオペレータ(15)によって与えられた制御コマンドに応答して、前記削岩機(6a、6b)を備えた、少なくとも前記ブームユニット(3a、3b)の少なくとも1つの動作を自動的に制御するように構成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の削岩リグ。
【請求項8】
前記制御ユニット(15)が、前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)のための前記ドリルビット(11)を交換する又は受け取るために、掘削作業で所定条件が達成されたことによって開始された制御コマンドに応答して、前記ブームユニット(3a、3b)及びそれにおける前記削岩機(6a、6b)の少なくとも1つの動作を自動的に制御するように構成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の削岩リグ。
【請求項9】
前記所定条件が、掘削する孔の種類の変更、前記ドリルビット(11)のための所定の掘削メートルの達成、前記ドリルビット(11)の破損、前記ドリルビット(11)の摩耗のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項8に記載の削岩リグ。
【請求項10】
前記ラック(20)が、前記ラック(20)の中に前記少なくとも1つのドリルビット(11)を収容するための少なくとも1つの空間(21)を含み、
前記ラックが、前記少なくとも1つのドリルビット(11)を収容するための前記空間(21)の中で前記少なくとも1つのドリルビット(11)を中心に寄せ且つ保持するための少なくとも1つの位置合わせ及び保持要素(23)を備えていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の削岩リグ。
【請求項11】
キャリア(2)及び少なくとも2つのブームユニット(3a、3b)を備えた削岩リグ(1)において、削岩機(6a、6b)の工具(10)にドリルビット(11)を設ける方法であって、前記少なくとも2つのブームユニット(3a、3b)の両方に、工具(10)、及び前記工具(10)の先端部にあるドリルビット(11)が設けられる削岩機(6a、6b)が設けられている、方法であって、
前記ブームユニット(3a、3b)における前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の先端部を、前記削岩リグ(1)の別のブームユニット(3a、3b)に設けられた、少なくとも1つのドリルビット(11)を収容することができるラック(20)内のドリルビット(11)に誘導することと、
前記ドリルビット(11)を前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部に固定することと、
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部に固定された前記ドリルビット(11)を前記ラック(20)から解放することと
を特徴とする、方法。
【請求項12】
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記ドリルビット(11)を交換するために、
前記ドリルビット(11)が、前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部から取り外され、
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部が、前記削岩リグ(1)の別のブームユニット(3a、3b)に設けられた前記ラック(20)の中のドリルビット(11)に誘導され、
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部が、前記ラック(20)の中の前記ドリルビット(11)に固定され、且つ
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部に固定された前記ドリルビット(11)が、前記ラック(20)から解放される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ドリルビット(11)を前記工具(10)の前記先端部から取り外すために、前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)が、回転させられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)を前記ラック(20)の中の前記ドリルビット(11)に固定するために、
前記ラック(20)の中の前記ドリルビット(11)と接触するように、前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)の前記先端部が、前方に送られ、且つ
前記ドリルビット(11)を、前記工具(10)の前記先端部に締め付けるために、前記工具(10)が回転させられる、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ラック(20)が配置された前記ブームユニット(3a、3b)に対する、前記削岩リグ(1)の別のブームユニット(3a、3b)における前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)に前記ドリルビット(11)を設けるために、前記ドリルビット(11)を備えた前記ラック(20)が設けられた前記ブームユニット(3a、3b)が、前記削岩リグ(1)の別のブームユニット(3a、3b)における前記削岩機(6a、6b)の前記工具(10)が前記ドリルビット(11)を前記工具(10)の前記先端部に取り付けるために前記ラック(20)に近付くのに最適位置を有するように操作される、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による削岩リグに関する。
【0002】
本発明は、さらに請求項11の前文による方法に関する。
【背景技術】
【0003】
削岩リグは、キャリアと、掘削ユニットを備えた少なくとも1つのブームユニットを備えている。削岩リグ及びそれにおける掘削ユニットは、例えば、鉱山又は発掘現場におけるトンネル工事又はその他の破岩作業に使用され得る。掘削ユニットは、1つ又は複数の相互接続されたドリルロッド又はドリルパイプから形成された工具を有する少なくとも1つの削岩機を備えている。工具の先端部にはドリルビットがある。
【0004】
掘削の間、ドリルビットは摩耗したり、又は破損したりする場合があり、結果として交換しければならない。孔の入口付近、すなわち、リーマ孔は、直径がより小さいドリルビットで掘削され、その後、孔の掘削を直径がより大きいドリルビットで続けることも可能である。この場合、掘削のある時点でドリルビットを交換しなければならない。
【0005】
ドリルビットの交換は、典型的には、削岩リグのオペレータによって手動で行われる。ドリルビットを手動で交換するには、オペレータが、削岩リグのキャビン又はキャノピーから離れて、場合により支持又は補強されていないトンネル屋根がある区域に立ち入ることが必要であり、このような区域は危険であり得る。さらに、ドリルビットの交換は、厄介な位置で作業し、場合により重量のあるアイテムを持ち上げたり、さもなければ取り扱ったりすることが伴う場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、新規の削岩リグ、及び削岩機の工具にドリルビットを設けるための方法を提供することである。
【0007】
本発明に係る削岩リグは、請求項1に記載の特徴によって特徴付けられる。
【0008】
削岩リグにおいて、削岩機の工具にドリルビットを設けるための方法は、請求項11に記載の特徴によって特徴付けられる。
【0009】
削岩リグは、工具、及び工具の先端部にあるドリルビットが設けられた第1の削岩機を備えた第1のブームユニット(3a)と、少なくとも1つのドリルビット(11)を収容するための少なくとも1つのラックを備えた第2のブームユニット(3b)とを備えている。第1のブームユニット及びそれにおける第1の削岩機は、第2のブームユニットにおける少なくとも1つのラックからドリルビットを受け取るように構成されている。
【0010】
この解決法の利点は、オペレータが、削岩リグのキャビン又はキャノピーから出て、手動でドリルビットを交換する必要がなく、したがって、オペレータが削岩リグのキャビン又はキャノピーの中で安全でいられることである。これにより、オペレータは、ドリルビットの交換のために掘削現場に留まる必要がなくなり、自動掘削(すなわち、人間によるあらゆる能動的監視がない掘削、又は掘削現場の外(例えば、オフィス)に配置されたオペレータによるリモートアクセスを介した掘削)を利用することが可能になる。ドリルビットの交換を以前より迅速に行うことができ、それにより、削岩リグの動作時間の効率性が向上し得る。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態は、従属請求項で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
これより、添付の図面を参照して、好適な実施形態を用いて本発明がより詳しく説明される。
【0013】
【
図3】
図1の削岩リグのブームユニットの概略上面図である。
【
図4】
図1の削岩リグのブームユニットの概略上面図である。
【
図5】ドリルビットを交換するための方法を概略的に開示する。
【0014】
明瞭性のために、これらの図は、本発明の幾つかの実施形態を簡略化して示している。これらの図では、同様の参照番号は同様の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、例えば、岩洞を掘り抜くのに使用可能な削岩リグ1の概略側面図である。
図1に係る削岩リグ1は、可動キャリア2、並びに2つのブームユニット、すなわち、第1のブームユニット3a及び第2のブームユニット3bを備えている。本明細書では、ブームユニットの一般的な参照番号は3である。ブームユニット3a、3bの両方が、ブーム4、並びにブーム4の先端部(すなわち、削岩リグ1のキャリア2から離れる方向を指すブームユニットの端部)に配置された掘削ユニット5を備えている。
図2は、掘削ユニット5の概略側面図である。
【0016】
第1のブームユニット3aにおける掘削ユニット5は、第1の削岩機6aを備え、第2のブームユニット3bにおける掘削ユニット5は、第2の削岩機6bを備えている。削岩機の一般的な参照番号は、この明細書では6である。各掘削ユニット5は、フィードアセンブリ7をさらに備えている。フィードアセンブリ7は、フィードビーム8及び供給装置9を備えている。削岩機6a、6bは、それぞれのフィードビーム8の上に配置され、それぞれの供給装置9は、削岩機6a、6bをフィードビーム8に対して動かすように構成されている。削岩機6a、6bは、数々のドリルロッド又はドリルパイプから形成された工具10、並びに工具10の先端部にあるドリルビット11をさらに備えている。工具10の先端部とは、削岩機6a、6bから離れる方向を指す工具10の端部である。工具10及びその先端部にあるドリルビット11は、打撃装置(分かり易さのために図示せず)によって与えられる衝撃パルスが掘削する岩盤12に伝わることを可能にする。
【0017】
フィードアセンブリ7は、クレードル13と共にブーム4の先端部に配置されている。クレードル13を通して、フィードアセンブリ7及びその上のそれぞれの削岩機6a、6bの位置又は位置合わせをブーム4に対して変えることができる。フィードアセンブリ7は、削岩機6a、6bの工具10を支持するための、フィードビーム8の先端部にある保持クランプ14をさらに備えている。
【0018】
削岩リグ1は、例えば、ブームユニット3a、3b、フィードアセンブリ7、及び削岩機6a、6bの動作を制御するための、削岩リグ1のアクチュエータを制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニット15をさらに備えている。制御ユニット15は、コンピュータ又は対応する装置であってよく、表示装置を含むユーザインタフェースと、コマンド及び情報を制御ユニット15に伝達するキーボード又はジョイスティックのような制御手段とを備えてもよい。削岩リグ1は、少なくとも部分的に自動的に作動する削岩リグ1、すなわち、少なくともある時点であらゆる能動的な人間の監視がない状態で作動する削岩リグ1であってもよい。代替的に、削岩リグ1は、削岩リグ1のキャビン17又はキャノピー17の中に配置されたオペレータ16によって掘削現場で作動するか、或いは、掘削現場の外部(例えば、オフィス19)に配置されたオペレータ16によるリモートアクセス18を通して作動する、能動的に操作される削岩リグ1であってもよい。
【0019】
図1の削岩リグ1は、2つのブームユニット3a、3bを備え、それぞれ、削岩用の掘削ユニット5を備えている。
図1とは異なり、削岩リグ1は、掘削ユニット5が設けられるブームユニットが2つ以上設けられてもよい。さらに、
図1とは異なり、削岩リグ1は、掘削ユニット5が設けられるブームユニットが1つ設けられてもよく、少なくとも1つの追加のブームユニットは、人員の昇降操作のための人員バスケットブーム又はバスケットブーム、及び/又は、掘削現場の屋根又は壁の補強に使用される手段及びアーティクルを含むスクリーン処理ブーム又はメッシュ処理ブームが設けられる。さらに、
図1とは異なり、削岩リグ1は、掘削ユニット5が設けられている2つ以上のブームユニット、並びに追加的にバスケットブーム及び/又はメッシュ処理ブームを備えた少なくとも1つの追加のブームユニットが設けられてもよい。
【0020】
図2の掘削ユニット5は、数々のラック20、より正確に言うと、3つのラック20をさらに備えている。ラック20は、少なくとも1つのドリルビット11を収容するための内部空間21を備えている。ラック20は、
図1では示されていないが、
図3及び
図4では示されている。
図3及び
図4は、
図1の削岩リグ1のブームユニット3a、3b、並びにそれらに取り付けられたそれぞれの掘削ユニット5a、5bの概略上面図である。ブームユニット3a、3bの両方が、数々のラック20を備えていると言ってもよい。
図3及び
図4の第1のブームユニット3aにおけるラック20は、第2のブームユニット3bに配置された第2の削岩機6bにおける使用が意図されるドリルビット11を収容することが意図されている。
図3及び
図4の第2のブームユニット3bにおけるラック20は、第1のブームユニット3aに配置された第1の削岩機6aにおける使用が意図されるドリルビット11を収容することが意図されている。
【0021】
少なくとも1つのラック20が、掘削ユニット7のフィードアセンブリ7に、より正確に言うと、それぞれのフィードアセンブリ7のフィードビーム8の底部8’に取り付けられている。ラック20は、ラック20の中に収容されるべき少なくとも1つのドリルビット11を収容するための内部空間21を設けるフレーム22又はケーシング22を備えている。ラック20は、少なくとも1つの位置合わせ及び保持要素23をさらに備えており、開示された実施形態では、3つの位置合わせ及び保持要素23を備え、これらは、例えば、ばね要素であってもよい。位置合わせ及び保持要素23の目的は、少なくとも1つのドリルビット11をラック20の内部空間21の中で中央に寄せ、少なくとも1つのドリルビット11を、ラック20の前端面24を通して意図的に取り除かれるまで、ラック20の内部空間21の中で保持することである。前端面24を通して、ラック20は、ドリルビット11を受け取ったり、解放したりする。
【0022】
図2、3、及び4の実施形態のラック20は、フィードビーム8の先端部にある保持クランプ14とフィードビーム8をクレードル13に固定するための支持体25との間で、フィードビーム8の底部8’で一列に連続的に配置されている。この構成によって、
図3及び
図4を参照して以下で説明される、別のブームユニット3におけるラック20からドリルビット11を受け取るブームユニット3及びそれにおけるそれぞれの掘削ユニット5は、別のブームユニット3におけるラック20からドリルビット11を受け取るとき、或いは、ドリルビット11を別のブームユニット3におけるラック20の中に置くとき、高い回転角度で回転する必要がない。ブームユニット3及びそれにおける掘削ユニット5の必要な回転角度を最小限にするため、ラック20の前端面24は、
図3及び
図4で示されているように、削岩リグ1の長手方向に対して、後方に方向付けられ得る。
【0023】
以上で簡潔に述べたように、第1のブームユニット3aにおけるラック20は、第2のブームユニット3bにおける第2の削岩機6bのために取っておかれたドリルビット11を収容することが意図されており、第2の削岩機6bは、第2の削岩機6bの工具10に現在取り付けられている使用済のドリルビット11を第1のブームユニット3aにおける1つのラック20の中に置き、第1のブームユニット3aにおける別のラック20から新しいドリルビット20を受け取る。同様に、第2のブームユニット3bにおけるラック20は、第1のブームユニット3aにおける第1の削岩機6aのために取っておかれたドリルビット11を収容することが意図されており、第1の削岩機6aは、第1の削岩機6aの工具10の現在取り付けられている使用済のドリルビット11を第2のブームユニット3bにおける1つのラック20の中に置き、第2のブームユニット3bにおける別のラック20から新しいドリルビット20を受け取る。
【0024】
以下では、ブームユニット3における削岩機6に新しいドリルビット11を設けることが、一般的なレベルで説明される。それぞれの方法ステップが、
図5で一般的なレベルで概略的に開示される。その後、特定の方法ステップ及び解決法の代替的な実施形態を取り扱う際に、
図3及び
図4がさらに参照される。
図3及び
図4では、第1のブームユニット3aにおける第1の削岩機6aに新しいドリルビット11が設けられる。
図3は、掘削作業中の通常位置におけるブームユニット3a、3b及びそれにおけるそれぞれの掘削ユニット5a、5bを示している。
図4は、第1の削岩機6aのドリルビット11の交換中のある位置におけるブームユニット3a、3b及びそれにおけるそれぞれの掘削ユニット5a、5bを示している。
【0025】
ブームユニット3における削岩機6の工具10のドリルビット11を交換するために、削岩機6の工具10に現在固定されているドリルビット11が削岩機6の工具10から取り外される。
【0026】
削岩機6の工具10からドリルビット11を取り外した後、削岩機6の工具10の先端部は、削岩リグ1の別のブームユニット3にあるラック20の中に設けられたドリルビット11に誘導される。
【0027】
削岩機6の工具10の先端部を削岩リグ1の別のブームユニット3におけるラック20の中に設けられたドリルビット11に誘導した後、削岩機6の工具10の先端部は、削岩リグ1の別のブームユニット3におけるラック20の中のドリルビット11に固定される。
【0028】
削岩機6の工具10の先端部を削岩リグ1の別のブームユニット3におけるラック20の中のドリルビット11に固定した後、削岩機6の工具10の先端部に固定されたドリルビット11は、削岩リグ1の別のブームユニット3に設けられたラック20から解放される。
【0029】
削岩機6の工具10の端部にドリルビット11がまだ1つも設けられていない場合、上記の第1の方法ステップが省略される。
【0030】
ドリルビット11を第1の削岩機6aの工具10の先端部から取り外す実施形態によると、第1のブームユニット3a及び/又はそれにおける掘削ユニット5aは、第1のブームユニット3aにおける第1の削岩機6aの工具10の先端部にあるドリルビット11が第2のブームユニット3bにおけるラック20に誘導されるように、第2のブームユニット3b及びそれにおける掘削ユニット5bに対して変位する。ラック20は、第1の削岩機6aの使用済のドリルビット11を受け入れるための自由な内部空間21を含む。第1のブームユニット3a及びそれにおけるそれぞれの掘削ユニット5aは、
図4でこの位置で概略的に示されている。第1のブームユニット3a及びそれにおける掘削ユニット5aは、第2のブームユニット3bに対して第1のブームユニット3aを変位させることによって、且つ/又は第1のブームユニット3aのブーム4に対して第1のブームユニット3aの掘削ユニット5aを変位させることによって、第2のブームユニット3b及び/又はそれにおける掘削ユニット5bに対して変位され得る。
【0031】
さらに、第1の削岩機6aが、古いドリルビット11を第2のブームユニット3bにおけるラック20の中に置き、且つ/又は、新しいドリルビット11を第2のブームユニット3bにおけるラック20から受け取ることができる位置に、掘削ユニット5a及び/又は第1のブームユニット3aが移動又は回転することができないような、岩洞で利用可能な非常に限られた空間を有する作動状況では、さらに、第2のブームユニット3b及び/又はそれにおける掘削ユニット5bは、第1の削岩機6aが、古いドリルビット11を第2のブームユニット3bにおけるラック20の中に置き、且つ/又は、新しいドリルビット11を第2のブームユニット3bにおけるラック20から受け取ることができるように、第1のブームユニット3a及び/又はそれにおける掘削ユニット5aに対して移動又は回転し得る。この場合、第2のブームユニット3b及び/又はそれにおける掘削ユニット5bは、第1のブームユニット3aにおける第1の削岩機6aの工具10が第2のブームユニット3bにおけるラック20に近付くのに、第1の削岩機6aに対して最適な位置を有するように操作される。
【0032】
第1の削岩機6aの工具10の先端部にあるドリルビット11が、第1の削岩機6aの使用済のドリルビット11を受け入れるための自由な内部空間21を含む第2のブームユニット3bにおけるラック20に誘導された後、削岩機6aの工具10は、ドリルビット11がラック20の対応要素に対して設定されている限り、第2のブームユニット3bにおけるラック20の自由な内部空間21の中へと前方に供給される。その後、ドリルビット11を工具10から取り外すように第1の削岩機6aの工具10が回転し、工具10がラック20から引き抜かれ、ドリルビット11はラック20の内部空間21の中に留まる。したがって、ドリルビットを削岩機の工具の先端部から取り外す実施形態によると、削岩機6a、6bの工具10の先端部にあるドリルビット11は、削岩リグ1の別のブームユニット3a、3bに設けられた少なくとも1つのラック20の中の自由空間21の中に誘導される。この空間21は、ラック20の中の少なくとも1つのドリルビット11を収容することが意図されている。削岩機6a、6bの工具10は、ドリルビット11がラック20の中の自由空間21の中で受け入れられ且つ支持されるように前方に供給され、ドリルビット11が工具10の先端部から取り外されるように削岩機6a、6bの工具10が回転する。ドリルビット11を第1の削岩機6aの工具10の先端部から取り外すための実施形態によると、ドリルビット11と工具10の間のビット連結器を緩めるために、ドリルビット11を掘削する岩盤12にまず衝突させる。その後、ドリルビット11を工具10の先端部から取り外すために削岩機6aの工具10が回転される。取り外されたドリルビット11は、例えば、地面又は地面に置かれたバスケットの中に落としてもよいし、或いは、第2のブームユニット3bの中に配置されたラック20の中の自由内部空間21の中に運んでもよい。
【0033】
ドリルビット11を第1の削岩機6aの工具10の先端部から取り外すための実施形態によると、ドリルビット11がフィードビーム8の先端部にある保持クランプ14に位置するように、第1の削岩機6aの工具10が引き抜かれる。その後、保持クランプ14はドリルビット11を把持するように操作され、削岩機6aの工具10が回転して、工具10の先端部からドリルビット11が緩められ、取り外される。取り外されたドリルビット11は、例えば、地面又は地面に置かれたバスケットの中に落としてもよいし、或いは、第2のブームユニット3bの中に配置されたラック20の中の自由内部空間21の中に運んでもよい。
【0034】
ドリルビット11を第1の削岩機6aの工具10から取り外した後、第1の削岩機6aの工具10の先端部は、削岩リグ1の第2のブームユニット3bに配置されたラック20に誘導される。ラック20には、次に使用されるドリルビット11が設けられる。このことが行われるため、第1のブームユニット3a及びそれにおける掘削ユニット5aは、第1のブームユニット3aを第2のブームユニット3bに対して移動又は回転させることによって、且つ/又は、第1のブームユニット3aの掘削ユニット5aを第1のブームユニット3aのブーム4に対して移動又は回転させることによって、第2のブームユニット3b及び/又はそれにおける掘削ユニット5に対してさらに変位させることができる。さらに、第2のブームユニット3bは、第1のブームユニット3aに対して移動又は回転してもよく、且つ/又は、第2のブームユニット3bの掘削ユニット5bは、第2のブームユニット3bのブーム4に対して移動又は回転してもよい。繰り返し述べると、この場合、第2のブームユニット3bは、第2のブームユニット3bにおけるラック20に近付くため、第1のブームユニット3aにおける第1の削岩機6aの工具10に対して最適位置をもつように操作される。
【0035】
第1の削岩機6aの工具10の先端部が、次に使用されるドリルビット11が設けられているラック20に誘導された後、第1の削岩機6aの工具10の先端部は、ラック20の中のドリルビット11に接触するように、前方に供給される。その後、工具10は、ドリルビット11を工具10の先端部に締め付けるために回転される。
【0036】
ドリルビット11をラック20から解放するために第1の削岩機6aの工具10が引き抜かれる。それにより、第1の削岩機6aの工具10及びその先端部にある新しいドリルビット11がラック20から引き抜かれる。
【0037】
第2のブームユニット3bにおける第2の削岩機6bにおける工具10のドリルビット11が交換された際に、対応する動作が実行される。
【0038】
削岩リグ1の制御ユニット15は、それぞれの削岩機6a、6bの工具10のためのドリルビット11を交換したり、受け取ったりするために、ブームユニット3a、3b及びそれにおける掘削ユニット5a、5bの動作を制御するように構成されている。
【0039】
制御ユニット15は、
削岩機6a、6bの工具10のためのドリルビット11を交換する又は受け取るために、
ドリルビット11を削岩機6a、6bの工具10の先端部から取り外すことと、
削岩機6a、6bの工具10の先端部を、削岩リグ1の別のブームユニット3a、3bに設けられたラック20の中のドリルビット11に誘導することと、
削岩機6a、6bの工具10の先端部を削岩リグ1の別のブームユニット3a、3bの中に設けられたラック20の中のドリルビット11に固定することと、
削岩機6a、6bの工具10の先端部に固定されたドリルビット11をラック19から解放することと
のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成されている。
【0040】
削岩リグ1のオペレータの決定によって、又は掘削で達成される所定条件によって、ドリルビット11を交換する必要生じる場合がある。この所定条件とは、例えば、掘削する孔の種類の変更、ドリルビットのための所定の掘削メートルの達成、ドリルビットの破損、又はドリルビットの摩耗であってもよい。
【0041】
ドリルビットの交換のための動作は、削岩リグのオペレータによって制御され得る。好ましくは、ドリルビットを交換するための少なくとも幾つかの動作は、削岩リグのオペレータのうちの少なくとも1人によって開始された制御コマンド、及び掘削で所定条件が達成されたことに応答して、少なくとも1つのブームユニット及びそれにおけるそれぞれの削岩ユニットの少なくとも1つの動作を制御するように構成された制御ユニットによって自動的に制御される。制御ユニットは、例えば、ブームユニット3a、3b及び削岩機6a、6b及びそれにおける工具10のすべての移動経路及び位置を繰り返すようにあらかじめプログラミングされ得る。
【0042】
この解決策の利点は、オペレータ16が、削岩リグ1のキャビン17又はキャノピー17から出て、手動でドリルビット11を交換する必要がなく、したがって、オペレータ16は、削岩リグ1のキャビンの中で安全であり、厄介な位置で作業したり、重量のあるアイテムを持ち上げたり、さもなければ取り扱ったりする必要がないことである。さらにドリルビット11の交換を以前より迅速に行うことができ、それにより、削岩リグ1の動作時間の効率性が向上し得る。
【0043】
削岩のための掘削ユニット5が設けられた少なくとも1つのブームユニット3、並びに人員バスケットブーム及び/又はメッシュ処理ブームを備えた少なくとも1つの追加のブームユニットを備えている削岩リグ1において、削岩機6のためのドリルビット11を収容するための少なくとも1つのラック20は、人員バスケットブーム又はメッシュ処理ブームを備えたブームユニットに取り付けられてもよい。その場合、掘削ユニット5が設けられた少なくとも1つのブームユニット3における削岩機6は、ドリルビット11を受け取るか、又はドリルビット11を人員バスケットブーム及び/又はメッシュ処理ブームを備えたブームユニットに取付けられたラック20の中に置く。
【0044】
技術の進歩につれて、本発明の概念が様々な方式で実施可能となることが当業者には明らかである。本発明及びこれらの実施形態は、上述の実施例に限定されず、特許請求の範囲内で変化し得る。