特許第6326083号(P6326083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326083
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】電流センサのオフセット補正装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20180507BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20180507BHJP
   H02P 21/22 20160101ALI20180507BHJP
【FI】
   G01R19/00 N
   G01R35/00 E
   H02P21/22
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-75130(P2016-75130)
(22)【出願日】2016年4月4日
(65)【公開番号】特開2016-200586(P2016-200586A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年4月4日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0050141
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スン‐ウォ・リー
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−046514(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0106332(US,A1)
【文献】 特開2006−136053(JP,A)
【文献】 特開2016−158414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00−19/32
G01R 35/00−35/06
H02P 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を三相交流電流に変換し、電動機に供給するインバータ部と、
前記インバータ部から出力される電流を検出するための複数の電流センサを備える電流検出部と、
前記電流検出部から検出された電流をd−q軸電流に変換し、前記変換されたd軸またはq軸電流をフィルタリングして高周波成分を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部から抽出されたd軸またはq軸電流の高周波成分を実効値(RMS)に変換するRMS計算部と、
前記RMS計算部で変換されたd軸またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、最も小さいd軸またはq軸電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットを取得し、前記取得した直流オフセットに基づいて、前記各電流センサにより測定された電流値を補正する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記d軸またはq軸電流の実効値(RMS)が下降し、その後上昇するまで、前記各電流センサの直流オフセットを所定の大きさに繰り返し増減することにより、最も小さいd軸またはq軸電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットを取得する、三相交流電流のうち少なくとも2つに対応する電流センサのオフセット補正装置であり、
前記予め設定された基準値は電動機の出力トルクの脈動を引き起こしうる最小の限界値である、電流センサのオフセット補正装置
【請求項2】
前記複数の電流センサは、前記インバータ部から出力される三相の交流電流の少なくとも二相の交流電流に一つずつ設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサのオフセット補正装置。
【請求項3】
前記フィルタ部は、ハイパスフィルタ(High Pass Filter、HPF)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の電流センサのオフセット補正装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記RMS計算部で変換されたd軸またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より小さい場合、各電流センサの直流オフセットをそのまま維持することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電流センサのオフセット補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサのオフセット補正装置に関し、より詳細には、電動機の制御において電流センサによる電流の測定の際に出力トルクの脈動を引き起こす電流センサの直流オフセット(DC offset)を電動機の運転中にも補正可能にすることにより、電動機の制御の際に出力トルクの脈動を効果的に防止できるようにした電流センサのオフセット補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境にやさしい自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)と電気自動車(Electric Vehicle、EV)が大きな関心を引いている。前記ハイブリッド自動車は、その動力源として、従来のエンジンの他に、電気により駆動される電動機(Motor)を備える。
【0003】
より具体的には、主動力源としてエンジンが駆動され、バッテリー(Battery)から供給される直流(DC)電源を、インバータ(Inverter)が、交流(AC)電源に変換し、補助動力源として電動機を駆動する。
【0004】
前記電気自動車は、その動力源として直流電源と、インバータと、前記インバータにより駆動される電動機と、を備える。このようなハイブリッド自動車または電気自動車において、電動機制御装置(Motor Control Unit、MCU)は、電動機の出力トルク検出値、電動機に流れる電動機電流検出値などに基づき、電動機を精密に制御する。
【0005】
一方、電流センサにより検出される電動機電流は、実際に電動機に流れる電流と所定の差を有するが、これを電流センサのオフセット(offset)とする。電流センサのオフセットは、電流センサを動作させるために必要となる微量の電流であって、電流センサで検出される電動機電流は、実際に電動機に流れる電流とオフセットとを含むことから、電流センサで検出された電動機電流はオフセットを補償しなければならない。
【0006】
このようなオフセットを補償していない電動機電流が電動機制御装置(MCU)に提供された場合には、実際に電動機に流れる電流との誤差によって電動機出力トルクの脈動を引き起こすことがあり、これによって全体のシステムが不安定になる可能性があるためである。
【0007】
したがって、電動機の初期駆動の際に、オフセットを予め設定しておき、電流センサで検出された電流に対してオフセットを補償することが一般的である。しかし、このような電流センサのオフセットは、外部ノイズ、経年変化、周辺温度の変化、電流センサの老朽化などによって変動することが一般的である。
【0008】
そのため、初期駆動の際のオフセットを固定的に補償することになると、結局、電流センサが検出する電動機電流と実際の電動機電流との誤差が発生してしまう。これによって出力トルクの脈動が発生し、安定した電動機の制御が不可能になる問題がある。また、電気自動車など、全体のシステムの機械的共振点と出力トルクの脈動周波数が同期すると、全体のシステムが不安定になる問題を引き起こしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、電動機の制御において電流センサによる電流の測定の際に出力トルクの脈動を引き起こす電流センサの直流オフセット(DC offset)を電動機の運転中にも補正可能にすることにより、電動機の制御の際に出力トルクの脈動を効果的に防止できるようにした電流センサのオフセット補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために本発明の一側面は、直流電源を三相交流電流に変換し、電動機に供給するインバータ部と、前記インバータ部から出力される電流を検出するための複数の電流センサを備える電流検出部と、前記電流検出部から検出された電流をd‐q軸電流に変換し、前記変換されたd軸またはq軸電流をフィルタリングして高周波成分を抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部から抽出されたd軸またはq軸電流の高周波成分を実効値(RMS)に変換するRMS計算部と、前記RMS計算部で変換されたd軸またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、現在設定された前記電流検出部の各電流センサの直流オフセットを所定の大きさに増減した後、前記RMS計算部により変換された最も小さいd軸またはq軸電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更して前記各電流センサを補正制御する制御部と、を含む電流センサのオフセット補正装置を提供する。
【0011】
ここで、前記複数の電流センサは、前記インバータ部から出力される三相の交流電流の少なくとも二相の交流電流に一つずつ設けられることが好ましい。
【0012】
好ましくは、前記フィルタ部は、ハイパスフィルタ(High Pass Filter、HPF)を含むことができる。
【0013】
好ましくは、前記制御部は、前記RMS計算部で変換されたd軸またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より小さい場合、現在設定された各電流センサに対する直流オフセットをそのまま維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述のような本発明の電流センサのオフセット補正装置によれば、電動機の制御において電流センサによる電流の測定の際に出力トルクの脈動を引き起こす電流センサの直流オフセット(DC offset)を電動機の運転中にも補正可能にすることにより、電動機の制御の際に出力トルクの脈動を効果的に防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術による電流センサのオフセット補償方法を説明するための全体的なフローチャートである。
図2】本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正装置を説明するための全体的なブロック構成図である。
図3】本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正方法を説明するための全体的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して詳細に後述し、これにより、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにあたり、本発明に係る公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にしうると判断した場合には詳細な説明を省略する。
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、以下に例示する本発明の実施例は、様々な他の形態に変形してもよく、本発明の範囲は以下に詳述する実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当業界において通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、図面において、同一の参照符号は同一または類似の構成要素を示すものとして使用される。
【0018】
図1は従来技術による電流センサのオフセット補償方法を説明するための全体的なフローチャートである。
【0019】
図1を参照すると、従来技術では、電流センサのオフセット(offset)を再検出し続けることにより、適切なオフセット補償が行われるようにする電流センサのオフセット補償方法を提供する。
【0020】
すなわち、電気自動車などの初期駆動が行われると(すなわち、電気自動車のエンジンをかける瞬間)、電動機(Motor)、インバータ(Inverter)、電流センサ(Current Sensor)、電流制御部(Current Controller)(例えば、MCUなど)の駆動が開始される(S10)。
【0021】
前記インバータ、前記電動機などの初期駆動が開始されると、前記電流センサは、前記電動機に流れる電動機電流を検出して前記電流制御部にフィードバック(feedback)する。前記電流制御部は、前記電流センサにより検出された前記電動機電流からオフセットを算出する(S20)。
【0022】
次に、前記電流制御部は、前記電動機のパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)制御が行われるか否かを判断し続ける(S30)。すなわち、前記電流制御部は、前記インバータが電動機の駆動のための電動機電流を供給するかを判断する。このような判断は、所定の時間間隔ごとに周期的に行われることもあり、任意の時点に随時に行われることもある。
【0023】
前記段階S30の判断結果、前記電動機のパルス幅変調(PWM)制御が行われている場合、前記電流制御部は、前記段階S20で算出されたオフセットに応じて前記電流センサにより検出された電動機電流をオフセット補償する(S40)。前記オフセットは、正(+)の値または負(−)の値を有することができることから、前記オフセット補償は、前記電流センサにより検出された電動機電流で前記オフセットを加減して行われることができる。
【0024】
前記電動機電流に対するオフセット補償が完了すると、前記電流制御部は、前記段階S40でオフセット補償された電動機電流に基づきパルス幅変調(PWM)信号を生成し(S50)、生成したパルス幅変調(PWM)信号を前記インバータに出力し、前記電動機に交流信号である電動機電流を供給する(S60)。
【0025】
一方、前記段階S30の判断結果、前記電動機のパルス幅変調(PWM)制御が行われていない場合、前記段階S20に戻り、前記電流制御部は、前記電流センサにより検出された電動機電流から新たなオフセットを算出する。
【0026】
前記電動機のパルス幅変調(PWM)制御が中断された場合であるため、前記電動機に流れる電動機電流が「0」にならなければならないが、前記電流センサで所定の電流値を有する「0」ではない電流値が出力されると、このときの電流値が新たなオフセットとして算出される。
【0027】
すなわち、前記新たなオフセットは、例えば、外部ノイズ、経年変化、周辺温度の変化などによるオフセットの変動に対応して算出されたものである。このように新たなオフセットが算出されると、前記電流制御部は、前記段階S30から前記段階S60を繰り返して行うことにより電動機を安定して制御することができる。
【0028】
上述の従来技術では、電動機の制御システムが初期化されてから電流センサのオフセットを測定した後に、電動機の制御の際に制御装置の動作中にパルス幅変調(PWM)制御が印加されるか否かを判断する。
【0029】
万が一、パルス幅変調(PWM)制御が印加された場合、前記電動機に電流が流れており、前記電流センサから測定された電流値からオフセット成分のみを抽出することが不正確であるため、以前に測定された電流センサのオフセットを電動機の制御に使用し続ける。
【0030】
一方、前記電動機の制御中にパルス幅変調(PWM)制御が印加されていない場合、電流が流れないため、前記電流センサから測定された電流値はオフセットを示し、それを制御に反映することで新たな電流センサのオフセットを電動機の制御に使用する。
【0031】
しかし、従来技術では、車両を止めることなく運転し続ける場合、パルス幅変調(PWM)制御は常に印加されているため、電流センサのオフセットを再度計算することが不可能である。そのため、車両を運転し続ける場合に電流センサのオフセットが不正確になることに対応できなくなるという問題がある。
【0032】
このような問題を解決するために、本発明は、電動機の制御において電流センサによる電流の測定の際に出力トルクの脈動を引き起こす電流センサの直流オフセット(DC offset)を電動機の運転中にも補正可能にすることにより、電動機の制御の際に出力トルクの脈動を効果的に防止できるようにした特徴的な技術である。
【0033】
すなわち、本発明は、電動機の制御において電流センサによる電流の測定の際に出力トルクの脈動を引き起こす電流センサの直流オフセットを補正する技術に関するものであり、電流センサを用いた電流の測定の際に測定された電流センサのオフセットが、周辺温度などの要因によって変化する場合、変化したオフセットと予め測定されたオフセットとの誤差は、電動機の出力トルクの脈動を引き起こす。したがって、本発明により、誤った電流センサのオフセットの適用によって発生しうる電動機の制御の際に出力トルクの脈動を効果的に防止することができる。
【0034】
図2は本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正装置を説明するための全体的なブロック構成図である。
【0035】
図2を参照すると、本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正装置は、大きく、インバータ部100、電流検出部200、フィルタ部300、RMS計算部400および制御部500などを含んでなる。
【0036】
ここで、インバータ部100は、直流(DC)電源を三相交流(AC)電源(電流)に変換し、電動機10に駆動電流を供給する機能を行うことから、制御部500から提供されるパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)信号に応じて電動機10をパルス幅変調(PWM)制御する。
【0037】
すなわち、インバータ部100は、制御部500から受信するパルス幅変調(PWM)信号に応じて、インバータ部100に備えられる多数の半導体スイッチング素子をスイッチング(Switching)して直流電源を交流電源に変換し、電動機10に交流電流を供給して電動機10の駆動をパルス幅変調(PWM)制御する。
【0038】
ここで、パルス幅変調(PWM)制御とは、インバータ部100が、前記パルス幅変調(PWM)信号に応じて、電動機10に供給する電動機電流を制御することを示す。ここで、電動機電流は、電動機10に流れる電流を示す。
【0039】
また、前記半導体スイッチング素子は、ゲート(Gate)制御によりターン‐オン(Turn‐on)またはターン‐オフ(Turn‐off)制御される半導体スイッチで構成されることができる。例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal oxide Semiconductor Field Effect Transistor、MOSFET)、SCR(Silcon Coupled Rectifier)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成されることができる。
【0040】
このようなインバータ部100は、6個の半導体スイッチング素子を三相フルブリッジ(Full Bridge)接続して直流母線電圧を三相交流に変換し、この三相交流を電動機10に供給するものであり、通常のスイッチング回路である。
【0041】
すなわち、インバータ部100は、複数個のインバータ用半導体スイッチング素子を備え、半導体スイッチング素子のオン/オフ(ON/OFF)動作により平滑化した直流電源を所定の周波数の三相交流電源に変換して出力する。
【0042】
これについて具体的に説明すると、互いに直列連結される上アーム半導体スイッチング素子および下アーム半導体スイッチング素子が一対をなし、計3対の上アームおよび下アーム半導体スイッチング素子が互いに並列に連結される。各半導体スイッチング素子には、ダイオード(diode)が逆並列に連結される。
【0043】
すなわち、U相アームは、直列連結されたNPNトランジスタで構成されており、V相アームは直列連結されたNPNトランジスタで構成されており、W相アームは直列連結されたNPNトランジスタで構成されている。前記NPNトランジスタのそれぞれのコレクタ(collector)とエミッタ(emitter)との間には、エミッタからコレクタに電流を流すためのダイオードがそれぞれ連結されている。
【0044】
制御部500からのスイッチング制御信号が各半導体スイッチング素子のゲート(gate)端子に入力されると、各半導体スイッチング素子はスイッチング動作を行う。これにより、所定の周波数を有する三相交流電源が出力されることになる。
【0045】
このようにインバータ部100から出力される三相交流電源は、電動機10の各相(U相、V相、W相)に印加される。ここで、電動機10は、固定子と回転子とを備え、各相(U相、V相、W相)の固定子のコイルに所定の周波数の各相交流電源が印加されて、回転子が回転することになる。このような電動機10は、例えば、BLDC電動機、synRM電動機(Synchronous Reluctance Motor)など、三相電動機に具現されることが好ましいが、これに限定されず、様々な形態が可能である。
【0046】
電流検出部200は、インバータ部100から出力される電流を検出する機能を行うことから、電動機10に供給される電流、すなわち、電動機電流を検出するための複数の電流センサCSを備えることができる。このような電流センサCSは、インバータ部100と電動機10との間の三相結線に形成され、各相の電流を検出して制御部500にフィードバック(feedback)する。
【0047】
一方、電流検出部200では、複数の電流センサCSにより検出されたアナログ電流をデジタル電流に変換して出力するように構成されることが好ましいが、これに限定されない。例えば、電流検出部200では、各電流センサCSにより検出されたアナログ電流をそのまま出力し、別のA/D変換器(Analog/Digital Converter)またはフィルタ部300により電流検出部200の各電流センサCSから検出されたアナログ電流をデジタル電流に変換することもできる。
【0048】
このような電流センサCSは、インバータ部100から電動機10に流れる三相の電流を検知し、磁束分電流とトルク分電流、すなわち、回転子の磁束値に比例する磁束分電流と、この磁束分電流と90度の角度をなして電動機10の出力トルクに比例するトルク分電流を出力する。
【0049】
一方、電流センサCSは、インバータ部100から出力される三相の交流電源の少なくとも二相の交流電源(a相およびb相、b相およびc相、a相およびc相、a相乃至c相)に少なくとも一つずつ設けられることが好ましく、中央が貫通された四角形あるいは円形のコア(core)で構成された電流変圧器(Current Transformer、CT)を使用して具現することができる。
【0050】
フィルタ部300は、電流検出部200から検出された三相電流を二相電流(d軸、q軸)に変換し、前記変換された二相のd軸および/またはq軸電流をフィルタリング(Filtering)して高周波成分を抽出する機能を行うことができる。
【0051】
このようなフィルタ部300は、高周波成分(High Frequency Components)を通過させ、低周波成分(Low Frequency Components)を遮断するハイパスフィルタ(High Pass Filter、HPF)を含むことが好ましいが、これに限定されず、予め予測した(または予め設定された)脈動周波数を抽出するようにバンドパスフィルタ(Band Pass Filter、BPF)などを使用することもできる。
【0052】
RMS計算部400は、フィルタ部300から抽出されたd軸および/またはq軸電流の高周波成分を実効値(Root Mean Square、RMS)に変換する機能を行う。
【0053】
また、制御部500は、インバータ部100の全体的な制御を行うことから、特にRMS計算部400から変換されたd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)と予め設定された基準値とを比較する。RMS計算部400から変換されたd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、制御部500は、現在設定された電流センサCSの直流オフセット(DC offset)を所定の大きさに増減する。次に、制御部500は、増加または減少した直流オフセットを適用し、電流検出部200およびフィルタ部300を経てRMS計算部400により変換された最も小さいd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更して電流センサCSを補正制御する機能を行う。
【0054】
また、制御部500は、RMS計算部400から変換されたd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より小さい場合、現在設定された電流センサCSに対する直流オフセットをそのまま維持して電流センサCSを制御することができる。
【0055】
一方、本発明の一実施例に適用されたフィルタ部300、RMS計算部400および制御部500を分離して具現しているが、これに限定されない。例えば、制御部500からフィルタ部300およびRMS計算部400のすべての機能をソフトウェア的に処理して具現することもできる。
【0056】
この際、制御部500では、電流検出部200から検出されたアナログ電流をデジタルに変換するA/D変換機能と、デジタルに変換された三相電流を静止座標系の二相電流(d軸、q軸)に変換する三相/二相電流変換機能などを含むことができる。
【0057】
また、本発明の一実施例に適用されたフィルタ部300およびRMS計算部400は、ハードウェア的またはソフトウェア的に具現することができる。
【0058】
以下、本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正方法について詳細に説明する。
【0059】
図3は本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正方法を説明するための全体的なフローチャートであり、特に説明していない限り、制御部500が主体となって行うことを明かしておく。
【0060】
図2および図3を参照すると、本発明の一実施例による電流センサのオフセット補正方法は、先ず、電流検出部200の電流センサCSが、電動機10に供給される電流を検出する(S100)。この際、電動機10に供給される三相の交流電源の少なくとも二相の交流電源で電流を検出することが好ましい。
【0061】
次に、フィルタ部300は、前記段階S100で検出された電流をd‐q軸電流に変換した後、前記変換されたd軸および/またはq軸電流をフィルタリングして高周波成分を抽出する(S200)。
【0062】
次に、RMS計算部400は、前記段階S200で抽出されたd軸および/またはq軸電流の高周波成分を実効値(RMS)に変換する(S300)。次に、制御部500は、前記段階S300で変換されたd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)と予め設定された基準値とを比較判断する(S400)。
【0063】
この際、前記予め設定された基準値は、電動機の出力トルクの脈動を引き起こしうる最小の限界値であり、電動機の定格出力に応じて変更されることができる。
【0064】
前記段階S400の比較判断結果、前記段階S300で変換されたd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに増減する。次に、前記段階S100〜段階S300を経て変換された最も小さいd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更する(S500)。このS500の各パターンを以下に例示する。
【0065】
(1)前記段階S300で変換されたq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに増加させる。その結果、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少したならば、制御部500は、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少してからまた増加するときまで直流オフセットを所定の大きさに増加させる。次に、制御部500は、最も小さいq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更する。
【0066】
(2)前記段階S300で変換されたq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに増加させる。その結果、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が増加したならば、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに減少させる。
【0067】
そして、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少したならば、制御部500は、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少してからまた増加するときまで直流オフセットを所定の大きさに減少させる。次に、制御部500は、最も小さいq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更する。
【0068】
(3)前記段階S300で変換されたq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに減少させる。その結果、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少したならば、制御部500は、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少してからまた増加するときまで直流オフセットを所定の大きさに減少させる。次に、制御部500は、最も小さいq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更する。
【0069】
(4)前記段階S300で変換されたq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに減少させる。その結果、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が増加したならば、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに増加させる。
【0070】
そして、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少したならば、制御部500は、q軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)が減少してからまた増加するときまで直流オフセットを所定の大きさに増加させる。次に、制御部500は、最も小さいq軸(またはd軸)電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更する。
【0071】
このように、制御部500は、各電流センサCSに対する直流オフセット値を任意に調節(増加または減少)しながら脈動の実効値(RMS)が最も小さい点を新たな電流センサの直流オフセットに更新する。一方、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットを所定の大きさに増加または減少させる順番は、ユーザの設定に応じて変更されることができる。
【0072】
また、前記段階S300で変換されたd軸および/またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より小さい場合、制御部500は、現在設定された電流検出部200の各電流センサCSに対する直流オフセットをそのまま維持する(S600)。
【0073】
上述のように、三相電流をd‐q軸電流に変換したときに、トルクが急激に変化しない場合には直流電流のように見える。電流測定オフセットが実際の電流が0Aである点ではない場合、d‐q軸電流にも脈動が見える。
【0074】
したがって、制御部500は、フィルタ部300、すなわち、ハイパスフィルタ(HPF)を用いて脈動成分(すなわち、高周波成分)を抽出し、電流測定オフセット値を任意に調節しながら脈動の実効値(RMS)が最も小さい点を新たな電流測定オフセットに更新する。
【0075】
すなわち、制御部500は、d軸および/またはq軸電流をハイパスフィルタ(HPF)に通過させて脈動成分を得る。また、脈動成分の大きさは、実効値(RMS)を利用する。制御部500は、前記脈動成分の実効値(RMS)が予め設定された基準値以下の場合には、電流検出部200に備えられた各電流センサCSの直流オフセットに異常がないとみなし、制御を行い続ける。
【0076】
一方、前記脈動成分の実効値(RMS)が予め設定された基準値以上の場合には、制御部500は、前記脈動の成分が各相の電流のいずれかの電流センサCSのオフセットが誤っているかを知ることができないため、各電流センサCSのオフセットを変更してみる。
【0077】
例えば、制御部500は、a相に設けられた電流センサCSのオフセットを変更しながら、すなわち、増加または減少しながら、脈動成分の実効値(RMS)が最も小さいオフセットを見つける。次に、制御部500は、b相および/またはc相に対しても同じ過程を繰り返す。制御部500は、このようにまた見つけた各相に備えられた電流センサCSのオフセットをまた適用して制御する。これにより、電流検出部200に備えられた各電流センサCSの直流オフセットを電動機10の運転中にも補正することができる。
【0078】
上述の本発明による電流センサのオフセット補正装置に関する好ましい実施例について説明しているが、本発明は、これに限定されず、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付の図面の範囲内で様々に変形して実施することができ、これもまた本発明に属する。
本発明は一側面において以下の発明を包含する。
(発明1)
直流電源を三相交流電流に変換し、電動機に供給するインバータ部と、
前記インバータ部から出力される電流を検出するための複数の電流センサを備える電流検出部と、
前記電流検出部から検出された電流をd−q軸電流に変換し、前記変換されたd軸またはq軸電流をフィルタリングして高周波成分を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部から抽出されたd軸またはq軸電流の高周波成分を実効値(RMS)に変換するRMS計算部と、
前記RMS計算部で変換されたd軸またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より大きい場合、現在設定された前記電流検出部の各電流センサの直流オフセットを所定の大きさに増減した後、前記RMS計算部により変換された最も小さいd軸またはq軸電流の実効値(RMS)に該当する直流オフセットに変更して前記各電流センサを補正制御する制御部と、を含む、電流センサのオフセット補正装置。
(発明2)
前記複数の電流センサは、前記インバータ部から出力される三相の交流電流の少なくとも二相の交流電流に一つずつ設けられることを特徴とする、発明1に記載の電流センサのオフセット補正装置。
(発明3)
前記フィルタ部は、ハイパスフィルタ(High Pass Filter、HPF)を含むことを特徴とする、発明1または2に記載の電流センサのオフセット補正装置。
(発明4)
前記制御部は、前記RMS計算部で変換されたd軸またはq軸電流の実効値(RMS)が予め設定された基準値より小さい場合、現在設定された各電流センサに対する直流オフセットをそのまま維持することを特徴とする、発明1から3のいずれか1つに記載の電流センサのオフセット補正装置。
【符号の説明】
【0079】
10 電動機
100 インバータ部
200 電流検出部
300 フィルタ部
400 RMS計算部
500 制御部
CS 電流センサ
図1
図2
図3