特許第6326070号(P6326070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホンドク インダストリアル カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6326070スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ
<>
  • 特許6326070-スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ 図000002
  • 特許6326070-スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ 図000003
  • 特許6326070-スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ 図000004
  • 特許6326070-スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326070
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20180507BHJP
   B28D 5/04 20060101ALI20180507BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   B24B27/06 E
   B28D5/04 C
   H01L21/304 611W
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-561292(P2015-561292)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公表番号】特表2016-509545(P2016-509545A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】KR2014007143
(87)【国際公開番号】WO2015119344
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2015年3月27日
【審判番号】不服2016-17504(P2016-17504/J1)
【審判請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0012786
(32)【優先日】2014年2月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515084708
【氏名又は名称】ホンドク インダストリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム, スン ホ
【合議体】
【審判長】 栗田 雅弘
【審判官】 西村 泰英
【審判官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−121101(JP,A)
【文献】 特開2013−202743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 11/00,B24B 27/06,B28D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的なクリンプが形成されたソー用ワイヤにおいて、
第1領域11と、前記第1領域11から曲がって延長する第2領域12と、を含む単位クリンプ10が連続して形成されてジグザグ状をなし、
前記第1領域11と前記第2領域12とが出合ってなすエッジに接する仮想円Cを考慮するとき、前記仮想円Cの半径である曲率半径Rが、前記ワイヤの直径dの5倍ないし20倍になるように、前記第2領域12が、前記第1領域11から曲がるように加工され、
前記仮想円Cは前記単位クリンプ10それぞれに形成され、前記ワイヤにスライシング・テンションが加えられるとき、前記単位クリンプ10はジグザグ状をなし、
前記第1領域11と前記第2領域12とは、前記仮想円Cと接する部分でのみ、仮想円Cの曲率半径Rと同じ曲率半径を有して曲がることを特徴とするスライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ。
【請求項2】
連続して配置される前記単位クリンプ10は、前記ワイヤの長手方向に進むとき、一方向に回転するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤに係り、ソーワイヤに、被切削体を切断するためのスライシング・テンション(slicing tension)が加えられても、クリンプの変形が少なく、クリンプの特性が維持され、切削能を向上させ、ソーワイヤの両端部での被切削体の切断面の質的低下を防止し、ウェーハのような最終生産物の生産性を向上させ、不良率を低下させる、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ソーマシンに利用されるソーワイヤは、一般的には、炭化ケイ素粉、ダイヤモンド粉のような研磨用粒子と、オイルなどとが混合された切削材と共に、被切断体に適切な圧力で接触しながら走行し、前記被切断体を切断する。
【0003】
ソーワイヤを利用して、硬質材料、例えば、シリコンブロックを切断する方法は、次の通りである。複数の溝を有する複数のローラにワイヤを巻き付け、前記ワイヤの列を走行させながら、被切断体であるシリコンブロックを一定の力で押し付ける。このとき、ワイヤの列と被切断体との間に切削材を流し、研磨用粒子の切削作用により、シリコンブロックをウェーハに切断する。切断工程の効率と、切断されたウェーハの厚み品質は、切断される硬質材ブロックの特性、及びソーワイヤの速度のような多くの因子によって左右される。そのうち、ソーワイヤが切削材をいかに多く伴うかということが重要な因子である。
【0004】
シリコンブロックの切断に利用されるワイヤの各列は、ローラに、一般的に1,000〜3,000回ほど巻き付けられている。そのようなワイヤは、硬質材料を切断するために設けられたローラの溝に沿って移動するが、硬質材料を切断する間、研磨材は硬質材料だけではなく、ソーワイヤも共に摩耗させ、ワイヤの太さが細くなるという問題がある。また、切断初期には、表面に存在する軟質のメッキ層によって、研磨材を多く伴うことができたが、硬質材料の切断と共に、メッキ層が除去され、素地層が露出されながら、研磨材を伴う能力が低下する。
【0005】
従って、ソーワイヤの使用中に、切削材を伴う能力を向上させる必要がある。特許文献1には、切削材をソーワイヤに良好に同伴させるソーワイヤが開示されている。それは、ソーワイヤの外面を変更することによって達成される。その1つの実施形態によれば、マイクロキャビティ(micro−cavity)がソーワイヤの表面に配置される。他の実施形態によれば、ソーワイヤに、円周方向に多数個の溝を有させる。たとえそのような解決策が切削材の同伴性を向上させるとしても、ワイヤ外面の変更は、一般的に多くの時間とコストとが必要となるという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第90/12670号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述の問題点を解決するために創出されたものであり、特に、ソーワイヤに、被切削体を切断するためのスライシング・テンションが加えられても、クリンプの変形が少なく、クリンプの特性が維持され、切削材の同伴性及び切削能を向上させ、ソーワイヤの両端部での被切削体の切断面の質的低下を防止し、ウェーハのような最終生産物の生産性を向上させ、不良率を低下させる、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するための本発明の、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤは、連続的なクリンプが形成されたソー用ワイヤにおいて、第1領域と、前記第1領域から曲がって延長する第2領域と、を含む単位クリンプが連続して形成されてジグザグ状をなし、前記第1領域と前記第2領域とが出合ってなすエッジに接する仮想円を考慮するとき、前記仮想円の半径である曲率半径が、前記ワイヤの直径の5倍ないし20倍になるように、前記第2領域が前記第1領域から曲がっていることを特徴とする。
【0009】
また、連続して配置される前記単位クリンプは、前記ワイヤの長手方向に進むとき、一方向に回転するように形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明による、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤは、ソーワイヤに、被切削体を切断するためのスライシング・テンションが加えられても、クリンプの変形が少なく、クリンプの特性が維持される。従って、クリンプによる切削材の供給量が増大し、被切削体を切削する切削能を向上させる。
【0011】
また、ソーワイヤにスライシング・テンションが加えられても、クリンプの特性が維持されるので、特に、ソーワイヤの両端部での被切削体の切断面の質的低下が防止される。従って、ウェーハのような最終生産物の生産性を向上させ、不良率を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤの側面図である。
図2図1の要部を抜粋した断面図である。
図3】ソーワイヤの両端に、スライシング・テンションが加えられた状態での側面図である。
図4】本発明の他の実施形態による、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤの斜視図を概念的に図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ワイヤソーマシンに利用されるソーワイヤに係り、半導体、セラミックス、超硬合金などの硬質材料の切断用及びスライス用に利用される。
【0014】
以下、本発明による望ましい実施形態について、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤの側面図であり、図2は、図1の要部を抜粋した断面図であり、図3は、ソーワイヤの両端に、スライシング・テンションが加えられた状態での側面図である。
【0016】
まず、図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ100は、単位クリンプ10が連続して形成されるソーワイヤにおいて、ソーワイヤ100の両端部に、被切削体を切断するためのスライシング・テンション(slicing tension)が加えられる場合、前記単位クリンプ10をして、クリンプとしての特性を維持させることを特徴とする。
【0017】
具体的には、第1領域11と、前記第1領域11から曲がって延長する第2領域12と、を含む単位クリンプ10が、連続して形成されてジグザグ状をなすように形成され、前記第1領域11と前記第2領域12とが出合ってなすエッジに接する仮想円Cを考慮するとき、前記仮想円Cの半径である曲率半径Rが、前記ワイヤの直径dの5倍ないし20倍になるように、前記第2領域12が前記第1領域11から曲がっている。
【0018】
具体的には、前記単位クリンプ10は、第1領域11と第2領域12とを含む。前記第1領域11と第2領域12とが出合うエッジの形態は鋭く形成される。前記エッジ部分は、実質的に若干円形を帯びた形態になるが、全体的に鋭く形成されるということは言うまでもない。
【0019】
本実施形態において、ソーワイヤ100に、連続的な単位クリンプ10が形成されるということは、前記ソーワイヤ100自体が、ジグザグ状をなすように加工されたということを意味する。
【0020】
図2に図示されているように、前記第1領域11と前記第2領域12とが出合ってなすエッジに接する仮想円Cの曲率半径Rは、前記ソーワイヤ100の直径dの5倍ないし20倍になるように形成される。前記曲率半径Rは、前記仮想円Cの半径を意味する。
【0021】
図1は、単位クリンプ10が連続して形成されたソーワイヤ100に、スライシング・テンションが加えられる前の状態(free tension)を図示したものであり、図3は、図1のソーワイヤ100に、スライシング・テンションが加えられた状態を図示したものである。
【0022】
図3に図示されているように、ソーワイヤ100の両端部を引っ張るスライシング・テンションが加えられれば、前記ソーワイヤ100は、単位クリンプ10が広げられる方向に張力を受ける。
【0023】
従って、エッジの高さが低くなり、全体的に、ソーワイヤ100が広げられる。本発明は、前記曲率半径Rが、前記ワイヤの直径dの5倍ないし20倍になるように形成されるので、スライシング・テンションが加えられた状態でも、単位クリンプ10の形態が維持される。
【0024】
前記曲率半径Rが、ワイヤの直径dの5倍未満に形成される場合、前記第2領域12が、前記第1領域11から曲がって延長するとき、過度に折れて製造されるということを意味し、ソーワイヤ100の製造時、断線が発生したり、あるいはスライシング・テンションが加えられるとき、過度に折り曲がった状態が広がりながら断線が発生したりするという問題がある。
【0025】
一方、曲率半径Rがワイヤの直径dの20倍を超えて形成される場合、前記第2領域12が、前記第1領域11から曲がって延長するとき、緩く折れて製造されるということを意味し、スライシング・テンションが加えられていない状態では、単位クリンプ10の形状が維持されるが、スライシング・テンションが加えられる場合、ソーワイヤ100が広がりながら、単位クリンプ10が全体的に緩く広がり、クリンプとしての効果が低減される。そのような場合、ソーワイヤ100の摩耗率が顕著に上昇し、ソーワイヤ100による切断効率が落ち、ソーワイヤ100の寿命が短縮されるという短所がある。それだけでなく、スライシング・テンションが加えられるとき、ソーワイヤ100の両端部は、特に、さらに大きい張力を受け、ソーワイヤ100が両端部側でさらに平坦に広がる結果をもたらし、ソーワイヤ100の両端部で切断される被切断体部分は、表面特性が顕著に低下する。
【0026】
そのように、本発明実施形態によれば、スライシング・テンションが加えられた状態でも、単位クリンプ10の形状変形を最小化し、単位クリンプ10の特性を維持する。一般的に、ソーワイヤ100は、被切断体に対して相対的に移動しながら、被切断体を加圧して切断する。そのとき、ワイヤと被切断体との間に切削材を流し、被切断体、例えば、シリコンブロックをウェーハに切断する。前記切削材は、一般的に、炭化ケイ素粉、ダイヤモンド粉などの研磨用粒子と、オイルなどとが混合されて利用される。
【0027】
前記単位クリンプ10は、第1領域11と第2領域12とが曲がって形成されるグルブ部位に、切削材が収容される効果を提供し、ソーワイヤ100が被切断体を加圧するとき、切削材を被切断体に効果的に接触させて切削能を向上させる。本発明の実施形態によれば、スライシング・テンションが加えられる状態でも、前記単位クリンプ10の形状が維持され、前述のような単位クリンプ10の作用を完全に遂行することができる。
【0028】
また、スライシング・テンションが加えられても、ソーワイヤ100の両端部で、単位クリンプ10の変形を最小化するので、ソーワイヤ100の両端部によって切断される被切断体の表面質的特性低下を防止することができる。
【0029】
また、スライシング・テンションが加えられた状態で、単位クリンプ10の変形が最小化され、ソーワイヤ100が広がることを防止するので、ソーワイヤ100の摩耗を減らして切削能を向上させ、ソーワイヤ100の寿命を延ばすという効果を提供する。
【0030】
そのような作用及び効果によって、被切断体を切断した後、最終的に生産される最終生産物、例えば、ウェーハの生産性を上昇させ、ソーマーク(saw mark)のようなウェーハの不良を低減させるという効果を提供する。
【0031】
一方、図4は、本発明の他の実施形態による、スライシング・テンション下で、クリンプの特性が維持される構造化されたソーワイヤ100の斜視図を概念的に図示している。
【0032】
図4において、図1と同一の構成については、同一の参照番号を付す。
【0033】
図4に図示されているように、本実施形態によるソーワイヤ100は、連続して配置される前記単位クリンプ10が、前記ソーワイヤ100の長手方向に進むとき、一方向に回転するように形成される。
【0034】
図4のZ軸の端から原点に向け、前記ソーワイヤ100を見るとき、前記単位クリンプ10は、原点から前記Z軸の端に向かう長手方向に進むとき、反時計回り方向に回転する。具体的には、最初原点に存在する単位クリンプ10は、XZ平面上に形成され、前記単位クリンプ10に続き、2番目で連続して形成された単位クリンプ10は、YZ平面上に形成される。2番目に形成された単位クリンプ10は、最初の単位クリンプ10より90°ほど反時計回り方向に回転された状態である。
【0035】
次に、3番目の単位クリンプ10は、再びXZ平面上に形成される。3番目に形成された単位クリンプ10は、2番目の単位クリンプ10より90°ほど反時計回り方向にさらに回転された状態である。そして、4番目の単位クリンプ10は、YZ平面上に形成される。4番目に形成された単位クリンプ10は、3番目の単位クリンプ10より90°ほど反時計回り方向にさらに回転された状態である。
【0036】
本実施形態において、前記単位クリンプ10が回転する形態に形成されるために、図1のような状態のソーワイヤ100を形成し、図1によるソーワイヤ100を一方向に捻って回転させ、結果として、前記単位クリンプ10が回転される形態に具現される。
【0037】
図4は、単位クリンプ10が一方向に回転するということを把握しやすくするために、図面を簡略に図示したということは言うまでもない。すなわち、図4によれば、単位クリンプ10は、XZ平面と、YZ平面とに相互に配置されるように図示されているが、単位クリンプ10が形成される平面は、それに限定されるものではない。
【0038】
図1のソーワイヤ100を一方向に捻って回転させることにより、前記単位クリンプ10が共に回転して具現される場合、実質的に、前記単位クリンプ10は、ソーワイヤ100の長手方向に進むとき、螺旋形に形成される。すなわち、第1領域11と第2領域12とが出合う頂点の軌跡が螺旋形をなす。
【0039】
そのように、本実施形態によれば、図1の実施形態で提供する効果をそのまま提供すると共に、図1の実施形態に比べ、切削材の供給能と排出能とを向上させ、ソーワイヤ100自体の偏摩耗現象を減らすという効果を提供する。
【0040】
以上、本発明について、望ましい実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範疇を外れない範囲内で、さまざまな多くの変形が提供される。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。
図1
図2
図3
図4