特許第6326049号(P6326049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧 ▶ メモリーテック・ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6326049-再生装置 図000002
  • 特許6326049-再生装置 図000003
  • 特許6326049-再生装置 図000004
  • 特許6326049-再生装置 図000005
  • 特許6326049-再生装置 図000006
  • 特許6326049-再生装置 図000007
  • 特許6326049-再生装置 図000008
  • 特許6326049-再生装置 図000009
  • 特許6326049-再生装置 図000010
  • 特許6326049-再生装置 図000011
  • 特許6326049-再生装置 図000012
  • 特許6326049-再生装置 図000013
  • 特許6326049-再生装置 図000014
  • 特許6326049-再生装置 図000015
  • 特許6326049-再生装置 図000016
  • 特許6326049-再生装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326049
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】再生装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/125 20120101AFI20180507BHJP
   G11B 7/004 20060101ALI20180507BHJP
   G11B 7/005 20060101ALI20180507BHJP
   G11B 7/007 20060101ALI20180507BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20180507BHJP
   G11B 20/14 20060101ALI20180507BHJP
   G11B 20/18 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   G11B7/125
   G11B7/004 C
   G11B7/005 A
   G11B7/007
   G11B20/10 321Z
   G11B20/14 341B
   G11B20/18 501C
   G11B20/18 512Z
   G11B20/18 572C
   G11B20/18 572F
   G11B20/18 574H
【請求項の数】3
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-527195(P2015-527195)
(86)(22)【出願日】2014年4月8日
(86)【国際出願番号】JP2014060193
(87)【国際公開番号】WO2015008514
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2015年11月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-147776(P2013-147776)
(32)【優先日】2013年7月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595047020
【氏名又は名称】メモリーテック・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田島 秀春
(72)【発明者】
【氏名】山本 真樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 博久
(72)【発明者】
【氏名】中 峻之
(72)【発明者】
【氏名】小西 正人
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/008434(WO,A1)
【文献】 特開2013−122806(JP,A)
【文献】 特表2007−519143(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/051246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/125
G11B 7/004
G11B 7/005
G11B 7/007
G11B 20/10
G11B 20/14
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含むピット群によりコンテンツが記録された光情報記録媒体から、当該コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部と、
上記照射部によって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号に変換する変換部と、
上記変換部によって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価部と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部と、を備えており、
上記信号品質評価部は、
上記再生信号の信号特性に対する評価指標であるi−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Estimation)を検出して、上記再生信号の品質を評価するi−ML
SE検出部であることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
再生光の入射側から順に、当該再生光が入射される入射面を有する透光層と、再生光を反射し情報を再生するための情報記録層と、走査方向において、再生装置が有する光学系解像限界である119nmより短い長さのピットを含むピット群が設けられた基板とが配され、当該ピット群によって上記情報記録層にコンテンツが記録されている光情報記録媒体に、開口数が0.85である対物レンズを介して、波長が405nmである再生光を照射することによって、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部と、
上記照射部によって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号に変換する変換部と、
上記変換部によって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価部と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部と、を備えており、
上記信号品質評価部は、
上記再生信号の信号特性に対する評価指標であるi−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Estimation)を検出して、上記再生信号の品質を評価するi−ML
SE検出部であることを特徴とする再生装置。
【請求項3】
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された第1領域と、
再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、自身の媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録された第2領域とを有する光情報記録媒体から、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、当該コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部において生じる球面収差を補正する第1球面収差補正部と、
上記第2領域に記録された上記媒体識別情報を再生するときには、上記第1球面収差補正部とは異なる処理によって、上記照射部において生じる球面収差を補正する第2球面収差補正部と、を備えており、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを示す再生信号の品質を評価する信号品質評価部をさらに備えており、
上記第1球面収差補正部は、上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部における球面収差を補正するものであり、
上記信号品質評価部は、
上記再生信号の信号特性に対する評価指標であるi−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Estimation)を検出して、上記再生信号の品質を評価するi−ML
SE検出部であることを特徴とする再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報再生が可能な再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式記録媒体としての光ディスクには、その記録面を保護すべく、所定の厚さの透過基板が前記記録面を覆うように形成されている。情報読取手段としての光ピックアップは、この透過基板を介して前記記録面に読取ビーム光を照射した際の反射光量によって、かかる光ディスクから記録情報の読取りを行う。
【0003】
しかしながら、製造上において、全ての光ディスクの透過基板の厚さを規定値以内に形成することは困難であり、通常、数μmの厚さ誤差が生じてしまう。そのため、かかる透過基板の厚さ誤差によって、球面収差が発生する。球面収差が生じると、情報読取信号および/またはトラッキングエラー信号の振幅レベルが著しく低下する場合があり、情報読取精度を低下させてしまうという問題がある。つまり、光ディスクが交換されると、前記透過基板の厚みが変わるので、前記球面収差が変化し、そのままでは情報読取精度を低下させてしまうという問題がある。
【0004】
そのため、情報の再生精度を向上させるためには、前記球面収差を補正することが必要となる。そのような球面収差を補正する技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の技術では、RF(Radio Frequency)信号の振幅が最大になるように前記球面収差を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2004−145987号公報(2004年5月20日公開)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、光情報記録媒体においては、画像等の膨大な情報の処理のために、ますます情報記録容量を増加させることが求められている。その解決法として、再生時における情報処理向上技術の一つである超解像技術を用いる方法がある。
【0007】
超解像技術とは、再生装置が有する光学系解像限界(レーザ波長および光学系の開口数によって決まる限界)より短いマーク長の信号を再生する技術である。これによって、より小さなマーク長を使用した記録が可能となるので、実質的な記録密度が増加する。これは、高密度化する際に問題となるのが再生技術であり、記録技術ではないことに起因する。なお、光学系解像限界は、再生装置が出射する再生光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとした場合、λ/4NAとなる。
【0008】
しかしながら、特許文献1のようにRF信号の振幅が最大となるように球面収差を補正し、上記超解像技術により再生可能な光情報記録媒体(超解像媒体)に記録された情報を再生した場合、形成されたピットの形状によっては、十分な信号特性が得られない可能性がある。すなわち、再生光が超解像媒体に照射されることによって生じた反射光の光量(反射光量、戻り光量)が最大となったときに得られた球面収差補正値によって球面収差を補正し、超解像媒体に記録された情報の再生を行った場合、形成されたピットの形状によっては、情報再生の信頼性が低下する可能性がある。このように、超解像媒体に形成されたピットの形状によっては十分な信号特性が得られない可能性があることは、本願の発明者らによって見出されたものである。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、不特定多数の超解像媒体に記録された情報を、精度よく再生することが可能な再生装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る再生装置は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含むピット群によりコンテンツが記録された光情報記録媒体から、当該コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部と、
上記照射部によって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号に変換する変換部と、
上記変換部によって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価部と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部と、を備えている。
【0011】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る再生装置は、
再生光の入射側から順に、当該再生光が入射される入射面を有する透光層と、再生光を反射し情報を再生するための情報記録層と、走査方向において、再生装置が有する光学系解像限界である119nmより短い長さのピットを含むピット群が設けられた基板とが配され、当該ピット群によって上記情報記録層にコンテンツが記録されている光情報記録媒体に、開口数が0.85である対物レンズを介して、波長が405nmである再生光を照射することによって、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部と、
上記照射部によって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号に変換する変換部と、
上記変換部によって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価部と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部と、を備えている。
【0012】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る再生装置は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された第1領域と、
再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、自身の媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録された第2領域とを有する光情報記録媒体から、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、当該コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部において生じる球面収差を補正する第1球面収差補正部と、
上記第2領域に記録された上記媒体識別情報を再生するときには、上記第1球面収差補正部とは異なる処理によって、上記照射部において生じる球面収差を補正する第2球面収差補正部と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、不特定多数の超解像媒体に記録された情報を、精度よく再生することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る再生装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る再生装置における、光ディスクに対する再生動作の処理の流れの一例を示す図である。
図3図2に示された処理(球面収差を補正する処理)の詳細を例示する図である。
図4】本発明の実施形態1に係る光ディスクの断面図である。
図5】本発明の実施形態1に係る光ディスクの基板上に形成されたプリピットを示す平面図である。
図6】(a)および(b)は、本発明の実施形態1に係る光ディスクと同様の2つの異なる光ディスクに対する実証試験の結果をそれぞれ示す図である。
図7】本発明の実施形態2に係る再生装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図8】本発明の実施形態3に係る光ディスクの外観を示す斜視図である。
図9図9に示す光ディスクの一部の詳細を示す平面図である。
図10】本発明の実施形態3に係る再生装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図11】本発明の実施形態3に係る再生装置における、光ディスクに対する再生動作の処理の流れの一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態4に係る再生装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図13】本発明の実施形態5に係る光ディスクの外観を示す斜視図である。
図14図13に示す光ディスクのBCA(Burst Cutting Area)記録領域に形成されるストライプの一例を表す概略図である。
図15】本発明の実施形態5に係る再生装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図16】本発明の実施形態5に係る再生装置における、光ディスクに対する再生動作の処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
以下、図1図6に基づき、本発明の一実施の形態について説明する。なお、実施形態1、および後述の実施形態2〜5において、コンテンツとは、ユーザが利用する情報を意味し、具体的には、写真等の静止画や映画等の動画や、プログラム等が挙げられる。
【0016】
<再生装置の構成>
図1は、光ディスク1を再生する再生装置100の概略構成を示す機能ブロック図である。再生装置100は、光ピックアップ6(照射部)、スピンドルモータ7、フォーカス/トラッキング処理回路8、RF(Radio Frequency)信号処理回路9(変換部)、フォーカス/トラッキング駆動回路10、フォーカスオフセット付加回路12、制御部14、およびメモリ15を備えている。
【0017】
光ディスク1は、再生装置100(または当該光ディスク1を再生可能な再生装置)が有する光学系解像限界よりも短いピット(Pit)が含まれるピット群によって情報(コンテンツなど)が記録された、再生専用の光情報記録媒体である(後述の図4を参照)。光ディスク1の構成については、後述する。光ディスク1は、スピンドルモータ7によって回転駆動される。
【0018】
光ピックアップ6は、光ディスク1に記録されたコンテンツを再生するために、光ディスク1に再生光としてのレーザビーム光(光ビーム)を照射する。光ピックアップ6は、半導体レーザ61、コリメートレンズ62、ビームスプリッタ63、λ/4板64、集光レンズ67、光検出器68、球面収差補正光学系650、球面収差補正光学系用駆動機構651、対物レンズ660、およびフォーカス/トラッキングアクチュエータ661を備えている。
【0019】
半導体レーザ61は、所定の光強度(再生パワー)を有するレーザビーム光を出射する。半導体レーザ61から出射されたレーザビーム光は、コリメートレンズ62、ビームスプリッタ63、およびλ/4板64を通過し、球面収差補正光学系650に入射する。
【0020】
コリメートレンズ62は、平行光を形成する。ビームスプリッタ63は、当該平行光を透過光と反射光とに分配する。λ/4板64は、当該透過光の波長を1/4波長分だけ変位させる。
【0021】
球面収差補正光学系650は、光ディスク1の透光層4(透過基板、カバー層)の厚さ誤差に伴う球面収差を補正する機能を有する。球面収差補正光学系650は、例えば、凹レンズ650aと凸レンズ650bとの対によって構成されたビーム拡大型のリレーレンズであり、通常は、入射した平行光のビーム径を拡大させた平行光を出射するように構成されている。凹レンズ650aと凸レンズ650bとのレンズ間隔を変化させることによって、対物レンズ660に入射する平行光は、発散光または集束光に変換され、対物レンズ660において生じる球面収差が調整される。
【0022】
球面収差補正光学系用駆動機構651は、凹レンズ650aと凸レンズ650bとのレンズ間隔を調整する。球面収差補正光学系用駆動機構651により、球面収差補正光学系650を、光ディスク1の透光層4の厚みのバラツキによる球面収差を補正するように機能させることができる。
【0023】
対物レンズ660は、球面収差補正光学系650からのレーザビーム光を、光ディスク1に形成されている情報記録層3(後述の図4を参照)上に集光する。そして、光ディスク1がレーザビーム光を反射することによって生じた反射光は、光検出器68によって検出される。
【0024】
光検出器68は、受光した反射光を、反射光の光強度に応じた電気信号に変換する。そして、光検出器68は、フォーカス/トラッキング処理回路8およびRF信号処理回路9に、当該電気信号をそれぞれ供給する。
【0025】
フォーカス/トラッキング処理回路8は、フォーカスエラー信号(Focus Error Signal,FES)とトラッキングエラー信号(Tracking Error Signal,TES)とを生成し、フォーカス/トラッキング駆動回路10に与える。
【0026】
フォーカス/トラッキング駆動回路10は、FES信号に基づいてフォーカス駆動信号を生成する。そして、フォーカス/トラッキング駆動回路10は、対物レンズ660を、光ディスク1のディスク面に対して垂直方向に変位させるフォーカス動作を行わせるように、フォーカス/トラッキングアクチュエータ661を駆動する。
【0027】
また、フォーカス/トラッキング駆動回路10は、TES信号に基づいてトラッキング駆動信号を生成する。そして、フォーカス/トラッキング駆動回路10は、対物レンズ660を、光ディスク1の半径方向(トラッキング方向)に変位させるトラッキング動作を行わせるように、フォーカス/トラッキングアクチュエータ661を駆動する。
【0028】
なお、フォーカスエラー信号の検出方法としては、公知の非点収差法、ナイフエッジ法、スポットサイズ検出法等の方法を用いることができる。また、トラッキングエラー検出方法としては、公知のプッシュプル法、DPP(Differential Push - Pull)法、DPD(Differential Phase Detection)法等の方法を用いることができる。
【0029】
RF信号処理回路9は、光ピックアップ6によって光ディスク1に照射された再生光が、光ディスク1において反射することによって生じた反射光を、情報(コンテンツ)を示す再生信号(RF信号)に変換する。変換後の再生信号は、制御部14(特に、i−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Estimation)検出部141)に出力される。
【0030】
制御部14は、光ピックアップ6の制御、スピンドルモータ7の制御、および各サーボ系の制御を行う。例えば、光ディスク1が再生装置100にローディング(装填)された時、制御部14は、スピンドルモータ7を制御することにより、光ディスク1を線速度一定または回転数一定等の動作条件のもとで回転駆動させる。
【0031】
また、制御部14は、各評価指標(i−MLSE、RF信号の振幅、およびジッタ等)の演算処理等の機能を有する。また、制御部14は、メモリ15に保存されている球面収差補正値の読み出し、および、書き込み(保存)を行う。メモリ15には、再生装置100の各初期設定値が保存されている。
【0032】
制御部14は、光ディスク1の回転、半導体レーザ61の点灯等の事前処理が終了した後、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、フォーカス制御を開始させる。この時、位相補償等の適切な処理が施されることによって生成されたFES信号が、フォーカス/トラッキング処理回路8から、フォーカス/トラッキング駆動回路10に与えられることにより、フォーカス/トラッキング駆動回路10におけるフォーカス制御が行われる。
【0033】
また、制御部14は、フォーカスオフセット付加回路12を制御することにより、フォーカス制御のオフセット調整を行わせる。サーボ制御ループにオフセットが付加されることにより、光ディスク1におけるビームスポットのフォーカス状態が調整される。
【0034】
また、制御部14は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、トラッキング制御を開始させる。この時、位相補償等の適切な処理が施されることによって生成されたTES信号が、フォーカス/トラッキング処理回路8から、フォーカス/トラッキング駆動回路10に与えられることにより、フォーカス/トラッキング駆動回路10におけるトラッキング制御が行われる。
【0035】
また、制御部14は、フォーカス/トラッキング駆動回路10にトラックジャンプ信号を与える。これにより、フォーカス/トラッキング駆動回路10から、フォーカス/トラッキングアクチュエータ661に設けられたトラッキングコイル(不図示)へ、トラックジャンプ駆動信号を出力され、トラックジャンプ制御が行われる。なお、フォーカス制御、トラッキング制御、およびトラックジャンプ制御は、公知の適当な方法によって行われてよい。
【0036】
また、制御部14は、i−MLSE検出部141(信号品質評価部)および球面収差補正部142を備えている。RF信号処理回路9では、光ディスク1に形成された情報記録層3からの反射光が電気信号に変換される。そして、RF信号処理回路9において、電気信号はi−MLSE検出部141における各種の演算に好適な処理(電気信号の大きさの調整、およびAD変換など)を施され、再生信号に変換される。RF信号処理回路9は、当該再生信号を、i−MLSE検出部141に与える。i−MLSE検出部141および球面収差補正部142の詳細な動作については、後述する。
【0037】
なお、再生装置100において、半導体レーザ61から出射される再生光の波長は、405nmとして、光ピックアップ6に設けられた光学系の開口率(対物レンズ660の開口数)(Numerical Aperture,NA)は、0.85として、それぞれ設定されている。しかし、光ディスク1の種類に応じて、これ以外の波長および開口率が適宜設定されてもよい。
【0038】
<再生装置における処理>
図2は、再生装置100における光ディスク1に対する再生動作の処理(制御方法、再生方法)の流れの一例を示すフローチャートである。
【0039】
はじめに、光ディスク1は、再生装置100にローディングされる(処理S1)。そして、再生装置100の制御部14は、内部に設けられたセンサ(不図示)により、光ディスク1がローディングされたことを認識する。
【0040】
続いて、制御部14は、光ディスク1のローディングを確認した後、スピンドルモータ7を制御し、回転させる(処理S2)。これにより、光ディスク1は、線速度一定または回転数一定等の動作条件のもとで回転駆動される。そして、制御部14は、メモリ15に記録されている各初期設定値に基づき、再生装置100の各種設定を行う。
【0041】
続いて、制御部14は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、再生すべき情報が記録されている光ディスク1の情報記録層3に、対物レンズ660をフォーカスさせる(処理S3)。そして、制御部14は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、対物レンズ660をトラッキングさせる(処理S4)。すなわち、処理S3及びS4において、光ピックアップ6から光ディスク1に再生光が照射され(照射ステップ)、その結果生じた反射光に基づく再生信号が生成される(変換ステップ)。
【0042】
続いて、制御部14は、信号品質を示す指標(i−MLSE)を基準として、球面収差を補正する(処理S5;信号品質評価ステップ、球面収差補正ステップ)。そして、制御部14は、処理S5において決定された球面収差補正値を用いて、光ディスク1に記録された情報の再生を開始する(処理S6)。処理S5の詳細については、図3を参照し、以下に詳述する。
【0043】
(球面収差を補正する処理の流れ)
図3は、図2に示された処理S5(球面収差を補正する処理)の詳細を例示するフローチャートである。以下、制御部14に設けられたi−MLSE検出部141に、RF信号処理回路9から再生信号を与えられた後の処理について説明する。
【0044】
i−MLSE検出部141は、RF信号処理回路9からの再生信号に基づき、現在設定されている球面収差補正値に応じた、i−MLSEの値を検出する(処理S11)。そして、その後、i−MLSE検出部141は、検出したi−MLSEの値を、上記設定されている球面収差補正値に対応づけてメモリ15に保存する。
【0045】
なお、i−MLSEとは、高密度な記録情報の再生信号の信号特性に対する評価指標の1つである。i−MLSEが小さな値である程、再生信号の信号特性が良好であることを意味する。i−MLSEは、従来の評価指標であるジッタと類似の評価指標であるとも言える。
【0046】
また、球面収差補正値とは、球面収差によって位置ずれが生じた光学系の焦点位置を補正するための量を示す。例えば、球面収差補正値が1μm(−1μm)であれば、光学系の焦点を、半導体レーザ61に1μm近付ける(半導体レーザ61から1μm遠ざける)ように、光学系が補正される。
【0047】
続いて、i−MLSE検出部141は、i−MLSEの値を、所定回数(例えば8回)以上検出したかを確認する(処理S12)。ここで、所定回数とは、再生装置100において利用可能な球面収差補正値の範囲において、i−MLSEの値を検出するための反復処理の回数として、制御部14においてあらかじめ設定されている値である。
【0048】
i−MLSE検出部141が、i−MLSEの値を検出した回数が、所定回数未満であった場合(処理S12においてNO)、i−MLSE検出部141は、球面収差補正部142に指令を与える。そして、球面収差補正部142は、当該指令に応じて、球面収差補正値を変化させ、球面収差補正光学系用駆動機構651を制御する(処理S13)。そして、球面収差補正部142は、変化させた球面収差補正値を、メモリ15に保存する。
【0049】
ここで、球面収差補正値の変化は、所定のルーチンに従って行われてよい。例えば、再生装置100において利用可能な球面収差補正値の範囲が、−4μm以上3μm以上である場合を考える。
【0050】
球面収差補正値の初期設定値が−4μmとして設定されている場合には、1回のi−MLSEの検出ごとに、球面収差補正値を1μmずつ増加(−4μm→−3μm→…→2μm→3μm)させればよい。他方、球面収差補正値の初期設定値が3μmとして設定されている場合には、1回のi−MLSEの検出ごとに、球面収差補正値を1μmずつ減少(3μm→2μm→…→−3μm→−4μm)させてもよい。これにより、上述の所定回数(8回)のもとで、再生装置100において利用可能な球面収差補正値の範囲において、複数のi−MLSEの値が検出される。
【0051】
なお、球面収差補正値の初期設定値は、メモリ15にあらかじめ保存されている。球面収差補正値の初期設定値およびその取り得る範囲は、再生装置100および光ディスク1の仕様に応じて適宜設定されてよい。そして、i−MLSE検出部141が、i−MLSEの値を、所定回数以上検出するまで、上述の処理S11〜S13が繰り返される。これにより、それぞれの球面収差補正値に対応するi−MLSEの値が、メモリ15に保存される。
【0052】
i−MLSE検出部141が、i−MLSEの値を、所定回数以上検出した場合(処理S12においてYES)、i−MLSE検出部141は、検出したi−MLSEの全ての値を比較する(処理S14)。そして、i−MLSE検出部141は、i−MLSEの最小値を特定する(処理S15)。
【0053】
i−MLSE検出部141は、i−MLSEの最小値に対応する球面収差補正値をメモリ15から読み出し、情報再生に用いるべき球面収差補正値を決定する(処理S16)。そして、球面収差補正部142は、i−MLSE検出部141からの指令を受け、当該球面収差補正値によって、球面収差補正光学系用駆動機構651を制御し、球面収差が補正される(球面収差補正ステップ)。
【0054】
上述の処理S1〜S6、および処理S11〜S16(信号品質評価ステップ)によって、再生装置100は、i−MLSE検出部141が、i−MLSEを検出して再生信号の品質を評価することにより、i−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値を用いて、光ディスク1を再生することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、i−MLSE検出部141および球面収差補正部142が、制御部14の内部に設けられた構成が例示されている。しかし、i−MLSE検出部141および球面収差補正部142の構成は、これに限定されず、制御部14の外部に設けられ、制御部14と連動するように構成されていてもよい。
【0056】
<光ディスクの構成>
本願の発明者らは、本実施形態の効果を実証する試験を、光ディスク1と同様の構成を有する2種類の光ディスクAおよび光ディスクBに対して行った。ここで、実証試験の説明に先立ち、図4および図5を参照し、光ディスク1の構成について説明する。
【0057】
図4は、光ディスク1の断面図である。光ディスク1は、基板2上に、情報記録層(機能層)3、および透光層4が順に積層されて構成されている。換言すれば、光ディスク1は、再生光の入射側から順に、透光層4、情報記録層3、基板2が設けられている。光ディスク1は、光学系解像限界より短い長さのマーク(記録マーク)またはスペースを含む超解像媒体である。
【0058】
基板2は、ポリカーボネートにより形成されている。基板2の情報記録層3側の面(情報記録面)には、記録される情報に応じた形状の凹及び/または凸からなるピット群が形成されている。
【0059】
情報記録層3は、情報が記録された層であり、基板2の情報記録面の凹及び/または凸に沿って形成された薄膜である。情報記録層3は、超解像再生を可能にする機能層である。情報記録層3は、再生光を反射し情報を再生するための層であり、具体的には、厚さ12nmのTa薄膜の層である。
【0060】
透光層4は、厚さ100μmの紫外線硬化樹脂(再生光波長λ=405nmにおける屈折率1.50)により形成されている。透光層4は、再生光が入射される入射面を有し、情報記録層3および基板2の情報記録面を保護する。
【0061】
図5は、光ディスク1の基板2上に形成されたピットを示す平面図である。記録される情報は、例えば(1,7)RLL(Run Length Limited)変調方式に従って、複数の長さ(D2T〜D8T)のマークおよびスペースとして、光ディスク1に記録される。
【0062】
ここで、光ディスク1に形成されたピットは、マークを表し、トラックに沿ったピット同士の間隔は、スペースを表す。複数の長さを有するマークおよびスペースのうち、最小マーク長(D2T)と最小スペース長との平均の長さが、再生装置100の走査方向において、光学系解像限界(119nm)より短い112nmになるように設けられている。ここでは、最小マーク長および最小スペース長は、ともにD2Tである。
【0063】
なお、ピットのトラックピッチTpDは、通常のBD(Blu-ray(登録商標)disc)−ROMと同じく、0.32μmである。光ディスク1では、通常のBD−ROM(φ120mmディスクにおいて25GB(非超解像媒体))の最小マーク長(149nm)と比べて、最小マーク長(112nm)が短く、情報を密に記録することができる。従って、光ディスク1は、φ120mmディスクにおいて、約33.3GBの情報を記録することができる。
【0064】
なお、光ディスク1に記録されている情報には、再生位置を示す情報がアドレス情報として含まれていてもよい。この場合の処理については、後述の実施形態2において説明する。
【0065】
また、上記光ディスク1の上記構造は、一例を示したにすぎない。すなわち、情報記録層3が複数層設けられていてもよく、各層の厚みなどは、例えば設けられる層数によって適宜変更されてよい。
【0066】
<実証試験>
本願の発明者らは、光ディスクAおよび光ディスクBのそれぞれに対して、以下の(試験1)および(試験2)による実証試験を行った。ここで、光ディスクAおよび光ディスクBは、図4に示された光ディスク1と同様の構造を有しており、ピットを形成するためのカッティング条件のみが異なっている。すなわち、光ディスクAおよび光ディスクBでは、ピットの形状が異なっている。
【0067】
(試験1)光ディスクAおよび光ディスクBのi−MLSEを、球面収差補正値を変化させて測定した。
【0068】
すなわち、BD用評価機(パルステック工業株式会社製DDU−1000/再生光学系:再生光波長(λ)405nm、開口数(NA)0.85)と、パルステック工業株式会社製BD評価用シグナルディティクター(SD3)とを用いて、再生パワー:1.0mW、再生速度:7.38m/sに固定し、透光層の厚み100μmに相当する球面収差補正の設定値(球面収差補正値の初期値)を0μmとした後、球面収差補正値を変化させ、i−MLSEを測定した。
【0069】
(試験2)光ディスクAおよび光ディスクBのRF信号の振幅を、球面収差補正値を変化させて測定した。試験に用いた機器および試験条件は、上述の(試験1)と同様である。
【0070】
<試験結果>
以下、図6の(a)および(b)を参照し、光ディスクAおよび光ディスクBの実証試験の結果について説明する。
【0071】
図6の(b)は、光ディスクBに対する実証試験の結果として得られた、(i)球面収差補正値とi−MLSEとの関係、および、(ii)球面収差補正値とRF信号の振幅との関係を、それぞれ示すグラフである。図6の(b)では、i−MLSEが最小となるときの球面収差補正値と、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値とが、合致している。
【0072】
図6の(b)に示されるように、光学系解像限界の長さより短いピットが含まれるピット群において情報が記録された再生専用の光ディスク(超解像媒体である光ディスクB)においても、光学系解像限界の長さより長いピットのみからなるピット群において情報が記録された再生専用の光ディスク(非超解像媒体である従来の光ディスク)と同様に、i−MLSEが最小となる(すなわち、信号品質が最良となる)ときの球面収差補正値(新基準補正値)と、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値(従来基準補正値)とが、合致する場合は多い。
【0073】
ここで、超解像媒体とは、超解像技術により情報が再生される光情報記録媒体である。一方、非超解像媒体とは、超解像技術を用いずに情報が再生される(超解像技術を用いた情報再生が不可能な)非超解像領域である。
【0074】
他方、図6の(a)は、光ディスクAに対する実証試験の結果として得られた、(i)球面収差補正値とi−MLSEとの関係、および、(ii)球面収差補正値とRF信号の振幅との関係を、それぞれ示すグラフである。図6の(a)では、i−MLSEが最小となるときの球面収差補正値と、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値とが、合致していない。
【0075】
図6の(a)に示されるように、光学系解像限界の長さより短いピットが含まれるピット群において情報が記録される再生専用の光ディスク(超解像媒体である光ディスクA)においては、ピット形状によっては、i−MLSEが最小となる(すなわち、信号品質が最良となる)となるときの球面収差補正値と、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値とが、大きく異なる場合がある。
【0076】
<効果>
一般に、i−MLSE>15.5%の場合、光ディスク再生システム(再生装置)の信頼性は失われる。しかし、光ディスクAにおいて、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値では、i−MLSEの値は、18%程度の大きさとなる。
【0077】
このため、RF信号の振幅を基準として球面収差補正値を決定する従来の再生装置では、超解像媒体(例えば、光ディスクA)に対して、信頼性の高い情報再生が行われない、すなわち、超解像媒体が本来有する信号品質によって再生が行われない場合がある。
【0078】
他方、本実施形態の再生装置100は、信号品質を示す指標(i−MLSEの値)自体を基準として球面収差補正値を決定している。具体的には、再生装置100による光ディスクAの再生では、i−MLSEの値は、14%程度の大きさとなる。また、再生装置100による光ディスクBの再生では、i−MLSEの値は、10%程度の大きさとなる。
【0079】
すなわち、再生装置100によれば、超解像媒体である光ディスク1自体が本来有する信号品質によって情報再生が可能となる。このため、光ディスクAおよび光ディスクBのいずれに対しても、再生の信頼性が向上するという効果を奏する。
【0080】
より具体的には、再生装置100は、RF信号処理回路9によって変換された再生信号の品質を評価するi−MLSE検出部141と、i−MLSE検出部141により評価された再生信号の品質評価結果(i−MLSEの値)を用いて、光ピックアップ6において生じる球面収差を補正する球面収差補正部142と、を備えている。
【0081】
従来の再生装置は、本実施形態の再生装置100とは異なり、i−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値ではなく、RF信号の振幅(反射率)が最大となるときの球面収差補正値を用いて、光ディスク1を再生していた。すなわち、従来の再生装置は、各層へのレイヤージャンプ時にも利用されるRF信号振幅検出器を用いて、球面収差補正値を変化させ、RF信号の振幅が最大となる球面収差補正値を、情報再生に用いるべき球面収差補正値として選択していた。
【0082】
これは、再生信号の信号特性は、光情報記録媒体の反射率に起因する戻り光が再生装置によって受光される量に比例すると、当業者が常識として認識していたためと、その他の手法による球面収差補正を行うとコストが増大するためである。しかしながら、上述のように、超解像媒体においては、そのピット形状の違いによって、超解像媒体が本来有する信号品質によって再生が行われないことがわかった。
【0083】
そこで、再生装置100は、i−MLSE検出部141および球面収差補正部142を備えたことにより、RF信号の振幅を用いて球面収差の補正を行う場合と異なり、不特定多数の超解像媒体に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0084】
また、本実施形態の再生装置100は、後述の実施形態2の再生装置200に比べて、より少ない光ディスク1の再生範囲(すなわち、より少ない母数)のもとで、適切な球面収差補正値を決定することができるという効果を奏する。
【0085】
また、信号品質を示す指標として、ジッタの値を用いる構成も考えられる。しかし、ジッタの検出では、光学系解像限界よりも短い長さのピットが含まれるピット群の信号品質が正しく評価できないため、適切な球面収差補正値を決定するために、多くの付加的な構成物(機能)が必要とされる。
【0086】
他方、再生装置100は、信号品質を示す指標としてi−MLSEの値を用いているため、信号品質を示す指標としてジッタの値を用いる構成に比べて、構成物の削減およびコストの低減が実現できるという利点がある。
【0087】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0088】
<再生装置の構成>
図7は、本実施形態の再生装置200の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の再生装置200は、実施形態1の再生装置100が備える制御部14を、制御部24によって置き換えることにより得られる構成である。なお、本実施形態の再生装置200が有するその他の部材は、実施形態1の再生装置100が有する各部材と同様であるため、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0089】
制御部24は、エラーレート検出部241(信号品質評価部、アドレス情報エラー検出部)および球面収差補正部142を備えている。本実施形態の制御部24は、実施形態1の制御部14が備えるi−MLSE検出部141を、エラーレート検出部241によって置き換えることにより得られる構成である。
【0090】
エラーレート検出部241には、RF信号処理回路9からの再生信号が与えられる。そして、エラーレート検出部241は、当該再生信号から、再生位置を示すアドレス情報(既知)を抽出する。
【0091】
エラーレート検出部241は、アドレス情報からエラーレートを検出する。エラーレート検出部241は、例えば、ビット誤り率(Bit Error Rate,bER)を、アドレス情報から算出し、当該bERを、エラーレートとして検出する。
【0092】
bERは、光ディスク1に記録されたピットを再生したときに得られる再生信号を復号した結果に含まれるエラービット数Neの、全復号ビット数Ntに対する比率であって、bER=Ne/Ntとして表される。
【0093】
なお、エラーレート検出部241が利用する情報は、アドレス情報でなくても良く、既知の情報であればよい。
【0094】
エラーレート検出部241は、上述の処理S11〜S16と同様にして、エラーレート(品質評価結果)が最小となるときの球面収差補正値を決定する。そして、再生装置200は、上述の処理S6と同様にして、光ディスク1の情報再生を開始する。
【0095】
<効果>
再生装置200は、再生信号に含まれるアドレス情報のエラーレートを検出して、再生信号の品質を評価するエラーレート検出部241を備えたことにより、エラーレートを基準として、球面収差補正値を決定している。すなわち、再生装置200は、信号品質を示す指標として、エラーレートを用いている。
【0096】
そのため、本実施形態の再生装置200によれば、本実施形態1の再生装置100(i−MLSEの値を、信号品質を示す指標として用いる構成)と同様に、超解像媒体である光ディスク1自体が本来有する信号品質によって情報再生が可能となる。このため、上述の光ディスクAおよび光ディスクBのいずれに対しても、再生の信頼性が向上するという効果を奏する。すなわち、不特定多数の超解像媒体に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0097】
また、光ディスク1の通常の再生位置(コンテンツなどのユーザデータが記録されている位置のうち、再生対象となる位置)を特定する必要があることから、再生装置には、再生されたRF信号(RF信号処理回路9からの再生信号)からアドレスを検出する機能が設けられていることが一般的である。
【0098】
このため、再生装置200によれば、信号品質を示す指標を検出するための新規の機能を追加することなく、適切な球面収差補正値を決定することができるという効果を奏する。
【0099】
なお、再生装置200において、コンテンツ情報からbERを算出することが困難であることから、コンテンツ情報から算出されるbERを、信号品質を示す指標としては利用できない。これは、ROMにおいて、アドレス情報に、通常アドレス情報以外の既知の情報が含まれていないことに起因する。従って、ROMにおいては、有意なbERを算出することができないためである。
【0100】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図8図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0101】
<光ディスクの構成>
図8は、本実施形態に係る再生装置300が再生処理の対象とする光ディスク20の外観を示す斜視図である。また、図9は、図8に示す光ディスク20のa部の詳細を示す平面図である。
【0102】
図8に示すように、光ディスク20は、例えばコンテンツなどの情報が記録されているデータ領域22(第1領域)と、例えば光ディスク20に関する情報(媒体情報)が記録されている媒体情報領域23(第2領域)とが予め割り当てられている。すなわち、光ディスク20は、媒体情報領域23が設けられた点で、実施形態1の光ディスク1とは異なる。
【0103】
光ディスク20に関する情報には、データ領域22を有することを示す媒体識別情報、再生装置300が再生時に利用する再生速度情報、コピープロテクトのための媒体固有番号、データ領域22における位置を特定するための領域位置情報等が含まれる。なお、上記媒体識別情報は、自身の媒体の種類を識別(特定)するものであればよく、少なくともデータ領域22が超解像記録形態を示していればよい。
【0104】
図9は、図8に示す光ディスク20のa部の詳細を示す図である。図9に示すように、データ領域22には、複数のピットが配置され、所定のトラックピッチTpDごとに、周方向に列をなすように形成されている。同様に、媒体情報領域23には、複数のピットが配置され、所定のトラックピッチTpRごとに、周方向に列をなすように形成されている。
【0105】
データ領域22および媒体情報領域23の情報記録には、形状および大きさが異なるピットを用いて情報を記録可能なマークエッジ記録方式が採用されている。本実施形態では、そのうちの1−7PP(1−7 Parity Preserve/Prohibit RMTR(Repeated Minimum Transition Run Length))と呼ばれる変調記録方式(記録符号化方式)が用いられている。すなわち、この方式では、(1,7)RLL変調(Run Length Limited)の1種である変調方式によって、データ領域22および媒体情報領域23のそれぞれにピットが形成されている。例えば、2T〜8Tのピット(または記録マーク)によって情報が記録される。本実施形態では、図9に示すように、便宜上、データ領域22のピットの長さを「D2T〜D8T」と表現し、媒体情報領域23のピットの長さを「R2T〜R8T」と表現する場合がある。
【0106】
なお、上記変調は、元情報(変調前の情報)のビット列パターンに依存することなく所定の周波数帯域幅(即ち、複数種類で制限された記録マークとスペースとの組み合わせ)を有した記録パターンへと元情報のビット列パターンを変換すると共に、最短の記録マークまたはスペースの長さを元情報のそれらの長さよりも拡大することで、記録密度を増大させるものである。1−7PP変調記録方式の場合、元情報の2ビット単位が3チャネルビット単位に変換され、変換後の記録パターンとして2チャネルビット(2T)から8チャネルビット(8T)までの長さに制限された記録マークとスペースとに変調されることで、周波数帯域幅を制限する。これと共に、最短の記録マーク及びスペースの長さは、元情報のそれらの長さの1.5倍の長さとなる。それゆえ、1−7PP変調記録方式による変調は高密度記録に好適である。なお、変調方式は1−7PP変調に限られるものではなく、1−7PP変調以外の(1,7)RLL変調の他、8/16変調、(2,7)RLL変調等の他の高密度記録に適した変調方式を用いてもよい。
【0107】
すなわち、(1,7)RLL変調のような長さの異なるピットまたは記録マークを用いて情報を記録する理由は、同一長さのピットまたは記録マークを用いて情報を記録することにより記録密度が増大するためである。
【0108】
データ領域22は、図8に示すように、媒体情報領域23の間に割り当てられ、基板成型時に、凹及び/または凸からなるピットを設けることにより、上記コンテンツが記録されている。このピットは、図9におけるD2T〜D8Tの長さを有するピットであり、最短ピットの長さD2Tが、再生装置300の有する光学系解像限界の長さよりも短い。すなわち、再生装置300が有する光学系解像限界の長さより短い長さのピットも含めて上記コンテンツを記録するため(超解像記録形態)、通常媒体より高密度な記録が可能となっている。
【0109】
媒体情報領域23は、図8に示すように、光ディスク20の最内周部と最外周部とに予め割り当てられ、超解像媒体1に関する情報が凹及び/または凸からなるピットによって記録されている。このピットは、図9におけるR2T〜R8Tの長さを有するピットであり、最短ピットの長さR2Tが、再生装置300が有する光学系解像限界の長さ以上である(通常記録形態)。すなわち、媒体情報領域23の全ピットの長さは、データ領域22の上記最短ピットの長さより長く、媒体情報領域23における情報の記録密度は、データ領域22よりも低い。
【0110】
なお、媒体情報領域23は、光ディスク20の内周及び外周に設けられているが、これに限定されるものではなく、内周または外周のいずれかに割り当てられていてもよい。
【0111】
また、光ディスク20の断面構造は、実施形態1の光ディスク1の断面構造と同様である。換言すれば、光ディスク1の構造は、データ領域22と同様の構造となっている。さらに、光ディスク1についても、(1,7)RLL変調に限らず、上記に示した種々の変調方式を用いて、ピットの形成および情報の記録が行われてよい。
【0112】
以上のように、データ領域22は、再生装置300が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録され、超解像技術により当該コンテンツなどの情報が再生される超解像領域である。一方、媒体情報領域23は、再生装置300が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、上記媒体識別情報が記録され、超解像技術を用いずに情報が再生される(超解像技術を用いた情報再生が不可能な)非超解像領域である。
【0113】
換言すれば、光ディスク20は、光学系解像限界の長さより短い長さのピットが含まれるピット群により、コンテンツが記録された再生専用の光ディスクであり、いわゆる超解像技術により情報再生が可能な光情報記録媒体である。
【0114】
なお、本実施形態の光ディスク20が上記のようなデータ領域22および媒体情報領域23を有する構造となっている理由は、次のとおりである。
【0115】
一般に、同じ再生装置によって、超解像媒体および通常媒体のいずれの媒体も再生できることが好ましい。すなわち、光情報記録媒体は、対応する再生装置のすべてに対して互換性を有している(対応する再生装置のすべてによって、記録された情報の再生が可能である)ことが好ましい。
【0116】
しかしながら、光学系解像限界の長さより短いピットが含まれるピット群により記録された情報を再生(超解像再生)する場合には、通常媒体に対して照射される再生光の光強度(再生パワー)よりも高い再生パワーを必要とする。このため、通常媒体に、超解像再生用の再生パワーを有する再生光を照射した場合には、通常媒体が破壊されてしまう可能性がある。
【0117】
よって、超解像媒体と通常媒体との両方を再生可能な再生装置は、再生処理の対象とする光情報記録媒体が、超解像媒体であるか通常媒体であるかを判断し、当該光情報記録媒体が超解像媒体であると判断した場合に、超解像再生用の再生パワーを当該光情報記録媒体に照射する構成を有していることが好ましい。すなわち、超解像媒体であると判断した場合にのみ、通常媒体用の再生パワーから、超解像再生用の再生パワーに光強度を増加させることが好ましい。
【0118】
したがって、光ディスク20が上記のようなデータ領域22および媒体情報領域23を有することにより、上記構成を有する、超解像媒体と通常媒体との両方を再生可能な再生装置に、データ領域22および媒体情報領域23のそれぞれに適切な光強度を有する再生光を照射させることを可能にする。すなわち、光ディスク20は、当該再生装置に対する互換性を有した光情報記録媒体として機能することができる。
【0119】
なお、媒体識別情報を、光学系解像限界の長さよりも短い長さのピットを含むピット群により記録し、通常媒体用の再生パワーを有する再生光を照射しても媒体識別情報を再生できないようにすることで、再生装置に、超解像媒体であると識別させる方法も考えられる。
【0120】
しかしながら、通常媒体の表面に汚れが付着する等して、上記再生装置が、媒体識別情報を再生できない場合もある。この場合、上記再生装置は、媒体識別情報が再生不可と判断し、再生処理の対象が通常媒体であるにもかかわらず、超解像媒体と判断してしまう。そして、当該通常媒体に超解像再生用の再生パワーを有する再生光を照射してしまい、通常媒体を破壊してしまう可能性がある。
【0121】
この点を考慮すれば、媒体識別情報は、上述のように、光学系解像限界の長さ以上のピットを含むピット群により形成されていることが好ましい。
【0122】
<再生装置の構成>
図10は、本実施形態の再生装置300の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の再生装置300は、実施形態1の再生装置100が備える制御部14を、制御部34によって置き換えることにより得られる構成である。なお、本実施形態の再生装置300が有するその他の部材は、実施形態1の再生装置100が有する各部材と同様であるため、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0123】
制御部34は、i−MLSE検出部141、第1球面収差補正部342、および第2球面収差補正部343を備えている。本実施形態の制御部34は、実施形態1の制御部14が備える球面収差補正部142を、第1球面収差補正部342によって置き換え、かつ、制御部14に第2球面収差補正部343を追加することにより得られる構成である。
【0124】
第1球面収差補正部342は、球面収差補正部142と同様の部材であるため、詳細な説明は省略する。第1球面収差補正部342は、i−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値を用いて、球面収差補正光学系用駆動機構651を制御することにより、球面収差を補正する。
【0125】
第2球面収差補正部343は、従来の再生装置に設けられた球面収差補正部と同様の部材である。すなわち、第2球面収差補正部343は、RF信号の振幅の値が最大となるときの球面収差補正値を用いて、球面収差補正光学系用駆動機構651を制御することにより、球面収差を補正する。
【0126】
再生装置300は、上述の光ディスク20を再生する再生装置である。従って、再生装置300は、データ領域22と媒体情報領域23とを、ともに再生する必要がある。
【0127】
そのため、再生装置300は、2つの球面収差補正手段として、(i)データ領域22に記録された情報を再生するための球面収差補正手段としての第1球面収差補正部342と、(ii)媒体情報領域23に記録された情報を再生するための球面収差補正手段としての第2球面収差補正部343とを、それぞれ備えている。
【0128】
換言すれば、第1球面収差補正部342は、データ領域22に記録された情報を再生するときには、コンテンツを示す再生信号の品質評価結果(i−MLSEの値)を用いて、球面収差を補正する。一方、第2球面収差補正部343は、媒体情報領域23に記録された情報を再生するときには、第1球面収差補正とは異なる処理によって、球面収差を補正する。
【0129】
データ領域22では、光学系解像限界の長さよりも短いピットが含まれるピット群によって情報が記録されている。このため、実施形態1において説明したように、超解像媒体である光ディスク20の透光層4の厚みのバラツキによる球面収差を補正する第1球面収差補正部342が、再生装置300に設けられている。
【0130】
他方、媒体情報領域23では、光学系解像限界の長さ以上のピットを含むピット群によって情報が記録されている。このため、光ディスク20の透光層4の厚みのバラツキによる球面収差を補正する第1球面収差補正部342は、必要とされない。媒体情報領域23に記録された情報の再生時に、第1球面収差補正部342によって球面収差の補正を行うと、各球面収差補正値に対応する各i−MLSEの値の差異が小さくなり、適切な球面収差の最適化が困難になる可能性があるためである。また、当該再生時に、エラーレート検出部によって球面収差の補正を行うと、当該最適化に時間を要してしまう。それゆえ、従来の再生装置に設けられた球面収差補正部と同様の部材である、第2球面収差補正部343によって、球面収差を補正すればよい。
【0131】
<再生装置の処理>
図11は、再生装置300における光ディスク20に対する再生動作の処理(制御方法、再生方法)の流れの一例を示すフローチャートである。
【0132】
はじめに、光ディスク20は、再生装置300にローディングされる(処理S21)。そして、再生装置300の制御部34は、内部に設けられたセンサ(不図示)により、光ディスク20がローディングされたことを認識する。
【0133】
続いて、制御部34は、スピンドルモータ7を制御し、回転させる(処理S22)。これにより、光ディスク20は、線速度一定または回転数一定等の動作条件のもとで回転駆動される。そして、制御部34は、メモリ15に記録されている各初期設定値に基づき、再生装置300の各種設定を行う。
【0134】
続いて、制御部34は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、光ディスク20に、対物レンズ660をフォーカスさせる(処理S23)。そして、制御部34は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、対物レンズ660を、媒体情報領域23の所定の位置にトラッキングさせる(処理S24)。
【0135】
そして、第2球面収差補正部343は、RF信号の振幅(反射率)を基準として、すなわち、RF信号の振幅の値が最大となるときの球面収差補正値を用いて、球面収差を補正する(処理S25;第2球面収差補正ステップ)。ここで、制御部34は、上述の処理S11〜処理S16と類似した処理によって、RF信号の振幅の値が最大となるときの球面収差補正値を決定している。すなわち、制御部34は、それぞれの球面収差補正値に応じたRF信号の振幅の値を検出し、検出したRF信号の振幅の全ての値から、最大値を特定している。
【0136】
制御部34は、第2球面収差補正部343によって、RF信号の振幅の値が最大となるときの球面収差補正値を用いて球面収差が補正された後、媒体情報領域23を再生することにより、媒体情報領域23に記録された媒体情報を取得する(処理S26)。制御部34は、取得した媒体情報をメモリ15に記録する。
【0137】
続いて、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、対物レンズ660が所定の位置にトラッキングしている状態を解除する(処理S27)。
【0138】
制御部34は、メモリ15に保存されている光ディスク20の各初期設定値を選択し、再生装置300の各種設定を行う。例えば、制御部34は、取得した媒体情報に含まれる媒体識別情報を解析して、超解像媒体か通常媒体(非超解像媒体)かについても判定する。すなわち、光ディスク20を超解像媒体であると判定し、半導体レーザ61の出力を、通常媒体用の再生パワーから超解像再生用の再生パワーへと変更する。そして、制御部34は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、対物レンズ660を、データ領域22の所定の位置にトラッキングさせる(処理S28)。
【0139】
そして、第1球面収差補正部342は、信号品質を表す指標(i−MLSE)を基準として、すなわち、i−MLSE検出部141によって評価されたi−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値を用いて、球面収差を補正する(処理S29;第1球面収差補正ステップ)。なお、処理S29の詳細な処理の流れは、上述の処理S11〜処理S16と同様である。
【0140】
制御部34は、第1球面収差補正部342によって、i−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値を用いて球面収差が補正された後、データ領域22に記録された情報の再生を開始する(処理S30)。
【0141】
なお、処理S28では、再生パワーを変更すると共に、再生速度(線速)を変更しても良い。なぜなら、超解像媒体に活用される、より高密度に記録された情報、例えば高画質映像情報の転送レートは、より高い方が望ましいので、媒体情報領域23の転送レートより早くなる方が望ましい。また、媒体情報領域23のチャネルビットレートのn(n:整数)倍のチャネルビットレートで再生できる線速(例:2倍速)となる線速であれば、対応が簡略化できるので更に望ましい。
【0142】
<効果>
再生装置300によれば、データ領域22(超解像領域)と、媒体情報領域23(非超解像領域)に対して、それぞれ適切な球面収差補正を行うことができる。従って、再生装置300によって、データ領域22と媒体情報領域23とがそれぞれ設けられた光ディスク20に対して、再生の信頼性が向上するという効果を奏する。
【0143】
なお、本実施形態では、実施形態1と同様に、信号品質を表す指標としてi−MLSEを用いる例を例示している。このため、再生装置300に、i−MLSE検出部141を設ける構成としている。
【0144】
他方、実施形態2と同様に、信号品質を表す指標としてエラーレートを用いてもよい。この場合、i−MLSE検出部141を、エラーレート検出部241に置き換えることによって、再生装置300を構成すればよい。
【0145】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、図12に基づいて説明すれば、説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0146】
<再生装置の構成>
図12は、本実施形態の再生装置400の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の再生装置400は、実施形態3の再生装置300が備える制御部34を、制御部44によって置き換えることにより得られる構成である。なお、本実施形態の再生装置400が有するその他の部材は、実施形態3の再生装置300が有する各部材と同様であるため、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、再生装置400が再生対象とする光ディスクは、実施形態3と同様、光ディスク20である。
【0147】
制御部44は、差分調整部441、第1球面収差補正部342、および第2球面収差補正部343を備えている。本実施形態の制御部44は、i−MLSE検出部141(または、エラーレート検出部241)を差分調整部441に置き換えることにより得られる構成である。
【0148】
差分調整部441には、RF信号処理回路9からの再生信号が与えられる。そして、差分調整部441は、当該再生信号から、媒体識別情報に含まれた製造者情報(光ディスク20の製造者を特定するための情報)を抽出する。なお、媒体識別情報は、光ディスク20の媒体情報領域23に記録されている。また、媒体情報領域23を再生するために、制御部44は、RF信号振幅の値が最大となるときの球面収差補正値を決定し、第2球面収差補正部343に与える。
【0149】
差分調整部441は、製造者情報に基づく球面収差補正値(例えば、データ領域22の再生における信号品質を最良とするために、製造者が推奨する球面収差補正値)を特定する。製造者情報は、製造者が推奨する球面収差補正値を含んだ情報であってもよいし、また、単に製造者が特定できる情報であってもよい。
【0150】
ここで、光ディスク20を製造する各製造者によって特定された、(i)製造者情報に基づき特定された球面収差補正値(例えば、製造者が推奨する球面収差補正値)(第1球面収差補正値)をR1、(ii)RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値(第2球面収差補正値)をR2として、それぞれ表す。R1およびR2の値は、各製造者を示す製造者識別子にそれぞれ対応付けられてメモリ15に保存されている。また、制御部44は、RF信号の振幅が最大となるように、球面収差補正値を変化させる。ここで、制御部44によって設定された、現在の球面収差補正値の値を、RPとして表す。
【0151】
すなわち、メモリ15には、光ディスク20を製造する複数の製造者によって、(i)データ領域22に記録されたコンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて特定されたR1と、(ii)媒体情報領域23に記録された製造者情報を示す再生信号の振幅を用いて特定されたR2とが、当該複数の製造者のそれぞれに対応づけて予め保存されている。
【0152】
差分調整部441は、データ領域22の再生時に、メモリ15に保存された、媒体情報領域23から読み出された製造者情報が示す製造者(製造者識別子)に対応づけられたR1およびR2の値を用いて、ΔR=R1−R2として、球面収差補正値の差分ΔRを算出する。そして、差分調整部441は、R=RP+ΔR、すなわち、現在の球面収差補正値RPに差分ΔRを付加(加算)することによって得られる球面収差補正値(コンテンツ再生時の球面収差補正値)Rを、第1球面収差補正部342に与える。
【0153】
なお、差分ΔRを示す差分情報は、R1およびR2の値とともに、製造者識別子にそれぞれ対応付けてメモリ15にあらかじめ保存されていてもよい。R1およびR2の値は、必ずしもメモリ15に保存されていなくてもよい。この場合、差分調整部441は、差分ΔRをメモリ15から読み出すことにより、上述の球面収差補正値Rを算出し、第1球面収差補正部342に与えてもよい。
【0154】
<効果>
光ディスクの製造において、ピットを形成するためのカッティング条件等の製造条件は、光ディスクの製造者ごとに異なる。従って、光ディスクのピットの形状もまた、光ディスクの製造者によって異なる場合がある。それゆえ、信号品質が最良となるときの球面収差補正値と、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値との差異は、光ディスクの製造者に依存するといえる。
【0155】
再生装置400では、データ領域22の再生において、製造者情報に基づき特定された球面収差補正値(R1)と、RF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値(R2)との差異が、差分ΔRとして、光ディスクの製造者ごとにあらかじめ特定されている。
【0156】
そして、第1球面収差補正部342は、差分調整部441から与えられた球面収差補正値R=RP+ΔRによって、データ領域22の再生時の球面収差を補正する。従って、再生装置400は、光ディスクの製造者に応じた、適切な球面収差補正値によって、データ領域22を再生することができる。
【0157】
また、上述のR1は、例えば、光ディスクの製造者が推奨する球面収差補正値の代表値である。従って、光ディスクの製造者が同一であっても、光ディスクの製造公差等により、データ領域22の再生に最適な球面収差補正値が、R1に一致しない場合が考えられる。
【0158】
再生装置400は、媒体情報領域23の再生時に光ディスク20に対して球面収差補正値RPを特定した後、球面収差補正値R=RP+ΔR=R1+(PR−R2)によって、データ領域22を再生する。従って、再生装置400において用いられる球面収差補正値Rは、光ディスク20に個別に設定されたものであり、データ領域22の再生のために、代表値R1に比べて、さらに適切な球面収差補正値であるといえる。
【0159】
また、再生装置400は、信号品質の評価基準であるi−MLSE(またはアドレス情報のエラーレート)を検出せず、製造者情報を取得することによって、データ領域22の再生時の球面収差補正値を決定する。そのため、再生装置400には、i−MLSE検出部141(またはエラーレート検出部241)を設ける必要が無く、より単純な機能を有する差分調整部441を設ければよい。
【0160】
従って、本実施形態の再生装置400によれば、上述の実施形態1〜3の各再生装置に比べて、よりコストの低い再生装置を提供することができるという効果を奏する。
【0161】
なお、本実施形態では、メモリ15に記録されたR1の値として、光ディスク20の製造者が推奨する球面収差補正値が用いられるケースが例示されているが、球面収差補正値の推奨値を提示しない製造者が存在することも想定される。この場合には、ユーザがR1の値をあらかじめ特定しておき、その値を製造者識別子にそれぞれ対応付けて、メモリ15に記録すればよい。
【0162】
例えば、実施形態3の再生装置300を用いることにより、データ領域22の再生のために好適な球面収差補正値として、i−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値が特定される。ユーザは、この球面収差補正値の値をR1の値として、再生装置400のメモリ15に記録すればよい。
【0163】
これにより、球面収差補正値の推奨値が製造者によって提示されていない場合においても、再生装置400によって、光ディスク20を再生することができる。
【0164】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、図13図16に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0165】
<光ディスクの構成>
図13は、本実施形態に係る再生装置500が再生処理の対象とする光ディスク30の外観を示す斜視図である。また、図14は、図13に示す光ディスク30のBCA(Burst Cutting Area)記録領域39に形成されるストライプの一例を表す概略図である。
【0166】
光ディスク30は、その内周側から順に、BCA記録領域39、媒体情報領域33、データ領域32、媒体情報領域33が設けられている。データ領域32および媒体情報領域33は、それぞれデータ領域22および媒体情報領域23と同様の構成であるため、ここではその説明を省略する。すなわち、光ディスク30は、その最内周側にBCA記録領域39が設けられた点で、実施形態3の光ディスク20とは異なる。
【0167】
図13に示すように、BCA記録領域39は、媒体識別情報を含む光ディスク30に関する情報(実施形態3の光ディスク20に関する情報に相当)(媒体情報)が記録されている領域である。この媒体情報は、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ等から出射されたパルスレーザ光を情報記録層に照射することにより、図14に示すように、幅wが約10μm程度、長さlが数百μm程度のストライプ(バーコード)が形成されることにより、記録されている。すなわち、BCA記録領域39には、媒体識別情報がストライプ形状により記録されている。
【0168】
このように、BCA記録領域39に形成されるストライプは、数百nm程度の長さを有するピットなどよりも大きい。このため、再生装置500は、BCA記録領域39へのフォーカスが多少ずれたとしても、トラッキングを行わずに上記媒体情報を再生できる。すなわち、媒体情報の再生時には、球面収差の補正(最適化)を行うことなく、上記媒体情報を再生できる。
【0169】
なお、光ディスク30が複数層からなる場合、再生光の入射側から最も遠い位置に配置された基板の直上である情報記録層に設けられているが、これに限られたものではない。
【0170】
また、光ディスク30では、少なくとも、BCA記録領域39およびデータ領域32が設けられていればよい。
【0171】
<再生装置の構成>
図15は、本実施形態の再生装置500の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の再生装置500は、上述の光ディスク30を再生する再生装置である。本実施形態の再生装置500は、実施形態1の再生装置100が備える制御部14を、制御部54によって置き換えることにより得られる構成である。なお、本実施形態の再生装置500が有するその他の部材は、実施形態1の再生装置100が有する各部材と同様であるため、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0172】
制御部54は、i−MLSE検出部141、球面収差補正部142、およびBCA再生制御部543を備えている。本実施形態の制御部54は、実施形態1の制御部14に、BCA再生制御部543を付加することにより得られる構成である。
【0173】
なお、本実施形態の球面収差補正部142は、データ領域22に記録されたコンテンツを再生するときには、当該コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて球面収差を補正する第1球面収差補正部342と同様の機能を有する。また、球面収差補正部142は、BCA記録領域39に記録された媒体情報を再生するときには、球面収差補正値の初期値を用いて球面収差を補正する。すなわち、媒体情報の再生時における球面収差の補正は、RF信号の振幅を基準とした球面収差の補正ではない。
【0174】
BCA再生制御部543は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御することにより、BCA記録領域39に記録された媒体情報を再生するための動作を、光ピックアップ6の各部に行わせる。
【0175】
<再生装置の処理>
図16は、再生装置500における光ディスク30に対する再生動作の処理(制御方法、再生方法)の流れの一例を示すフローチャートである。
【0176】
はじめに、光ディスク30は、再生装置500にローディングされる(処理S41)。そして、再生装置500の制御部54は、内部に設けられたセンサ(不図示)により、光ディスク30がローディングされたことを認識する。
【0177】
続いて、制御部54は、スピンドルモータ7を制御し、回転させる(処理S42)。これにより、光ディスク30は、線速度一定または回転数一定等の動作条件のもとで回転駆動される。
【0178】
続いて、BCA再生制御部543は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、光ピックアップ6を、BCA記録領域39の所定の位置に移動させる。そして、BCA再生制御部543は、対物レンズ660をフォーカスさせる(処理S43)。
【0179】
そして、球面収差補正部142が、メモリ15に記録された球面収差補正値の初期値を用いて球面収差を補正した後、BCA再生制御部543は、BCA記録領域39に記録された媒体情報を取得する(処理S44)。なお、既に初期値に設定されているのであれば、球面収差の補正が行われることなく、BCA再生制御部543は、媒体情報を取得する。制御部54は、取得した媒体情報をメモリ15に記録する。
【0180】
なお、上述のように、BCA記録領域39からの媒体情報の取得には、トラッキングが必要とされない。このため、処理S44に先立ち、BCA記録領域39へのトラッキングは行われない。
【0181】
制御部54は、メモリ15に記録された媒体情報を用いて、メモリ15に記録されている光ディスク30の各初期設定値を選択し、再生装置500の各種設定を行う。例えば、実施形態3で述べたように、超解像媒体であるか否かの判定、半導体レーザ61の出力の変更や再生速度(線速)の変更などが行われる。そして、制御部54は、フォーカス/トラッキング駆動回路10を制御し、対物レンズ660を、データ領域32の所定の位置にトラッキングさせる(処理S45)。
【0182】
そして、球面収差補正部142は、信号品質を表す指標(i−MLSE)を基準として、すなわち、i−MLSEの値が最小となる球面収差補正値を用いて、球面収差を補正する(処理S46)。なお、処理S46の詳細な処理の流れは、上述の処理S11〜処理S16と同様である。
【0183】
制御部54は、球面収差補正部142によって、i−MLSEの値が最小となるときの球面収差補正値を用いて球面収差が補正された後、データ領域32に記録された情報の再生を開始する(処理S47)。
【0184】
<効果>
再生装置500によれば、データ領域32(超解像領域)に加えて、BCA記録領域39が設けられた光ディスク30を再生することができる。
【0185】
再生装置500では、BCA記録領域39へのトラッキング、および、BCA記録領域39を再生するための球面収差補正値の最適化を必要とせずに、BCA記録領域39に記録された媒体情報を再生することができる。
【0186】
従って、本実施形態の再生装置500によれば、実施形態3の再生装置300が光ディスク20の再生を開始する時間に比べて、より短い時間のもとで光ディスク30の再生を開始することができるという効果を奏する。
【0187】
〔ソフトウェアによる実現例〕
再生装置100〜500の制御ブロック(特に、i−MLSE補正部141、球面収差補正部142、エラーレート検出部241、第1球面収差補正部342、第2球面収差補正部343、差分調整部441、BCA再生制御部543)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0188】
後者の場合、再生装置100〜500は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0189】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る再生装置(100、200、300、500)は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含むピット群によりコンテンツが記録された光情報記録媒体(光ディスク1)から、当該コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部(光ピックアップ6)と、
上記照射部によって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号(RF信号)に変換する変換部(RF信号処理回路9)と、
上記変換部によって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価部(i−MLSE検出部141、エラーレート検出部241)と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部(142)と、を備えている。
【0190】
再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなるピット群により情報が記録された光情報記録媒体(すなわち、当該光学系解像限界の長さよりも短いピットを含まず、超解像技術によって再生不可能な非超解像媒体)を再生するときには、例えば特許文献1に示されるように、RF信号の振幅を基準として球面収差が補正される。すなわち、RF信号の振幅が最大となるように、球面収差の補正を行うための球面収差補正値が決定され、その球面収差補正値を用いて球面収差が補正される。非超解像媒体においては、このようにRF信号の振幅が最大となるように球面収差を補正すれば、信号特性が高い状態で情報の再生を行うことができる。
【0191】
また、非超解像媒体の再生時の球面収差の補正に、RF信号の振幅が用いられる理由としては、「再生信号の信号特性が、光情報記録媒体(非超解像媒体)の反射率に起因する、再生装置が受光する戻り光の光量(反射光量、戻り光量)に比例する」ことが、当業者において常識であることが挙げられる。上記反射率は、光情報記録媒体に再生光が照射されたときに生じる反射光の、当該再生光に対する割合を示す。
【0192】
また、RF信号の振幅を算出する機能(部材、手段)は、複数層からなる光情報記録媒体に記録された情報を再生するために、再生装置にとって必須の構成である。つまり、上記手法が用いられる別の理由としては、上記球面収差の補正するために、RF信号の振幅を算出する機能とは異なる新規の機能を設けた場合には、製造コストが増加してしまうことが挙げられる。
【0193】
しかしながら、図6を用いて説明したように、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含むピット群によりコンテンツが記録された光情報記録媒体(すなわち、超解像技術によって再生可能な超解像媒体)においては、当該超解像媒体に形成されたピットの形状によっては、RF信号の振幅が最大の場合であっても、信号特性が低い場合があることを、本願の発明者らが見出した。すなわち、上記の理由を考慮して、受光する反射光の光強度を基準として球面収差の補正を行う再生装置を用いて、超解像媒体に記録された情報を再生した場合には、超解像媒体によっては再生品質が低下してしまう可能性があることがわかった。
【0194】
そこで、本発明の一態様では、信号品質評価部が、照射部によって光情報記録媒体(超解像媒体)に再生光が照射された結果生じた反射光に基づく再生信号の品質を評価する。そして、球面収差補正部は、信号品質評価部により評価された再生信号の品質評価結果を用いて、照射部において生じる球面収差を補正する。この構成によれば、RF信号の振幅の代わりに、再生信号の品質評価結果を用いて球面収差の補正を行う。
【0195】
したがって、超解像媒体の再生時において、十分に信号特性が高い状態で球面収差を補正することが可能となり、RF信号の振幅を基準とした場合に生じる、信号品質が低い状態で球面収差が補正されるという事態を防ぐことができる。
【0196】
それゆえ、本発明の一態様によれば、RF信号の振幅を用いて球面収差の補正を行う場合と異なり、不特定多数の超解像媒体に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0197】
さらに、本発明の態様2に係る再生装置(100、200、300、500)は、
再生光の入射側から順に、当該再生光が入射される入射面を有する透光層(4)と、再生光を反射し情報を再生するための情報記録層(3)と、走査方向において、再生装置が有する光学系解像限界である119nmより短い長さのピットを含むピット群が設けられた基板(2)とが配され、当該ピット群によって上記情報記録層にコンテンツが記録されている光情報記録媒体(光ディスク1)に、開口数が0.85である対物レンズ(600)を介して、波長が405nmである再生光を照射することによって、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部(光ピックアップ6)と、
上記照射部によって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号に変換する変換部(RF信号処理回路9)と、
上記変換部によって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価部(i−MLSE検出部141、エラーレート検出部241)と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部(球面収差補正部142)と、を備えている。
【0198】
上述のように、非超解像媒体については、RF信号の振幅を基準として球面収差を補正すれば、信号特性が高い状態で情報の再生を行うことができるが、超解像媒体においては、信号特性が高い状態で情報の再生を行うことができない可能性がある。
【0199】
本発明の一態様に係る再生装置が再生対象とする光情報記録媒体には、透光層、情報記録層および基板が配され、基板に、再生装置が有する光学系解像限界である119nmより短い長さのピットを含むピット群が設けられることによって、情報記録層にコンテンツが記録されている。そして、本発明の一態様に係る再生装置は、開口数が0.85である対物レンズを介して、波長が405nmである再生光を照射する構成となっている。
【0200】
すなわち、本発明の一態様に係る再生装置が再生対象とする光情報記録媒体は超解像媒体であり、当該再生装置は当該超解像媒体に記録されたコンテンツを再生することが可能な構成となっている。
【0201】
そして、本発明の一態様では、信号品質評価部が、照射部によって光情報記録媒体(超解像媒体)に再生光が照射された結果生じた反射光に基づく再生信号の品質を評価する。そして、球面収差補正部は、信号品質評価部により評価された再生信号の品質評価結果を用いて、照射部において生じる球面収差を補正する。
【0202】
したがって、上記態様1と同様、RF信号の振幅を用いて球面収差の補正を行う場合と異なり、不特定多数の超解像媒体に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0203】
本発明の態様3に係る再生装置は、上記態様1または2において、
上記信号品質評価部は、
上記再生信号の信号特性に対する評価指標であるi−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Estimation)を検出して、上記再生信号の品質を評価するi−MLSE検出部(141)、または、
上記再生信号に含まれるアドレス情報のエラーレートを検出して、上記再生信号の品質を評価するアドレス情報エラー検出部(エラーレート検出部241)であることが好ましい。
【0204】
上記の構成によれば、信号品質評価部は、上記i−MLSE検出部または上記アドレス情報エラー検出部からなる。
【0205】
信号品質評価部が上記i−MLSE検出部である場合、i−MLSEを再生信号の品質評価結果として用いることができる。そのため、超解像媒体の再生時に、十分に信号特性が高い状態で球面収差を補正することが可能となる。
【0206】
また、信号品質評価部が上記アドレス情報エラー検出部である場合、アドレス情報のエラーレートを再生信号の品質評価結果として用いることができる。
【0207】
アドレス情報エラー検出部は、一般に、超解像媒体を再生対象とする再生装置において設けられている。したがって、再生信号の品質評価のために新たな機能(部材、手段)を設けることなく、アドレス情報エラー検出部によって検出されたアドレス情報のエラーレートを用いて、超解像媒体の再生時に、十分に信号特性が高い状態で球面収差を補正することが可能となる。
【0208】
なお、上述のように、超解像媒体に形成されたピットの形状によっては、RF信号の振幅が最大の場合であっても信号特性が低い場合があることを、本願の発明者らが見出した。それゆえ、超解像媒体を再生対象とする従来の再生装置において、超解像媒体の再生時に、アドレス情報エラー検出部が検出するアドレス情報のエラーレートを再生信号の品質評価結果として用いて球面収差の補正を行うことは想定されておらず、このような手法により球面収差の補正を行うことは、本願の発明者らが見出したものといえる。
【0209】
本発明の態様4に係る再生装置(300、400)は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された第1領域(データ領域22)と、
再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、自身の媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録された第2領域(媒体情報領域23)とを有する光情報記録媒体(光ディスク20)から、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、当該コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部(光ピックアップ6)において生じる球面収差を補正する第1球面収差補正部(342)と、
上記第2領域に記録された上記媒体識別情報を再生するときには、上記第1球面収差補正部とは異なる処理によって、上記照射部において生じる球面収差を補正する第2球面収差補正部(343)と、を備えている。
【0210】
上述のように、非超解像媒体については、RF信号の振幅を基準として球面収差を補正すれば、信号特性が高い状態で情報の再生を行うことができるが、超解像媒体においては、信号特性が高い状態で情報の再生を行うことができない可能性がある。すなわち、上述したように、超解像媒体の再生時には、再生信号の品質評価結果を基準として球面収差を補正する。
【0211】
本発明の一態様に係る再生装置が再生対象とする光情報記録媒体には、第1領域と第2領域が設けられている。第1領域は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された領域である。すなわち、超解像技術による情報の再生が可能な超解像領域である。一方、第2領域は、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、自身の媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録された領域である。すなわち、超解像技術による情報の再生が不可能な非超解像領域である。
【0212】
そして、本発明の一態様に係る再生装置では、超解像領域である第1領域に記録されたコンテンツを再生するときには、第1球面収差補正部は、再生信号の品質評価結果を用いて球面収差を補正する。一方、第2球面収差補正部は、非超解像領域である第2領域に記録された媒体識別情報を再生するときには、第1球面収差補正部とは異なる処理によって球面収差を補正する。この第1球面収差補正部とは異なる処理とは、例えば、RF信号の振幅を用いた球面収差を補正することが挙げられる。
【0213】
したがって、第1領域(超解像領域)に記録されたコンテンツ、および、第2領域(非超解像領域)に記録された媒体識別情報のいずれを再生する場合においても、高い信号特性を得た状態で、コンテンツおよび媒体識別情報の再生をそれぞれ行うことができる。それゆえ、本発明の一態様によれば、超解像領域および非超解像領域を併せ持つ超解像媒体についても、不特定多数の超解像領域に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0214】
本発明の態様5に係る再生装置(300)は、上記態様4において、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを示す再生信号の品質を評価する信号品質評価部(i−MLSE検出部141、エラーレート検出部142)を備え、
上記第1球面収差補正部は、上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部における球面収差を補正するものであり、
上記信号品質評価部は、
上記再生信号の信号特性に対する評価指標であるi−MLSE(Integrated-Maximum Likelihood Sequence Estimation)を検出して、上記再生信号の品質を評価するi−MLSE検出部(141)、または、
上記再生信号に含まれるアドレス情報のエラーレートを検出して、上記再生信号の品質を評価するアドレス情報エラー検出部(エラーレート検出部142)であることが好ましい。
【0215】
上記の構成によれば、信号品質評価部は、上記i−MLSE検出部または上記アドレス情報エラー検出部からなる。
【0216】
信号品質評価部が上記i−MLSE検出部である場合、i−MLSEを再生信号の品質評価結果として用いることができる。そのため、第1領域(超解像領域)の再生時に、十分に信号特性が高い状態で球面収差を補正することが可能となる。
【0217】
また、信号品質評価部が上記アドレス情報エラー検出部である場合、アドレス情報のエラーレートを再生信号の品質評価結果として用いることができる。
【0218】
そして、態様3で述べたように、再生信号の品質評価のために新たな機能(部材、手段)を設けることなく、アドレス情報エラー検出部によって検出されたアドレス情報のエラーレートを用いて、超解像領域の再生時に、十分に信号特性が高い状態で球面収差を補正することが可能となる。
【0219】
さらに、本発明の態様6に係る再生装置(400)は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された第1領域(データ領域22)と、
再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、光情報記録媒体の製造者を特定するための情報である製造者情報が記録された第2領域(媒体情報領域23)とを有する光情報記録媒体(光ディスク20)から、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記再生装置には、上記光情報記録媒体を製造する複数の製造者によって、上記第1領域に記録された上記コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて特定された第1球面収差補正値(球面収差補正値R1)と、上記第2領域に記録された上記製造者情報を示す再生信号の振幅を用いて特定された第2球面収差補正値(球面収差補正値R2)とが、当該複数の製造者のそれぞれに対応づけて予め保存されており、
上記第2領域から読み出された上記製造者情報が示す製造者に対応付けられた上記第1球面収差補正値と上記第2球面収差補正値との差分(ΔR)を、上記第2領域から上記製造者情報を読み出したときの球面収差補正値(RP)に加算することにより、上記コンテンツ再生時の球面収差補正値(R)を求める差分調整部(441)と、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、上記コンテンツ再生時の球面収差補正値を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部(光ピックアップ6)において生じる球面収差を補正する第1球面収差補正部(342)と、を備えている。
【0220】
第1領域の再生時において再生信号の信号品質が最良となるときの球面収差補正値と、第2領域の再生時においてRF信号の振幅が最大となるときの球面収差補正値との差異は、光情報記録媒体を製造する製造者に依存するといえる。
【0221】
上記の構成によれば、上記再生装置には、上記第1球面収差補正値と上記第2球面収差補正値とが、当該複数の製造者のそれぞれに対応づけて予め保存されている。そして、差分調整部は、光情報記録媒体から読み出された製造者情報が示す製造者に対応付けられた上記第1球面収差補正値と上記第2球面収差補正値との差分を、第2領域から製造者情報を読み出したときの球面収差補正値に加算することにより、コンテンツ再生時の球面収差補正値を求める。第1球面収差補正部は、コンテンツ再生時に、差分調整部が求めたコンテンツ再生時の球面収差補正値を用いて、球面収差を補正する。
【0222】
そのため、より単純な機能を有する差分調整部を設けるだけで、コンテンツを示す再生信号の品質を評価する信号品質評価部(i−MLSE検出部、エラーレート検出部など)を設けることなく、上記コンテンツ再生時の球面収差の補正を行うことができる。それゆえ、本発明の一態様によれば、超解像領域および非超解像領域を併せ持つ超解像媒体についても、不特定多数の超解像領域に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0223】
さらに、本発明の態様7に係る再生装置(400)は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された第1領域(データ領域22)と、
再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットからなる第2ピット群により、光情報記録媒体の製造者を特定するための情報である製造者情報が記録された第2領域(媒体情報領域23)とを有する光情報記録媒体(光ディスク20)から、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記再生装置には、上記光情報記録媒体を製造する複数の製造者によって、上記第1領域に記録された上記コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて特定された第1球面収差補正値(球面収差補正値R1)と、上記第2領域に記録された上記製造者情報を示す再生信号の振幅を用いて特定された第2球面収差補正値(球面収差補正値R2)との差分(ΔR)を示す差分情報が、当該複数の製造者のそれぞれに対応づけて予め保存されており、
上記第2領域から読み出された上記製造者情報が示す製造者に対応付けられた上記差分情報が示す差分を、上記第2領域から上記製造者情報を読み出したときの球面収差補正値(RP)に加算することにより、上記コンテンツ再生時の球面収差補正値(R)を求める差分調整部と、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、上記コンテンツ再生時の球面収差補正値を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部(光ピックアップ6)において生じる球面収差を補正する第1球面収差補正部(342)と、を備えている。
【0224】
上記の構成によれば、再生装置には、上記第1球面収差補正値と上記第2球面収差補正値との差分を示す差分情報が、当該複数の製造者のそれぞれに対応づけて予め保存されている。そして、差分調整部は、光情報記録媒体から読み出された製造者情報が示す製造者に対応付けられた差分情報が示す差分を、第2領域から製造者情報を読み出したときの球面収差補正値に加算することにより、コンテンツ再生時の球面収差補正値を求める。第1球面収差補正部は、コンテンツ再生時に、差分調整部が求めたコンテンツ再生時の球面収差補正値を用いて、球面収差を補正する。
【0225】
そのため、より単純な機能を有する差分調整部を設けるだけで、コンテンツを示す再生信号の品質を評価する信号品質評価部(i−MLSE検出部、エラーレート検出部など)を設けることなく、上記コンテンツ再生時の球面収差の補正を行うことができる。それゆえ、本発明の一態様によれば、超解像領域および非超解像領域を併せ持つ超解像媒体についても、不特定多数の超解像領域に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0226】
さらに、本発明の態様8に係る再生装置(500)は、
再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含む第1ピット群によりコンテンツが記録された第1領域(データ領域22)と、
ストライプ形状により、自身の媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録されたBCA(Burst Cutting Area)記録領域(39)とを有する光情報記録媒体(光ディスク30)から、上記コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記BCA記録領域に記録された上記媒体識別情報を再生するBCA再生制御部(543)と、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、当該コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部(光ピックアップ6)において生じる球面収差を補正する球面収差補正部(球面収差補正部142、第1球面収差補正部342)と、を備えている。
【0227】
上記の構成によれば、光情報記録媒体には、ストライプ形状により媒体識別情報が記録されたBCA記録領域に設けられている。そして、BCA再生制御部は、BCA記録領域から媒体識別情報を再生する。
【0228】
BCA記録領域の媒体識別情報は、例えば、再生装置が有する光学系解像限界の長さ以上のピットによりも大きく形成されている。そのため、BCA再生制御部は、媒体識別情報がピットにより形成されている場合と異なり、球面収差の補正処理およびトラッキング処理などを行うことなく、媒体識別情報を読み出すことができる。
【0229】
それゆえ、本発明の一態様によれば、BCA再生制御部による媒体識別情報の再生時における上記処理が不要であり、第1領域に記録されたコンテンツを再生するときに、球面収差補正部による補正を行うだけでよい。したがって、情報再生の開始までの時間を短縮することができる。
【0230】
さらに、本発明の態様9に係る再生方法は、上記態様1または2に記載の再生装置の制御方法であって、
上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射ステップと、
上記照射ステップによって上記光情報記録媒体に照射された上記再生光が、当該光情報記録媒体において反射することによって生じた反射光を、上記コンテンツを示す再生信号に変換する変換ステップと、
上記変換ステップによって変換された上記再生信号の品質を評価する信号品質評価ステップと、
上記信号品質評価ステップにより評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正ステップと、を含んでいる。
【0231】
上記の構成によれば、態様1または2と同様、不特定多数の超解像媒体に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0232】
さらに、本発明の態様10に係る再生方法は、上記態様4に記載の再生装置の制御方法(再生方法)であって、
上記第1領域に記録された上記コンテンツを再生するときには、当該コンテンツを示す再生信号の品質評価結果を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部において生じる球面収差を補正する第1球面収差補正ステップと、
上記第2領域に記録された上記媒体識別情報を再生するときには、上記第1球面収差補正ステップとは異なる処理によって、上記照射部において生じる球面収差を補正する第2球面収差補正ステップと、を含んでいる。
【0233】
上記の構成によれば、第1領域(超解像領域)および第2領域(非超解像領域)を併せ持つ超解像媒体についても、不特定多数の超解像領域に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0234】
さらに、本発明の態様11に係る再生装置は、再生装置が有する光学系解像限界の長さより短いピットを含むピット群によりコンテンツが記録された光情報記録媒体から、当該コンテンツを再生することが可能な再生装置であって、
上記光情報記録媒体に再生光が照射された結果生成された、上記コンテンツを示す再生信号の品質を評価する信号品質評価部と、
上記信号品質評価部により評価された上記再生信号の品質評価結果を用いて、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射部において生じる球面収差を補正する球面収差補正部と、を備えている。
【0235】
上記の構成によれば、態様1と同様、不特定多数の超解像媒体に記録されたコンテンツなどの情報を、精度よく再生することができる。
【0236】
本発明の各態様に係る再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記再生装置が備える各手段として動作させることにより上記再生装置をコンピュータにて実現させる再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0237】
〔その他〕
なお、本発明の一態様を、以下のように表現してもよい。
【0238】
(1)本発明の一態様に係る光情報記録媒体再生装置は、対応する再生装置が有する再生光学系の光学系解像限界より短いPitを含むピット群により、ユーザが利用するコンテンツが記録された再生専用光情報記録媒体から、ユーザが利用するコンテンツを再生する再生装置であって、上記再生専用光情報記録媒体に再生光を照射する照射手段と、上記照射手段により得られた反射光を信号に変換する変換手段と、上記変換手段により得られた信号の品質を評価する信号品質評価手段と、上記信号品質評価手段を用いて上記照射手段の球面収差補正を行う信号品質基準球面収差補正手段と、を有している。
【0239】
(2)本発明の一態様に係る光情報記録媒体再生装置は、再生光の入射側から順に、当該再生光の入射面を有する透光層と、情報記録層と、基板とが配され、上記情報記録層には、再生装置の走査方向において、再生装置の光学系解像限界である119nm以下の長さのプリピットを含む上記基板上に設けられたプリピット群にてユーザが利用するコンテンツが記録されている光情報記録媒体に、開口数0.85の対物レンズを介して、波長405nmの再生光を照射することによりユーザが利用するコンテンツを再生する再生装置であって、上記光情報記録媒体に再生光を照射する照射手段と、上記照射手段により得られた反射光を信号に変換する変換手段と、上記変換手段により得られた信号の品質を評価する信号品質評価手段と、上記信号品質評価手段を用いて上記照射手段の球面収差補正を行う信号品質基準球面収差補正手段と、を有している。
【0240】
(3)本発明の一態様に係る光情報記録媒体再生装置では、上記(1)または(2)において、上記信号品質評価手段が、再生信号からi−MLSEを検出するi−MLSE検出手段、又は、再生信号からアドレス情報のみを抽出し、アドレス情報のみのエラーレートを検出するアドレス情報エラー検出手段であってもよい。
【0241】
(4)本発明の一態様に係る光情報記録媒体再生装置は、対応する再生装置が有する再生光学系の光学系解像限界より短いPitを含むピット群により、ユーザが利用するコンテンツが記録された第1領域と、対応する再生装置が有する再生光学系の光学系解像限界より長いPitのみからなるピット群により、自身の種類を識別するための媒体識別情報が記録された第2領域と、を有する光情報記録媒体から、ユーザが利用するコンテンツを再生する再生装置であって、上記第1領域を再生する際に用いる第1球面収差補正手段と、上記第2領域を再生する際に用いる第2球面収差補正手段が異なっている。
【0242】
(5)本発明の一態様に係る光情報記録媒体再生装置は、上記(4)において、上記第1球面収差補正手段が、再生信号からi−MLSEを検出するi−MLSE検出手段、又は、再生信号からアドレス情報のみを抽出し、アドレス情報のみのエラーレートを検出するアドレス情報エラー検出手段であってもよい。
【0243】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明は、超解像媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0245】
1 光ディスク(光情報記録媒体)
A 光ディスク(光情報記録媒体)
B 光ディスク(光情報記録媒体)
2 基板
3 情報記録層
4 透光層
6 光ピックアップ(照射部)
9 RF信号処理回路(変換部)
20 光ディスク(光情報記録媒体)
22 データ領域(第1領域)
23 媒体情報領域(第2領域)
30 光ディスク(光情報記録媒体)
100 再生装置
141 i−MLSE検出部(信号品質評価部)
142 球面収差補正部
200 再生装置
241 エラーレート検出部(信号品質評価部、アドレス情報エラー検出部)
300 再生装置
342 第1球面収差補正部
343 第2球面収差補正部
660 対物レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16