特許第6326067号(P6326067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6326067消費者の敷地内立ち入りの動的検出のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326067
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】消費者の敷地内立ち入りの動的検出のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20180507BHJP
   H04W 4/02 20180101ALI20180507BHJP
【FI】
   G01S5/02 Z
   H04W4/02 150
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-551756(P2015-551756)
(86)(22)【出願日】2014年1月2日
(65)【公表番号】特表2016-508226(P2016-508226A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】US2014010094
(87)【国際公開番号】WO2014107526
(87)【国際公開日】20140710
【審査請求日】2016年12月6日
(31)【優先権主張番号】61/748,671
(32)【優先日】2013年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515183414
【氏名又は名称】シナラ システムズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジーニン, アレクセイ ドミトリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】コロティン, ドミトリ
【審査官】 ▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−304433(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/058301(WO,A1)
【文献】 特表2012−505481(JP,A)
【文献】 特開2009−245276(JP,A)
【文献】 特開2002−279285(JP,A)
【文献】 特開2003−121174(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/024553(WO,A1)
【文献】 柴田 陽,“顧客の集客・来店後の店内行動を見据えた仕組みづくり”,販促会議,株式会社宣伝会議,2012年 9月 1日,Number 173,Pages 035-037
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 − G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信することと、
前記ワイヤレス基地局の各々に対して敷地内RSSI閾値を計算することと、
前記敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生しかどうかを判定することと
を含み、
前記敷地内RSSI閾値を計算することは、ある期間より古いRSSI情報を無視することを含む、方法。
【請求項2】
コンピュータ実装方法であって、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信することと、
前記ワイヤレス基地局の各々に対して敷地内RSSI閾値を計算することと、
前記敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定することと
を含み、
アップデートされたRSSI情報が、周期的に、前記ワイヤレス基地局から受信され、前記敷地内RSSI閾値は、周期的に、前記アップデートされたRSSI情報に基づいて、再計算される方法。
【請求項3】
コンピュータ実装方法であって、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信することと、
前記ワイヤレス基地局の各々に対して敷地内RSSI閾値を計算することと、
前記敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定することと
を含み、
前記敷地内RSSI閾値計算することは、RSSI読取値の閾値数より少ないモバイルデバイスに関するRSSI情報を無視することを含む方法。
【請求項4】
前記RSSI情報は、(i)予想される敷地内RSSI読取値を表すデータ値のクラスタと、(ii)予想される敷地外RSSI読取値を表すデータ値のクラスタとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記敷地内RSSI閾値計算することさらに、前記敷地内クラスタの増幅および前記敷地外クラスタの逆増幅のうちの少なくとも1つを行うための補正関数を適用することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記敷地内RSSI閾値を、実質的に、前記敷地内クラスタ内のRSSI値と前記敷地外クラスタ内のRSSI値との間の値に設定することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記立ち入り判定は、誤検出敷地への立ち入りイベントをフィルタリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アプリケーションサーバに前記敷地への立ち入りイベントを通知することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のコンピュータを備えるシステムであって、
前記1つ以上のコンピュータは、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信することと、
前記ワイヤレス基地局の各々に対して敷地内RSSI閾値を計算することと、
前記敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生しかどうかを判定することと
を含む動作を行うようにプログラムされ
前記敷地内RSSI閾値を計算することは、ある期間より古いRSSI情報を無視することを含む、システム。
【請求項10】
1つ以上のコンピュータを備えるシステムであって、
前記1つ以上のコンピュータは、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信することと、
前記ワイヤレス基地局の各々に対して敷地内RSSI閾値を計算することと、
前記敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定することと
を含む動作を行うようにプログラムされ、
アップデートされたRSSI情報、周期的に、前記ワイヤレス基地局から受信され、前記敷地内RSSI閾値は、周期的に、前記アップデートされたRSSI情報に基づいて、再計算されるシステム。
【請求項11】
1つ以上のコンピュータを備えるシステムであって、
前記1つ以上のコンピュータは、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信することと、
前記ワイヤレス基地局の各々に対して敷地内RSSI閾値を計算することと、
前記敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定することと
を含む動作を行うようにプログラムされ、
前記敷地内RSSI閾値計算することは、RSSI読取値の閾値数より少ないモバイルデバイスに関するRSSI情報を無視することを含むシステム。
【請求項12】
前記RSSI情報は、(i)予想される敷地内RSSI読取値を表すデータ値のクラスタと、(ii)予想される敷地外RSSI読取値を表すデータ値のクラスタとを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記敷地内RSSI閾値計算することさらに、前記敷地内クラスタの増幅および前記敷地外クラスタの逆増幅のうちの少なくとも1つを行うための補正関数を適用することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記動作はさらに、前記敷地内RSSI閾値を、実質的に、前記敷地内クラスタ内のRSSI値と前記敷地外クラスタ内のRSSI値との間の値に設定することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記立ち入り判定は、誤検出敷地への立ち入りイベントをフィルタリングすることを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項16】
前記動作はさらに、アプリケーションサーバに前記敷地への立ち入りイベントを通知することを含む、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2013年1月3日に出願され、そして「Dynamic Self−Learning Method for Detecting Consumer Venue Walk−in in Local−Area Wireless Networks」と題する米国仮特許出願第61/748,671号に基づく優先権および利益を主張している。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、場所ベースのサービスに関し、より具体的には、限定ではないが、ワイヤレスローカルエリアネットワークを含む、ワイヤレスシステム内の場所データの質を継続的に最適化または改善するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
近年、モバイルコンピューティングデバイスの数は、劇的に増加し、より高度なモバイルおよびワイヤレスサービスの必要性をもたらしている。モバイル電子メール、ウォーキートーキーサービス、マルチプレーヤゲーム、および呼転送は、モバイルデバイスに登場した新しいアプリケーションのほんの一例にすぎない。加えて、モバイルユーザは、その現在の場所を利用するだけではなく、また、その場所情報を他者と共有するアプリケーションを要求し始めている。例えば、両親は、その子供を追跡することを所望し、監督者は、その企業の配達車両の場所を追跡する必要があり、出張者は、処方薬を取りに行くための近くの薬局を検索することを所望する。これらの例は全て、個人が、その自身の場所または誰かの場所を把握することを要求する。
【0004】
今日、個人は、方向を尋ねる、誰かに電話して、その所在地を尋ねる、または作業者に随時その位置をチェックインさせることに依拠している。場所ベースのサービスは、新しいデバイスの能力を活用し、その現在の地理的位置を計算し、それをモバイルユーザまたはサービスに報告する、モバイルアプリケーションの新興分野である。これらのサービスのいくつかの例として、局地天候、最新交通情報、運転方向、子供追尾、バディファインダ、およびアーバンコンシェルジェサービスが挙げられる。
【0005】
これらの新しい場所感知デバイスは、同一の一般的概念を使用する、種々の技術に依拠する。既知の基準点から発せられる無線信号を使用して、これらのデバイスは、基準点に対するモバイルユーザの位置を数学的に計算することができる。これらのアプローチはそれぞれ、それらが採用する無線技術および測位アルゴリズムに基づく、それらの強みおよび弱みを有する。
【0006】
小売業者および広告業者は、宣伝物および広告に対する消費者の反応に関心がある。より具体的には、小売業者および広告業者は、そのマーケティング努力の成功の鍵となる指標としての店舗/敷地への立ち入りに関心がある。種々の敷地への立ち入り検出方法が、利用されている。これらの方法として、限定ではないが、(i)NFCベースのチェックイン、(ii)バーコードベースのチェックイン、(iii)場所ベースのチェックインが挙げられる。(i)および(ii)に関しては、ユーザデバイス上の特殊ソフトウェアおよびハードウェアサポートならびに敷地内の特殊ハードウェアの必要性等の公知の制限がある。
【0007】
場所ベースの方法は、小型の敷地が相互に地理的に隣接するときでも、高レベルの正確度が達成され得ることを前提として、有望である。今日、これを達成するための障壁として、限定ではないが、(i)GPSが、屋内および高密度に密集したエリア内では、衛星信号中断のため、容認可能な受信可能範囲を提供することができないことと、その全体的低正確度(通常、10メートル範囲内)と、(ii)3G/4Gベースのネットワークが不正確であって、測位円半径が、約数百メートルまたはさらに1キロメートルであり得るという事実が挙げられる。
【0008】
Wi−Fiは、場所ベースのチェックインの有意な潜在性を有する。業界では、三辺測量および無線周波数(RF)フィンガープリンティングベースの方法を実装するための努力がなされている。しかしながら、これらの方法は、限定ではないが、(i)三辺測量の場合、精密な数学的処理が、開放空間またはあるタイプおよび物理的構成の障害物が推定される、良好にモデル化された環境においては、良好に機能するが、それぞれ、その独自の構成のドアおよび壁を伴う、多数の店舗がある繁華街エリア等の一般的例では、良好に機能しないことと、(ii)RFフィンガープリンティングが、基準フィンガープリントマップを構築するための敷地の走査等の特殊な準備と、物理的構成および他の無線エミッタ(例えば、他のWi−Fiアクセスポイント、マイクロ波、および同等物)の変化に対応するための周期的再較正とを要求することとを含む、公知の制限を有する。
【0009】
必要とされるのは、したがって、前述の制限を克服する、改良された技法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の種々の実施形態は、非常に高いレベルの正確度で、具体的タイプの敷地に関するある割合の消費者立ち入りを確定的に登録するために使用され得る、動的自己学習アルゴリズムを導入することによって、前述の制限を克服する。これらの実施形態では、ワイヤレス基地局(例えば、W−Fiアクセスポイント)が、敷地自体内に位置し、消費者は、基地局と規則的に通信する、モバイルデバイスを携行する。
【0011】
特に、本開示の目的は、ワイヤレスモバイルデバイスを所有する消費者による敷地への立ち入りイベントの検出のためのシステムおよび方法を提供することであって、敷地は、敷地自体内にワイヤレス基地局を具備する。非限定的実施例として、本技法は、Wi−Fiアクセスポイントと、Wi−Fi受信機を具備するモバイルハンドセットとを使用して実施され得る。
【0012】
本開示の別の目的は、基地局からの受信(または、残留)信号強度指示(RSSI)読取値を利用することによって、かつモバイルデバイスの大きな修正を要求せずに、主に、ワイヤレスネットワークからの情報に基づいて、敷地への立ち入りの検出のためのシステムおよび方法を提供することである。
【0013】
本開示の別の目的は、各関与基地局に関する統計的RSSIデータの収集を介して、異なるサイズおよび物理的構成の敷地の具体的条件に調節する動的および自己学習アルゴリズムを使用して、敷地への立ち入り検出を行い、敷地内または敷地外のいずれかとして特定のRSSI読取値を分類するために後に使用され得る、対応する基地局プロファイルを周期的に計算する、システムおよび方法を提供することである。
【0014】
本開示のさらなる目的は、一連の統計的および数学的操作を行い、(a)古いデータをフィルタリングし、(b)屋内および屋外読取値の数間の不均衡を緩和し、(c)内側/外側敷地閾値を判定することによって、基地局プロファイルを計算するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0015】
本開示のさらに別の目的は、各ワイヤレス基地局に特有の事前に計算された閾値パラメータを使用して、個々のRSSI読取値を正(内側敷地)または負(外側敷地)として分類するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0016】
本開示のさらなる目的は、正(敷地内)として誤って分類され得る、非代表的個々のRSSI読取値をフィルタリングするためのシステムおよび方法を提供することである。
【0017】
本開示のさらに別の目的は、予想される立ち入りイベントを示す、一連の正(敷地内)読取値を識別するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0018】
故に、一側面では、コンピュータ実装方法は、複数のワイヤレス基地局から、ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関するRSSI情報を受信するステップを含む。RSSI情報に基づいて、特定のモバイルデバイスに関して敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかの判定が行われる。
【0019】
本方法の種々の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。立ち入り判定は、ワイヤレス基地局毎の敷地内RSSI閾値を計算するステップと、敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップとを含むことができる。アップデートされたRSSI情報は、周期的に、ワイヤレス基地局から受信されることができ、敷地内RSSI閾値は、周期的に、アップデートされたRSSI情報に基づいて、再計算されることができる。閾値計算は、ある期間より古いRSSI情報を無視するステップおよび/またはRSSI読取値の閾値数より少ないモバイルデバイスに関するRSSI情報を無視するステップを含むことができる。
【0020】
本方法のさらなる実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。RSSI情報は、(i)予想される敷地内RSSI読取値を表すデータ値のクラスタと、(ii)予想される敷地外RSSI読取値を表すデータ値のクラスタとを含むことができる。閾値計算はさらに、敷地内クラスタを増幅する、および/または敷地外クラスタを逆増幅するための補正関数を適用するステップを含むことができる。敷地内RSSI閾値は、実質的に、敷地内クラスタ内のRSSI値と敷地外クラスタ内のRSSI値との間の値に設定されることができる。立ち入り判定は、誤検出敷地への立ち入りイベントをフィルタリングするステップを含むことができる。アプリケーションサーバは、敷地への立ち入りイベントが通知されることができる。
【0021】
別の側面では、本システムは、複数のワイヤレス基地局から、ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関するRSSI情報を受信するステップと、RSSI情報に基づいて、特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップとを含む、動作を行うようにプログラムされる1つ以上のコンピュータを含む。
【0022】
本システムの種々の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。立ち入り判定は、ワイヤレス基地局毎の敷地内RSSI閾値を計算するステップと、敷地内RSSI閾値および特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップとを含むことができる。アップデートされたRSSI情報は、周期的に、ワイヤレス基地局から受信されることができ、敷地内RSSI閾値は、周期的に、アップデートされたRSSI情報に基づいて、再計算されることができる。閾値計算は、ある期間より古いRSSI情報を無視するステップおよび/またはRSSI読取値の閾値数より少ないモバイルデバイスに関するRSSI情報を無視するステップを含むことができる。
【0023】
本システムのさらなる実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。RSSI情報は、(i)予想される敷地内RSSI読取値を表すデータ値のクラスタと、(ii)予想される敷地外RSSI読取値を表すデータ値のクラスタとを含むことができる。閾値計算はさらに、敷地内クラスタを増幅し、および/または敷地外クラスタを逆増幅するための補正関数を適用するステップを含むことができる。敷地内RSSI閾値は、実質的に、敷地内クラスタ内のRSSI値と敷地外クラスタ内のRSSI値との間の値に設定されることができる。立ち入り判定は、誤検出敷地への立ち入りイベントをフィルタリングするステップを含むことができる。アプリケーションサーバは、敷地への立ち入りイベントを通知されることができる。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
コンピュータ実装方法であって、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信するステップと、
前記RSSI情報に基づいて、特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記立ち入り判定は、
前記ワイヤレス基地局毎の敷地内RSSI閾値を計算するステップと、
前記敷地内RSSI閾値および前記特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップと、
を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
アップデートされたRSSI情報が、周期的に、前記ワイヤレス基地局から受信され、前記敷地内RSSI閾値は、周期的に、前記アップデートされたRSSI情報に基づいて、再計算される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記閾値計算は、ある期間より古いRSSI情報を無視するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記閾値計算は、RSSI読取値の閾値数より少ないモバイルデバイスに関するRSSI情報を無視するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記RSSI情報は、(i)予想される敷地内RSSI読取値を表すデータ値のクラスタと、(ii)予想される敷地外RSSI読取値を表すデータ値のクラスタとを含む、項目2に記載の方法。
(項目7)
前記閾値計算はさらに、前記敷地内クラスタの増幅および前記敷地外クラスタの逆増幅のうちの少なくとも1つを行うための補正関数を適用するステップを含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記敷地内RSSI閾値を、実質的に、前記敷地内クラスタ内のRSSI値と前記敷地外クラスタ内のRSSI値との間の値に設定するステップをさらに含む、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記立ち入り判定は、誤検出敷地への立ち入りイベントをフィルタリングするステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
アプリケーションサーバに前記敷地への立ち入りイベントを通知するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
システムであって、
複数のワイヤレス基地局から、前記ワイヤレス基地局と通信するモバイルデバイスに関連する受信信号強度指示(RSSI)情報を受信するステップと、
前記RSSI情報に基づいて、特定のモバイルデバイスに関して、敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップと、
を含む、動作を行うようにプログラムされる、1つ以上のコンピュータを備える、システム。
(項目12)
前記立ち入り判定は、
前記ワイヤレス基地局毎の敷地内RSSI閾値を計算するステップと、
前記敷地内RSSI閾値および前記特定のモバイルデバイスに関する少なくとも1つのRSSI読取値に基づいて、前記敷地への立ち入りイベントが発生したかどうかを判定するステップと、
を含む、項目11に記載のシステム。
(項目13)
アップデートされたRSSI情報は、周期的に、前記ワイヤレス基地局から受信され、前記敷地内RSSI閾値は、周期的に、前記アップデートされたRSSI情報に基づいて、再計算される、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記閾値計算は、ある期間より古いRSSI情報を無視するステップを含む、項目12に記載のシステム。
(項目15)
前記閾値計算は、RSSI読取値の閾値数より少ないモバイルデバイスに関するRSSI情報を無視するステップを含む、項目12に記載のシステム。
(項目16)
前記RSSI情報は、(i)予想される敷地内RSSI読取値を表すデータ値のクラスタと、(ii)予想される敷地外RSSI読取値を表すデータ値のクラスタとを含む、項目12に記載のシステム。
(項目17)
前記閾値計算はさらに、前記敷地内クラスタの増幅および前記敷地外クラスタの逆増幅のうちの少なくとも1つを行うための補正関数を適用するステップを含む、項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記動作はさらに、前記敷地内RSSI閾値を、実質的に、前記敷地内クラスタ内のRSSI値と前記敷地外クラスタ内のRSSI値との間の値に設定するステップを含む、項目16に記載のシステム。
(項目19)
前記立ち入り判定は、誤検出敷地への立ち入りイベントをフィルタリングするステップを含む、項目11に記載のシステム。
(項目20)
前記動作はさらに、アプリケーションサーバに前記敷地への立ち入りイベントを通知するステップを含む、項目11に記載のシステム。
【0024】
本発明の他の側面および利点は、以下の図面、発明を実施するための形態、および請求項から明白となり、それらは全て、一例として、本発明の原理を図示するにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明のおよびその多くの付帯利点のより完全な理解は、それらが付随の図面と併せて検討されるとき、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より理解されるため、容易に得られるであろう。図面中、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して、同一の部分を指す。さらに、図面は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、代わりに、概して、本発明の原理の例証に応じて、強調される。
図1図1は、本発明のある実装による、例示的システムの高レベルアーキテクチャである。
図2図2は、本発明のある実装による、例示的RSSIデータの折れ線グラフである。
図3図3は、本発明のある実装による、敷地内および敷地外クラスタとして示される例示的RSSIデータの折れ線グラフである。
図4図4は、本発明のある実装による、敷地への立ち入り検出のための例示的方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な説明)
本明細書に説明されるのは、ワイヤレスモバイルデバイスを所有する消費者による敷地への立ち入りイベントを検出する、方法およびシステムの種々の実装であって、モバイルデバイスは、敷地内にあるワイヤレス基地局と通信する。
【0027】
図面は、機能的に別個として構成要素を描写するが、そのような描写は、単に、例証目的のためのものである。図に描写される構成要素は、任意に、組み合わせられる、あるいは別個のソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア構成要素に分割されることができることは、明白であろう。さらにまた、そのような構成要素は、それらがどのように組み合わせられるか、または分割されるかにかかわらず、同一のホストまたは複数のホスト上で実行することができ、複数のホストは、1つ以上のネットワークによって接続されることができることも明白であろう。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「エンジン」は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または目的をもたらすために使用される、他の構成要素を指す。エンジンは、典型的には、不揮発性メモリ(また、二次メモリとも称される)内に記憶される、ソフトウェア命令を含むであろう。ソフトウェア命令が実行されると、少なくとも、ソフトウェア命令のサブセットが、プロセッサによって、メモリ(また、一次メモリとも称される)の中にロードされる。プロセッサは、次いで、メモリ内のソフトウェア命令を実行する。プロセッサは、共有プロセッサ、専用プロセッサ、または共有または専用プロセッサの組み合わせであってもよい。典型的プログラムは、典型的には、ドライバの実行を要求する、ハードウェア構成要素(入力/出力デバイス等)に対する呼び出しを含むであろう。ドライバは、エンジンの一部と見なされてもよく、またはそうでなくてもよいが、区別は、重要ではない。
【0029】
本明細書で使用されるように、用語「データベース」は、中央化または分散化、関連または別様にかにかかわらず、データを記憶するための任意の公知または便宜的手段を含むために、広義に使用される。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「モバイルデバイス」は、限定ではないが、Apple(R)iPhone(R)等の携帯電話、Apple(R)iPod Touch(R)、Apple(R)iPads(R)等の他のポータブル電子デバイス、およびGoogle(R)Android(R)オペレーティングシステムに基づく、モバイルデバイス、ならびにソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせを含む、任意の他のポータブル電子デバイスであることができる。モバイルデバイスの典型的構成要素は、限定ではないが、フラッシュROMのような持続的メモリ、SRAMのようなランダムアクセスメモリ、カメラ、バッテリ、LCDドライバ、ディスプレイ、セルラーアンテナ、スピーカ、Bluetooth(登録商標)回路、およびWIFI回路を含んでもよく、持続的メモリは、モバイルデバイスのためのプログラム、アプリケーション、および/またはオペレーティングシステムを含んでいてもよい。
【0031】
また、本技法の実装は、1つ以上の製造品上または内に具現化される、1つ以上のコンピュータ可読プログラムとして提供されることができることに留意されたい。製造品は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、CD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、DVD−R、フラッシュメモリカード、PROM、RAM、ROM、または磁気テープ等の任意の好適なハードウェア装置であることができる。一般に、コンピュータ可読プログラムは、任意のプログラミング言語で実装されることができる。ソフトウェアプログラムはさらに、機械言語または仮想機械命令に変換され、その形態でプログラムファイル内に記憶されることができる。プログラムファイルは、次いで、製造品のうちの1つ以上上または内に記憶されることができる。
【0032】
図1に図示されるように、一実装では、システム100は、ワイヤレス屋内(すなわち、敷地内)基地局110と、基地局110によって使用されるワイヤレス技術(例えば、Wi−Fi)をサポートする、モバイルユーザデバイス105と、ワイヤレス分析エンジン150と、処理され、1つ以上のアプリケーション180に中継されることができる、ユーザ敷地「立ち入り」イベント通知に関心がある、1つ以上のアプリケーションサーバ170とを含む。分析エンジン150は、基地局110から、ワイヤレスネットワーク130を経由して、情報を受信することができ、分析エンジン150は、同一のまたは異なるネットワーク(例えば、IPネットワーク160)を経由して、アプリケーションサーバ170と通信することができる。ここに提示される要素は、機能的であって、実際の実装は、関連付けられた機能性を異なる物理的モジュール内に設置してもよいことに留意されたい。非限定的実施例として、分析エンジン150機能性の一部または全部は、基地局110内に実装されてもよい。別の非限定的実施例として、分析エンジン150機能性の一部は、モバイルキャリアネットワーク環境内に展開される製品内に実装されてもよい一方、非リアルタイム機能は、中央化インターネットサーバファーム(すなわち、クラウド)内に設置される。
【0033】
一実装では、システム100は、ワイヤレスネットワーク130等のWi−Fiネットワークを利用し、基地局110は、Wi−Fiアクセスポイントであって、モバイルユーザデバイス105は、Wi−Fi対応スマートフォンである。動作時、モバイルユーザデバイス105は、周期的に、ビーコンまたはプローブメッセージ(例えば、Wi−Fiプローブフレーム)をブロードキャストし得、基地局110への接続を行い、データを基地局110に伝送することができる。ブロードキャストまたはユニキャストメッセージをモバイルユーザデバイス105から受信する、各基地局110は、受信(または、残留)信号強度指示(RSSI)の測定を行う。分析エンジン150は、次いで、周期的に、基地局110を介してそれらのMACアドレスによって識別されるようなモバイルデバイス105に関するRSSI情報を収集する。代替として、基地局110は、RSSIアップデートを分析エンジン150に動的に送信することができる(例えば、10秒毎、30秒毎、3分毎等)。
【0034】
Wi−Fi分析エンジン150は、具体的敷地に関するユーザ「立ち入り」を検出するための計算を行うことができる(例えば、ユーザが、屋内店舗、レストラン、モール等の定義された空間に進入するとき)。Wi−Fi分析エンジン150は、関与アプリケーションサーバ170に敷地への立ち入りイベントを通知し、アプリケーションサーバ170は、関与アプリケーション180と通信することができる。例えば、特定のモバイルデバイスに関して立ち入りイベントが発生したことの通知の受信に応じて、アプリケーションサーバ170は、モバイルデバイス上のアプリケーション180に通知を行い、措置を講じることができる(例えば、歓迎メッセージを表示する、クーポンを提供する等)。
【0035】
一実装では、立ち入り検出アルゴリズムが、敷地への立ち入りが発生したときを判定するために採用される。基地局110によって捕捉される各RSSI値は、数値形態(例えば、「0db」は、最強を示し、「−100db」は、最弱を示す)で、モバイルユーザのデバイス105から基地局110への無線信号の強度を表す。その性質上、RSSI値は、間接的に、モバイルデバイス105と測定基地局110との間の距離および潜在的障害物を反映する。
【0036】
静的閾値は、(i)モバイルデバイス信号強度が無線環境およびデバイス条件(例えば、バッテリレベル、他のデバイスの活動等)に応じて変動することと、(ii)異なる敷地が、可変物理的構成の壁、窓、ドア、および同等物を有することとを含む、いくつかの理由から、敷地「内」を構成するものを示すために設定されることができない。本制限を解決するために、システム100は、基地局毎に敷地内RSSI閾値を動的に計算し、周期的に、それをアップデートし、無線および物理的環境の潜在的変化を反映させる。
【0037】
一実装では、システム100は、継続的に、1つ以上のアクセスポイントに関するRSSIサンプルの統計的セットを収集する。RSSI読取値の統計的分布は、特定の敷地(そのシステム100は、直接知識を有していない)内外の両方にいるモバイルデバイスを有する消費者によって提供されるサンプルから成る。予期されるものに反して、RSSIサンプルは、可能性として考えられるRSSI値のドメイン全体を通して均一に分布されないが、統計的データサンプルセットが、十分なサイズであることを前提として、サンプルは、図2に示されるように、少なくとも2つのクラスタ210および220を形成する傾向がある。
【0038】
図3に描写されるように、実験は、2つのクラスタ210および220が、実際の敷地内ユーザ310に関するRSSI読取値および敷地外ユーザ320に関するRSSI読取値に略対応し、敷地壁の両側のその統計群を表すことを実証する。したがって、ある確率で、具体的RSSI読取値を特定の敷地に関して「内」または「外」に分類するために使用され得る、ある任意の閾値350(図3に内/外閾値として示される)を計算することが可能である。
【0039】
しかしながら、図3におけるグラフ上で観察され得るように、プロセスの統計的性質、敷地の正確な物理的構成、および信号の実際の強度がまた、基地局から距離以外のパラメータにも依存するという事実から重複するため、2つのデータクラスタ間に明確な境界値はない。これは、任意の敷地内閾値350の左の値(誤検出決定を表す)を伴う実際の屋外RSSI読取値を見つけることと、任意の敷地内閾値350の右の値(見逃し決定を表す)を伴う実際の屋内RSSI読取値を見つけることとの非ゼロ確率が存在するという現象をもたらす。したがって、システム100の性能は、2つの測定基準、すなわち、1/Nfn(ここでは、Nfnは、見逃しの数)として計算され、どれくらい良好にシステム100が立ち入り条件を検出し、見逃しを最小限にするかを表す、「受信可能範囲」と、1/Nfp(ここでは、Nfpは、誤検出の数)として計算され、システム100が立ち入りイベントを実際に宣言する場合の正確な決定の確率を表す、「正確度」とを使用して説明されることができる。統計的分布関数の重複性質を前提として、単純数学的アプローチ(例えば、クラスタ間の敷地内閾値350の場所の調節)は、理想的結果をもたらさない可能性が高い。代わりに、さらに説明されるように、システム100は、偶発的に捕捉される場合、誤検出のフィルタリングを試み、それによって、正確度に著しく影響を及ぼさずに、受信可能範囲を最大限にする、一式の分析アルゴリズムを具備する。
【0040】
ここで図4を参照すると、システム100が、有効に敷地への立ち入りイベントを検出し得る前に、システム100は、統計的RSSIデータセットを収集し(ステップ402)、以下の敷地内閾値選択アルゴリズムを行う。ステップ404では、ある期間(非限定的な例として、1週間より古い)を超えるRSSI読取値は、検討から除去される。これは、(a)新しい物理的構成および無線環境を反映しない履歴データと、(b)屋外読取値の統計的優位性のため、屋外クラスタが屋内クラスタの有意性を抑制する現象(ほとんどの敷地の場合のように、概してそこに進入するのではなく、敷地外を通過する人の方が多い)の影響を減少させるのに役立つ。
【0041】
随意に、ステップ406では、収集されたRSSIデータセットはさらに、「雑音」値を除去することによって改良されることができ、例えば、限定数のRSSI読取値のみ、特定のモバイルデバイスに関して観察される。非限定的実施例として、システム100は、特定の基地局に関して3つ未満の読取値が存在する(または、複数の基地局の場合、累積的に)、モバイルデバイスに関する読取値を排除することができる。
【0042】
随意に、ステップ408では、収集されたRSSIデータセットはさらに、敷地内データクラスタを増幅する、および/または敷地外データクラスタを逆増幅することによって、改良されることができる。これは、補正乗算関数を適用することによって達成されることができる。具体的実装では、使用される関数は、f(x)=((100+x)/50)であって、式中、xは、[−100、0]の間隔内の値であって、オリジナルデータセット内のRSSI値のドメインを表す。
【0043】
ステップ410では、システム100は、実質的に、2つのクラスタ間に置かれる、任意の屋内閾値を計算する(クラスタが重複するため、閾値は、2つのデータクラスタを完全に分離しないが、むしろ、2つのクラスタの実質的部分を相互に分離する)。具体的実装では、閾値は、以下のアプローチを使用して選択される。最初に、RSSI統計的データセットは、以下のように、表関数として表される。
【0044】
【数1】
【0045】
次いで、線形代数方程式系が、以下のように、最小2乗近似法を使用して、多項式近似関数を構築するために構成される。
【0046】
【数2】
【0047】
結果として生じる方程式系は、以下のように、多項式係数を見つけるために、ガウス消去法を使用して解法される。
【0048】
【数3】
【0049】
次いで、敷地内閾値が、2つのRSSIデータクラスタ間の近似関数の一次導関数の極小値として選択される。随意のフェイルセーフがさらに、適用されることができ、結果として生じる計算値が、ある事前に定義された値Tmaxより大きい場合、閾値は、Tmaxに設定される。前述の技法は、2つのデータクラスタ間の任意の屋内閾値を計算する一実施例にすぎず、当業者は、閾値計算のために使用され得る種々の代替方法を理解するであろう。
【0050】
計算された閾値は、次いで、各個々のRSSI読取値を査定し、それを正(敷地内)または負(敷地外)として分類するために使用される。実際の立ち入りは、非代表的1度限りの正読取値をフィルタリングし、正読取値が、ある時間周期の間、見られることを確実にすることによって、誤検出を最小限にする、より複雑なアルゴリズムを使用して検出される。最初に、正RSSI読取値が、INSIDE_CLUSTER_TIME内のクラスタに群化される。一具体的実装では、INSIDE_CLUSTER_TIMEは、30秒に設定されるが、他の値も、実装に応じて使用されることができる。ある場合には、2つの正値間に、1つ以上の負読取値が存在し得ることに留意されたい。次に、少なくとも3つの正クラスタが、INSIDE_TIMEFRAME内に見られる場合、立ち入りイベントが、デバイスユーザに関して検出される。一具体的実装では、INSIDE_TIMEフレームは、5分に設定されるが、他の値も、実装に応じて使用されることができる。したがって、少なくとも1つの正読取値が、最後の正読取値後、INSIDE_TIMEFRAME内で観察される限り、それらの読取値は、同一の立ち入りイベントの一部と見なされる(例えば、モバイルユーザは、依然として、敷地内にいる)。任意のさらなる正読取値を伴わないINSIDE_TIMEFRAMEの期限切れに応じて、立ち入りイベントは、完了したと見なされる。システム100は、種々のサーバおよびアプリケーションに、立ち入りイベントの発生ならびにイベントの開始(すなわち、敷地への立ち入り)および終了(すなわち、敷地からの退去)を通知することができる。
【0051】
いくつかの実装では、他のタイプのデータが、RSSI情報の代わりに、またはそれに加え、敷地内閾値を判定し、および/または敷地への立ち入りを検出するために使用されることができる。例えば、収集されたRSSI読取値のセットが不十分である状況では、時間ベースのデータが、RSSI読取値を補完し、ユーザが、単に、敷地を通り過ぎただけか、または実際にそこに進入したかどうかを判定するために使用されてもよい。本事例では、2つのプロファイル、すなわち、敷地内にいると仮定されるユーザに関するものと、敷地外にいると仮定されるユーザに関する別のものとが構築されることができる。ある時間長の間、基地局とユーザのモバイルデバイスとの間で接触が行われ(例えば、RSSI読取値または他のデータ転送)、および/またはデータ読取値の閾値数がある時間周期にわたって達成される場合、ユーザは、敷地内にいる、またはいる可能性が高いと仮定されることができ、敷地内プロファイルと関連付けられることができる。時間ベースの閾値のうちの1つ以上が達成されない場合、ユーザは、敷地内にいない、またはいる可能性が低いと仮定されることができ、敷地外プロファイルと関連付けられることができる。
【0052】
本発明のある実装が、前述された。しかしながら、本発明は、それらの実装に限定されず、むしろ、本明細書に明示的に説明されたものに対する追加および修正もまた、本発明の範囲内に含まれることが意図されることに明示的に留意されたい。さらに、本明細書に説明される種々の実装の特徴は、相互に排他的ではなく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の組み合わせおよび順列で存在することができる(そのような組み合わせまたは順列が、本明細書で明示的に行われない場合でも)ことを理解されたい。実際、本明細書に説明されたものの変形例、修正、および他の実装は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。したがって、本発明は、前述の例証的説明によってのみ定義されるものではない。
図1
図2
図3
図4