(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6325099
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】排出された蒸気を凝縮させるためのおよびタービン流出物を冷却するためのモジュール
(51)【国際特許分類】
F28B 9/08 20060101AFI20180507BHJP
F01D 25/32 20060101ALI20180507BHJP
F01K 9/00 20060101ALI20180507BHJP
F28B 7/00 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
F28B9/08
F01D25/32 C
F01K9/00 E
F28B7/00
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-528106(P2016-528106)
(86)(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-503988(P2017-503988A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2014069879
(87)【国際公開番号】WO2015067401
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】13192141.3
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ベルクマン
(72)【発明者】
【氏名】ラシド・ディマ
(72)【発明者】
【氏名】スフェア・グンターマン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】カーキ・ナスキダシュヴィリ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・リーマン
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03881548(US,A)
【文献】
米国特許第03831667(US,A)
【文献】
米国特許第03423078(US,A)
【文献】
特開平07−310987(JP,A)
【文献】
特開昭57−006263(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0218933(US,A1)
【文献】
米国特許第03935902(US,A)
【文献】
国際公開第2009/100742(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/022738(WO,A1)
【文献】
特開2012−097741(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/164197(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 9/08
F01D 25/32
F01K 9/00
F28B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーパー蒸気を凝縮させるための、そしてタービンドレンからのタービン排水を冷却するための、メイン凝縮器を備えた熱発電プラントのためのモジュールであって、
ベーパー蒸気を凝縮させるように構成された第1のユニット(1)および前記タービン排水を冷却するように構成された第2のユニット(10)を備え、前記熱発電プラントのメイン凝縮器は少なくとも前記第2のユニット(10)に対して接続されており、前記第1のユニット(1)内で生成された凝縮液は、前記第2のユニット(10)へと移動させることができるモジュール。
【請求項2】
凝縮液ライン(8)は前記第1のユニット(1)から前記第2のユニット(10)へと凝縮液を移動させるように機能し、蒸気トラップ(9)が前記凝縮液ライン(8)内に存在することを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記熱発電プラントのメイン凝縮器のスタンドパイプのために提供される冷却水は、前記第1のユニット(1)を通って流れることができることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
冷却水は、前記第1のユニット(1)を通って流れた後、前記第2のユニット(10)において、前記第2のユニット(10)内への噴射(13)のために利用可能であることを特徴とする請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
前記第1のユニットには、それを経て、前記第1のユニット(1)内にベーパー蒸気と共に運ばれた空気を、ベーパー蒸気の凝縮後、雰囲気へと排出できるアウトレット(6)が存在することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項6】
前記第2のユニット(10)は、前記第2のユニット(10)の上側領域に接続された、タービン排水のためのインレット(12)を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項7】
前記第2のユニット(10)は、メイン凝縮器へのアウトレット(14)を有し、前記アウトレット(14)は、前記第2のユニット(10)の下側領域に接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項8】
前記第2のユニット(10)とメイン凝縮器との間には、圧力均等化のために機能する接続ラインが存在し、前記接続ラインは、前記第2のユニット(10)の上側領域に接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
熱発電プラントの蒸気タービンの適切な機能は、シャフトシールド蒸気システムおよびドレンシステムを必要とする。
【0002】
シャフトシールド蒸気システムは、蒸気タービンへの空気の侵入を、そしてまた蒸気タービンからパワーハウス内への蒸気の後戻りを防止する目的を有する。そのために、空気および蒸気は、制御された方式でシャフトシールド蒸気システムから取り出される。ベーパー蒸気と呼ばれる、このコンテクストにおいて吸引される空気蒸気混合物は、ベーパー蒸気凝縮器に輸送される。そこでは、ベーパー蒸気の蒸気部分が凝縮する。得られた凝縮液は、熱発電プラントのメイン凝縮器に輸送される。空気は雰囲気中に導かれる。雰囲気とは、主として、概ね大気圧が支配的である領域内に排出される空気を意味する。これは、例えば、熱発電プラントのパワーハウスであってもよい。ベーパー蒸気凝縮器を熱発電プラントの冷却回路により良好に一体化できるようにするために、ベーパー蒸気凝縮器は冷却水の利用可能量のために構成される。
【0003】
排水システムは、蒸気タービンに蓄積する水を排出する役割を果たす。この水は、依然として、水または凝縮液から除去されなければならない蒸気を含んでいる。この時点で、本願のコンテクストにおいてかつ特に明記しない限り、水は液体の水と、そして蒸気は水蒸気と理解されるべきであることに留意されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記要件、すなわちタービンドレンおよびベーパー蒸気凝縮のための簡略化された構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項は有利な展開を示している。目的を達成するために、ベーパー蒸気を凝縮するための、そしてタービンドレンからのタービン排水を冷却するための熱発電プラントのためのモジュールが提案される。両方の機能を発揮するそうしたモジュールは、構造の複雑さを軽減することを可能とする。冒頭で述べたように、従来技術においては、冷却回路内の水の利用可能な量のために蒸気凝縮器を構成することが一般的である。これは、概して、過大な蒸気凝縮器を生じる。ベーパー蒸気を凝縮するための、そしてタービン排水を冷却するための共通モジュールは、この欠点を除去することができる。凝縮するベーパー蒸気によって得られる凝縮液をタービン排水を冷却するために使用できることは、このコンテクストにおいて有利である。したがって、専ら凝縮するベーパー蒸気のために冷却水を提供することが可能である。タービン排水を冷却するための冷却水の追加的な提供は不要となる。
【0006】
改変のために、モジュールの第1のユニットはベーパー蒸気を凝縮するように設計されると共に、第2のユニットはタービン排水を冷却するように設計され、第1のユニット内で生成された凝縮液は第2のユニットへと移動させることができる。このコンテクストでは、第1のユニットにおいて、本質的にタービン排水の冷却を考慮することなくベーパー蒸気の凝縮が生じ得ることが有利である。生成された凝縮液を、タービン排水の冷却が行われる第2のユニットへと移動させることができるので、二つのユニット間の相乗効果を実現することができる。特に、以下の説明の適切な理解のために、第2のユニットは概して上側および下側領域を有することに留意されたい。
【0007】
モジュールの一実施形態では、凝縮液ラインは第1のユニットから第2のユニットへと凝縮液を移動させるように機能し、特に、蒸気トラップが凝縮液ライン内に存在する。これは凝縮液の適切な移送を可能にする。
【0008】
モジュールの一実施形態では、冷却水、特に熱発電プラントのメイン凝縮器のスタンドパイプのために提供される冷却水は、第1のユニットを通って流れることができる。このコンテクストでは、メイン凝縮器は、蒸気タービンから、より正確にはそれを通って流動させられる蒸気タービンの部分から流出するベーパー蒸気が凝縮させられる凝縮器として理解すべきである。得られた凝縮液は、加熱されて再び蒸発させられる給水として使用される。
【0009】
モジュールの一実施形態では、冷却水は、第1のユニットを通って流れた後、第2のユニットにおいて、特に第2のユニット内への噴射のために利用可能である。このコンテクストでは、噴射は、好ましくは、第2のユニットの上側領域において実施される。追加的な冷却水がタービン排水の冷却のために提供される必要がないと先に述べた限りにおいて、本実施形態の場合、当該言及は、ベーパー蒸気を凝縮させるために既に使用された冷却水をタービン排水を冷却するために再度使用できるという効果に対して明確化されるべきである。
【0010】
モジュールの一実施形態では、第1のユニットには、それを経て、第1のユニット内にベーパー蒸気と共に運ばれた空気を、ベーパー蒸気の凝縮後、特に大気へ排出できるアウトレットが存在する。ベーパー蒸気はかなりの量の空気を含んでいる。含まれるベーパー蒸気は凝縮させることができかつ凝縮液は例えば給水として再利用できるが、空気は除去されなければならない。このコンテクストでは、空気は、好ましくは、大気中に排出される。冒頭で述べたように、これは、例えば、パワーハウス内への空気の排出を意味する。第1のユニットのアウトレットは、通常、第1のユニットの上側領域に設置される。
【0011】
モジュールの一実施形態では、第2のユニットは、特に、第2のユニットの上側領域に接続された、タービン排水のためのインレットを有する。これによって、冷却されるべきタービン排水が第2のユニットを経て上部から底部へと流れることが、そしてプロセス中に冷却されることが可能となる。
【0012】
モジュールの一実施形態では、第2のユニットはメイン凝縮器へのアウトレットを有し、このアウトレットは、特に、第2のユニットの下側領域に接続される。これによって、混入蒸気が冷却によって凝縮させられた冷却タービン排水がメイン凝縮器へと移動することが可能となる。タービン排水に加えて、第1のユニットから導入された凝縮液および導入された冷却水を同時に排出することもまた可能である。メイン凝縮器は、概して、回収ボックスを有しており、そこから、メイン凝縮ポンプによってボイラー給水へと凝縮蒸気を供給することができる。その結果、タービン排水を、好ましくは、回収ボックス内へと輸送すると共に、そこからボイラー給水へと供給することができる。主凝縮器へと、すなわち概して回収ボックス内へとタービン排水を輸送するために、ポンプを提供することが、多くの場合、有利である。これによって、必要な場合、メイン凝縮器へのアウトレットを、測地学的にメイン凝縮器の下方に位置させることが可能となる。ポンプはまた、冷却タービン排水の制御された排出のために機能し得る。
【0013】
モジュールの一実施形態では、第2のユニットとメイン凝縮器との間には、圧力均等化のために機能する接続ラインが存在し、接続ラインは、特に、第2のユニットの上側領域に接続される。これは、同じ圧力が第2のユニット内で、そしてメイン凝縮器内で支配的となることを可能とすることができる。
【0014】
以下、本発明に係るモジュールを概略的に示す図を参照して、本発明について詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、ベーパー蒸気を凝縮させるための熱交換器2を含む第1のユニット1を示している。冷却水は、ベーパー蒸気を凝縮させるために、第1のユニット1内に、さらに正確には熱交換器2内に、冷却水供給ライン3を介して輸送される。ベーパー蒸気は蒸気供給ライン4を介して供給される。ベーパー蒸気は熱交換器2内での熱交換によって冷却される。これによって凝縮が始まる。ベーパー蒸気の冷却中に、とりわけ凝縮中に放出された熱は冷却水に伝達される。冷却水は、スタンドパイプへと冷却水排出ライン5を通って流れる。ベーパー蒸気中に含まれる空気は、アウトレットとして機能する空気排出ライン6を介して取り出され、そして熱発電プラントの機械スペース内に輸送される。空気排出ライン6に配置されたファン7はこの取り出しのために機能する。
【0017】
第1のユニット1で生成された凝縮液は、第2のユニット10内に、凝縮液ライン8を介して、かつ、この凝縮液ライン8に設置された蒸気トラップ9の助けを借りて輸送される。第2のユニット10は、本質的に、ドレンタンク11を備える。このコンテクストでは、凝縮液ライン8は、第2のユニット10の上側領域内に開口する。これと向き合って、第2のユニットには、タービン排水のためのインレットとしてタービン排水供給ライン12が配置されている。タービン排水供給ライン12は、矢印で示すように熱発電プラントのタービン内で生じるタービン排水をドレンタンク11内に輸送する。ドレンタンク11内ではタービン排水は下方に流れる。
【0018】
冷却水排出ライン5を介して第1のユニット1から流出する冷却水の一部は方向転換され、冷却水噴射ライン13を経て流れるが、そこからそれはドレンタンク11の上側領域内に噴射される。噴射された冷却水および凝縮液は、ドレンタンク11内で、導入されたタービン排水を冷却する。これは、タービン排水によって移動させられかつ最初にタービン排水中に依然として含まれているベーパー蒸気を凝縮させる。主としてベーパー蒸気から分離させられたタービン排水、噴射された冷却水、そして導入された凝縮水は、ドレンタンク11の下側領域に集まる。そこから、それは、熱発電プラントのメイン凝縮器(図示せず)内へと、凝縮液排出ライン14に含まれるポンプ15の助けを借りて、アウトレットとして機能する凝縮液排出ライン14を経て輸送される。ドレンタンク11の上部に配置された圧力均等化ライン16はまたメイン凝縮器に接続され、そしてドレンタンク11がメイン凝縮器の圧力となるようにドレンタンク11とメイン凝縮器との間の圧力均等化のために機能する。
【0019】
数百メガワットを発生させる従来型の熱発電プラントでは、最大600kWの出力は、上述したモジュールにおける熱交換器2にとって十分である。10Kの温度差は十分である。15kg/s以下の冷却水が必要とされる。
【0020】
本発明について好ましい例示的な実施形態によって詳しく説明図示したが、本発明は開示された実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、本明細書の記載からその他の変形例を導き出すことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 第1のユニット
2 熱交換器
3 冷却水供給ライン
4 ベーパー蒸気供給ライン
5 冷却水排出ライン
6 空気排出ライン
7 ファン
8 凝縮液ライン
9 ベーパー蒸気トラップ
10 第2のユニット
11 ドレンタンク
12 タービン排水供給ライン
13 冷却水噴射ライン
14 凝縮液排出ライン
15 ポンプ
16 圧力均等化ライン