(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定するステップは、振動エネルギを固定要素(4)に与えるステップと、熱可塑性を有する材料を骨組織またはカウンタ要素に押当てることによって液化するステップとを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
釘部分(2)のうち少なくとも1つは、付加的な釘およびブリッジのアセンブリ(1′)の少なくとも2つの釘部分(2′)によって構成され、付加的な釘およびブリッジのアセンブリ(1′)の釘部分(2′)を位置決めしロックするステップは、釘およびブリッジのアセンブリ(1)のブリッジ部分(3)を介して付加的な釘およびブリッジのアセンブリ(1′)の釘部分(2′)を押込み、骨部分において両方の釘およびブリッジのアセンブリ(1′および1)のブリッジ部分(3′および3)を介して固定要素(4)を係止することによって骨部分に対して付加的な釘およびブリッジのアセンブリ(1′)を固定する、請求項10に記載の方法。
患者である人または動物の体内で少なくとも2つの骨部分(10,11)を互いに相対的に安定させるためのインプラントであって、インプラントは、少なくとも2つの釘部分(2)、ブリッジ部分(3)および固定要素(4)を含み、少なくとも2つの釘部分(2)およびブリッジ部分(3)は、実質的に堅固な釘およびブリッジのアセンブリ(1)を形成するよう組立てられるかまたはその場で組立てることができ、ブリッジ部分(3)は釘部分(2)の間に配置され、固定要素(4)は熱可塑性を有する材料を含み、
釘部分(2)またはブリッジ部分(3)の少なくとも一方がシート材料で作られており、釘およびブリッジのアセンブリ(1)が固定要素(4)と協働する少なくとも1つの固定構造を含み、前記釘およびブリッジのアセンブリ(1)の一部はシート材料で作られ、少なくとも1つの固定構造を含み、前記固定要素(4)にはスロットが設けられている、インプラント。
固定構造は、骨表面に対して平行に配向される釘およびブリッジのアセンブリ(1)の一部における貫通開口部(5)、骨組織内に延在する釘およびブリッジのアセンブリ(1)の一部における貫通開口部(5′)、または、釘およびブリッジのアセンブリ(1)の近位端縁におけるノッチ(6)のうち少なくとも1つである、請求項13から16のいずれか1項に記載のインプラント。
ブリッジ部分(3)は平坦な形状を有し、骨表面上に位置決めされるよう釘部分に対して相対的に配向されており、2つの釘部分(2)はブリッジ部分(3)の反対側に配置されている、請求項13から18のいずれか1項に記載のインプラント。
釘部分のうち少なくとも一部は付加的な釘およびブリッジのアセンブリ(1′)によって構成され、ブリッジ部分(3)は、付加的な釘およびブリッジのアセンブリ(1′)の釘部分(2′)のための釘開口部(40)を含む、請求項13から27のいずれか1項に記載のインプラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の簡単な説明
本発明の目的は、患者である人または動物の体内で、複数の分離された骨部分を互いに相対的に安定させるためのさらなる方法およびインプラントを提供することである。骨部分は、切断もしくは骨折によって分離される可能性があるか、または、固定されるかもしくは癒合されるべき関節を形成し得る。本発明に従った方法およびインプラントは、最先端のねじおよびプレートのシステムと比べて、インプラント部分間の設計および荷重分布に関してより高い柔軟性を可能にし、さらに、骨表面と同一平面上で埋込み可能なインプラント実施形態を可能にする。
【0006】
上述の目的は、独立請求項において規定される方法およびインプラントによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従ったインプラントは、最先端技術に従ったねじおよびプレートのシステムと同様の態様で、少なくとも2つの第1のインプラント部分(釘部分)と、第2のインプラント部分(ブリッジ部分)とを備える。少なくとも2つの第1のインプラント部分(釘部分)は、埋込まれた状態では、安定させるべき両方の骨部分の骨組織内に延在し、第2のインプラント部分(ブリッジ部分)は、少なくとも埋込まれた状態では実質的に剛性のアセンブリを形成するよう第1のインプラント部分を接続する。埋込まれた状態では、ブリッジ部分は、2つの骨部分を分離する間隙にわたってブリッジを構成する。すなわち、切断部、骨折部または関節の間隙を埋める。最先端技術に従うと、第1のインプラント部分を構成するねじは、主に、その埋込まれた位置においてインプラントを固定する役割を果たすが、それらの設計上の制約により、埋込まれたインプラントまたは骨部分に作用する反作用力の機能がわずかに限られたものになってしまう。一方で、本発明に従うと、第1のインプラント部分は、インプラントをその埋込まれた位置において実質的に固定することのできないねじ無し釘である(ごくわずかな引張り保持)が、その代わりに、特に、2つの骨部分を分離する面と実質的に平行な剪断力を打消し、かつ、2つの骨部分を強制的に互いから遠ざけるかまたは互いに対する所望のアライメントからずらす力またはトルクを打消すために、特定の耐荷重機能を果たすよう設計することができる。
【0008】
本発明に従ったインプラントの釘部分およびブリッジ部分のアセンブリをその埋込まれた位置で固定するために、すなわち、これに必要な引張り保持を与えるために、インプラントはさらに少なくとも1つの固定要素を含む。少なくとも1つの固定要素は、釘およびブリッジのアセンブリによって構成される少なくとも1つの固定構造と協働して、インプラントが手術後に埋込み方向とは反対方向に移動するのを防止する。固定要素は、熱可塑性を有する材料を含み、熱可塑性を有する材料をその場で液化させ、液化した材料を骨組織に浸透させ、骨組織内において熱可塑性を有する材料を再度固化させることによって、骨組織と釘およびブリッジのアセンブリの固定構造との間に形状がぴったりとフィットする接続部を構成する。
【0009】
釘およびブリッジのアセンブリと固定要素との間で力を打消す機能および固定機能を発明に従って分けることにより、公知のねじおよびプレートのシステムと比べて多くの利点がもたらされる。これらの利点は、主として、釘部分が円形断面もねじ山も必要とせず、埋込み時にブリッジ部分に対して相対的に回転させる必要もないことに起因し、かつ、釘部分に関する設計が自由であることにより、インプラントおよび骨部分においてより最適な荷重分布が可能になることに起因するものである。
【0010】
本発明に従ったインプラントにおいては、釘部分は、特定の耐荷重機能(たとえばT字断面、U字断面または二重T字断面)に適合された断面を有してもよい。さらに、同様の荷重に耐えるために、釘部分の断面は対応するねじの断面よりも小さくすることができ、
このため、埋込みのために除去される骨組織が少なくてすみ、互いからより短い間隔で埋込みを行うことが可能となる。さらに、本発明に従ったインプラントの釘部分およびブリッジ部分を容易に入手可能なシート材料から製造することができる。釘およびブリッジ部分のアセンブリは、場合によってはこのようなシート材料の1片からが製造されている。このような製造は、材料の点で非常に単純で効率的であり、このため、最先端のプレートおよびねじのシステムと比べて相対的により低コストで行うことができる。
【0011】
本発明に従ったインプラントを埋込むために、骨部分は、最先端のねじおよびプレートのシステムを用いた安定化手順から周知の態様で互いに相対的に事前に安定させられる。次いで、釘部分用の開口部および場合によっては固定要素およびブリッジ部分用の開口部が骨組織に設けられ、釘およびブリッジのアセンブリが骨部分に対して相対的に位置決めされる。この位置に釘およびブリッジのアセンブリを固定するために、少なくとも1つの固定要素が、釘およびブリッジのアセンブリの固定構造に対して位置決めされ、エネルギ(好ましくは機械振動エネルギ)が固定要素に結合され、これにより、熱可塑性を有する材料がその場で液化され、骨組織に浸透させられる。熱可塑性を有する材料が再度固化されると直ちに、事前に安定させるための手段が取外され、手術部位が閉じられる。
【0012】
釘部分を収容するために骨組織に設けられる開口部は、釘部分をこの開口部に圧入できるような寸法にする必要はない。釘部分の形状と、釘部分が位置決めされるべき骨組織の機械的性質とに応じて、釘部分に開口部を設けなくてもよく、または、皮質骨層のみにこのような開口部を設けることができ、釘部分を骨組織または海綿骨組織に押込むことができる。釘部分の断面全体よりも実質的に小さい断面および/または釘部分の断面全体とは異なる形状を有する断面を有するこのような開口部(案内用ボア)を設けることもでき、釘部分を開口部に押込むこともできる。
【0013】
釘部分が互いに対して平行に延在する場合、釘部分およびブリッジ部分のアセンブリは予め組立てられるか、または1部品として作製される。釘部分が互いに非平行に延在する場合、または、外科医が、釘部分間の角度を特定の手術部位に適合させることが可能である場合、ブリッジ部分および釘部分は連続して骨部分に対して相対的に位置決めされてもよく、その場で組立てられてもよい。釘およびブリッジのアセンブリに必要な剛性を与えるためにブリッジ部分に対して相対的に各釘部分をロックするための手段が設けられる。
【0014】
少なくとも1つの固定要素は、アセンブリが骨部分に対して相対的に位置決めされると、釘およびブリッジのアセンブリに対して相対的に位置決めされる。本発明に従ったインプラントの好ましい実施形態においては、固定要素は、ピン状であるかまたはステープル状であり、たとえば、全体が熱可塑性を有する材料で作られている。固定要素と協働すべき釘およびブリッジのアセンブリの固定構造は、たとえば、骨表面上に延在させるためのアセンブリ部分における貫通開口部であるか、または、骨表面に対して実質的に垂直に延在するアセンブリ部分の近位端縁におけるノッチである。
【0015】
熱可塑性を有する材料と、エネルギ、特に、熱可塑性を有する材料をその場で液化させるために固定要素に伝達される振動エネルギとを用いて骨組織に固定要素を係止するために適用される係止技術が、たとえば、US−7335205、US−7008226、US−2006/0105295、US−2008/109080およびUS−2009/131947といった公報に開示されている。上述の公報すべての開示は、その全体が引用によりこの明細書中に含まれる。この場合、熱可塑性材料は、骨組織に固定要素を機械的に十分に係止するのに適した機械的性質を有する必要があり、それが液化した状態では、天然の孔もしくは予め設けられた孔、空隙または骨組織の他の構造に浸透することを可能にする粘度を有する必要がある。有利には、許容できない熱負荷が組織に加えられないように、比較的小量の材料だけが液化される。
【0016】
組織の許容可能な熱負荷と関連があり、押込み嵌合接続部に好適な機械的性質を与える好適な液化は、少なくとも0.5GPaの初期弾力係数と、約350℃までの溶融温度とを有する熱可塑性を有する材料を用いることにより、かつ、(US−7335205またはUS−7008226に開示されるように)たとえば埋込み時に骨組織に押当てられる固定要素の表面上にこのような材料を設けることにより、たとえば、固定要素よりもわずかに小さい骨開口部に固定要素を押込むことにより、または、本来、固定要素よりもわずかに大きい骨開口部において、もしくは(US2009/131947に開示されるように)別のカウンタ要素に対して固定要素を拡張させること(たとえば固定要素を機械的に圧縮するかもしくは締めることによる拡張)により、実現可能である。
【0017】
埋込み中、固定要素は、それにたとえば超音波装置のソノトロードを適用することによって、好ましくは2kHz〜200kHz(好ましくは超音波振動)の範囲の周波数の振動に晒される。比較的高い弾性率があることにより、熱可塑性材料が伝達する超音波振動がほとんど減衰しないので、固定要素が内部で液化せず、このため、固定要素は不安定にならない。すなわち、液化は、液化可能な材料が骨組織または別のカウンタ要素に接している箇所でのみ起こる。このため液化は容易に制御可能となり、最小限に抑えることができる。
【0018】
熱可塑性を有する材料をその場で液化させるのに必要な局所的な熱エネルギを作り出すための振動エネルギ以外のエネルギタイプを利用することもできる。他のこのようなエネルギタイプは、特に、振動エネルギと実質的に同じ態様で摩擦熱に変化する回転エネルギであるか、または、電磁放射(特に、可視周波数範囲または赤外振動数範囲におけるレーザ光)である。この放射は、好ましくは、熱可塑性を有する材料を介して案内され、熱可塑性を有する材料に含まれるかまたはこの材料に隣接して配置される吸収体によって局所的に吸収される(たとえば公報US2009/131947に開示されるとおりである)。
【0019】
本発明に従ったインプラントの少なくとも1つの固定要素に適した熱可塑性を有する材料は、たとえば熱可塑性ポリマーであり、たとえば、乳酸および/もしくはグリコール酸(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)もしくはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖類、ポリジオキサノン(PD)、ポリ酸無水物(polyanhydrides)、ポリペプチドもしくは対応するコポリマー、もしくは、上述のポリマーを成分として含有する複合材料に基づいたポリマーなどの再吸収可能なポリマー;または、たとえば、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアリールケトン、ポリイミド、ポリフェニルスルフィドもしくは液晶ポリマー(LCPs)、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテル、もしくは同等のコポリマー、もしくは上述のポリマーを成分として含む複合材料などの再吸収不可能なポリマーである。
【0020】
分解性材料の具体的な実施例として、LR706 PLDLLA 70/30、R208 PLDLA 50/50、L210SおよびPLLA 100%L(すべてBohringerによる)のようなポリラクチドが挙げられる。好適な分解性ポリマー材料の一覧も以下のとおり見出すことができる:Erich Wintermantel und Suk-Woo Haa, “Medizinaltechnik mit biokompatiblen Materialien und Verfahren”, 3;Auflage, Springer, Berlin 2002(以下、“Wintermantel”と称する)、200頁;PGAおよびPLAの情
報については202頁以降、PCLについては207頁、PHB/PHVコポリマーについては206頁;ポリジオキサノンPDSについては209頁を参照されたい。さらなる
生体吸収可能(bioresorbable)材料の説明を、たとえば、CA Bailey他による
J Hand Surg [Br](2006年4月;31(2):208〜12)において見出すことができる。
【0021】
非分解性材料の具体的な実施例は以下のとおりである:ポリエーテルケトン(PEEK
Optima、グレード450および150(Invibio Ltd))、ポリエーテルイミド、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネートウレタン(特に、DSMによるBionate、特にタイプ65Dおよび75D)。ポリマーおよびその応用例の概略的な表がWintermantelの150頁において列挙される。具体的な例は、Wintermantelの161頁以降(PE,Hostalen Gur 812, Hochst AG)、164頁以降(PET)、169頁以降(PA,すなわちPA6およびPA66)、171頁以降(PTFE)、173頁以降(PMMA)、180頁(PUR,表を参照)、186頁以降(PEEK)、189頁以降(PSU)、191頁以降(POM:Polyacetal(商品名:Delrin;Tenac)は、Protecによる内蔵式人工臓器においても用いられてきた)において見出すことができる。
【0022】
熱可塑性を有する材料は、さらなる機能を果たす異種の位相または化合物を含有し得る。特に、熱可塑性材料は、(たとえばリン酸カルシウムセラミックスまたはガラスからなる)混合された繊維またはウィスカーによって強化されてもよく、複合材料を代表するものである。熱可塑性を有する材料はさらに、その場で膨張するかまたは溶解する(細孔を作り出す)成分(たとえば、ポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)、固定要素を不透明にし、これによりX線で可視にする化合物、または、その場で放出されて治療上の効果、たとえば治癒および再生の促進といった効果を有する化合物(たとえば、酸性分解の悪影響に対抗するリン酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムなどの成長因子、抗生物質、炎症抑制剤もしくは緩衝剤)を含有し得る。熱可塑性材料が再吸収可能である場合、このような化合物の放出が遅れる。
【0023】
使用される充填剤は、β−リン酸三カルシウム(TCP)、ハイドロキシアパタイト(HA、<90%の結晶度);またはTCP、HA、DHCP、バイオガラス(Wintermantelを参照)の混合物を含む分解性ポリマーにおいて用いられる分解性の骨刺激性充填剤を含み得る。このような充填剤を含有する好ましい複合材料は、二塩基リン酸カルシウムで満たされたPLDLA(Bohringer:LR706)(重量比70:30)、および、TCPで満たされたPLLA(Bohringer:L210S)(重量比:40:60)である。
【0024】
非分解性ポリマーのための、部分的にしか分解しないかまたはほとんど分解しないオッセオインテグレーション刺激充填剤は、バイオガラス、ハイドロキシアパタイト(>90%の結晶度)、HAPEX(登録商標)(SM Rea他によるJ Mater Sci
Mater Med.(2004年9月;15(9):997〜1005)を参照)を含む。ハイドロキシアパタイトについては、L.Fang他によるBiomaterials(2006年7月;27(20):3701〜7)、M.Huang他によるJ Mater Sci Mater Med(2003年7月;14(7):655〜60)、ならびに、W.BonfieldおよびE.TannerによるMaterials World(1997年1月;5第1号:18〜20)を参照されたい。生物活性充填剤の実施例およびその説明は、たとえば、X.HuangおよびX.MiaoによるJ Biomater App.(2007年4月;21(4):351〜74),JA Juhasz他によるBiomaterials(2004年3月;25(6):949〜55)において見出すことができる。粒状の充填剤タイプとして、粗いタイプ:5〜20μ
m(含有量が優先的には10〜25容量%)、サブミクロン(析出から得られるナノ充填剤、優先的には、板状アスペクト比>10、10〜50nm、0.5〜5容量%の含有量)が含まれる。
【0025】
本発明に従ったインプラントの釘およびブリッジのアセンブリは、好ましくは、たとえばチタンもしくはチタン合金などの金属、またはたとえば酸化アルミニウムもしくは酸化ジルコニウムなどのセラミック材料で作られているが、場合によっては、機械的安定性を高めるために繊維状または粒子状の充填剤を含有する生物分解性または生物非分解性のポリマー材料で作られてもよい。本発明に従ったインプラントの釘およびブリッジのアセンブリが、非分解性材料で作られており、患者の身体に残るよう設計されている場合、骨組織に接すべき表面は、好ましくは、適切な粗さもしくは構造および/または適切なコーティングを含めることによってそれ自体公知の態様でオッセオインテグレーションを向上させるために設けられる。さらに、このようなアセンブリは、対応する骨の成長後に、新しい骨組織と協働して押込み嵌合接続部を形成するのに適した貫通開口部または好適な表面構造などの保持構造を含んでもよい。インプラントが、切断もしくは骨折の治癒後、または骨伝導(osseoconduction)による関節の癒合後に取外されることになっている場合、
釘およびブリッジのアセンブリの表面は、有利には、オッセオインテグレーションを妨げるよう設けられており(たとえば、研磨されており)、固定要素は生物分解性材料で作られている。
【0026】
図面の簡単な説明
本発明を添付の図面に関連付けてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明に従ったインプラントの具体的な実施形態であって、インプラントが釘およびブリッジのアセンブリならびに固定要素を含み、ブリッジ部分が、安定させるべき骨部分の骨表面上に位置決めされる実施形態を示す図である。
【
図1B】本発明に従ったインプラントの具体的な実施形態であって、インプラントが釘およびブリッジのアセンブリならびに固定要素を含み、ブリッジ部分が、安定させるべき骨部分の骨表面上に位置決めされる実施形態を示す図である。
【
図1C】本発明に従ったインプラントの具体的な実施形態であって、インプラントが釘およびブリッジのアセンブリならびに固定要素を含み、ブリッジ部分が、安定させるべき骨部分の骨表面上に位置決めされる実施形態を示す図である。
【
図2A】
図1A/
図1Bに示されるものと同様であるが、固定要素が釘部分と非平行に延在している、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図2B】
図1A/
図1Bに示されるものと同様であるが、固定要素が釘部分と非平行に延在している、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図3A】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、
図1A/
図1B/
図1Cに示される実施形態と同じ原理に基づいた実施形態を示す図である。
【
図3B】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、
図1A/
図1B/
図1Cに示される実施形態と同じ原理に基づいた実施形態を示す図である。
【
図3C】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、
図1A/
図1B/
図1Cに示される実施形態と同じ原理に基づいた実施形態を示す図である。
【
図4】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、
図1A/
図1B/
図1Cに示される実施形態と同じ原理に基づいた実施形態を示す図である。
【
図5A】本発明に従ったインプラントの具体的な実施形態であって、インプラントが釘およびブリッジのアセンブリならびに固定要素を含み、ブリッジ部分が、安定させるべき骨部分の骨組織内に延在している実施形態を示す図である。
【
図5B】本発明に従ったインプラントの具体的な実施形態であって、インプラントが釘およびブリッジのアセンブリならびに固定要素を含み、ブリッジ部分が、安定させるべき骨部分の骨組織内に延在している実施形態を示す図である。
【
図6A】
図5A/
図5Bに示される実施形態と同じ原理に基づいた、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す。
【
図6B】
図5A/
図5Bに示される実施形態と同じ原理に基づいた、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す。
【
図7】たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに示されるようなインプラント実施形態に適用可能な固定構造と、これと協働する固定要素とについてのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図8】たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに示されるようなインプラント実施形態に適用可能な固定構造と、これと協働する固定要素とについてのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図9】固定要素を骨部分の骨組織に係止して互いに相対的に安定させるためのさらなる方法を示す図である。
【
図10】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図11】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図12】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図13】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図14】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図15】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図16】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図17】本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態であって、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに従った実施形態と同じでありシート材料から製造されるのに適した実施形態を示す図である。
【
図18】上述の図に記載のアセンブリの特徴が組合されている釘およびブリッジのアセンブリのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図19】上述の図に記載のアセンブリの特徴が組合されている釘およびブリッジのアセンブリのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図20】釘部分のうちの1つが付加的な釘およびブリッジのアセンブリによって構成されている、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す図である。
【
図21】シート材料から製造される本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な保持構造を示す図である。
【
図22】シート材料から製造される本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な保持構造を示す図である。
【
図23】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図24】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図25A】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図25B】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図26A】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図26B】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図27】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図28】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図29】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【
図30】シート材料から製造され、骨表面上で延在すべきブリッジ部分を含む、本発明に従ったインプラントの実施形態に特に適した具体的な補強構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
すべての図において、同じ要素は同じ参照番号が付される。
好ましい実施形態の説明
図1A、
図1Bおよび
図1C(
図1A/
図1B/
図1C)は、本発明に従った方法およびインプラントの第1の具体的な実施形態を示す。
図1Aは、埋込み前のインプラントを3次元図で示し、
図1Bは、埋込み方向に対して平行な断面における埋込みプロセスの開始(上方)および終了(下方)を示し、
図1Cは、インプラントによって安定させられている2つの分離された骨部分を(骨表面上方から)示す。
【0029】
インプラントは、2つの釘部分2および1つのブリッジ部分3を備えた釘およびブリッジのアセンブリ1を含み、さらに、2つの固定要素4(または1つの固定要素4のみ)を含む。釘およびブリッジのアセンブリ1は、好ましくは、1片のシート材料、好ましくはシート金属で作られている。釘部分2は、互いに平行なブリッジ部分3の面から曲げられており、好ましくは、シート材料の厚さ方向に先細になっているおよび/または釘部分(図示せず)の幅方向に先細になっている先の尖った遠位端縁2.1を含む。固定要素4は、実質的にピン状であり、たとえば全体が熱可塑性を有する材料で作られている。ピン断面は、好ましくはブリッジ部分3における複数の貫通開口部5(固定構造)の断面に適合されている。
【0030】
図1Aに示されるようなインプラントを用いて2つの骨部分を安定させるための方法が
図1Bに図示される。2つの骨部分10および11は、切断部もしくは骨折12によって分離されているか、または、固定もしくは癒合させるべき関節において協働するものであって、互いに対して所望の位置で事前に固定される(事前に固定するための手段は図示せず)。次いで、釘部分2は、ブリッジ部分3が、骨部分を分離する間隙12を埋めて、実質的に骨表面に位置するように、2つの骨部分10および11の骨組織に押込まれる。該当する場合、少なくとも1つのブラインドボア13が、固定要素4の挿入のために設けられる。ブリッジ部分3または貫通開口部5はそれぞれ型板としての役割を果たす。好ましくは対応する工具(図示せず)の遠位端に取付けられた固定要素4は、次いで、貫通開口部5を介してブラインドボア13に差込まれる。そして、熱可塑性を有する材料を所望の
とおりにその場で液化させるために、かつ、ブラインドボアの壁の骨組織に浸透させるか、またはアンダーカットされた空隙もしくはその下に設けられた表面構造に浸透させるために、エネルギが工具を介して固定要素4に供給される。この液化プロセス中、または、場合によっては異なる工具を用いたさらなる液化もしくは変形プロセスにおいては、固定要素4の近位端は、ブリッジ部分3の外面上に載っている頭部、場合によっては当該外面に係止されている頭部に形づくられ得る。この場合、外科医には、すべての貫通開口部5に対して、または、これら貫通開口部5のうち1つのみに対して、もしくはこれらのうち選択された貫通開口部5のみに対して、ブラインドボア13およびそこに係止された固定要素4を設けるという選択肢がある。
【0031】
固定要素が熱可塑性を有する材料からなる単純なピンであり、使用されたエネルギが振動エネルギである場合、骨組織に設けられるブラインドボア13は、固定要素4のボアへの押込みが必要となるような寸法であって、固定要素4に結合された振動が骨組織と固定要素との間に摩擦を発生させ、これにより、熱可塑性を有する材料をその場で液化させるのに必要な熱を発生させるような寸法にされる。複数の固定要素4が用いられる場合、これら固定要素4は、先端部が1つの工具を用いて次々に係止することができるか、または、複数の先端部を有する(たとえば、フォーク状の)工具を用いて同時に係止することができる。この場合、各々の固定要素4は1つの工具先端に取付けられる。
【0032】
図2Aおよび
図2B(
図2A/
図2B)は、発明に従ったインプラントについて
図1A/
図1B/
図1Cと同様の実施形態を埋込まれた状態で示す。
図1A/
図1B/
図1Cに従った以外に、固定要素4は、ブリッジ部分3に対して直角ではなく鋭角に位置決めされる。
図2Aに従うと、固定要素4は、ブリッジ部分3(貫通開口部5)を通ってかつ釘部分2(貫通開口部5.1)を通って到達し、このため、骨組織から離れていかないよう釘およびブリッジのアセンブリを固定することに加えて、このアセンブリの剛性を補強する、すなわち、ブリッジ部分3に対して釘部分2がさらに曲がるのを防ぐのに役立つ。
図2Bに従うと、固定要素4は、釘部分における貫通開口部5.1のみに到達する。さらに以下に説明するように(特に
図18およびこの説明の対応する部分を参照)、ブリッジ部分が非常に狭いかまたは骨表面に対して実質的に垂直に配向される場合、このような構成が好適であり得る。
【0033】
図3A〜
図3C(
図3A/
図3B/
図3C)は、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す(
図3A:埋込み前のインプラントの3次元図;
図3Bおよび
図3C:埋込まれたインプラントを骨表面上方から見た図)。これらのさらなる実施形態は、
図1A/
図1B/
図1Cに例示される実施形態と同じ原理に基づいたものであるが、ブリッジ部分3の両側に複数の釘部分2の列を含めることで
図1A/
図1B/
図1Cに例示される実施形態とは異なっている。ブリッジ部分は、2列の釘部分の間に実質的に直線的(
図3Aおよび
図3B)または非直線的に延在するが、たとえば、骨切り術切断部の非直線的なコースに適合される。
図3Cは、円形曲線に沿って延在するこのようなブリッジ部分の例を示しており、このようなブリッジ部分は、たとえば、頚骨プラトーのレベリングのために骨切り術によって分離された犬の脛骨部分を安定させるよう適合されている。
【0034】
図3Cはまた、固定要素4を収容するために釘およびブリッジのアセンブリ1に設けられた貫通開口部5(固定構造)が必ずしも後者の断面に適合される必要がないことを示す。図示のとおり、貫通開口部5は長方形であってもよく、固定要素4はたとえば円形の断面を有してもよく、このため、外科医が、開口部5におけるこれら固定要素4の位置を、たとえば骨部分10もしくは11のうちのどちらか一方にくるように、または、2つの骨部分を分離する線12の領域にくるように、すなわち、両方の骨区域において係止されるように、選択することができる。固定要素4を長方形の貫通開口部5に最終的に固定する
ために、ブリッジ部分は、係止プロセス中、または後のステップにおいて、固定要素の液化材料が浸透する構造を含んでもよい。このような構造は、たとえば貫通開口部5の壁に設けられてもよい(たとえば、ブリッジ部分または空隙の表面に対して実質的に平行に延在する溝)。
【0036】
図4は、釘およびブリッジのアセンブリ1だけが示される本発明に従ったインプラントのさらなる実施形態を示す。この実施形態のブリッジ部分3は十字形であって、4つのすべての延在部の端部に1つの釘部分2を備える。
図4に従った実施形態は、2つの骨部分を安定させるだけではなく、たとえば3つまたは4つの骨部分を安定させるのにも適している。
【0038】
・ 釘部分2とブリッジ部分3との間の角度は直角でなくてもよい。
・ 釘およびブリッジのアセンブリ1は、シート材料から打抜きおよび折曲げによって形成するのではなく、釘部分を切断し、場合によっては形成することによって得られる(たとえば、押出し成形された)U字型断面形状から作製されてもよい。
【0039】
・ 釘およびブリッジのアセンブリ1は、シート材料から作製されてもよく、釘部分および/またはブリッジ部分は、シート材料を適切に形成することによってさらに補強され得る(たとえば、
図23〜
図30を参照)。
【0040】
・ ブリッジ部分3(または釘部分;
図2Bを参照)における貫通開口部5と、場合によっては対応するブラインドボア13とは、非円形の断面を有してもよく、固定要素4も場合によっては非円形の断面を有してもよい。
【0041】
・ ブリッジ部分3の両側に異なる数の釘部分2を設けてもよい。
・ 釘およびブリッジのアセンブリ1は、ブリッジ部分の両側における釘部分の形状の点でも非対称的であり得る。ブリッジ部分の一方側または他方側にある釘部分のうち選択された釘部分は、単純な押込みによってではなく、たとえば、ねじ山により、または、熱可塑性を有する材料をその場で液化させることによって、骨組織に保持されるように設けられ得る。
【0042】
・
図3Aおよび
図3Bに示されるものと同様のインプラントは、細長いブリッジ部分が間隙12に対して実質的に垂直に延在する状態で位置決めされ得る。間隙は釘部分2の間、または釘部分にわたって延在する。
【0043】
・ 釘およびブリッジのアセンブリ1は1部品から作製されるものではなく、釘部分およびブリッジ部分はたとえばともに溶接されるかまたははんだ付けされる。釘部分2は細長い断面以外の形状であってもよく、ならびに/または、ブリッジ部分3は釘部分2を越えて横方向に突出ててもよい。
【0044】
・ 釘およびブリッジのアセンブリ1は、その場で組立てられるよう設計された別個の釘部分およびブリッジ部分を含み得る。釘部分2は、たとえば、ブリッジ部分3における
対応する貫通開口部を通じて位置決めされ、たとえば超音波溶接によってそこにロックされる。ブリッジ部分3における貫通開口部5および釘部分の近位端は、ブリッジ部分と釘部分との間にさまざまな角度を規定することを可能にするように形作られ得る。
【0045】
・
図3A/
図3B/
図3Cに示される釘およびブリッジのアセンブリ1の細長いブリッジ部分3は、釘部分2および貫通開口部5が配置されているより広い面積を含み得る。これらのより広い面積とより狭い部分とを交互に配置することは、(たとえば、Tepic、Kyonに対する公報US2008/200955に記載されるように)釘およびブリッジのアセンブリの形状を骨表面上における2つの骨部分を分離する間隙のコースに、または骨部分の形状に適合させるために外科医によって行われる面内の塑性変形および場合によっては面外の塑性変形に適している。
【0046】
・ 固定要素4は、第一に頭部を含んでもよく、頭部をブリッジ部分3の外面に当接させるのに十分に深いブラインドボア13に差込まれる。
【0047】
・ 固定要素4は、頭部を介してではなく、熱可塑性を有する材料によってブリッジ部分3に接続され得る。この熱可塑性を有する材料は、液体状態で、ブリッジ部分3の貫通開口部5における好適な表面構造、たとえば適切な粗さまたはねじ山、に押込まれる。
【0048】
・ ブリッジ部分3は対の貫通開口部5を含み、ステープル状の固定要素の2つの脚部は、各対の開口部のうち2つの開口部を介して差込まれる(
図20も参照)。
【0049】
・ 固定要素4は、熱可塑性を有する材料よりも高い強度を有する材料の芯を含み得る。芯によって構成される固定要素の遠位端は尖っており、このため、ブラインドボア13をそこに設ける必要なしに骨組織に押込むのに適している。
【0050】
・ 骨組織に釘部分2を位置決めする前に、対応する開口部が骨組織に設けられる。開口部の断面は釘部分の断面に実質的に対応しており、このため、力をほとんど加えなくても釘部分を開口部に差込むことができるようになる。または、開口部(案内用ボア)の断面は、釘部分の断面よりも小さく、場合によっては釘部分の断面とは異なる形状であるため、釘部分を開口部に押込む必要がある(たとえば
図5Bを参照)。
【0051】
・ 2つの分離された骨部分を互いに対して押し合うために、ブリッジ部分3は、それ自体公知の態様で、骨部分を分離する間隙に対して実質的に垂直に延在する少なくとも1つのスロットを含み得る。ブリッジ部分3およびスロットは、(スクリュードライバと同様の)工具をスロットに挿入できるような寸法であって、スロット内で工具を回転させたときに、スロットを広げ、これにより、2つの釘部分2の間または2列の釘部分の間におけるブリッジ部分3の延在部を短くするような寸法にされる。ここでは、固定要素4は、広げられたスロットを介して骨組織に差込まれてもよい。
【0052】
・ インプラントの埋込み後に2つの骨部分が互いに相対的に移動するのを制限できるようにするために、ブリッジ部分は2つの部分と、これら2つの部分を互いに相対的に移動させるための手段と、これら2つの部分を互いに対して所望の位置に固定するための手段とを含み得る。このような埋込み後の移動をもたらす具体例として、脊柱後弯の治療のための圧迫骨折または骨切り術によって少なくとも部分的に分離されている椎体の部分から遠ざけるような回動が挙げられる。本発明に従ったインプラントは椎体の側面側に埋込まれ、次いで、2つのブリッジ部分が、椎体をその前方側で開口するように、後方回動軸を中心として互いに逆に回動させられる。ブリッジ部分を回動させて所望の回動位置でロックするために、回動軸は、たとえばラチェットとして設けられてもよい。
【0053】
図5Aおよび
図5B(
図5A/
図5B)は、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す。
図5Aは埋込み前のインプラントの3次元図であり、
図5Bは、埋込みプロセス後の(骨表面上方から見た)インプラントを示す。
図5A/
図5Bに従ったインプラントはまた、2つの釘部分2および1つのブリッジ部分3を備えた釘およびブリッジのアセンブリ1を含み、好ましくは、シート材料(たとえばシート金属)で作られている。シート材料からなる第1の部品20はブリッジ部分2と釘部分3の一部とを構成する。各々の釘部分は、釘部分2が十字形の断面を有するように、シート材料からなる第1の部品20に対してある角度(たとえば直角)をなして配向されるシート材料からなる第2の部品21を含む。
図1A/
図1B/
図1C、
図2A/
図2B、
図3A/
図3B/
図3Cおよび
図4に図示される以外に、
図5A/
図5Bに従ったインプラントのブリッジ部分2は、骨表面上に位置するよう配向されるのではなく、骨表面から骨組織内に延在するよう配向されており、その近位端はたとえば骨表面と同一平面上にある。この場合、シート部品が骨組織内に達する深さは、好ましくは、図示のとおり、ブリッジ部分3の方が、釘部分2よりも浅くなっている。釘部分2は、図示のとおり、それらの遠位端に向かって先細になっていてもよく、第1および第2のシート部品とともに、星状の断面構成を形成するシート部品をさらに含み得る。
【0054】
固定構造として、第1のシート部品20(および/または、第2のシート部品21)は、シート部品の近位端縁から突出て、骨表面に対して平行に延在するよう曲げられる固定部分22に配置された貫通開口部5を含む。固定要素4はまた、好ましくはピン状である。固定部分22は、部分的に固定機能を備えることに加えて、屈曲に対してブリッジ部分2を強化する役割を果たしてもよく、たとえば溶接またははんだ付けによって第1のシート部品20の近位端縁に取付けられるさらなるシート部品(図示せず)で構成されてもよい(
図7も参照)。
【0055】
図5A/
図5Bに図示されるインプラントを埋込むための方法は、
図1A/
図1B/
図1Cに関連付けて説明されるのと実質的に同じである。インプラントが埋込まれるべき骨組織の密度および機械的強度に応じて、さらに、シート材料の厚さと、ブリッジ部分3の遠位端縁の形状および釘部分2の遠位端の形状とに応じて、インプラントを骨組織に押込むことができるようにするために骨表面上の少なくとも皮質骨層を切開することが所望されたり所望されなかったりする可能性があり、または切開することが必要とされたり必要とされなかったりする可能性がある。釘部分2に案内用ボア23を設けることがさらに有利であり得る。この案内用ボアは、しかしながら、釘部分2よりも実質的に小さい直径および好ましくはより浅い深さを有するだけでよい。
【0056】
図6Aおよび
図6B(
図6A/
図6B)は、本発明に従った方法およびインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す。
図6Aは、埋込み前のインプラントの3次元図であり、
図6Bは、埋込み方向に対して平行な2つの断面における埋込みプロセスを示す(上方:埋込みプロセス前、下方:埋込みプロセス後)。
図6A/
図6Bに従ったインプラントは、主として、釘およびブリッジのアセンブリ1ならびに固定要素4で構成される固定構造に関して、
図5A/
図5Bに従ったインプラントとは異なる。固定要素4は、軸方向にスロットが設けられたピンまたはステープルの形状を有し、好ましくは、第1のシート部品20(および/または第2のシート部品21(図示せず))の近位端縁におけるノッチ6(固定構造)と協働する。
【0057】
図6A/
図6Bに従ったインプラントは、好ましくは、シート部品の近位端縁が骨表面と実質的に同一平面上にある状態で埋込まれる。これは、ノッチ6の深さが、固定要素4のうちスロットの設けられていない部分の軸方向の長さとほぼ同じであることを意味する。ノッチ6(釘およびブリッジのアセンブリの近位端縁のみで構成される固定構造)を設けず、固定要素4を骨表面と同一平面に埋込むことができるように骨表面の下に埋められ
た釘およびブリッジのアセンブリ1を埋込むことが可能であるか、または、骨表面と同一平面に釘およびブリッジのアセンブリ1を埋込み、固定要素4の近位部分を骨表面の上方に突出させることができる。
【0058】
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに示される釘およびブリッジのアセンブリは、上述のとおり、骨部分に位置決めされる前に組立てられる。しかしながら、これらをその場で、すなわちシート部品を順々に組立てることも可能である。このために、シート部品は、これらシート部品が交差する箇所で協働するスロットを備える(一方のシート部品におけるスロットが遠位端縁から延在し、他方のシート部品におけるスロットが近位端縁から延在する)。埋込みのために、たとえばシート部品20が最初に押込まれ、次いでシート部品21が押込まれる。このように連続して押込むことにより、上述のとおり、同時に押込む場合よりも押込み力は少なくてすむ。
【0059】
図7および
図8は、本発明に従ったインプラントの釘部分上に配置された協働する固定要素および固定構造のさらなる実施形態を示す。インプラント全体ではなく、1つの釘部分2および協働する固定要素4のみが示される。
【0060】
図7の釘部分2は、
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに図示されるように釘部分と実質的に同じであり、すなわち、第1のシート材料部品20および第2のシート材料部品21によって構成されるが、実質的にピン状の固定要素4との協働のための設けられた少なくとも1つの貫通開口部5を備えた近位側のカバー部品23をさらに含む。
【0061】
図8に従った釘部分2は、第1のシート材料部品20および第2のシート材料部品21の一部によっても構成される。第1および第2のシート材料部品はそこにノッチ6を含み、シート材料部品の近位端縁は互いに交差する。相互に作用する2つのノッチ6と、ブラインドボアまたは相互に作用するノッチ6の領域における骨組織の除去された部分とが、固定要素4のための案内部を構成する。この案内部は、第1および第2のシート材料部品に適合された遠位側の2つの溝(図示せず)を含み得る。
図8に図示のとおり、固定要素4が上述の溝を備えない場合、ノッチに差込まれると、固定要素4または熱可塑性を有する液化材料のうち少なくともいくらかが好ましくは押込まれてノッチを通り過ぎ、これにより、上述の溝が埋込みプロセス中に形成されることとなる。
【0062】
図9は、分離された骨部分に対して釘およびブリッジのアセンブリを固定するのに適用可能な固定要素4をその場で液化させるためのさらなる方法を示す。
図9に従った方法は、たとえば上述の釘およびブリッジのアセンブリに関して適用可能であり、この場合、固定構造は、アセンブリ部分における貫通開口部である。
図9に従うと、熱可塑性を有する材料を含む固定要素4は実質的に管状であり、振動工具31の伸展棒30とカウンタ要素(counter element)32との間に保持される。振動工具は、管状の固定要素4の管腔を
通って延在し、伸展棒30と接続される。工具31およびこれとともに伸展棒30を振動させつつ工具31およびカウンタ要素32に対して互いに対抗する力を加えることにより、固定要素4が圧縮され、固定要素4の熱可塑性を有する材料が、伸展棒30と固定要素4との間の接合面において、および/または、カウンタ要素32と固定要素4との間の接合面において液化され、上述の接合面から径方向に遠ざけられて、接合面に隣接して位置する骨組織に浸透する。振動工具31を振動させる代わりに、カウンタ要素32を振動させて、
図9において示された要素をカウンタ要素としての振動工具として用いることもできる。液化が可能な上述の2つの接合面が同じ設計である場合、液化は、主として固定要素と振動要素との間の接合面において発生するだろう。主として他方の接合面において、または他方の接合面においてのみ液化が所望される場合、この他方の接合面はエネルギディレクタを備えることとなり、および/または、2つの要素を堅固に接続することによって固定要素と振動要素との間の接合面が省かれることとなる。
【0063】
図9に従うと(左:液化プロセス前、右:液化プロセス後)、伸展棒30は、少なくともその近位面において、液化プロセス中に固定要素4に溶接可能かまたは接続可能な材料を含み、液化プロセス後に容易に分離することができる接続によって遠位側の工具端部に接続され、このため、液化プロセス後に工具31を取外すしたとき、伸展棒30を骨組織に残して固定要素の一部を構成することができる。伸展棒30は、好ましくは固定要素4と同じ材料で作られており、このため、液化プロセス中に固定要素に溶接される。伸展棒30は、伸展棒30の材料が液化プロセスにおいて暖められたときに容易に破壊することのできる形状適合接続部(たとえば協働するねじ山)によって遠位側の工具端部に接続される。
図9に図示され簡潔に上述された方法が公報US2009/131947に詳細に記載され、その開示全体が引用によりこの明細書中に含まれている。
【0064】
図10〜
図16は、本発明に従ったインプラントのさらなる具体的な実施形態を極めて概略的に示す。これらの実施形態はすべて、好ましくはシート材料で作られた釘およびブリッジのアセンブリ1を含む。
図10〜
図16のすべてにおいては、インプラントは、(骨表面上方から見た)埋込まれた構成で示され、ブリッジ部分3は、2つの骨部分10および11を分離する間隙12にわたって延在する。小円30は、たとえば上述の実施形態のいずれにも示されるように設計され、
図10〜
図16に関してさらに記載されていない協働する固定要素および固定構造の実現可能な位置を示す。
【0065】
図10および
図11に従うと、釘およびブリッジのアセンブリ1はシート材料からなる1部品のみから構成される。シート材料からなるこの1部品は、複数の箇所で折畳まれ、および/または曲げられて、ハーモニカ状または単に湾曲した断面を有する2つの釘部分2と、これら2つの釘部分を接続するブリッジ部分3とを形成する。固定要素および固定構造(円30)は、たとえば、シート材料からなる折畳まれたおよび/または曲げられた部品の両端に配置される。
図12に従うと、釘部分2はT字型の断面を有し、固定要素および構造(円30)はT字型の中心に配置される。
図13に従うと、釘部分2は二重T字形状の断面を有し、固定要素および固定構造(円30)はたとえばその周辺に配置されている。
図14に従うと、釘部分2およびブリッジ部分3はすべて一体化されて、シート材料からなる実質的に直線的な単一の部品にされる。固定要素および固定構造(円30)は、シート材料からなるこの部品の端部付近に配置される。
図10〜
図13に従った実施形態以外に、
図14に従った実施形態が特に適している応用例においては、2つの骨部分10と11との間における
図14の紙面に対して平行な剪断力が打消される一方で、他の力、特に2つの骨部分を互いから引き離す力はごくわずかしか重要ではない。
図15に従った釘およびブリッジのアセンブリは
図14に図示されるような2つのアセンブリを含む。シート部品は互いに交差し、埋込み前に組立てられるか、または、連続して埋込まれる。すなわち、たとえば
図5A/
図5Bおよび
図6A/
図6Bに関して記載されたようにその場で組立てられる。
図16に従うと、釘およびブリッジのアセンブリ1はまた、たとえば5つの釘部分2および3つのブリッジ部分3を構成するシート材料からなる屈曲部品を1つしか含まない。固定要素および固定構造(円30)は、たとえば釘部分の区域に配置される。
【0066】
図17は、
図16において概略的に示される釘およびブリッジのアセンブリ1の3次元図であり、アセンブリの近位端縁から突出るシート材料部分22の形状の固定構造を備え、アセンブリが骨部分に対して相対的に位置決めされると骨表面に対して平行に延在するよう曲げられている。突出部分22は、固定要素を収容するための貫通開口部5を含む。
【0067】
図18および
図19は、上述の実施形態の特徴をさまざまに組合わせることのできる例を示す。
【0068】
図18に示される釘およびブリッジのアセンブリ1は、
図10に示されるものと実質的に同じであるが、固定構造に関しては異なる。この場合、これら固定構造は、釘部分またはブリッジ部分の近位端縁上には配置されず、
図2A/
図2Bに関連付けて既に説明したように、骨組織に達するアセンブリ部分を通る貫通開口部5.1および5.2によって構成される。ピン状の固定要素は、開口部5.1および5.2を介して点破線で示される方向に差込まれる。固定要素4に設けられるべきブラインドボアは釘およびブリッジのアセンブリの傍の骨表面から始まっている。
図2A/
図2Bおよび
図18に関連付けて説明された傾斜した固定要素は、骨組織内に延在するアセンブリ部分(固定構造)における貫通開口部と協働するものであり、上述のすべての実施形態に対して実現可能である。
【0069】
図19に示される釘およびブリッジのアセンブリは、たとえば一方では
図1A/
図1Bに図示され、他方では
図10に図示されるように、原則としてアセンブリ同士を組合せたものである。釘およびブリッジのアセンブリは、好ましくは打抜きによって作られる1つのシート部品のみから成る。この1つのシート部品は、2つの方法で曲げられる。すなわち、第一に、
図1A/
図1Bに図示のとおり、骨表面に延在させるために骨表面および釘部分2上に延在するようブリッジ部分3を形成するために曲げられ、第二に、たとえば
図10に図示のとおり、釘部分をさらに形成するためにブリッジ部分3の面に対して角度をなした面で曲げられる。
【0070】
図20は、ブリッジ部分3が骨表面上に延在している、本発明に従った方法およびインプラントのさらなる具体的な実施形態を示す。インプラントはまた、分解した態様で示される釘およびブリッジのアセンブリ1(主アセンブリ)を含む。釘およびブリッジのアセンブリ1は、ブリッジ部分3の一方側に堅固に取付けられた1つの釘部分2と、このブリッジ部分3に堅固に取付けられた付加的な釘部分の代わりに、付加的なブリッジ部分3′およびこれに堅固に取付けられた2つの付加的な釘部分2′を備えた付加的な釘およびブリッジのアセンブリ1′(付加的なアセンブリ)とを含む。さらに、対のアセンブリ(主アセンブリおよび付加的なアセンブリ)はたとえば2つの固定要素4を含む。
【0071】
付加的なアセンブリ1′の釘部分2′が主アセンブリ1のブリッジ部分3の下にある骨に到達することができるようにするために、後者は、付加的なアセンブリの釘部分2′の各部分につき1つの貫通開口部(釘開口部40)を含む。釘開口部40は、釘部分2′が複数の異なる位置にくることを可能にするよう有利に寸法決めされる。さらに、主アセンブリ1のブリッジ部分3および付加的なアセンブリ1′のブリッジ部分3′は、固定要素4のための貫通開口部5および5′を含む。貫通開口部5および5′は、付加的なアセンブリの釘部分2′が釘開口部40に配置されると互いにアライメントされるように配置される。好ましくは、貫通開口部5および5′のうち少なくとも1つは、釘開口部40における実現可能なあらゆる釘位置2′に対して上述のアライメントが可能となるように寸法決めされる。
【0072】
図20に従ったインプラントは、骨部分のうち第1の骨部分に主アセンブリの釘部分2を押込み、骨部分において固定要素4を係止することによりこの第1の骨部分に対して主アセンブリを保持することによって、次いで、該当するのであれば、第1の骨部分に対して第2の骨部分を位置決めするかまたは第2の骨部分の位置を調整することによって、次いで、主アセンブリの釘開口部40を介して付加的なアセンブリ1′の釘部分2′を第2の骨部分に押込むことによって、次いで、貫通開口部5′および5を通って延在する固定要素を第2の骨部分に係止することにより付加的なアセンブリ1′およびこれとともに主アセンブリ1を第2の骨部分において相対的に保持することによって、埋込まれる。この場合、付加的なアセンブリ1′の釘部分2′が、最終的に、主アセンブリ1の釘部分2に対して非平行な骨組織内に延在することは明らかに可能である。
【0073】
図20に従ったインプラントが特に好適となる応用例においては、2つの骨部分においてインプラントを連続して固定することが他の理由で所望され得る場合、または、釘部分の非平行な配向が望ましい場合、インプラントが骨部分のうち1つの骨部分に既に固定されているときにインプラントを用いて安定させられる骨部分の相対位置を調整することができれば有利であり得る。このような1応用例として脛骨粗面前進のための外科手術が挙げられる。
【0074】
図20に従った実施形態の変形例は、たとえば、主アセンブリ1における2つ以上の釘部分2、2つ以上の付加的なアセンブリ1′、2つ以上の釘部分2′を備えた付加的なアセンブリ1′、または付加的なアセンブリ1′と置換えられる主アセンブリ1におけるすべての釘部分2を備え得る。さらに、
図1A/
図1B/
図1C、
図2A/
図2B、
図3A/
図3B/
図3Cおよび
図4に関連付けて記載された特徴は、
図20に従った実施形態にも適用可能である。
【0075】
図21および
図22は、本発明に従ったインプラントの釘およびブリッジのアセンブリの実施形態に特に適した具体的な保持構造を示す。この釘およびブリッジのアセンブリは、実質的には打抜きおよび曲げによってシート材料から作製される。これらの保持構造は、埋込み後、特に埋込み後であって生分解性材料で作られた固定要素がインプラントをもはや骨組織に保持することができなくなった時に、成長した新しい骨との押込み嵌合接続を構成することによって、骨組織にインプラントを保持する役割を果たす。保持構造は、釘およびブリッジのアセンブリと実質的に同じ製造ステップ(打抜きおよび曲げ)で作製することができるので、製造コストがさほど高くならない。というのも、この場合には、付加的な製造ステップにおいて通常機械加工されなければならない公知のインプラントの保持構造が同じ目的を果たすからである。
【0076】
図21に従った保持構造は、たとえば、
図1A/
図1B/
図1Cに図示されるものと同様の釘およびブリッジのアセンブリ1の釘部分2に設けられる貫通保持開口部50である。埋込み後に成長した骨は開口部50を通過し、押込み嵌合接続によって骨材料に釘およびブリッジのアセンブリを保持することとなる。貫通保持開口部50は、釘部分上だけでなく、骨組織内に達するブリッジ部分上においても、シート材料で作られた上述の釘およびブリッジのアセンブリのいずれにおいても有利に設けることができる。
【0077】
図22は、シート材料でできたキッチン用卸し金から周知となるシート表面から突出るようシート材料に設けられたスロットの1つの端縁を変形させることによって作り出される、たとえば三角形を有するぎざぎざの端縁51および歯52の形状の保持構造を示す。たとえば三角形の2つの側部などの形状を部分的に打抜き、シート材料の主面からこのような形状を広げることによって保持構造を作製することもできる。埋込み時に、この広げられた形状は、シート材料の面に向かって弾力的に折曲げられ、埋込み後、骨組織に押返されるまたは押込まれることとなる。上述の保持構造はすべて、インプラント自体を製造するのに必要なステップと実質的に同じ製造ステップで、すなわち如何なる付加的な努力もなしに、作製することができる。
図21のように、
図22に図示される保持構造は、釘およびブリッジのアセンブリ1の釘部分2に位置するよう示されているが、骨組織内に延在するブリッジ部分上に設けられてもよい。
【0078】
図23〜
図30は、本発明に従ったインプラントの釘およびブリッジのアセンブリ上に設けられた補強構造についての具体的な構造を示す。釘およびブリッジのアセンブリは、少なくとも部分的にシート材料で作られている。これら構造は、骨表面上に延在するブリッジ部分に特に適しているが、該当する場合、釘部分上、および場合によっては骨組織内に延在するブリッジ部分上に設けられてもよい。
【0079】
図23は、
図1A/
図1B/
図1Cに図示されるものと同様の釘およびブリッジのアセンブリ1を示す。このブリッジ部分3は、一方の釘部分2から他方の釘部分2にまで延在する1つの端縁53を含む。この端縁53は、シート材料の主面に対して垂直な屈曲力に抵抗するようブリッジ部分3の剛性を強めるためにブリッジ部分の主面から折曲げられている。
図24は、局所的な補強効果を有し、図示のとおり、たとえば貫通開口部5の形状の固定構造と交互に設けられ得る隆起54の形状をした変形区域を含む、切断されたブリッジ部分3の一部を示す。
【0080】
図25A/
図25Bおよび
図26A/
図26Bは、ブリッジ部分3の主表面に対して実質的に垂直な屈曲力に対抗してシート材料のブリッジ部分3を補強するためのさらなる具体的な補強構造の断面を示す。これらの補強構造は、折曲げられた端縁部分55(
図25A/
図25B)または折畳まれた隆起56(
図26A/
図26B)である。この折曲げられた端縁部分55または隆起56は、ブリッジ部分3の寸法およびインプラントの適用に応じて、たとえば、釘部分2の対向する列の間に延在し得る(
図25Aおよび
図26A)か、または、一方の釘部分から反対側の釘部分に至る方向に延在し得る(
図25Bおよび
図26B)。
図27は、シート材料で作られた釘およびブリッジのアセンブリ1を示し、この釘部分2は、埋込み方向に対して平行に延在する折曲げられた端縁55によって補強される。同様に、このような釘部分2は、
図26A/
図26Bに図示されるように、折畳まれた隆起によって補強されてもよい。
【0081】
図28〜
図30は、本発明に従ったインプラントの釘およびブリッジのアセンブリ1のブリッジ部分3に適し、特に、シート材料で作られ、細長く狭い形状を有するこのようなブリッジ部分3に適した補強構造のさらなる具体的な実施形態を示す。補強は、ブリッジ部分3をねじることによって達成される。
図28に従うと、補強構造は、ブリッジ部分3の中間部分全体に関しては、180°のねじれ部57をなす。
図29および
図30に従うと、ブリッジ部分3は、2つの側方のねじれ57を含む。これらねじれ57は、合計で180°となり(
図29)、側方のブリッジ部分に対して180°未満(たとえば90°)の角度で中間ブリッジ部分を残すか、または、合計で360°、好ましくは180°の2倍(
図30)となり、側方のブリッジ部分と実質的に同じ面に中間ブリッジ部分を残す。
図28〜
図30に従った補強構造は、
図1A/
図1B/
図1C、
図2A/
図2Bおよび場合によっては
図3A/
図3B/
図3Cに図示されるように、釘およびブリッジのアセンブリに特に適している。
図29および
図30に従った補強構造は、
図4に示されるような釘およびブリッジのアセンブリに特に適している。