特許第6326066号(P6326066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メディミューン,エルエルシーの特許一覧

特許6326066凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤
<>
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000014
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000015
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000016
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000017
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000018
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000019
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000020
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000021
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000022
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000023
  • 特許6326066-凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤 図000024
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326066
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20180507BHJP
   C07K 16/22 20060101ALI20180507BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180507BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20180507BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20180507BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20180507BHJP
   C12N 15/02 20060101ALN20180507BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20180507BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20180507BHJP
【FI】
   A61K39/395 N
   A61K39/395 M
   C07K16/22ZNA
   A61P35/00
   A61K9/08
   A61K47/34
   A61J1/05 311
   !C12N15/00 C
   !C12N15/00 A
   !C12P21/08
【請求項の数】20
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2015-549615(P2015-549615)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-506409(P2016-506409A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】US2013076062
(87)【国際公開番号】WO2014100143
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】61/740,193
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-7258
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-7259
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-7260
(73)【特許権者】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】マリク,プリヤンカ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,アンバリシュ
(72)【発明者】
【氏名】トゥエスカ,アンソニー
【審査官】 幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−510632(JP,A)
【文献】 国際公開第01/017542(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/089778(WO,A1)
【文献】 特表2009−532474(JP,A)
【文献】 特表2005−506067(JP,A)
【文献】 Mahler,HC. et al.,Induction and analysis of aggregates in a liquid IgG1-antibody formulation.,Eur. J. Pharm. Biopharm.,2005年 4月,Vol.59, No.3,p.407-17
【文献】 Estey,T.,Agitation-induced Aggregation of Monoclonal Antibodies and the Role of Container Closure Systems.,Protein Sci.,2010年 8月,Vol.19, Suppl.1,p.67-8 Abstract 9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
C07K 16/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤であって、液状製剤が、
アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体と、
薬学的に許容される担体と
0.03%の濃度のポリソルベート20を含み、
前記製剤中の前記抗体の5%以下が凝集体を形成する、液状抗体製剤。
【請求項2】
前記抗体が、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)およびmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号12を含む軽鎖配列、配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号32を含む軽鎖配列から選択される可変軽鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号10を含む重鎖配列、配列番号18を含む重鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列から選択される可変重鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項5】
前記抗体が、
配列番号12を含む軽鎖配列および配列番号10を含む重鎖配列、
配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号18を含む重鎖配列、ならびに
配列番号32を含む軽鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列
から選択される可変軽鎖および可変重鎖メンバーを含む完全ヒトモノクローナル抗体である、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号10の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号12の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、配列番号18の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号20の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、ならびに配列番号30の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号32の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体から選択される完全ヒトモノクローナル抗体である、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号33(MEDI1)、配列番号34(MEDI2)、配列番号35(MEDI3)、配列番号36(MEDI4)および配列番号38(MEDI6)から選択される配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号37(MEDI5)を含む可変重鎖領域を更に含む、請求項7に記載の液状抗体製剤。
【請求項9】
前記液状抗体製剤のpHが5.0〜8.0である、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項10】
前記抗体の凝集体が、可視粒子、不可視粒子、沈殿物、フィブリルまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項11】
前記凝集体が、少なくとも2μmを超えるおよび200μm以下の不可視粒子を含む、請求項10に記載の液状抗体製剤。
【請求項12】
前記薬学的に許容される担体が蒸留水を含む、請求項1に記載の液状抗体製剤。
【請求項13】
25mMクエン酸ナトリウム/クエン酸、及び7%スクロースを含む、請求項1に記載の液状抗体製剤であって、pH6.5であり、45mg/mlのmAb濃度である、液状抗体製剤。
【請求項14】
凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤を含有する1つ以上の容器を含む1つ以上の非ガラス一次包装構成要素であって、液状製剤が、薬学的に許容される担体中に、アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体、および0.03%の濃度のポリソルベート20を含む、非ガラス一次包装構成要素を含む製品であって、
前記製剤中の前記抗体の5%以下が凝集体を形成する、製品。
【請求項15】
1つ以上の容器が、アンプル、バイアル、ボトルおよびこれらの組み合わせから選択される非ガラス容器である、請求項1に記載の製品。
【請求項16】
前記非ガラス容器が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項17】
前記非ガラス容器がポリプロピレンを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項18】
前記容器が、空気と液状製剤とを0.05以下の体積空気対体積液体比の割合で含有する、請求項14に記載の製品。
【請求項19】
少なくとも1つ一次包装構成要素が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択される容器クロージャーを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項20】
液状抗体製剤が、25mMクエン酸ナトリウム/クエン酸、及び7%スクロースを含み、pH6.5であり、45mg/mlのmAb濃度である、請求項14に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
抗体等の治療用タンパク質により医薬品の種類が急速に増大しており、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けている抗体治療薬は20種を超えている。現在、多くの抗体治療薬が凍結乾燥製剤として提供される。しかしながら、凍結乾燥製剤には限界があり、例えば、凍結乾燥製造プロセスに関連するコストの増大、凍結乾燥製剤を投与前に再構成する必要があり、再構成した溶液を一定期間内に使用しなければならないという事実があり、これらによりコスト的な無駄が生じる可能性がある。そのため、再構成した凍結乾燥製剤に相当する濃度で、またはこの凍結乾燥製剤よりも高い濃度で、液状抗体製剤を開発することが求められている。
【0002】
抗体を含有する液状製剤には一般に、1回の投与当たり大量の抗体(例えば約100mg〜約200mg)が含まれるが、例えば皮下注射では、注射液の量が制限される可能性がある。従って、多くの場合では、高濃度の製剤(例えば約100mg/mL)が必要である。しかしながら、液状製剤中の抗体は、高濃度で貯蔵される場合に凝集する傾向がある。
【0003】
用語「凝集体」は、生物製剤試料中でみられる多種多様な凝集体を指すことができ、この多種多様な凝集体は、サイズおよび特性(例えば可溶性または不溶性、共有結合性または非共有結合性、可逆性または不可逆性)に幅があることができる。タンパク質凝集は、製品の製造プロセス(細胞培養、精製および製剤化)中の、貯蔵中の、流通中のおよび取り扱い中の任意の工程で起こる可能性があり、さらに様々なストレス、例えば撹拌および極端なpH、温度、イオン強度または様々な界面への暴露によって生じる可能性もある。
【0004】
タンパク質治療薬の場合、凝集体の存在は概して望ましくない。なぜならば、凝集体により、活性の喪失、免疫原性反応がもたらされる場合があるまたは投与時に血管の閉塞等の有害事象が引き起こされる場合があるからである。実際に、薬剤中に存在する可能性がある粒子(≧10μmおよび≧25μmのサイズ)の数に関するガイドラインおよび制限が存在する。
【0005】
タンパク質凝集体を検出するための、定量化するためのおよびタンパク質凝集体の特性を明らかにするための方法は既知であり、これらの方法として、例えば、動的光散乱、分析用超遠心、外因性蛍光色素(extrinsic fluorescent dye)、UIV/VIS、SDS−PAGE、非対称流フィールドフローフラクショネーション(asymmetrical flow−field flow fractionation)、比濁法/光オブスキュレーション(turbidimetry/light obscuration)、FTIR、HP−SEC、および多角度レーザー光散乱が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、不溶性凝集の発生率が低下している、改善された液状抗体製剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤が本明細書に記載されている。特に、不溶性凝集が低減されている液状抗体製剤が提供される。この液状製剤は、完全ヒトモノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを含み、この製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成し、特に、この製剤中の抗体の約5%以下が不溶性凝集体を形成する。
【0008】
ある実施形態では、本発明は、液状抗体製剤の凝集プロファイルを改善する方法と、この方法により調製された液状抗体製剤とに関する。この方法は、ある量の液状抗体製剤を1つ以上の非ガラス容器に分注する工程と、容器中の液状抗体製剤を所望の期間にわたり貯蔵する工程であって、貯蔵期間中に製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成する、貯蔵する行程とを含む。
【0009】
ある実施形態では、約6ヶ月〜約12ヶ月の期間にわたり約20℃〜約25℃の温度で、約12ヶ月以下の期間にわたり約2℃〜約8℃の温度で、または約6ヶ月以下にわたり約38℃〜42℃の温度で液状抗体製剤を貯蔵する。ある実施形態では、非ガラス容器は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択されるポリマーを含む材料で構築されている。
【0010】
ある実施形態では、容器中の充填量を変更して容器のヘッドスペース中の空気の量を変えることができる。いくつかの実施形態では、ヘッドスペース中に非常に少ない空気を残して液体でバイアルを完全に充填することができ、これにより、空気:液体比を0:1とすることができる。その他の実施形態では、例えば9:1の空気:液体比まで充填量を低下させることができる。ある実施形態では、空気対液体比が0.05以下の体積空気対体積液体となるように、ある量の液状抗体製剤を容器に分注する。ある実施形態では、容器は、液状製剤の、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーを含む空気ポリマー容器タイプ(air polymeric container type)への暴露を低減させることができる容器クロージャーで閉口されている。
【0011】
ある実施形態では、液状製剤は、リン酸塩、トリス、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩またはこれらの組み合わせから選択される、約1mM〜約100mMの非両性イオン性緩衝液を含む。
【0012】
ある実施形態では、液状製剤は、アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを含む。一実施形態では、この完全ヒトモノクローナル抗体はアンジオポエチン−2に結合する。別の実施形態では、アンジオポエチン−2に結合する抗体は、配列番号12を含む軽鎖配列、配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号32を含む軽鎖配列から選択される可変軽鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である。別の実施形態では、この抗体は、配列番号10を含む重鎖配列、配列番号18を含む重鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列から選択される可変重鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である。別の実施形態では、この抗体は、配列番号12を含む軽鎖配列および配列番号10を含む重鎖配列、配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号18を含む重鎖配列、ならびに配列番号32を含む軽鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列から選択される可変軽鎖および可変重鎖のメンバーを含む完全ヒトモノクローナル抗体である。別の実施形態では、この抗体は、配列番号10の重鎖CDR1、CDR2、CDR3および配列番号12の軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む抗体、配列番号18の重鎖CDR1、CDR2、CDR3および配列番号20の軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む抗体、ならびに配列番号30の重鎖CDR1、CDR2、CDR3および配列番号32の軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む抗体から選択される完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0013】
別の実施形態では、この抗体は、MEDI1(配列番号33)、MEDI2(配列番号34)、MEDI3(配列番号35)、MEDI6(配列番号38)およびMEDI4(配列番号36)からなる群から選択される可変軽鎖アミノ酸配列を含む。別の実施形態では、この抗体は重鎖可変アミノ酸配列MEDI5(配列番号37)を含む。別の実施形態では、この抗体は、MEDI1(配列番号33)、MEDI2(配列番号34)、MEDI3(配列番号35)、MEDI6(配列番号38)およびMEDI4(配列番号36)からなる群から選択される可変軽鎖アミノ酸配列と、MEDI5(配列番号37)と定義した重鎖可変配列とを含む。ある実施形態では、アンジオポエチン−2に結合する抗体は、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)またはmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)である。
【0014】
一実施形態では、液状製剤のpHは約5.0〜約8.0である。
【0015】
一実施形態では、製剤中の抗体の約5%以下により形成された凝集体は、可視粒子、不可視粒子(subvisible particle)、沈殿物、フィブリルまたはこれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、この凝集体は、少なくとも約2μmを超えるおよび約200μm以下の不可視粒子を含む。別の実施形態では、この凝集体は、少なくとも約200μmを超える可視粒子を含む。
【0016】
一実施形態では、薬学的に許容される担体は蒸留水を含む。
【0017】
本明細書に記載の本発明はまた、凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤であって、この製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成する、液状抗体製剤を含有する1つ以上の容器を含む1つ以上の非ガラス一次包装構成要素を含む製品も提供する。一実施形態では、この液状製剤は、薬学的に許容される担体中に、アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体を含む。一実施形態では、1つ以上の容器は、アンプル、バイアル、ボトルおよびこれらの組み合わせから選択される非ガラス容器である。一実施形態では、1つ以上の非ガラス容器は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、クリスタルゼニス(crystal zenith)(CZ(登録商標))環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択されるポリマーを含む材料で構築されている。より具体的な実施形態では、この非ガラス容器は、ポリプロピレンを含む材料で構築されている。一実施形態では、この容器は、0.05以下の体積空気対体積液体の割合で空気と液状製剤とを含有する。
【0018】
この「発明の概要」は本出願の教示の一部の概要であり、本主題を排他的にまたは包括的に扱うことを意図するものではない。更なる詳細が、発明の詳細な説明、実施例および添付した特許請求の範囲に見出される。以下の詳細な説明および実施例を読んで理解することにより、およびこれらの一部を形成する図面を見ることにより、本発明のその他の態様が当業者に明らかになるだろう。詳細な説明、実施例および図面それぞれを、限定的な意味に解すべきではない。本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲およびその法的な均等物により規定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】5ccの容器中での様々な充填量に関する、8日の期間にわたり観測した可視粒子(VP)数を示す表である。
図2】5ccの容器中での様々な充填量に関する、8日の期間にわたり観測した不可視粒子(SVP)数を示すグラフである。
図3】調査で使用した容器タイプを示す写真である。
図4】様々な容器タイプに関する、容器に暴露した液体の表面積(SA)対液体の体積(V)比を示す図および表である。
図5】70日の期間にわたる、様々な容器タイプにおける不可視粒子(SVP)(>10μm)数を示すグラフである。
図6】21日の期間にわたる、様々な容器/ビーズの組み合わせに関する不可視粒子(SVP)(>10μm)数を示すグラフである。
図7】窒素パージング調査に関する、不可視粒子(SVP)数/mLを示すグラフである。
図8】撹拌調査に関する、不可視粒子(SVP)数/mLを示すグラフである。
図9】撹拌調査に関する、不可視粒子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、様々な改変型および代替型が可能であるが、これらの詳細を実施例および図で示しており、詳細に説明するだろう。しかしながら、本発明は、記載した特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。反対に、本発明の主旨および範囲に含まれている二次的な改変物、均等物および代替物が意図される。
【0021】
概要
様々な疾患の処置に治療用抗体を使用することに大きな関心が払われている。特に、治療用抗体の液状製剤に大きな関心が払われている。しかしながら、抗体は、液状製剤として貯蔵される場合に、特に高濃度の抗体が液状製剤に含まれる場合に、凝集する傾向を示す可能性がある。液状抗体製剤中での凝集の形成を低減するためのシステムおよび方法を本明細書に記載する。
【0022】
定義
本明細書で使用する場合、用語「約」は、例えば、本発明の説明で用いられる、組成物中の成分の量、濃度、体積、処理温度、処理時間、収率、流量、圧力およびこれらの範囲を修飾するために使用される。用語「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物または使用製剤を製造するために使用される典型的な測定手順および取り扱い手順により、これらの手順での意図しない誤差により、方法を実施するために使用される出発物質または出発原料の製造、供給源または純度での差異およびその他の同様の考慮すべき事項により、生じる可能性がある数量の変動を指す。用語「約」はまた、製剤のエージングに起因して特定の最初の濃度または混合物と異なる量、および製剤の混合または処理に起因して特定の最初の濃度または混合物と異なる量も包含する。用語「約」により修飾された場合、本明細書に添付した特許請求の範囲は、そのような均等物を含む。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「凝集体」はタンパク質分子の会合を指し、サイズおよび特性に幅があることができる多種多様な凝集体を含み、この特性として、例えば共有結合性または非共有結合性、可溶性または不溶性、および可逆性または不可逆性が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「可溶性凝集体」は、離散粒子として肉眼で見ることができないおよび細孔径が0.22μmであるフィルタにより除去することができない凝集体を指す。本明細書で使用する場合、用語「不溶性凝集体」は、ろ過により除去することができるおよび肉眼で見ることができる凝集体を指す。
【0024】
用語「Ang−2」は、分子アンジオポエチン−2を指す。
【0025】
既知の組み換えDNA技術により、またはインタクトな抗体の酵素的なもしくは化学的な開裂により、抗体の「結合フラグメント」を産生することができる。酵素パパインによる抗体の消化により、抗原結合活性を有しないが結晶化する能力を有する2つの同一の抗原結合フラグメントが生じ、これらの抗原結合フラグメントは「Fab」フラグメントおよび「Fc」フラグメントとしても知られている。酵素ペプシンによる抗体の消化により、抗体分子の2本のアームが連結したままであるおよび2つの抗原結合部位を含むF(ab’)2フラグメントが生じる。F(ab’)2フラグメントは、抗原を架橋する能力を有する。「Fv]は本明細書で使用する場合、抗原認識部位と抗原結合部位との両方を保持する抗体の最小フラグメントを指す。「二重特異性」抗体または「二官能性」抗体以外の抗体は、各々の結合部位が同一であると理解される。
【0026】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンに特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖等の分子の化学的に活性な表面群(surface grouping)からなるが、必ずではないものの、特異的な3次元構造上の特性および特異的な電荷特性を有することができる。抗体とエピトープとの間の解離定数が約1μM以下である、約100nM以下である、または約10nM以下である場合、抗体は抗原に特異的に結合するといわれている。
【0027】
用語「単離タンパク質」は、天然に存在する環境から単離されているタンパク質を指す。そのようなタンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、組み換えDNA、組み換えRNAもしくは合成起源、またはこれらの内のいくつかの組み合わせに由来することができ、その起源または由来源によって、「単離タンパク質」は、(1)自然界で見られるタンパク質を伴わない、(2)同じ起源由来のその他のタンパク質を含まない、例えばマウスタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞により発現される、または(4)自然界に存在しない。
【0028】
用語「mAb」はモノクローナル抗体を指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「天然に存在する」は、ある対象に対して適用する場合、ある対象を自然界で見出すことができるという事実を指す。例えば、自然界の供給源から単離することができ、研究室で人によりまたは別の方法で意図的に修飾されていない、生物(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0030】
用語「中和」は抗体を指す場合、標的抗原の活性を除去するまたは著しく弱める抗体の能力に関する。従って、「中和」抗Ang−2抗体は、Ang−2の活性を除去するまたは著しく弱めることができる。中和Ang−2抗体は、例えばAng−2のその受容体Tie2への結合を遮断することにより作用することができる。この結合を遮断することにより、Tie2媒介性のシグナル伝達を著しくまたは完全に除去することができる。一実施形態では、Ang−2に対する中和抗体は血管新生を抑制する。
【0031】
用語「薬剤(pharmaceutical agent or drug)」は本明細書で使用する場合、患者に適切に投与した場合に所望の治療効果を誘導することができる化合物または組成物を指す。
【0032】
語句「薬学的に許容される」とは、連邦政府または州政府の規制当局の承認を受けていること、または動物で使用するために、特にヒトで使用するために、米国薬局方、欧州薬局方もしくは一般に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0033】
用語「ポリペプチド」を、天然タンパク質、フラグメントまたはポリペプチド配列の類似体を指すための総称として本明細書で使用する。従って、天然タンパク質、フラグメントおよび類似体はポリペプチド属の種である。一実施形態では、ポリペプチドは、ヒト重鎖免疫グロブリン分子およびヒトカッパ軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに重鎖免疫グロブリン分子とカッパ軽鎖免疫グロブリン分子またはラムダ軽鎖免疫グロブリン分子等の軽鎖免疫グロブリン分子とを含む組み合わせによって形成される抗体分子およびその逆、ならびにこれらのフラグメントおよび類似体を指す。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」および「予防(prevention)」は、疾患または障害の、例えばang−2の異常な発現および/もしくは活性を伴うまたは特徴とする疾患または障害の進行または発症の抑制を指す。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「予防薬(prophylactic agent)」および「予防薬(prophylactic agents)」は、疾患または障害の、例えばang−2の異常な発現および/もしくは活性を伴うまたは特徴とする疾患または障害の発症、再発または進行の予防で使用することができる任意の薬剤(単数または複数)を指す。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「予防上有効な量」は、疾患または障害の、例えばang−2の異常な発現および/もしくは活性を伴うまたは特徴とする疾患または障害の進行、再発または発症を予防するのに十分な治療(例えば予防薬)の量を指す。
【0037】
本明細書で使用する場合、「プロトコル」は投薬スケジュールおよび投薬レジメを含む。プロトコルとは本明細書において、予防プロトコルを使用する方法および治療プロトコルを使用する方法ならびに予防プロトコルを含む方法および治療プロトコルを含む方法のことである。
【0038】
用語「安定性」および「安定した」は、目的の抗原(例えばAng−2)に免疫特異的に結合する抗体(この抗体フラグメントを含む)を含む液状製剤に関連して本明細書で使用する場合、本発明の製造条件下で、製剤条件下で、輸送条件下で、および貯蔵条件下で調製した際に、液状抗体製剤中における抗体(この抗体フラグメントを含む)の、凝集体の形成に対する耐性を指す。本発明の「安定した」製剤は、参照製剤と比べて、所定の製造条件下での、製剤条件下での、輸送条件下での、および貯蔵条件下での凝集プロファイルの改善を示す。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「対象」および「患者」を互換的に使用する。本明細書で使用する場合、用語「対象(subject)」および「対象(subjects)」は動物を指し、好ましくは非霊長類(例えば雌ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットおよびマウス)ならびに霊長類(例えば、カニクイザル(cynomolgous monkey)等のサル、チンパンジーおよびヒト)を含む動物を指し、より具体的にはヒトを指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「治療薬(therapeutic agent)」および「治療薬(therapeutic agents)」は、疾患または障害の、例えばang−2の異常な発現および/または活性を伴うまたは特徴とする疾患または障害の予防、処置および/または管理で使用することができる任意の薬剤(単数または複数)を指す。あるその他の実施形態では、用語「治療薬」は、ang−2に免疫特異的に結合する抗体以外の薬剤を指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「治療上有効な量は」は、疾患または障害の重症度を低下させるのに十分な治療の量を指す
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」および「処置すること(treating)」は、疾患または障害の、例えばang−2の異常な発現および/または活性を伴うまたは特徴とする疾患または障害の進行、重症度および/または持続時間の低下または改善を指す。
【0043】
特に定義しない限り、本明細書で使用する科学用語および技術用語は、当業者に一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈により特に必要とされない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞および組織の培養、分子生物学ならびにタンパク質およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して用いる用語およびこれらの技術は、当技術分野で公知であり一般に使用されているものである。
【0044】
組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成および組織培養および形質転換(例えば電気穿孔、リポフェクション)に標準的な技術を使用する。製造業者の説明書に従って、または当技術分野で一般的に行なうように、または本明細書に記載するように、酵素反応および精製技術を実施する。この技術および手順を一般に、当技術分野で公知の常法に従って、ならびに様々な一般的参考文献に記載されているように、より具体的には本明細書全体において引用するおよび論じる参考文献に記載されているように実施する。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001))を参照し、これは、参照により本明細書に援用される。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学ならびに医化学および薬化学に関連して用いる用語ならびにこれらの実験法および実験技術は、当技術分野で公知であり一般に使用されているものである。化学合成、化学分析、医薬品の調製、製剤化および送達、ならびに患者の処置に標準的な技術を使用する。
【0045】
抗体製剤
本発明は、貯蔵中に凝集プロファイルの改善(例えば、凝集がほとんどまたは全くない)を示す安定した液状抗体製剤に関する。一実施形態では、そのような抗体製剤は均質である。一実施形態では、本発明の製剤は滅菌されている。本発明の製剤は、薬学的に許容される担体と、目的の治療用抗体または予防用抗体(これらの抗体フラグメントを含む)とを含む。一実施形態では、この治療用抗体は、アンジオポエチン−2に免疫特異的に結合する抗体である。一実施形態では、この薬学的に許容される担体は水性担体であり、より具体的な実施形態では、水性担体は水を含む。より具体的な実施形態では、水は蒸留されている。
【0046】
液状製剤を開発する方法は既知であり、例えば、抗体、最適な溶液pH、緩衝液の種類および濃度を選択すること、様々な賦形剤の安定性への影響を評価すること、およびI−最適実験計画(I−optimal experimental design)を使用し、スクリーニングした賦形剤の濃度を最適化することを含む(Statistics for Experimenters:An Introduction to Design,Data Analysis,and Model Building,Box,George E.P.et al.,John Wiley and Sons,Inc.,1978)。
【0047】
治療に用いる抗体の有効量は、例えば治療の目的、投与の経路および患者の状態に依存するだろう。その他の考慮すべき事項として、疾患の重症度および種類、体重、性別、食事、投与の時間および経路、その他の薬物ならびにその他の関連する臨床学的因子が挙げられる。最適な治療効果を得るために、必要に応じて治療専門家は投薬量を漸増するおよび投与の経路を変更すると予想される。典型的には、臨床医は、所望の効果を達成する投薬量に達するまで抗体を投与するだろう。従来のアッセイによりまたは本明細書に記載のアッセイにより、この治療の進行は容易にモニタリングされる。
【0048】
製剤のpHは一般に、製剤で使用する治療用抗体(または抗体フラグメント)の等電点と等しくない。一般に、製剤のpHは約5.0〜約8.0の範囲である。本発明の液状抗体製剤の調製に使用することができる緩衝液の例として、非両性イオン性緩衝液が挙げられる。本発明の方法および製剤で使用する非両性イオン性緩衝液は、有機酸緩衝液、もしくはコハク酸塩(コハク酸ナトリウム等)、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム、例えばクエン酸ナトリウム/クエン酸等)、リン酸塩、トリス、酢酸塩等の緩衝液、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0049】
一実施形態では、賦形剤はサッカリド(例えば糖)を含む。
【0050】
別の実施形態では、賦形剤は界面活性剤を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、界面活性剤は、抗体の空気への暴露を低減させる、液状製剤の空気/水界面での競合的相互作用により、凝集を低減させることができると思われる。より具体的な実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、Tween(商標)−20もしくはTween(商標)−80等のポリソルベート20および80)またはポロクサマー(例えばポロクサマー188)等の非イオン性界面活性剤である。一般に、界面活性剤を、例えば製剤中の可視粒子および不可視粒子を低減させる等の、製剤化した抗体の凝集を低減させるのに十分な量で添加する。一実施形態では、界面活性剤は、製剤の少なくとも約0.001%および約1%以下の濃度で製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、製剤の約0%〜約0.1%、約0.01%〜約0.1%または約0.01%〜約0.05%の濃度で製剤中に存在する。特定の実施形態では、界面活性剤はTween−20またはTween−80であり、製剤の少なくとも約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%または0.08%および約0.1%、0.5%または1%以下の濃度で製剤中に存在する。
【0051】
一実施形態では、製剤は懸濁剤を含み、この懸濁剤として、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガカント粉末、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンならびにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0052】
別の実施形態では、製剤は可溶化剤を含み、この可溶化剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチンアミド、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、マクロゴールおよびヒマシ油脂肪酸エチルエステルならびにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0053】
一実施形態では、本発明の液状抗体製剤の粘度は約2mPas〜約15mPasであり、約4mPas〜約10Mpaである。液状製剤の粘度を測定する方法は既知であり、この方法として、例えば、2.53粘度測定/一般試験、日本薬局方、第15版に従う、コーンプレート型粘度計を使用する回転粘度計法の使用が挙げられる。
【0054】
一実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、例えば0.2ミクロンまたは0.22ミクロンのフィルタを使用する、滅菌ろ過により滅菌されている。
【0055】
本発明の液状抗体製剤を単位剤形として調製することができる。例えば、1バイアル当たりの単位投薬量は、少なくとも約1mLおよび約20mL以下の本発明の液状抗体製剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、単位投薬量は、少なくとも約1mLの、少なくとも約2mLの、少なくとも約3mLの、少なくとも約4mLの、少なくとも約5mLの、少なくとも約6mLの、少なくとも約7mLの、少なくとも約8mLの、少なくとも約9mLの、約10mL以下の、約15mL以下のまたは約20mL以下の製剤を含有することができる。
【0056】
一実施形態では、製剤として、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックス等の徐放性製剤が挙げられ、このマトリックスは成形体、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langer et al.,J.Biomed Mater.Res.,(1981)15:167−277およびLanger,Chem.Tech.,(1982)12:98−105に記載のポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書、欧州特許第58,481号明細書)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸塩とのコポリマー(Sidman et al.,Biopolymers,(1983)22:547−556)、難分解性エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,同上)、LUPRON Depot(商標)(乳酸グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドとから構成される注射用マイクロスフェア)等の分解性乳酸グリコール酸コポリマーおよびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号明細書)が挙げられる。
【0057】
凝集
本明細書で使用する場合、用語「凝集プロファイルの改善」は、製造中に、製剤中に、輸送中におよび/または貯蔵中に、低レベルから検出不能なレベルの抗体凝集を有する液状抗体製剤を指す。別の実施形態では、製剤は、低レベルから検出不能なレベルの不溶性の抗体凝集を有する。用語「凝集」は、可視粒子もしくは不可視粒子、沈殿物またはフィブリルを形成することができる、2以上の抗体分子の自己会合を指す。本明細書で使用する場合、用語「可視粒子」を、少なくとも約200μmもしくは約200μmを超えるまたは約200μmもしくは約300μm以下の抗体凝集体を指すために使用する。用語「不可視粒子」を、約2μm、約5μm、約10μm、約25μm、約50μm、約75μm、約100μmを超えるおよび約200μm以下の抗体凝集体を指すために使用する。語句「低レベルから検出不能なレベルの凝集」は、規定の期間にわたる、例えば以下に記載の期間にわたる貯蔵後に、凝集を測定するための既知の方法により測定した場合に、本発明の液状抗体製剤中の抗体の約5%以下または抗体の約4%以下または抗体の約3%以下または抗体の約2%以下または抗体の約1%以下または抗体(これらの抗体フラグメントを含む)の約0.5%以下が凝集体を形成する試料を指す。凝集を測定する方法は当技術分野で既知であり、この方法として、例えば、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光(FTIR)、円二色性(CD)、尿素誘導性のタンパク質アンフォールディング技術、接線流ろ過(TFF)、内因性トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定(DSC)および/または1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸(ANS)タンパク質結合技術が挙げられる。
【0058】
一実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、貯蔵時に凝集プロファイルの改善を維持する。別の実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、不溶性凝集の発生率の低下を有する。一実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、約6ヶ月、1年、2年、3年または5年以下にわたり室温(約20℃〜約25℃)または低温(約10℃未満、約2℃〜約8℃、例えば5℃)で長期間貯蔵された場合に、凝集プロファイルの改善を維持する。別の実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、ある期間にわたり、例えば約1週、2週、3週、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月または1年以下にわたり高温で、例えば約38℃〜42℃で、特に40℃で貯蔵された場合に、凝集プロファイルの改善を維持する。より具体的な実施形態では、アンジオポエチン−2に特異的に結合する抗体の抗体製剤は、約2℃〜約8℃の温度で、ある期間にわたり、例えば約1週以下、約2週以下、約3週以下、約1ヶ月以下、約2ヶ月以下、約3ヶ月以下または約6ヶ月以下にわたり貯蔵された場合に、凝集プロファイルの改善を維持する。
【0059】
抗体(この抗体フラグメントを含む)の抗原に免疫特異的に結合する能力を測定するために例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ等の様々な免疫学的アッセイで評価するように、上記に記載の条件下での長期の貯蔵中に、抗体(この抗体フラグメントを含む)の生物学的活性を調べることにより、液状製剤の安定性を測定することもできる。一実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、上記で規定した期間にわたる貯蔵後に、貯蔵前の製剤の最初の生物学的活性の、即ち貯蔵前の抗体を表す参照抗体と比較して、80%超を、85%超を、90%超を、95%超を、98%超を、99%超をまたは99.5%超を保持する。
【0060】
抗アンジオポエチン−2抗体
ある実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、アンジオポエチン−2(Ang−2)に特異的に結合する抗体を含む。一実施形態では、この製剤は、アンジオポエチン−2(Ang−2)に特異的に結合するモノクローナル抗体を含む。より具体的な実施形態では、この製剤は、Ang−2に対する完全ヒトモノクローナル抗体を含む。別の実施形態では、この製剤は、抗Ang−2抗体の単離された結合フラグメントを含む。一実施形態では、この結合フラグメントは、完全ヒト抗Ang−2抗体に由来する。治療用抗体または予防用抗体の非限定的な例が、「ANTIBODIES DIRECTED TO ANGIOPOIETIN−2 AND USES THEREOF」という表題の米国特許出願公開第2006/0246071号明細書に詳細に記載されており、この開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0061】
一実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)またはmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される完全ヒトモノクローナル抗体を含み、これらはAng−2に特異的に結合する。一実施形態では、この抗体は完全ヒトモノクローナル抗体mAb3.19.3である。別の実施形態では、この抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体mAb3.19.3と同じエピトープ(単数または複数)に結合する。
【0062】
一実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、表1に列挙する特異的抗Ang−2抗体を含む。この表は、対応する重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の配列番号と共に、各抗Ang−2抗体の識別番号を報告する。各抗体には、1つまたは2つの小数点で区切られた2つまたは3つ数字を含む識別番号が付与されている。ほとんどの抗体の場合、1つの小数点で区切られた2つの識別番号のみが列挙されている。
【0063】
一実施形態では、抗体は、表1に示す配列の内の1つの相補性決定領域(CDR)を有する重鎖アミノ酸配列を含む。当業者はCDR決定を容易に成し遂げることができることに留意されたい。例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda Md.(1991),vols.1−3を参照。別の実施形態では、抗体は、Ang−2に結合するおよび表1に示す配列の内の1つを含むCDRを有する軽鎖アミノ酸配列を含む抗体である。別の実施形態では、抗体は、Ang−2に結合するおよび表1に示すCDR配列の内の1つ以上を有する重鎖アミノ酸配列と表1に示すCDR配列の内の1つ以上を有する軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である。一実施形態では、抗体は、Ang−2への結合について本発明の完全ヒト抗体とクロス競合し、表1に示すCDR配列の内の1つ以上を有する重鎖アミノ酸配列と表1に示すCDR配列の内の1つ以上を有する軽鎖アミノ酸配列とを含む。
【0064】
別の実施形態では、抗体は、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)またはmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される完全ヒトモノクローナル抗体と同じAng−2上のエピトープに結合する。一実施形態では、抗体は、表3に示すCDR配列の内の1つ以上を有する重鎖アミノ酸配列と表2に示すCDR配列の内の1つ以上を有する軽鎖アミノ酸配列とを含む。
【0065】
各抗体には、1または2つ小数点で区切られた2つまたは3つの数字を含む識別番号が付与されている。ほとんどの抗体の場合、1つの小数点で区切られた2つの識別番号のみが列挙されている。しかしながら、いくつかの場合では、1つの抗体のいくつかのクローンを作成した。クローンは親配列と同一の核酸配列およびアミノ酸配列を有するが、クローンを別々に列挙することもでき、クローン番号を2番目の小数点の右側に数字で示す。そのため、例えば抗体3.3の核酸配列およびアミノ酸配列は、抗体3.3.1および3.3.2の配列と同一である。同様に、抗体3.19の核酸配列およびアミノ酸配列は抗体3.19.1、3.19.2および3.19.3の配列と同一であり、抗体5.88の核酸配列およびアミノ酸配列は抗体5.88.1、5.88.2および5.88.3の配列と同一である。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
ある種の修飾を特定のAng−2抗体(mAb3.19.3)に行なうことができ、この修飾により、ある条件下で抗体がより安定になる。安定化Ang−2抗体として、Kabatナンバリングシステム(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3.)により定義された、(Ang−2抗体3.19.3の軽鎖可変アミノ酸配列と比較して、配列番号16を参照)49位でアミノ酸の置換を含む抗体が挙げられる。49位でのアミノ酸置換を、Asp、Thr、AsnおよびAlaから選択することができる。特に、軽鎖の残基49を変更することにより、凝集を大幅に少なくすることができる。mAb3.19.3の重鎖の残基37を修飾して凝集を低減させることもできる。本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、EUナンバリングシステム((Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3.)により定義された、(Ang−2抗体3.19.3の重鎖可変アミノ酸配列と比較して、配列番号14を参照)重鎖の37位でのVal置換の置換を含むことができる。
【0070】
本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、MEDI1(配列番号33)、MEDI2(配列番号34)、MEDI3(配列番号35)、MEDI6(配列番号38)およびMEDI4(配列番号36)から選択される可変軽鎖酸配列を含むことができる。本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、MEDI5(配列番号37)の重鎖可変配列を含むことができる。本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、MEDI1(配列番号33)、MEDI2(配列番号34)、MEDI3(配列番号35)、MEDI6(配列番号38)およびMEDI4(配列番号36)から選択される可変軽鎖配列を含むことができ、MEDI5(配列番号37)の重鎖可変配列を更に含むことができる。本明細書で使用する場合、軽鎖および重鎖を含む抗体をMEDIX/MEDIYと称することができ、Xは軽鎖配列を表し、Yは重鎖配列を表す。
【0071】
本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、MEDI1(配列番号33)、MEDI2(配列番号34)、MEDI3(配列番号35)、MEDI6(配列番号38)およびMEDI4(配列番号36)から選択されるが49位で様々なアミノ酸置換を有する可変軽鎖酸配列を含むことができる。本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、MEDI5(配列番号37)の重鎖可変配列を更に含むことができる。本発明の製剤で有用な抗Ang−2抗体は、MEDI1(配列番号33)、MEDI2(配列番号34)、MEDI3(配列番号35)、MEDI6(配列番号38)およびMEDI4(配列番号36)から選択されるが49位で様々なアミノ酸置換を有する可変軽鎖配列を含むことができ、MEDI5(配列番号37)の重鎖可変配列を更に含むことができる。
【0072】
抗アンジオポエチン−2抗体配列
3.19.3軽鎖配列番号12
【化1】
この配列における枠付き残基は、任意のその他のアミノ酸に変更することができる不対システイン(C49)を表す。そのような変更の例を以下の軽鎖配列中で強調する。
【0073】
3.19.3重鎖配列番号14
【化2】
この配列における枠付き残基は、別の残基に「復帰変異」され得る残基の例を表す。そのような「復帰変異」の一例をMEDI5重鎖配列中に表す。
【0074】
MEDI1軽鎖配列番号33
【化3】
【0075】
MEDI2軽鎖配列番号34
【化4】
【0076】
MEDI3軽鎖配列番号35
【化5】
【0077】
MEDI4軽鎖配列番号36
【化6】
【0078】
MEDI5重鎖配列番号37
【化7】
【0079】
MEDI6軽鎖配列番号38
【化8】
【0080】
本発明の液状抗体製剤に有用な抗体の製造方法
当業者に公知の方法により、上記に記載の抗Ang−2抗体を調製することができる。この方法として、ハイブリドーマ、組み換え抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等を使用する抗体の調製を挙げることができる。
【0081】
本発明では、抗体フラグメントの形での抗体、低分子量抗体および修飾抗体を抗体として用いることもできる。抗体フラグメントおよび低分子量抗体の例として、Fab、F(ab’)2、Fvならびに適切なリンカーを介してH鎖およびL鎖でFvを連結することにより調製される、1つ以上の特異性を有する単鎖Fv(scFv、sd(Fv)2等)が挙げられる(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988)85,5879−5883)。具体的には、抗体をパパインまたはペプシンで処理して抗体フラグメントを産生する、またはこの抗体フラグメントをコードする遺伝子を構築し、この遺伝子を発現ベクターに導入した後、この遺伝子を適切な宿主細胞中で発現させる(例えばCo,M.S.et al.,T.Immunol.(1994)152,2968−2976;Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods Enzymol.(1989)178,476−496;Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods Enzymol.(1989)178,497−515;Lamoyi,E.,Methods Enzymol,(1986)121,652−663;Rousseaux, J.et al.,Methods Enzymol.(1986)121,663−669;Bird,R.E.and Walker,B.W.,Trends Biotechnol.(1991)9,132−137を参照。
【0082】
ポリエチレングリコール(PEG)等の様々な分子に結合した抗体を修飾抗体として使用することもできる。本発明で使用する用語「抗体」は、この修飾抗体も含む。得た抗体を化学的に修飾することにより、この修飾抗体を得ることができる。修飾を実行する方法は当技術分野で確立されている。
【0083】
一実施形態では、上記に記載の抗体の軽鎖および/または重鎖を産生するハイブリドーマが提供される。一実施形態では、このハイブリドーマは、完全ヒトモノクローナル抗体の軽鎖および/または重鎖を産生する。別の実施形態では、このハイブリドーマは、完全ヒトモノクローナル抗体3.19.3、3.3.2または5.88.3の軽鎖および/または重鎖を産生する。あるいは、このハイブリドーマは、完全ヒトモノクローナル抗体3.19.3、3.3.2または5.88.3と同じエピトープ(単数または複数)に結合する抗体を産生する。
【0084】
処置の方法
本発明の更なる実施形態には、アンジオポエチン−2(Ang−2)に特異的に結合する完全ヒトモノクローナル抗体を含む有効量の液状抗体製剤を、血管新生関連疾患を患う患者に投与することにより、この患者を効果的に処置する方法が含まれる。一実施形態では、この方法は、動物のアンジオポエチン−2(Ang−2)誘導性の血管新生を抑制することを含む。別の実施形態では、この方法は、患者の癌を処置することを含む。一般に、この方法は、処置を必要とする動物を選択すること、および前記動物に、治療上有効な用量の完全ヒトモノクローナル抗体を含む本発明の液状抗体製剤を投与することであって、前記抗体がAng−2に特異的に結合する、投与することを含む。抗Ang−2抗体を単独で投与することができる、または追加の抗体もしくは化学療法薬もしくは放射線療法と併用して投与することができる。この方法をインビボで実施することができる。一実施形態では、患者はヒト患者である。
【0085】
一実施形態では、本発明は、血管新生関連疾患の処置用の薬剤の製造における本明細書に記載の液状抗体製剤の使用を対象とする。別の実施形態では、本明細書に記載の液状抗体製剤を、動物の疾患関連の血管新生の効果的な処置用の薬剤の調製に使用することができる。より具体的な実施形態では、この製剤を、患者のアンジオポエチン−2誘導性の血管新生の効果的な処置用の薬剤の調製に使用することができる。
【0086】
疾患関連の血管新生は、あらゆる異常な、望ましくないまたは病理学的な血管新生であることができ、例えば腫瘍関連の血管新生であることができる。血管新生関連疾患として、白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫等の非固形腫瘍が挙げられ、黒色腫、小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、神経膠腫、肝細胞癌(肝癌)、神経膠芽腫、甲状腺、胆管、骨、胃、脳/CNS、頭頸部、肝臓、胃、前立腺、乳房、腎臓(renal)、精巣、卵巣、皮膚、頸部、肺、筋肉、神経細胞、食道、膀胱、肺、子宮、外陰部、子宮内膜、腎臓(kidney)、大腸、膵臓、肋膜/腹膜、唾液腺の癌腫、胃癌(gastric(stomach)cancer)、食道癌、中皮腫、肉腫、胆管(胆管癌)、小腸腺癌、小児悪性腫瘍および類表皮癌等の固形腫瘍も挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
送達の様式
既知の方法に従って任意の適切な経路を使用して、例えば静脈内経路、腹腔内経路、脳内経路、筋肉内経路、眼内経路、動脈内経路、髄腔内経路または病巣内経路による注射または点滴を使用して、本発明の液状抗体製剤を投与することができる。より具体的な実施形態では、本発明の液状抗体製剤は、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射、腹腔内注射または皮下注射等の非経口投与に適している。
【0088】
製品/キット
本発明はまた、医薬キットまたは製品も提供する。一実施形態では、このキットまたは製品は、包装システムと称され得る一次包装構成要素および二次包装構成要素を含むことができる。用語「包装構成要素」は、包装システムの任意の単一部品を指す。包装構成要素として、容器(例えばアンプル、バイアル、ボトル)、容器用ライナー、クロージャー(例えばスクリューキャップ、栓)、クロージャー用ライナー、栓用オーバーシール、容器用インナーシール、投与ポート、オーバーラップ、投与用付属品および容器ラベルを挙げることができる。用語「一次包装構成要素」は、液状製剤に直接接触するまたは直接接触する可能性がある包装構成要素を指す。用語「二次包装構成要素」は、液状製剤に直接接触しないまたは直接接触しないであろう包装構成要素を指す。構築物の材料は、包装構成要素の製造に使用する材料を指す。
【0089】
好ましくは、一次包装構成要素は液状製剤に適合しており、この活性剤または包装構成要素の品質の容認できない変化を引き起こさないであろう。品質の変化の例として、例えば、活性剤の包装構成要素への吸収もしくは吸着に起因する力価の低下または包装構成要素から浸出した化学物質により誘導される活性剤の分解;吸収、吸着もしくは浸出性の誘導分解に起因する賦形剤の濃度の低下;沈殿;製剤のpHの変化;剤形もしくは包装構成要素のどちらかの変色;または包装構成要素の脆弱性の増大が挙げられる。さらに、好ましい包装構成要素は、有害なまたは望ましくない量の物質を浸出させ得ない材料で構築されている。
【0090】
一実施形態では、キットは、1つ以上の非ガラス一次包装構成要素を含む。より具体的な実施形態では、キットは、1つ以上の非ガラス容器、例えばアンプル、バイアルまたはボトルを含む。一般に、用語「ガラス」は、アモルファスの(非晶質の)固体材料を指す。典型的には、用語「ガラス」は、(プラスチックまたはその他の有機材料と比べて)無機固体に適用される。ほとんどのガラスは、硬質で脆い固体である。より具体的な実施形態では、用語「ガラス」は、二酸化ケイ素(SiO2)と任意選択的に添加剤とで製造されたアモルファスの固体材料を指し、添加剤として、熱膨張係数を調整するための、色を調整するための、伝導率を調整するためのおよび融点を調整するための添加剤が挙げられるがこれらに限定されない。典型的な添加剤の例として、ホウ素、リン、鉛、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムまたはこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、用語「ガラス」は、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%および90%以下の二酸化ケイ素を含むアモルファスの固体材料を指す。ガラスの一化学組成は、約70%〜約80%の二酸化ケイ素(SiO2)、約10%〜約11%の三酸化ホウ素(B23)、約1%〜約10%の酸化アルミニウム(Al23)、約5%〜約10%の酸化ナトリウム(Na2O)および約1%〜約2%の酸化カルシウム(CaO)を含む。用語「ガラス」はまた、被覆ガラス包装材料を指すこともできる。
【0091】
用語「非ガラス」はポリマー材料を指し、様々な天然ポリマーおよび合成ポリマーを含むことができる。ポリマー材料は、容器の破損のリスクを低減させるだけでなく、ガラス層間剥離およびアルカリ浸出液に関する懸念も低減させる。さらに、非ガラス材料は抗体凝集を低減させることができると考えられる。理論に拘束されることを望むものではないが、疎水性モノクローナル抗体と、ガラス容器中のまたはガラス容器の表面上のシリコーン被覆中のケイ素との間の表面相互作用が、疎水性タンパク質ドメインと相互作用して凝集を増加させる可能性があると考えられる。非ガラスポリマーの例として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)ならびにCZ(登録商標)(ポリシクロペンタン、大協精工)およびTopas(登録商標)COC(環状オレフィンコポリマー、Ticona)等の合成プラスチック樹脂、ならびにこれらの組み合わせおよびコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。より具体的な実施形態では、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)またはポリエチレンテレフタレート(PETG)を使用して、非ガラス容器、例えばアンプル、バイアルまたはボトルが製造される。
【0092】
一実施形態では、キットは、貯蔵中に液状製剤の空気への暴露を低減させる容器、例えばアンプル、バイアルまたボトルを含む。一実施形態では、キットは、容器内の液状製剤の空気対液体比を低下させる。空気対液体比を、容器中の液体の総体積と空気が占めるヘッドスペースの体積とで定量化することができる。液体の充填量を増加させることにより空気対液体比の低下を達成することができ、それにより、容器中の空気の体積が減少する。一実施形態では、空気対液体比(体積空気対体積液体)は0.1以下である、0.09以下である、0.08以下である、0.07以下である、0.06以下である、0.05以下である、0.04以下である、0.03以下である、0.02以下である、または0.01以下である。一実施形態では、空気対液体比(体積空気対体積液体)は0.05以下である。
【0093】
別の実施形態では、キットは、容器クロージャーである少なくとも1つの一次包装構成要素を含む。一実施形態では、この容器クロージャーは、液状製剤の空気への暴露を低減させる。一実施形態では、容器はガラスバイアルである。一実施形態では、この容器クロージャーは栓である。一実施形態では、この栓はゴム栓である。より具体的な実施形態では、この容器クロージャーは被覆ゴム栓であり、例えばフルオロカーボン膜被覆を備えたゴム栓である。一実施形態では、この栓は、クロロブチルゴムコンパウンドを含む基材で構築されている。より具体的な実施形態では、クロロブチルゴムコンパウンドは乾燥天然ゴムを含有しない。一実施形態では、この栓は、薬剤/クロージャー相互作用を低減させるのに役立つことができるバリア膜を含むことができ、例えば、West’s FluroTec(登録商標)バリア膜、Teflon(登録商標)またはLyoTec(商標)被覆を含むことができる。一実施形態では、この栓は、例えば米国薬局方(USP)、欧州薬局方(Ph Eur)および日本薬局方(JP)の概論等の概論に従う。一実施形態では、ゴム栓は、West Pharmaceutical Services,Inc.(ライオンビル、ペンシルバニア州)から入手可能な4432/50である。
【0094】
一実施形態では、容器は、本発明の液状抗体製剤と、添付文書または包装ラベルとを含有する。一実施形態では、本発明は、非経口(例えば皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)投与用に製剤化されている抗体(この抗体フラグメントを含む)の安定した液状製剤を含む本発明の液状抗体製剤を含むキットまたは製品を提供する。より具体的な実施形態では、本発明は、抗アンジオポエチン−2抗体の液状製剤と、この組成物が、アンジオポエチン−2の過剰発現を特徴とする血管新生関連疾患の処置に使用することができることを示す添付文書または包装ラベルとを含有する容器を含むキットまたは製品を提供する。簡略化のため、このセクションでは、上記に記載の抗アンジオポエチン−2抗体のサブセットのみを列挙するだろう。しかしながら、キットまたは製品が任意の抗体を含むことができることを理解すべきであり、任意の抗体として、本明細書のその他のセクションで論じる抗アンジオポエチン−2抗体が挙げられるがこれに限定されない。
【0095】
一実施形態では、本発明は、本発明の抗体液状製剤を含むキットまたは製品を提供する。本発明の液状抗体製剤中の抗体は、アンジオポエチン−2に結合するモノクローナル抗体であることができ、この抗体は、配列番号12、配列番号20、配列番号32、配列番号28、配列番号4および配列番号16から選択される配列を有する可変軽鎖を含む。この抗体は、アンジオポエチン−2に結合するモノクローナル抗体であることができ、この抗体は、配列番号10、配列番号18、配列番号30、配列番号26、配列番号2および配列番号14から選択される配列を有する可変重鎖を含む。この抗体は、アンジオポエチン−2に結合するモノクローナル抗体であることができ、この抗体は、配列番号12、配列番号20、配列番号32、配列番号28、配列番号4および配列番号16から選択される配列を有する可変軽鎖と、配列番号10、配列番号18、配列番号30、配列番号26、配列番号2および配列番号14から選択される配列を有する可変重鎖とを含む。
【0096】
一実施形態では、本発明は、アンジオポエチン−2に結合するモノクローナル抗体を含む液状抗体製剤を含むキットまたは製品であって、モノクローナル抗体が、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)またはmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される、キットまたは製品を提供する。
【0097】
一実施形態では、本発明は、アンジオポエチン−2に結合するモノクローナル抗体を含む液状抗体製剤を含むキットまたは製品を提供する。このモノクローナル抗体は、配列番号10、配列番号18、配列番号30、配列番号26、配列番号2および配列番号14から選択される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、CDR3、ならびに/または配列番号12、配列番号20、配列番号32、配列番号28、配列番号4および配列番号16から選択される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む。
【0098】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、例えば、本発明の説明で用いられる、組成物中の成分の量、濃度、体積、処理温度、処理時間、収率、流量、圧力およびこれらの範囲を修飾するために使用される。用語「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物または使用製剤を製造するために使用される典型的な測定手順および取り扱い手順により、これらの手順での意図しない誤差により、方法を実施するために使用される出発物質または出発原料の製造、供給源または純度での差異およびその他の同様の考慮すべき事項により、生じる可能性がある数量の変動を指す。用語「約」はまた、製剤のエージングに起因して特定の最初の濃度または混合物と異なる量、および製剤の混合または処理に起因して特定の最初の濃度または混合物と異なる量も包含する。用語「約」により修飾された場合、本明細書に添付した特許請求の範囲は、そのような均等物を含む。
【0099】
本明細書および添付した特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の対象物を含むことに留意しなければならない。用語「または(or)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、「および/または(and/or)」を含む意味で一般に用いられることにも留意しなければならない。
【0100】
本明細書および添付した特許請求の範囲で使用する場合、語句「構成される」は、システム、装置または特定のタスクを実施するためにもしくは特定の構成を採用するように構築されるもしくは構成されるその他の構造体を説明することにも留意しなければならない。語句「構成される」を、例えば「配置される」、「配置されるおよび構成される」、「構築されるおよび配置される」、「構築される」、「製造されるおよび配置される」等のその他の類似の語句と互換的に使用することができる。
【0101】
本明細書における全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する当業者のレベルを示す。全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により具体的におよび個々に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に援用される。
【0102】
本出願は、本主題の改造物または変形物を含むことが意図されている。上記の説明は例示的であることを意図しており、限定的であることを意図していないことを理解すべきである。本明細書に記載の設計的特徴の内の任意の1つ以上が、あらゆる特定の構成との任意の組み合わせで使用され得ることが容易に分かるはずである。成形方法の使用により、製造コストを実質的に追加することなく、そのような設計的特徴を組み込むことができる。組み合わせの数は多すぎて記載することができず、本発明は、本明細書に記載の任意の特定の例示的な組み合わせによりまたはこの組み合わせに限定されない。添付した特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲に権利が付与される等価物の全範囲と共に参照して、本主題の範囲を決定しなければならない。
【0103】
実施形態
1.凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤であって、液状製剤が、
アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体と、
薬学的に許容される担体とを含み、
製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成する、液状抗体製剤。
【0104】
2.抗体が、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)およびmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される、実施形態1に記載の液状抗体製剤。
【0105】
3.抗体が、配列番号12を含む軽鎖配列、配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号32を含む軽鎖配列から選択される可変軽鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態1に記載の液状抗体製剤。
【0106】
4.抗体が、配列番号10を含む重鎖配列、配列番号18を含む重鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列から選択される可変重鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態1に記載の液状抗体製剤。
【0107】
5.抗体が、
配列番号12を含む軽鎖配列および配列番号10を含む重鎖配列、
配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号18を含む重鎖配列、ならびに
配列番号32を含む軽鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列
から選択される可変軽鎖および可変重鎖メンバーを含む完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態1に記載の液状抗体製剤。
【0108】
6.抗体が、配列番号10の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号12の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、配列番号18の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号20の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、ならびに配列番号30の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号32の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体から選択される完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態1に記載の液状抗体製剤。
【0109】
7.抗体が、配列番号33(MEDI1)、配列番号34(MEDI2)、配列番号35(MEDI3)、配列番号36(MEDI4)および配列番号38(MEDI6)から選択される配列を含む可変軽鎖を含む、実施形態1に記載の液状抗体製剤。
【0110】
8.抗体が、配列番号37(MEDI5)を含む可変重鎖領域を更に含む、実施形態7に記載の液状抗体製剤。
【0111】
9.液状抗体製剤のpHが約5.0〜約8.0である、実施形態1〜8のいずれか一つに記載の液状抗体製剤。
【0112】
10.抗体の凝集体が、可視粒子、不可視粒子、沈殿物、フィブリルまたはこれらの組み合わせを含む、実施形態1〜9のいずれか一つに記載の液状抗体製剤。
【0113】
11.凝集体が、少なくとも約2μmを超えるおよび約200μm以下の不可視粒子を含む、実施形態10に記載の液状抗体製剤。
【0114】
12.薬学的に許容される担体が蒸留水を含む、実施形態1〜11のいずれか一つに記載の液状抗体製剤。
【0115】
13.少なくとも約0%および約1%以下の界面活性剤を含む、実施形態1〜12のいずれか一つに記載の液状抗体製剤。
【0116】
14.界面活性剤が、ポリソルベート、ポロクサマーおよびこれらの組み合わせから選択される非イオン性界面活性剤である、実施形態13に記載の液状抗体製剤。
【0117】
15.ポリソルベートが、ポリソルベート20、ポリソルベート80およびこれらの組み合わせから選択される、実施形態14に記載の液状抗体製剤。
【0118】
16.ポリソルベートがポリソルベート20である、実施形態15に記載の液状抗体製剤。
【0119】
17.凝集プロファイルが改善されている液状抗体製剤を含有する1つ以上の容器を含む1つ以上の非ガラス一次包装構成要素であり、液状製剤が、薬学的に許容される担体中に、アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体を含む、非ガラス一次包装構成要素を含む製品であって、
製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成する、製品。
【0120】
18.1つ以上の容器が、アンプル、バイアル、ボトルおよびこれらの組み合わせから選択される非ガラス容器である、実施形態17に記載の製品。
【0121】
19.非ガラス容器が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択されるポリマーを含む、実施形態17または18に記載の製品。
【0122】
20.非ガラス容器がポリプロピレンを含む、実施形態19に記載の製品。
【0123】
21.容器が、空気と液状製剤とを0.05以下の体積空気対体積液体比の割合で含有する、実施形態17〜20のいずれか一つに記載の製品。
【0124】
22.少なくとも1つの一次包装構成要素が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択される容器クロージャーを含む、実施形態17〜21のいずれか一つに記載の製品。
【0125】
23.アンジオポエチン2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体が、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)およびmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される、実施形態17〜22のいずれか一つに記載の製品。
【0126】
24.完全ヒトモノクローナル抗体が、配列番号12を含む軽鎖配列、配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号32を含む軽鎖配列から選択される可変軽鎖を含む、実施形態17〜23のいずれか一つに記載の製品。
【0127】
25.完全ヒトモノクローナル抗体が、配列番号10を含む重鎖配列、配列番号18を含む重鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列から選択される可変重鎖を含む、実施形態17〜23のいずれか一つに記載の製品。
【0128】
26.完全ヒトモノクローナル抗体が、
配列番号12を含む軽鎖配列および配列番号10を含む重鎖配列、
配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号18を含む重鎖配列、ならびに
配列番号32を含む軽鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列
から選択される可変軽鎖および可変重鎖メンバーを含む、実施形態17〜23のいずれか一つに記載の製品。
【0129】
27.完全ヒトモノクローナル抗体が、配列番号10の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号12の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、配列番号18の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号20の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、ならびに配列番号30の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号32の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体から選択される、実施形態17〜23のいずれか一つに記載の製品。
【0130】
28.完全ヒトモノクローナル抗体が、配列番号33(MEDI1)、配列番号34(MEDI2)、配列番号35(MEDI3)、配列番号36(MEDI4)および配列番号38(MEDI6)から選択される配列を含む可変軽鎖を含む、実施形態17〜23のいずれか一つに記載の製品。
【0131】
29.完全ヒトモノクローナル抗体が、配列番号37(MEDI5)を含む可変重鎖領域を更に含む、実施形態28に記載の製品。
【0132】
30.液状製剤のpHが約5.0〜約8.0である、実施形態17〜29のいずれか一つに記載の製品。
【0133】
31.抗体の凝集体が、可視粒子、不可視粒子、沈殿物、フィブリルまたはこれらの組み合わせを含む、実施形態17〜30のいずれか一つに記載の製品。
【0134】
32.凝集体が、少なくとも約2μmを超えるおよび約200μm以下の不可視粒子を含む、実施形態31に記載の製品。
【0135】
33.薬学的に許容される担体が蒸留水を含む、実施形態17〜32のいずれか一つに記載の製品。
【0136】
34.少なくとも約0%および約1%以下の界面活性剤を含む、実施形態17〜33のいずれか一つに記載の製品。
【0137】
35.界面活性剤が、ポリソルベート、ポロクサマーおよびこれらの組み合わせから選択される非イオン性界面活性剤である、実施形態34に記載の製品。
【0138】
36.ポリソルベートが、ポリソルベート20(PS−20)、ポリソルベート80およびこれらの組み合わせから選択される、実施形態35に記載の製品。
【0139】
37.ポリソルベートがPS−20である、実施形態36に記載の製品。
【0140】
38.液状抗体製剤が、約5.0〜8.0のpHで、約0.01%〜0.05%のポリソルベート−20中に少なくとも1種のモノクローナル抗体を含む、実施形態17に記載の製品。
【0141】
39.液状抗体製剤の凝集プロファイルを改善する方法であって、
ある量の液状抗体製剤を1つ以上の非ガラス容器に分注することであって、液状製剤が、薬学的に許容される担体中に、アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体を含むこと、
容器中の液状抗体製剤を所望の期間にわたり貯蔵することであって、貯蔵期間中に製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成すること
を含む方法。
【0142】
40.非ガラス容器が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロペンタン(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーから選択されるポリマーを含む、実施形態39のいずれか一つに記載の方法。
【0143】
41.ある量の液状抗体製剤を、空気対液体比が0.05以下の体積空気対体積液体となるように容器に分注する、実施形態39または40に記載の方法。
【0144】
42.容器を、液状製剤の、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリペンタフルオロスチレン(PFS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、クリスタルゼニス(CZ(登録商標))、環状オレフィンコポリマー(COC)およびこれらの組み合わせまたはコポリマーを含む空気ポリマー容器タイプへの暴露を低減させることができる容器クロージャーで閉口することを更に含む、実施形態39〜41のいずれか一つに記載の方法。
【0145】
43.抗体が、mAb3.19.3(ATCC受託番号PTA−7260)、mAb3.3.2(ATCC受託番号PTA−7258)およびmAb5.88.3(ATCC受託番号PTA−7259)から選択される、実施形態39〜42のいずれか一つに記載の方法。
【0146】
44.抗体が、配列番号12を含む軽鎖配列、配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号32を含む軽鎖配列から選択される可変軽鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態39〜42のいずれか一つに記載の方法。
【0147】
45.抗体が、配列番号10を含む重鎖配列、配列番号18を含む重鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列から選択される可変重鎖を含む完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態39〜42のいずれか一つに記載の方法。
【0148】
46.抗体が、
配列番号12を含む軽鎖配列および配列番号10を含む重鎖配列、
配列番号20を含む軽鎖配列および配列番号18を含む重鎖配列、ならびに
配列番号32を含む軽鎖配列および配列番号30を含む重鎖配列
から選択される可変軽鎖および可変重鎖メンバーを含む完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態39〜42のいずれか一つに記載の方法。
【0149】
47.抗体が、配列番号10の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号12の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、配列番号18の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号20の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体、ならびに配列番号30の重鎖CDRl、CDR2、CDR3および配列番号32の軽鎖CDRl、CDR2、CDR3を含む抗体から選択される完全ヒトモノクローナル抗体である、実施形態39〜42のいずれか一つに記載の方法。
【0150】
48.抗体が、配列番号33(MEDI1)、配列番号34(MEDI2)、配列番号35(MEDI3)、配列番号36(MEDI4)および配列番号38(MEDI6)から選択される配列を含む可変軽鎖を含む、実施形態47に記載の方法。
【0151】
49.抗体が、配列番号37(MEDI5)を含む可変重鎖領域を更に含む、実施形態48に記載の方法。
【0152】
50.液状製剤が、リン酸塩、トリス、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩またはこれらの組み合わせから選択される非両性イオン性緩衝液を含む、実施形態39〜49のいずれか一つに記載の方法。
【0153】
51.液状抗体製剤のpHが約5.0〜約8.0である、実施形態39〜50のいずれか一つに記載の方法。
【0154】
52.抗体の凝集体が、可視粒子、不可視粒子、沈殿物、フィブリルまたはこれらの組み合わせを含む、実施形態39〜51のいずれか一つに記載の方法。
【0155】
53.凝集体が、少なくとも約2μmを超えるおよび約200μm以下の不可視粒子を含む、実施形態52に記載の方法。
【0156】
54.薬学的に許容される担体が蒸留水を含む、実施形態39〜53のいずれか一つに記載の方法。
【0157】
55.少なくとも約0%および約1%以下の界面活性剤を含む、実施形態39〜54のいずれか一つに記載の方法。
【0158】
56.界面活性剤が、ポリソルベート、ポロクサマーおよびこれらの組み合わせから選択される非イオン性界面活性剤である、実施形態55に記載の方法。
【0159】
57.ポリソルベートが、ポリソルベート20(PS−20)、ポリソルベート80およびこれらの組み合わせから選択される、実施形態56に記載の方法。
【0160】
58.ポリソルベートがポリソルベート20である、実施形態57に記載の方法。
【0161】
59.液状製剤が、約5.0〜8.0のpHで約0%〜0.05%のポリソルベート−20を含む、実施形態58に記載の方法。
【0162】
60.液状抗体製剤の凝集プロファイルを改善する方法であって、
ある量の液状抗体製剤を1つ以上の非ガラス容器に分注することであって、液状製剤が、
薬学的に許容される担体中に、アンジオポエチン−2に結合する完全ヒトモノクローナル抗体を含むこと、
容器中の液状抗体製剤を所望の期間にわたり貯蔵することであって、貯蔵期間中に製剤中の抗体の約5%以下が凝集体を形成すること
を含む方法。
【実施例】
【0163】
本発明を例示するために以下に実施例を提供するが、この実施例は本発明の範囲を限定すると決して解釈してはならない。
【0164】
液状抗体製剤と、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンおよび環状オレフィンポリマー等の様々な表面との間の界面を調べて、これらの表面の可視粒子形成への影響を決定した。FlowCAM(Fluid Imagining Technologies、シリアル番号526)を使用して、液状抗体製剤の不可視粒子(SVP)分析を実施した。4倍の対物レンズと上限が300μmであるフローセルとを使用して試料を分析した。目視分析により、可視粒子(VP)数を経時的にモニタリングした。使用したガラスバイアルは全てタイプ1ホウケイ酸5CCバイアル(West)であり、使用した栓は全て20mmのTef2血清栓(West−4432/50GY)であった。全ての調査を3重に実施し、これらの調査は、評価した条件、変数および温度それぞれに関する緩衝液コントロールを有した。
【0165】
特に指示しない限り、IgG1モノクローナル抗体(MEDI1/5−IgGl)の様々な液状製剤を検討した。このモノクローナル抗体を組み換えDNA技術により産生した。
【0166】
実施例1:界面:液体/空気、液体/ガラスおよび液体/ゴムの調査
この調査の目的は、貯蔵容器中の空気対液体比の変動の影響を評価することであった。5ccのバイアル中における1mL、3mL、5mLおよび満杯(全て直立)ならびに3mL(反転)の充填量を、8日にわたり5℃において1mg/mLの抗体濃度で3重に評価した。空気暴露が最小である満杯のバイアルでは、可視粒子(VP)数(図1)および不可視粒子(SVP)数(図2)が最少であった。目視検査を使用して可視粒子を同定した。照度が約3400ルクスである白黒のライトボックス(Apollo II Light Viewer、Adelphi Manufacturing Co Ltd.、カタログ番号6031200)の黒色背景にバイアルを押し当て、このバイアル中の粒子の総数を概算した。充填量が変化するアッセイでは、全ての可視粒子数を正規化して、試料1mL当たりの可視粒子を示した。流体撮像技術であるFlowCAM(Fluid Imaging Technologies Inc、シリアル番号157760)を使用して、不可視粒子をモニタリングした。4倍のカメラレンズと毎秒5フレームの撮像速度とを使用して、ある濃度での1mLの試料を分析した。全ての可視アッセイおよび不可視アッセイを2重にまたは3重に実施した。部分的に充填したバイアルでは、空気暴露が高くなるに伴いVP数およびSVP数が高くなった。製剤をゴム栓に暴露した、反転させたバイアル中の試料では、その直立の対応物と比べてVP数およびSVP数が少なかった。
【0167】
この調査の結果(図1および図2に示す)から、液状製剤の空気への暴露の低減により可視粒子形成および不可視粒子形成の両方を著しく低減させることができることが示唆される。ゴム栓との接触により(ガラスおよび空気のみに暴露した液体と比べて)粒子形成が低減すると思われることから、次いで、粒子形成へのポリマーの影響を調べた(以下の実施例3を参照)。
【0168】
実施例2:空気/液体界面での酸化の調査
この調査の目的は、空気/液体界面での酸化の影響を評価することであった。簡潔に説明すると、5CCのタイプ1ホウケイ酸ガラスバイアル(West)に1mg/mLのモノクローナル抗体MEDI1/5 3mLを充填した。溶液中に非常に低速で空気を通気させることにより、コントロールバイアルを空気でパージした。同様のパージ流速を使用する同様の方法で、試料バイアルを窒素でパージした。上記に記載の全ての試料に関してVP粒子データおよびSVP粒子データを収集した。
【0169】
図7に示すように、空気でパージした試料と窒素でパージした試料との間でVP数またはSVP数に有意差は認められなかった。従って、空気水界面での酸化は粒子形成に寄与しないと思われる。
【0170】
実施例3:界面:液体/ポリマーの調査
この調査では、様々な容器タイプの粒子形成への影響を評価した。以下の容器を使用した:タイプ1ホウケイ酸5ccガラスバイアル(West)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)10mLボトル(NALGENE(2035診断用ボトル、滅菌済カタログ番号342035)から入手可能)、高密度ポリエチレン(HDPE)8mL細口バイアル、滅菌済、NALGENE(カタログ番号342002−9025)から入手可能、ポリスチレン(PS)3.5ドラムバイアル(LA Containerから入手可能、品番55−03)およびポリプロピレン(PP)1.5ドラムマイクロバイアル(品番071100でLA Containerから入手可能)。これらの容器を図3に示す。
【0171】
簡潔に説明すると、全ての容器タイプにわたって表面積(SA)対容積(V)比(305〜329のSA:V比)が類似するように、1mg/mLの抗体製剤(上記に記載)を容器に充填した(表4および図4を参照)。容器を5℃でインキュベートし、70日の期間にわたりSVPをモニタリングした。流体撮像技術であるFlowCAM(Fluid Imaging Technologies Inc、シリアル番号157760)を使用して、不可視粒子をモニタリングした。4倍のカメラレンズおよび毎秒5フレームの撮像速度を使用して、ある濃度での1mLの試料を分析した。全ての可視アッセイおよび不可視アッセイを2重にまたは3重に実施した。4秒で4回転に徐々に近似するガラスバイアルの回転を伴った、制御された方法で試料を回転させ、続いて粒子形成を悪化させるために22日目〜70日目に一定間隔(約7〜14日毎に)で1回反転させ、さらに2秒で2回転させた。ガラスに暴露した試料およびPSに暴露した試料でSVP数が最も多く、続いてHDPEおよびPETGであった。PPは、全ての時間で最小量のSVPを示した(図5)。
【0172】
データは、液状製剤のガラスへの暴露によりSVP数が増加するが、その他のポリマーとの接触ではSVP数を低下させることができることを示す。
【0173】
【表4】
【0174】
実施例4:ガラスビーズおよびポリマービーズの様々な容器タイプへの導入
この調査では、本発明者らは、(i)ガラスの導入によりSVP形成が増加するかどうか、および/または(ii)ポリマーの導入によりSVP形成が低減するかどうかを検討した。
【0175】
簡潔に説明すると、1mg/mLの抗体製剤(上記に記載)3mLを様々な容器タイプに充填し、様々な材料(ガラスおよび様々なポリマー)で構成されたビーズを様々な容器タイプに導入し、21日の期間にわたり粒子形成をモニタリングした。
【0176】
以下のビーズを使用した:ガラスビーズ(3/8インチのホウケイ酸ガラスボール、Craig Ball Salesから入手可能、製品番号:VEBO.009525.000)、ポリプロピレン(PP)ボール(Engineering Laboratories,Inc.から入手可能、製品番号BL03750PPNA1CD)、ポリスチレン(PS)ボール(Engineering Laboratories,Inc.から入手可能、製品番号BL03125STWT1DC)、Teflon(商標)ボール(Engineering Laboratories,Inc.から入手可能、製品番号BL03750TENA2BC)および13mmのポリブタジエン(ブロモブチル)ゴム栓。以下の容器を評価した:ガラスバイアル(West Pharmaceutical Servicesから入手可能、製品番号6800318)ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)細口ボトル(Nalgeneから入手可能、製品番号342002−9025および342089)ならびにクリスタルゼニス(CZ)環状オレフィンポリマーバイアル。
【0177】
結果(図6)は、ポリマービーズのガラス容器中への添加により、ガラス/ビーズなしのコントロールと比較してSVP数に有意な変化は生じないことを示す。このことから、ポリマーは粒子形成を低減しないことが示唆される。しかしながら、ポリマー/ビーズなしのコントロール容器では、ガラス/ビーズなしのコントロール容器よりもSVP数が少なかった。さらに、3種の容器タイプ全てに関するコントロール条件よりも容器/ガラスビーズ条件でSVP数が多く、ガラス/ガラスビーズ条件でSVP数が最も多かった。このデータは、ガラスへの暴露により粒子形成が増加し得ることを示す。
【0178】
実施例5:表面張力(ST)測定:
モノクローナル抗体MEDI1/5の表面活性を、空気−水界面で粒子を形成する傾向がないその他のIgG1抗体と比較した。簡潔に説明すると、1.2mLのプレートおよびPLO3棒システムを使用し、張力計(Kruss Model K100C、シリアル番号20012809)で表面張力測定を実施した。0.2mLの試料を1.2mLのプレートの中心に載置し、白金棒(PL03)を使用して室温で測定を行なった。検出感度を0.05に設定し、300秒にわたり測定を実施した。各実験の前後に、脱イオン水(DIW)を使用してシステムの適合を実施した。
【0179】
結果は、モノクローナル抗体MEDI1/5が非粒子形成IgG1 mAbよりも高い表面活性(ST≒55mN/m)を有することができることを示す。
【0180】
実施例6:界面活性剤の最適化
界面活性剤は界面に優先的に結合することが知られており、界面活性剤を含有する溶液は、高い表面活性(0.03%PS20 ST≒39mN/m)を有する。この調査では、界面活性剤のモノクローナル抗体液状製剤への影響を検討した。
【0181】
簡潔に説明すると、1mLのMEDI1/5緩衝液を、6本の2ccタイプ1ホウケイ酸ガラスバイアルそれぞれに充填した。ポリソルベート−20(PS−20)を、0.005%、0.01%、0.03%および0.06%の最終濃度に達するように6本のバイアルの内の4本それぞれに混入した。残り2本のバイアルにはPS−20を混入しなかった。PS−20を混入しなかったバイアルの内の1本をコントロール試料と命名し、2〜8℃で貯蔵した。室温で4時間にわたりボルテックにより6の設定でボルテックスすることにより、その他の5本のバイアルを撹拌した。次いで、コントロール試料を含む全ての試料を、可視粒子数および不可視粒子数に関してアッセイした。
【0182】
結果は、PS−20が含まれていない撹拌試料では、撹拌により非常に高濃度で可視粒子および不可視粒子が形成されたことを示す。任意の量のPS−20の添加により、MEDI1/5中において可視粒子および不可視粒子の両方の形成を低減させることができた。図8および9を参照。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]