(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚又は軟部組織の欠損部分の再生手術において、欠損部分に移植する皮膚を人体から採取するのに用いられる組織拡張器が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この組織拡張器は、袋状体と注入ポートとチューブとを備えている。チューブを介して袋状体と注入ポートとが繋がれている。注射器の針を注入ポートに刺し、注射器内の生理食塩水を注入ポートへ注入すると、生理食塩水が注入ポートからチューブを通じて袋状体へ送られ、袋状体が膨らむように構成されている。
【0004】
1回目の手術で、例えば、顎の皮膚を切開して、顎の皮膚の裏側に組織拡張器を留置する。このとき、拡張させたい皮膚の裏側に組織拡張器の袋状体がくるように配置する。その後、組織拡張器を皮膚の裏側に留置させた状態で皮膚を縫い合わせることにより、1回目の手術が終了する。
【0005】
1回目の手術後、注射器を用いて人体外から生理食塩水を組織拡張器の袋状体へ送り、袋状体を膨らませることにより、顎の皮膚を拡張させる。
【0006】
2回目の手術で、この拡張した顎の皮膚を切除すると同時に組織拡張器を除去し、切除した皮膚を上述した欠損部分に移植する。これにより、欠損部分の再生が図られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の組織拡張器の場合、拡張させたい皮膚の近くに骨等の硬組織がないと、皮膚を十分に拡張することができないという問題があった。例えば、腹部、臀部、又は大腿部は、上述した顎の場合に比べて、皮膚と骨との間の軟部組織が厚い。これらの部位の皮膚の裏側に組織拡張器を設置した場合、
図9に示すように、組織拡張器の袋状体(100)を膨らませようとしても、皮膚(120)の反発力を受けて袋状体(100)自体が人体の内側(軟部組織(110)側)へ沈み込んでしまい、皮膚(120)を確実に拡張することができなかった。
【0009】
本発明は、従来の前記問題点に鑑みてなされたものであり、皮膚を確実に拡張させることが可能な組織拡張器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、皮膚(20)の裏面に固定された固定部材(15)と、前記皮膚(20)の裏面と前記固定部材(15)との間で保持される袋状体(14)とを備え、前記袋状体(14)は、前記皮膚(20)の裏面と前記固定部材(15)との間で膨張することにより前記皮膚(20)を拡張させる組織拡張器である。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記固定部材(15)は、前記袋状体(14)から外側へ延びる鍔部(17)を有し、前記固定部材(15)の鍔部(17)は、前記皮膚(20)の裏面から造成する線維性の被膜(21)が癒着する癒着部(19)を備えている。
【0012】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記固定部材(15)には、前記癒着部(19)の表面と前記皮膚(20)の裏面とが隣接するように前記固定部材(15)を前記皮膚(20)に縫い付ける糸(27)が通る糸孔(26)が形成されている。
【0013】
また、第4の発明は、第3の発明において、前記固定部材(15)の糸孔(26)は、前記袋状体(14)が接触する前記鍔部(17)の内周縁部を貫通して形成されている。
【0014】
また、第5の発明は、第2から第4の何れか1つの発明において、前記固定部材(15)の癒着部(19)は、表面に複数の突起(18)が形成されている。
【0015】
また、第6の発明は、第2から第4の何れか1つの発明において、前記固定部材(15)の癒着部(19)は、表面に複数の窪み(30)が形成されている。
【0016】
また、第7の発明は、第5の発明において、前記癒着部(19)の突起(18)は、基端側から先端側へ向かって断面積が拡大する部分を少なくとも一部に有する先端部(23)を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固定部材を皮膚の裏面に固定して、固定部材と皮膚との間に袋状体を保持させるようにしたので、袋状体が固定部材と皮膚との間で膨らんで皮膚の反発力で人体の内側へ沈み込もうとする場合でも、その沈み込もうとする袋状体を固定部材で受け止めて保持することができる。これにより、袋状体を確実に皮膚側へ膨出させることができ、皮膚を確実に拡張させることができる。
【0018】
このように、袋状体が膨らんでも組織拡張器が沈み込まないので、従来の組織拡張器では、十分に皮膚を拡張することができなかった部位(皮膚の裏側に比較的に厚い軟部組織を有する腹部、臀部、又は大腿部等)の皮膚を確実に拡張させることができる。
【0019】
また、第2の発明によれば、固定部材に鍔部を設けることにより、体内の異物に反応して皮膚の裏面から造成する線維状の被膜が鍔部に癒着しやすくなり、この被膜を介して皮膚の裏面に固定部材をしっかりと固定することができる。
【0020】
また、第3の発明によれば、固定部材に糸孔を形成することにより、糸孔に糸を通して、鍔部の癒着部の表面と皮膚の裏面とが隣接するように固定部材を皮膚に縫い付けることができるようになり、上述した繊維状の被膜がしっかりと鍔部に癒着するまでの間、固定部材を皮膚に仮止めすることができる。また、被膜が鍔部にしっかりと癒着していない状態で袋状体を膨らませてしまった場合において、組織拡張器の沈み込みを防止することができる。
【0021】
また、第4の発明によれば、鍔部の内周縁部に糸孔を配置することにより、糸孔に糸を通して固定部材を皮膚に縫い付けるとき、鍔部の内周縁部に皮膚を引き寄せることができる。これにより、被膜を鍔部の内周縁部にも確実に癒着させることができる。仮に、被膜が鍔部の外周縁部にしか癒着していなかったとすると、被膜が内周縁部まで癒着している場合に比べて、癒着部分と袋状体との隙間が大きくなる。隙間が大きくなればなるほど、袋状体が膨らんだときに袋状体の周囲の皮膚が袋状体側へ引き寄せられてしまい、皮膚が十分に拡張されなくなる。本発明によれば、癒着部分と袋状体との隙間を小さくすることができるので、袋状体が膨らんだときに皮膚を十分に拡張することができる。
【0022】
また、第5の発明によれば、鍔部に突起を形成することにより、鍔部の癒着面を拡大させることができ、突起がない場合に比べて、より多くの被膜を癒着させることができる。また、複数の突起を設けることにより、被膜を突起と突起との隙間に入り込ませることができる。隙間に入り込んだ被膜は抜けにくいため、固定部材を皮膚により強く固定させることができる。
【0023】
また、第6の発明によれば、鍔部に窪み部を形成することにより、上述した突起と同様に、鍔部の癒着面を拡大させることができる。また、窪みの内部に入り込んだ被膜は抜けにくいため、固定部材を皮膚により強く固定させることができる。
【0024】
また、第7の発明によれば、突起の先端を基端よりも大きくすることにより、線維性の被膜が突起に引っかかりやすくすることができ、固定部材を皮膚により一層強く固定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
本発明の実施形態に係る組織拡張器(10)は、皮膚又は軟部組織の欠損部分の再生手術において、欠損部分に移植する皮膚を人体から採取するために用いられるものである。この組織拡張器(10)は、
図1(A)及び
図1(B)に示すように、本体部(11)、注入ポート(12)、及びチューブ(13)を備えている。これらは全てシリコン製である。これらは別体で構成され、組織拡張器(10)として使用する際に、本体部(11)と注入ポート(12)とをチューブ(13)で繋いで組み立てる。
【0028】
本体部(11)は、袋状体(14)と、固定部材としての底板(15)とを備えている。袋状体(14)は、一方向へ伸縮自在な筒部(16a)を備えている。筒部(16a)の両端開口部は、筒部(16a)の伸縮方向に対向する一対の面(16b,16c)により閉塞されている。一対の面(16b,16c)のうち一方の面(16c)に底板(15)が固定されている。他方の面(16b)は、袋状体(14)が膨らんだときに皮膚の裏面を押す押圧面となる。
【0029】
底板(15)は、平面視で丸みを帯びた四隅を有する形状である。また、底板(15)は、平面視で袋状体(14)よりも大きく形成されている。底板(15)の表面の略中央部に袋状体(14)が固定されている。そして、底板(15)の中央部よりも外周側の部分が鍔部(17)である。この鍔部(17)には、複数の突起(18)を備えた癒着部(19)が形成されている。
【0030】
この癒着部(19)の表面には、組織拡張器(10)を皮膚(20)の裏側に留置したときに人体内の異物(組織拡張器(10))に反応して皮膚(20)の裏面から造成する線維状の被膜(21)が癒着する。底板(15)は、この癒着部(19)を介して皮膚(20)の裏面にしっかりと固定される。
【0031】
また、癒着部(19)の突起(18)は、
図2に示すように、円柱部(22)と、円柱部(22)の端面から連続して形成され且つ基端側から先端側へ行くに従って断面積が拡大する先端部(23)とを備えている。この先端部(23)の外周面は略円錐状に形成され、先端部(23)の先端側の端面は円形である。複数の突起(18)は、各々の先端部(23)同士が接触しないように互い間隔を開けて配置されている。先端部(23)同士を接触させてしまうと、繊維状の被膜(21)が突起(18)間に入り込みにくくなるからである。
【0032】
また、底板(15)は、組織拡張器(10)を一定期間体内に留置したときに、底板(15)の裏面と人体内組織の表面とがフィットするくらいの柔らかさである。これにより、底板(15)と人体内組織との間に死腔が形成されず、死腔による感染の危険性を小さくすることができる。但し、底板(15)が柔らかすぎると、袋状体(14)が膨らんだときに変形してしまうので、底板(15)は、袋状体(14)が膨らもうとするときの皮膚(20)の反発力に対して変形しない程度の柔らかさに設定されている。底板(15)は、その弾性係数が皮膚(20)の弾性係数よりも小さく硬いのが好ましい。
【0033】
また、底板(15)には、中央部を貫通して袋状体(14)の内部に開口する差込口(40)が形成されている。チューブ(13)の一端が差込口(40)に挿入固定される。チューブ(13)の他端は、注入ポート(12)の底部に形成された差込口(41)に挿入固定される。この注入ポート(12)は、直径2cm程度の半球状に形成されている。この注入ポート(12)の半球面に注射器の針を刺しても、注射器内の生理食塩水が注入ポート(12)から外側へ漏れ出さない構造になっている。注射器から注入ポート(12)へ送られた生理食塩水は、チューブ(13)を通じて袋状体(14)の内部へ注入される。
【0034】
(組織拡張器を用いた再生手術)
次に、組織拡張器(10)を用いた再生手術について説明する。
【0035】
まず、腹部の皮膚(20)を切開して皮下を剥離して皮膚(20)の裏側に皮下ポケット(24)を形成する。次に、組織拡張器(10)を組み立てた後に組織拡張器(10)の動作確認を行う。その後、
図3に示すように、袋状体(14)が収縮した状態の組織拡張器(10)を皮下ポケット(24)に配置する。このとき、組織拡張器(10)の袋状体(14)の押圧面が皮膚(20)の裏面に対向するように配置する。そして、切開した皮膚(20)を縫い合わせることにより1回目の手術が終了する。
【0036】
1回目の手術後、人体内の異物に反応して皮膚(20)の裏面から繊維状の被膜(21)が鍔部(17)へ向かって造成される。そして、被膜(21)が鍔部(17)の癒着部(19)に癒着する。このように、袋状体(14)の外側に鍔部(17)を形成することにより、被膜(21)が鍔部(17)に癒着しやすくなり、この被膜(21)を介して皮膚(20)の裏面に底板(15)を固定させることができる。
【0037】
また、癒着部(19)の突起(18)により、癒着部(19)の表面積が拡大し、より多くの被膜(21)を癒着させることができる。これにより、皮膚(20)の裏面に底板(15)をしっかりと固定させることができる。また、手術後1ヶ月程度で、
図4に示すように被膜(21)が癒着部(19)の表面の突起(18)と突起(18)との間に入り込む。隙間に入り込んだ被膜(21)は抜けにくいため、底板(15)を皮膚(20)の裏面に、より強く固定させることができる。また、癒着部(19)の突起(18)の先端を先端部(23)によって拡大させることにより、被膜(21)が突起(18)に引っかかり易くなり、底板(15)を皮膚(20)に、より一層強く固定させることができる。
【0038】
尚、この突起(18)の形状は、被膜(21)が引っかかり易い形状がよいが、引っかかりの度合いが強すぎると、後述する2回目の手術の終了後に皮膚(20)の裏面から組織拡張器(10)を取り外しにくくなる。この突起(18)は、鍔部(17)と同様にシリコン製で形成されている。組織拡張器(10)を引っ張ったとき、突起(18)が変形して組織拡張器(10)が取り外し易くなる形状が好ましい。具体的には、突起(18)の円柱部(22)の高さ(
図2のh)が6〜7mm、円柱部(22)の直径(
図2のd1)が2〜3mm、先端部(23)の先端面の直径(
図2のd2)が5mmのものがよい。また、本実施の形態では、先端部(23)の外周面(35)を円錐面とすることにより、皮膚(20)の裏面から組織拡張器(10)を取り外し易くしている。
【0039】
その後、腹部に注射器の針を刺して、組織拡張器(10)の注入ポート(12)に針の先端を挿入させる。そして、注射器内の生理食塩水を注入ポート(12)からチューブ(13)を通じて袋状体(14)へ注入することにより、袋状体(14)を膨らませる。この注入作業は、月2回程度行われる。
【0040】
注入作業が終了すると、
図5に示すように、膨らんだ袋状体(14)により腹部の皮膚(20)が拡張する。従来の組織拡張器(10)は固定部材を備えていないので、袋状体(14)を膨らませたときに、組織拡張器(10)が内側に沈みこんでしまい、皮膚(20)を十分に拡張することができなかったが(
図9を参照)、本実施形態の組織拡張器(10)は、固定部材としての底板(15)を皮膚(20)の裏面に固定して、底板(15)と皮膚(20)との間に袋状体(14)を保持させるようにしたので、袋状体(14)が底板(15)と皮膚(20)との間で膨らんで皮膚(20)の反発力で人体の内側へ沈み込もうとする場合でも、その沈み込もうとする袋状体(14)を底板(15)で受け止めて保持することができる。これにより、袋状体(14)を確実に皮膚(20)側へ膨出させることができ、皮膚(20)を確実に拡張させることができる。
【0041】
2回目の手術で、腹部の拡張した皮膚(20)を切除する。この切除した皮膚(20)を欠損部分に移植する。そして、皮下ポケット(24)から組織拡張器(10)を取り出す。ここで、組織拡張器(10)の鍔部(17)の突起(18)は弾力性のあるシリコンで形成されているので、ある程度の力で引っ張ると、その引張力によって突起(18)が変形することにより、皮膚(20)の裏面から組織拡張器(10)を容易に取り外すことができる。その後、切開した部分の皮膚(20)と皮膚(20)を縫い合わせることにより、再生手術が終了する。
【0042】
(一実施の形態の変形例1)
図6に示す変形例1の組織拡張器(10)は、上述した一の実施の形態とは違い、底板(15)の鍔部(17)に複数の糸孔(26)が形成されている。この糸孔(26)に糸(27)を通して、鍔部(17)の癒着部(19)の表面と皮膚(20)の裏面とが隣接するように底板(15)を皮膚(20)に縫い付けることができるようになり、上述した繊維状の被膜(21)がしっかりと鍔部(17)に癒着するまでの間、底板(15)を皮膚(20)に仮止めすることができる。また、被膜(21)が鍔部(17)にしっかりと癒着していない状態で袋状体(14)を膨らませてしまった場合において、組織拡張器(10)の沈み込みを防止することができる。
【0043】
尚、再生手術の1回目の手術の際には、皮膚(20)を切開した後に、皮膚(20)の裏面に糸(27)をかけておき、組織拡張器(10)を皮下ポケット(24)に配置した後に、その糸(27)を鍔部(17)の糸孔(26)に通して組織拡張器(10)を固定する。
【0044】
また、変形例1では、糸孔(26)を鍔部(17)の内周縁部に配置するようにした。具体的には、一対の糸孔(26)が6つ、内周縁部の周方向に間隔を開けて配置されている。尚、糸孔(26)の個数は単なる例示であり、その個数を限定するものではない。
【0045】
このように、鍔部(17)の内周縁部に糸孔(26)を配置することにより、糸孔(26)に糸(27)を通して固定部材を皮膚(20)に縫い付けるとき、鍔部(17)の内周縁部に皮膚(20)を引き寄せることができる。これにより、被膜(21)を鍔部(17)の内周縁部にも確実に癒着させることができる。
【0046】
仮に、被膜(21)が鍔部(17)の外周縁部にしか癒着していなかったとすると、被膜(21)が内周縁部まで癒着している場合に比べて、癒着部分と袋状体(14)との隙間(
図5のSを参照)が大きくなる。隙間(S)が大きくなればなるほど、袋状体(14)が膨らんだときに袋状体(14)の周囲の皮膚(20)が袋状体(14)側へ引き寄せられてしまい、皮膚(20)が十分に拡張されなくなる。
【0047】
これと似た状態は、従来の組織拡張器の袋状体(100)を硬組織(130)の上側に置いて膨らませた場合にも生じる(
図10を参照)。従来の組織拡張器の場合、硬組織(130)の上側に置かれているので沈み込みはないが、袋状体(100)の周囲の皮膚(120)が袋状体(100)側へ引き寄せられてしまい、皮膚(120)が十分に拡張されない。
【0048】
変形例1によれば、
図7に示すように、被膜(21)の癒着部分と袋状体(14)との隙間(S)を狭くすることができるので、袋状体(14)が膨らんだときに皮膚(20)を十分に拡張させることができる。
【0049】
(一実施の形態の変形例2)
図8に示す変形例2の組織拡張器(10)は、一実施の形態及び変形例1の組織拡張器(10)の鍔部(17)の突起(18)に代わって、窪み(30)が形成されている。これにより、癒着部(19)の表面積を拡大して、より多くの被膜(21)を癒着部(19)に癒着させることができる。この結果、皮膚(20)の裏面に底板(15)をしっかりと固定させることができる。また、窪み(30)の内部に被膜(21)が入り込むことにより、被膜(21)が窪み(30)から抜けにくくなるため、底板(15)を皮膚(20)の裏面により強く固定させることができる。
【0050】
また、この窪み(30)は、その内径が底側へ行くに従って大きくなる拡大部(31)を有している。これにより、被膜(21)が拡大部(31)の内面に引っかかって外れにくくなり、底板(15)を皮膚(20)の裏面により一層強く固定させることができる。
【0051】
(その他の実施の形態)
一実施の形態及び変形例1又は2では、組織拡張器(10)を腹部に配置したが、これに限定されず、拡張させたい皮膚(20)の近くに骨等の硬組織がない部位、例えば大腿部、臀部又は乳房等に配置してもよい。この場合であっても、組織拡張器(10)を沈み込ませることなく皮膚(20)を確実に拡張させることができる。
【0052】
また、一実施の形態及び変形例1又は2では、組織拡張器(10)を腹部に配置したが、これに限定されず、拡張させたい皮膚(20)の近くに骨等の硬組織がある部位に設置してもよい。この場合であっても、従来の組織拡張器(10)に比べて、被膜(21)の癒着部分と袋状体(14)との隙間(S)を狭くすることができるので、袋状体(14)が膨らんだときに皮膚(20)を十分に拡張させることができる。
【0053】
また、一実施の形態及び変形例1又は2では、袋状体(14)へ生理食塩水を注入することにより膨らませていたが、これに限定されず、袋状体(14)が時間の経過とともに自己膨張するものであってもよい。この場合であっても、固定部材と皮膚(20)の間に袋状体(14)を保持することができ、袋状体(14)の膨張によって皮膚(20)を十分に拡張させることができる。
【0054】
また、一実施の形態及び変形例1又は2では、袋状体(14)の膨らんだ形状が筒状のものであったが、これに限定されず、その膨らんだ形状が半球状、涙滴状、三日月状のものであってもよい。また、袋状体(14)の側周壁が蛇腹状のものでもよい。蛇腹の数は、1つ又は複数であってもよい。
【0055】
また、一実施の形態及び変形例1では、組織拡張器(10)の鍔部(17)の突起(18)の先端部(23)の外周面(35)が円錐状になっていたが、これに限定されず、基端側から先端側へ向かって断面積が拡大する部分を全体又は一部に有するものであればよく、例えば、球状、又は半球状であってもよい。この場合でも、被膜(21)が突起(18)に引っかかって易くなって、底板(15)を皮膚(20)により一層強く固定させることができる。
【0056】
また、変形例2では、鍔部(17)に窪み(30)を設けて、癒着部(19)の表面積を拡大させたが、これに限定されず、例えば、窪み(30)に代えて貫通孔を形成することにより、癒着部(19)の表面積を拡大させてもよい。
【0057】
尚、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。