(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、材料とプロセスを入念に選択することによって、既存のハニカム紙のいくつかの欠点(接合、吸湿性、気孔率および加水分解安定性など)に対処するものである。この紙は、主要ポリマーを連続フィルム状にプレスし補強繊維ポリマーは不溶繊維として残す圧密化が可能なように、十分に異なる溶融温度を有するように選択された数種類のチョップド熱可塑性繊維ポリマーを混合することによって製造される。この組み合わせによって、防炎性能を低下させない別の熱可塑性ポリマーフィルムに接合され得る非常に強い強化フィルムが形成される。3つの熱可塑性ポリマーの組み合わせは、吸湿性と気孔率が非常に低く、しかしながらポリカーボネートとの接着性が優れており、また、加圧下、約375°F(190.5℃)に加熱されると、ポリエーテルイミドポリマーにも良好に接合する。
【0013】
本発明によって提供されるハニカム紙は、当分野で既知の方法を用いたハニカムコアの形成に使用される。この既知の方法としては、「Continuously Produced Honeycomb Cores」、K.U.Leuven Department MTM(ベルギー)論文で調査されたものなどがある。例えば、ハニカムは、一連の並列の接着剤ラインが印刷された平坦なシートを、連続したシート内でそのラインがレジストリに並ばず、通常は接着剤ライン間のスペースの半分で相殺されるようにスタックする従来の発泡プロセスで製造できる。接着剤硬化後、接着剤ラインに直角にスタックを切断して、所望の幅を有する個々のブロックとする。個々のブロックの頂部シートと底部シートをアコーディオンを開くように引張ってハニカムを拡張する。ブロックはこうしてハニカムパターンに拡張する。このパターン内では、接着剤ラインがスタックのシート間の付着点を画定し、隣接する接着剤ライン対間のスペースがハニカムパターンを作る個々の壁の長さを画定する。空気は、ハニカム内を通って流れ、発泡を支援する。
【0014】
圧密化繊維質マットは、補強繊維を20〜50質量%含んでいてもよく、例えば、20〜45質量%、20〜40質量%、20〜35質量%、20〜30質量%、20〜25質量%、25〜50質量%、25〜40質量%、25〜30質量%、30〜50質量%、35〜50質量%、40〜50質量%、30〜50質量%、30〜45質量%あるいは30〜40質量%含んでいてもよい。
【0015】
圧密化繊維質マットは、該補強繊維より少なくとも20℃低い溶融温度を有するポリマーを50〜70質量%含んでいてもよく、例えば、50〜65質量%、50〜60質量%、55〜65質量%、55〜60質量%、55〜70質量%、60〜70質量%、65〜70質量%含んでいてもよい。
【0016】
圧密化繊維質マットは、前記ポリマーより低い溶融温度を有するバインダーを0超%含むことができ、例えば、5〜20質量%、5〜15質量%、5〜10質量%含むことができる。
【0017】
本特許出願においては種々の数値範囲が開示される。これらの範囲は連続的であり、最小値と最大値間のすべての数値を含む。別途明示がある場合を除き、本出願の種々の数値範囲は近似である。同じ成分あるいは特性に係る範囲はすべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせ可能である。
【0018】
単数表現は量の限定を示すものではなく、参照されたアイテムが少なくとも1つ存在することを示すものである。「あるいは」は「およびまたは」を意味する。本明細書での「その組み合わせ」とは、参照された要素の1つまたは複数と、任意に参照されていない類似の要素と、を含むものである。明細書全体に亘る「ある実施形態」、「別の実施形態」、「一部の実施形態」などは、該実施形態に関連して記載された特定の要素(例えば、特徴、構造、特性およびまたは特質)が記載の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味し、他の実施形態には含まれていてもいなくてもよい。また、記載された要素(類)は、種々の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせられ得るものと理解されるべきである。
【0019】
化合物は標準命名法を用いて記載される。例えば、表示されたいかなる基によっても置換されていない位置は、その価電子帯が表示された結合または水素原子によって満たされているものと理解されるべきである。2つの文字または記号間以外のダッシュ(「−」)は、置換基の結合点を示す。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を経由して結合される。「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有するC
1−30分枝鎖および直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基を含む。アルキルの例としては、これに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、n−およびs−ヘキシル、n−およびs−ヘプチルおよびn−およびs−オクチルが挙げられる。「アリール」は、指定された数の炭素原子と、任意に1〜3個のヘテロ原子(例えばO、S、P、NまたはSi)と、を含む芳香族部分を意味し、これには、フェニル、トロポン、インダニルあるいはナフチルなどが含まれる。
【0020】
別途明示がある場合を除き、本出願中の分子量はすべて質量平均分子量を指す。こうした分子量はすべてダルトン単位で表される。
【0021】
別途明示がある場合を除き、すべてのASTM試験は、ASTM標準2003年版に基づくものである。
【0022】
本明細書での「繊維」は、アスペクト比(長さ:直径)が2超の、具体的には5超の、10超の、あるいは100超の単一のフィラメントを有する種々の構造を含む。「繊維」はまた、フィブレット(非常に短い(1mm未満))、微粒子(径50μm未満)、フィブリル化繊維(高度に分枝化し不規則であるため、高表面積を有する)およびフィブリル(繊維の小さな糸状要素)も含む。繊維径は、一般にはdtexもしくはdpfで報告される繊維番号で表される。「dtex」として報告される数値は、繊維10,000m当たりのグラム質量を表す。「dpf」値は、繊維当たりのデニールを表す。デニール系の測定は、2本のフィラメント繊維と単一のフィラメント繊維で行われ、dpf=総デニール/均一なフィラメント量である。デニール関連のいくつかの一般的な算出式は以下の通りである:
1デニール=9,000m当たり1g=450m当たり0.05g=1m当たり0.111mg。
【0023】
本明細書での「フィブリッド」は、非常に小さくて非顆粒状、また、繊維状もしくはフィルム状の粒子であって、その3つの次元の内少なくとも1つの次元が最大次元に対して非常に小さく本質的には2次元粒子を意味する。この粒子の大きさは典型的には、長さ:0超〜0.3mm未満、幅:0超〜0.3mm未満、高さ:0超〜0.1mm未満である。ある典型的な実施形態では、フィブリッドの大きさは約100μm×100μm×0.1μmである。
【0024】
フィブリッドは典型的には、ポリマー溶液をこの溶液の溶媒とは混合しない液体の凝固浴へ流すことにより作られる。ポリマーの凝固に伴って、ポリマー溶液の流れは、激しいせん断力と乱流の影響を受ける。本発明のフィブリッド材料は、メタもしくはパラ−アラミドあるいはこれらの混合物であってもよい。より具体的には、フィブリッドはパラ−アラミドである。こうしたアラミドフィブリッドは、乾燥前に、湿潤状態で使用でき、紙のフロック成分周りに物理的に絡みついたバインダーとして堆積され得る。
【0025】
ポリエーテルイミドは、式(1)の構造単位を1超、例えば10〜1,000個あるいは10〜500個含む:
【化1】
式中、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、C
6−20芳香族炭化水素基またはこれらのハロゲン化誘導体、直鎖または分枝鎖のC
2−20アルキレン基またはこれらのハロゲン化誘導体、C
3−8シクロアルキレン基またはこれらのハロゲン化誘導体などの置換または未置換の二価有機基であり、特に、式(2)の二価基
【化2】
[式中、Q
1は、−O−、−S−、−C(O)−、−SO
2−、−SO−または−C
yH
2y−(y:1〜5の整数)またはそのハロゲン化誘導体(パーフルオロアルキレン基を含む)]である。ある実施形態では、Rは、m−フェニレンまたはp−フェニレンである。
【0026】
さらに、式(1)のTは−O−または式:−O−Z−O−基であり、ここで、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’または4,4’の位置にある。式(1)のZ基は同じであっても異なっていてもよく、置換または未置換の二価有機基でもあり、Zの原子価を超過しない条件で、1〜6個のC
1−8アルキル基、1〜8個のハロゲン原子あるいはこれらのものの少なくとも1つを含む組み合わせで任意に置換されたC
6−24単環式または多環式芳香族部分であり得る。典型的なZ基は、式(3)のジヒドロキシ化合物から誘導された基を含む:
【化3】
式中、R
aおよびR
bは同じであっても異なっていてもよく、例えば、ハロゲン原子またはC
1−61価アルキル基であり;pとqはそれぞれ独立に0〜4の整数であり;cは0〜4であり;X
aは、2つのヒドロキシ置換芳香族基を結合する架橋基であり、各C
6アリーレン基の架橋基とヒドロキシ置換基は、C
6アリーレン基上で互いにオルト、メタまたはパラ(具体的にはパラ)に配置されている。架橋基X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−またはC
1−18有機架橋基であり得る。前記C
1−18有機架橋基は環式または非環式であり、芳香族または非芳香族であり、ハロゲン類、酸素、窒素、硫黄、シリコンまたはリンなどのヘテロ原子をさらに含み得る。該C
1−18有機基は、これに結合するC
6アリーレン基が互いに共通のアルキリデン炭素かまたはC
1−18有機架橋基の異なる炭素に結合されるように配置され得る。特定の例では、Z基は式(3a)の構造の二価基である:
【化4】
式中、Qは、−O−、−S−、−C(O)−、−SO
2−、−SO−、−C
yH2
y−(y:1〜5の整数)またはそのハロゲン化誘導体(パーフルオロアルキレン基を含む)である。ある特定の実施形態では、Zは、式(3a)のQが2,2−イソプロピリデンであるビスフェノールAから誘導される。
【0027】
ある実施形態では、式(1)のRはm−フェニレンまたはp−フェニレンであり、Tは、Zが式(3a)の二価基である−O−Z−Oである。あるいは、Rはm−フェニレンあるいはp−フェニレンであり、Tは、Zが式(3a)の二価基でありQが2,2−イソプロピリデンである−O−Z−Oである。
【0028】
一部の実施形態では、該ポリエーテルイミドはコポリマーであってもよく、例えば、式(1)の構造単位[式中、R基の少なくとも50モル%は式(2)(式中、Q
1は−SO
2−)のものであり;残りのR基は独立に、p−フェニレンまたはm−フェニレンまたはこれらのものの少なくとも1つを含む組み合わせであり;Zは2,2−(4−フェニレン)イソプロピリデンである]であってもよい。あるいは、該ポリエーテルイミドは任意に、追加のイミド構造単位、例えば式(4)のイミド単位を含む:
【化5】
式中、Rは式(1)で説明したものであり、Wは下式のリンカーである。
【化6】
これらの追加のイミド構造単位の量は、合計の単位数に対して0〜10モル%であり得、具体的には0〜5モル%であり得、より具体的には0〜2モル%であり得る。ある実施形態では、ポリエーテルイミド中には、追加のイミド単位は存在しない。
【0029】
ポリエーテルイミドは、式(5)の芳香族ビス(エーテル無水物)と
【化7】
式(6)の有機ジアミン
【化8】
(式中、TとRは上記に定義したもの)との反応を含む当業者に周知のいずれかの方法で調製できる。ポリエーテルイミドのコポリマーは、式(5)の芳香族ビス(エーテル無水物)と、異なるビス(無水物)、例えばTがエーテル官能性を含まないビス(無水物)、例えばTがスルホンであるビス(無水物)と、の組み合わせを用いて製造できる。
【0030】
ビス(無水物)の実例としては、3,3−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4,4’−ビス(2、3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物およびこれらの二無水物の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0031】
有機ジアミンの例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチルビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(p−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス−(4−アミノフェニル)スルホンおよびビス(4−アミノフェニル)エーテルが挙げられる。これらの化合物の組み合わせも使用できる。一部の実施形態では、有機ジアミンは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、スルホニルジアニリンあるいはこれらのジアミンの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0032】
米国特許第3,847,867号、同第3,852,242号、同第3,803,085号、同第3905,942号、同第3,983,093号、同第4,443,591号および同第7,041,773号で開示されているものも、多くのポリエーテルイミド製造方法に含まれる。これらの特許は、ポリイミド調製方法の一般的および具体的方法を例示として教示する目的で言及したものである。一部のポリエーテルイミド(PEI)材料は、ASTM D5205−96のポリエーテルイミド材料標準分類システムに記載されている。
【0033】
ポリエーテルイミドのメルトインデックスは、ASTM D1238に準拠し温度340〜370℃、荷重6.7kgで測定して、0.1〜10g/minであり得る。一部の実施形態では、ポリエーテルイミドポリマーの質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィで測定して、1,000〜150,000g/モル(ダルトン)である。一部の実施形態では、ポリエーテルイミドのMwは10,000〜80,000ダルトンである。こうしたポリエーテルイミドポリマーの固有粘度は、典型的には、25℃のm−クレゾール中で測定して0.2dL/g超であり、より具体的には0.35〜0.7dL/gである。
【0034】
ある実施形態では、ポリエーテルイミドは、50ppm未満のアミン末端基を含む。他の例では,該ポリマーは、1ppm未満の遊離した未重合のビスフェノールA(BPA)も有するであろう。
【0035】
ポリエーテルイミドは、残留溶媒およびまたは水などの低濃度の残留揮発性種を有し得る。一部の実施形態では、ポリエーテルイミドは、濃度が1,000質量ppm未満の、より具体的には500質量ppm未満の、さらにより具体的には300質量ppm未満の、さらにより具体的には100質量ppm未満の残留揮発性種を有する。一部の実施形態では、該組成物は、濃度が1,000質量ppm未満の、より具体的には500質量ppm未満の、さらにより具体的には300質量ppm未満の、さらにより具体的には100質量ppm未満の残留揮発性種を有する。
【0036】
残留揮発性種の例としては、ハロゲン化芳香族化合物(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなど)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)、ジアリールスルホン、スルフォラン、ピリジン、フェノール、ベラトロール、アニソール、クレゾール、キシレノール、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ピリジンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
最終のポリマー生産物中の低濃度の残留揮発性種は、例えば、蒸発液化や蒸留などの既知の方法で達成できる。一部の実施形態では、任意の溶媒の大部分は除去でき、任意の残留揮発性種も、任意に減圧下の蒸発液化または蒸留によってポリマー生産物から除去できる。他の実施形態では、該重合反応は、溶媒中、ある所望の終了レベルまで行われ、その後、重合反応を本質的に終了させて、残留する大部分の水を溶液中の最初の反応に続く蒸発液化ステップの間に除去する。ポリマー混合物を液化させて、溶媒と他の揮発性種の濃度を良好な溶融加工性に必要な低濃度まで低減させる装置は、一般に、揮発性種の除去を促進するために高表面積を迅速に生成する能力と共に、減圧下で高温加熱できる。一般に、こうした装置の混合部は、ポンプに十分なパワーを供給して、高温で非常に粘性であり得るポリエーテルイミド融液を撹拌できる。好適な蒸発液化装置としては、これに限定されないが、例えば、LUWA社製のものなどのワイプ式薄膜蒸発装置(wiped films evaporator)やWerner Pfleiderer社またはWelding Engineers社製のものなどの脱揮押出機(特に、多数の通気孔部分を備えた二軸押出機)などが挙げられる。
【0038】
一部の実施形態では、ポリエーテルイミドのガラス転移温度は200〜280℃である。
【0039】
既知の溶融ろ過技術を用いてポリエーテルイミドを溶融ろ過し、異物、炭化粒子、架橋樹脂あるいは同様の不純物を除去することが有用であることが多い。溶解ろ過は最初の樹脂分離の間に行ってもよく、あるいはそれ以降のステップで行ってもよい。ポリエーテルイミドは、押出操作で溶融ろ過できる。溶融ろ過は、大きさが100μm以上の粒子を十分に除去できる細孔径、あるいは大きさが40μm以上の粒子を十分に除去できる細孔径のフィルタを用いて行える。
【0040】
ポリエーテルイミド組成物は任意に、紫外線吸収剤、安定剤(光安定剤他)、潤滑剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、金属不活性化剤およびこれらの添加剤の少なくとも1つを含む組み合わせなどの添加剤を含んでいてもよい。一部の実施形態では、添加剤は、離型剤と、ホスファイト安定剤、ホスホナイト安定剤、ヒンダードフェノール安定剤およびこれらの安定剤の少なくとも1つを含む組み合わせを含む安定剤と、の組み合わせを含んでいてもよい。ある実施形態では、リン含有安定剤が使用される。
【0041】
酸化防止剤は、ホスファイト、ホスホナイト、ヒンダードフェノールあるいはこれらの酸化防止剤の少なくとも1つを含む組み合わせなどの化合物であってもよい。トリアリールホスファイトとアリールホスホネートとを含むリン含有安定剤は、有用な添加剤として注目される。二官能性リン含有化合物も使用され得る。一部の実施形態では、溶融混合の間、あるいは射出成形などのその後の溶融成形プロセスの間の安定剤の逸失を防ぐためには、分子量が300ダルトン以上〜5,000ダルトン以下のリン含有安定剤が有用である。添加剤は、分子量が500ダルオン超のヒンダードフェノールを含んでいてもよい。リン含有安定剤の組成物中の量は、組成物の合計質量に対して、0.01〜3.0質量%あるいは0.01〜1.0質量%であってもよい。
【0042】
繊維質基板は、ポリエーテルイミド以外の材料で構成される繊維をさらに含む。他の繊維は、芳香族ポリアミド繊維(ホモポリマーとコポリマーを含む)、芳香族ポリエステル繊維(ホモポリマーとコポリマーを含む)および芳香族ヘテロ環式繊維(ホモポリマーとコポリマーを含む)などの高強度、耐熱性の有機繊維であってもよい。こうした繊維は、約10g/D〜約50g/Dの、具体的には15g/D〜約50g/Dの強度と、300℃を超える、具体的には約350℃を超える熱分解温度と、を有していてもよい(1g/D=8.830cN/tex)。本明細書での「芳香族」ポリマーは、2つの芳香環に直接結合したポリマー結合(例えば−CO−NH−)を少なくとも85モル%含む。
【0043】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、(a)ポリエーテルイミド樹脂と、(b)前記ポリエーテルイミド樹脂の溶融安定性の向上に効果的な量のリン含有安定剤と、を含むポリエーテルイミド熱可塑性樹脂組成物を含んでおり、ここで、前記リン含有安定剤は低揮発性であって、不活性雰囲気下、リン含有安定剤のサンプルを室温〜300℃まで昇温速度20℃/minで加熱時の熱重量分析で測定したサンプルの不揮発残存量は、初期量に対して10質量%以上である。一実施形態では、該リン酸含有安定剤は、式P−R
aの構造を有する(R’は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシあるいはオキシ置換基;aは3または4)。こうした適切な安定したポリエーテルイミドの例は米国特許第6,001,957号に記載されており、該特許はその全体が本明細書に援用される。
【0044】
芳香族ポリアミド繊維もアラミド繊維として既知であり、パラ−アラミド繊維あるいはメタ−アラミド繊維として広く分類できる。パラ−アラミド繊維の実例としては、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)繊維(例えば、E.I.Du Pont de Nemours社とDu Pont−Toray社が商標名KEVLAR(登録商標)で製造)、p−フェニレンテレフタルアミド/p−フェニレン3,4’−ジフェニレンエーテルテレフタルアミドコポリマー繊維(帝人(株)が商品名TECHNORAおよびTWARONで製造)、あるいはこれらのアラミドの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。メタ−アラミド繊維の実例としては、ポリ(m−フェニレンテレフタルアミド)繊維(例えばE.I.Du Pont de Nemours社が商標名NOMEX(登録商標)で製造)が挙げられる。こうしたアラミド繊維は、当業者に既知の方法で製造できる。
【0045】
全芳香族ポリエステル繊維は液晶ポリエステルを含む。こうした全芳香族ポリエステル繊維の実例としては、p−ヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリマー、テレフタル酸とヒドロキノンとから誘導された繰り返し単位を含むポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフト酸とから誘導された繰り返し単位を含むポリエステル繊維、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。特定の全芳香族液晶ポリエステル繊維は、4−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸との重縮合で製造される((株)クラレから商品名VECTRANで販売されている)。こうした全芳香族ポリエステル繊維は、当業者に既知の任意の方法で製造できる。
【0046】
芳香族ヘテロ環式繊維の実例としては、ポリ(p−フェニレンベンゾビスチアゾール)繊維、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維(PBO)、ポリベンズイミダゾール繊維あるいはこれらの繊維の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。PBO繊維は、東洋紡(株)から商品名ZYLONで販売されている。
【0047】
ある特定の実施形態では、該アラミド繊維は、パラ型ホモポリマー繊維であり、例えばポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)繊維である。
【0048】
繊維質基板は、ポリカーボネート繊維を含んでいてもよい。ポリカーボネートは、式(1)の繰り返し構造カーボネート単位を有するポリマーである:
【化9】
式中、R
1基の総数の少なくとも60%は芳香族部分を含み、残りは脂肪族、脂環式または芳香族である。ある実施形態では、R
1はそれぞれC
6−30芳香族基である。R
1は、式:HO−R
1−OHの、特に式(2)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される:
【化10】
式中、A
1およびA
2はそれぞれ単環式の二価芳香族基であり、Y
1は、単結合またはA
1とA
2とを分離する1個または複数個の原子を有する架橋基である。ある典型的な実施形態では、1つの原子がA
1とA
2を分離する。また、式(3)の化合物も含まれている:
【化11】
式中、R
aとR
bはそれぞれ独立に、ハロゲン原子または一価の炭化水素基であり、同じであっても異なっていてもよく;pとqはそれぞれ独立に0〜4の整数であり;X
aは、2つのヒドロキシ置換芳香族基を結合する架橋基であり、各C
6アリーレン基の架橋基とヒドロキシ置換基は、C
6アリーレン基上で互いにオルト、メタまたはパラ(特定的にはパラ)に配置されている。ある実施形態では、架橋基X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、あるいはC
1−18有機基である。該C
1−18有機架橋基は、環式または非環式であり、芳香族または非芳香族であり、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素またはリンなどのヘテロ原子をさらに含み得る。該C
1−18有機基は、これに結合するC
6アリーレン基が互いに共通のアルキリデン炭素かまたはC
1−18有機架橋基の異なる炭素に結合されるように配置され得る。特に、X
aは、C
1−18アルキレン基、C
3−18シクロアルキレン基、縮合C
6−18シクロアルキレン基、あるいは式:−B
1−W−B
2−(式中、B
1とB
2は同じであっても異なっていてもよいC
1−6アルキレン基であり、WはC
3−12シクロアルキリデン基またはC
6−16アリーレン基)の基である。
【0049】
典型的なC
1−18有機架橋基としては、メチレン、シクロヘキシルメチレン、エチリデン、ネオペンチリデン、イソプロピリデン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデンおよび、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデンおよびアダマンチリデンなどのシクロアルキリデンが挙げられる。X
aが置換シクロアルキリデンである式(3)のビスフェノールの特定的な例としては、式(4)のシクロヘキシリデン−架橋アルキル置換ビスフェノールが挙げられる:
【化12】
式中、R
a’とR
b’はそれぞれ独立にC
1−12アルキルであり、R
gはC
1−12アルキルまたはハロゲンであり、rおよびsはそれぞれ独立に1〜4であり、tは0〜10である。ある特定の実施形態では、R
a’とR
b’は、シクロヘキシリデン架橋基に対してメタ位置に配置される。置換基R
a’、R
b’およびR
gは、適切な数の炭素原子を含む場合、直鎖、環式、二環式または分枝鎖であり得、飽和または不飽和であり得る。ある実施形態では、R
a’とR
b’はそれぞれ独立にC
1−4アルキルであり、R
gはC
1−4アルキルであり、rとsはそれぞれ1であり、tは0〜5である。別の特定の実施形態では、R
a’、R
b’およびR
gはそれぞれメチルであり、rとsはそれぞれ1であり、tは0または3である。別の典型的な実施形態では、シクロヘキシリデン−架橋ビスフェノールは、クレゾール2モルと、水素化イソホロン(例えば1,1,3−トリメチル−3−シクロヘキサン−5−オン)1モルと、の反応生成物である。
【0050】
また、式(3)のビスフェノールのX
aは、式(5)の置換C
3−18シクロアルキリデンでもあり得る:
【化13】
式中、R
r、R
p、R
qおよびR
tは独立に、水素、ハロゲン、酸素またはC
1−12有機基であり;Iは、直接結合、炭素あるいは二価の酸素、硫黄、あるいは−N(Z)−(式中、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1−12アルキル、C
1−12アルコキシあるいはC
1−12アシル)であり;共に取り込まれたR
r、R
p、R
q、R
tの少なくとも2つが縮合した、脂環式、芳香族、またはヘテロ芳香環がであるという条件で、hは0〜2であり、jは1または2であり、iは0または1の整数であり、kは、0〜3の整数である。該縮合環が芳香族であれば、式(5)の環は、環が縮合された炭素−炭素不飽和結合を有するであろうことは理解されるであろう。kが1、iが0の場合、式(5)の環は炭素原子を4個含み、kが2の場合、式(5)の環は炭素原子を5個含み、kが3の場合、この環は炭素原子を6個含む。ある実施形態では、2つの隣接する基(例えば、共に取り込まれたR
qとR
t)が芳香族基を形成し、別の実施形態では、共に取り込まれたR
qとR
tが1つの芳香族基を形成し、共に取り込まれたR
rとR
pが別の芳香族基を形成する。共に取り込まれたR
qとR
tが芳香族基を形成する場合、R
pは二重結合酸素原子、すなわちケトンであり得る。
【0051】
式(3)のビスフェノール化合物の別の特定の実施形態では、C
1−18有機架橋基は、−C(R
c)(R
d)−基または−C(=R
e)−基(式中、R
cおよびR
dはそれぞれ独立に、水素原子あるいは一価の直鎖または環式炭化水素基であり、R
eは二価の炭化水素基であり、pおよびqはそれぞれ0または1であり、R
aおよびR
bはそれぞれC
1−3アルキル基、特に、各アリーレン基の水酸基に対してメタ位置に配置されたメチルである)を含む。
【0052】
式:HO−R
1−OHの他の有用な芳香族ジヒドロキシ化合物としては、式(6)の化合物(14)が挙げられる:
【化14】
式中、R
hはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、C
1−10アルキル基などのC
1−10ヒドロカルビル基、ハロゲン置換C
1−10アルキル基、C
6−10アリール基またはハロゲン置換C
6−10アリール基であり、nは0〜4である。通常、該ハロゲンは臭素である。
【0053】
特定の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部の実例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニール、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フッ素、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ダイオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェンおよび2,7−ジヒドロキシカルバゾール、レゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノールなどの置換レゾルシノール化合物;カテコール;ヒドロキノン;2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなどの置換ヒドロキノン、あるいは、これらのジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0054】
式(3)のビスフェノール化合物の具体的な例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後、「ビスフェノールA」または「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)が挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組み合わせも使用できる。ある特定の実施形態では、前記ポリカーボネートは、A
1およびA
2がそれぞれp−フェニレンであり、Y
1が式(13)のイソプロピリデンであるビスフェノールAから誘導された直鎖のホモポリマーである。
【0055】
本明細書の「ポリカーボネート」には、ホモポリカーボネート(ポリマー中のそれぞれのR
1が同じである)、カーボネート単位中に異なるR
1部分を含むコポリマー(本明細書では「コポリカーボネート」と呼ぶ)、カーボネート単位と他のタイプのポリマー単位(エステル単位など)とを含むコポリマー、およびホモポリカーボネートおよびまたはコポリカーボネートの組み合わせを含むコポリマーが含まれる。本明細書での「組み合わせ」には、配合物、混合物、混ぜもの、反応生成物などが含まれる。
【0056】
特定のポリカーボネートコポリマーはポリ(カーボネート−エステル)である。こうしたコポリマーは、式(1)の繰り返しカーボネート単位に加えて、式(7)の繰り返し単位をさらに含む:
【化15】
式中、Jは、ジヒドロキシ化合物から誘導された二価の基であり、例えば、C
2−10アルキレン基、C
6−20脂環式基、C
6−20芳香族基あるいは、アルキレン基が2〜6個の炭素原子、具体的には2個、3個または4個の炭素原子を含むポリオキシアルキレン基であってもよく;Tは、ジカルボン酸から誘導された二価の基であり、例えば、C
2−10アルキレン基、C
6−20脂環式基、C
6−20アルキル芳香族基またはC
6−20芳香族基であってもよい。異なるT基およびまたはJ基の組み合わせを含むポリ(カーボネート−エステル)も使用できる。ポリ(カーボネート−エステル)は分枝鎖であっても直鎖であってもよい。
【0057】
ある実施形態では、Jは、直鎖、分枝鎖または環式(多環式を含む)構造を有するC
2−30アルキレン基である。別の実施形態では、Jは、式(3)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。別の実施形態では、Jは、式(4)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。別の実施形態では、Jは、式(6)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。
【0058】
該ポリエステル単位の調製に用いられる典型的な芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸またはテレフタル酸、1,2−ジ(p−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ビス安息香酸あるいは、これらの酸の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。1,4−、1,5−または2,6−ナフタレンジカルボン酸などの縮合環を含む酸が含まれていてもよい。特定のジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸あるいはこれらの酸の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。特定のジカルボン酸は、質量比が約91:9〜約2:98の範囲のイソフタル酸とテレフタル酸との組み合わせを含む。別の特定の実施形態では、JはC
2−6アルキレン基であり、Tは、p−フェニレン、m−フェニレン、ナフタレン、二価の脂環式基あるいはこれらのものの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0059】
該コポリマーのカーボネート単位とエステル単位とのモル比は、最終組成物の所望の特性に応じて大きく変わり得るが、例えば1:99〜99:1であり、具体的には10:90〜90:10であり、より具体的には25:75〜75:25である。
【0060】
式(8)のポリ(カーボネート−エステル)の特定の実施形態は、繰り返し芳香族カーボネート単位と繰り返し芳香族エステル単位とを含む:
【化16】
式中、Arは、ジカルボン酸またはジカルボン酸類の組み合わせの二価の芳香族残基であり、Ar’は、式(3)のビスフェノールまたは式(6)のジヒドロキシ化合物の二価の芳香族残基である。このように、Arはアリール基であり、より具体的には、式(9a)のイソフタル酸残基、式(9b)のテレフタル酸残基
【化17】
あるいは、これらのものの少なくとも1つを含む組み合わせである。Ar’は、例えばビフェノールまたはビスフェノールAの残基などの多環式であっても、あるいは、例えばヒドロキノンまたはレゾルシノールの残基などの単環式であってもよい。
【0061】
さらに、式(8)のポリ(カーボネート−エステル)において、xとyはそれぞれ、コポリマーの合計100質量部に対する芳香族エステル単位の質量部および芳香族カーボネート単位の質量部を表す。具体的には、芳香族エステル含有量xは、20〜100質量部、具体的には30〜95質量部、さらにより具体的には50〜95質量部であり、カーボネート含有量yは、0超〜80質量部、より具体的には5〜70質量部、さらにより具体的には5〜50質量部である。一般に、ポリエステルの調製に用いられる芳香族ジカルボン酸はいずれも、式(8)のポリ(カーボネート−エステル)の調製に利用され得るが、テレフタル酸だけを使用してもよく、あるいは、質量比が5:95〜95:5の範囲のテレフタル酸とイソフタル酸の混合物を使用してもよい。この実施形態では、式(8)のポリ(カーボネート−エステル)は、ビスフェノールAおよびホスゲンとイソ−およびテレフタロイルクロリドとの反応から誘導でき、その固有粘度は、(温度が25℃の塩化メチレン中で測定して)0.5〜0.65dL/gであり得る。カーボネート単位を35〜45質量%と、イソフタレートとテレフタレートとのモル比が45:55〜55:45のエステル単位を55〜65質量%と、を含む式(8)のコポリマーは、ポリ(カーボネート−エステル)(PCE)と呼ばれることが多く、カーボネート単位を15〜25質量%と、イソフタレートとテレフタレートとのモル比が98:2〜88:12のエステル単位を75〜85質量%と、を含むコポリマーは、ポリ(フタレート−カーボネート)(PPC)と呼ばれることが多い。
【0062】
別の特定の実施形態では、ポリ(カーボネート−エステル)は、式(3)のビスフェノール化合物から誘導された式(1)のカーボネート単位と、芳香族ジカルボン酸と式(6)のジヒドロキシ化合物とから誘導されたエステル単位と、を含む。具体的には、該エステル単位は、式(9)のアリーレートエステル単位である:
【化18】
式中、R
4はそれぞれ独立に、ハロゲンまたはC
1−4アルキルであり、pは0〜3である。アリレートエステル単位は、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物あるいはそれらの化学的等価物の混合物と化合物(5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、2,4,5−トリフルオロレゾルシノール、2,4,6−トリフルオロレゾルシノール、4,5,6−トリフルオロレゾルシノール、2,4,5−トリブロモレゾルシノール、2,4,6−トリブロモレゾルシノール,4,5,6−トリブロモレゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2,3,5−tri−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5−トリフルオロヒドロキノン、2,3,5−トリブロモヒドロキノンあるいはこれらの化合物の少なくとも1つを含む組み合わせなど)との反応から誘導できる。このエステル単位は、ポリ(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)単位(別名「ITR」エステル)であってもよい。
【0063】
(9)式のエステル単位を含むポリ(カーボネート−エステル)は、コポリマーの合計質量に対して、1〜100質量%未満の、10〜100質量%未満の、20〜100質量%未満の、あるいは40〜100質量%未満の、式(3)のビスフェノール化合物から誘導されたカーボネート単位(1)と、0超〜99質量%の、0超〜90質量%の、0超〜80質量%の、あるいは0超〜60質量%の、芳香族ジカルボン酸と式(6)のジヒドロキシ化合物とから誘導されたエステル単位と、を含んでいてもよい。式(9)のアリーレートエステル単位を含む特定のポリ(カーボネート−エステル)は、ポリ(ビスフェノール−Aカーボネート)−co−ポリ(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)である。
【0064】
別の特定の実施形態では、該ポリ(カーボネート−エステル)は、式(3)のビスフェノールと式(6)のジヒドロキシ化合物との組み合わせから誘導された式(1)のカーボネート単位と、式(9)のアリーレートエステル単位と、を含む。式(3)のジヒドロキシ化合物から誘導されたカーボネート単位と、式(6)のジヒドロキシ化合物から誘導されたカーボネート単位と、のモル比は1:99〜99:1であってもよい。このタイプの特定のポリ(カーボネート−エステル)は、ポリ(ビスフェノール−Aカーボネート)−co−(レゾルシノールカーボネート)−co−(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)である。
【0065】
ポリカーボネートは、界面重合や溶融重合などのプロセスで製造できる。界面重合の反応条件は変わり得るが、典型的なプロセスは一般に、二価フェノール反応物を苛性ソーダ水溶液または苛性カリ水溶液に溶解または分散させるステップと、得られた混合物を水非混和性溶媒媒体に添加するステップと、例えば約8〜約12などにpHを制御した条件下、トリエチルアミンなどの触媒およびまたは相間移動触媒の存在下、前記反応物をカーボネート前駆体に接触させるステップと、を備える。最も一般的に使用される水非混和性溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
【0066】
典型的なカーボネート前駆体としては、臭化カルボニルまたは塩化カルボニルなどのハロゲン化カルボニル、二価フェノールのビスハロホルメート(例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノンなどのビスクロロホルメート)またはグリコールなどのビスハロホルメート(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールなどのビスハロホルメート)などのハロホルメートが挙げられる。これらのタイプのカーボネート前駆体の少なくとも1つを含む組み合わせも使用できる。典型的な実施形態では、カーボネート結合を形成する界面重合反応では、カーボネート前駆体としてホスゲンが用いられ、ホスゲン化反応と呼ばれる。
【0067】
式:(R
3)
4Q
+Xの触媒も使用可能な相間移動触媒に含まれる。式中、R
3はそれぞれ、同じであっても異なっていてもよくC
1−10アルキル基であり;Qは窒素原子またはリン原子であり;Xは、ハロゲン原子、C
1−8アルコキシ基あるいはC
6−18アリールオキシ基である。典型的な相間移動触媒としては、例えば、[CH
3(CH
2)
3]
4NX、[CH
3(CH
2)
3]
4PX、[CH
3(CH
2)
5]
4NX、[CH
3(CH
2)
6]
4NX、[CH
3(CH
2)
4]
4NX、CH
3[CH
3(CH
2)
3]
3NXおよびCH
3[CH
3(CH
2)
2]
3NX(式中、Xは、Cl
−、Br
−、C
1−8アルコキシ基またはC
6−18アリールオキシ基)が挙げられる。相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの質量に対して、約0.1〜約10質量%であってもよい。別の実施形態では、相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの質量に対して、約0.5〜約2質量%であってもよい。
【0068】
組成物の所望の特性に著しい悪影響を及ぼさないことを条件として、すべてのタイプのポリカーボネート末端基がポリカーボネート組成物で有用なものとして考慮される。
【0069】
分枝鎖ポリカーボネートブロックは、重合中に分岐剤を添加することにより調製できる。これらの分岐剤としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ハロホルミル基あるいはこれらの官能基の混合物を含む官能基を少なくとも3つ含む多官能性有機化合物が挙げられる。具体的な例としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸トリクロリド、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリスーフェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられる。分岐剤は、約0.05〜約2.0質量%の量で添加できる。直鎖ポリカーボネートと分枝鎖ポリカーボネートとを含む混合物も使用できる。
【0070】
重合中に、連鎖停止剤(キャッピング剤とも呼ぶ)が含まれていてもよい。連鎖停止剤によって分子量の成長速度が制限され、ポリカーボネートの分子量が制御される。典型的な連鎖停止剤としては、あるモノ−フェノール化合物、モノ−カルボン酸クロリドおよびまたはモノ−クロロホルメートが挙げられる。モノ−フェノール連鎖停止剤の例としては、フェノールなどの単環式フェノールと、p−クミル−フェノール、レゾルシノールモノベンゾエートおよび、p−およびターシャリ−ブチルフェノールなどのC
1−C
22アルキル−置換フェノール;および、p−メトキシフェノールなどのジフェノールのモノエーテルが挙げられる。8〜9個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル置換基を有するアルキル置換フェノールも特定的に挙げられる。例えば、4−置換−2−ヒドロキシベンゾフェノンとその誘導体、アリールサリチレート、レゾルシノールモノベンゾエートなどのジフェノールのモノエステル、2−(2−ヒドロキシアリール)−ベンゾトリアゾールとその誘導体、2−(2−ヒドロキシアリール)−1,3,5−トリアジンとその誘導体などの、あるモノ−フェノール紫外線吸収剤もキャッピング剤として使用できる。
【0071】
モノ−カルボン酸クロリドも連鎖停止剤として使用できる。これらのクロリド類としては、ベンゾイルクロリド、C
1−C
22アルキル−置換ベンゾイルクロリド、トルオイルクロリド、ハロゲン−置換ベンゾイルクロリド、ブロモベンゾイルクロリド、シンナモイルクロリド、4−ナジミドベンゾイルクロリド、あるいはこれらの単環式クロリドの少なくとも1つを含む組み合わせなどの単環式モノ−カルボン酸クロリド;無水トリメリット酸クロリドおよびナフトイルクロリドなどの多環式モノ−カルボン酸クロリド;あるいは、これらの単環式および多環式モノ−カルボン酸クロリドの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。約22個以下の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸の塩化物は有用である。また、アクリロイルクロリドおよびメタクリロイルクロリドなどの脂肪族モノカルボン酸の官能化塩化物も有用である。また、フェニルクロロホルメート、アルキル−置換フェニルクロロホルメート、p−クミルフェニルクロロホルメート、トルエンクロロホルメートあるいは、これらのクロロホルメートの少なくとも1つを含む組み合わせなどの単環式モノ−クロロホルメートを含むモノ−クロロホルメートも有用である。
【0072】
あるいは、該ポリカーボネートの製造に溶融プロセスが使用できる。溶融重合プロセスでは、ポリカーボネートは一般に、エステル交換触媒の存在下、均一分散を形成するためのBanbury(登録商標)ミキサーまたは二軸スクリュー押出機などで、ジヒドロキシ反応物と、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートエステルと、を溶融状態で共反応させることによって調製できる。揮発性の一価フェノールは、蒸留によって溶融反応物から除去され、ポリマーは、溶融残留物として単離される。ポリカーボネートの製造に特定的に有用な溶融プロセスでは、アリール上に電子吸引性置換基を有するジアリールカーボネートエステルが用いられる。電子吸引性置換基を有する特定的に有用なジアリールカーボネートエステルの例としては、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート、ビス(4−メチルカルボキシルフェニル)カーボネート、ビス(2−アセチルフェニル)カルボキシレート、ビス(4−アセチルフェニル)カルボキシレートあるいは、これらのエステルの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。また、有用なエステル交換触媒には、式:(R
3)
4Q
+X(R
3、QおよびXはそれぞれ上記に定義したもの)の相間移動触媒が含まれる。典型的なエステル交換触媒としては、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムフェノラートあるいは、これらエステル交換触媒の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0073】
ポリカーボネートに関して上記に一般的に記載したように、該ポリエステル−ポリカーボネートも特に界面重合で調製できる。ジカルボン酸あるいはジオールそれ自体を利用しないで、対応する酸ハロゲン化物などの該酸またはジオールの反応性誘導体、特に、酸ジクロリドと酸ジブロミドが使用できる。従って、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらの酸の少なくとも1つを含む組み合わせを使用する代わりに、イソフタロイルジクロリド、テレフタロイルジクロリドまたはこれらのジクロリドの少なくとも1つを含む組み合わせが使用できる。
【0074】
該ポリカーボネートの固有粘度は、温度25℃のクロロホルム中で測定して、0.3〜1.5dL/gであり、具体的には0.45〜1.0dL/gであり得る。該ポリカーボネートの質量平均分子量は、架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用い、ポリカーボネート標準に対して較正するゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で測定して、10,000〜200,000ダルトンであり、具体的には20,000〜100,000ダルトンである。GPCサンプルは1mg/mLの濃度で調製され、1.5mL/minの流量で溶離される。異なる流動特性を有するポリカーボネートを組み合わせて使用し、全体で所望の流動特性を実現できる。ある実施形態では、ポリカーボネートは、A
3およびA
4がそれぞれp−フェニレンであり、Y
2がイソプロピリデンであるビスフェノールA系である。該ポリカーボネートの質量平均分子量は、上記のようにGPCで測定して、5,000〜100,000ダルトンであり得、より具体的には、10,000〜65,000ダルトンであり得、さらにより具体的には15,000〜35,000ダルトンであり得る。
【0075】
特に該ポリエステル−ポリカーボネートの分子量は一般に高く、固有粘度は、温度25℃のクロロホルム中で測定して、0.3〜1.5dL/gであり、より好適には0.45〜1.0dL/gである。これらのポリエステル−ポリカーボネートは分枝鎖であっても非分枝鎖であってもよく、質量平均分子量は一般に、ゲル透過クロマトグラフィで測定して、10,000〜200,000であり、より具体的には20,000〜100,000であろう。
【0076】
ポリ(カーボネート−シロキサン)ブロックを含むポリカーボネートが使用できる。ポリシロキサンブロックは、式(10)の構造のような繰り返しジオルガノシロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンである:
【化19】
式中、Rはそれぞれ独立に、同じであっても異なっていてもよく、一価のC
1−13有機基である。例えば、Rは、C
1−C
13アルキル、C
1−C
13アルコキシ、C
2−C
13アルケニル基、C
2−C
13アルケニルオキシ、C
3−C
6シクロアルキル、C
3−C
6シクロアルコキシ、C
6−C
14アリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
7−C
13アリールアルキル、C
7−C
13アラルコキシ、C
7−C
13アルキルアリールあるいはC
7−C
13アルキルアリールオキシであり得る。これらの基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらのハロゲンの少なくとも1つを含む組み合わせで、完全にあるいは部分的にハロゲン化されてもよい。透明なポリシロキサン−ポリカーボネートが望ましい実施形態では、Rはハロゲンで置換されていない。これらのR基の組み合わせも同じコポリマーに使用できる。
【0077】
式(10)におけるEの値は、熱可塑性組成物中の各成分のタイプと相対量、組成物の所望の特性および同様の考慮事項によって大きく変わり得る。Eの平均値は、一般に2〜約1,000であり、具体的には約2〜約500であり、より具体的には約5〜約100である。ある実施形態では、Eの平均値は約10〜約75であり、さらに別の実施形態では、約40〜約60である。Eの値が小さい場合、例えば約40未満の場合、比較的多量のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーの使用が望ましいものであり得る。逆に、Eの値が大きい場合、例えば約40より大きい場合、比較的少量のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーを使用できる。
【0078】
第1のポリ(カーボネート−シロキサン)コポリマーのEの平均値が第2(あるいはそれ以上)のポリ(カーボネート−シロキサン)コポリマーのEの平均値より小さい場合には、これらのコポリマーの組み合わせが使用できる。
【0079】
ある実施形態では、ポリジオルガノシロキサンブロックは式(11)のものである:
【化20】
式中、Eは上記に定義したものであり;Rはそれぞれ、同じであっても異なっていてもよく上記に定義したものであり;Arは同じであっても違っていてもよく、骨格が芳香族部分に直接結合した置換または未置換C
6−C
30アリーレン基である。式(11)のAr基は、C
6−C
30ジヒドロキシアリーレン化合物、例えば上式(3)または(6)のジヒドロキシアリーレン化合物から誘導できる。典型的なジヒドロキシアリーレン化合物は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニルn−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルフィド)および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンである。これらのジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組み合わせも使用できる。
【0080】
別の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンブロックは式(12)のものである:
【化21】
式中、RとEは上記に定義したものであり、R
5はそれぞれ独立に、重合化されたポリシロキサン単位がその対応するジヒドロキシ化合物の反応残基である二価のC
1−C
30炭化水素基である。
【0081】
特定の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンブロックは式(13)のものである:
【化22】
式中、RとEは上記に定義したものである。式(13)のR
6は二価のC
2−C
8脂肪族基である。式(14)のMはそれぞれ、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C
1−C
8アルキルチオ、C
1−C
8アルキル、C
1−C
8アルコキシ、C
2−C
8アルケニル、C
2−C
8アルケニルオキシ基、C
3−C
8シクロアルキル、C
3−C
8シクロアルコキシ、C
6−C
10アリール、C
6−C
10アリールオキシ、C
7−C
12アラルキル、C
7−C
12アラルコキシ、C
7−C
12アルキルアリールまたはC
7−C
12アルキルアリールオキシであり、nはそれぞれ独立に0、1、2、3または4である。
【0082】
ある実施形態では、Mは、臭素または塩素、メチル、エチルまたはプロピルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシまたはプロポキシなどのアルコキシ基、あるいは、フェニル、クロロフェニルまたはトリルなどのアリール基であり;R
2は、ジメチレン基、トリメチレン基またはテトラメチレン基であり;Rは、C
1−8アルキル、トリフルオロプロピルなどのハロアルキル、シアノアルキル、あるいはフェニル、クロロフェニルまたはトリルなどのアリールである。別の実施形態では、Rは、メチル、メチルとトリフルオロプロピルとの組み合わせ、またはメチルとフェニルとの組み合わせである。さらに別の実施形態では、Mはメトキシであり、nは1であり、R
2は二価のC
1−C
3脂肪族基であり、Rはメチルである。
【0083】
式(13)のブロックは、式(14)の対応するジヒドロキシポリジオルガノシロキサンから誘導され得る:
【化23】
式中、R、E、M、R
6およびnは上記に定義したものである。こうしたジヒドロキシポリシロキサンは、式(15)のシロキサン水素化物間の白金触媒による添加の実現によって作られる:
【化24】
式中、RとEは前述に定義したものであり、一価の脂肪族不飽和フェノールである。一価の脂肪族不飽和フェノールの典型的なものとしては、オイゲノール、2−アルキルフェノール、4−アリル−2−メチルフェノール、4−アリル−2−フェニルフェノール、4−アリル−2−ブロモフェノール、4−アリル−2−t−ブトキシフェノール、4−フェニル−2−フェニルフェノール、2−メチル−4−プロピルフェノール、2−アリル−4,6−ジメチルフェノール、2−アリル−4−ブロモ−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシ−4−メチルフェノールおよび2−アリル−4,6−ジメチルフェノールが挙げられる。これらのフェノールの少なくとも1つを含む組み合わせも使用できる。
【0084】
ポリ(ポリカーボネート−シロキサン)は、50〜99質量%のカーボネート単位と1〜50質量%のシロキサン単位とを含み得る。この範囲内で、ポリ(カーボネート−シロキサン)は、70〜98質量%の、より具体的には75〜97質量%のカーボネート単位と、2〜30質量%の、より具体的には3〜25質量%のシロキサン単位と、を含む。
【0085】
ポリ(カーボネート−シロキサン)の質量平均分子量は、架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用い、サンプル濃度1mg/mLとし、ポリカーボネート標準で較正するゲル透過クロマトグラフィで測定して、2,000〜100,000ダルトンであり得、具体的には5,000〜50,000ダルトンであり得る。
【0086】
ポリ(カーボネート−シロキサン)のメルトボリュームフローレートは、300℃/1.2kgで測定して、1〜50cc/10minであり、具体的には2〜30cc/10minであり得る。流動特性の異なるポリオルガノシロキサン−ポリカーボネートの混合物を用いて、全体として所望の流動特性を達成できる。
【0087】
前述のポリカーボネート類は、単独で使用しても組み合わせで使用してもよく、例えば、ホモポリカーボネートと少なくとも1つのポリ(カーボネート−エステル)との組み合わせ、あるいは2つ以上のポリ(カーボネート−エステル)類の組み合わせで使用してもよい。異なるポリ(カーボネートエステル)類の混合物をこれらの組成物に使用してもよい。
【0088】
特定のポリカーボネートコポリマーはLexan FST9705(ポリ(カーボネート−レゾルシノール−シロキサン)ポリマー)であり、SABIC Innovative Plastics社から販売されている。
【0089】
防炎性能が問題でない場合、ポリカーボネートポリマーに代えて、アモルファスPET(ポリエチレンテレフタレート)などの他のポリマーが使用できる。細い繊維として入手可能であれば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)ポリマーなどの他の高温ポリマーが使用できる。ジェット燃料に対して非常に高耐性を有する、はるかに高温が可能なハニカム紙を作るために、連続相フィルム作成物としての液晶ポリマーと共に、補強繊維として高温ポリイミドが使用できるであろう。こうした実施形態では、繊維が何であるかにかかわらず本明細書では構造内の補強繊維と呼ぶ不溶繊維(ポリイミド繊維など)は、組成物内の補強繊維として働く。
【0090】
一部の実施形態では、繊維質基板のポリマーは、二成分繊維押出として既知の繊維押出プロセス中に混合もされ得る。こうした実施形態では、既知の方法に準じて、第1のポリマーを第2のポリマーと共に溶融紡糸してコア/シース繊維を形成できる。2成分繊維および多成分繊維の製造方法は周知であり、ここで詳細に説明する必要はない。例えば、米国特許第5,227,109号(参照により本明細書に援用される)には、シース成分およびコア成分それぞれをシース−コア関係に移動させるように選択された流路を画定する複数の隣接するプレートが組み込まれた紡糸パックにおける、シース−コア関係の2成分繊維の形成について記載されている。また、米国特許第5,458,972号(参照により本明細書に援用される)に開示されているものなどのより複雑な多成分繊維形態も本明細書でのコアシース用語内で考慮される。同特許には、3つの脚と、3つの頂点および軸センターを画定する三葉キャピラリを用い、第1の溶融ポリマー組成物を軸センターに移動させ、第2の溶融ポリマー組成物を該頂点の内の少なくとも1つに送ることによる多成分三葉繊維の製造方法が記載されている。製造された繊維は、コア外表面と、コア外表面の少なくとも約1/3に隣接するシースと、を画定する三葉コアを有する。
【0091】
種々の実施形態では、第1のポリマーがコア繊維、第2のポリマーがシース繊維であってもよく、あるいは、第2のポリマーがコア繊維、第1のポリマーがシース繊維であってもよい。第1および第2のポリマーは、上記の有用な繊維の文脈で記載したいずれかのポリマーであってもよい。
【0092】
ある実施形態では、ポリエーテルイミドがコアであり、ポリカーボネートが外層であろう。この実施形態では、マット内の繊維をより均一に接合するであろう。別の実施形態では、液晶ポリマーがコアであり、ポリエーテルイミドが外層であろう。この実施形態では、紙の構造化において、所定の領域上での材料の分散の均一性が向上するであろう。この実施形態では、このような非常に薄い生成物での均一分散に重要なより細い繊維の生産も可能になるであろう。
【0093】
ハニカム紙は、円網抄紙機や長網抄紙機などの既知の製紙技術を用いて製造できる。一般に、繊維を裁断し不純物を取り除いて適切な繊維サイズとする。水に合成繊維とバインダーを添加して、繊維と水との混合物を形成する。
【0094】
その後、混合物を篩にかけて水を排水し、紙シートを形成する。スクリーンは、縦方向(machine direction)と呼ばれるシートが移動する方向に繊維を方向付ける傾向がある。その結果、得られた絶縁紙は、横方向と呼ばれる垂直方向よりも縦方向の引張強度が大きい。紙シートは、スクリーンからロール上に、さらに紙内の水分を除去する他の処理装置を通って搬送される。
【0095】
繊維質マットを静圧プレス機内で処理する場合、気泡なしの圧密化マットを製造するためには、特に減圧下で行われる。
【0096】
繊維質基板は、面密度5〜200GSM(g/m
2)で、具体的には30〜120GSMで、より具体的には40〜80GSMで調製されてもよい。ある実施形態では、繊維質基板の密度は40〜80GSMであり、基板は、最終のハニカム紙の形状を補強するニスの浸透が可能となる十分な気孔率を有する。別の実施形態では、基板の密度は80〜120GSMであり、基板は、それほど多孔質ではなく、ニスによる強度の追加も必要ではない。別の実施形態では、圧密化繊維質基板の密度は80GSMである。
【0097】
気孔率の測定方法は当業者には既知であり、 例えばISO5636−5:2003などがある。この技術でのガーリー秒(Gurley second)またはガーリー単位は、空気100cm
3が水圧差4.88インチ(0.188psi)において所定の材料1.0in
2を通過するのに必要な秒数を表す単位であり、単位はs・in
2/dLである。SI単位系では、 1s・in
2/dL=6.4516s/m(m:空気カラム)である。別の態様では、ハニカム紙の気孔率は、20超〜120s・in
2/dL(ガーリー秒)未満(129超〜774s/m未満(m:空気カラム)である。
【0098】
圧密化マットは、意図した用途に適した任意の厚みの中で調製できる。一般に、一貫した厚みが望ましい。一部の実施形態では、マットの平均厚みは0超〜2mm未満である。他の実施形態では、厚みは0超〜1mm未満である。他の実施形態では、厚みは0超〜800μmであり、具体的には10〜500μmであり、より具体的には20〜300μm未満である。
【0099】
ある実施形態では、ハニカム紙は、ハニカムコアの表面に接合した保護層と組み合わされて、構造用途で有用な物品を形成する。通常、保護層は、ハニカムコアの両面に接合されている。保護層は一般に、ハニカムコアに接合可能な任意の平面材であってもよい。保護層は、例えば、ポリカーボネートコポリマーフィルム、ポリイミドを伴ったガラス繊維マット、液晶ポリマーマット、炭素繊維織物、難燃性織物あるいはシートメタルであってもよい。
【0100】
これらのハニカム構造パネルは、例えば、運輸、家具、パレットおよびコンテナなどの低重量であることが有利な用途で特に有用である。
【0101】
ある実施形態では、これらのパネルは、航空機、鉄道、船舶、自動車および建設用途用の床、壁、天井、ドア、蓋、カバー、座席、テーブルおよびカウンターなどの内装および外装の表面として機能し得る物品に形成できる。
【0102】
以下の実施例は例示であり、限定するものではない。
【0103】
実施例
材料:
以下の実施例で使用した材料を以下の表1に示す。
【表1】
【0104】
手順:
引張強度−ASTM D828
引張伸び率−ASTM D828
0.5インチチョップドULTEM繊維、Vectran(登録商標)繊維および少量のLEXAN FST繊維との混合物を小型(12’’×12’’(305mm×305mm))のハンドフォーマ(hand former)を用いてハニカム紙用のマットを実験室調製してマットに十分な強度をもたせ、さらなる処理を可能とした。LEXAN FSTが溶融する条件で湿潤マットを乾燥させて、非常に軽量(40gsm)の織布とした。その後、490°F(254℃)×3分間×28psiで、次に1,100psi×8分間の条件で、剥離処理した金属プレート間で乾燥マットを圧密化した。得られたフィルムは、比較的良好な透明度とかなり良好に分散した補強繊維とを有する0.002’’(5mm)厚のフィルムであり、著しく変形せずに処理ができるように見えたが、気泡が多く存在した。別のサンプルを同様の条件下で処理したが、減圧下で行ったので、気泡はほとんどなかった。結果:上記の実施例で処理したサンプルを上記の手順に従って試験した。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0105】
考察:
比較実施例AのNormex系紙と比較実施例BのKevlar系の紙と比較して、実施例1のハニカム紙の引張強度は高い。比較実施例Aの紙の縦方向の引張強度は13.1±0.6kg/インチ、比較実施例Bのそれは7.6±0.9kg/インチであったのに対し、実施例1のハニカム紙の縦方向引張強度は16.1±1.2kg/インチであり、比較実施例のものより高い。
【0106】
あるいは、本組成物あるいは方法は一般に、本明細書で開示した適切な成分またはステップの任意のものを含み、または任意のものからなり、または任意のものから本質的に構成されてもよい。本発明は、追加としてあるいは代替として、従来技術組成物に使用されてきた、あるいは本発明の請求項に記載の機能およびまたは目的の実現には不要な成分、材料、含有物、補助剤または種あるいはステップの任意のものを含まないあるいは実質的に含まないように処方されてもよい。
【0107】
「任意の」または「任意に」は、続いて記載される事象あるいは状況が生じても生じなくてもよく、該記載には該事象が生じる場合と生じない場合を含むことを意味する。
【0108】
量に関連して用いた「約」は、記載された数値を含むものであり、文脈上決定される意味(例えば、特定の量の測定に関連した誤差の程度を含む)を有するものである。
【0109】
「±10%」は、表示された測定が記載された数値の−10%の量から+10%の量の範囲であり得ることを意味する。
【0110】
同じ成分あるいは特性に係る範囲はすべて終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせ可能である。これらの範囲は、すべての中間点と任意の範囲を含む(例えば、「約25質量%までの、あるいはより具体的には約5質量%〜約20質量%」の範囲は、終点と、「約5質量%〜約25質量%」の範囲の全ての中間点(約10質量%〜約23質量%など)と、を含む)。
【0111】
本明細書での接尾辞「(類)」は、それが修飾するアイテムが単数または複数含まれることを意図し、従って、そのアイテムは1つまたは複数含まれる(例えば、着色剤(類)には、1つまたは複数の着色剤が含まれる)。
【0112】
本明細書での「第1の」、「第2の」など、および「一次の」、「二次の」などは、いかなる順序や量または重要度を示すものではなく、ある要素と他の要素とを区別するために使用されるものである。
【0113】
本明細書での「正面」、「裏」、「底」およびまたは「頂部」は、別途明示がある場合を除き、単に記載の便宜上使用されているものであり、いずれか1つの位置もしくは空間の方向に限定されるものではない。
【0114】
「組み合わせ」は、配合物、混合物、混ぜもの、反応生成物などを含む。
【0115】
別途明示がある場合を除き、本明細書で使用される技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0116】
化合物は標準命名法を用いて記載される。例えば、表記のいかなる基によっても置換されていない位置は、その価電子帯が表示された結合または水素原子によって満たされているものと理解されるべきである。2つの文字または記号間以外のダッシュ(「−」)は、置換基の結合点を示す。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を経由して結合される。
【0117】
引用された特許、特許出願および他の参考文献はすべて、参照により本明細書に援用される。しかしながら、本出願中の用語が援用された参考文献の用語と矛盾するか対立する場合、本出願の用語が援用された参考文献の矛盾する用語に優先する。
【0118】
本発明は少なくとも以下の実施形態を含む。
【0119】
実施形態1:補強繊維、ポリマーおよびバインダーの合計質量に対して、前記補強繊維を20〜50質量%と;前記補強繊維より少なくとも20℃低い溶融温度を有する前記ポリマーを50〜70質量%と、前記ポリマーより低い溶融温度を有する前記バインダーを5〜10質量%と、を含み、前記補強繊維を結合する連続相と;を含む圧密化繊維質マット。
【0120】
実施形態2:前記補強繊維は、芳香族ポリアミド繊維、液晶ポリマー繊維あるいはこれらの繊維の少なくとも1つを含む組み合わせを含み、前記連続相ポリマーはポリエーテルイミドであり、前記バインダーは、ポリカーボネートコポリマー、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドあるいはこれらのものの少なくとも1つを含む組み合わせを含む実施形態1に記載の圧密化繊維質マット。
【0121】
実施形態3:前記補強繊維はポリエーテルイミド繊維であり、前記連続相ポリマーは、ポリアミド、液晶ポリマーあるいはこれらのポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、前記バインダーは、ポリカーボネートコポリマー、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドあるいはこれらのポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせを含む実施形態1または実施形態2に記載の圧密化繊維質マット。
【0122】
実施形態4:実施形態1乃至実施形態3のいずれかに記載の圧密化繊維質マットを含むハニカムコアを含むハニカム紙。
【0123】
実施形態5:前記圧密化繊維質マット上に堆積あるいはその中に吸収されたニスまたは接着剤をさらに含む実施形態4に記載のハニカム紙。
【0124】
実施形態6:前記ハニカムコアの表面に接合された保護層をさらに含む実施形態4に記載のハニカム紙。
【0125】
実施形態7:前記保護層は、ポリカーボネートコポリマーフィルム、ポリイミドを伴ったガラス繊維マット、液晶ポリマーマット、炭素繊維織物、難燃性織物あるいはシートメタルである上述した実施形態のいずれかに記載のハニカム紙。
【0126】
実施形態8:上述した実施形態のいずれかに記載のハニカム紙を含む物品。
【0127】
実施形態9:運輸、家具、パレットおよびコンテナに使用される構造パネルを含む実施形態8に記載の物品。
【0128】
実施形態10:航空機、鉄道、船舶、自動車および建設用途用の床、壁、天井、ドア、蓋、カバー、座席、テーブルおよびカウンターを含む実施形態8に記載の物品。
【0129】
実施形態11:繊維質層であってその中の繊維の合計質量に対して、20〜50質量%の補強繊維を含む第1の繊維と、前記補強繊維より少なくとも20℃低い溶融温度を有する連続相ポリマー繊維を50〜70質量%と、前記連続相繊維の溶融温度より低い溶融温度を有するバインダー繊維を5〜10質量%と、の組み合わせを含み、マットの厚みが0超〜300μm未満であり、前記マットの気孔率が129超〜774s/m未満(m:空気カラム)である繊維質層。
【0130】
実施形態12:前記第1の繊維は、液晶ポリマー繊維、ポリアミド繊維あるいはこれらの繊維の少なくとも1つを含む組み合わせを含む補強繊維と、ポリエーテルイミドを含む連続相ポリマー繊維との組み合わせを含み;前記バインダー繊維は、ポリカーボネートコポリマー繊維、ポリアルキレンテレフタレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアミド繊維あるいはこれらの繊維の少なくとも1つを含む組み合わせを含む実施形態11に記載の繊維質層。
【0131】
実施形態13:前記第1の繊維は、ポリエーテルイミド補強繊維と液晶連続相ポリマー繊維との組み合わせを含み、前記バインダー繊維は、ポリカーボネートコポリマー繊維、ポリアルキレンテレフタレート繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアミド繊維あるいはこれらの繊維の少なくとも1つを含む組み合わせを含む実施形態11に記載の繊維質層。
【0132】
実施形態14:前記第1の繊維は、補強ポリエーテルイミドコアと連続相液晶シースを含む多成分繊維である実施形態11に記載の繊維質層。
【0133】
実施形態15:前記第1の繊維は、補強液晶ポリマーコアと連続相ポリエーテルイミドシースを含む多成分繊維である実施形態11に記載の繊維質層。
【0134】
実施形態16:懸濁溶媒に繊維組成物をキャスティングして層を形成するステップと、前記層から水を取り除くステップと、前記層を圧密化して前記圧密化繊維質マットを形成するステップと、を備える上述した実施形態のいずれかに記載の圧密化繊維質マットの形成方法。
【0135】
典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が可能でありその要素を均等物で置換できることは当業者には理解されるであろう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの変更を行って特定の状況や材料を本発明が教示するものに適応させられる。したがって、本発明は、その実施のために考慮された最良の実施形態として開示された特定の実施形態に限定されることなく、 特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものと意図される。