(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6325056
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】自動車室内灯用LEDランプ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/74 20170101AFI20180507BHJP
【FI】
B60Q3/74
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-214966(P2016-214966)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-154724(P2017-154724A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0024888
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516330169
【氏名又は名称】株式会社バンディ
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】李 知熏
【審査官】
野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−003453(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/102996(WO,A1)
【文献】
特開2012−066727(JP,A)
【文献】
実開平05−001598(JP,U)
【文献】
特開2006−5141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00
B60Q 3/74
F21V 5/00− 5/08
F21V 31/00−31/04
F21S 8/10− 8/12
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の外形を有するアルミニウムパネル(12)の前面中央部に基板(16)を連結手段とする1個以上のLED素子(18)を固定形成し、その接続端子(20)はアルミニウムパネル(12)の後方に露出させ、アルミニウムパネル(12)の前面外側にはLED素子(18)を取り囲んで拡がり防止リング(26)を形成し、前記拡がり防止リング(26)の内側には溶融状態の合成樹脂を凸状に供給した後で硬化させることによって、LED素子(18)の前方に被覆を兼ねたレンズ(28)を突出形成して構成し、
前記LED素子(18)は、アルミニウムパネル(12)の前面に有する固定溝(14)内に結合して接着剤又は両面テープ(30)で固定し、拡がり防止リング(26)は、前記固定溝(14)を取り囲んで形成される結合溝(24)に結合・固定して構成する、
ことを特徴とする自動車室内灯用LEDランプ。
【請求項2】
所望の外形を有するアルミニウムパネル(12)の前面中央部に基板(16)を連結手段とする1個以上のLED素子(18)を固定形成し、その接続端子(20)はアルミニウムパネル(12)の後方に露出させ、前記アルミニウムパネル(12)の前面にはLED素子(18)を取り囲んで拡がり防止リング(26)を形成し、前記拡がり防止リング(26)の内側には溶融状態の合成樹脂を凸状に供給した後で硬化させることによって、LED素子(18)の前方に被覆を兼ねたレンズ(28)を突出形成し、
前記LED素子(18)は、アルミニウムパネル(12)の前面に有する固定溝(14)内に結合して接着剤又は両面テープ(30)によって固定し、拡がり防止リング(26)は、固定溝(14)を取り囲んで形成される結合溝(24)に結合・固定する、
ことを特徴とする自動車室内灯用LEDランプの製造方法。
【請求項3】
前記レンズ(28)を形成する合成樹脂としては、それぞれ透明性を有するエポキシ樹脂及びウレタン樹脂を選択的に用いる、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動車室内灯用LEDランプの製造方法。
【請求項4】
前記合成樹脂は光拡散剤を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動車室内灯用LEDランプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内灯用LEDランプに関し、より詳細には、放熱機能及びレンズを有するLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内のマップランプ(Map Lamp)及びルームランプ(Room Lamp)などに用いられるLEDランプに対しては、既に登録特許10−1519983号で開示したことがあり、これは、既存のハロゲンランプに取って代わるものであって、簡単に結合して使用できるようにするために基板の前面中央部に1個以上のLED素子を連結・設置し、また、基板の両側結合部には導電性放熱体を結合し、前記左右の導電性放熱体を通じてハウジングが有する左右のソケット間を結合している。
【0003】
したがって、前記のような構造の自動車室内灯用LEDランプは、既存のハロゲンランプに取って代わるように小さく製作されるが、新規の自動車に適用するための室内灯の再設計時を勘案すると、製造原価が高い基板で外形を有するように構成するとき、得ようとする外形及び強度などに応じて厚く且つ広い面積を有するように製作しなければならないので、製作時における製造原価の上昇によって製品の価格競争力が低下する。また、基板の自体放熱機能を期待できないので、別途の放熱手段を備えるのにかかる追加の費用負担によって製品の価格競争力がさらに低下することはもちろん、それに伴う体積の増加によって自動車室内灯の設計自由度が低下する。
【0004】
また、LED素子は、何ら保護手段なしで基板から突出状態で露出するので、取り扱い及び設置時に衝撃が加えられると容易に破損し、機能喪失につながる。また、水分や各種異物の浸透時にも合線などによる機能喪失につながり、その結果、金銭的損失につながる。
【0005】
そして、所望の照度に応じて複数のLED素子が設置される場合、点灯時の点光源現象によって目の疲労度が高くなると共に、LED素子固有のビーム角度(110度〜120度)及び与えられた照度以上の光は得ることができなく、それ以上の照度を得ようとする場合はLED素子の設置個数を増加させなければならないので、製品の価格競争力がさらに低下するなどの多くの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録特許10―1519983号(「自動車室内灯用LEDランプ」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低廉な費用負担によって自体放熱機能を有するように体積を小さく製作することができ、外部衝撃や水分浸透などによるLED素子の機能喪失のおそれをなくすことができ、複数のLED素子の設置時における点光源現象をなくすことができ、用いられるLED素子が有するビーム角度及び照度に比べてより広いビーム角度及びより明るい照度を得ることができる自動車室内灯用LEDランプ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明に係る自動車室内灯用LEDランプ及びその製造方法は、所望の外形を有するアルミニウムパネル(12)の前面中央部に基板(16)を連結手段とする1個以上のLED素子(18)を固定形成し、その接続端子(20)はアルミニウムパネル(12)の後方に露出させ、アルミニウムパネル(12)の前面外側にはLED素子(18)を取り囲んで拡がり防止リング(26)を形成し、前記拡がり防止リング(26)の内側には溶融状態の合成樹脂を凸状に供給した後で硬化させることによって、LED素子(18)の前方に被覆を兼ねたレンズ(28)を突出形成して構成
し、前記LED素子(18)は、アルミニウムパネル(12)の前面に有する固定溝(14)内に結合して接着剤又は両面テープ(30)で固定し、拡がり防止リング(26)は、前記固定溝(14)を取り囲んで形成される結合溝(24)に結合・固定して構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る自動車室内灯用LEDランプ10において、製造原価が高い基板16は、LED素子18を連結・設置するのに必要な最小限の厚さ及び面積を有するように製作し、購入費用が低く且つ放熱機能を有するアルミニウムパネル12に結合・固定することによって、製作時の製造原価の節減によって製品の価格競争力を高めることができ、また、別途の放熱手段なしでも体積が小さく且つ単純な形態からなっており、新車種に適用するための自動車室内灯の設計時における設計自由度を高めることができる。
【0010】
また、LED素子18は、被覆を兼ねたレンズ28が全体的に取り囲んでおり、外部衝撃によるLED素子18の機能喪失のおそれがなく、取り扱い及び施工を容易に行うことができ、また、水分や各種異物の浸透による機能喪失のおそれもなくすことができる。
【0011】
また、所望の照度に応じて複数のLED素子18を有する場合にも、点灯時にレンズ28が点光源現象を防止し、目の疲労度を低下させることができる。
【0012】
そして、LED素子18の点灯時、前記LED素子18を取り囲んでいるレンズ28はLED素子18の光を屈折させ、LED素子固有のビーム角度(110度〜120度)に比べて広い120度〜140度のビーム角度で照射するようになり、また、レンズ28に全体的に分布する光拡散剤は光を拡散させ、より広いビーム角度でより明るい光を照射できるので、所望の照度を得るためのLED素子18の必要個数を減少させることができ、製造原価をさらに節減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】本発明に用いられるアルミニウムパネルの外形加工時の状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に用いられるアルミニウムパネルの斜視図である。
【
図6】本発明に用いられるアルミニウムパネルにLED素子を結合・固定するときの状態を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明に用いられるアルミニウムパネルに支持段を形成するためのゴムリングを結合・固定するときの状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明に用いられるアルミニウムパネルにゴムリングを結合・固定することによって支持段を形成するときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。但し、各図面中の同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付与し、関連する公知技術や機能に対する具体的な説明は、本発明の要旨が曖昧になることを避けるために省略する。
【0015】
図1は、本発明の斜視図で、
図2は、本発明の分解斜視図で、
図3は、本発明の断面構成図である。本発明に係る自動車室内灯用LEDランプ10は、アルミニウムパネル12の前面中央部に形成される固定溝14に基板16を連結手段とするLED素子18を結合・固定し、前記LED素子18が有する接続端子20は固定溝14が有する通孔22を介してアルミニウムパネル12の後方に露出させ、前記アルミニウムパネル12の前面外側に固定溝14を取り囲んで形成される結合溝24には拡がり防止リング26を結合・固定し、前記拡がり防止リング26の内側には光拡散剤を含む溶融状態の合成樹脂を凸状に供給した後で硬化させることによって、LED素子18の前方にLED素子18の被覆を兼ねたレンズ28を突出形成して構成する。
【0016】
図4は、本発明に用いられるアルミニウムパネルの外形加工時の状態を示す斜視図で、
図5は、本発明に用いられるアルミニウムパネルの斜視図で、本発明に用いられるアルミニウムパネル12は、通常、所望の厚さを有する幅が広いアルミニウムパネルを、CNC加工機などを用いて具体的な用途や設置与件などに応じて所望の外形を有するように加工形成することによって得られるが、このようなアルミニウムパネル12の外形加工時、その前面中央部にはLED素子18を結合・固定するための固定溝14及び接続端子20をアルミニウムパネル12の後方に露出させるための通孔22を形成し、また、前記固定溝14を取り囲んで拡がり防止リング26を結合・固定する結合溝24を形成して構成する。
【0017】
また、本発明に用いられるLED素子18の個数は所望の照度によって決定され、また、このようなLED素子18の連結手段として用いられる基板16は、LED素子18を連結・設置するのに必要な最小限の面積及び厚さを有するように構成される。
【0018】
図6は、本発明に用いられるアルミニウムパネル12の固定溝14に基板16を連結手段とするLED素子18を結合・固定するときの状態を示すための図であって、LED素子18は、基板16を通じてアルミニウムパネル12が有する固定溝14に結合して接着剤や両面テープ30などで固定し、また、前記LED素子18が有する接続端子20は、固定溝14内に形成される通孔22を介してアルミニウムパネル12の後方に露出するように構成する。
【0019】
図7及び
図8は、本発明に用いられるアルミニウムパネル12の結合溝24に拡がり防止リング26を結合・固定するときの状態を示す図であって、このときに用いられる拡がり防止リング26は軟質の合成樹脂からなり、固定溝14を内側に置いて取り囲んで形成される結合溝24にアルミニウムパネル12の表面から一部突出するように半強制的に挿入・固定し、その内側に溶融状態の合成樹脂を凸状に供給するときの合成樹脂の拡がりを防止し、硬化時に凸状のレンズ28を有するように構成する。
【0020】
そして、溶融状態でアルミニウムパネル12の拡がり防止リング26の内側に凸状に供給されてレンズ28を形成する合成樹脂としては、光が透過できるように透明性を有するエポキシ樹脂及びウレタン樹脂などが用いられる。また、このような合成樹脂は単独で用いこともあるが、光拡散のために合成樹脂に適当量の光拡散剤を混合して使用するようになる。このような光拡散剤を含む合成樹脂は、アルミニウムパネル12の表面から一部突出する拡がり防止リング26の内側に供給し、レンズ28の形成時、前記拡がり防止リング26による拡がり防止によって多少凸状に供給できるので、拡がり防止リング26の内側に合成樹脂を供給した後で硬化させると、LED素子18を全体的に被覆しながらLED素子18の前方に凸状に突出するレンズ28を形成するようになる。
【0021】
但し、本発明においてレンズ28を形成する合成樹脂は、基本的にLED素子18を全体的に取り囲んで保護しながら前記LED素子18の前方に凸状に突出し、LED素子18の点灯時にビーム角度を広げるものであるので、合成樹脂を単独で使用することもできる。しかし、これに適当量の光拡散剤を混合すると、複数のLED素子18が設置される場合、点灯時の点光源現象をなくすと共に、光拡散剤による光拡散によってさらに明るい光を得られるので、可能な限り、合成樹脂に適当量の光拡散剤を混合してレンズ28を形成することが好ましい。
【0022】
このとき、合成樹脂と光拡散剤の混合比率は、繰り返された試験の結果、8:2〜6:4の重量比であることが最も好ましい。しかし、本発明は、上述したように合成樹脂単独でレンズを形成することもできるので、合成樹脂に対する光拡散剤の混合比率は、光拡散剤によってレンズ28の形態維持が難しい程度でなければ全て満足する。
【0023】
したがって、本発明を通じて得られる自動車室内灯用LEDランプ10において、製造原価が高い基板16は、LED素子18の連結・設置時に必要とする最小限の厚さ及び面積を有するように製作した後、製造原価が低く且つ放熱機能を有するアルミニウムパネル12の固定溝14に結合・固定することによって、製作時の製造原価を節減することができ、製品の価格競争力を高めることができる。また、別途の放熱機能なしでも体積が小さく且つ単純な形態からなっており、新車種に適用するための自動車室内灯の設計時における設計自由度を高めることができる。
【0024】
また、LED素子18は、被覆を兼ねたレンズ28が全体的に取り囲んでおり、外部衝撃によるLED素子18の機能喪失のおそれがなく、取り扱い及び施工を容易に行うことができ、また、水分や各種異物の浸透による機能喪失のおそれもなくすことができる。
【0025】
また、所望の照度に応じて複数のLED素子18を有する場合にも、点灯時にレンズ28が点光源現象を防止し、目の疲労度を低下させることができる。
【0026】
そして、LED素子18の点灯時に前記LED素子18を取り囲んでいるレンズ28は、LED素子18の光を屈折させ、LED素子18固有のビーム角度(110度〜120度)に比べて広い120度〜140度のビーム角度で照射するようになり、また、レンズ28に全体的に分布する光拡散剤は光を拡散させ、より広いビーム角度でより明るい光を照射することができる。
【0027】
以上説明したように、本発明の権利範囲は、上述した実施の形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であり、これは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0028】
10 LEDランプ
12 アルミニウムパネル
14 固定溝
16 基板
18 LED素子
20 接続端子
22 通孔
24 結合溝
26 拡がり防止リング
28 レンズ
30 両面テープ