特許第6326091号(P6326091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326091
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180507BHJP
【FI】
   A63F7/02 310C
   A63F7/02 316D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-114777(P2016-114777)
(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-217258(P2017-217258A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 豊
【審査官】 中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−246072(JP,A)
【文献】 特開2001−252440(JP,A)
【文献】 特開2016−067576(JP,A)
【文献】 特開2010−082079(JP,A)
【文献】 特開2000−279585(JP,A)
【文献】 特開平10−225555(JP,A)
【文献】 特開平10−033766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域に面する壁面と、
前記壁面を前後方向に貫通する露出孔と、
前記壁面に形成された開口と、
回転軸部、前記回転軸部の回転に伴って前記開口を開閉する開閉部、前記開閉部と前記回転軸部の軸方向にずれた位置に設けられ、前記壁面よりも後方側に位置して前記露出孔に対向する被押圧部を有する可動体と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技球が流下する遊技領域に面する壁面と、
前記壁面を前後方向に貫通する露出孔と、
前記壁面に形成された開口と、
回転軸部、前記回転軸部の回転に伴って前記開口を開閉する開閉部、前記回転軸部から該回転軸部を境に前記開閉部と反対側に延在し、前記壁面よりも後方側に位置して前記露出孔に対向する被押圧部を有する可動体と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域に面する壁面に形成された開口が可動体で開閉される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤の前面に、大入賞口や始動口と呼ばれる開口が形成され、この開口が開閉扉等の可動体によって開閉される遊技機が知られている。大入賞口や始動口は、遊技中に所定条件が成立すると開放され、大入賞口や始動口に遊技球が入球すると、遊技者に賞球が払い出される。
【0003】
遊技機の設計、製造段階では、可動体が適切に開閉動作を行うかを検査したり、遊技球の入球を検知するセンサが正常に作動するかを検査したりする。こうした検査工程では、例えば、特許文献1、2に示されるように、検査治具を用いて可動体にアクセスし、大入賞口や始動口を強制的に開く必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−225555号公報
【特許文献2】特開平10−33766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、意匠性の向上を図るべく、大入賞口や始動口の近傍に装飾部品が多数設けられており、また、遊技盤の背面側にも、演出用の可動役物装置が多数格納されている。そのため、検査工程で可動体にアクセスするのが困難となり、作業が煩雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、検査工程における作業を簡素化することができる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技球が流下する遊技領域に面する壁面と、前記壁面を前後方向に貫通する露出孔と、前記壁面に形成された開口と、回転軸部、前記回転軸部の回転に伴って前記開口を開閉する開閉部、前記開閉部と前記回転軸部の軸方向にずれた位置に設けられ、前記壁面よりも後方側に位置して前記露出孔に対向する被押圧部を有する可動体と、を備えたことを特徴とする。また、上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技球が流下する遊技領域に面する壁面と、前記壁面を前後方向に貫通する露出孔と、前記壁面に形成された開口と、回転軸部、前記回転軸部の回転に伴って前記開口を開閉する開閉部、前記回転軸部から該回転軸部を境に前記開閉部と反対側に延在し、前記壁面よりも後方側に位置して前記露出孔に対向する被押圧部を有する可動体と、を備えたことを特徴とする。


【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検査工程における作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】扉が開放された状態を示す遊技機の斜視図である。
図2】遊技機の正面図である。
図3】遊技盤の正面図である。
図4図3の破線部分の拡大斜視図である。
図5】装飾カバーを取り外した状態の開口および開閉部を示す図である。
図6図5の状態からさらに正面側壁面を取り外した状態を示す図である。
図7】可動体の斜視図である。
図8】可動体の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0015】
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0016】
図2は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108の前面に設けられたレール114aと、遊技盤108の前面に固定されるレールユニットRUのレール114bとの間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
【0017】
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする左打ち領域116aおよび右打ち領域116bを含む。左打ち領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技盤108の左側に位置し、右打ち領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技盤108の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、左打ち領域116aには、所定の発射強度未満で発射された遊技球が進入し、右打ち領域116bには、所定の発射強度以上で発射された遊技球が進入することとなる。
【0018】
より具体的には、遊技盤108には、その厚み方向、すなわち、遊技機100の前後方向に貫通する貫通孔118が形成されている。この貫通孔118は、例えば遊技盤108の半分以上の面積を占めており、貫通孔118を覆うように、遊技盤108の前面側に遊技ユニットUが組み付けられている。遊技ユニットUは、装飾部品、入賞口、アクチュエータ等の種々の部品を一体化して構成されている。この遊技ユニットUの中央には、遊技機100の前後方向に貫通する中央孔120が形成されている。遊技盤108の背面側には不図示の液晶画面が設けられ、この液晶画面が、遊技機100の正面側から、貫通孔118および中央孔120を介して視認できるように構成されている。
【0019】
また、遊技ユニットUには、遊技機100の前後方向や遊技盤108の面方向に延在する区画壁部が設けられている。この区画壁部は、遊技領域116を区画形成するものであり、例えば、遊技ユニットUの中央孔120の周縁に設けられ、中央孔120への遊技球の脱落を防止する。このように、遊技ユニットUに設けられた区画壁部により、中央孔120の左側に左打ち領域116aが区画形成され、中央孔120の右側に右打ち領域116bが区画形成されることとなる。
【0020】
図3は、遊技盤108の正面図である。なお、この図3においては、遊技盤108に遊技ユニットUおよびレールユニットRUが組み付けられた状態を示しているが、遊技ユニットUおよびレールユニットRUの一部の部品を省略している。遊技ユニットUは、レールユニットRUよりも遊技盤108の中央側に設けられる。換言すれば、遊技ユニットUは、レールユニットRUのレール114bに囲繞されている。
【0021】
遊技ユニットUは、中央孔120の右側に正面側壁面122を備えている。この正面側壁面122は、透過板110に略平行状態で対向する面であり、中央孔120の右側で鉛直方向に延在している。正面側壁面122は、遊技領域116、より詳細には、右打ち領域116bに面しており、換言すれば、透過板110やレール114bとともに、右打ち領域116bを区画形成している。この正面側壁面122には、透過板110側に突出するゲート124が設けられている。ゲート124には、鉛直方向に貫通する通路が形成されており、右打ち領域116bを流下する遊技球がゲート124を通過可能となっている。
【0022】
図4は、図3の破線部分の拡大斜視図である。ゲート124の下方には、装飾カバー126(図中、一部を透過して示す)が設けられている。この装飾カバー126は、正面側壁面122に対して略垂直な起立壁部126aと、正面側壁面122に間隔を維持して対向する被覆部126bとを含んで構成される。装飾カバー126には、ゲート124に対向する部分に上部開口126cが形成されており、装飾カバー126の下部には、下部開口126dが形成されている。上部開口126cと下部開口126dとは鉛直方向に貫通しており、ゲート124を通過した遊技球は、正面側壁面122と被覆部126bとの間に形成される隙間を通過して、装飾カバー126よりも下方に流下する。つまり、正面側壁面122と装飾カバー126との対向間隔は、遊技球が通過する通路となっている。
【0023】
そして、正面側壁面122には、入賞口を形成する開口128が形成されている。この開口128は、一部が装飾カバー126の被覆部126bに対向する位置に配されており、開閉部130aによって開閉される。つまり、装飾カバー126は、開口128で形成される入賞口の前面を被覆し、意匠性を向上する装飾部材として機能している。
【0024】
図5は、装飾カバー126を取り外した状態の開口128および開閉部130aを示す図であり、図6は、図5の状態からさらに正面側壁面122を取り外した状態を示す図である。図5および図6に示すように、正面側壁面122の背面側(被覆部126bと反対側)には、遊技機100の幅方向に離隔して2つの軸受132が設けられており、この軸受132に可動体130が回転自在に軸支されている。
【0025】
可動体130は、上記のように、開口128を開閉する薄板形状の開閉部130aと、この開閉部130aの下端に設けられる回転軸部130bとを備えている。回転軸部130bは、遊技機100の幅方向に軸心を沿わせており、両端部が軸受132に回転自在に軸支されている。通常、可動体130は、不図示の弾性部材の付勢力により、図5に示すとおり、開閉部130aが開口128を塞ぐ閉状態に保持されている。
【0026】
一方、可動体130には、アクチュエータが連結されており、アクチュエータが作動すると、回転軸部130bが回転し、この回転によって、開閉部130aの上端が遊技機100の前面側に突出するように傾倒して開状態となる。可動体130の開状態では、開閉部130aが、その下端(回転軸部130b)から上端に向かって僅かに上方に傾斜した姿勢となる。これにより、可動体130の開状態では、開閉部130aが、正面側壁面122と被覆部126bとの間の隙間を流下する遊技球を開口128に導く受け皿として機能することとなる。
【0027】
ここで、遊技機100の設計、製造段階では、可動体130が適切に開閉動作を行うかを検査したり、遊技球の入球を検知するセンサが正常に作動するかを検査したりする。こうした検査工程では、可動体130を強制的に開状態とする必要がある。ところが、本実施形態では、意匠性を向上するべく、装飾カバー126が設けられており、遊技機100の正面側から可動体130にアクセスするのが難しい。
【0028】
そこで、本実施形態では、図5に示すように、正面側壁面122に、遊技機100の前後方向に貫通する孔からなる露出部134が形成されている。この露出部134は、正面側壁面122の背面側に位置する可動体130の一部に対向する位置に配されている。つまり、露出部134は、可動体130の一部を、正面側壁面122の正面側に露出させる。
【0029】
図7は、可動体130の斜視図である。上記したように、可動体130は、開閉部130aが回転軸部130bと一体に設けられており、回転軸部130bには、開閉部130aと軸方向にずれた位置に突片130cが設けられている。この突片130cは、回転軸部130bと一体形成されており、回転軸部130bの径方向に突出している。突片130cは、開閉部130aに対して、回転軸部130bの回転軸周りに略180°位相をずらした方向に突出している。換言すれば、開閉部130aと突片130cとは、回転軸部130bを境にして反対側に、回転軸部130bの径方向に突出している。
【0030】
突片130cには、回転軸部130bと反対側に突出する駆動軸130dが設けられている。この駆動軸130dの軸心は、回転軸部130bの軸心と平行であり、上記した不図示のアクチュエータに連結される。アクチュエータが作動すると、駆動軸130dが矢印A方向に押し上げられて、回転軸部130bが矢印B方向に回転する。これにより、開閉部130aが、回転軸部130bを回転軸として矢印C方向に傾倒し、開口128が開放されることとなる。
【0031】
そして、突片130cには、回転軸部130bから、当該回転軸部130bを境に開閉部130aと反対側に延在する被押圧部130eが設けられている。この被押圧部130eは、可動体130が閉状態にあるときに、露出部134(図8参照)に対向する。つまり、可動体130が閉状態にあるときには、突片130cの被押圧部130eが、正面側壁面122の前面側から露出部134を介して視認可能となっている。
【0032】
図8は、可動体130の動作を説明する図である。図8(a)に示すように、可動体130は、通常、不図示の弾性部材の付勢力により、開閉部130aが開口128を閉じる閉状態に維持されている。このとき、被押圧部130eは露出部134に対向している。そして、遊技機100の検査工程で、可動体130を開状態にする場合には、正面側壁面122の前面側から露出部134に挿入棒200を挿通させる。
【0033】
そうすると、挿入棒200の先端が被押圧部130eに接触するが、その後もさらに挿入棒200を押し込むと、挿入棒200によって被押圧部130eが押圧され、回転軸部130bを軸として可動体130が回転する。そして、図8(b)に示すように、挿入棒200の先端が、被押圧部130eの下端よりも奥側(図8(b)の左側)に押し込まれると、挿入棒200の上に可動体130が乗り上げる。このように、可動体130が挿入棒200に乗り上げた状態では、挿入棒200から手を放しても、可動体130が開状態に保持されたままとなる。したがって、作業者は、挿入棒200から手を放して作業を行うことができ、作業効率を向上することができる。
【0034】
以上のように、被押圧部130eは、被覆部126b側から正面側壁面122側への押圧力の作用により、開口128を開く方向に開閉部130aを作動させる。そして、この被押圧部130eに対向する露出部134を正面側壁面122に形成することにより、遊技機100の前面側から可動体130に容易にアクセスすることが可能となる。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0036】
例えば、上記実施形態では、遊技機100の正面側に臨む正面側壁面122に開口128を設けることとした。しかしながら、開口128は、正面側壁面122に限らず、遊技機100の幅方向に臨む壁面等、遊技領域116に面する壁面に設ければよい。したがって、上記実施形態では、遊技ユニットUに開口128を設けることとしたが、遊技盤108に、直接、開口128を設けてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、露出部134を正面側壁面122に設けることとした。しかしながら、例えば、被覆部126bが露出部134に対向する位置まで延在している場合には、正面側壁面122と被覆部126bとの双方に露出部134を設けることが望ましい。また、被覆部126bにのみ対向する位置に被押圧部130eがある場合には、被覆部126bにのみ露出部134を設ければよい。
【0038】
さらには、上記実施形態では、アクチュエータから動力を受けるための突片130cを開閉部130aとは別に設け、この突片130cに被押圧部130eを設けることとした。しかしながら、被押圧部130eは必須の構成ではなく、例えば、開閉部130aを露出部134に対向させてもよい。いずれにしても、遊技領域116に面する壁面(正面側壁面122)および被覆部126bのいずれか一方または双方に露出部134が形成され、露出部134に、可動体130の一部が対向すればよい。
【符号の説明】
【0039】
100 遊技機
116 遊技領域
122 正面側壁面
126b 被覆部
128 開口
130 可動体
130a 開閉部
130b 回転軸部
130e 被押圧部
134 露出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8