(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態について説明する。
【0019】
なお、この発明の実施形態における、コア12の軸方向とは
図1および
図3において矢印Aで示す方向、コア12の径方向とは
図1〜
図3において矢印Bで示す方向、コア12の周方向とは
図1〜
図3において矢印Cで示す方向である。
【0020】
図1および
図2を参照して、この発明の一実施形態に係る固定子10は、コア12、複数(この実施形態では、18個)のコイルアッシー14および複数(この実施形態では、18個)のピン16を含む。コア12は、筒状に形成され、コア12の外周面には複数のコイルアッシー14がコア12の周方向に隣り合うように接続される。コア12に接続された複数のコイルアッシー14はそれぞれ、ピン16によってコア12に固定される。コイルアッシー14は、ティース18、絶縁体20およびコイル22を含む。ティース18には、絶縁体20を介してコイル22が巻回される。
【0021】
図3を参照して、コア12は、複数(この実施形態では、18個)の接続部24を含む。複数の接続部24は、複数のコイルアッシー14をそれぞれ接続するために、コア12の軸方向に延びかつコア12の周方向に隣り合うように、コア12の外周面に形成される。複数の接続部24はそれぞれ、凹部26と座面28a,28bとを含む。凹部26は、コア12の外周面からコア12の径方向の内方へ向かって凹む。また、凹部26は、コア12の軸方向の一端部から他端部まで、コア12の軸方向に延びる。すなわち、凹部26は、コア12の外周面において、コア12の軸方向に延びる溝状に形成される。さらに、凹部26は、コア12の軸方向に垂直な断面において、コア12の径方向に延びる直線に対して左右対称かつコア12の径方向の内方へ向かって漸次幅広となる。座面28a,28bは、コア12の外周面において、凹部26におけるコア12の周方向の両端に沿ってコア12の軸方向に延びる。また、座面28a,28bは、コア12の軸方向に垂直な断面において、コア12の径方向に延びる凹部26の中心線に対して左右対称かつ垂直となる。このようなコア12は、軸方向に垂直な断面における外形が正十八角形に形成された筒状部材において、18個の外側面のそれぞれの中央に凹部26が形成されたものに相当する。それぞれの外側面のうち凹部26を除いた部分が座面28a,28bである。
【0022】
図4を参照して、ティース18は、ティース本体30、鍔部32a,32b、鍔部34a,34b、凸部36、すり割り38およびピン孔40を含む。ここで、ティース本体30の長手方向とは
図4〜
図8において矢印Dで示す方向、ティース本体30の短手方向とは
図4〜
図8において矢印Eで示す方向、ティース本体30の高さ方向とは
図4〜
図7において矢印Fで示す方向である。ティース本体30(ティース18)の高さ方向の寸法は、コア12の軸方向の寸法と略等しい。
【0023】
ティース本体30は、角板状に形成される。
【0024】
ティース本体30の長手方向の一端部にはティース本体30の短手方向の両側に突出する鍔部32a,32bが形成される。鍔部32a,32bは、ティース本体30の長手方向の一端部に沿ってティース本体30の高さ方向に延びる。また、鍔部32a,32bは、ティース本体30の短手方向の中心を通りかつティース本体30の長手方向に延びる中心線Gに対して左右対称に形成される。さらに、鍔部32a,32bの突出量は、凸部36側へ向かって漸次小さくなる。そのため、詳細は後述するが、コア12に複数のコイルアッシー14を固定したとき、隣り合うコイルアッシー14において、一方のコイルアッシー14におけるティース18の鍔部32aの先端面42aと、他方のコイルアッシー14におけるティース18の鍔部32bの先端面42bとが重なり合うように接触する(
図13参照)。
【0025】
ティース本体30の長手方向の他端部にはティース本体30の短手方向の両側に突出する鍔部34a,34bが形成される。鍔部34a,34bは、ティース本体30の長手方向の他端部に沿ってティース本体30の高さ方向に延びる。また、鍔部34a,34bは、中心線Gに対して左右対称に形成される。さらに、鍔部34a,34bの突出量は、鍔部32a,32bの突出量よりも大きい。ここで、コイル22は、後述するように、鍔部32a,32b側では1層となるように、鍔部34a,34b側では4層となるように、絶縁体20を介してティース18に巻回される(
図7および
図8参照)。したがって、ティース18に絶縁体20を介してコイル22を巻回したとき、鍔部32a,32b側よりも鍔部34a,34b側の方が、コイル22は膨らんだ形状となる。そのため、上述したように、鍔部34a,34bの突出量を、鍔部32a,32bの突出量よりも大きくすることで、コイル22がティース本体30の長手方向においてティース本体30からはみ出ることを、より確実に防止できる。
【0026】
ティース本体30の長手方向の一端部には、ティース本体30の長手方向に突出する凸部36が形成される。凸部36は、ティース本体30の長手方向の一端部に沿ってティース本体30の高さ方向に延びる。また、凸部36は、中心線Gに対して左右対称かつ先端部44へ向かって漸次幅広となる。
【0027】
すり割り38は、ティース本体30の短手方向における凸部36の先端部44の中央からティース本体30の一部まで、ティース本体30の長手方向に延びる。すなわち、すり割り38は、中心線G上に位置する。好ましくは、すり割り38は、鍔部32a,32bよりもティース本体30の長手方向の他端部側にはみ出さないように形成される。また、すり割り38は、ティース本体30の高さ方向において、ティース本体30および凸部36の一端部(一端面)から他端部(他端面)まで形成される。
【0028】
ピン孔40は、ティース本体30の高さ方向に垂直な断面形状が円形で、凸部36およびティース本体30を、ティース本体30の高さ方向に貫通する。すなわち、ピン孔40は、凸部36とティース本体30とに跨って形成される。このように、ピン孔40の一部はティース本体30に形成される。また、ティース本体30の長手方向において、ピン孔40の中心X1は、すり割り38の中央Y1よりもティース本体30側に位置する(
図8参照)。中央Y1は、ティース本体30の長手方向におけるすり割り38の両端に対する中点である。
【0029】
絶縁体20は、上部材20aと下部材20bとを含む。上部材20aは、上部材本体46aおよび鍔部48a,50a,52a,54a,56a,58aを含む。ここで、上部材本体46aの長手方向、短手方向、および高さ方向はそれぞれ、絶縁体20(上部材20a)がティース18(ティース本体30)に装着された状態において、矢印Dで示すティース本体30の長手方向、矢印Eで示すティース本体30の短手方向、および矢印Fで示すティース本体30の高さ方向と同方向である。上部材本体46aは、断面略コ字状に形成され、一対の側部60a,62aおよび一対の側部60a,62aの一端部同士を連結する連結部64aを含む。一対の側部60a,62aは、上部材本体46aの長手方向に延びる薄板状に形成される。また、一対の側部60a,62aは、互いに上部材本体46aの短手方向に対向するように形成される。連結部64aは、上部材本体46aの長手方向に延び、かつ上部材本体46aの長手方向に垂直な断面形状が略半円形になるように形成される。鍔部48aと鍔部50aと鍔部52aとは、一体的に形成され、上部材本体46aの長手方向の一端部から上部材本体46aの外方へ突出する。鍔部48a,50aはそれぞれ、一対の側部60a,62aから上部材本体46aの短手方向に突出する。また、鍔部48a,50aはそれぞれ、一対の側部60a,62aに沿って上部材本体46aの高さ方向に延びる。鍔部52aは、角板状に形成され、連結部64aから上部材本体46aの短手方向および高さ方向に突出する。また、上部材本体46aの長手方向において、鍔部52aの厚みは鍔部48a,50aの厚みよりも大きい。鍔部54aと鍔部56aと鍔部58aとは、一体的に形成され、上部材本体46aの長手方向の他端部から上部材本体46aの外方へ突出する。鍔部54a,56aはそれぞれ、一対の側部60a,62aから上部材本体46aの短手方向に突出する。また、鍔部54a,56aはそれぞれ、一対の側部60a,62aに沿って上部材本体46aの高さ方向に延びる。鍔部58aは、上部材本体46aの長手方向に垂直な断面形状が略凸字の板状に形成され、連結部64aから上部材本体46aの短手方向および高さ方向に突出する。上部材本体46aの長手方向において、鍔部58aの厚みは鍔部54a,56aの厚みよりも大きい。下部材20bは、上部材20aと同形状、同寸法である。したがって、上述した上部材20aの説明において、「上部材」を「下部材」に、各部の符号の末尾「a」を「b」にそれぞれ読み替えることによって、下部材20bの説明を省略する。
【0030】
図4〜
図6を参照して、絶縁体20のティース18への装着方法を説明する。
【0031】
まず、
図4を参照して、ティース本体30の高さ方向の両側において、上部材20aと下部材20bとを互いに対向させる。このとき、上部材20aの鍔部48a,50a,52aがティース18の鍔部32a,32b側に位置し、上部材20aの鍔部54a,56a,58aがティース18の鍔部34a,34b側に位置する。また、下部材20bの鍔部48b,50b,52bがティース18の鍔部32a,32b側に位置し、下部材20bの鍔部54b,56b,58bがティース18の鍔部34a,34b側に位置する。
【0032】
次に、
図5を参照して、下部材20bをティース本体30に向かって移動させ、一対の側部60b,62bの間にティース本体30を嵌め込むことで、ティース18に下部材20bが装着される。
【0033】
そして、
図6を参照して、上部材20aをティース本体30に向かって移動させ、一対の側部60a,62aの間にティース本体30を嵌め込むことで、ティース18に上部材20aが装着される。
【0034】
このようにして、絶縁体20はティース18に装着される。ティース18に絶縁体20を装着した状態では、ティース本体30は上部材本体46aと下部材本体46bとで覆われる。また、ティース本体30の長手方向において、ティース18の鍔部32aと重なるように絶縁体20の鍔部48a,50bが位置し、ティース18の鍔部32bと重なるように絶縁体20の鍔部50a,48bが位置する。さらに、ティース本体30の長手方向において、ティース18の鍔部34aと重なるように絶縁体20の鍔部54a,56bが位置し、ティース18の鍔部34bと重なるように絶縁体20の鍔部56a,54bが位置する。したがって、ティース18に絶縁体20を装着した状態で、後述のようにティース本体30にコイル22を巻回すると、ティース本体30とコイル22との間には上部材本体46aと下部材本体46bとが介在するため、ティース本体30とコイル22とは接触しない。また、ティース18の鍔部32aとコイル22との間には絶縁体20の鍔部48a,50bが介在し、ティース18の鍔部32bとコイル22との間には絶縁体20の鍔部50a,48bが介在するため、鍔部32a,32bとコイル22とは接触しない。さらに、ティース18の鍔部34aとコイル22との間には絶縁体20の鍔部54a,56bが介在し、ティース18の鍔部34bとコイル22との間には絶縁体20の鍔部56a,54bが介在するため、鍔部34a,34bとコイル22とは接触しない。このように、ティース18に絶縁体20を装着することによって、ティース18とコイル22とが接触することを防止できる。
【0035】
図6〜
図8を参照して、コイル22は、絶縁体20を介してティース18に巻回される。
図8は、
図7における、ティース本体30の高さ方向に垂直な断面を示す断面図である。コイル22は、絶縁体20の上部材本体46aおよび下部材本体46bの外表面に巻回される。また、コイル22は、上部材本体46aおよび下部材本体46bの外表面において、鍔部48a,50a,52a,48b,50b,52bと鍔部54a,56a,58a,54b,56b,58bとの間に巻回される。コイル22は、鍔部48a,50a,52a,48b,50b,52b側では1層となるように巻回され、鍔部54a,56a,58a,54b,56b,58b側へ向かって、順次2層、3層および4層となるように巻回される。このように、ティース18に絶縁体20を介してコイル22を巻回したものが、コイルアッシー14である。また、ティース18および絶縁体20には、さまざまな材質を用いることができるが、たとえば、ティース18は金属からなり、絶縁体20は樹脂からなる。
【0036】
図9および
図10を参照して、コイルアッシー14のコア12への固定方法を説明する。なお、
図9および
図10では、図面が煩雑になることを避けるために、絶縁体20およびコイル22の図示を省略している。
【0037】
まず、
図9(a)を参照して、コア12とティース18とをコア12の軸方向にずらして所定の位置に配置する。このとき、ティース本体30の高さ方向および長手方向のそれぞれを、コア12の軸方向および径方向に一致させることが望ましい。そして、ティース18をコア12の軸方向に移動させて、凹部26に凸部36を嵌合させる。
【0038】
図9(b)を参照して、コア12の軸方向におけるコア12の両端部とティース本体30の高さ方向におけるティース18の両端部とが略一致する位置まで、ティース18をコア12の軸方向に移動させる。このように、ティース18はコア12の外周面に接続されかつコア12よりもコア12の径方向の外方へ向かって延びる。
【0039】
図10(a)を参照して、ピン16としては公知の種々のピンを用いることができるが、この実施形態では、ピン16として断面略C字のスプリングピンが用いられる(
図12参照)。ピン16の直径はピン孔40の直径よりもやや大きく形成されるが、ピン16の両端部は、ピン孔40の直径よりもやや小さくなるようテーパ状に形成される。これによって、ピン16をピン孔40に圧入しやすくなる。また、ピン16の長さは、コア12の軸方向におけるコア12の寸法、およびティース本体30の高さ方向におけるティース18の寸法と略等しく設定される。ピン16は凹部26と凸部36とを嵌合させた状態でピン孔40に圧入可能に形成される。このようなピン16を、ピン孔40に対して、コア12の軸方向にずらして配置する。そして、ピン16をコア12の軸方向に移動させて、ピン孔40に圧入する。詳細は後述するが、ピン16をピン孔40に圧入すると、凸部36がピン16によって外方へ押され、凸部36がティース本体30の短手方向に開く。凸部36は、ティース本体30の短手方向に開くことによって凹部26の側面を押圧する。
【0040】
最後に、
図10(b)を参照して、コア12の軸方向において、ティース18の両端部とピン16の両端部とが略一致する位置まで、ピン16をピン孔40に圧入する。これによって、凸部36が凹部26の側面を全体的に押圧し、コア12にティース18すなわちコイルアッシー14が固定される。コア12にコイルアッシー14を固定した状態では、コア12の軸方向および径方向がティース本体30の高さ方向および長手方向と一致する。
【0041】
図11は、
図9(b)におけるコア12の軸方向に垂直な断面図である。
図12は、
図10(b)におけるコア12の軸方向に垂直な断面図である。
図11および
図12を参照して、コア12にコイルアッシー14を固定するときの凸部36の動きについて詳細に説明する。なお、
図11および
図12では絶縁体20とコイル22とを省略せずに図示する。
【0042】
図11を参照して、コア12にコイルアッシー14を接続し、コア12の軸方向とティース本体30の高さ方向とが一致し、コア12の径方向とティース本体30の長手方向とが一致した状態において説明する。この状態では、凹部26はティース18側が開口しかつコア12の径方向においてティース18からコア12の内方へ向かって漸次幅広となり、凸部36はティース本体30のコア12側端部からコア12の内方へ向かって漸次幅広に突出する。また、鍔部32a,32bは、ティース本体30のコア12側端部からコア12の軸方向とコア12の径方向とに垂直な方向(ティース本体30の短手方向)に、ティース本体30のコア12側端部よりも突出する。すり割り38は、凸部36の先端部44からティース本体30の一部までコア12の径方向に延び、かつコア12の軸方向におけるティース本体30および凸部36の一端部(一端面)から他端部(他端面)まで形成される。ピン孔40は、ティース本体30および凸部36をコア12の軸方向に貫通する。コア12の径方向において、ピン孔40の中心X1は、すり割り38の中央Y1よりもティース本体30側に位置する。
【0043】
ティース本体30の短手方向において、凸部36の先端部44の幅H1は、凹部26の底面部の幅H2よりも小さく、かつコア12の外周面における凹部26の開口部の幅H3よりも大きい。また、ティース本体30の短手方向において、凸部36の基部45の幅H4は、凹部26の開口部の幅H3よりも小さい。凹部26の側面と凸部36の側面との隙間は、凸部36の基部45側より凸部36の先端部44側の方が大きくなるように設定される。このような凹部26と凸部36とは、コア12の軸方向に移動自在に嵌合可能である。また、ティース本体30の短手方向において、凸部36の先端部44の幅H1が、凹部26の開口部の幅H3よりも大きいことによって、ピン16をピン孔40に圧入していない状態であっても、コイルアッシー14がコア12の径方向の外方へ外れることを防止できる。すり割り38は、凸部36の先端部44側で開口しているので、ピン16をピン孔40に圧入すると、2点鎖線で示すように、凸部36および鍔部32a,32bは、ティース本体30のコア12側端部におけるすり割り38の端部近傍を支点としてティース本体30の短手方向へ開く。凸部36がティース本体30の短手方向へ開くと、凸部36は凹部26の側面と接触し、さらに凸部36は凹部26の側面を押圧する。ここで、凹部26および凸部36は、コア12の径方向の内方へ向かって漸次幅広となるので、上述のように凸部36が凹部26の側面を押圧すると、凸部36にはコア12の径方向の内方への力Iが加わる。これによって、凸部36は凹部26の側面に沿ってコア12の径方向の内方へ移動する。
【0044】
次に、
図12を参照して、凸部36がコア12の径方向の内方へ移動すると、コイルアッシー14自体もコア12の径方向の内方へ移動する。すなわち、ティース本体30および鍔部32a,32bもコア12の径方向の内方へ移動する。これによって、ティース本体30および鍔部32aは座面28aと接触し、ティース本体30および鍔部32bは座面28bと接触する。その後も、凸部36は凹部26の側面を押圧し続ける。これによって、ティース本体30および鍔部32aは、座面28aを押圧し座面28aと密着する。また、ティース本体30および鍔部32bは、座面28bを押圧し座面28bと密着する。このように、凸部36が凹部26の側面を押圧し、ティース本体30および鍔部32a,32bが、座面28a,28bと密着することによって、コア12にコイルアッシー14が固定される。
【0045】
図13を参照して、コア12の複数の接続部24のそれぞれに、コイルアッシー14を固定したものが固定子10である。この状態では、コア12の周方向に複数のコイルアッシー14が配置され、隣り合うコイルアッシー14において、一方のコイルアッシー14におけるティース18の鍔部32aの先端面42aと他方のコイルアッシー14におけるティース18の鍔部32bの先端面42bとが重なり合うように接する。したがって、コア12とティース18とにおいて形成される磁路U1(
図2、
図13参照)中のギャップを鍔部32a,32bで埋めることができる。これによって、より大きな磁界を得ることができる。
【0046】
このような回転電機の固定子10によれば、ティース18が鍔部32a,32bを有することによって、ティース本体30に巻回されるコイル22が鍔部32a,32bよりもコア12側にずれることを防止できる。すなわち、コイル22が鍔部32a,32bよりもコア12側へはみ出ることを防止できる。これによって、コア12の凹部26とティース18の凸部36とを嵌合するときに、コア12とコイル22とが相互に干渉せず、コア12の凹部26とティース18の凸部36とを容易に嵌合することができ、コア12とティース18との組み立てが容易になる。また、凹部26と凸部36とを嵌合させた状態でピン16をピン孔40に圧入すると、凸部36は、コア12の軸方向とコア12の径方向とに垂直な方向に広がることによって、凹部26の側面に接触しさらに凹部26の側面を押圧する。ここで、凹部26と凸部36とはティース18からコア12に向かって漸次幅広に形成されているので、凸部36が凹部26の側面を押圧することによって、ティース18はコア12の径方向においてコア12側へ移動し、コア12とティース18の鍔部32a,32bとが密着し、コア12にティース18が固定される。したがって、ティース本体30のコア12側端部に鍔部32a,32bを形成することによって、コア12とティース18とにおいて形成される磁路U1中のギャップ部分を少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。
【0047】
ティース本体30のコア12側端部近傍にピン孔40を形成できるので、凹部26と凸部36とを嵌合させた状態でピン16をピン孔40に圧入すると、凸部36はピン孔40から凸部36の先端部44にかけて全体的に、コア12の軸方向とコア12の径方向とに垂直な方向へ開くことができる。したがって、凸部36におけるティース本体30のコア12側端部近傍が凹部26に接触し易くなり、少なくとも凸部36におけるティース本体30のコア12側端部近傍と凹部26との隙間を小さくできる。これによって、コア12とティース18とにおいて形成される磁路U1中のギャップ部分をより少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。
【0048】
また、凸部36はティース本体30のコア12側端部におけるすり割り38の端部近傍を支点として開く。したがって、凸部36の移動量は、その基部45側よりその先端部44側の方が大きくなる。このような場合において、予め、凹部26の側面と凸部36の側面との隙間を凸部36の基部45側より先端部44側の方が大きくなるように設定しておくと、凸部36が開いたときに、凹部26と凸部36とは、凸部36の基部45から先端部44にかけて全体的に接触し易くなる。これによって、コア12とティース18とにおいて形成される磁路U1中のギャップ部分をさらに少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。
【0049】
複数のティース18がコア12の周方向に配置され、ティース18の鍔部32aと隣り合うティース18の鍔部32bとが接触するので、コア12とティース18とにおいて形成される磁路U1中のギャップ部分をより一層少なくでき、より一層大きな磁界を得ることができる。
【0050】
金属からなるティース18で強度を確保できるので、ティース18に装着される樹脂からなる絶縁体20の厚みを小さくできる。したがって、ティース18が鍔部32a,32bを有する場合における鍔部32a,32bと鍔部32a,32bを覆う絶縁体20の鍔部48a(50b),50a(48b)とを合わせたコア径方向の厚みJ(
図8参照)を、ティース18が鍔部32a,32bを有することなく絶縁体20にのみ鍔部(ティース18の鍔部32a,32bに相当する部分)を形成する場合における絶縁体20の鍔部のコア径方向の厚みよりも小さくできる。その結果、鍔部32a,32bを設けたティース18においてコイル22を巻回できる範囲を十分に確保でき、コイル22の巻回数を多くできるので、大きな磁界を得ることができる。
【0051】
ピン16は、スプリングピンであるので、スプリングピン以外のピンを用いる場合よりも、スプリングピンが圧入されるピン孔40の内径の公差を大きく設定することができるため、安価で製造できる。
【0052】
固定子10は、回転子がティース18よりもコア12の径方向において外側に配置されるアウターローター型の回転電機に好適に用いられる。
【0053】
ついで、この発明の他の実施形態に係る固定子100について説明する。
【0054】
なお、この発明の実施形態における、コア102の軸方向とは
図14および
図16において矢印Kで示す方向、コア102の径方向とは
図14〜
図16において矢印Lで示す方向、コア102の周方向とは
図14〜
図16において矢印Mで示す方向である。
【0055】
図14および
図15を参照して、固定子100は、コア102、複数(この実施形態では、12個)のコイルアッシー104および複数(この実施形態では、12個)のピン106を含む。コア102は、筒状に形成され、コア102の内周面には複数のコイルアッシー104がコア102の周方向に隣り合うように接続される。コア102に接続された複数のコイルアッシー104はそれぞれ、ピン106によってコア102に固定される。コイルアッシー104は、ティース108、絶縁体110およびコイル112を含む。ティース108には、絶縁体110を介してコイル112が巻回される。
【0056】
図16を参照して、コア102は、複数(この実施形態では、12個)の接続部114を含む。複数の接続部114は、複数のコイルアッシー104をそれぞれ接続するために、コア102の周方向に隣り合うように、コア102の内周面に形成される。複数の接続部114はそれぞれ、凹部116と凹部118と座面120a,120bとを含む。凹部116は、コア102の内周面からコア102の径方向の外方へ向かって凹む。また、凹部116は、コア102の軸方向の一端部から他端部まで、コア102の軸方向に延びる。さらに、凹部116は、コア102の軸方向に垂直な断面において、コア102の径方向に延びる直線に対して左右対称に形成される。凹部118は、凹部116の底面における凹部116の幅方向(コア102の軸方向とコア102の径方向とに垂直な方向)の中央からコア102の径方向の外方へ向かって凹む。また、凹部118は、コア102の軸方向の一端部から他端部まで、コア102の軸方向に延びる。さらに、凹部118は、コア102の軸方向に垂直な断面において、コア102の径方向に延びる凹部116の中心線に対して左右対称かつコア102の径方向の外方へ向かって漸次幅広となる。凹部116および凹部118は、コア102の内周面において、コア102の軸方向に延びる溝状に形成される。座面120a,120bは、コア102の内周面において、凹部116におけるコア102の周方向の両端に沿ってコア102の軸方向に延びる。また、座面120a,120bは、コア102の軸方向に垂直な断面において、コア102の径方向に延びる凹部116の中心線に対して左右対称かつ垂直となる。このようなコア102は、軸方向に垂直な断面における内形が正十二角形に形成された筒状部材において、12個の内側面のそれぞれの中央に凹部116および凹部118が形成されたものに相当する。それぞれの内側面のうち凹部116および凹部118を除いた部分が座面120a,120bである。
【0057】
図17を参照して、ティース108は、ティース本体122、鍔部124a,124b、鍔部126a,126b、凸部128、すり割り130およびピン孔132を含む。ここで、ティース本体122の長手方向とは
図17〜
図22において矢印Nで示す方向、ティース本体122の短手方向とは
図17〜
図22において矢印Oで示す方向、ティース本体122の高さ方向とは
図17〜
図21において矢印Pで示す方向である。ティース本体122(ティース108)の高さ方向の寸法は、コア102の軸方向の寸法と略等しい。
【0058】
ティース本体122は、角板状に形成される。
【0059】
ティース本体122の長手方向の一端部にはティース本体122の短手方向の両側に突出する鍔部124a,124bが形成される。鍔部124a,124bは、ティース本体122の長手方向の一端部に沿ってティース本体122の高さ方向に延びる。また、鍔部124a,124bは、ティース本体122の短手方向の中心を通りかつティース本体122の長手方向に延びる中心線Qに対して左右対称に形成される。
【0060】
ティース本体122の長手方向の他端部にはティース本体122の短手方向の両側に突出する鍔部126a,126bが形成される。鍔部126a,126bは、ティース本体122の長手方向の他端部に沿ってティース本体122の高さ方向に延びる。また、鍔部126a,126bは、中心線Qに対して左右対称に形成される。ここで、鍔部124a,124bの突出量は、鍔部126a,126bの突出量よりも大きい。後述するように、コイル112は、鍔部126a,126b側では4層となるように、鍔部124a,124b側では7層となるように、絶縁体110を介してティース108に巻回される(
図20〜
図22参照)。したがって、ティース108に絶縁体110を介してコイル112を巻回したとき、鍔部126a,126b側よりも鍔部124a,124b側の方が、コイル112は膨らんだ形状となる。そのため、上述したように、鍔部124a,124bの突出量を、鍔部126a,126bの突出量よりも大きくすることで、コイル112がティース本体122の長手方向においてティース本体122からはみ出ることを、より確実に防止できる。
【0061】
ティース本体122の長手方向の一端部には、ティース本体122の長手方向に突出する凸部128が形成される(
図21参照)。凸部128は、ティース本体122の長手方向の一端部に沿ってティース本体122の高さ方向に延びる。また、凸部128は、中心線Qに対して左右対称かつ凸部128の先端部134へ向かって漸次幅広となる。
【0062】
すり割り130は、ティース本体122の短手方向における凸部128の先端部134の中央から凸部128の基部135まで、ティース本体122の長手方向に延びる。すなわち、すり割り130は、中心線Q上に位置する。また、すり割り130は、ティース本体122の高さ方向において、凸部128の一端部(一端面)から他端部(他端面)まで形成される。
【0063】
ピン孔132は、ティース本体122の高さ方向に垂直な断面形状が円形で、凸部128を、ティース本体122の高さ方向に貫通する。また、ティース本体122の長手方向において、ピン孔132の中心X2とすり割り130の中央Y2とは略一致する(
図22参照)。中央Y2は、ティース本体122の長手方向におけるすり割り130の両端に対する中点である。
【0064】
絶縁体110は、上部材110aと下部材110bとを含む。上部材110aは、上部材本体136aおよび鍔部138a,140a,142a,144a,146a,148aを含む。ここで、上部材本体136aの長手方向、短手方向、および高さ方向はそれぞれ、絶縁体110(上部材110a)がティース108(ティース本体122)に装着された状態において、矢印Nで示すティース本体122の長手方向、矢印Oで示すティース本体122の短手方向、および矢印Pで示すティース本体122の高さ方向と同方向である。上部材本体136aは、断面略コ字状に形成され、一対の側部150a,152aおよび一対の側部150a,152aの一端部同士を連結する連結部154aを含む。一対の側部150a,152aは、薄板状に形成される。また、一対の側部150a,152aは、互いに上部材本体136aの短手方向に対向するように形成される。連結部154aは、上部材本体136aの長手方向に延び、かつ上部材本体136aの長手方向に垂直な断面形状が略半円形になるように形成される。鍔部138aと鍔部140aと鍔部142aとは、一体的に形成され、上部材本体136aの長手方向の一端部から上部材本体136aの外方へ突出する。鍔部138a,140aはそれぞれ、上部材本体136aの高さ方向に延びる薄板状に形成され、一対の側部150a,152aから上部材本体136aの短手方向に突出する。鍔部142aは、上部材本体136aの短手方向に延びる角板状に形成され、連結部154aおよび鍔部138a,140aから上部材本体136aの高さ方向に突出する。なお、上部材本体136aの長手方向において、鍔部142aの厚みは、鍔部138a,140aの厚みよりも大きい。鍔部144aと鍔部146aと鍔部148aとは、一体的に形成され、上部材本体136aの長手方向の他端部から上部材本体136aの外方へ突出する。鍔部144a,146aはそれぞれ、一対の側部150a,152aから上部材本体136aの短手方向に突出する。また、鍔部144a,146aはそれぞれ、一対の側部150a,152aに沿って上部材本体136aの高さ方向に延びる。鍔部148aは、上部材本体136aの長手方向から見ると、略コ字状に形成され、鍔部144a,146aおよび連結部154aから、上部材本体136aの短手方向および高さ方向に突出する。なお、上部材本体136aの長手方向において、鍔部148aの厚みは鍔部144a,146aの厚みよりも大きい。下部材110bは、上部材110aにおける鍔部142a以外、上部材110aと同形状、同寸法である。したがって、鍔部142a以外、上述した上部材110aの説明において、「上部材」を「下部材」に、各部の符号の末尾「a」を「b」にそれぞれ読み替えることによって、下部材110bの説明を省略する。下部材110bは、鍔部142aではなく、鍔部142bを含む。上部材本体136aの長手方向において、鍔部142aの厚みを、鍔部138a,140aの厚みと同一にしたものが、鍔部142bとなる。
【0065】
図17〜
図19を参照して、絶縁体110のティース108への装着方法を説明する。
【0066】
まず、
図17を参照して、ティース本体122の高さ方向の両側において、上部材110aと下部材110bとを互いに対向させる。このとき、上部材110aの鍔部138a,140a,142aがティース108の鍔部124a,124b側に位置し、上部材110aの鍔部144a,146a,148aがティース108の鍔部126a,126b側に位置する。また、下部材110bの鍔部138b,140b,142bがティース108の鍔部124a,124b側に位置し、下部材110bの鍔部144b,146b,148bがティース108の鍔部126a,126b側に位置する。
【0067】
次に、
図18を参照して、下部材110bをティース本体122に向かって移動させ、一対の側部150b,152bの間にティース本体122を嵌め込むことで、ティース本体122に下部材110bが装着される。
【0068】
そして、
図19を参照して、上部材110aをティース本体122に向かって移動させ、一対の側部150a,152aの間にティース本体122を嵌め込むことで、ティース本体122に上部材110aが装着される。このようにして、絶縁体110はティース108に装着される。ティース108に絶縁体110を装着した状態では、ティース本体122は上部材本体136aと下部材本体136bとで覆われる。また、ティース本体122の長手方向において、ティース108の鍔部124aと重なるように絶縁体110の鍔部138a,140bが位置し、ティース108の鍔部124bと重なるように絶縁体110の鍔部140a,138bが位置する。さらに、ティース本体122の長手方向において、ティース108の鍔部126aと重なるように絶縁体110の鍔部144a,146bが位置し、ティース108の鍔部126bと重なるように絶縁体110の鍔部146a,144bが位置する。したがって、ティース108に絶縁体110を装着した状態で、後述のようにティース本体122にコイル112を巻回すると、ティース本体122とコイル112との間には上部材本体136aと下部材本体136bとが介在するため、ティース本体122とコイル112とは接触しない。また、ティース108の鍔部124aとコイル112との間には絶縁体110の鍔部138a,140bが介在し、ティース108の鍔部124bとコイル112との間には絶縁体110の鍔部140a,138bが介在するため、鍔部124a,124bとコイル112とは接触しない。さらに、ティース108の鍔部126aとコイル112との間には絶縁体110の鍔部144a,146bが介在し、ティース108の鍔部126bとコイル112との間には絶縁体110の鍔部146a,144bが介在するため、鍔部126a,126bとコイル112とは接触しない。このように、ティース108に絶縁体110を装着することによって、ティース108とコイル112とが接触することを防止できる。
【0069】
図19〜
図22を参照して、コイル112は、絶縁体110を介してティース108に巻回される。
図22は、
図20および
図21における、ティース本体122の高さ方向に垂直な断面を示す断面図である。コイル112は、絶縁体110における上部材110aの上部材本体136aおよび下部材110bの下部材本体136bの外表面に巻回される。また、コイル112は、上部材本体136aおよび下部材本体136bの外表面において、鍔部138a,140a,142a,138b,140b,142bと鍔部144a,146a,148a,144b,146b,148bとの間に巻回される。コイル112は、鍔部144a,146a,148a,144b,146b,148b側では4層となるように巻回され、鍔部138a,140a,142a,138b,140b,142b側へ向かって、順次5層、6層および7層となるように巻回される。このように、ティース108に絶縁体110を介してコイル112を巻回したものが、コイルアッシー104である。また、ティース108および絶縁体110には、さまざまな材質を用いることができるが、たとえば、ティース108は金属からなり、絶縁体110は樹脂からなる。
【0070】
図23および
図24を参照して、コイルアッシー104のコア102への固定方法を説明する。
【0071】
まず、
図23(a)を参照して、絶縁体110の鍔部142bをコア102の方に向けて、コア102とコイルアッシー104とをコア102の軸方向にずらして所定の位置に配置する。このとき、ティース本体122の高さ方向および長手方向のそれぞれを、コア102の軸方向および径方向に一致させることが望ましい。そして、コイルアッシー104をコア102の軸方向に移動させて、凹部118に凸部128を嵌合させる。このとき、凹部116には鍔部124a,124bおよびティース本体122が嵌合する。
【0072】
図23(b)を参照して、絶縁体110の鍔部142aが、コア102と接触するまで、コイルアッシー104をコア102の軸方向に移動させる。このとき、コア102の軸方向におけるコア102の両端部とティース本体122の高さ方向におけるティース108の両端部とが略一致する。このように、コイルアッシー104(ティース108)はコア102の内周面に接続されかつコア102よりもコア102の径方向の内方へ向かって延びる。
【0073】
図24(a)を参照して、ピン106としては公知の種々のピンを用いることができるが、この実施形態では、ピン106として断面略C字のスプリングピンが用いられる(
図26参照)。ピン106の直径はピン孔132の直径よりもやや大きく形成されるが、ピン106の両端部は、ピン孔132の直径よりもやや小さくなるようテーパ状に形成される。これによって、ピン106をピン孔132に圧入しやすくなる。また、ピン106の長さは、コア102の軸方向におけるコア102の寸法、およびティース本体122の高さ方向におけるティース108の寸法と略等しく設定される。ピン106は凹部118と凸部128とを嵌合させた状態でピン孔132に圧入可能に形成される。このようなピン106を、ピン孔132に対して、コア102の軸方向にずらして配置する。そして、ピン106をコア102の軸方向に移動させて、ピン孔132に圧入する。詳細は後述するが、ピン106をピン孔132に圧入すると、凸部128がピン106によって外方へ押され、凸部128がティース本体122の短手方向に開く。凸部128は、ティース本体122の短手方向に開くことによって凹部118の側面を押圧する。
【0074】
最後に、
図24(b)を参照して、コア102の軸方向において、ティース108の両端部とピン106の両端部とが略一致する位置まで、ピン106をピン孔132に圧入する。これによって、凸部128が凹部118の側面を全体的に押圧し、コア102にコイルアッシー104(ティース108)が固定される。コア102にコイルアッシー104を固定した状態では、コア102の軸方向および径方向がティース本体122の高さ方向および長手方向と一致する。
【0075】
図25は、
図23(b)におけるコア102の軸方向に垂直な断面図である。
図26は、
図24(b)におけるコア102の軸方向に垂直な断面図である。
図25および
図26を参照して、コア102にコイルアッシー104を固定するときの凸部128の動きについて詳細に説明する。
【0076】
図25を参照して、コア102にコイルアッシー104を接続し、コア102の軸方向とティース本体122の高さ方向とが一致し、コア102の径方向とティース本体122の長手方向とが一致した状態において説明する。この状態では、凹部118はティース108側が開口しかつコア102の径方向においてティース108からコア102の外方へ向かって漸次幅広となり、凸部128はティース本体122のコア102側端部からコア102の外方へ向かって漸次幅広に突出する。また、鍔部124a,124bは、ティース本体122のコア102側端部からコア102の軸方向とコア102の径方向とに垂直な方向(ティース本体122の短手方向)に、ティース本体122のコア102側端部よりも突出する。すり割り130は、凸部128の先端部134からコア102の径方向に延び、かつコア102の軸方向における凸部128の一端部(一端面)から他端部(他端面)まで形成される。ピン孔132は、凸部128をコア102の軸方向に貫通する。
【0077】
ティース本体122の短手方向において、凸部128の先端部134の幅R1は、凹部118の底面部の幅R2よりも小さい。また、ティース本体122の短手方向において、凸部128の先端部134の幅R1は、コア102の内周面における凹部118の開口部の幅R3よりも大きい。ティース本体122の短手方向において、凸部128の基部135の幅R4は、凹部118の開口部の幅R3よりも小さい。さらに、ティース本体122の短手方向において、鍔部124aの先端面から鍔部124bの先端面までの幅R5は、凹部116の幅R6と略同一寸法に設定される。凹部118の側面と凸部128の側面との隙間は、凸部128の基部135側より凸部128の先端部134側の方が大きくなるように設定される。このように、凹部116、凹部118、鍔部124a,124b、および凸部128を形成することで、コア102とコイルアッシー104とを、コア102の軸方向に移動自在に接続可能である。また、ティース本体122の短手方向において、凸部128の先端部134の幅R1が、凹部118の開口部の幅R3よりも大きいことによって、ピン106をピン孔132に圧入していない状態であっても、コイルアッシー104がコア102の径方向の内方へ外れることを防止できる。すり割り130は、凸部128の先端部134側で開口しているので、ピン106をピン孔132に圧入すると、2点鎖線で示すように、凸部128は基部135におけるすり割り130の端部近傍を支点としてティース本体122の短手方向へ開く。凸部128がティース本体122の短手方向へ開くと、凸部128は凹部118の側面と接触し、さらに凸部128は凹部118の側面を押圧する。ここで、凹部118および凸部128は、コア102の径方向の外方へ向かって漸次幅広となるので、上述のように凸部128が凹部118の側面を押圧すると、凸部128にはコア102の径方向の外方への力Sが加わる。これによって、凸部128は凹部118の側面に沿ってコア102の径方向の外方へ移動する。
【0078】
次に、
図26を参照して、凸部128がコア102の径方向の外方へ移動すると、コイルアッシー104自体もコア102の径方向の外方へ移動する。すなわち、ティース本体122および鍔部124a,124bもコア102の径方向の外方へ移動する。これによって、ティース本体122および鍔部124a,124bは凹部116の底面と接触する。その後も、凸部128は凹部118の側面を押圧し続ける。これによって、ティース本体122および鍔部124a,124bは、凹部116を押圧し凹部116と密着する。このように、凸部128が凹部118の側面を押圧し、ティース本体122および鍔部124a,124bが、凹部116と密着することによって、コア102にコイルアッシー104が固定される。このとき、前述したように、鍔部124aの先端面から鍔部124bの先端面までの幅R5は、凹部116の幅R6と略同一寸法に設定されるので、コア102とティース108とにおいて形成される磁路U2(
図15、
図26参照)中のギャップ部分を少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。また、ティース本体122の長手方向において、鍔部124a,124bの寸法(厚み)は、凹部116の寸法(深さ)と同一寸法に設定される。これによって、コア102と絶縁体110の鍔部138a,140a,138b,140bとの隙間を埋めることができる。したがって、コア102とティース108とにおいて形成される磁路U2中のギャップ部分を少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。
【0079】
コア102の複数の接続部114のそれぞれに、コイルアッシー104を固定したものが固定子100である。
【0080】
このような回転電機の固定子100によれば、ティース108が鍔部124a,124bを有することによって、ティース本体122に巻回されるコイル112が鍔部124a,124bよりもコア102側にずれることを防止できる。すなわち、コイル112が鍔部124a,124bよりもコア102側へはみ出ることを防止できる。これによって、コア102の凹部118とティース108の凸部128とを嵌合するときに、コア102とコイル112とが相互に干渉することなく、コア102の凹部118とティース108の凸部128とを容易に嵌合することができ、コア102とティース108との組み立てが容易になる。また、凹部118と凸部128とを嵌合させた状態でピン106をピン孔132に圧入すると、凸部128は、コア102の軸方向とコア102の径方向とに垂直な方向に広がることによって、凹部118の側面に接触しさらに凹部118の側面を押圧する。ここで、凹部118と凸部128とはティース108からコア102に向かって漸次幅広に形成されているので、凸部128が凹部118の側面を押圧することによって、ティース108はコア102の径方向においてコア102側へ移動し、コア102とティース108の鍔部124a,124bとが密着し、コア102にティース108が固定される。したがって、ティース本体122のコア102側端部に鍔部124a,124bを形成することによって、コア102とティース108とにおいて形成される磁路U2中のギャップ部分を少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。
【0081】
凹部118と凸部128とを嵌合させた状態でピン106をピン孔132に圧入すると、凸部128はピン孔132から凸部128の先端部134にかけて全体的に、コア102の軸方向とコア102の径方向とに垂直な方向へ開くことができる。このとき、凸部128は基部135におけるすり割り130の端部近傍を支点として開く。したがって、凸部128の移動量は、その基部135側よりその先端部134側の方が大きくなる。このような場合において、予め、凹部118の側面と凸部128の側面との隙間を凸部128の基部135側より先端部134側の方が大きくなるように設定しておくと、凸部128が開いたときに、凹部118と凸部128とは、凸部128の基部135から先端部134にかけて全体的に接触し易くなる。これによって、コア102とティース108とにおいて形成される磁路U2中のギャップ部分をさらに少なくでき、より大きな磁界を得ることができる。
【0082】
金属からなるティース108で強度を確保できるので、ティース108に装着される樹脂からなる絶縁体110の厚みを小さくできる。したがって、ティース108が鍔部124a,124bを有する場合における鍔部124a,124bと鍔部124a,124bを覆う絶縁体110の鍔部138a(140b),140a(138b)とを合わせたコア径方向の厚みT(
図22参照)を、ティース108が鍔部124a,124bを有することなく絶縁体110にのみ鍔部(ティース108の鍔部124a,124bに相当する部分)を形成する場合における絶縁体110の鍔部のコア径方向の厚みよりも小さくできる。その結果、鍔部124a,124bを設けたティース108においてコイル112を巻回できる範囲を十分に確保でき、コイル112の巻回数を多くできるので、大きな磁界を得ることができる。
【0083】
ピン106は、スプリングピンであるので、スプリングピン以外のピンを用いる場合よりも、スプリングピンが圧入されるピン孔132の内径の公差を大きく設定することができるため、安価で製造できる。
【0084】
固定子100は、回転子がティース108よりもコア102の径方向において内側に配置されるインナーローター型の回転電機に好適に用いられる。
【0085】
上述の実施形態では、コア12,102が筒状に形成される場合について説明したが、コア12,102は少なくとも環状であればよい。
【0086】
上述の実施形態では、ピン孔40,132が断面円形に形成される場合について説明したが、これに限定されず、ピン孔40,132は断面三角形や断面四角形等に形成されてもよい。
【0087】
上述の実施形態では、凹部26および凸部36が直線的に漸次幅広に形成される場合について説明したが、これに限定されず、凹部26および凸部36の少なくともいずれか一方は、湾曲しながら漸次幅広に形成されてもよいし、階段状に幅広に形成されてもよい。凹部118および凸部128についても同様である。
【0088】
上述の実施形態では、すり割り130は凸部128の先端部134の中央から凸部128の基部135まで延びる場合について説明したが、これに限定されず、すり割り130はティース本体122の一部まで延びてもよい。好ましくは、すり割り130は、鍔部124a,124bよりもティース本体122の長手方向の他端部側にはみ出さないように形成される。
【0089】
上述の実施形態では、ピン孔132の中心X2とすり割り130の中央Y2とが略一致する場合について説明したが、これに限定されず、ティース本体122の長手方向において、ピン孔132の中心X2がすり割り130の中央Y2よりもティース本体122側に位置してもよい。