(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326069
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】全人工膝関節置換術の方法、システムおよび機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20180507BHJP
【FI】
A61B17/56
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-557110(P2015-557110)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公表番号】特表2016-506824(P2016-506824A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】US2014015269
(87)【国際公開番号】WO2014124235
(87)【国際公開日】20140814
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/762,492
(32)【優先日】2013年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/904,083
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/904,086
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/904,099
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515219137
【氏名又は名称】オーソペディック インターナショナル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】グロイ,イルストレ アイ.,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ガスティロ,ラモン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ムノズ,ヘズス エル.
(72)【発明者】
【氏名】サン ペドロ,セザー ポール エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】サシン,ジュード エル.
【審査官】
大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/045960(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0216247(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0195110(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02412330(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56−17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨の機能軸を特定し、当該大腿骨において第1ピン及び第2ピンを配置するよう構成された大腿骨機能軸ファインダーと、
脛骨の機能軸を特定し、当該脛骨において第3ピン及び第4ピンを配置するよう構成された脛骨機能軸ファインダーと、
大腿骨寸法測定器と、
前記第1ピンおよび前記第2ピンとの係合のための少なくとも2つの開口を含む大腿骨切断ブロックアライメント治具と、
前記大腿骨切断ブロックアライメント治具と係合可能であり、前記大腿骨寸法測定器によって提供可能な少なくとも1つの測定と関連づけるよう構成された大腿骨切断ブロックであって、少なくとも1つの大腿骨切断ガイドを含む大腿骨切断ブロックと、
前記第3ピンおよび前記第4ピンとの係合のための少なくとも2つの開口を含む脛骨切断治具と、
少なくとも1つの脛骨切断ガイドを含む脛骨切断ブロックであって、前記脛骨切断ブロックに対して前記大腿骨切断ブロックのアライメントのための接続部材を介して前記大腿骨切断ブロックに取付可能である脛骨切断ブロックと、を備えることを特徴とする、患者における全人工膝関節置換術を行うためのシステム。
【請求項2】
前記大腿骨機能軸ファインダーは、患者の膝の中心から予め定められた距離に前記第1ピンを配置するための手段を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記脛骨機能軸ファインダーは、少なくとも1つの伸縮部材を含み、該伸縮部材は、前記伸縮部材に対して回転可能なポインタ部材を有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記大腿骨寸法測定器は、
ポストと、
前記ポストから放射状に延伸し、前記第1ピンおよび前記第2ピンのうちの1つと係合可能である遠位先端部を含む上部部材と、
前記ポストから放射状に延伸し、前記上部部材との間の間隔を変更するよう前記ポストに対してスライド可能な下部部材と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記接続部材は、C字形状クリップを有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記C字形状クリップは、
ベース部材と、
前記ベース部材から第1方向に延伸する第1延伸部材と、
前記第1延伸部材から離間し、前記ベース部材から前記第1方向に延伸する第2延伸部材と、を有することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1ピンに対して前記大腿骨切断ブロックを選択的に配置するために、前記第1延伸部材は、前記大腿骨切断ブロックと係合可能であり、前記第2延伸部材は、前記脛骨切断ブロックと係合可能であることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1ピンをスライド可能なガイドスロットと前記第2ピンをスライド可能なガイド孔とを有するロッドアライメントガイドを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記脛骨機能軸ファインダーは、前記第1ピンと係合可能な第1開口と前記第2ピンと係合可能な第2開口とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記大腿骨切断ブロックの前記少なくとも1つの大腿骨切断ガイドは、少なくとも1つのスロットを有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
患者の大腿骨に対する所望の位置に前記大腿骨切断ブロックを向けるときの使用のためのスプレッダ装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記スプレッダ装置は、共通回転ポイントにおいて回転可能に接続された第1アームおよび第2アームを有し、前記第1アームおよび前記第2アームの近位端部は、互いに近づいたり遠ざかったりすることが可能であることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スプレッダ装置は、前記第1アームの遠位端部から延伸するラチェット部材であって、前記第2アームに対して所望の位置において、前記第1アームを固定するために前記第2アームの遠位端部と係合可能であるラチェット部材をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「INSTRUMENT FOR LOCATING THE FEMORAL MECHANICAL AXIS(大腿骨の機能軸の位置を特定するための機器)」という発明で、2013年2月8日に出願された61/762,492の米国仮特許出願、「INSTRUMENTS AND METHODS FOR LOCATING A FEMORRAL MECHANICAL AXIS(大腿骨の機能軸の位置を特定するための機器および方法)」という発明で、2013年11月14日に出願された61/904,083の米国仮特許出願、「TOTAL KNEE ARTHROPLASTY METHODS,SYSTEM,AND INSTRUMENTS(全人工膝関節置換術の方法、システムおよび機器)」という発明で、2013年11月14日に出願された61/904,086の米国仮特許出願、「TOTAL KNEE ARTHROPLASTY METHODS,SYSTEM,AND INSTRUMENTS(全人工膝関節置換術の方法、システムおよび機器)」という発明で、2013年11月14日に出願された61/904,099の米国仮特許出願の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、外科的技術を含む全人工膝関節置換術(TKA)のために使用される方法、システムおよび機器に関する。特に、本発明のTKA技術は、大腿骨と脛骨の髄管を破らず、切断ガイドの最小限の再配列で複数の骨切断を可能にする機器を使用する。
【0003】
〔背景技術〕
人工膝関節全置換術の処置において、複数の機器および技術が利用される。多くの処置において、手術は、大腿骨、脛骨および膝蓋骨を含む膝を構成する骨の端部を露出することから始まる。細長いドリル穴は、遠位大腿骨で作られ、髄内ロッドが穴に挿入される。第1切断ガイドは、このロッドに挿入され、適切な前後方向と回転方向に配置された後、前方皮質がのこぎりで切断される。第1切断ガイドは、除去され、正確な外反角度の遠位大腿骨を切断するために使用される第2切断ガイドに置き替えられる。そして第2切断ガイドは、髄内ロッドに沿って除去される。次に大腿骨は、使用される大腿骨部品のサイズを決定するために計測される。
【0004】
大腿骨部品をサイジングした後、また別の切断ガイド(すなわち第3切断ガイド)が切断面に配置され、所定の位置に固定される。前部、後部および面取りカットは、第3切断ガイドによって案内されるように、のこぎりを使用して行われ、第3切断ガイドは除去される。そして第4切断ガイドは、「ボックスカット(box cut)」として知られるカットを行うために、切断面に配置され、固定される。この切断が完了すると、第4切断ガイドが除去される。次に試用の大腿骨部品が骨に対して適切か確認するために、切断面に対して位置決めされる。
【0005】
そして脛骨は、髄外ガイドがそれに関連して配置することができるように前方に亜脱臼される。特に、この髄外ガイドは、その近位部における脛骨プラトーから遠位部における足首に取り付けるために配置される。この時点で、第5切断ガイドは、脛骨に対して位置決めされ、所定の位置に固定される。代替的に、穴は、別の髄内ロッドを挿入することができる大腿骨に穴をあけるために使用される技術と同様に脛骨に穿孔することができる。そして第5切断ガイドは、このロッドに配置される。いずれかの場合において、第5切断ガイドが所望の位置になると、脛骨を切断することができ、ガイドが除去される。近位の脛骨は、一般的に、骨に管状の穴を形成する短いパンチを使用して用意され、そして試用の脛骨部品の軸(stem)は、管状の穴に挿入することができる。
【0006】
試用の大腿骨および脛骨部品が所望の位置に配置されると、大腿骨と脛骨との間の関係は、伸長および屈曲の間、内側および側面にバランスされるように、試験され、補正される。全下脚軸は、それがまっすぐであることを確実にするためにチェックされる。隙間のない構造および/または不適切な骨切断は、システムをアンバランスにする、および/または軸が誤って配列することがあり、いずれかまたは両方で補正が必要となる。特に、隙間のない構造であれば、引き離すことが可能である。形成される骨の切断が小さすぎる、または、薄すぎる場合、切断ガイドの使用の前のシーケンスを使用することによって切断することができる。骨が大きすぎる、または、厚すぎる場合、適切な挿入物は、所望のサイズおよび形状にするよう骨に加えられる。これらの補正や調整は、不便で、最終的にあまり成功した手術結果にならない余分な工程を必要とする。
【0007】
上記したように、全人工膝関節置換術の成功した結果は、正確な骨切断および適切な靭帯バランスを達成することを含む。特に、骨切断は、大腿骨の機能軸に関して正確に行われなければならず、軸が大腿骨頭の中心から膝関節の中心まで延びているため、識別することが困難であり、大腿骨頭は、人工膝関節手術中に可視化される。その機能軸の位置を特定するために最も広く使用されている方法は、大腿骨の髄管内に配置されるロッドである。機能軸は、ロッドの軸から内側に約6度に位置すると推定される。この方法は、実装が容易であってもよいが、大腿骨の解剖変異によって、そして、ロッドと、それが配置される髄管との間のあそびによって必ずしも正確ではない。この方法は、矢状面で見た場合、機能軸の方向を決定することができない。さらに、この方法は、髄管を侵襲する必要があり、望ましくない血液の損失および可能な合併症につながる。管の侵襲によって、潜在的に脂肪塞栓症や凝固の活性化につながる可能性がある。機能軸の位置を特定する他の方法は、コンピュータのナビゲーション装置を使用することによって、骨性指標を特定し、機能軸を配置するために、大腿骨の動きに、それらを関連付けることである。しかしながら、そのような装置は、多くの場合、比較的高価であり、手術での使用で面倒な可能性がある。
【0008】
大腿骨と脛骨がつり合い、その位置合わせがまっすぐになった後、膝蓋骨は、再び平らに仕上げられる(resurfaced)、および/または、膝が正確な膝蓋骨のトラッキングを確認するために、可動範囲を通して移動することができる。膝蓋骨が再び平らに仕上げられる場合、膝がまっすぐにあるときに膝蓋骨が外にめくり返される。膝蓋骨の厚さがキャリパー(caliper)のように測定され、そして膝蓋骨切断ガイドは、後にプラスチックによって置換される膝蓋骨の量を削減するために膝蓋骨に適用される。膝蓋骨が切断されると、試用のプラスチック部品は、切断領域に対して配置され、全体の膝は、その後のバランス、アライメントおよび膝蓋骨の動きやトラッキングのためにチェックされる。このプロセスが完了した後、試用の部品は、除去され、骨の端部が洗浄および乾燥され、骨セメントは、適切な場所に適用され、最終的な部品は、所望の位置に配置される。バランス、アライメントおよび膝蓋骨のトラッキングは、再びチェックされ、膝が閉じられ、手術が完了したと考えられる。
【0009】
説明したプロセスの多くは、合理的にうまく機能するが、冠状面および矢状面の両方で、正確に大腿骨の機能軸を特定すること、および、より簡単な切断ガイドを使用して正確に骨切断を行うことについて、低侵襲、より正確で、より簡単な全人工膝関節置換術における使用のためのシステムおよび方法を提供する必要がある。
【0010】
〔要約〕
本明細書に記載の発明は、全人工膝関節置換術を行う方法に関連し、成功した結果に貢献する多くの特徴を提供する。本発明の実施形態において、方法、機器および装置は、放射線またはコンピュータのナビゲーションを使用することなく、大腿骨と脛骨の髄管が侵襲されないよう、大腿骨頭の位置を特定するために提供される。本発明の実施形態において、初期の軟組織のバランスは、全人工関節置換術の軟組織の要件を強調するために最初に行われる(すなわち、骨を一緒に保持する靭帯のバランスを取ることの重要性)。つまり、任意の骨を切断する前に、大腿骨を脛骨に関連付けることにより、靭帯の調整が少なくなる。本発明の実施形態において、大腿骨と脛骨の切断の全てが、膝の位置を変更することなく、および/または、切断治具の除去、再配列、置換することなく行われる。
【0011】
本発明の実施形態において、全人工膝関節置換術を行う方法は、患者の膝を露出するステップと、膝の中心を特定するステップと、遠位大腿骨の前方側面に第1ピンを挿入し、膝の中心を通すステップと、膝の中心に関して、大腿骨の機能軸を特定するステップと、大腿骨の機能軸に対して、交差し、垂直である軸を有し、遠位大腿骨の前方側面に少なくとも1つの追加のピンを挿入するステップと、脛骨の機能軸を特定するステップと、大腿骨のサイズを決定し、少なくとも1つの大腿骨切断ガイドを含む大腿骨切断ブロックを大腿骨の遠位端部に取り付けるステップと、脛骨の近位端部に対して切断位置に、少なくとも1つの脛骨切断ガイドを含む脛骨切断ブロックを配置するステップと、脛骨切断ブロックに対して大腿骨切断ブロックを位置合わせするステップと、脛骨に対して大腿骨を位置合わせするステップと、大腿骨切断ブロックおよび脛骨切断ブロックを除去するステップと、少なくとも1つの大腿骨切断ガイドを介して、大腿骨を切断するステップと、大腿骨の切断位置に永久的な大腿骨膝関節インプラント部品を配置し、脛骨の切断位置に永久的な脛骨膝関節インプラント部品を配置するステップを含む。大腿骨切断ガイドおよび脛骨切断ガイドは、大腿骨切断ブロックおよび脛骨切断ブロックそれぞれを通るスロットを含む。これらガイドは、各永久的な膝関節インプラント部品を受け入れることが好ましい大腿骨および脛骨について、切断のすべてが行われることが可能な位置に配置される。
【0012】
上述の方法において、大腿骨に対して脛骨の位置合わせするステップは、脛骨棘と顆間切痕の間にジャッキアップ装置を配置し、脛骨に対して所望の外回転方向および内回転方向に大腿骨を向けるようジャッキアップ装置を動作させることを含む。大腿骨切断ブロックおよび脛骨切断ブロックは、前記ジャッキアップ装置の配置および動作の間、互いに各位置に留まっている。また、大腿骨の機能軸を特定するステップは、大腿骨の髄管内を侵襲する必要がない機能軸ファインダーを使用することを含む。
【0013】
上述の方法は、大腿骨および脛骨に対して永久的な大腿骨膝関節インプラント部品および永久的な脛骨膝関節インプラント部品を配置した後、患者の膝蓋骨を再び平らに仕上げることを含む。また、この方法は、大腿骨の切断部分および脛骨の切断部分にそれぞれ、少なくとも1つの試用大腿骨膝関節インプラント部品および少なくとも1つの試用脛骨膝関節インプラント部品を配置し、永久的な大腿骨膝関節インプラント部品および永久的な脛骨膝関節インプラント部品を配置するステップより先に試用の大腿骨膝関節インプラント部品および試用の脛骨膝関節インプラント部品を除去するステップを含む。また、この方法は、脛骨の機能軸を特定するステップの後に軟組織の引き離しを行うステップを含んでも良く、および/または、大腿骨に対して脛骨を位置合わせするステップは、脛骨切断ブロックに対して大腿骨切断ブロックを取り付けることを含んでも良い。
【0014】
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、さらに添付の図の参照により説明され、類似の構成は、いくつかの図によって同じ数字が参照される。
【0015】
図1は、本発明における大腿骨に関連する代表的な球の概略図である。
【0016】
図2は、大腿骨に対して配置される、本発明の機能軸ファインダーの実施形態の斜視図である。
【0017】
図3は、大腿骨内の代表的な場所に位置するガイドピンの斜視図である。
【0018】
図4は、大腿骨に対して配置されたアライメントガイドの斜視図である。
【0019】
図5は、冠状面で見たときに、機能軸に平行に配置されたアライメントロッドを有する大腿骨の上面図である。
【0020】
図6は、矢状面で見たときに、機能軸に沿って配置されたアライメントロッドを有する大腿骨の側面図である。
【0021】
図7は、脛骨の機能軸ファインダーの斜視図である。
【0022】
図8は、脛骨の機能軸ファインダーの別の斜視図である。
【0023】
図9は、代表的な脛骨と大腿骨に対して配置される脛骨の機能軸ファインダーの斜視図である。
【0024】
図10は、代表的な脛骨に対して配置され、その遠位端にポインタを有する脛骨の機能軸ファインダーの端部の側面図である。
【0025】
図11は、代表的な脛骨に対して配置され、その遠位端にポインタを有する脛骨の機能軸ファインダーの端部の別の側面図である。
【0026】
図12は、代表的な脛骨に対して配置され、その遠位端にポインタを有する脛骨の機能軸ファインダーの斜視図である。
【0027】
図13は、代表的な脛骨と複数の延伸ピンを有する大腿骨の斜視図である。
【0028】
図14は、大腿骨サイザーの斜視図である。
【0029】
図15は、複数の延伸ピンを有する代表的な大腿骨に対して配置される大腿骨サイザーの斜視図である。
【0030】
図16は、膝関節インプラントの代表的な部分に関連して配置される大腿骨サイザーの斜視図である。
【0031】
図17は、膝関節インプラントの代表的な部分に関連して配置される大腿骨サイザーの斜視図である。
【0032】
図18は、代表的な大腿骨に対して配置される切断ブロックアライメント治具の斜視図である。
【0033】
図19は、代表的な大腿骨に対して配置される切断ブロックアライメント治具および大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【0034】
図20は、切断ブロックに対して配置される代表的な大腿骨の切断端の側面図である。
【0035】
図21は、本発明における大腿骨切断ブロックの実施形態の斜視図である。
【0036】
図22は、本発明における大腿骨切断ブロックの実施形態の斜視図である。
【0037】
図23は、
図22に示されるタイプのような、大腿骨切断ブロックの一部の斜視図である。
【0038】
図24は、
図22に示されるタイプのような、大腿骨切断ブロックの一部の斜視図である。
【0039】
図25は、本発明の実施形態における、脛骨切断ブロックの斜視図である。
【0040】
図26は、本発明の実施形態における、脛骨切断治具の斜視図である。
【0041】
図27は、代表的な脛骨の端部に対して配置される脛骨切断治具の斜視図である。
【0042】
図28は、本発明の実施形態におけるC−クリップの斜視図である。
【0043】
図29は、本発明の実施形態におけるスプレッダの側面図である。
【0044】
図30は、脛骨切断ブロックと大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【0045】
図31は、脛骨切断ブロックと大腿骨切断ブロックの側面図である。
【0046】
図32は、本発明のスコーピオンテールアタッチメントを有する大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【0047】
図33は、膝に対して配置され、本発明のスコーピオンテールアタッチメントを有する大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【0048】
図34は、拡散器を含む、本発明において使用される全人工膝関節置換術装置の様々な部品の斜視図である。
【0049】
図35は、大腿骨切断ブロックと第1位置における箱リーマの側面図である。
【0050】
図36は、大腿骨切断ブロックと第2位置における箱リーマの側面図である。
【0051】
図37は、大腿骨切断ブロックと箱リーマの斜視図である。
【0052】
図38は、大腿骨切断ブロックと箱リーマの別の斜視図である。
【0053】
図39は、大腿骨切断ブロックに対して配置されるチゼルの斜視図である。
【0054】
図40は、脛骨フィンパンチの斜視図である。
【0055】
図41は、試用の大腿骨部品の斜視図である。
【0056】
図42は、試用の脛骨インサートの斜視図である。
【0057】
図43は、本発明の膝蓋骨クランプの斜視図である。
【0058】
図44は、
図43の膝蓋骨クランプとともに使用するためのリーマシャフトの斜視図である。
【0059】
図45は、取り付けられた測定スリーブを有するリーマシャフトの斜視図である。
【0060】
図46は、膝蓋骨クランプに対して配置されるリーマシャフトの斜視図である。
【0061】
図47は、取り付けられたシャフトカラーを有するリーマシャフトの斜視図である。
【0062】
図48は、リーマシャフトと、膝蓋骨クランプに対して配置された
図47の取り付けられたカラーの斜視図である。
【0063】
図49は、一端にリーマを有するリーマシャフトの斜視図である。
【0064】
図50は、セメントクランプの斜視図である。
【0065】
図51は、膝蓋骨クランプに対して配置されたセメントクランプの斜視図である。
【0066】
〔詳細な説明〕
合理的な結果を伴う多くの全人工膝関節置換術のシステムがあり、各システムは各セットを伴う異なるセットの機器や異なる技術を含む。これらのシステムを使用するときに遭遇するいくつかの問題は、本発明の方法、システム、機器を使用するときに生じず、最初に下記一般に関して、次いで本発明の特定の実施形態に関して記載する。
【0067】
任意の全人工膝関節置換術の手術の主な目的は、適切に下肢を揃えることである。この位置合わせは、3つの点、つまり(1)大腿骨頭の中心、(2)膝の中心、(3)足首の中心によって案内される。膝の中心と足首の中心は、手術中接近可能であるため、これら点を見つけることが比較的簡単である。しかしながら、大腿骨頭は、股関節において深く、手術分野の範囲外である。開発されている多くのシステムは、大腿骨の管に挿入されるガイドロッドを使用し、これらロッドを基準構造として使用する。基準構造は、大腿骨頭を指すように想定される程度の平均値に到達することを示す。いくつかのシステムは、大腿骨頭を特定するために術前のX線を使用し、外科医が手術中に触診することができる物理的なマーカーを配置する。また、他のシステムは、大腿骨頭を特定するための高価なコンピュータナビゲーションを使用している。しかしながら、本発明によれば、本明細書に記載のシステムの実施形態は、放射線や高価な装置を必要としない機能軸ファインダー(mechanical axis finder)を使用する。
【0068】
成功した全人工膝関節置換術は、また、一緒に骨を保護する靭帯がバランスがとれている必要があり、本発明において、任意の骨の切断より先に実行される。すなわち、膝の靭帯が最初にバランスがとれた後、本発明の骨切断ガイドは、それぞれの表面上に配置され、その後切断が行われる。さらに、本発明の実施形態によれば、全ての骨切断は、大腿骨を切断するときに、ある位置に膝があり、脛骨を切断するときに膝が別の位置にある他のシステムとは違い、ある位置で行われる。最後に、本発明の装置および方法を用いて行われる切断は、より正確であり、それにより必要以上に骨を切断することから生じる任意の可能性のある合弁症を最小限に抑えることである。
【0069】
図を参照して、部品は、いくつかの図を通して同様の符号が付されており、多くの工程が本発明における全人工膝関節置換術について示され、記載されている。手術の準備のために、適切な外科用ドレープおよび足/足首のポジショナーは、外科医がアクセスするための所望の構成に膝を配置するために使用され、外科手術が行われる。
【0070】
手術を開始するためには、患者の膝は露出される。このステップにおいて、内側膝蓋骨前方切開(a medial parapatellar incision)は、前十字靭帯(ACL)および内側側副靭帯(MCL)および両半月板が除去されるように、膝を露出するために使用される。アクセス可能な任意の骨棘も除去される。膝蓋骨は、側方に移動させる。
【0071】
次に、大腿骨の機能軸(mechanical axis)が配置され、様々な方法を用いて行われる。本発明の1つの方法は、2013年2月8日に出願された米国仮特許出願61/762,492の機能軸ファインダーを使用することを含む。その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一般的に、この方法を使用して、機能軸を特定することは、
図1〜6に示されるように、患者の大腿骨に対して、所定の空間の中心点の決定を含む。
図1を参照して、大腿骨頭54と球体52の一部の概略図が示されている。球体52および大腿骨50は、大腿骨頭54が球体52の中心58と一致するように配置される。また、膝56の中心は、球体52の表面上に存在する。このように、球体52は、膝56の中央に大腿骨頭54の中心からの距離に等しい半径を有する。
【0072】
本発明によれば、大腿骨の機能軸を特定しようとするとき、一般的に遭遇する問題は、
図1に示されるような第1の点60、第2の点62および第3の点64のような球体の表面における点を用いて、球体52の中心58を通る線を見つけることによって解決することができる。そのような線を特定することは、本発明の装置および/または方法を用いて達成することができる。さらに、本発明において、膝の物理的な移動は、大腿骨頭の中心を3次元的に回動することが想定される。したがって、膝56の中心は、膝が点60,62,64を通るように移動するとき、球体52の表面をトレースする。
【0073】
任意の球体について、球体の少なくとも3つの点によって定められる円の中心を通り、円の平面に対して垂直な線は、球体の中心を通ることが示されている。本発明に適用されるように、点60,62,64は、球体52の表面上に存在し、中心68を有する円66を定めるために使用される。特定の大腿骨のための機能軸70を配置するために、膝関節56の中心は、第1の点60に対応させることができる、空間内の任意の点に移動させることができる。膝56の中心は、第2の点62に移動され、最後に第3の点64に移動される。これら点60,62,64は、円66を定めるために使用され、点68は、この円の中心として特定される。これら点のすべてが特定され、および/または、配置された後、軸72が特定される。その軸は、円66を含み、円66の中心68を通る平面に垂直である。軸72に膝56の中心を一致させるように移動させることによって、大腿骨50の機能軸70は、それが位置することができるように、軸72と同一線上になる。大腿骨に関連して、点60,62,64,68および軸72を特定し、それにより大腿骨の機能軸の位置を特定することが可能になる本発明の装置および方法は、後の段落に記載されている。
【0074】
図2を参照すると、本発明の機能軸ファインダー1の実施形態が示され、ベース2、延伸アーム3、旋回アーム4および位置決めアーム5を含む。患者の代表的または典型的な大腿骨50は、機能軸ファインダー1に隣接して示されている。ベース2は、テーブルのサイドレールにクランプする、または、機能軸ファインダーとテーブルとの間の確実な係合を提供する他の取付構造を使用することによって、手術台に取り付け可能である。
図2に示されるタイプの機能軸ファインダーを使用する典型的な方法において、膝関節が露出された後、膝56の中心は、冠状および矢状平面において外科医によって特定される。好ましくは、膝中心配置デバイスが、膝の中心を配置するために使用されてもよい。ここにおいて、および、以降の段落で言及される「矢状面」は、解剖学的な矢状面に平行で、膝の中心を通過する平面である。
【0075】
膝56の中心が配置されると、ピン30(ビーズ、バンドまたは他の位置決めの機能を含む)は、
図3に示されるように、大腿骨の解剖学的に略垂直で、膝56の中心を通る矢状面に沿って、遠位大腿骨の前面に挿入される。ピン30は、位置決め機能が膝56の中心から所定の距離になるように挿入される。位置決め機能のこの位置および大腿骨頭54の中心は、大腿骨の「およその機能軸」を定めるために使用される2つの点であり、大腿骨頭54から位置決め機能の中心まで延伸する。
【0076】
機能軸ファインダー1は、上記の特定の点を特定するために互いに移動可能および/またはロック可能な多くの部品と装置を含む。これらステップが実行されると、ピン30の位置決め機能は、ブラケットに係合され、大腿骨は、真の機能軸70とおよその機能軸との間の角度を補うように、
図3に示されるようにガイドピン37が所定の距離/位置で大腿骨30に穴が開けられるよう配置される。したがって、ピン37が大腿骨50に穿孔されたとき、
図1,2の軸70に垂直である。
【0077】
図3に示されるように、大腿骨50の各位置に配置されるガイドピン30,37を残しつつ、機能軸ファインダー1は、患者から除去される。ロッドアライメントガイド39は、
図4に示されるように、ピン30,37上に配置される。具体的に、ロッドアライメントガイド39は、ピン37に対して摺動可能なガイド穴と、ピン30に対して摺動可能なガイドスロットを含む。最後に、アライメントロッド42は、アライメントガイド39のガイド穴内に配置される。アライメントロッド42は、
図5,6に示されるように、冠状面で見たとき、機能軸70と同一線上にあり、矢状面で見たとき、機能軸70と平行にある。位置決め機能の接続とガイドピン37の軸は、冠状面で見られると、機能軸と同一線上にある。
【0078】
処置の次のステップにおいて、軟組織の引き離しが行われ、脛骨の機能軸が配置される。そのような処置は、
図7,8に示されるタイプの典型的な脛骨の機能軸ファインダー80を使用して行われる。そのような脛骨の機能軸ファインダーを使用することは、
図9〜13に示されている。具体的に、脛骨の機能軸ファインダー80は、上述のように、2つの前方大腿骨ピン30,37に配置される。このように、この装置は、大腿骨頭から膝の中心を通り、足首の中心までの全下肢の正確な機能軸を形成する大腿骨の機能軸の延長にある。適切な軟組織の引き離し(例えば横方向の引き離しなど)は、足首が脛骨の機能軸ファインダーの遠位先端と一致するように、膝において行われ、それにより正確な冠状の機能軸に肢を効果的に再統合する。それが、良い全人工膝関節置換術における基本的な目的である。
【0079】
脛骨の機能軸ファインダー80は、脛骨の長さと一致するように調整可能な伸縮部材を含んでもよい。さらに、脛骨の機能軸ファインダー80は、矢状面に沿って調整可能である。すなわち、脛骨の機能軸ファインダー80は、それが触知できる腓骨に対して平行にする、または、脛骨の前方側に対して適切な角度で、配向することによって、矢状面に沿って配列される。枢動可能ポインタ82は、足首の中心に脛骨の機能軸ファインダー80を整列させるために使用することができるよう下方に回転可能である。これが行われると、そのステップの終わりに、2つのピン84,86が適切に脛骨に配置され、2つのピン30,37が適切に大腿骨に配置されるよう、2つのねじのピン84,86は、その適切なガイド(
図12参照)を介して配置される。また、すべてのピンは、その後、望ましくは、それぞれの冠状および矢状面で正しく整列される。
【0080】
図14〜24を参照すると、処置の次のステップは、大腿骨をサイジングし、大腿骨の遠位端部に大腿骨切断ブロックを適用することを含む。これを達成するために、膝関節が屈曲状態で約90度で配置され、大腿骨寸法測定器は、大腿骨ピンを介して配置される。大腿骨寸法測定器90の例示的な実施形態は、
図14,16,17に示され、
図15に示す大腿骨に対して寸法測定器90のように配置される。大腿骨寸法測定器90は、遠位先端部94を有する上部部材92と、大腿骨のサイズを調整するためにポスト98に対してスライド可能な下部部材96とを含む。部材92,96は、キャリパーのように使用され、部材92の遠位先端部94は、例えば測定のための所望の基準点を提供するために、ピン37と係合可能である。上述のサイジングステップは、屈曲中に、側副靭帯をピンと張ったようにし、大腿骨が脛骨に対して回転し、配置されるよう、大腿骨および脛骨が広がった後に行われる。例えば、
図29に示されるような、スプレッダまたは「ジャッキアップ装置(jack-up device)160」は、この目的で使用される。大腿骨の寸法は、脛骨の機能軸に平行な方向に測定される。
【0081】
大腿骨の大きさが分かると、寸法測定器90は、除去され、
図18に示される切断ブロックアライメント治具100を介して、2つの前方大腿骨ピン30,37に接続されている、対応するサイズの大腿骨切断ブロックまたは治具に置き替えられる。切断ブロックアライメント治具100は、切断ブロック110が大腿骨の機能軸に対して垂直な平面について回転し、移動することを可能にする。ブロック110は、切断ブロック110のスロットがスライドすることができる延伸フランジ102を介してアライメント治具100に取り付け可能である。
【0082】
この処置で使用される大腿骨切断ブロックの実施形態は、その組立および分解の構成において、
図19〜24に示されている。具体的には、
図21,22は、組み立てられた状態で切断ブロック110を示し、
図23,24は、ブロック110の分離したブロック片112,114を示す。ブロック片112は、ブロックが大腿骨に対して予め定められた位置にあるときに、切断刃が所望の位置で骨を切断するために挿入される複数のスロット116を含む。
図19は、切断ブロックアライメント治具100に取り付けられたとき、切断ブロック110の位置を示す。切断ブロック110がこのように位置決めされると、ブロックは、大腿骨に関して、正確な内外反角(varus-valgus angle)(冠状面)と正確な伸張角(flexion-extension angle)(矢状面)にある。
【0083】
切断ブロック110が適切に配置された後、遠位大腿骨は、切断ブロック110の所定のスロット116を介して押圧される切断刃を用いて切断される。
図20は、切断処理によって除去された遠位端部を有する大腿骨を示す。切断ブロック110は、切断ブロック110が大腿骨の切断面と接触するように、近位方向に前進または潰される。大腿骨のこの切断は、単一の遠位切断(distal cut)であり、次の切断のために大腿骨切断ブロック110が潰されるよう他の切断より先に行われる。遠位切断は、切断ブロック110を潰すことなく、他のカットとともに行うこともできる(切断ブロックにおける対応する変更を伴う)。しかしながら、自然な遠位顆の一般的な円形の輪郭に当接する代わりに、切断ブロック110は、大腿骨のフラットな遠位切断面と接触し、所定の固定されている場合、より安定させることができる。
【0084】
次に、
図26,27に示されるように、脛骨切断治具120は、前に脛骨に配置された2つのピン84,86にスライドされる。脛骨切断ブロック130は、脛骨切断治具120に対して位置決めされる。これは、ブロック130を、脛骨に関して、正確な内外反角(冠状面)および正確な屈曲伸張角(矢状面)に配置する。
【0085】
本明細書に記載のように、当技術分野で知られている従来のシステムは、脛骨および大腿骨の別々の切断を伴い、骨切断が行われた後に、2つの骨を関連づけるか、適合させる。しかしながら、本発明によれば、全人工膝関節置換システムおよび方法は、骨切断より先に骨を適合させる。多くの部品が、前方基準ガイド「スコーピオンテール」(
図32,33に示される)、Cクリップ(
図28に示される)およびスプレッダ(
図29に示される)を含むこの処理のために使用され、部品は以下に詳細に記載される。
【0086】
具体的に、
図32,33は、「スコーピオンテール」140と呼ばれるアタッチメントを示し、前方の大腿骨皮質に対して前後方向に沿って、ブロックを配置するために大腿骨の切断ブロック110に取り付け可能である。スコーピオンテール140は、前方の切断を定め、前方の大腿骨皮質のノッチングを防ぐことができる。Cクリップ150は、
図30,31に示されるように、大腿骨切断ブロックおよび脛骨切断ブロックを接続するよう取り付けられる(すなわち、平行になるように、大腿骨と脛骨を適合する)。Cクリップの実施形態は本明細書に記載されているが、外科医が特定の患者のために選ぶことのできる多くのCクリップが提供できることが理解されるべきである。Cクリップは、屈曲ギャップを定め、脛骨切断ブロック130を配置するので、脛骨プラトーの必要量が切断される。したがって、Cクリップ150は、使用される脛骨インプラントの部品の厚みを決定する。Cクリップ150は、異なる脛骨インプラントの部品の厚みに対応する様々なギャップサイズがある。
【0087】
図29に示されるようなスプレッダまたは「ジャッキアップ装置」160は、脛骨棘と顆間切痕の間に配置される。スプレッダ160は、枢軸点166において互いに接続された第1,2アーム162,164を含む。アーム162の遠位端部168は、アーム164の遠位端部172と係合可能な延伸ラチェット部170を含み、所望の拡張機能を提供する。注目すべきことに、切断ブロックのいずれも、その所望の位置に、このスプレッダ160を配置するために除去される必要がない。ハンドルまたはアーム162,164の近位端部は、互いに締め付けられ、
図34に示されるように、両方の側副靭帯の張力によって、大腿骨を適切な角度に回転させる。この場合、調整は、互いに所定の位置にアーム162,164をロックし、大腿骨に対して正しい回転方向に大腿骨切断ブロックを向けることで大腿骨を回転させるラチェット部170を含むスプレッダ160を用いて達成される。
【0088】
なお、この拡張処理の間に、大腿骨切断ブロックは、Cクリップ150によって脛骨切断ブロックに平行に保持されている。同時に、それは、
図18の切断ブロックアライメント治具によって大腿骨の機能軸に垂直に保持されている。この調整は、他のシステムで想定されるように、一定量の回転を使用するよりも(3−5度の回転)、各患者のためにより多くの個別の調整を提供する。正しい大腿骨の回転によって、バランスのとれた屈曲ギャップ、動作が良好な範囲と優れた膝蓋骨のトラッキングを可能にする。大腿骨切断ブロック110および脛骨切断ブロック130の正しい位置が設けられると、両方のピンを使用して安定化される。そして、スコーピオンテールアタッチメント140、スプレッダ160およびCクリップは、除去される。
【0089】
この時点で、切断治具および切断ブロックは、各骨に対して所望の位置にある。上述のように、振動のこぎりを使用して、遠位大腿骨を切断し、次に大腿骨切断ブロックが切断面上に前進する。切断ガイド110のガイド(スロット116)は、次の切断(前方大腿骨切断、前方面取り、後方切断、後方面取り)を行うために使用される。実施形態において、ボックスの「てっぺん」または近位表面および遠位大腿骨は、最初に切断され、切断ブロックが切断遠位大腿骨上に押圧または潰され、それが所定位置に固定される。ボックスリーマと呼ばれる装置は、ボックスカットを行うために使用され、ボックスリーマ180の実施形態は、
図35〜37に示され、
図38に大腿骨切断ブロックについて示される。または、振動のこぎりは、ボックスの側面を切断するために使用することができる。また他に、ボックスを切断するためにボックスチゼルまたは同様の工具を使用することができる。切断処理の別の流れにおいて、ボックスは、遠位大腿骨が切断された後に切断される。前方および後方面取りは、前方および後方カットの前後に切断することができる。脛骨は、ガイドとしての脛骨切断ブロックを用いて切断される。
図39に示されるタイプのチゼル190は、インプラントのための「こぶ(hump)」を切断するために使用することができ、大腿骨切断ブロック110に対する典型的なチゼル190の位置が示される。また、適切なプロファイルを有する骨ヤスリは、「こぶ」を切断するために使用することができる。
【0090】
次に、切断治具または切断ブロックが除去され、脛骨ドリルガイドが配置され、所定の位置に固定され、脛骨基準ピンが除去される。試用の脛骨ベースプレートは、次に、骨の切断部分に塗布される。
【0091】
後方骨棘は、もしあれば、除去され、その後、大腿骨試用部品は遠位大腿骨に配置され、部品は特定の患者のために適切なサイズになるよう選択される。典型的な試用の大腿骨部品200は、
図41に示される。対応する正確なサイズの脛骨試用インサートは、上記の使用されるCクリップのサイズによって決定されるように、インサートの正確な厚みの設定を有する遠位大腿骨に取り付けられる。試用部品の厚みは、
図42に示されるようなタイプの調整可能な試用脛骨インサート210を使用することによって膝から除去することなく、増加させることができる。試用脛骨インサート210は、ポスト216に沿って、下部片214に対して調整可能な上部片212を含む。互いに所望の距離に配置されるまで上部片212および下部片214の動きは、最終の脛骨部品のために必要とされる厚みに対応する。あるいは、一定の厚みを有する試用脛骨部品が使用される。評価は、膝の能力について、良好な膝蓋骨トラッキングを有する安定した完全な拡張と安定した屈曲を達成するよう行われる。アライメントは、大腿骨頭から膝中心を通って足首の中心まで至るピンに取り付けられたロッドによって確認される。追加の引き離しおよび安定化が行われる。また、脛骨プレートの回転は、マークされ、脛骨フィンパンチ218(
図40参照)は、脛骨内の適切な解雇粒をパンチするために使用することができる。最後に、試用部品が除去され、最後のインプラント部品に置き替えられ、所定位置に接合される。
【0092】
膝蓋骨を再び平らに仕上げることが望まれる場合、以下の処置および対応する機器が、本発明に従って使用することができる。まず、膝蓋骨の厚さが測定され、膝蓋骨が切断される平面を設けるために、
図43に示されるように、膝蓋骨を外転し、膝蓋骨クランプ220に膝蓋骨を配置することによって達成されてもよい。膝蓋骨の厚みは、例えばキャリパーのような装置を用いて測定される。しかしながら、膝蓋骨の不規則な形状のために、厚さに対応する膝蓋骨の表面における点を結ぶ線は、切断面に垂直でなくてもよい。そのような場合、正確な計測を行うためにキャリパーを適切に向けることは難しい。したがって、本発明によれば、膝蓋骨の厚さは、目盛付のリーマシャフト224に取り付けられた計測スリーブ222(
図45参照)を用いて計測される。リーマシャフト224および計測スリーブアセンブリ230(
図45参照)は、膝蓋骨クランプに挿入される。
図46に示されるようにインジケータスリーブは、リーマ軸に目盛を使用して、膝蓋骨の厚さを計測するよう使用される。
【0093】
図47に示されるように、膝蓋骨の厚さが計測された後、シャフトカラー234は、リーマシャフト224上に配置される。
図48に示されるように、シャフトカラー234は、膝蓋骨クランプ220上で接触状態で押しつけられ、所定の位置にロックされる。シャフトカラー234は、オーバーリーミングを防止し、膝蓋骨を適切な深さに穴を広げることを確実にするためにストッパーとして動作する。計測スリーブ222は、除去され、
図49に示されるように、リーマ240に置き替えられる。
【0094】
本発明は、いくつかの実施形態を参照して説明した。本明細書中で特定される任意の特許または特許出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の詳細な説明および実施例は、理解を明確にするために与えられる。不要な限定であると理解されるべきではない。多くの変更が本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において行われてもよいことが、当業者には明らかである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載の構成およびその構成と同等のものだけに限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】本発明における大腿骨に関連する代表的な球の概略図である。
【
図2】大腿骨に対して配置される、本発明の機能軸ファインダーの実施形態の斜視図である。
【
図3】大腿骨内の代表的な場所に位置するガイドピンの斜視図である。
【
図4】大腿骨に対して配置されたアライメントガイドの斜視図である。
【
図5】冠状面で見たときに、機能軸に平行に配置されたアライメントロッドを有する大腿骨の上面図である。
【
図6】矢状面で見たときに、機能軸に沿って配置されたアライメントロッドを有する大腿骨の側面図である。
【
図8】脛骨の機能軸ファインダーの別の斜視図である。
【
図9】代表的な脛骨と大腿骨に対して配置される脛骨の機能軸ファインダーの斜視図である。
【
図10】代表的な脛骨に対して配置され、その遠位端にポインタを有する脛骨の機能軸ファインダーの端部の側面図である。
【
図11】代表的な脛骨に対して配置され、その遠位端にポインタを有する脛骨の機能軸ファインダーの端部の別の側面図である。
【
図12】代表的な脛骨に対して配置され、その遠位端にポインタを有する脛骨の機能軸ファインダーの斜視図である。
【
図13】代表的な脛骨と複数の延伸ピンを有する大腿骨の斜視図である。
【
図15】複数の延伸ピンを有する代表的な大腿骨に対して配置される大腿骨サイザーの斜視図である。
【
図16】膝関節インプラントの代表的な部分に関連して配置される大腿骨サイザーの斜視図である。
【
図17】膝関節インプラントの代表的な部分に関連して配置される大腿骨サイザーの斜視図である。
【
図18】代表的な大腿骨に対して配置される切断ブロックアライメント治具の斜視図である。
【
図19】代表的な大腿骨に対して配置される切断ブロックアライメント治具および大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【
図20】切断ブロックに対して配置される代表的な大腿骨の切断端の側面図である。
【
図21】本発明における大腿骨切断ブロックの実施形態の斜視図である。
【
図22】本発明における大腿骨切断ブロックの実施形態の斜視図である。
【
図23】
図22に示されるタイプのような、大腿骨切断ブロックの一部の斜視図である。
【
図24】
図22に示されるタイプのような、大腿骨切断ブロックの一部の斜視図である。
【
図25】本発明の実施形態における、脛骨切断ブロックの斜視図である。
【
図26】本発明の実施形態における、脛骨切断治具の斜視図である。
【
図27】代表的な脛骨の端部に対して配置される脛骨切断治具の斜視図である。
【
図28】本発明の実施形態におけるC−クリップの斜視図である。
【
図29】本発明の実施形態におけるスプレッダの側面図である。
【
図30】脛骨切断ブロックと大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【
図31】脛骨切断ブロックと大腿骨切断ブロックの側面図である。
【
図32】本発明のスコーピオンテールアタッチメントを有する大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【
図33】膝に対して配置され、本発明のスコーピオンテールアタッチメントを有する大腿骨切断ブロックの斜視図である。
【
図34】拡散器を含む、本発明において使用される全人工膝関節置換術装置の様々な部品の斜視図である。
【
図35】大腿骨切断ブロックと第1位置における箱リーマの側面図である。
【
図36】大腿骨切断ブロックと第2位置における箱リーマの側面図である。
【
図37】大腿骨切断ブロックと箱リーマの斜視図である。
【
図38】大腿骨切断ブロックと箱リーマの別の斜視図である。
【
図39】大腿骨切断ブロックに対して配置されるチゼルの斜視図である。
【
図44】
図43の膝蓋骨クランプとともに使用するためのリーマシャフトの斜視図である。
【
図45】取り付けられた測定スリーブを有するリーマシャフトの斜視図である。
【
図46】膝蓋骨クランプに対して配置されるリーマシャフトの斜視図である。
【
図47】取り付けられたシャフトカラーを有するリーマシャフトの斜視図である。
【
図48】リーマシャフトと、膝蓋骨クランプに対して配置された
図47の取り付けられたカラーの斜視図である。
【
図49】一端にリーマを有するリーマシャフトの斜視図である。
【
図51】膝蓋骨クランプに対して配置されたセメントクランプの斜視図である。