特許第6325970号(P6325970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6325970
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】事態対処活動支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20180507BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20180507BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   G06Q50/26
   G08B25/00 510C
   G08B27/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-233890(P2014-233890)
(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2016-99672(P2016-99672A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】千葉 政明
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−210681(JP,A)
【文献】 特開2013−134663(JP,A)
【文献】 特開2006−309637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G08B 23/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ設定された危険度に応じて、対象の領域を少なくとも危険区域、非危険区域、及び安全区域の3つを含む複数の活動区域に分割して遂行する事態対処活動に対する支援情報を提供する事態対処活動支援システムであって、
前記複数の活動区域におけるそれぞれの前記事態対処活動の現況情報を収集する現況情報収集手段と、
各種の前記事態対処活動の種類及び規模に対応した活動資源としての、代表的な活動人員数、資材量、及び機材量を含む資源情報があらかじめ蓄積された資源情報データベースと、
前記各活動区域からの現況情報を集約して表示するとともに、これらの現況情報、及び前記資源情報データベースに基づいて、前記各活動区域における活動資源の充足度を判定する増援判定手段と、
前記増援判定手段での判定結果に基づき前記活動資源の増減管理を含む支援情報を生成する支援情報生成手段と、
前記現況情報を集約するとともに、前記支援情報を配布する通信手段
とを備えたことを特徴とする事態対処活動支援システム。
【請求項2】
前記現況情報収集手段における前記危険区域からの現況情報は、危険の種類及び規模を含む危険の検知結果情報及び当該区域内の映像情報を含み、
前記非危険区域からの現況情報は、一次トリアージ情報、及び当該区域内の映像情報を含み、
前記安全区域からの現況情報は、二次トリアージ情報を含むとともに、
前記支援情報生成手段において生成される支援情報は、増援活動人員数、増援資材量、及び増援機材量、ならびに前記トリアージ情報に伴う増援救護情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の事態対処活動支援システム。
【請求項3】
さらに、前記非危険区域内に特定物質の検出センサを配置し、この検出センサの検出結果に基づいて警報を発する警報発生手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の事態対処活動支援システム。
【請求項4】
前記資源情報データベースには、前記特定物質を含む危険物質の特性情報とその応急処置情報が併せて蓄積され、さらに、これら情報を含む前記資源情報データベースを前記通信手段を介して参照する検索手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の事態対処活動支援システム。
【請求項5】
前記通信手段は、無線通信回線により構築されるとともに、回線断の発生時には、回線復帰までの間、通信対象の情報をそれぞれ送信側で一次保持し、回線復帰後に受信側と同期させることを特徴とする
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の事態対処活動支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、事態対処活動支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害現場等において発生している各種の事態に対処するにあたっては、例えば、危険物質等が存在したり、その飛散が推定される場合等は、あらかじめ定められた危険度に応じて、災害発生現場を対象に通行規制区域の設定が行われる。この区域の設定はゾーニングと呼ばれ、対象の現場はこのゾーニングによって、例えば危険度の高い順に、ホットゾーン、ウォームゾーン、及びコールドゾーン等に分割され、その境界が設定される。
【0003】
また、活動を遂行するに際しては、活動全体を管理・統括するための組織体制が構築され、例えば、現場指揮本部等がコールドゾーン内に設けられる。そして、設定されたそれぞれのゾーン内では、活動員の安全を確保しつつ、活動員によって活動要領に基づいた諸活動が実施される。例えば、危険度の高いホットゾーンにおいては、危険の検知及び排除活動や、傷病者の救護活動等が遂行され、ウォームゾーンではトリアージ活動や除染活動等が遂行される。また、コールドゾーンでは、ウォームゾーンから引き継ぐトリアージ活動、情報収集活動、広報活動、避難誘導活動等が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−163671号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】総務省消防庁、”平成24年度消防・救助技術の高度化等検討会中間報告書[別添資料]−化学災害又は生物災害時における消防機関が行う活動マニュアル(改訂版)”、[online]、[平成26年10月17日検索]、インターネットURL:http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h24/gijutsu_koudoka/chukan_houkokusho.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような事態対処活動においては、それぞれの活動現場の状況に応じて、人員、物資、機材等の活動資源が適切な規模で継続して提供されることが必要である。また、現場指揮本部と各ゾーンの活動員との間、及び活動員相互間で的確かつ迅速に種々の情報伝達を行っていく必要があるが、状況が時々刻々変化する厳しい活動環境の中では、必ずしもタイムリーな伝達がなされず、また、貴重なデータ等が消失してしまう虞もある。このため、現場での状況が時々刻々変化していく状況のなかで、必ずしも現場からの情報が十分ではなく、タイムリーに伝達されずとも、現場からの少ない情報を生かしつつ、常に適正な活動資源の充足状況を継続して見極め、現場活動を支援することが望まれていた。
【0007】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、適正な活動資源をタイムリーに確保して、円滑かつ迅速な事態対処活動を継続するための支援情報を生成する事態対処活動支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本実施形態の事態対処支援システムは、あらかじめ設定された危険度に応じて、対象の領域を少なくとも危険区域、非危険区域、及び安全区域の3つを含む複数の活動区域に分割して遂行する事態対処活動に対する支援情報を提供する事態対処活動支援システムであって、前記複数の活動区域におけるそれぞれの前記事態対処活動の現況情報を収集する現況情報収集手段と、各種の前記事態対処活動の種類及び規模に対応した活動資源としての、代表的な活動人員数、資材量、及び機材量を含む資源情報があらかじめ蓄積された資源情報データベースと、前記各活動区域からの現況情報を集約して表示するとともに、これらの現況情報、及び前記資源情報データベースに基づいて、前記各活動区域における活動資源の充足度を判定する増援判定手段と、前記増援判定手段での判定結果に基づき前記活動資源の増減管理を含む支援情報を生成する支援情報生成手段と、前記現況情報を集約するとともに、前記支援情報を配布する通信手段とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る事態対処支援システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図2図1に例示した事態対処支援システムの機器構成の一例を示すブロック図。
図3】各ゾーンでの情報収集事項の代表的な一例を示す図。
図4】ホットゾーンに対する増援判定及び支援情報生成処理の一例を示す処理ブロック図。
図5】ウォームゾーンに対する増援判定及び支援情報生成処理の一例を示す処理ブロック図。
図6】コールドゾーンに対する増援判定及び支援情報生成処理の一例を示す処理ブロック図。
図7】情報処理装置80を実現するためのコンピュータシステムの構成の一例を示すブロック図。
図8】本実施形態に係る事態対処支援システムの代表的な動作を説明するためのフローチャート。
図9】無線LANネットワークによる情報伝達の一側面を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本実施形態に係る事態対処活動支援システムを実施するための最良の形態について、図1図9を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施形態に係る事態対処支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例においては、事態対処活動の対象領域を、危険区域に相当するホットゾーン、非危険区域に相当するウォームゾーン、及び安全区域に相当するコールドゾーンの3つの活動区域に分割し、コールドゾーン内に現場指揮本部が設置されているものとしている。
【0012】
図1に例示したように、この事態対処支援システム1は、分割された各活動領域において現況情報を収集する現況情報収集機能10、現況情報収集機能10で収集された情報と、あらかじめ事態対処活動の種類及び規模に対応した資源情報が蓄積された資源情報データベース20とに基づいて、各活動区域における活動資源の充足度を判定する増援判定機能30、増援判定機能30での判定結果に基づいて、活動資源の増減管理についての支援情報を生成する支援情報生成機能40、ウォームゾーン内に配置された特定物質の検出センサ50の検出結果に基づいて警報を発する警報発生機能60、及び各機能間のデータ授受を担う通信機能70(図1中の各矢線)を備えている。
【0013】
また、図2は、上述した事態対処支援システム1を、活動現場に展開した際の機器構成の一例を示すブロック図である。図2に例示した機器構成においては、現況情報収集機能10として、ホットゾーン内に情報端末(1)11、及びネットワークカメラ(1)12、ウォームゾーン内に情報端末(2)13、ネットワークカメラ(2)14、及び検出センサ50としての化学センサ51、ならびにコールドゾーン内に情報端末(3)15を備えている。また、資源情報データベース20を保持し、増援判定機能30、支援情報生成機能40、及び警報発生機能60の各機能を実現する情報処理装置80を備えている。さらに、通信機能70として、ホットゾーン内に無線LAN機器(1)71、ウォームゾーン内に無線LAN機器(2)72、及びコールドゾーン内に無線LAN機器(3)73を備えており、これらの機器で無線LANネットワークを構築している。
【0014】
情報端末(1)11、情報端末(2)13、及び情報端末(3)15は、例えば、各ゾーン内において活動する各活動員がそれぞれに携行する携帯型の端末であり、各活動員によって操作される、ゾーン内の現況情報の入力操作を受けつけて、無線LANネットワーク経由で情報処理装置80や、他の情報端末を含むシステム内の各部に送出するとともに、後述の支援情報や、他の情報端末からの各種情報を受け取って表示する。
【0015】
本実施例において入力される現況情報は、ホットゾーン内の情報端末(1)11からは、危険の種類及びその規模を含む危険の検知結果を含み、ウォームゾーン内の情報端末(2)13からは、一次のトリアージ情報、コールドゾーン内の情報端末(3)15からは、二次のトリアージ情報をそれぞれ含むものとしている。なお、各ゾーンでは、これらの情報に加え、種々の情報が収集されて情報処理装置80に送出される。これら種々の情報収集事項の代表的な一例を図3に示す。
【0016】
ネットワークカメラ(1)12、及びネットワークカメラ(2)14は、それぞれのゾーン内の所定の位置に無人で作動するように配置され、ゾーン内を継続して撮像し、リアルタイム映像として無線LANネットワーク経由で情報処理装置80に送出する。化学センサ51は、あらかじめ指定された特定物質を検出するためのセンサであり、ウォームゾーン内に無人で作動するように配置され、検出結果を無線LANネットワーク経由で情報処理装置80に送出する。
【0017】
情報処理装置80は、本実施例においては、コールドゾーン内の現場指揮本部に配置されており、各ゾーンにおいて収集されたリアルタイムの映像を含む現況情報を表示する。また、資源情報データベース20を内部に保持するとともに、増援判定機能30、支援情報生成機能40、及び警報発生機能60の各機能処理を実現して、このシステムの中枢を担う。
【0018】
資源情報データベース20は、災害に対する対処等、各種の事態対処活動の種類及び事態や活動の規模に対応して必要となる、活動資源の代表的な規模が蓄積されたデータベースである。活動資源としては、活動人員数、資材及び機材の種類及び量を含む。また、これらの活動資源に関する情報に加え、本実施例においては、各種の危険物質等の特性情報、及び危険物質に対する応急処置情報も蓄積されており、無線LANネットワーク経由で各情報端末からも参照可能としている。
【0019】
増援判定機能20は、各ゾーンから送られてくる現況情報を集約して対処中の事態の規模を推定するとともに、その結果に基づいて資源情報データベース20を参照し、各ゾーンに投入されている活動資源の充足度を判定する。また、これにつづく支援情報生成手段30は、この充足度の判定結果に基づいて、特に、充足度が十分ではない、あるいは不足している活動資源、すなわち活動人員数や資機材等の増援についての情報、及びトリアージ情報に伴う医療・救護の増援についての情報を支援情報として編集する。そして、この支援情報を、無線LANネットワーク経由で各ゾーンの情報端末、及び外部の関係機関に配布し、情報展開を行う。
【0020】
増援判定から支援情報の生成に至る一連の処理ブロック図を、図4図6に例示する。図4はホットゾーン、図5はウォームゾーン、図6はコールドゾーンについて、それぞれ現況情報を入力して増援判定を行い、支援情報の出力に至る処理を、各ゾーン毎に例示している。
【0021】
さらに、情報処理装置80は、化学センサ51からの検出結果を受けとり、その検出結果に基づいて、ウォームゾーンにおけるゾーンの危険度の上昇を監視するとともに、危険度が上昇した場合には警報を発生し、無線LANネットワーク経由で警報メッセージを配信する。
【0022】
上述した情報処理装置80が実現する各機能処理は、例えば可搬型に構成されたパーソナルコンピュータ等、汎用的に用いられるコンピュータ上に、ソフトウェア化してインプリメントすることができる。このようなコンピュータシステムの構成の一例を図7に示す。このコンピュータシステムは、CPU91、メモリ92、入力装置93、出力装置94、通信インターフェイス95、HDD96、及び外部記憶装置97から構成されている。
【0023】
CPU91は、このコンピュータシステム全体の制御を行うものであり、メモリ92上に展開されたプログラムに従って、各種の機能を実現するための処理を実行する。この処理の中には、増援判定処理、支援情報生成処理、及び警報出力処理に加え、活動員による各種の操作を受け付ける操作処理、現況情報を表示する表示処理、無線LANネットワーク経由で各種の情報を授受する通信処理等も含まれる。
【0024】
入力装置93は、例えばキーボードやマウス等からなり、活動員が行う各種操作や、このコンピュータシステムの動作に必要な各種操作を受けつける。出力装置94は、例えばLCD表示器やプリンタ等からなり、各種操作に伴う表示や、各種情報処理結果に伴う表示・印刷等を行う。現況情報は、例えばこの出力装置94に該当する表示器等に表示される。通信インターフェイス95は、無線LANネットワーク経由で各種の情報を授受するための、無線LAN機器(3)73とのインターフェイス部である。
【0025】
HDD96は、この情報処理装置80の各種機能を実現するためのプログラムを含む、各種の応用プログラムや基本プログラムが記憶・格納されている。これらのプログラムは、実行時にメモリ92に転送されて実行される。外部記憶装置97は、大容量の記憶装置であり、各種処理結果や記録の蓄積等を含む各種データを記憶する。資源情報データベース20も、この外部記憶装置97に記憶・蓄積される。
【0026】
無線LANネットワークを構築している無線LAN機器(1)71、無線LAN機器(2)72、及び無線LAN機器(3)73は、配置されたそれぞれのゾーン内で各情報端末が収集した現況情報、及び生成された支援情報を含む各種の情報を、それぞれに接続された機器間で相互に授受するとともに、外部の機関等との間でも情報の授受を可能にしている。これらの各無線LAN機器は、ゾーン間の無線接続には指向性アンテナを用い、ゾーン内での情報端末との接続には無指向性アンテナを用いるとともに、ゾーン間とゾーン内とで異なる周波数帯域を利用して、通信の安定性を確保している。さらに、回線断が発生した際には、その復帰までの間、送信側において通信メッセージを一時保持しておき、回線の復旧後に送信側及び受信側の双方で同期処理を行うことによって、通信メッセージの欠落を防止している。
【0027】
次に、前出の図1図7、ならびに図8のフローチャートを参照して、上述のように構成された本実施形態の事態対処活動支援システム1の動作について説明する。以下の説明では、動作の代表的な事例として、各ゾーンの情報端末から、それぞれのゾーンの現況情報が現場指揮本部に配置された情報処理装置80に集約され、情報処理装置から各種の支援情報が生成されて配信される場面を取り上げて説明する。
【0028】
まず、事態対処活動の開始・進捗に伴って、設定された各ゾーンにおいて、活動員により現況情報が収集される。すなわち、ホットゾーンにおいては、危険の種類及び規模等を含む危険の検知結果情報等が収集される。収集された情報は、情報端末(1)11に入力され、無線LANネットワークを経由して情報処理装置80に送られる。併せて、ネットワークカメラ(1)12で撮像されたゾーン内のリアルタイム映像も、同様に情報処理装置80に送られる(ST801)。
【0029】
また、ウォームゾーンにおいては、情報端末(2)13に一次のトリアージ情報を含む現況情報等が入力され、ネットワークカメラ(2)14で撮像されたリアルタイム映像とともに、情報処理装置80に送られる(ST802)。加えて、ウォームゾーン内に配置されている化学センサ51による特定物質の検出結果も情報処理装置80に送出される(ST803)。さらに、コールドゾーンにおいても情報端末(3)15に二次のトリアージ情報を含む現況情報等が入力され、情報処理装置80に送られる(ST804)。
【0030】
次いで、情報処理装置80において、増援判定が行われる。すなわち、各ゾーンからのリアルタイム映像を含む現況情報は、情報処理装置80に集約され、表示される。そして、図4図6に例示したように、それぞれの現況情報から各ゾーンで対処中の事態の規模を推定し、その結果に基づき資源情報データベース20を参照する。資源情報データベース20には、事態対処活動の種類や活動の規模等に対応した、活動資源の代表的な規模が蓄積されており、これらと各ゾーンに投入されている活動資源とを比較することによって、活動資源に対する充足度を判定する。(ST805)。
【0031】
次いで、この充足度の判定の結果に基づいて、支援情報を生成する。すなわち、活動人員数や資機材の活動資源の不足や、トリアージ情報に基づく医療・救護の不足等、充足度が十分ではない状況に関する情報を、その処置状況や途中状況等も含め支援情報として継続的に編集する(ST806)。そして、編集された支援情報は、無線LANネットワークを経由して、各ゾーンの情報端末、及び関連のある増援関係機関等、外部にも配信される(ST807)。
【0032】
加えて、情報処理装置80においては、化学センサ51による特定物質の検出結果に基づいて、ウォームゾーンの危険度が監視され、その危険度が上昇した場合には、各情報端末、及び外部の機関等に対しても警報が発せられる(ST808)。そして、この後は、動作の終了が指示されるまで、上記の動作ステップをくり返す(ST809)。
【0033】
図9は、この事態対処活動支援システム1の事態対処活動現場における運用場面の中で、無線LANネットワークによる情報伝達についての側面を取り上げた説明図である。本システムにおいては、事態対処活動の現場に無線LANネットワークを構築し、その活用を背景にして、上述のように現況情報の集約、及びそれに基づく支援情報の配信を一層的確かつ迅速に行い、支援情報の円滑な提供を実現している。
【0034】
以上説明したように、本実施例においては、事態対処活動中の各活動区域にて収集した現況情報を現場指揮本部に配置された情報処理装置80に集約し、事態の規模を推定するとともに、活動を遂行・継続する上での活動資源の状況について、資源情報データベース20に基づいてその充足度を評価し、継続的に増援判定を行っている。そして、充足度が十分ではない活動資源や救護等の対処活動があると判定された場合には、これら判定結果に基づいて、情報処理装置80は、適正な活動資源を確保するための増援情報を中心に支援情報を生成し、無線通信ネットワークを通じて各活動区域、及び関連のある増援機関等に配布している。また、情報処理装置80内の資源情報データベース20には、各種の危険物質等の特性情報、及び危険物質に対する応急処置情報も蓄積されており、各活動区域内の活動現場から無線LANネットワークを経由して、これら情報の参照を可能にしている。
【0035】
これによって、適正な活動資源の確保が迅速かつタイムリーに行われ、円滑かつ迅速な事態対処活動を継続するための支援情報を提供する事態対処活動支援システムを得ることができる。
【0036】
なお、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 事態対処活動支援システム
10 現況情報収集機能
11、13、15 情報端末
12、14、 ネットワークカメラ
20 資源情報データベース
30 増援判定機能
40 支援情報生成機能
50 検出センサ
51 化学センサ
60 警報発生機能
70 通信機能
71、72、73 無線LAN機器
80 情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9