特許第6326064号(P6326064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6326064変性ポリイソプレンをベースとするトレッドを含む重量物運搬車両タイヤ、該タイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326064
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】変性ポリイソプレンをベースとするトレッドを含む重量物運搬車両タイヤ、該タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20180507BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20180507BHJP
   C08K 5/16 20060101ALI20180507BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20180507BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20180507BHJP
   C08C 19/22 20060101ALI20180507BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08K3/36
   C08K5/16
   C08K3/06
   C08K5/14
   C08C19/22
   B60C1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-546966(P2015-546966)
(86)(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公表番号】特表2016-506429(P2016-506429A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013075988
(87)【国際公開番号】WO2014090756
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】1262024
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100170944
【弁理士】
【氏名又は名称】岩澤 朋之
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラ ペリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】アラウージョ ダ シルヴァ ホセ−カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ファヴロ ジャン−ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】サリ アンヌ−フレデリーク
(72)【発明者】
【氏名】シーボス ニコラ
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/007442(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 9/00
B60C 1/00
C08C 19/22
C08K 3/06
C08K 3/36
C08K 5/14
C08K 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ゴム組成物からなるトレッドを含み、前記組成物が、少なくとも、下記の成分をベースとすることを特徴とする大型車両タイヤ:
90モル%よりも高い割合のシス−1,4−単位を有する合成ポリイソプレンを主として含むエラストマーマトリックス;
・シリカ質タイプの補強用無機充填剤を主として含む補強用充填剤、および、
・補強用無機充填剤/官能化ジエンエラストマー結合剤;
・化学架橋剤;並びに、
・少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基が、互いに、少なくとも1個の“スペーサー”基Spによって結合している化合物から選ばれる変性剤;
上記変性剤において、
・Qは、少なくとも1個の窒素原子を含む双極子を含み;
・Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む結合基を含み;
・Spは、QとAの間の結合を形成する原子または原子群である。
【請求項2】
Aが、イミダゾリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビスウレイル、ウレイルおよびウレイド−ピリミジル基から選ばれる、請求項1記載の大型車両タイヤ。
【請求項3】
基Aが、下記の式(II)〜(VI)の1つに相応する、請求項1または2記載の大型車両タイヤ:
【化1】
(式中Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示し
Xは、酸素またはイオウ原子を示す)。
【請求項4】
Qが、ニトリルオキシド、ニトロンまたはニトリルイミン官能基を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の大型車両タイヤ。
【請求項5】
基Qが、下記の式(VII)、(VIII)または(IX)の基である、請求項1〜4のいずれか1項記載の大型車両タイヤ:
【化2】
[式中R1〜R3は、個々に、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化3】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキルまたはハライドを示す)
の基から選ばれ、R1〜R3の少なくとも1つは、スペーサー基Sp、または少なくとも1個のYがスペーサー基Spである式(X)の基を示し
R4〜R5は、スペーサー基Spであり
R6は、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化4】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、アルキルまたはハライドを示す)
の基を示す]。
【請求項6】
“スペーサー”基は、窒素、イオウ、ケイ素または酸素原子から選ばれた1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよいC1〜C24の線状または枝分れのアルキル鎖である、請求項1〜5のいずれか1項記載の大型車両タイヤ。
【請求項7】
基Qが、下記の式(XIa)または(XIb):
【化5】
(式中、R7およびR8は、個々に、水素またはC1〜C5アルキル基、アルコキシまたはハライドを示し、R3は、請求項5において定義したとおりである)
の基であり;そして、基Aが、下記の式(XII):
【化6】
の基である、請求項1〜6のいずれか1項記載の大型車両タイヤ。
【請求項8】
変性剤が、下記の式(XIII)〜(XXI)の化合物から選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載の大型車両タイヤ:
【化7】
【化8】
[式中、R3は、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化9】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、アルキル基またはハライドを示す)
の基を示す]
【化10】
【請求項9】
変性剤が、下記の式(XXII)および(XXIII)の化合物から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項記載の大型車両タイヤ:
【化11】
【請求項10】
変性剤が、既にエラストマーにグラフトされている、請求項1〜9のいずれか1項記載の大型車両タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重を支えるのに適するタイヤ、およびそのようなタイヤトレッドの剛性を改良するための低ヒステリシスゴム組成物の使用に関する。本発明は、大型車両(heavy duty vehicle)のような自動車、土木工事車両または航空機用のタイヤに適用する。
【背景技術】
【0002】
重荷重を支えるのに適する、特に、大型車両用のタイヤの製造の分野においては、特に、地面と接触する、トレッドと称するゴム組成物の配合の分野においては、知られている通り、天然ゴムを、このエラストマーが有する低いヒステリシス損失故に使用する。
【0003】
特に重荷重を支えることを意図するこれらのタイヤにおいては、トレッドを構成する材料は、低変形および中程度の変形において良好な剛性を有すると共に支えられる荷重によって増幅されるより高い応力または変形の作用下に損傷されることなく一定の変形を許容し得ることが望ましい。換言すれば、低変形および中程度の変形において剛性であってタイヤに低転がり抵抗性を付与するようにすると同時に、高破断点伸びまたは高引張強度を有して満足し得る耐摩耗性をもたらす天然ゴムをベースとする材料を有することが望ましい。しかしながら、各性質におけるこれらの利得は、天然ゴムの使用によって既に達成しているヒステリシスにおける利得を偽性にして達成してはならない。
【0004】
本出願法人の特許出願WO 2012/007442号は、少なくとも1個の窒素含有双極子と少なくとも1個の窒素含有結合基とを含む特定の変性剤でグラフト化することによるジエンエラストマーの変性を記載している。そのようにして変性したエラストマーは、この変性エラストマーを含む組成物に、改良されたヒステリシス特性を、さらにまた、中程度の変形下での良好な剛性および高破断点伸びを付与する。
【0005】
しかしながら、天然ゴムに適用したこの変性は、予期した各特性をもたらしていない結果となっている。即ち、トレッドが、WO 2012/007442号に従う少なくとも1個の窒素含有双極子と少なくとも1個の窒素含有結合基とを含む変性剤によって変性した天然ゴムをベースとする組成物を含む重荷重を支えるのに適するタイヤは、低転がり抵抗性と満足し得る耐摩耗性を最適の割合で組合せるという各性質の所望の妥協点を示していない。
【0006】
さらに、重荷重を支えることを意図するタイヤの設計者にとっては、タイヤの各性能、特に、転がり抵抗性と耐摩耗性の妥協点を、タイヤを構成する組成物の多くの場合相反する各性質の、例えば、上記組成物の低および中程度の変形における良好な剛性と高破断点伸びの妥協点を改良することによって改良することは、不変の懸念ごとである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は解決することを提案する技術的問題は、重荷重を支えることを意図するタイヤの転がり抵抗性/耐摩耗性の妥協点の改良である。
【0008】
本発明者等は、今回、重荷重を支えるのに適するタイヤを開発した;このタイヤのトレッドは、主要エラストマーとしての変性合成ポリイソプレンと主要補強用充填剤としてのシリカ質タイプの補強用充填剤とをベースとする組成物を含む。この組成物は、主要エラストマーとして変性天然ゴムを含む通常の組成物と対比して各性質(ヒステリシス/剛性/破断点伸び)の改良された妥協点を有する。特にトレッドとして使用して、本発明に従う組成物は、大型車両または重荷重を支える他の車両用のタイヤに、トレッドが主要エラストマーとして変性天然ゴムをベースとする組成物を含むタイヤと比較して低下した転がり抵抗性および改良された耐摩耗性を付与する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の本明細書においては、ゴム組成物中に存在し、モルパーセントとして表す“変性剤の割合”なる表現は、イソプレンの100単位当りの上記組成物中に存在する変性剤分子数を意味する。例えば、変性剤の割合が0.20モル%である場合、この割合は、100イソプレン単位当り変性剤由来の0.20単位が存在することを意味する。変性剤で既にグラフト化されているポリイソプレンと変性剤によってグラフト化されていないジエンエラストマーの双方を上記組成物において使用する場合、変性剤の割合は、既にグラフト化されていない変性剤の他の分子が上記組成物に添加されていないことを前提として、100ジエンエラストマー単位、即ち、上記2種のエラストマー(グラフト化および非グラフト化)を勘案した単位数当りにグラフト化している変性剤分子数を示す。
【0010】
以下の本明細書においては、“ベースとする組成物”なる表現は、使用する各種構成成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味する;これらのベース構成成分の数種は、組成物の製造の各種段階において、特に、組成物の架橋または加硫中に少なくとも部分的に互いに反応し得るか或いは反応するように意図する。
【0011】
本説明においては、特に明確に断らない限り、示す全ての百分率(%)は、質量%である。さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の範囲は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示し(即ち、限界値aとbは排除される)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
【0012】
本説明においては、“大型車両タイヤ”なる表現は、一般的に、また、過重負担がないような、大型車両、土木工事車両、農業用車両用または航空機用のいずれであれ、重荷重を支えることを意図する任意のタイヤを意味するものと理解されたい。
【0013】
結果として、本発明の1つの主題は、トレッドが、少なくとも下記成分をベースとするゴム組成物を含むことを特徴とする大型車両タイヤである:
・主要エラストマーとしての合成ポリイソプレン;
・充填剤総質量に対して少なくとも50質量%のシリカ質タイプの補強用無機充填剤を含む補強用充填剤;
・化学架橋剤;並びに、
・変性剤、該変性剤は、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基は、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合されている;
上記変性剤において、
・Qは、少なくとも1個、好ましくは1個の窒素原子を含む双極子を含み;
・Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む結合基(associative group)を含み;
・Spは、QとAの間の結合を形成する原子または原子群である。
【0014】
本発明のもう1つの主題は、下記の工程を含むことを特徴とする、主要エラストマーとしての合成ポリイソプレン、シリカ質タイプの補強用充填剤、化学架橋剤および変性剤を少なくともベースとするゴム組成物の製造工程を含む大型車両タイヤの製造方法である:
・上記ジエンエラストマーを、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基が、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合している変性剤(Qは、少なくとも1個、好ましくは1個の窒素原子を含む双極子を含み;Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む結合基を含み;Spは、QとAの間の結合を形成する原子または原子群である)の溶液中または塊状中での後重合グラフト化によって変性する工程;
・補強用充填剤を、上記変性剤でそのようにしてグラフト化した上記ジエンエラストマー中に、全てを、1回以上の工程で、130℃と200℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練することによって混和する工程;
・混ぜ合せた混合物を、100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、上記化学架橋剤を混入する工程;
・全てを、120℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
・得られたゴム組成物を押出加工してトレッドを得る工程;
・上記で形成したトレッドを含み、上記タイヤを構成する各種半製品要素を組立てる工程。
【0015】
本発明のもう1つの主題は、下記の工程を含むことを特徴とする、主要エラストマーとしての合成ポリイソプレン、シリカ質タイプの補強用充填剤、化学架橋剤および変性剤を少なくともベースとするタイヤ用のゴム組成物の製造工程を含む大型車両タイヤの製造方法である:
・上記ジエンエラストマー中に、混合の間に上記変性剤を、引続き上記補強用充填剤を、全てを、1回以上の工程で、110℃と200℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練することによって混和する工程;上記変性剤は、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基が、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合しており、上記において、Qは、少なくとも1個、好ましくは1個の窒素原子を含む双極子を含み;Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む結合基を含み;Spは、QとAの間の結合を形成する原子または原子群である);
・混ぜ合せた混合物を、100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、上記化学架橋剤を混入する工程;
・全てを、120℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
・得られたゴム組成物を押出加工またはカレンダー加工してトレッドを形成する工程;
・前記で形成したトレッドを含み、上記タイヤを構成する各種半製品要素を組立てる工程。
【0016】
そのように、本発明の第1の主題は、そのトレッドが、主要エラストマーとしての合成ポリイソプレン、シリカ質タイプの補強用充填剤、化学架橋剤、並びに、上述したような、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基が、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合している変性剤を少なくともベースとする組成物含むところの大型車両タイヤである。
【0017】
本発明に従うゴム組成物の第1の成分は、主要エラストマーとしての合成ポリイソプレンである。
合成ポリイソプレンは、使用する重合条件、特に、変性剤および/またはランダム化剤の存在または不存在並びに使用する変性剤および/またはランダム化剤の量に依存する任意のミクロ構造を有し得る。好ましくは、合成ポリイソプレンは、高割合、即ち、90モル%よりも高い割合、より好ましくは95モル%よりも高い割合のシス−1,4−単位を有する。合成ポリイソプレンは、分散液中、エマルジョン中または溶液中で調製し得る;合成ポリイソプレンは、カップリング剤および/または星型枝分れ剤または官能化剤によってカップリングし得および/または星型枝分れし得または官能化し得る。
【0018】
本発明に従うゴム組成物は、少なくとも1種の合成ポリイソプレンと少なくとも1種の変性剤をベースとする。合成ポリイソプレンは、該ポリイソプレンを上記ゴム組成物の他の構成成分と接触させる前に、上記変性剤によってグラフト化することができ、或いは、合成ポリイソプレンは、上記組成物の各種構成成分と接触させた後に、従って、上記組成物の調製中の上記変性剤の存在において、上記変性剤との反応によってグラフト化してもよい。
【0019】
本発明に従う大型車両タイヤのトレッドの組成物は、上記変性剤によってグラフト化した合成ポリイソプレン(前以ってグラフト化したまたは上記組成物の調製中の上記変性剤との反応によってグラフトした)、或いは数種のグラフト化合成ポリイソプレンの混合物を含み得る。
【0020】
本発明の1つの変形によれば、本発明に従う大型車両タイヤのトレッドの組成物は、グラフト化合成ポリイソプレンを単独のエラストマーとして含む。この変形は、本発明に従う好ましい変形を構成する。
【0021】
本発明のもう1つの変形によれば、本発明に従う大型車両タイヤのトレッドの組成物は、上記グラフト化合成ポリイソプレン以外に、本発明に従う上記変性剤によってグラフト化してもまたはしなくてもよい1種以上の他のジエンエラストマーを含み得る。
【0022】
本発明に従うグラフト化エラストマーとのブレンドとして使用する他のジエンエラストマー(1種以上)は、タイヤ分野における通常のジエンエラストマー、例えば、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物から選ばれるジエンエラストマーである。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)およびそのようなコポリマーの混合物から選ばれる。
【0023】
この他の変形によれば、これらの通常のジエンエラストマーは、その場合、本発明に従う大型車両タイヤのトレッドのゴム組成物中に、0phrと60phrの間の割合(この範囲の各限界値は排除する)、好ましくは0よりも多くから50phrまで、さらにより好ましくは0よりも多くから30phrの範囲の割合で存在する。
【0024】
少なくとも1種の他のジエンエラストマーとのブレンドの場合、上記エラストマーマトリックス中の本発明に従うグラフト化合成ポリイソプレンの質量画分は、主要量であって、好ましくは上記マトリックスの総質量の50質量%以上である。本発明に従う主要質量画分は、上記ブレンド中の最高質量画分である。従って、IR/エラストマーA/エラストマーBブレンドにおいては、各質量画分は40/40/20または40/30/30で分配し得、主要質量画分は、それぞれ、40である。さらに、IR/エラストマーブレンドにおいては、各質量画分は、50/50または70/30で分配し得、主要質量画分は、それぞれ、50または70である。
【0025】
上記ゴム組成物中の上記通常のジエンエラストマー(1種以上)の割合が低いほど、本発明に従う大型車両タイヤのトレッドのゴム組成物の各性質における改良は大きいことに留意されたい。
本発明に従うグラフト化合成ポリイソプレン(1種以上)は、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーとの、或いはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーとさえの組合せで使用し得る。
【0026】
本発明に従うゴム組成物の第2の成分は、上記変性剤である。この変性剤は、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基は、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合している;上記変性剤において、
・Qは、少なくとも1個、好ましくは1個の窒素原子を含有する双極子を含み;
・Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む結合基を含み;
・Spは、QとAの間の結合を形成する原子または原子群である。
【0027】
双極子は、不飽和炭素−炭素結合に対し双極性[1,3]付加を形成することのできる官能基である。
“結合基”は、水素結合、イオン結合または疎水結合によって互いに結合することのできる任意の基である。本発明の1つの好ましい実施態様によれば、上記用語は、水素結合による結合を受けることのできる基を称する。
【0028】
上記結合基が水素結合による結合を受けることができる場合、各結合基は、水素結合のための少なくとも1個の供与体“部位”と少なくとも1個の受容体部位を有して、2個の同一結合基が、自己相補性であって、互いに結合して少なくとも2つの水素結合を形成し得るようにする。
また、本発明に従う上記結合基は、充填剤上に存在する官能基との水素結合、イオン結合および/または疎水結合による結合を受けることもできる。
【0029】
1個の基Q、1個の“スペーサー”基および1個の結合基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ia)によって示し得る:
【化1】
【0030】
1個の基Q、1個の“スペーサー”基および2個の結合基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ib)によって示し得る:
【化2】
【0031】
同様に、2個の基Q、1個の“スペーサー”基および1個の結合基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ic)によって示し得る:
【化3】
【0032】
同じ原理によれば、2個の基Q、1個の“スペーサー”基および2個の結合基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Id)によって示し得る:
【化4】
【0033】
好ましくは、上記結合基は、イミダゾリジニル、ウレイル、ビスウレイル、ウレイドピリミジル、トリアゾリルまたはトリアジニル基から選ばれる。
【0034】
好ましくは、基Aは、下記の式(II)〜(VI)の1つに相応する:
【化5】
(式中、・Rは、必要に応じてヘテロ原子を含み得る炭化水素基を示し;
・Xは、酸素またはイオウ原子、好ましくは酸素原子を示す)。
【0035】
好ましくは、基Aは、2個または3個の窒素、好ましくは2個の窒素を有し、少なくとも1個のカルボニル官能基を含む5原子または6原子複素環を含む。
さらにより好ましくは、基Aは、式(II)のイミダゾリジニル基を含む。
【0036】
基Qは、共有結合(グラフト化)によってジエンエラストマー鎖に結合し得る。好ましくは、基Qは、少なくとも1個の不飽和基を担持するポリマーに{3+2}付加環化によって結合することのできるニトリルオキシド、ニトロンまたはニトリルイミン官能基を含む。
【0037】
好ましくは、基Qは、下記の式(VII)、(VIII)または(IX)を有する基である:
【化6】
[式中、・R1〜R3は、個々に、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化7】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキル基またはハライドを示す)
の基から選ばれ;
R1〜R3の少なくとも1つは、スペーサー基Sp、または少なくとも1個のYがスペーサー基Spである式(X)の基を示し;
・R4〜R5は、スペーサー基Spであり;
・R6は、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化8】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、アルキルまたはハライドを示す)
の基を示す]。
【0038】
“スペーサー”基Spは、少なくとも1個の基Qおよび/または少なくとも1個の結合基Aの連結を可能にし、従って、それ自体既知の任意のタイプであり得る。しかしながら、上記“スペーサー”基は、本発明に従う化合物の上記Qおよび結合基を全くまたは殆ど干渉してはならない。
【0039】
従って、上記“スペーサー”基は、基Qに対して不活性な基であるとみなされる。上記“スペーサー”基は、好ましくは、1個以上の芳香族基および/または1個以上のヘテロ原子を含有し得る線状、枝分れまたは環状の炭化水素鎖である。上記鎖は、必要に応じて置換し得るが、その置換基が基Qに対して不活性であることを条件とする。
【0040】
1つの好ましい実施態様によれば、上記“スペーサー”基は、窒素、イオウ、ケイ素または酸素原子から選ばれた1個以上のヘテロ原子を必要に応じて含むC1〜C24、好ましくはC1〜C10の線状または枝分れのアルキル鎖、より好ましくはC1〜C6の線状アルキル鎖である。
【0041】
本発明の1つの実施態様によれば、基Qは、下記の式(XIa)または(XIb):
【化9】
(式中、R7およびR8は、個々に、水素またはC1〜C5アルキル基、アルコキシまたはハライドを示し、好ましくはR7およびR8は、個々に、アルキル基またはハライドを示し、さらに好ましくはR7およびR8は、個々に、メチル基または塩素原子を示し、R3は、上記において定義したとおりである)
の基であり;そして、基Aは、下記の式(XII)の基である:
【化10】
【0042】
好ましくは、本発明に従うポリマーをグラフト化することを意図する上記化合物は、その場合、下記の式(XIII)〜(XXI)の化合物から選ばれる:
【化11】
【化12】
[式中、R3は、この場合、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化13】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、アルキル基またはハライドを示す)
の基を示す]
【化14】
【0043】
本発明のもう1つの実施態様によれば、本発明に従うポリマーをグラフト化することを意図する化合物は、下記の式(XXII)および(XXIII)の化合物から選ばれる:
【化15】
[式中、Rは、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X):
【化16】
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し;各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキル基またはハライドを示す)
の基から選ばれる]。
【0044】
1つの好ましい実施態様によれば、変性剤の割合は、0.01モル%〜50モル%、好ましくは0.01モル%〜5モル%である。
【0045】
本発明に従うタイヤのトレッドに含ませる組成物のもう1つの成分は、シリカ質補強用無機充填剤である。
本発明のもう1つの実施態様によれば、上記補強用充填剤は、シリカ質タイプの補強用無機充填剤から専らなる。
【0046】
また、もう1つの実施態様によれば、上記補強用充填剤は、上記シリカ質無機充填剤以外に、カーボンブラックも含む。この他の実施態様によれば、カーボンブラックも存在する場合、カーボンブラックは、20phrよりも少ない、より好ましくは10phrよりも少ない(例えば0.5phrと20phrの間、特に2phrと10phrの間の)割合で使用する。これらの範囲内では、カーボンブラックの着色特性(黒着色剤)およびUV耐性特性からの利得を得ることができる。
【0047】
好ましくは、上記組成物中の補強用充填剤の割合は、30phrと150phrの間、より好ましくは50phrと120phrの間の割合である;最適量は、知られている通り、目標とする特定の用途に応じて異なる。
【0048】
個々にまたは混合物の形で使用する全てのカーボンブラック類、特に、タイヤまたはそのトレッドにおいて通常使用するブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。後者のうちでは、さらに詳細には、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683、N772ブラック類のような100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類或いは500、600または700シリーズのカーボンブラック類(ASTM級)が挙げられる。これらのカーボンブラックは、商業的に入手し得るような分離状態で、或いは何らかの他の形で、例えば、使用するある種のゴム製造用の添加剤に対する支持体として使用し得る。
【0049】
シリカ(SiO2)は、シリカ質補強用無機充填剤として特に適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/g、特に60m2/gと300m2/gの間のBET表面積とCTAB比表面積を有する任意の沈降またはヒュームドシリカであり得る。本発明の1つの局面によれば、上記シリカ質補強用無機充填剤の全部または1部をアルミナ質補強用無機充填剤、特に、アルミナ(Al2O3)または(酸化)水酸化アルミニウム、或いは、例えばUS 6 610 261号およびUS 6 747 087号に記載されているような補強用酸化チタンで置換えることを意図することは可能である。
【0050】
上記シリカ質補強用無機充填剤を供給する物理的状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒またはビーズ形状或いは任意の他の適切な高密度化形のいずれであれ重要ではない。
【0051】
知られている通り、上記シリカ質補強用無機充填剤を上記合成ポリイソプレンにカップリングさせるためには、上記シリカ質無機充填剤(その粒子表面)と上記ポリイソプレン間に化学的および/または物理的性質の満足し得る結合をもたらすことを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)、特に、二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
特に、知られている通り、例えば出願 WO03/002648号およびWO03/002649号に記載されているような、その特定の構造に応じて“対称形”または“非対称形”と称するシランポリスルフィドを使用する。
【0052】
本発明に従うタイヤのトレッドに含ませるゴム組成物においては、カップリング剤の含有量は、好ましくは3phrと15phrの間、より好ましくは4phrと8phrの間の量である。その割合は、当業者であれば、シリカ質充填剤の割合に応じて容易に調整し得ることである;カップリング剤の割合は、典型的には、シリカ質充填剤の量に対して0.5質量%〜15質量%程度である。
【0053】
また、本発明に従うタイヤのトレッドに含ませるゴム組成物は、カップリング剤以外に、カップリング活性化剤、充填剤の被覆用の薬剤、或いは、知られている通り、ゴムマトリックス中での充填剤の分散性を改良し且つ組成物の粘度を低下させることによって、未硬化状態における組成物の加工されるべき能力を改良することのできるより一般的な加工助剤も含み得る;これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シラン;ポリオール;ポリエーテル;第一級、第二級または第三級アミン;或いは、ヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
【0054】
当業者であれば、上記で説明したシリカ質補強用無機充填剤と等価の充填剤として、もう1つの性質を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面に、充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位、特にヒドロキシル部位を含むかを条件として使用し得ることを理解されたい。
【0055】
また、本発明に従うタイヤのトレッドに含ませるゴム組成物は、上記カーボンブラックまたは上述したシリカ質補強用無機充填剤以外の補強用無機充填剤の全部または1部を置換え得る補強用有機充填剤も含み得る。補強用有機充填剤の例としては、出願WO−A−2006/069792号、出願WO−A−2006/069793号、出願WO−A−2008/003434号および出願WO−A−2008/003435号に記載されているような官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0056】
本発明に従うタイヤのトレッドのゴム組成物のもう1つの成分は、化学架橋剤である。
化学架橋剤は、エラストマー鎖間に共有結合の形成を可能にする。化学架橋は、加硫系によって或いは過酸化化合物によって実施し得る。
【0057】
実際の加硫系は、イオウ(またはイオウ供与剤)と一次加硫促進剤とをベースとする。この基本加硫系に加えて、各種既知の二次促進剤または架橋活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸もしくは等価の化合物、またはグアニジン誘導体(特に、ジフェニルグアニジン)を、下記で説明するような第1の非生産段階中および/または生産段階中に混入する。
イオウは、0.5phrと12phrの間の好ましい割合、特に1phrと10phrの間の割合で使用する。一次加硫促進剤は、0.5phrと10phrの間の好ましい割合、より好ましくは0.5phrと5.0phrの間の割合で使用する。
【0058】
(一次または二次)促進剤としては、イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用することのできる任意の化合物、特に、チアゾールタイプの促進剤およびその誘導体、チウラムおよびジチオカルバミン酸亜鉛タイプの促進剤を使用し得る。好ましくは、スルフェンアミドタイプの一次促進剤を使用する。
【0059】
化学架橋を1種以上の過酸化化合物によって実施する場合、上記過酸化化合物(1種以上)は、0.01phr〜10phrを示す。
化学架橋系として使用し得るる過酸化化合物としては、アシルペルオキシド、例えば、ベンゾイルペルオキシドまたはp−クロロベンゾイルペルオキシド;ケトンペルオキシド、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド;ペルオキシエステル類、例えば、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートおよびt−ブチルペルオキシフタレート;アルキルペルオキシド、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシベンゾエートおよび1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ヒドロペルオキシド、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシドを挙げることができる。
【0060】
また、本発明に従うタイヤのトレッドのゴム組成物は、例えば、顔料;オゾン劣化防止ワックス(C32 STオゾンワックスのような)、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤(6−パラフェニレンジアミンのような)のような保護剤;疲労防止剤;補強用樹脂;例えば出願WO 02/10269号に記載されているような、メチレン受容体(例えば、フェノール・ノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M)または接着促進剤(例えば、コバルト塩)のような、大型車両タイヤ、特に、トレッドの製造を意図するエラストマーの組成物において慣用的に使用されている標準の添加剤の全部または1部も含み得る。
【0061】
本発明の1つの変形によれば、本発明に従う大型車両タイヤ用のトレッドのゴム組成物は、好ましくは10phrよりも低い割合で存在する可塑剤または増量剤オイル(後者は芳香族性または非芳香族性のいずれかである)を含む。好ましい非芳香性または極めて軽度に芳香族性の可塑剤としては、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、MESオイル、TDAEオイル、グリセリンエステル (特にトリオレアート)、好ましくは30℃よりも高い高Tgを有する可塑化用炭化水素樹脂、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用する。もう1つの変形によれば、上記ゴム組成物は、可塑剤または増量剤オイルを含まない。
【0062】
本発明のもう1つの主題は、本発明に従う大型車両タイヤの製造方法であって、上記タイヤのトレッドに含ませるゴム組成物の製造工程も含む。
【0063】
上記ゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の一般的手順に従う2つの連続する製造段階を使用して製造する。熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階と称する)は、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度までの高温で実施する。この第1段階における総混練時間は、好ましくは、1分と15分の間の時間である。上記第1の非生産段階においてそのようにして得られた混合物を冷却した後、化学架橋系を、低温で、一般にオープンミルのような開放ミキサー内で混入する;その場合、全てを、数分間、例えば、2分と15分の間の時間混合する(生産段階)。機械的加工のこの第2段階(“生産”段階とも称する)は、典型的には120℃よりも低い、例えば、60℃と100℃の間の低めの温度で実施する。
【0064】
一般に、化学架橋系を除いた本発明のタイヤのトレッドのゴム組成物の全てのベース構成成分、即ち、補強用充填剤(1種以上)および必要な場合のカップリング剤を、単数または複数のジエンエラストマー中に、上記第1の非生産段階において、混練により緊密に混和する、即ち、少なくともこれらの各種ベース構成成分を、上記ミキサー内に導入して、1回以上の工程で、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する。
【0065】
本発明の第1の実施態様によれば、合成ポリイソプレンを、上記ゴム組成物製造の第1非生産段階の前に、上記変性剤によってグラフト化する。そのように、この場合、上記第1の非生産段階において導入するのは、上記グラフト化ポリイソプレンである。即ち、上記方法のこの第1の実施態様によれば、上記方法は、下記の工程を含む:
・上記合成ポリイソプレンを、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基が、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合している上述したような変性剤の溶液中または塊状中での後重合グラフト化によって変性する工程;
・補強用充填剤および化学架橋系を除いた上記組成物の全てのベース構成成分を、上記変性剤でそのようにしてグラフト化した上記合成ポリイソプレン中に、全てを、1回以上の工程で、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練することによって混和する工程;
・混ぜ合せた混合物を、100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、上記化学架橋剤を混入する工程;
・全てを、120℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
・得られたゴム組成物を押出加工してトレッドを得る工程;
・上記で形成したトレッドを含み、上記タイヤを構成する各種半製品要素を組立てる工程。
【0066】
本発明の第2の実施態様によれば、上記変性剤による合成ポリイソプレンのグラフト化を、上記ゴム組成物の製造と同時に実施する。この場合、まだグラフト化されてないままの合成ポリイソプレンと変性剤の両方を上記第1の非生産段階において導入する。好ましくは、補強用充填剤は、この場合、この同じ非生産段階において、後で添加して、変性剤とのあり得る望ましくない反応を阻止する。
【0067】
即ち、上記方法のこの第2の実施態様によれば、上記方法は、下記の工程を含む:
・上記ポリイソプレン中に、少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含み、これらの基が、互いに、少なくとも1個の、好ましくは1個の“スペーサー”基Spによって結合している上述したような変性剤を、グラフト化効率が好ましくは60%よりも高く、より好ましくは80%よりも高いような温度および時間で導入し、そして、好ましくはその後、補強用充填剤、さらにまた、化学架橋系を除いた上記組成物の全てのベース構成成分を導入し、全てを、1回以上の工程で、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練することによって混和する工程;
・混ぜ合せた混合物を、100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、上記化学架橋剤を混入する工程;
・全てを、120℃よりも低い最高温度まで混練する工程;
・得られたゴム組成物を押出加工してトレッドを形成する工程;
・上記で形成したトレッドを含み、上記タイヤを構成する各種半製品要素を組立てる工程。
【0068】
当業者であれば、上記ゴム組成物が上述したようなグラフト化されていない通常のジエンエラストマーを含む場合、本発明に従う大型車両タイヤは、好ましくは、上記タイヤ製造方法の第1の実施態様に従って製造し、これらの他の通常のエラストマーと上記変性剤間のあり得る望ましくない反応を阻止することを理解されたい。
【0069】
合成ポリイソプレンのグラフト化は、該エラストマーと上記変性剤が担持する1個以上の反応基との反応によって生じる。この反応中に、この反応基またはこれらの反応基が、ポリイソプレン鎖との共有結合を形成する。
【0070】
上記変性剤のグラフト化は、例えば密閉ミキサーまたはオープンミルのような開放ミキサー内で、塊状で実施し得る。グラフト化は、その場合、60℃低い開放ミキサーまたは密閉ミキサー温度、その後の80℃〜200℃の範囲の温度のプレスまたはオーブン内でのグラフト化反応工程或いは60℃よりも高い、後加熱処理なしの開放ミキサーまたは密閉ミキサー温度のいずれかにおいて実施する。
【0071】
また、上記グラフト化方法は、溶液中で連続してまたはバッチ法式で実施し得る。そのようにして変性したポリイソプレンは、その溶液から、当業者にとって既知の任意の手段によって、特に、水蒸気ストリッピング処理によって分離し得る。
【0072】
上記変性剤のグラフト化は、上記変性剤の1個以上の反応基とポリイソプレン鎖の1つ以上の二重結合との[3+2]付加環化によって実施する。該付加環化のメカニズムは、下記の等式によって説明し得る:
・ニトリルオキシドのポリイソプレンの不飽和基または二重結合への付加環化
【化17】
【0073】
・ニトロンのポリイソプレンの不飽和基または二重結合への付加環化
【化18】
【0074】
・ニトリルイミンのポリイソプレンの不飽和基または二重結合への付加環化
【化19】
【実施例】
【0075】
本発明およびその利点は、以下の典型的な実施態様に照らせば、容易に理解し得るであろう。
典型的な実施態様
I. 使用する測定および試験法
上記エラストマーおよびゴム組成物は、硬化前後において、下記に示すようにして特性決定する。
【0076】
変性剤の割合の測定
グラフトさせたニトリルオキシド化合物のモル比をNMR分析によって測定する。スペクトルは、5mmのBBIz級“ブロードバンド”プローブを装着したBruker 500MHz分光計で獲得する。定量的1H NMR試験は、単一30°パルスシーケンスおよび獲得毎の3秒の繰返し時間を使用する。サンプルを二硫化炭素(CS2)中に溶解する。100μlの重水素化シクロヘキサン(C6D12)をロック信号に対して加える。
【0077】
1H NMRスペクトルは、グラフト化ニトリルオキシド単位を定量することを、δ= 3.1〜3.8ppm間の化学シフトにおいて出現するCH2NおよびCH2Oのプロトンに対する特徴的信号の集積によって可能にする。
2D 1H−13C HSQC NMRスペクトルは、グラフト化単位の性質の検証を、その炭素原子とプロトンの化学シフトにより可能にする。
【0078】
ガラス転移温度
上記ポリマーのガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計を使用して測定する。分析は、規格ASTM D3418−08の条件に従って実施する。
【0079】
近赤外線(NIR)分光法
近赤外線(NIR)分光法を使用して、上記エラストマー中のスチレンの質量による割合、さらにまた、上記エラストマーのミクロ構造(1,2−ビニル、トランス−1,4およびシス−1,4の各ブタジエン単位の相対的分布)を定量的に測定する。この方法の原理は、多成分系に対して一般化したランベルト・ベールの法則に基づく。この方法は、間接法であるので、13C NMRにより測定した組成を有する標準エラストマーを使用して実施する多変量検量法[Vilmin, F.; Dussap, C.; Coste, N. Applied Spectroscopy 2006, 60, 619-29]を使用する。その後、上記スチレン割合および上記ミクロ構造を、およそ730μmの厚さを有するエラストマーフィルムのNIRスペクトルから算出する。スペクトルは、ペルチェ冷却したInGaAs検出器を備えたBruker Tensor 37 Fourier変換近赤外分光計を使用して、4000cm-1と6200cm-1の間の伝送モードにおいて2cm-1解像力でもって獲得する。
【0080】
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用する。SECは、溶液中のマクロ分子を、そのサイズに応じて、多孔質ゲルを充填したカラムにより分離するのを可能にする。マクロ分子は、その流体力学的容積に従って分離し、最大嵩高物が最初に溶出する。
絶対的方法ではないものの、SECは、ポリマーのモル質量分布の評価を可能にする。市販の標準製品に基づいて、種々の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)を判定することができ、さらに、多分散性指数(Ip = Mn/Mw)を、ムーア(Moore)較正によって算出することができる。
【0081】
ポリマーの調製:分析前に、ポリマーサンプルの特段の処理はない。ポリマーサンプルを、(テトラヒドロフラン+1容量%のジイソプロピルアミン+1容量%のトリエチルアミン+1容量%の蒸留水)中またはクロロホルム中に、およそ1g/lの濃度で単純に溶解する。その後、溶液を、注入前に、0.45μmの有孔度を有するフィルターで濾過する。
【0082】
SEC分析:使用する装置は、“Waters alliance”クロマトグラフである。溶出溶媒は、ポリマーを溶解するのに使用した溶媒に応じて、テトラヒドロフラン+1容量%のジイソプロピルアミン+1容量%のトリエチルアミンであるかまたはクロロホルムである。流量は0.7ml/分であり;装置温度は35℃であり;分析時間は90分である。商品名Styragel HMW7、Styragel HMW6Eおよび2本のStyragel HT6Eを有するWatersカラムの直列4本セットを使用する。
注入するポリマーサンプル溶液の容量は100μlである。検出器は、Waters 2140示差屈折率検出器であり、クロマトグラフィーデータを分析するためのソフトウェアは、Waters Empowerシステムである。
算出した平均モル質量は、市販のPSS Ready CAL-KITポリスチレン標準から描いた較正曲線と関連する。
【0083】
引張試験
これらの引張試験は、弾性応力および破断点諸性質の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格 NF 46−002に従って実施する。また、引張記録の加工は、伸びの関数としてのモジュラス曲線をプロットすることを可能にする。ここで使用するモジュラスは、1回目の伸びにおいて測定し、試験標本の初期断面に対して算出した公称(または見掛けの)割線モジュラスである。上記公称割線モジュラス(またはMPaでの見掛け応力)は、1回目の伸びにおいて、100%および300%伸びで測定し、それぞれ、ASM100およびASM300として示す。
引張強度(MPaでの)および破断点伸び(%での)は、規格NF 46−002に従い、23℃±2℃および100℃±2℃において測定する。
【0084】
動的特性
動的特性ΔG*およびtan(δ)maxは、規格ASTM D 5992−96に従って、粘度アナライザー(Metravib VA4000)において測定する。単純な交互正弦波剪断応力に、規格ASTM D 1349−99に従う標準温度条件(23℃)下にまたは必要に応じて異なる温度(60℃)において、10Hzの周波数で供した加硫組成物のサンプル(厚さ4mmおよび400mm2の断面積を有する円筒状試験標本)の応答を記録する。歪み振幅掃引を、0.1%から100%まで(外向きサイクル)、次いで、100%から0.1%まで(戻りサイクル)で実施する。使用する結果は、複素動的剪断モジュラス(G*)および損失係数tan(δ)である。戻りサイクルにおいて、観察されたtan(δ)の最高値(tan(δ)maxとして示す)、さらにまた、0.1%歪みおよび100%歪みでの値間での複素モジュラスの差(ΔG*) (パイネ効果)が示される。
【0085】
II. 組成物の実施例
II−1. 2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ニトリルオキシド変性剤の調製
上記変性剤は、出願WO 2012/007441号に記載されている方法に従って調製する。
【0086】
II−2. 組成物の製造
下記の試験における手順は、以下のとおりである:1種以上のグラフト化していないジエンエラストマーを、70%まで充填し且つ初期容器温度がおよそ110℃である85cm3のPolylab密閉ミキサーに導入する。本発明に関連する混合物においては、上記変性剤を上記ジエンエラストマーと同時に導入し、熱機械的加工は、25℃で1分30秒間実施し、全てをおよそ5〜6分間混合する(生産段階)。
【0087】
その後、全ての組成物(対照および本発明の組成物)において、任意構成成分としての1種以上の補強用充填剤、任意構成成分としてのカップリング剤、次いで、1〜2分間の混練後、加硫系を除いた各種他の成分を上記ミキサー内に導入する。その後、熱機械的加工(非生産段階)を、1回の工程で、160℃の最高“落下”温度に達するまで実施する(およそ5分間に等しい総混練時間)。得られた混合物を回収し、冷却し、その後、加硫系(イオウ)を、25℃の開放ミキサー(ホモフィニッシャー)において添加し、全てを約5〜6分間混合する(生産段階)。
【0088】
得られた組成物を、その後、その物理的または機械的性質の測定のためのゴムのスラブ(2〜3mm厚)または薄シートの形に、或いは、所望の寸法に切断しおよび/または組立てた後、例えば、タイヤ用の半製品として、特に、タイヤトレッドとして直接使用することのできる形状要素の形にカレンダー加工する。
【0089】
各ゴム組成物は、下記の表9に示している。量は、エラストマー100質量部当りの質量部(phr)で表している。
【表1】
(1) 脱プロトン化天然ゴム;
(2) 95%のシス−1,4−単位を有する合成ポリイソプレン;
(3) N234;
(4) マイクロビーズ形のRhodia社からの“Zeosil 1165 MP”シリカ(BETおよびCTAB:約150〜160m2/g);
(5) TESPT (Degussa社からの“Si69”);
(6) 変性剤:2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ニトリルオキシド;
(7) 酸化亜鉛 (工業級、Umicore社);
(8) Stearine (“Pristerene 4931”、Uniqema社):
(9) N−1,3−ジメチルブチル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン(Flexsys社からの“Santoflex 6‐PPD”);
(10) 2,2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン(Flexsys社);
(11) パラフィン;
(12) N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド (Flexsys社からの“Santocure CBS”)。
【0090】
特性決定試験 (結果)
本実施例の目的は、グラフト化合成ポリイソプレンエラストマーを含む本発明に従うシリカをベースとするゴム組成物(本発明に従う組成物)の各性質を、グラフト化天然ゴムを含む比較用組成物(比較用組成物)と比較することである。
【0091】
本発明に従う組成物は、60℃において、非グラフト化ポリイソプレンを含む対照組成物と比較して、加えた応力下での歪み掃引中のヒステリシス(tan(δ)max)の低下によって分かるパイネ効果の大きな低下を示している。この34%度合の低下は、グラフト化天然ゴムをベースとする比較用組成物において観察されている、僅かに8%である度合よりも極めて大きい。
【0092】
ケイ素をベースとし且つグラフト化ポリイソプレンを含む本発明に従うゴム組成物は、該組成物のヒステリシスの極めて大きな低下と共に高いASM100%およびASM300%モジュラスを有していることが観察されている。各性質の妥協点の改良は、グラフト化天然ゴムをベースとする組成物によって観察された各性質を考慮すれば、有意で且つ予期に反する。
【0093】
III. タイヤ試験
グラフト化合成ポリイソプレンをベースとする組成物のASM100%およびASM300%モジュラスの増進並びにヒステリシスの低下というこれらの有意の結果を、以下で説明する大型車両タイヤでの道路試験において確認した。
【0094】
【表2】
(1) 95%のシス−1,4−単位を有する合成ポリイソプレン;
(2) N234;
(3) マイクロビーズ形のRhodia社からの“Zeosil 1165 MP”シリカ(BETおよびCTAB:約150〜160m2/g);
(4) TESPT (Degussa社からの“Si69”);
(5) 変性剤:2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ニトリルオキシド;
(6) 酸化亜鉛 (工業級、Umicore社);
(7) Stearine (“Pristerene 4931”、Uniqema社):
(8) N−1,3−ジメチルブチル−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン(Flexsys社からの“Santoflex 6‐PPD”);
(9) 2,2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン(Flexsys社);
(10) パラフィン;
(11) N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド (Flexsys社からの“Santocure CBS”)。
【0095】
上記2通りの組成物AおよびBを使用して、寸法315/70R22.5 XE2+のラジアルカーカスタイヤのトレッドを形成した。これらのタイヤは、それぞれのタイヤトレッドを構成する組成物以外は同一である。
【0096】
III−1. 試験の説明
III−1. 1. 転がり抵抗性
転がり抵抗性は、バン類および大型車両用のタイヤに該当する規格ISO 9948に従って測定する。タイヤを、モーターによって駆動する大直径のフライホイール上で走行させる。方法は、80km/時近くの装置の減速を測定して、それから転がり抵抗性を推測することからなる。
【0097】
対照の基礎点100に対して表す転がり抵抗性は、組成物Aからなる対照タイヤの転がり抵抗力対組成物Bからなるタイヤの転がり抵抗力の比として表す。転がり抵抗力は、自由タイヤの減速力と自由フライホイールの減速力を差引いた測定制動力全体から推測する。
【0098】
III−1. 2. 耐摩耗性
磨耗試験は、トラクタータイプの大型トラックの前輪位置に装着したタイヤにおいて実施した。磨耗転がりを30 000kmの距離に亘って実施する。対照の基礎点100に対して表す磨耗性能は、対照組成物Aの2本のタイヤにおいて測定した平均最高損減と組成物Bの2本のタイヤにおける平均最高損減との比から算出する。
上記の配合に相応する各タイヤの結果は、下記の表に基礎点100に対して示している。
【0099】
III−2. 結果
タイヤ性能に関して得られた結果を下記の表に示す。100よりも高い値が改良されたタイヤ性能結果を示す。
【表3】
【0100】
組成物Bによって製造したタイヤは、対照の転がり抵抗性と比較して大いに改良された転がり抵抗性のみならず好ましい磨耗性能も有している。