(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の組織熱システムにおいて、前記チャネルが、好適な温度を維持するように前記貯蔵器をさらに断熱するように構成された少なくとも1つの断熱材料を受け入れるように構成されていることを特徴とする組織熱システム。
請求項1乃至5の何れか一項に記載の組織熱システムにおいて、前記組織回収器チャンバが、組織サンプルを収容するように構成された組織回収器を受け入れるように構成され、さらに、前記組織回収器チャンバの温度が、前記貯蔵器の前記温度制御媒体によって少なくとも部分的に維持されることを特徴とする組織熱システム。
請求項1乃至6の何れか一項に記載の組織熱システムにおいて、前記基礎部材が、前記貯蔵器の底面に形成された位置決め窪みをさらに備え、前記位置決め窪みが、内部に前記温度制御スリーブを受け入れるように構成されていることを特徴とする組織熱システム。
【背景技術】
【0002】
神経系を含む身体の身体組織のさまざまな異常により、そういった異常に苦しむ患者に対して深刻な健康上のリスクがもたらされる可能性がある。たとえば、神経系に関連して、脳腫瘍および脊髄腫瘍、嚢胞、病変または神経血腫(neural hematoma)等の異常により、運動スキルの低下、悪心あるいは嘔吐、記憶障害あるいは意思疎通障害、行動変化、頭痛または発作がもたらされる可能性がある。場合によっては、異常な組織の塊の切除が必要である。しかしながら、異常が見つかる可能性があるさまざまな身体機能のさまざまな複雑性および重要性を考慮すると、こうした処置は極めて繊細であることがあり、非常に精密にかつ注意を払って行われなければならない。
【0003】
健康な組織から異常な組織を摘出するさまざまな組織除去システムが知られておりまたは提案されてきた。しかしながら、多くの既知の組織切断デバイスには、除去するべき組織に対し、かつ除去するべき組織が連結しまたは付着している周囲の組織に対して損傷をもたらすことなく、神経組織を正確にかつ無傷で除去することができないという問題がある。実際には、多くの従来技術によるデバイスは、単に、患者から疾患組織を除去する、引破り作用または引裂き作用をもたらす。さらに、従来技術によるデバイスはまた、各切除サイクルの間に各組織サンプルを除去することなく組織サンプルを連続して摘出することができない。
【0004】
さらに、さまざまな組織除去システムは、焼灼エネルギー、破壊エネルギーあるいは熱エネルギーまたはこれらの組合せを使用し、それにより、摘出した組織とともに、基質および側副組織の健康な組織に損傷がもたらされる。したがって、これらの組織除去機構は、個別化医療レジメンの処方に対して後に使用するために組織の完全性および生存性が維持されることが望まれる場合、使用に適していない。それら組織除去機構では、切除された組織の無菌(sterile)環境内での捕捉および保存も可能ではない。さらに、これらのデバイスが発生する焼灼エネルギーはまた、腫瘍が切除された基質等、側副組織にも影響を与え、それにより、基質は、損傷を受け、後続するインサイチュの個別化医療レジメンに対する「受容床(receptor bed)」としてそれほどまたはまったく有効でなくなる。
【0005】
疾患組織が除去されると、従来、患者は、通常、全身に送達され、かつ健康な組織のすべてを殺すことなく癌組織を殺すのに十分な毒の間のバランスを提供するように設計された、包括的かつ厳しい化学療法プロトコルレジメンを含む、「画一的な」(one−size fits all)手法で治療される。Gamma KnifeおよびCyber Knife等の製品によって、高線量および放射線への複数回の暴露もまた通常使用されかつ送達される。しかしながら、こうした侵襲的治療レジメンは、有効な治療計画を見つけようとする患者に対する一連の「実験」にすぎないことが多い。したがって、患者を、包括的な治療レジメンおよび連続的な変更の有効性を確認するためにモニタリングしなければならず、健康な組織を傷つけないことと患者全体に対する治療プロセスの毒効果とのバランスをとるように試みながら、先の成功または失敗の各々のプラスの結果またはマイナスの結果に基づいて、治療レジメンの微調整が行われる。こうした治療レジメンにより、疾患に対処する有効な治療レジメンが達成されるまで、事実上、患者は実験台であることになり、または大部分の場合、患者は疾患が原因で死亡する。不都合なことに、脳腫瘍の場合、患者は、有効な治療レジメンが達成される前に疾患に倒れることが多い。患者に対して非常に生物学的に苛性であるこれらの大胆な臨床努力にも関らず、現行の治療パラダイムのいずれもめったに治癒をもたらさない。実際には、脳腫瘍と診断された患者は、通常、疾患の初期診断後9か月〜14か月を超えて生存しないことが多いため、これらの患者において全身化学療法または標的指向性放射線療法の長期の臨床的意味は未知であり、患者が真の影響が理解されるように十分長く生存した場合に不利益なものとなる場合がある。
【0006】
しかしながら、いくつかの疾患に対して現在進歩を遂げている治療プロトコルでは、患者特定の的を絞った療法、すなわち個別化医療が必要である。個別化医療のいくつかの形態は、患者からの疾患組織、すなわち摘出組織を利用して、一般的な疾患タイプとともに、患者の所定の疾患の具体的な遺伝子構造および分子構造に関する情報を取得する。この情報から、患者自身の組織の使用を必要とする、的を絞ったまたは個別化腫瘍学的治療レジメンが開発され、患者の組織は、患者の所定の「カクテル(cocktail)」を作成するために培養されかつ使用され、その後カクテルは、その患者に対する適合された所定の治療レジメンとして患者に再度送達することができる。
【0007】
有効な治療プロトコルが開発されるために、患者から切除された組織を、病理学によって解析することができるだけでなく、患者特定の治療カクテルを作成することができるように組織に対してさらなる腫瘍学的処理を行うことができるように、組織の生物学的完全性または有効性を損なわない方法で、取り除き、回収しかつ輸送しなければならない。従来、病理学者は、除去プロセス中に組織が損傷するため、限られた品質の組織サンプルおよび/または限られた量の組織しか受け取らず、またはわずかな量の組織しか回収することができなかった。病理学的評価で使用するための組織は、滅菌野内から除去されると無菌または無菌的(aseptic)形態で維持される必要はなく、生物学的完全性または有効性は不要であった。唯一の要件は、組織が、認識できないほど破砕されず、脱水状態にならない、ということであった。しかしながら、所定タイプの個別化医療が有効に生成されるために、腫瘍から採取され腫瘍学研究室(病理学研究室に対して)に利用可能な十分な組織がなければならず、その組織は、異物または細菌、菌類等の生物学的要素によって汚染されないように無菌または無菌的環境で維持されながら、生物学的に活性でありかつ無傷でなければならない。この危険にさらされない環境により、組織の有効な後の培養が可能になり、したがって、個別化医療療法の生成を可能にする具体的な患者療法レジメンの作成が可能になる。より具体的には、切除された組織が有効に培養され得る組織としてさらに使用されるために分割されるのを可能にする無菌または無菌的環境で維持される、腫瘍が採取された適切な体積の組織がなければならない。場合によっては、切除された組織は、所定の一貫したサイズのサンプルで、病理学に対しまたは腫瘍学的処理のために提示されることが好ましい。これにより、組織の研究室処理の時点で手作業による扱いがより少なく、したがって、病理学的または腫瘍学的使用に対して利用可能な組織の真の収量にさらに影響を与える組織の構造的損傷に対して不注意の検診がより少ないという可能性が与えられる。別の利点は、病理学に対する組織の総括的な提示(総括的な組織は、数回しか分割することができない)ではなく、病理学に対して評価のためにより慎重な単位を提供し、それにより、腫瘍物質のより多くからより有効な評価をもたらすことができるより多くのサンプルのより完全な評価が可能になる、ということである。患者特定の化学療法を生成するための腫瘍学的処理の場合、組織サンプルは、まず、所定タイプの腫瘍情報を確定するために病理学的手段によって解析される。確定されると、無菌または無菌的環境で維持されていた組織は、その後、培養のために培養基に植え付けられ、可変の強度および組成の種々の異なる「化学的カクテル」を適用して、いずれの「カクテル」が癌を最も有効に「殺し」健康な組織に対する損傷が最も少ないかを判断することができる。この手続きは、通常、「標的化学療法」と呼ばれる。所定患者に関するこうした治療薬または化学療法薬候補の有効性に対するスクリーニングの例は、Precision Therapeutics,Inc.(ペンシルベニア州、ピッツバーグ(Pittsburgh,PA))に譲渡された米国特許第7,678,552号明細書に記載されており、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
開発された別の新興の療法は、免疫療法治療である。免疫療法治療は、疾患と闘うために患者の免疫系を利用する。一般に、こうした治療は、患者から抗原提示組織および/または細胞を採取することと、標的となっている所定の疾患の抗原を含有する組織/細胞を培養することとを含む。抗原提示細胞は、疾患の抗原を吸い込みその表面に抗原を提示する。そして、抗原提示細胞は、インサイチュで患者の体内に再度配置され、身体自体のT細胞を、疾患の抗原を示す任意の細胞を攻撃するように訓練するように増強しかつ/または機能する。さらに、ウイルス系ベクターである、インサイチュで送達されるべき所定のカクテルを作成するように培養された、患者自身の腫瘍細胞または組織を使用する他の形態の治療レジメンがある。こうした技法を採用する1つの会社の例は、Tocagen,Inc.(カリフォルニア州、サンディエゴ(San Diego,CA))である。
【0009】
従来技術による組織切断デバイスに対する現時点での難題は、安全かつ有効な全摘出(Gross Total Resection)(GTR)またはほぼGTRを達成し、研究室に対して、人為的な圧壊(crush artifact)が皆無かまたはそれに近く、患者の組織の無傷なセグメント(単なる細胞または解離組織ではなく、生検品質組織)を提供することができるということである。切除された組織の「切込み(bite)」サイズが一貫していることも難題である。同じかまたはほぼ同じサイズの寸法で切除された組織切込みは、腫瘍学的使用および培養に対して処理後の取扱いを最小限にする。細胞または解離組織のスラリーは、組織培養が必要である場合に、病理学に対してそれほど有用でなく、有効な腫瘍学的ベースの治療プロトコルには許容できず、現行の切除技法およびデバイスは、必要なものを有効に送達しない。
【0010】
外科医が切除し病理学者が解析する組織は、重要情報源であり、その同じ組織を使用して、患者自身の組織から、使用されるべき適切に有効な治療プロトコルが作成される。実際には、外科的に切除された組織は、患者の腫瘍の具体的な分子特性と、腫瘍が反応すると期待される具体的な療法と、さらには患者の遺伝子構造によって予測される所与の療法に対する有害反応の具体的なリスクを定義するために必要な分子情報を所有している。
【0011】
しかしながら、手術室にいる間にかつ研究室への輸送中に、切除された組織の分子完全性および有効性を保護することは、現時点では難題である。組織サンプルは、生理学的ストレスに反応する。たとえば、うまく切除された標本は、研究室に送り出される前に、手術室および/または保持ユニットにおける室温等、生物学的に不都合な環境で可変の時間を費やし、雰囲気に暴露され、乾燥し、非無菌/非無菌的環境に配置される等の可能性がある。温度が、分子組成および組織サンプルの品質を変化させる可能性がある。同様に、他の生理学的ストレスが、灌流および酸素化等、組織サンプルに悪影響を与える場合もある。
【0012】
免疫療法治療では、単なる個々の細胞ではなく細胞ブロックである生物学的に活性な組織が必要である。実際には、疾患組織からの個々の細胞は、治療薬にさらされまたは暴露されたときに組織の「コロニー」(ブロック)とは生物学的に異なるように反応し作用することが知られている。したがって、組織を、病理学的評価のために、かつ個別化医療腫瘍学的療法で使用するために、人為的な圧壊、細胞壁の焼灼破壊、または焦げ等の熱的損傷なしに切除しなければならない。さらに、考慮しなければならないのは切除された組織の生存性だけでなく、切除された組織が採取された基質もまた、レジメンのインサイチュ配置を必要とする個別化医療治療レジメンに対する有効な受容床として作用することができるように、重要視しなければならずかつ損傷してはならない。さらに、これらの治療レジメンは、有効に使用されるために最小の体積の組織も必要とする。最後に、切除され、回収され、輸送される組織を、脱水、汚染または危険を排除する無菌的または好ましくは無菌環境で保存しなければならず、そのため、個別化医療を達成するために化学療法、ウイルス性治療および他の免疫療法等の標的療法に対して神経腫瘍学および神経免疫学の必要を達成するように、組織試験に基づくさらなる/進歩した病理学および更なる処理の必要のために、培養することができるように生物学的に活性でありかつ有効性があり続けることができる(すなわち、汚染物質によって危険にさらされていない生きた生物学的に活性な組織)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、以下の考察とともに図面を参照すると、開示するシステムおよび方法に対する例示的な手法が詳細に示されている。図面はいくつかのあり得る手法を表しているが、必ずしも正確な縮尺ではなく、本開示をより適切に例示し説明するために、いくつかの特徴を誇張するか、除去するか、または部分的に切断している場合がある。さらに、本明細書に示す説明は、網羅的であるように、または別の方法で特許請求の範囲を、図面に示しかつ以下の詳細な説明に開示する厳密な形態および構成に限定または制限するようには意図されていない。
【0017】
本明細書には、外科手術用途に適している組織切断デバイスとともに、好適な組織切断デバイスを使用して取得される組織コアを保存するために使用することができる冷却システムに対する例示的な構成が記載されている。本明細書では、脊椎組織および脳組織の除去等、脳神経外科用途に関連して記載しているが、本明細書の開示は、他の外科手術用途および治療プロトコルに適用可能であることが理解される。本明細書に記載するように、組織切断デバイスの外側カニューレの上に選択的に配置し、外側カニューレの長さに沿って選択的に位置決め可能であり得る任意選択的な流体供給スリーブを備えるように、デバイスを構成することができる。結果として、流体供給スリーブを、洗浄剤、止血剤、薬理学的治療法および/または組織シーラント等の流体を手術部位にかつ外科手術デバイスの組織切断開口部に隣接して供給するように構成することができる。流体供給スリーブを使用して、吸引が組織に与えられる際に通る外側カニューレ穴の面積を選択的に調整することも可能である。
【0018】
個別化医療レジメンの展開に使用するために組織サンプルを保存する方法およびシステムも開示されている。本明細書に開示するシステムにより、摘出された組織サンプルの輸送が可能になるとともに、組織サンプルをたとえば有害な環境ストレスから保護することができる。さらに、本明細書に記載する組織回収システムはまた、回収される組織サンプルに対して有効な温度を維持することにより、摘出された組織サンプルを保存することも可能にする。
【0019】
本明細書には、本明細書に開示する冷却システムと使用することができ、または独立型システムとして使用することができる、任意選択的な組織保存システムもまた記載されている。組織保存システムを使用して、切除された組織に対して生物学的に配慮された組織の有効性を延長する環境のための栄養分を提供するとともに、組織回収器内に配置された組織サンプルに冷却槽を提供することができる。
【0020】
図1を参照すると、組織切断デバイス40は、ハンドピース42および外側カニューレ44を含む。1つの例示的な実施形態では、ハンドピース42は、形状が略円筒状であり、好ましくは、片手で把持されるようなサイズおよび形状である。しかしながら、ハンドピース42は、いかなる特定の形状にも限定されず、起伏が付けられていてもよく、任意選択的にフィンガグリップ(図示せず)を含むことができる。ハンドピース42は、近位部分46および遠位部分48を備える下部ハウジング50を含む。下部ハウジング50は、モータハウジング(図示せず)に接続されている最近位ハウジング部(図示せず)と、モータハウジングに接続されているカムハウジング(図示せず)とを備えている。モータハウジングおよびカムハウジングの詳細を、米国特許出願第13/352,069号明細書に見ることができ、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
上部ハウジング52もまた設けられている。上部ハウジング52に、組織回収器58を作動的に接続することができる。別の代替構成(
図2Aに最もよく示す)では、後にさらに詳細に考察するように、組織回収器58は、上部ハウジング52に、そこから延在している1本の管材151aを介して接続されている。上部ハウジング52には、ハンドピース42に対して外側カニューレ44を回転させる回転ダイヤル60もまた装着されている。
【0022】
外側カニューレ44は、開放近位端45と、上部ハウジング52内に延在する遠位端(図示せず)とを含む。組織切断デバイス40は、外側カニューレ44の内腔に部分的に配置される内側カニューレ(図示せず)をさらに備えている。外側カニューレ44および内側カニューレの詳細を、米国特許出願第13/352,069号明細書に見ることができる。内側カニューレは、外側カニューレ内腔内で往復運動するように、かつ、人為的な圧壊または熱的損傷なしに、外側カニューレ遠位開口部49(
図2A参照)を介して外側カニューレ44に入る組織サンプルを切断するように構成されている。内側カニューレの遠位端は、組織を切断するように構成されており、例示的な実施形態では、脳または脊椎からの組織等の神経系組織を切断することができる。1つの例示的な実施形態では、内側カニューレ遠位端は、鋭利な円形先端をもたらし組織切断を容易にするように、半径方向内側方向において傾斜が付けられている。内側カニューレはヒンジも含むことができ、ヒンジは、内側カニューレが外側カニューレ44内で往復運動する際に切断部がヒンジを中心に枢動するのを可能にする。ヒンジの詳細についても、米国特許出願第13/352,069号明細書に見ることができる。
【0023】
外側カニューレ44は、ハンドピース42に対して並進可能ではなく、ハンドピース42の長手方向軸の方向に沿ったハンドピース42に対するその位置は、固定されたままである。外側カニューレ44に、例示的な流体供給スリーブ302(
図1)を選択的に取り付けることができる。流体供給スリーブ302は、流体が手術部位に近接してかつ/または遠位開口部49に隣接して提供されるのを可能にするように構成されている。1つの例示的な構成では、流体供給スリーブ302は、近位ハブ306および遠位端320を有している。流体供給スリーブ302の近位端には、外側カニューレ開口部(図示せず)が設けられている。近位ハブ306に細長いチャネル部分304が接続され、近位ハブ306から離れて遠位方向に突出している。流体供給スリーブ302の遠位端320は、細長いチャネル部分304の遠位端である。
図1では、流体供給スリーブ302は、外側カニューレ44に設置された状態で示されている。図示する設置状態では、流体供給スリーブ302は、外側カニューレ44の長さに沿って選択的に位置決め可能である。
【0024】
標的組織にまたは標的組織に近接して、種々の異なる流体を送達することができる。一例では、生理食塩水等の洗浄剤を使用して、手術部位の組織を水和するとともに、摘出された組織サンプルが吸引されている間に組織の水和を提供する。さらに、他の例示的な構成では、流体供給スリーブ302に作動的に接続された流体源は、デバイス40によって摘出されたサンプルの生存性を維持するように構成された栄養分に富んだ溶液を含むことができる。さらに別の例では、デバイス40を介して吸引されている摘出された組織を保存するように設計された流体供給スリーブ302を通して、温度制御された流体を提供することができる。温度が上昇した生理食塩水は、最終的に手術部位における腫瘍または他の組織の分断した血管の凝固につながる「凝固カスケード」を開始する止血剤として機能することも可能である。流体供給チャネル312を介して、手術部位に、他の止血剤、シーラントおよび/または組織接着剤を送達することも可能である。例として、Neucrylate、すなわちValor Medicalによって提供されるシアノアクリレートモノマー誘導体等の液体塞栓システムが挙げられる。Neurcylateは、液体として送達され、血液と接触するとスポンジ状の固体材料を形成する。好適な止血剤の別の例は、Arista AH Absorbable Hemostatという名称でMedafor,Inc.によって提供される。Arista AHは、血清を細胞構成物質から分離することによって分子フィルタとして機能する。それは、血液から水を吸収し、血流を遅くし凝固を促進する役割を果たすゲルマトリックスを形成する。
【0025】
フィブリンシーラントもまた、流体供給チャネル312を介して手術部位に送達することができる。1つの好適な止血マトリックスシーラントは、FloSeal(登録商標)、すなわちBaxter Hyland Immunoによって提供されるヒトトロンビンを含むフィブリンシーラントである。別の好適なシーラントは、Tisseel、すなわちヒトトロンビン、ヒトフィブリノゲンおよびウシアプロチニンを含むVHフィブリンシーラントである。シーラントによっては、送達部位においてまたはその近くで混合される2種以上の流体成分を含む場合がある。こうした場合、少なくとも1つの流体供給チャネル312は、好ましくは、流体供給チャネル312の開放遠位端313において混合されるそれぞれの2種以上の流体成分を収容する2つ以上の流体供給チャネルを備えている。粘性でありかつ/またはまたは本質的にゲル状である流体の場合、流体供給チャネル312を介してそれらを組織に送達するために、好ましくはポンプ等の圧力源が設けられる。
【0026】
流体供給チャネル312を介して、合成シーラント剤も送達することができる。1つのこうした例は、CoSeal、すなわちBaxterによって提供される2種類のポリエチレングリコールポリマーを含むヒドロゲルである。2種類のポリマーは、好ましくは、2つの別個の流体送達チャネルを介して送達され、混合時に互いに化学結合して出血を遅くする機械的障壁を形成する。別の好適な合成シールは、Confluent Surgicalによって提供されるDurasealである。Durasealは、送達の時点でトリリシンアミン溶液と混合されるポリエチレングリコールポリマーエステル溶液を含む。したがって、送達の時点で2種類の溶液を混合するのを容易にするため、送達スリーブ302には、好ましくは2つの流体送達チャネルが設けられている。
【0027】
組織切断デバイス40は、内側カニューレの外側カニューレ44内の往復運動を容易にするように下部ハウジング50とともに配置されるモータを採用している。内側カニューレが、第1近位位置から第2遠位位置までかつ第1近位位置に戻るように少なくとも約1,000往復/分の速度で往復運動するのを可能にする回転速度であるように、モータを選択することができる。少なくとも約1,200往復/分の往復運動速度がより好ましく、少なくとも約1,500往復/分の往復運動速度がさらにより好ましい。約2,500往復/分未満の往復運動速度が好ましい。約2,000未満の往復運動速度がより好ましく、約1,800往復/分未満の往復運動速度がさらにより好ましい。デバイス40の往復運動の適切な速度により、組織を、多くの従来のデバイスによって得られる「スラグ(slug)」状の組織サンプルよりも相対的に小さい「断片」に分断することができる。よりサイズの小さい「断片」形式により、サンプルサイズのさらなる手作業によるかまたは機械的な低減を必ずしも必要とすることなく、病理学または診断の目的で摘出された組織サンプルを使用することができる。摘出された組織サンプルのサイズを低減させる組織サンプルの処理によって、組織が、組織サンプルの生物学的完全性を低下させるかまたは他の方法で危うくする可能性がある環境要因に晒される可能性があるため、相対的にサイズの小さいサンプルによって利益が得られる。たとえば、摘出された組織サンプルのサイズを低減させる際、細菌が不注意で導入される可能性がある。例示的な構成では、米国特許出願第13/352,069号明細書に示すように、組織切断デバイスの往復運動が続くに従い、連続した、分断された組織断片が得られる。
【0028】
組織切断デバイス40は、脊髄組織および脳組織等の強靭な組織を切断するのに使用されるのに特によく適している。外側カニューレ44および内側カニューレは、硬質プラスチックまたは金属等、概して剛性の材料を含む。1つの好ましい実施態様では、両カニューレは、ステンレス鋼、より好ましくは医療グレード機器に通常使用される304SSを含む。
【0029】
外側カニューレ開口部49は、複数の形状を有することができる。いくつかの例では、外側カニューレ開口部49は、平面で見た場合、概して正方形、矩形、台形、卵形、または文字「D」の形状である形状を有している。他のいくつかの例示的な実施態様では、外側カニューレ開口部49は、内側カニューレが遠位方向に並進する際に圧迫され得るように組織を向けるように構成されている。
【0030】
組織切断デバイス40は、内側カニューレ内に受け取られた組織サンプルを吸引して、組織サンプルを内側カニューレの長さに沿って近位方向に移動させる。組織回収が望ましい実施形態では、デバイス40は、吸引された組織サンプルが組織切断処置中に堆積する組織回収器58を含む。組織回収器58を、
図2Aに示すように組織切断動作中にハンドピース42から遠隔にかつ滅菌野の外側に配置することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、
図1の例に最もよく示すように、組織回収器58は、滅菌野内でハンドピース42に直接取外し可能に接続されている。しかしながら、組織回収器58を、滅菌野内にある間に、同様に、ハンドピース42に遠隔で接続することも可能であることが理解される。いずれの実施形態においても、米国特許出願第13/352,069号明細書に開示されているように、組織回収器58と真空源(真空発生器等)との間に流体回収キャニスタ(図示せず)を配置して、真空を発生する装置が吸引された流体によって汚染されるかまたは損傷を受けないように保護することができる。
【0031】
他の実施形態では、組織回収器を省略することができ、吸引された流体および組織の両方を回収するように流体回収キャニスタを設けることができる。さらに、流体回収キャニスタに、たとえば、組織サンプルを無菌的環境で維持するように設計された栄養分に富んだ溶液等、組織サンプルの生存性および生物学的完全性を維持するように構成された組織保存液を提供することもできる。
【0032】
図1〜
図3を参照すると、吸引された組織サンプルを受け取るように、上部ハウジング52に直接または管材151aを介して遠隔で、組織回収器58を動作可能に接続することができる。組織回収器58は、略円柱状の中空体であり、内部空間(volume)が、内側カニューレ内腔および真空源(図示せず)と流体連通している。組織回収器58は、組織回収器58がハウジング52に直接固定されている実施形態の場合、ハウジングコネクタ96(
図1に最もよく示す)に取外し可能に固定されるように構成されている。この構成により、滅菌野にある間を含む、回収された組織サンプルの定期的な除去が可能になる。後に説明するように、組織回収器58は、ハウジング52に遠隔で接続されている場合、キャップ部材76と動作可能に係合する。組織回収器58は、好ましくは、分断された組織サンプルの一貫した吸引を維持するように実質的に漏れ防止の真空シールを提供するように、上部ハウジング52に固定されている。後述するように、組織回収器58の近位端に真空ホース継手59が形成され、組織回収器58の内部とかつ真空発生器と流体連通している。
【0033】
図3に最もよく示すように、組織回収器58は、第1開放端64と第2実質的閉鎖端66とを有する略中空本体部62を含む。第2端66は、その中に小さい開口部を画定し、真空が本体部62を通って送達されるのを可能にするとともに、流体が組織回収器58から排出されるのを可能にする。真空ホース継手59は、第2端66の小さい開口部の周囲に配置されている。
【0034】
組織回収器58から組織サンプルを除去するのに役立つように、第1開放端64を介して本体部62内に組織フィルタ68が取外し可能に配置されている。組織フィルタ68はメッシュ状本体で構成されており、メッシュ状本体は、組織サンプルを保持するように設計されているが、流体がメッシュ状本体から出て組織回収器58から吸引されるのを可能にする。
【0035】
組織フィルタ68から組織サンプルを除去するのに役立つように、1つの例示的な構成では、組織フィルタ68は、組織フィルタ68内にへら(scoop)71が配置されるように構成されている。へら71は、組織フィルタ68の内部とおよそ同じサイズおよび形状であるように構成された端部73を含む。端部78は、組織フィルタ68の外面の周囲で輪になる引張部材75に固定されている。フィルタ68から組織サンプルを除去するために、引張部材75は、組織フィルタ68から離れる方向に引っ張られるように構成されており、それにより、組織サンプルを組織フィルタ68の開口部に移動させるように、へら71が組織フィルタ68の開放端69に向かって前進する。別の例示的な構成では、内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,556,622号明細書に示され記載されているように、組織フィルタ68を、ヒンジ部材があるように構成することができる。
【0036】
第1開放端64に隣接して、ラグ部材70と中に封止部材72を配置することができる封止溝とがある。ラグ部材70は、キャップ部材76の受入溝74内にバヨネット型係合で選択的に受け入れられるように構成されている。キャップ部材76は、一端が開放し別の端部が実質的に閉鎖している。キャップ部材76から、真空ラインに選択的に取り付けることができるホース継手159が延在している。
【0037】
分断された組織サンプルが個別化医療レジメンで使用されるのを可能にするために、患者から組織サンプルを除去した後、かつ組織サンプルの回収および腫瘍学研究室への輸送中、組織サンプルの生存性および完全性を維持しなければならない。より詳細には、組織サンプルを、組織が培養されるのを可能にするように無菌または無菌的環境で維持しながら、生物学的に活性でありかつ無傷で維持しなければならない。さらに、組織サンプルに対する生理学的ストレスを、サンプルに悪影響を与えないように最小限にしなければならない。
【0038】
切除された組織に対して、生物学的に配慮している組織の有効性を延長する環境のための栄養分を提供する、後にさらに詳細に記載する、単独で、または温度制御型システム600および700とともに使用することができる例示的な構成では、
図2Aを参照すると、組織回収器58とデバイス40との間に、保存および組織保持アダプタシステム500を配置することができる。1つの例示的な構成では、保存アダプタシステム500は、弁要素を含むY字型コネクタがあるように構成されている。
【0039】
より詳細には、保存アダプタシステム500は、本体部503の第1端に接続された第1コネクタ要素502(
図2Aに最もよく示す)と、本体部503の反対側の端部に接続された第2コネクタ要素504とを含む。1つの例示的な構成では、第1コネクタ要素502を、真空ライン151aに接続された継手505の開放近位端内に直接受け入れられるように構成することができる。
図2Aに示す例示的な構成では、アダプタ要素506が、第1コネクタ要素を継手505に接続する。
図2Aに示す例示的な構成では、アダプタ要素506は、限定されないがねじ式係合を含む任意の好適な方法で、第1コネクタ要素502を受け入れるかまたはそれに他の方法で接続されるようなサイズである第1端507を含む。アダプタ要素506を、第2端509で終端する細長い本体508があるように構成することができる。第2端509は、継手505の開放近位端内に受け入れられるように構成されている。
図2Aに示す例示的な構成では、本体508は、第1端507から第2端509までテーパ状になっている。
【0040】
第2コネクタ要素504は、キャップ部材76を介して保存アダプタシステム500を組織回収器58に固定するように構成されている。1つの例示的な構成では、第2コネクタ端504は、継手510内に受け入れられるようにまたは他の方法で継手510に接続されるように構成されている。より詳細には、継手510は、第2コネクタ要素504を任意の好適な方法で受け入れる第1端512と、ホース継手159に連結するように構成された第2端514とを含む。
【0041】
不要なシリンジポート511が、本体部503と交差している。ポート511を、ポート511への開口部518と連通する弁要素516(想像線で示す)を備えるように構成することができる。ポート511(および弁要素516)により、組織サンプルが組織回収器58内に堆積している間に、組織サンプルに溶液を導入することができる。
【0042】
より詳細には、保存アダプタシステム500を、組織回収器58内に制御された流量の溶液が入るのを可能にし、したがって組織サンプルがこの溶液に浸されるのを可能にするように構成することができる。1つの例示的な構成では、組織回収器58内の組織に送達される流体流の量の調節を、本体部503によって画定される流路より小さいコネクタ首部520の内径IDによって定めることができる。流体流を、首部520内に配置された内部オリフィス(図示せず)によって制御しかつ/または制限することも可能であり、それにより、オリフィスは、首部520の内径IDより小さい直径を有する。さらに、固定されたまたは調整可能な弁として設けることができる弁要素516を、首部520の内径IDと一連に並んで設けることができる。別法として、ポート518と保存液源との間の接続としての役割を果たす供給ラインに、流量制御弁(調整可能または固定)を設けることができる。
【0043】
動作時、組織サンプルの保存に役立つように、保存アダプタシステム500を使用して、組織サンプルを適切に水和され栄養分が与えられた状態で維持するように、組織回収器58の人工環境内に栄養分に富んだ溶液または保存溶液を導入することができる。1つの例示的な構成では、流体は、組織の有効性を延長するかまたは増強する溶液、培養の準備のための前処理溶液、ウイルス接種液、組織保存溶液または血栓溶解薬のうちの1つであり得る。別の構成では、細胞解離(disassociation)の開始を始動するように流体を構成することができる。流体が上述したもののうちのいずれかの組合せであり得ることも企図される。好適な溶液の供給源を、好適な継手および流体供給部を介してポート518に流体接続することができ、それにより、真空が、溶液を、弁516および内径IDを通って真空ライン151Bを介して本体503内に引き込むことができる。別の例示的な構成では、保存アダプタシステム500によって導入された溶液を、将来の腫瘍学的使用のために組織を保存するのにさらに役立つように冷却することができ、ただし、導入されている溶液に対して所定の流量を提供するように(弁516および/または内径ID/オリフィスによって)計量することができる。
【0044】
シリンジを介して、さらなる使用のために組織サンプルを保持しかつ/または保存するように設計された好適な流体を導入することができる。別法として、上に示唆したように、真空ライン151Bを介して組織回収器58に供給される真空圧を介して、溶液をポート518内に自動的に引き込むことができ、それにより組織サンプルに一貫した溶液が提供される。
【0045】
図2Aに示すように、真空ライン151bは組織回収器58に取り付けられている。1つの例示的な構成では、開放近位端524を有するコネクタ要素522が真空ライン151bに取り付けられている。コネクタ要素522は、回収キャニスタの入口(図示せず)に流体接続されて、体液および過剰な溶液をキャニスタ内に堆積させるように構成されている。この構成の詳細は、米国特許出願第13/352,069号明細書に見ることができる。しかしながら、摘出された組織サンプルが貯蔵される無菌的環境を維持しながら、摘出された組織サンプルの輸送を可能にするために、コネクタ要素522は、回収キャニスタの入口から選択的に解放されホース継手159の周囲で輪にされてホース継手159に再度取り付けられるように構成されている。より詳細には、ホース継手159は、開放近位端524内に受け入れられ、それにより、組織サンプルに接触せずかつ組織サンプルを汚染することなく、容易に輸送することができる閉鎖環境システムがもたらされる。より詳細には、この構成は、雰囲気状態からの進入を防ぐ内部無菌/無菌的環境を提供する一方で、また、組織回収器58を取り扱うスタッフに対して安全である流体/漏れ防止チャンバを提供するように、OSHAバイオハザード要件に準拠するとともに、容易な輸送に対応している。
【0046】
上述したように、摘出後に組織サンプルの生存性および完全性を保存するために、組織サンプルに対する生理学的ストレスを最小限にすることが重要である。
図4〜
図7に、目標を達成するのに役立つ温度制御型システム600の例示的な実施形態を示す。温度制御型システム600を、組織切断40および保存アダプタシステム500とともに使用することができる。しかしながら、温度制御型システム600は、保存アダプタシステム500なしで独立して、または他の組織切断デバイスとともに使用され得ることが明示的に企図されている。
【0047】
温度制御型システム600は、たとえば
図2に示すような、組織回収器58が組織切除デバイス40に遠隔で接続されている実施形態で利用される。冷却システム600は、基礎部材602および蓋604を含む。基礎部材602は、貯蔵器606および組織回収器チャンバ608を備える断熱部材として構成されている。1つの例示的な構成では、組織回収器チャンバ608は、基礎部材602と一体型の起伏のある壁610によって画定されている。しかしながら、組織回収器チャンバ608としての役割を果たすように、基礎部材602の中に別個のスリーブ部材を配置することができることが理解される。
【0048】
1つの例示的な構成では、スリーブ部材612は、組織回収器チャンバ608の外側を裏打ちしかつそれと接触している。スリーブ部材612は、後にさらに詳細に説明するように、熱伝導性材料から構成されている。組織回収器チャンバ608を画定する壁部材は、貯蔵器606と連通している開口部614(
図6に最もよく示す)をさらに備えている。後にさらに説明するように、開口部614はまた、スリーブ部材612が、貯蔵器606に収容されているあらゆる物質と直接接触できるようにする。
【0049】
基礎部材602は、幅の狭いスリット616をさらに備えている。スリット616は、基礎部材602の最上縁618から組織回収器チャンバ608の底部まで延在している。スリット616は、真空ライン151bが通過するのを可能にするようなサイズである。
【0050】
蓋604は、貯蔵器606内に配置された物質を保持するとともに、貯蔵器606の中で組織回収器58を保持するように基礎部材602の上に適合するようなサイズである。蓋604は、開口部619をさらに含み、組織回収器58が組織回収器チャンバ608内に配置されると、ホース継手59bがその開口部619を通って延在する。一実施形態では、リップ604の底面620に、貯蔵器606の開口部内に適合するように構成された突出要素622が設けられている。突出要素622の周縁624に、水密/封止チャンバを提供するようにシール部材(図示せず)を設けることができる。蓋604を基礎部材602に固定するために、外部ラッチ部材を設けることができる。
【0051】
動作時、基礎部材602から蓋604が取り除かれる。貯蔵器606に、好適な温度制御媒体が充填される。たとえば、1つの温度制御媒体は、冷却剤(すなわち、氷または他の好適な液体)を含む。組織回収器58は、組織回収器チャンバ608内に配置され、真空ライン151bはスリット616から延出する。そして、基礎部材602に蓋604が取り付けられ、貯蔵器606を封止する。蓋604は、貯蔵器606内で材料の温度を維持するように断熱性であり得る。ホース継手59bは、蓋604から上方に延在し、真空ライン151aを介して組織切除デバイス40に接続される。
【0052】
スリーブ612が熱伝導性であるため、かつスリーブ612が、貯蔵器606内に配置された温度制御媒体と直接連通しているため、組織回収器58(したがってその中に配置された任意の組織サンプル)は、組織生存性を維持するために好適な温度で維持される。さらに、温度制御媒体用の貯蔵器606が断熱されかつ水密であるため、好適な温度制御媒体を、貯蔵器606内に直接配置し、使用中に必要に応じて補充することができる。さらに、別の例示的な構成では、基礎部材602に外部温度計626を設けることができる。温度計626は、貯蔵器606と連通するかまたはスリーブ612と連通するように構成され、それにより、追加の冷却剤が必要である可能性があるときと、組織回収器58内の中身の熱状態とを示すことができる。たとえば、1つの例示的な構成では、スリーブ612の端部が基礎部材602の一部に沿って延在している。基礎部材602の表面を通して開口部(図示せず)が設けられ、温度計626は、開口部の上にかつスリーブ612の延長部と接触して配置されている。したがって、組織回収器58の温度は、温度計626に伝えられる。
【0053】
別の例示的な構成では、基礎部材602の内面に、開口部614と同様の開口部(図示せず)が形成されている。温度計626は、貯蔵器606と有効に接触するように開口部の上で基礎部材602内に配置される。
【0054】
さらに、スリット616は、真空ライン151b用の出口経路を提供することに加えて、追加の機能も提供する。より詳細には、スリット616は、好ましくは透明または半透明材料から構成されている組織回収器58が、冷却システム600内に配置されている間、見えるようにする。この構成により、使用者は、組織回収器58が組織サンプルで一杯であるときを判断することができる。
【0055】
組織回収が完了すると、組織回収器58を冷却システム600内に残して、真空ライン151bをホース継手59bから切断することができ、真空ライン151aを組織切除デバイス40から切断することができ、それにより、組織サンプルが、適切な温度で無菌/無菌的環境に維持される。動作時、組織切除が完了すると、組織回収器58はキャップ部材76から取り外され、組織回収器58から、内部に組織サンプルを保持している組織フィルタ68を取り除くことができる。いくつかの構成では、組織サンプルは、手術室内にある間に組織フィルタ68から取り除かれ、輸送のために好適な容器に配置される。他の構成では、組織フィルタ68は好適な研究室で取り除かれる。
【0056】
さらに、上述したように、組織サンプルに対して無菌的環境を維持するために、コネクタ要素522をホース継手159の周囲で輪にしてホース継手159に再度取り付けることができ、それにより、ホース継手159は開放近位端524とともに受け取られて閉鎖環境を生成する。これは、組織回収器58が冷却システム600内に配置されたままである間に、管材151bが十分に長ければ行うことができ、それにより、組織サンプルが適切な温度で維持される。
【0057】
図8〜
図17に、温度制御型システム700の別の例示的な実施形態を示す。温度制御型システム700は、温度制御型システム600と同様に、組織回収器58が、
図2に示すような組織切断デバイス40と同様の組織切断デバイスに遠隔で接続されている実施形態で利用される。しかしながら、温度制御型システム700を種々の切断システムと使用することができ、その使用は組織切断デバイス40に限定されないことが理解される。さらに、温度制御型システム700を、組織保存システム500と使用することも可能であるが、そのように使用されることは必須ではない。
【0058】
組織保存システム700は、基礎部材702および蓋704を含む。基礎部材702は、貯蔵器706および組織回収器チャンバ708を備える断熱部材として構成されている。1つの例示的な構成では、基礎部材702は、底面701および少なくとも1つの直立した壁部材703によって概して画定されている。一構成では、
図15および
図16に関して後に説明するように、内部にチャネル705を形成するように概して中空であるように、壁部材703を構成することができる。チャネル705に断熱材料を充填することができる。壁部材703は、貯蔵器706を包囲するように構成された単一の壁部材であり得る。壁部材703は、各々が別個のチャネル705を画定する複数の壁部材を含むことができる。さらに、
図15および
図16に示すように、まとめてチャネル705を画定する複数の壁部材が、貯蔵器706を包囲することができる。基礎部材702は立方体であるように示されているが、壁部材703から他の形状を形成することができる。たとえば、基礎部材702は、円筒状、球状等であり得る。組織回収器チャンバ708は、スリーブ部材712によって画定される。スリーブ部材712は、後にさらに詳細に説明するように、熱伝導性材料から構成されている。スリーブ部材712は、貯蔵器706内に収容されるあらゆる物質と直接接触するように配置されている。
【0059】
スリーブ部材712は、スリット716をさらに画定している。1つの例示的な構成では、スリット716は、スリーブ部材712の最上縁715からスリーブ部材712の底縁(図示せず)まで延在するように構成されている。スリット716は、真空ライン151bが内部を延在することができるようなサイズである。しかしながら、1つの例示的な構成では、スリーブ部材712は、基礎部材702から選択的に取り除かれるように構成され、こうした構成では、スリット716は、スリーブ部材712の全長を通して延在する必要はない。代りに、スリット716は、スリーブ部材712の底縁から、真空ライン151bがスリーブ部材712の内部から外側に延在するのを可能にするのに十分な距離、上方に延在することができる。
【0060】
蓋704は、貯蔵器706内に配置されている物質を保持するとともに、貯蔵器706内に組織回収器58を保持するように基礎部材702の上に適合するようなサイズである。その目的で、蓋704は開口部724をさらに含み、組織回収器58が組織収集チャンバ708内に配置されると、ホース継手59および真空ライン151bがともにその開口部724を通って延在することができる。一実施形態では、開口部724は、少なくとも2つの部分、すなわち第1部分726および第2部分728から構成されている。第1部分726は、蓋704が基礎部材702に取り付けられると、キャップ部材76が少なくとも部分的に蓋704を通って延在することができるようなサイズおよび形状である。第2部分728は、
図8Bに最もよく示すように、第1部分726と連通し、真空ライン151bがそこを通って延在することができるようなサイズである。さらに、後にさらに詳細に説明するように、第2部分728は、真空ライン151bの移動を可能にするように十分伸長している。説明したように、蓋704は、貯蔵器706内の物質の温度を維持するために断熱性であり得る。
【0061】
基礎部材702を、単一部材として形成することができる。貯蔵器706に加えて、基礎部材702は、幅の狭いチャネル718をさらに含む。チャネル718は、2つの対向する壁717a、717bと基礎部材702の外壁とによって画定されている。基礎部材702の外壁と反対側は、スリーブ712のスリット716と連通する通路を提供するように開放している。壁717a、717bの端部を、たとえば
図10に示すように、スリーブ部材712の部分に対して座部713を提供するように起伏を付けることができる。
【0062】
図9に示すように、貯蔵器706の底面729の内部に位置決め窪み711を形成することができる。位置決め窪み711は、貯蔵器706内でのスリーブ部材712の適切な位置決めを確実にする座部としての役割を果たす。
【0063】
図9〜
図10に最もよく示すように、基礎部材702の最上縁731に、取付窪み719を設けることができる。取付窪み719は、内部に締結要素を受け入れる係合開口部712をさらに含む。取付窪み719は、チャネル718と対向して位置し、固定ブラケット720(
図11に最もよく示す)を受け入れるように構成されている。
【0064】
固定ブラケット720は、スリーブ部材712と係合し、基礎部材702内にスリーブ部材712を固定するように構成されている。その目的で、固定部材720の一端は、スリーブ部材712の形状に対応するように起伏が付けられている。固定部材720の反対側の端部は、固定部材720が一旦取り付けられると、基礎部材702の最上縁731と概して同一平面であるように取付窪み719内に受け入れられるように構成されている。取付窪み719に形成された係合開口部721内に、締結要素722が受け入れられる。
【0065】
図12を参照すると、蓋704の底面に、貯蔵器706の開口部内に適合するように構成された少なくとも1つの突出要素732が設けられている。突出要素732の周縁734に、水密/封止チャンバを提供するようにシール部材(図示せず)を設けることができる。1つの例示的な構成では、複数の突出要素732が、貯蔵器706の各角内に配置されるように設けられかつ配置されている。略円形ディスクとして構成されているように示されているが、開示はそのように限定されない。たとえば、突出部材を、温度制御型システム600に示すものと同様に構成することができる。さらに別の代替構成として、単一突出部材を、蓋704の周縁の周囲に延在するU字型部材として形成することができる。温度制御型システム600と同様に、蓋704を基礎部材702に固定するために外部ラッチ部材を設けることができる。
【0066】
図11を参照すると、基礎部材702に1つまたは複数のクリップ部材744をさらに設けることができる。クリップ部材740は、(たとえば
図14に示すように)外科手術用トレーに取り付けられるように構成されている。1つの例示的な構成では、クリップ部材740は、基礎部材702の1つの外面と一体的に形成されている。各クリップ部材740は、頂部アーム部材742および底部アーム部材744を含む。頂部アーム部材742は、
図14に示すように、底部アーム部材744と協働して、外科手術用トレー750のリップ754を受け入れるように構成された係合溝746を画定する。図面では、1つのクリップ部材740が外面の縁と同一平面に位置決めされるように示されているが、開示はそのように限定されないことが理解される。
【0067】
図14に示すように、温度制御型システム700を、外科手術用トレー750のリップ754に固定することができる。外科手術用トレー750はまた、組織切断デバイス40(または他の好適な組織切断デバイス)を動作させるコンソール752を保持することも可能である。外科手術用トレー750に、組織回収器58を通して引き出される流体用の回収キャニスタを受け入れかつ支持する開口部758を含む回収キャニスタ枠材(armature)756を設けることも可能である。図示するように、1つの例示的な構成では、温度制御型システム700は、動作中に回収要素522を回収キャニスタに近接して位置決めする、回収キャニスタ枠材756に隣接して位置決めされ、それにより、管材が回収キャニスタから不用意に外れる可能性が最小限になるとともに、手術空間内でつまずく危険が除去される。
【0068】
動作時、製造業者から、基礎部材702に、スリーブ部材712を基礎部材702内に適切に固定するように固定部材720が取り付けられていることを含む、基礎部材702に事前に組み付けられたスリーブ部材712が提供され得る。蓋704が基礎部材702から取り除かれ、貯蔵器706を露出させる。貯蔵器706に、たとえば冷却剤(すなわち、氷または他の好適な液体)等、好適な温度制御媒体が充填される。蓋704は、基部702につながれることが可能であり、したがって、基部702に隣接したままであり得る。これについては、
図17を参照してより詳細に説明する。組織回収器58は、スリーブ部材712内の組織回収器チャンバ708内に、キャップ部材76がスリーブ部材712から上方に延在し、真空ライン151bがスリット716から出てチャネル718内に延在しているように位置決めされる。コネクタ要素522は、蓋704の第1開口部726を通って延在し、真空ライン151bは、第2開口部728内に移動し、それにより、コネクタ要素522は、蓋704の最上面の上方に位置決めされる。そして、蓋704は、基礎部材702に再度取り付けられて、貯蔵器706を封止する。ホース継手159は、第1開口部726を通って蓋704から上方に延在しており、組織切断デバイス40等の組織切除デバイスに、真空ライン151aを介して接続される。
【0069】
スリーブ712が熱伝導性であるため、かつスリーブ712が、貯蔵器706内に配置された温度制御媒体と直接連通しているため、組織回収器58(したがってその中に配置されたあらゆる組織サンプル)は、組織生存性を維持するために好適な温度で維持される。さらに、温度制御媒体用の貯蔵器706は断熱されかつ水密であるため、使用することができる冷却剤を、貯蔵器706内に直接配置し、使用中に必要に応じて補充することができる。さらに、別の例示的な構成では、基礎部材702に、温度制御型システム600で示したものと同様の外部温度計を設けることができる。別法として、外部制御システムに温度測定値を提供するように、貯蔵器702内にセンサを配置することができる。
【0070】
図15に示すように、基礎部材702は、底面701および直立する壁部材703によって概して画定されている。一構成では、
図15および
図16に関して後に説明するように、内部にチャネル705を形成するように、壁部材703を略中空であるように構成することができる。チャネル705は、空気間隙を形成し、断熱体としての役割を果たす。
【0071】
さらにまたは別法として、
図16に示すように、チャネル705に断熱材料770を充填することができる。材料770は、断熱性の材料であり、高熱抵抗特性を有することができ、耐湿性でもあり得る。断熱材料770は膨張性発泡体を含むことができ、それにより、チャネル705に導入されると、チャネル705を少なくとも実質的に充填するように膨張することができる。材料770はまた、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリイソシアヌレート、シリコーン、ウール、プラスチックファイバ、セルロース等のうちの任意の1つまたは組合せも含むことができる。材料770はまた、貯蔵器706に断熱特性をさらに提供するように構成された液体も含むことができる。たとえば、液体は、冷却液または冷却剤を含むことができる。さらにまたは別法として、断熱にさらに役立つように、チャネル705に、障壁ライナ(図示せず)を裏打ちすることができる。たとえば、障壁ライナは、プラスチックまたは箔フィルムを含むことができる。チャネル705を、射出成形、打抜き加工、押出成形等を介して形成することができる。チャネル705は、貯蔵器706を好適な温度で維持するのに役立つことができる。
【0072】
温度制御型システム600と同様に、組織回収が完了すると、組織回収器58を冷却システム700内に残して、真空ライン151bをホース継手159から切断することができ、真空ライン151aを組織切除デバイス40から切断することができ、それにより、組織サンプルが適切な温度で無菌/無菌的環境で維持される。さらに、上述したように、組織サンプルに対して無菌的環境を維持するために、コネクタ要素522をホース継手159の周囲で輪にしてそれに再度取り付けることができ、それにより、組織回収器58が冷却システム700内に配置されたままである間、ホース継手159は、開放近位端524とともに受け取られて閉鎖環境を生成し、それにより、無菌的環境も維持しながら、組織サンプルが適切な温度で維持される。
【0073】
図17に示すように、蓋704は基礎部材702につながれている。つなぎひも707が、蓋704に固定されるかまたは他の方法で結合された第1端部709と、基部702に固定されるかまたは他の方法で結合された第2端部711とを有することができる。このように、蓋704は、手術室内で間違った場所に置かれるかまたは分離されることがない。つなぎひも707は、コードまたはロープを含むことができる。つなぎひもはまた、ワイヤ、プラスチックケーブルまたは他の可撓性機構も含むことができる。つなぎひも707を少なくとも部分的に格納式とすることができ、そこでは、つなぎひも707はコードおよび格納式ホイールを含むことができる。基部702から蓋704が取り外されている間、コードをホイールから引っ張ることができる。基部702上に蓋704が配置されると、コードは、ホイールの周囲に引っ込むことができる。したがって、処置中に、ホイール内にコードを確実に格納することができる。
【0074】
本明細書に記載された組織切断デバイス、冷却システムおよび組織保存システムならびに方法には広範な用途があることが理解されよう。上述した実施形態は、方法および装置の原理とともにいくつかの実際の用途を例示するために選択され記載されている。先の説明により、当業者は、企図される特定の使用に適するようにさまざまな実施形態でかつさまざまな変更を行って方法および装置を利用することができる。特許法の規定に従って、本開示の動作の原理および態様が、例示的な実施形態において説明され例示されている。
【0075】
本方法および装置の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されるように意図されている。しかしながら、本発明を、その趣旨または範囲から逸脱することなく、具体的に説明し例示する以外の方法で実施することができることが理解されなければならない。当業者により、本明細書に記載した実施形態に対するさまざまな代替形態を、以下の特許請求の範囲で定義されるような趣旨および範囲から逸脱することなく特許請求の範囲を実施する際に採用することができることが理解されるべきである。本発明の範囲は、上記説明を参照して確定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲を、こうした特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の完全な範囲とともに参照することによって確定されるべきである。本明細書で考察される技術分野において将来的な開発が行われ、開示されたシステムおよび方法は、こうした将来の例に組み込まれることが予期されかつ意図されている。さらに、特許請求の範囲で使用されているすべての用語には、本明細書において明示的に反対の指示がなされていない限り、当業者に理解されるようそれらの最も広範な妥当な解釈およびそれらの通常の意味が与えられるように意図されている。特に、「1つの」、「その」、「前記」等の単数形の冠詞の使用は、特許請求の範囲が明示的な反対の限定を挙げていない限り、示されている要素のうちの1つまたは複数を挙げているように読まれるべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある方法および装置がそれによって包含されることが意図されている。要約すると、本発明は変更および変形が可能であり、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることが理解されるべきである。