【文献】
Bo Huang, Junwen Zhang, Jianjun Yu, Ze Dong, Xinying Li, Haiyan Ou, Nan Chi, Wen Liu ,Robust 9-QAM digital recovery for spectrum shaped coherent QPSK signal,OPTICS EXPRESS,2013年 3月25日,VOl.21,No.6,pp.7216-7221,URL,https://www.osapublishing.org/oe/abstruct.cfm?uri=oe-21-6-7216&origin=search
【文献】
Jianjun Yu, Junwen Zhang, Ze Dong, Zhensheng Jia, Hung-Chang Chien, Yi Cai, Xin Xiao,Xinying Li,Transmission of 8 x 480-Gb/s super-Nyquist-filtering 9-QAM-like signal at 100 GHz-grid over 5000-km SMF-28 and twenty-five 100 GHz-grid ROADMs ,OPTICS EXPRESS,2013年 7月 1日,Vol.21,No.13,pp.15686-15691,URL,https://www.osapubishing.org/oe/abstruct.cfm?uri=oe-21-6-7216&origin=search
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書によって開示される技術は、変調信号に深刻なフィルタリングが生じても、直交位相シフトキーキング(Quadrature Phase Shift Keying: QPSK)変調信号からデータを復元するために使用することができる。以下の説明では、光通信を例として対象技術を説明する。但し、開示技術は、任意のQPSK変調信号からのデータ復元に使用してもよい。光通信のコンテキストでは、開示技術は、光受信機の実施形態に、例えばギガビットイーサネット、同期光通信網(Synchronous Optical Network:SONET)、及び他のネットワークで使用される光トランク設備に、使用することができる。
【0009】
開示する幾つかの実施形態では、9−QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)データ復元技術を用いて、強いフィルタリングの存在下で受信した偏光変調(Polarization Modulated)QPSK(PM−QPSK)信号の一部を処理する。強いフィルタリングは、例えばチャネルの帯域幅制約によって生じることもあり、例えばスイッチ又は光変調データの受信に使用される光フロントエンド(optical front end)等の介在型光設備における帯域幅制約によって生じることもある。更に後述するように、ブラインド等化のための判定指向最小半径距離(decision-directed least radius distance:DD−LRD)アルゴリズムを用いて、9−QAM復元及びシンボル間干渉(inter-symbol interference:ISI)を補償することができる。シミュレーション及び実験によって、開示技術は、従来のQPSK技術のみの使用とは違い、強いフィルタリングが存在してもロバストであり、9−QAM信号を復元できることを示した。特定の特徴を強調するために、25GHzチャネル間隔ナイキスト波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)において、波長選択スイッチング(Wavelength Selective Switching:WSS)によって劣化された112Gb/sスペクトル整形PM−QPSK信号について実験を行って結果を求めた。最終的な等化信号は、データビット誤り率(bit error rate:BER)測定のための最尤シーケンス検出(Maximum Likelihood Sequence Detection:MLSD)によって検出される。後述するように、従来のCMAプラスポストフィルタアルゴリズム(CMA plus post-filtering algorithm)に比べて、10
−3のBERで、0.5dB光信号対雑音比(optical Signal to Noise Ratio:OSNR)許容誤差が実現される。
【0010】
光通信では、異なる偏光面を占める信号を用いて、スペクトル効率を向上させることができる。例えば、二重偏光信号(dual polarized signal)によってスペクトル効率(1ヘルツあたり毎秒の伝送データビット数)を二倍にすることができる。幾つかの実施形態では、ナイキストパルスを生成し、所定のボーレートについて、ナイキスト限界のスペクトル効率を達成する。しかしながら、動作レートは、デジタル/アナログ変換器(digital/analog converter:DAC)の速度によって制限される。部分的応答システムは、マルチレベル検出に起因するOSNRペナルティを代償として、同様に高いスペクトル効率を実現する。近年、4bit/s/Hzのスペクトル効率に近い直交デュオバイナリ(quadrature duobinary:QDB)が提案されている。より単純でより現実的な手段は、波長選択スイッチに基づくスペクトル整形である。従来のデジタル信号処理(digital signal processing:DSP)スキームを適用するために、受信機側では、デュオバイナリ整形によるポストフィルタが使用される。
【0011】
受信シンボルからデータを復元するために、受信機は、タイミング同期をしばしば用い、シンボル期間を表す時間Tの整数倍の時間におけるサンプルを生成する。これにより、シンボルサンプルは、シンボルの中心になる。しかしながら、受信シンボルがアグレッシブな又は強いフィルタリングを経ている場合、データサンプルには、シンボル間干渉(intersymbol interference:ISI)が生じているおそれがある。
【0012】
ISIに対する1つの対策は、T/2の整数倍である時間におけるサンプリングによってデータを復元することである。これによって、サンプリング時間インスタンスの偶数倍はTの倍数となり、サンプリング時間インスタンスの奇数倍は隣接するシンボルの間になる。本発明者が行った実験及びシミュレーションは、このように得られたサンプルが、強いフィルタリングに対して高い許容度及びロバスト性を示すことを示した。T/2サンプルのコンステレーションは、スペクトル整形QPSK信号のための9−QAMと同様に見える。幾つかの実施形態では、ブラインド半径指向等化器(radius-directed equalizer:RDE)を用いて、9−QAM状シンボルスペクトルからデータを復元することができる。しかしながら、このスキームは、3つのコンステレーション円を検討するため、複雑である。また、OSNRがより低い(例えば、20dB未満である)場合、後に更に詳しく説明するように、許容できるビット誤り率(BER)で3つのコンステレーション円を分離することが困難である。
【0013】
幾つかの実施形態では、ブラインド等化のための判定指向最小半径距離(decision-directed least radius distance:DD−LRD)アルゴリズムを用いて、9−QAM復元及びISI抑制を行う。ナイキストWDM(NWDM)チャネル内の25GHz帯域幅WSSにおける112Gb/sスペクトル整形偏光多重−直交位相シフトキーイング(PM−QPSK)信号による実験結果を以下に示す。本明細書に示すように、最終的に等化された信号は、データBER測定のための最尤シーケンス検出(Maximum Likelihood Sequence Detection:MLSD)によって検出される。
【0014】
図1Aは、本明細書の対象技術を実施することができる光通信システム100を表すブロック図である。光送信機102は、光ネットワーク104を介して、1つ以上の光送受信機106に光信号を送信する。送信される光信号は、図を明瞭にするために
図1Aには示していない中間の光設備、例えば、増幅器、リピータ、スイッチ等を通過してもよい。
【0015】
図1Bは、対象技術の性能を測定できる光処理チェーン150の例を示している。I/Q変調器152は、28ギガボー(Gbaud)のQPSK信号を生成する。これに続いて、4次ガウスタイプの光帯域通過フィルタ154を用いて、QPSK信号のスペクトルを整形する。シミュレーションでは、22〜30GHzにおいてフィルタ154の3dBのフィルタ帯域幅をエミュレートし、これにより、スペクトルが大幅に圧縮されてナイキスト帯域幅に近づく。156では、(ガウス分布光ホワイトノイズとしてエミュレートされた)増幅された自然放出光(amplified spontaneous emission:ASE)雑音を追加し、次に、光ホモダインコヒーレント検出158を行う。信号OSNRは30dBであり、これは、0.1nmの雑音帯域幅において定義される。送信機内の持続波(CW)レーザ光源とコヒーレント受信機内の局部発振器の持続波(CW)レーザ光源は、何れも実質的に0Hz線幅である。信号は、受信機側でボーレート(シンボルレート)の2倍でサンプリングされる。
【0016】
図2は、サンプルの2つのグループを説明する波形200の例を示している。サンプリングされた信号は、2つのグループに分けられる。一方は、Tの時点、すなわち、タイミング位相が0ラジアン(202)でサンプリングされる信号であり、他方は、T/2の時点、タイミング位相がπ/2オフセット(204)でサンプリングされる信号である。TサンプルをS
Tと呼び、T/2サンプルをS
T/2と呼ぶ。
【0017】
図3は、28GHz(302)及び24GHz(306)の光ガウスフィルタによる受信信号のコンステレーションを示す図であり、可能性があるデータビット値が水平軸310及び垂直軸308にプロットされている。Tサンプルのコンステレーションは、4−QAM(314)に類似し、T/2サンプルのコンステレーションは、9−QAM(312)に類似していることがわかる。グラフ306は、4次ガウスフィルタ後のISIによる影響を示している。このグラフから、各コンステレーション点312、314は、正方形状の分布になることがわかる。28GHz及び24GHzのフィルタリング(それぞれグラフ302、306)を比較すると、Tサンプル314は、24GHzのフィルタの適用時にISIが大きくなり、T/2サンプルでは、殆ど不変(312)であることがわかる。換言すれば、強いフィルタリングが存在しても、S
Tサンプルに対する従来の処理を使わずに、9−QAM状S
T/2サンプルを復元することができる。
【0018】
幾つかの実施形態では、S
Tが与えられると、S
T/2は、以下のように表現される線形補間によって近似的に推定することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、上述した補間のためにより高次の低域通過フィルタを用いてもよい。
【0020】
シンボルサンプルS
T/2は、デュオバイナリ形の信号であり、ある程度まで、狭帯域幅のデュオバイナリ符号化信号と同様の特性を示す。したがって、T/2サンプルは、(Tサンプルと比べて)フィルタリング許容度がより高く、システムの部分応答の性質のためにISIが低い。但し、T/2サンプルのコンステレーションは互いにより近い点を含むので、対応するTサンプルコンステレーションよりもOSNRが高いことが好ましい。なぜなら、9−QAM信号にマルチレベル検出が適用されるからである。幾つかの実施形態では、生来的なシンボル間メモリ(inherent intersymbol memory)を利用し、最も可能性が高いトレリスパス(Trellis path)を選択することによってエラーの数を最小化するMLSDアルゴリズムによって信号を検出できる。
【0021】
信号ISIを減少させるために、適応有限インパルス応答(finite impulse response:FIR)フィルタ(例えば、9−タップフィルタ)を適用することができる。通常、定モジュラスアルゴリズム(constant modulus algorithm:CMA)を用いることによって、定モジュラスを有するQPSK信号のFIRタップ重みをブラインドで更新することができる。しかしながら、ISIが増加すると、CMAの性能が劣化しやすい。デュオバイナリを整形する機能を実行する2タップ(すなわち、1シンボル遅延及び追加)型のポストフィルタを用いて、強いフィルタリング制限に更に対処することができる。
【0022】
図4に示すグラフ406は、深刻なISIの影響を受けるTサンプルの例を表している。CMA(408)及びポストフィルタ(410)を用いてグラフ406に示すコンステレーションを処理することによって、ある程度、ISIを低減することができる。グラフ402は、T/2サンプルを示し、グラフ404は、DD−LRD処理後のT/2サンプルを示している。
【0023】
これに代えて、9−QAM T/2サンプルは、直接復元してもよい。9−QAM信号は、一定のシンボル振幅を有しておらず、したがって、CMAによって得られる誤差信号は、ゼロに近付かないので、CMAはそのままでは9−QAM信号に適用できない。これに代えて、CMAより遙かに正確なDD−LRDアルゴリズムを用いてフィルタタップ重みを更新することができる。誤差関数e(n)は、以下の式によって表される。
ここで、w(n)は、適応FIRフィルタであり、μは、収束パラメータであり、
*は複素共役演算である。DD−LRDは、位相独立であるため、ISIに対する許容度が高い。更に、DD−LRDは、収束速度が速く、時間が変化する状況に強い。グラフ402は、深刻なISIの影響を受けたT/2サンプルを表している。グラフ404に示すように、DD−LRDアルゴリズムは、ISIの影響を低減する優れた性能を有する。
【0024】
図5のグラフ500は、以下のように定義される垂直軸504にプロットされた測定された平均二乗誤差(mean squared error:MSE)を示している。
ここで、nは、水平軸502にプロットされる帯域幅の関数として、上述した異なるデジタル信号処理アルゴリズムから得られるサンプル数である。曲線510は、Tサンプル処理の性能を示している。曲線512は、CMAを使用する際のTサンプル処理の性能を示している。曲線514は、CMAとポストフィルタリングの両方を使用する際のTサンプル処理の性能を示している。CMA(512)を用いることによって、Tサンプリング信号(510)に比べてMSEが約1dB向上し、ポストフィルタによって26GHzの光フィルタリング(514)を行うことによって、MSEが更に0.5dB向上している。しかしながら、26GHz未満のフィルタ帯域幅(強いフィルタリング)では、ISIがより深刻である。したがって、MSEは、より狭い帯域幅(強いフィルタリング)の関数として急速に低下し、CMAによるISI圧縮の利益は、フィルタ帯域幅が22GHzのときは、0.5dB未満に低下する。曲線506、508は、9−QAMコンステレーションのT/2サンプルの処理を示している。DD−LRD(508)を用いることによって、T/2サンプリング信号(506)に比して、MSEが1.4dB向上する。1つの有利な側面として、22GHzから30GHzに変化するフィルタ帯域幅の関数としてのMSE性能の変化は無視できる程度である。広帯域フィルタリング(例えば、28GHz超)においては、DD−LRD I(508)の性能は、CMA+ポストフィルタアルゴリズム(514)と同等である。換言すれば、QPSK Tサンプルの代わりに9−QAM信号を用いてデータサンプルを復元することは、強いフィルタリングに対してロバストであり、より弱いフィルタリングにおいても同等な性能を示す。
【0025】
図6は、WSSスペクトル整形を用いる、28ギガボー狭波長分割多重(Narrow Wavelength Division Multiplexing:NWDM)PM−QPSKの試験システム600を示している。NWDMサブチャネル602は、25GHzの搬送波間隔及び等しいトーンパワーを有する位相及び強度変調器に基づき、コム発生器(comb generator)によって生成される。奇数及び偶数チャネルは、25/50GHzの光インターリーバ(IL)604を用いて分離される。28Gb/sのバイナリ電気信号は、2
11−1の疑似乱数バイナリシーケンス(pseudorandom binary sequence:PRBS)長で、2チャネルパルスパターン生成器(pulse pattern generator:PPG)によって生成される。光QPSK信号は、市販のI/Q変調器606を用いて生成される。偏光多重は、信号を半分にする偏光維持カプラ(polarization maintaining coupler:PMC)と、150シンボルの遅延を提供する光遅延線(optical delay line:ODL)と、信号を再結合する偏光ビーム結合器(polarization beam combiner:PBC)とを備える偏光多重化器608によって実現される。奇数及び偶数チャネルは、個別に変調され、偏光多重化される。この後、これらのチャネルは、25GHzチャネル間隔で結合され、各チャネルのスペクトルは、波形整形器(すなわち、WSS)612によって整形される。オプションとして、利得調整器614を使用してもよい。WSSは、21.6GHzの3dB帯域幅、30GHzの10dB帯域幅、及び37.1GHzの20dB帯域幅で測定した。受信機では、0.4nmの3dB帯域幅を有する1つのチューニング可能な光帯域通過フィルタ(optical band-pass filter:OBPF)616を用いて、測定されたサブチャネルを選択する。受信機では、偏光ダイバーシチホモダイン検出を使用する。送信機及び受信機における局部発振器(local oscillator:LO)618における外部空洞レーザ(external cavity laser:ECL)の線幅は、何れも100kHz未満である。オシロスコープでは、50GSa/sアナログ/デジタル変換器(ADC)620のサンプリングを用いる。そして、受信データは、コンピュータによるオフラインデジタルプロセスによって復元される。
【0026】
受信信号は、2乗タイミング法(square timing method)を用いるタイミング位相推定(timing phase estimation)処理のために、4倍のシンボルレートに再サンプリングされる(626)。2つのサンプル/シンボルは、正しく抽出されたクロック(right extracted clock)に基づき、立体補間によって処理される。偏光多重分離器628では、4個の17タップ T/2空間適応バタフライFIRフィルタを適用する。フィルタの重みは、まず、事前収束(pre-convergence)のためのCMAによって更新される。最終的な適応化は、正確なフィードバック制御のためにDD−LRD 634に切り替えられる。この間の適応FIRフィルタ及びDD−LRDは、ISI及びチャネルクロストークを低減する役割を果たす。周波数オフセット推定器(frequency offset estimation:FOE)630は、高速フーリエ変換(FFT)法に基づき、搬送波位相推定器(carrier phase estimation:CPE)632は、ブラインド位相検索(blind phase search:BPS)アルゴリズムに基づく。最後に、信号は、データBER測定器のシンボル間メモリを用いて、MLSDによって検出される(636)。比較のため、CMAプラスポストフィルタスキーム及びMLSD検出についても評価した。
【0027】
図7のグラフ700は、異なるアルゴリズムに基づいて測定されたBER(垂直軸704)をOSNRの関数として示している。OSNR(水平軸702)は、0.1nmの雑音帯域幅で測定されている。CMA(MLSD判定なし)で処理されたデータのみが深刻なISIによって性能が劣化している(曲線708)。この手法は、我々の測定では、10
−3のBERを達成することができなかった。
【0028】
図8のグラフ806、808(X偏光とY偏光)内では、ISI雑音が明らかに視認できる。上述した9−QAM復元アルゴリズムに基づく10
−3のBERにおけるOSNRは、18dB(曲線706)である。OSNR許容度は、CMAプラスポストフィルタ(曲線710)を用いる場合より0.5dB高い。
図8は、9−QAM及びCMA+ポストフィルタ法から復元されるコンステレーションを、それぞれグラフ802、804(X偏光及びY偏光)及び810、812(X偏光及びY偏光)として示している。
【0029】
上述した9−QAMデジタル復元スキームは、強いフィルタリングへのロバスト性及び優れた速やかな収束速度のために、光ネットワークにおける実際の用途にとって魅力的で価値が高い。
【0030】
図9は、光受信機においてデータを復元する光通信プロセス900のフローチャートの例である。902では、直交位相シフトキーイング(QPSK)変調スキームを用いて変調された光信号を受信する。904では、受信光信号をサンプリングして、T/2の奇数倍におけるサンプルよりなるサンプルグループを生成する。ただし、Tは、QPSK変調スキームのシンボル時間間隔を示す。906では、ブラインド等化のための判定指向最小半径距離(DD−LRD)アルゴリズムを用いて、サンプルグループから受信コンステレーションシンボルを推定する。前述のとおり、DD−LRDアルゴリズムは、適応フィルタを用いてシンボル推定の精度を反復的に高めることを含む。908では、推定されたコンステレーションシンボルから光信号で伝送されたデータビットを復元する。
【0031】
前述のとおり、幾つかの実施形態では、コンステレーションシンボルは、9−QAMシンボルとして処理される。幾つかの実施形態では、光信号は、二重偏光QPSK信号を含んでいてもよい。二重偏光は、互いに直交していてもよい(例えば、X平面及びY平面)。幾つかの実施形態では、適応フィルタは、FIRフィルタ(例えば、前述した9−タップフィルタ)を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、適応フィルタは、LSEエラー基準を用いて反復的に高精度化される。
【0032】
図10は、光受信装置1000のブロック図の例である。モジュール1002は、直交位相シフトキーイング(QPSK)変調スキームを用いて変調された光信号を受信するモジュールである。モジュール1004は、受信光信号をサンプリングして、T/2の奇数倍である時間インスタンスにおけるサンプルよりなるサンプルグループを生成するモジュールであり、Tは、QPSK変調スキームのシンボル時間間隔を表す。モジュール1006は、ブラインド等化のための判定指向最小半径距離(DD−LRD)アルゴリズムを用いて、サンプルグループから受信コンステレーションシンボルを推定するモジュールであり、DD−LRDアルゴリズムは、適応フィルタを用いて、シンボル推定の精度を反復的に高めることを含む。モジュール1008は、推定されたコンステレーションシンボルから光信号で伝送されたデータビットを復元するモジュールである。装置1000及びモジュール1002、1004、1006、1008は、本明細書に開示する幾つかの技術を実現するために更に構成してもよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、光通信受信機は、偏光変調直交位相シフトキーイング(polarized modulation quadrature phase shift keying:PM−QPSK)信号を受信する光フロントエンドと、受信したPM−QPSKのボーレートの半分の奇数倍におけるサンプリングインスタンスを示すサンプリング信号を生成するタイミングシンクロナイザと、サンプリングインスタンスにおいて受信したPM−QPSKのサンプル値を生成する信号サンプラと、先の判定の演算誤差を示すフィードバック信号の使用により受信シンボルに関する判定が反復的に改善される判定指向適応フィルタリング法を用いて、サンプル値から受信シンボルを推定するシンボル生成器と、推定された受信シンボルから、光信号内で伝送されたデータビットを復元するデータ復元器とを備える。
【0034】
図11は、上述したデータ復元手順の間の処理デジタル信号のプロセス1100のフローチャートの例である。1102では、上述したリタイミングを実行して、供給される信号の推定された又は既知のボーレートを用いて、T/2の奇数倍におけるサンプリング位置を取得してもよい。1104では、上述した定モジュラスアルゴリズムを適用してもよい。1106では、周波数オフセット補償を実行してもよい。1108では、搬送波位相推定を実行してもよい。1110では、前述したDD−LRDシンボル推定を実行してもよい。1110において取得された結果をCMA事前収束アルゴリズムにフィードバックして、CMAステップの精度を高めてもよい。そして、1112において、MLSEを用いて、9−QAMコンステレーションからのシンボル推定を完了する。上述のアルゴリズムに加えて又はこれに代えて、リタイミング部分にガードナータイミング法(Gardner timing method)等の他の手法を用いてもよい。
【0035】
当業者に分かるように、強いフィルタリングが存在する状況で、ナイキスト帯域幅を達成するために、PM−QPSK信号のための9−QAMデータ復元が開示されている。幾つかの実施形態では、9−QAM復元及びISI圧縮のために、ブラインド等化のためのDD−LRDアルゴリズムを用いる。ここに提案した技術は、従来のQPSKデータ復元技術と比較して、強いフィルタリングが存在する状況下で、9−QAM信号を復元できるロバスト性を有することは明らかである。また、25GHzチャネル間隔ナイキストWDMにおいて、WSSによる112Gb/sスペクトル整形PM−QPSK信号を含む実験も、開示された技術のロバスト性を示すことは明らかである。最終的に等化された信号は、データBER測定のためのMLSDによって検出される。CMAプラスポストフィルタアルゴリズムに比べ、OSNR許容度は、10
−3のBERにおいて、0.5dB改善される。
【0036】
開示技術は、特に光通信システムを含む任意の通信システムにも適用でき、T/2に位置するサンプルを用いて送信シンボルを復元することによって、ナイキスト限界に近い帯域幅効率(すなわち、1/2シンボルレートに近い電気信号帯域幅及びシンボルレートに近い光信号帯域幅)を達成できることは、当業者にとって明らかである。
【0037】
9−QAM状信号生成、DSPアルゴリズム及び実験配置(setup)の具体例
図12は、QPSK信号のスペクトル整形による9−QAM状信号生成の実施形態例及び実験配置を示しており、ここでは、10×480Gb/sスペクトル整形PDM−9−QAM信号を生成し、100GHzのグリッドにおいて、7200kmのSMF−28及び18ROADMを介して伝送した。各480Gb/s、100GHzグリッドスーパーナイキストチャネルにおいて、それぞれ240Gb/sを搬送する、搬送波間隔50GHzの2つのサブチャネルを用いる。送信機では、線幅が100kHz未満、間隔が50GHz及び出力電力が14.5dBmの20個の外部空洞レーザ(external cavity laser:ECL)を、奇数副搬送波と偶数副搬送波の2つのグループに分割する。4チャネル15Gb/sバイナリ信号を多重化した後、電気的4:1多重化器から、2対の60ギガボーのバイナリ電気信号を生成した。215−1のワード長による2つの60Gb/s疑似乱数バイナリシーケンス(PRBS)電気信号によって駆動される各I/Q変調器(I/Q MOD)を用いて、奇数/偶数副搬送波を変調した。この実施形態では、独立しているが同期されているI及びQデータを使用した。各経路の偏光多重化は、偏光−多重化器(polarization-multiplexer)によって実現され、偏光−多重化器は、信号を分割する偏光維持光カプラ(polarization-maintaining optical coupler:PM−OC)と、100シンボルを超える遅延を提供する光遅延回路(DL1、DL2)と、信号を再結合する偏光ビーム結合器(polarization beam combiner:PBC)とを有する。奇数及び偶数チャネルは、9−QAM状コンステレーション信号(9-QAM-like constellation signal)を実現するためにスペクトルフィルタリングされ、50GHz固定グリッド及び44GHz 3dB帯域幅(BW)を有するプログラム可能な波長選択スイッチ(WSS)を用いて結合される。
図12の挿入図(a)は、50GHzグリッドWSSの測定された通過帯域伝達関数を示している。
図12の挿入図(b)及び(c)は、50GHzグリッドWSSの前後における240Gb/sの単一サブチャネル信号の光スペクトルを示しており、スペクトル整形された信号は、より狭い帯域を占める。
図12の挿入図(b)及び挿入図(c)は、光スペクトル整形の前後におけるPDM−QPSK信号から9−QAM状信号へのコンステレーションの展開を示している。
【0038】
生成された10×480Gb/s、100GHzグリッドチャネル信号は、平均損失が21dBである従来型SMF−28ファイバによる4つの100kmスパンからなる再循環伝送ループに供給される。
図12に示すように、100kmのSMFの各スパンの後には、ファイバ損失を補償するために複合型ポストラマン増幅器及びEDFAが設けられている。オン/オフ・ラマン利得は、約1450nmポンプからのスパン毎に10dBである。ループ内の100kmのSMF伝送の4スパンの後、100GHzグリッドROADMのフィルタリング効果をエミュレートするために、10個の480Gb/sチャネルのそれぞれが1×10、100GHz間隔のWSSを通過するようにした。そして、最大のフィルタリングのために、奇数及び偶数チャネルを個別のWSS出力ポートに供給し、175シンボルの相対的な遅延によって奇数及び偶数チャネルを逆相関させた後、3dBの光カプラに結合した。
図12の挿入図(d)に示すように、WSS通過帯域からのフィルタリングを94GHzの−3dBの帯域幅として測定した。このように、400kmの距離の1往復後に10個のチャネルがROADMを通過し、7200kmの伝送の後、合計18ROADMを通過した。
図12の挿入図(f)は、1549.38nmから1556.94nmの20個のサブチャネルを有する10個の480Gb/s、100GHzグリッドチャネルのバックトゥバック(b−t−b)光スペクトルを示している。このように、スペクトル整形ナイキスト9−QAM状信号は、より狭い帯域幅で伝送され、これによって、ROADMによって生じるフィルタリング効果に対するより高い許容度が提供される。受信機では、0.9nmの3dB帯域幅を持つ1つのチューニング可能な光フィルタを用いて所望のサブチャネルを選択する。局部発振器(LO)としては、100kHz未満の線幅を有するECLを用いる。偏光ダイバシチ及び位相ダイバシチコヒーレント検出のために偏光ダイバシチ90°ハイブリッドを使用する。サンプル及びデジタル化は(A/D)は、80GSa/sサンプルレート及び30GHz電気帯域幅を有するデジタルスコープによって実現される。
【0039】
図12の挿入図(e)は、主なDSP機能ブロックを示している。偏光多重分離ロバストフィルタリング補償及び他のチャネル歪み緩和のために、カスケード接続された9−QAMベースの、高フィルタリング許容度3段階等化処理を使用する。まず、17タップ T/2間隔CMA等化器を用いて、事前等化(pre-equalization)を実行する。このCMA等化器の出力は、周波数領域周波数オフセットの初期推定及び補償のために使用される。そして、偏光多重分離のために、第2段階等化としてDD−LRDアルゴリズムに基づく17タップ、T/2間隔2×2等化器を使用する。搬送波周波数及び位相復元は、DD−LRDループ内で実行される。周波数オフセットも、周波数領域法を用いて推定及び補償される。位相復元は、小さな位相変化範囲内で判定指向ブラインド位相検索(BPS)法によって実現され、初期位相は、最後のシンボルによって復元され、非線形分散位相範囲に亘ってBPSを用いて高精度化される。このような2段階アルゴリズムは、周期的位相偏移を効果的に緩和することができる。そして、位相復元された信号は、最終的な最適化のために、判定指向最小2乗平均(decision-directed least-mean-square:DD−LMS)に基づく第3段階のT間隔2×2等化器に供給される。最終的なDD−LMS等化器は、113タップ長を有し、このような長いフィルタは、スーパーナイキスト信号のための最適な受信フィルタ及びリンクに沿った全ての線形フィルタリング効果の緩和に起因する。ビットエラー比率(BER)を算出する前に、ビタビアルゴリズムに基づくMLSEを用いてシンボル復号及び検出を行いISIの影響を除去する。計数された総合的エラーは、12×10
6ビット以上であった。
【0040】
実験結果及び検討
図13は、異なるスペクトル整形フィルタ帯域幅の下でのチャネル6の240Gb/sのサブチャネル2のb−t−b BER結果を、OSNR(0.1nm分解能)の関数として示している。WSSの3dBの帯域幅を44GHzから36.6GHzに変化させた。ここに提案するロバストな3段階等化プロセスによって、38.8GHzより大きいBWに対し、1dB未満の無視できるOSNRペナルティが観察された。1×10
−2のBERのナイキストWDM240Gb/sチャネルのために必要なOSNRは、18dB/0.1nmであり、480Gb/sチャネルの場合、21dB/0.1nmである。更に、本発明者は、サイドチャネルが0.5dB高いOSNR許容度を有する点を除いて、他の全てのチャネルが同様の性能を示すことを確認した。ROADMあり及びROADMなしの72×100kmSMFを介する伝送後の光スペクトルのそれぞれを
図14及び
図15に示す。100GHzグリッドチャネルでは、明らかなフィルタ幅狭化効果(filter narrowing effect)が観察された。
図16は、信号パワーを各スパンのファイバに変更することによる7200kmの伝送後の100GHzグリッドチャネル6の平均値BER性能を示しており、ここでは、9dBmの総入力パワーが最高BER性能を示している。
図17は、2000kmから8000kmに亘る伝送距離に対するROADMあり及びなしのチャネル6の測定されたBERを示している。18ROADMあり及びなしの7200kmSMF伝送後の測定されたBERは、それぞれ、2.2×10
−2及び2.5×10
−2である。これは、このスーパーナイキストスペクトル整形9−QAM状信号の3段階等化がROADMに起因するフィルタ幅狭化効果に対する高い許容度を有していることを示している。全てのチャネルについて、ROADMあり及びなしの伝送後に測定されたBER(2つのサブチャネルの平均)を
図18に示す。7200kmの伝送後、全てのスーパーナイキストWDMチャネルのBERは、LDPC符号化及び階層復号アルゴリズムを用いた20%の軟判定FECについて2.7×10
−2のBER閾値を下回った。
図18には、フィルタリング許容9−QAMベースの3段階等化によって処理されたチャネル6のX及びY偏光における受信信号のコンステレーションも挿入している。
【0041】
このように、9−QAM状コンステレーションに基づいたスーパーナイキストPDM QPSK信号に対するフィルタリング許容度が高い3段階等化によって、超長距離光範囲の100GHzグリッドにおいて400Gb/sのチャネルが達成されることが分かる。
【0042】
幾つかの実施形態では、例えば、上述したように、デジタルフィルタリングを含む第3段階を用いて性能を更に向上させることができる。幾つかの実施形態では、第3段階フィルタリングは、適切な数のフィルタタップを有する判定指向最小2乗平均(DD−LMS)フィルタを含む。
図19に示すように、タップ数(水平軸)は、達成される結果のビット誤り率(垂直軸)に影響することがある。動作の目的に応じて、異なる実施形態において様々な数のタップを用いることができる。例えば、20〜150のタップを用いて0.004以下のBERを達成することができる。
【0043】
第3段階フィルタリングで使用されるタップの数として比較的少ない数(例えば、20〜60個)を選択することは、演算の複雑性が低減されるという利点がある。しかしながら、この複雑性の低減によって、BER性能が犠牲になることもある。タップの数をより多くすることによって(例えば、130〜150タップ)、チャネルからの歪みを等化する能力が向上するが、その代償として、フィルタが長くなるために、隣接するチャネルへの信号漏出が生じる場合がある。本発明者によって行われた実験によって、タップの数と達成されるBERの関係は、最適性能(最も低いBER)が113〜117タップで達成される「V字状」又は「ボウル(bowl)状」であることがわかった。
【0044】
図20のグラフは、便宜上「2段階」と呼ぶ手法と、本明細書の「3段階」の手法の性能を比較して示している。
図20からわかるように、第3段階のフィルタの追加によって、OSNRが約1dB向上し、所与のBERが達成される。
【0045】
ここに開示した実施形態及び他の実施形態、モジュール並びに機能的な動作(例えば、光フロントエンド、タイミングシンクロナイザ、信号サンプラ、シンボル生成器及びデータ復元器)は、デジタル電子回路で実現してもよく、本明細書に開示した構造及びこれらの構造的な均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア又はハードウェアで実現してもよく、これらの1つ以上の組合せで実現してもよい。ここに開示した実施形態及び他の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、コンピュータが読取可能な媒体内に符号化され、データ処理装置によって実行され、又はデータ処理装置の動作を制御するコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現することもできる。コンピュータが読取可能な媒体は、機械可読のストレージデバイス、機械可読のストレージ基板、メモリデバイス、機械可読の伝播信号に作用する組成物又はこれらの1つ以上の組合せであってもよい。用語「データ処理装置」は、データを処理するための全ての装置、デバイス及び機械を包含し、一例としてプログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、複数のプロセッサ又はコンピュータがこれに含まれる。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェアを構成するコード、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム又はこれらの1つ以上の組合せを含むことができる。伝播信号は、人工的に生成された信号であり、例えば、適切な受信装置への伝送のために情報を符号化するように機械が生成した電気信号、光信号又は電磁波信号である。
【0046】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト又はコードとも呼ばれる。)は、コンパイラ言語又はインタープリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書いてもよく、例えば、スタンドアロンプログラムとして、若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン又は演算環境での使用に適する他のユニットとして、任意の形式で展開してもよい。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応していなくてもよい。プログラムは、他のプログラム又はデータを含むファイル(例えば、マークアップ言語文書内に保存された1つ以上のスクリプト)の一部に保存してもよく、当該プログラムに専用の単一のファイルに保存してもよく、連携する複数のファイル(例えば、モジュール、サブプログラム又はコードの一部を保存する1つ以上のファイル)に保存してもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開してもよく、1つの場所に設けられた又は複数の場所に亘って分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開してもよい。
【0047】
本明細書に開示したプロセス及びロジックフローは、入力データを処理し、出力を生成することによって機能を実現する1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラミング可能なプロセッサによって実現してもよい。プロセス及びロジックフローは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)等の専用論理回路によって実行してもよいし、装置は、FPGA及びASICとして実装してもよい。
【0048】
コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサには、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びにあらゆる種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサの何れかを含ませてもよい。プロセッサは、通常、読出専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はこれらの両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの基本的な要素は、命令を実行するプロセッサと、命令及びデータを保存する1つ以上のメモリデバイスである。また、コンピュータは、通常、データを保存するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク又は光ディスクを含み、若しくは、大容量記憶装置からデータを受信し、大容量記憶装置にデータを伝送し、又はこの両方の動作を行うように大容量記憶装置に動作的に接続されている。但し、コンピュータは、必ずしもこのような装置を有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータの格納に適するコンピュータが読取可能な媒体は、全ての形式の不揮発性メモリ、媒体、メモリデバイスを含み、一例として挙げれば、例えばEPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイスを含む半導体記憶デバイス、例えば内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスクを含む磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD−ROMディスク及びDVD−ROMディスク等が含まれる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補ってもよく、専用論理回路に組み込んでもよい。
【0049】
本明細書は、多くの詳細事項を含んでいるが、これらの詳細事項は、特許請求している又は特許請求することができる本発明の範囲を限定するものとは解釈されず、本発明の特定の実施形態の特定の特徴の記述として解釈される。本明細書において、別個の実施形態の文脈で開示した幾つかの特徴を組み合わせて、単一の実施形態として実現してもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で開示した様々な特徴は、複数の実施形態に別個に具現化してもよく、適切な任意の部分的組合せとして具現化してもよい。更に、以上では、幾つかの特徴を、ある組合せで機能するものと説明しているが、初期的には、そのように特許請求している場合であっても、特許請求された組合せからの1つ以上の特徴は、幾つかの場合、組合せから除外でき、特許請求された組合せは、部分的組合せ又は部分的な組合せの変形に変更してもよい。同様に、図面では、動作を特定の順序で示しているが、このような動作は、所望の結果を達成するために、図示した特定の順序又は順次的な順序で行う必要はなく、また、図示した全ての動作を行う必要もない。
【0050】
幾つかの具体例及び実施例のみを開示した。ここに開示した内容に基づいて、上述した具体例及び実施例及び他の実施例を変形、変更及び拡張することができる。