特許第6326130号(P6326130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326130
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20180507BHJP
   B65G 25/08 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
   B65G25/08
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-508423(P2016-508423)
(86)(22)【出願日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2014057814
(87)【国際公開番号】WO2015140995
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2017年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大坪 覚
(72)【発明者】
【氏名】山室 淳市
【審査官】 小金井 匠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−136444(JP,U)
【文献】 特開2008−192824(JP,A)
【文献】 特開平05−178441(JP,A)
【文献】 特開平06−291492(JP,A)
【文献】 特開平09−260896(JP,A)
【文献】 特開2003−188517(JP,A)
【文献】 特開2008−010785(JP,A)
【文献】 特開昭62−249821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B65G 25/00−25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に係合可能な複数の係合部と、
それら複数の係合部のうちの1つを、選択的に休止状態とする選択的休止装置と
を含み、前記複数の係合部から前記選択的休止装置により休止状態とされた1つの係合部を除く1つ以上の係合部により1つ以上の回路基板を搬送する基板搬送装置であって、
当該基板搬送装置が、前記複数の係合部を移動させるアクチュエータと、そのアクチュエータを駆動する1つの駆動源とを備えた移動装置を含み、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記1つの駆動源が作動状態にあっても移動させられない状態である前記休止状態とする選択的移動休止部を含む基板搬送装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが、前記複数の係合部を前記回路基板に係合可能な作動可能位置と前記回路基板から離間した退避位置とに回動させる回動アクチュエータであり、
前記駆動源が、前記回動アクチュエータを駆動する回動駆動源であり、
前記移動装置が、前記回動アクチュエータと前記回動駆動源とを備えた係合部回動装置であり、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記1つの回動駆動源が作動状態にあっても回動させられない状態である前記休止状態とする選択的回動休止部を含む請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記係合部回動装置が、前記回動アクチュエータにより回動させられる回動体を含み、
当該基板搬送装置が、前記複数の係合部の各々に対応して設けられ、前記係合部をそれぞれ保持するとともに、前記1つの回動体に接続・分離可能な複数の係合部保持部を含み、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つに対応する係合部保持部を前記回動体から分離することにより、前記複数の係合部のうちの1つを、前記休止状態とする保持部分離部を含む請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが、前記複数の係合部を、前記回路基板の搬送方向に水平移動させる水平移動アクチュエータであり、
前記駆動源が、前記水平移動アクチュエータを駆動する水平移動駆動源であり、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記水平移動駆動源が作動状態であっても前記搬送方向へ移動させられない状態である前記休止状態とする選択的水平移動休止部を含む請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
複数の係合部を1つの駆動源により移動させることにより、前記複数の係合部に係合させられた複数の回路基板を搬送する基板搬送装置に、
前記複数の係合部のうちの第1設定個数の係合部により第1設定枚数の回路基板を搬送可能な第1搬送状態と、前記複数の係合部のうちの前記第1設定個数より少ない第2設定個数の係合部により、前記第1設定枚数より少ない第2設定枚数の回路基板を搬送する第2搬送状態とに切り換え可能な搬送状態切換装置を設けたことを特徴とする基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を搬送する基板搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのスライダと、その1つのスライダに固定的に設けられた2つのアームとを備え、レールに沿って1つの回路基板を2つのアームにより搬送する基板搬送装置が記載されている。
特許文献2には、複数のプッシャと、複数のプッシャを移動させる移動装置とを備えた基板搬送装置が記載されている。この基板搬送装置においては、待機位置、フラクサ位置、プリヒート位置、はんだ付着位置の各々にある複数の回路基板が、複数のプッシャにより、それぞれ、次の工程の作業位置へ同時に移動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−299893号公報
【特許文献2】特開2003−188517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、複数の係合部を含む基板搬送装置の使い勝手をよくすることであり、例えば、回路基板が大きくても搬送可能とすること等である。
【課題を解決するための手段および効果】
【0005】
本発明に係る基板搬送装置は複数の係合部を含むが、複数の係合部のうちの1つが休止状態とされる。
例えば、複数の係合部すべてが回路基板を搬送可能な状態にある場合には、多くの回路基板を同時に搬送することが可能となり、作業効率を向上させることが可能である。複数の係合部のうちの1つが休止状態にされれば、複数の係合部すべてが搬送可能状態にある場合に比較して、大きな回路基板を搬送することが可能となる。このように、本基板搬送装置においては、回路基板の大きさが異なっても搬送可能であるため、使い勝手をよくすることができる。
【特許請求可能な発明】
【0006】
以下、特許請求可能な発明について説明する。
(1)回路基板に係合可能な複数の係合部と、
それら複数の係合部のうちの1つを、選択的に休止状態とする選択的休止装置と
を含み、前記複数の係合部から前記選択的休止装置により休止状態とされた1つの係合部を除く1つ以上の係合部により1つ以上の回路基板を搬送することを特徴とする基板搬送装置。
係合部の形状は問わず、例えば、アームに設けられた爪とすることができる。また、複数の係合部の形状、態様は問わず、例えば、1つのアームに設けられた複数の爪としたり、複数のアームの各々に設けられた複数の爪(複数のアームには、1つの爪を備えたアームと、複数の爪を備えたアームとが含まれるようにすることができる)としたりすること等ができる。
(2)前記選択的休止装置が、前記回路基板の搬送方向に基づいて決まる前記複数の係合部のうちの1つを前記休止状態とする(1)項に記載の基板搬送装置。
(3)前記選択的休止装置が、当該基板搬送装置において搬送される回路基板の大きさに関する情報に基づいて前記複数の係合部のうちの1つを前記休止状態とする(1)項または(2)項に記載の基板搬送装置。
(4)当該基板搬送装置が、前記複数の係合部を移動させるアクチュエータと、そのアクチュエータを駆動する1つの駆動源とを備えた移動装置を含み、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記1つの駆動源が作動状態にあっても移動させられない状態である前記休止状態とする選択的移動休止部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の基板搬送装置。
移動としては、直線移動、水平移動、回動等が該当する。
(5)前記アクチュエータが、前記複数の係合部を同時に移動させるものである(4)項に記載の基板搬送装置。
アクチュエータは、1つの駆動源により複数の係合部を同時に移動させるものとしたり、タイミングをずらして移動させるものとしたりすること等ができる。
(6)前記アクチュエータが、前記複数の係合部を前記回路基板に係合可能な作動可能位置と前記回路基板から離間した退避位置とに回動させる回動アクチュエータであり、
前記駆動源が、前記回動アクチュエータを駆動する回動駆動源であり、
前記移動装置が、前記回動アクチュエータと前記回動駆動源とを備えた係合部回動装置であり、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記1つの回動駆動源が作動状態にあっても回動させられない状態である前記休止状態とする選択的回動休止部を含む(4)項または(5)項に記載の基板搬送装置。
(7)前記係合部回動装置が、前記回動アクチュエータにより回動させられる回動体を含み、
当該基板搬送装置が、前記複数の係合部の各々に対応して設けられ、前記係合部をそれぞれ保持するとともに、前記1つの回動体に接続・分離可能な複数の係合部保持部を含み、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つに対応する係合部保持部を前記回動体から分離することにより、前記複数の係合部のうちの1つを、前記休止状態とする保持部分離部を含む(6)項に記載の基板搬送装置。
(8)前記複数の係合部保持部の各々が、前記回動体に係合、離間可能なレバーを含み、
前記保持部分離部が、前記係合部回動装置に前記複数の係合部を回動させることにより、前記対応する係合部保持部に設けられたレバーを前記回動体に係合する係合位置から離間する離間位置へ回動させて、前記1つの係合部保持部を前記回動体から分離する分離時回動装置制御部を含む(7)項に記載の基板搬送装置。
(9)前記移動アクチュエータが、前記複数の係合部を、前記回路基板の搬送方向に水平移動させる水平移動アクチュエータであり、
前記駆動源が、前記水平移動アクチュエータを駆動する水平移動駆動源であり、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記水平移動駆動源が作動状態であっても前記搬送方向へ移動させられない状態である前記休止状態とする選択的水平移動休止部を含む(4)項または(5)項に記載の基板搬送装置。
(10)当該基板搬送装置が、(i)(a)前記複数の係合部を前記回路基板に係合可能な作動可能位置と前記回路基板から離間した退避位置とに回動させる回動アクチュエータと、(b)前記回動アクチュエータを駆動する1つの回動駆動源とを備えた係合部回動装置と、(ii)(a)前記複数の係合部を、前記回路基板の搬送方向に移動させる水平移動アクチュエータと、(b)前記水平移動アクチュエータを駆動する1つの水平移動駆動源とを備えた係合部水平移動装置とを含み、
前記選択的休止装置が、前記複数の係合部のうちの1つを、前記1つの回動駆動源と前記1つの水平移動駆動源との少なくとも一方が作動状態にあっても静止している状態である前記休止状態とする選択的移動休止部を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の基板搬送装置。
(11)前記選択的休止装置が、前記回路基板の搬送時の前記複数の係合部の移動範囲から外れた位置に設けられた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の基板搬送装置。
(12)前記選択的休止装置が、前記休止状態にされた1つの係合部を前記休止状態に維持する係合部保管部を含む(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の基板搬送装置。
(13)回路基板に係合可能な複数の係合部と、
それら複数の係合部のうちの第1設定個数の係合部により第1設定枚数の回路基板を搬送可能な第1搬送状態と、前記複数の係合部のうちの前記第1設定個数より少ない第2設定個数の係合部により、前記第1設定枚数より少ない第2設定枚数の回路基板を搬送する第2搬送状態とに切り換え可能な搬送状態切換装置と
を含むことを特徴とする基板搬送装置。
本項に記載の基板搬送装置には、(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(14)回路基板に係合可能な複数の係合部と、
それら複数の係合部のうちの少なくとも1つの各々について、回路基板を搬送可能な作動状態と、前記回路基板を搬送不能な休止状態とに切り換え可能な個別搬送状態切換装置と
を含むことを特徴とする基板搬送装置。
本項に記載の基板搬送装置には、(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(15)当該基板搬送装置が、前記複数の係合部を1つの駆動源で移動させる移動装置を1つ以上含む(13)項または(14)項に記載の基板搬送装置。
移動装置は、複数の係合部を一方向に1つの駆動源で移動させるものである。当該基板搬送装置が複数の移動装置を含む場合があるが、複数の移動装置は、それぞれ、複数の係合部を互いに異なる向きに移動させる。移動には、直線移動、水平移動、回動等が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例である基板搬送装置を備えた電子回路組立装置を示す斜視図である。
図2】上記電子回路組立装置の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】上記基板搬送装置を示す斜視図である。
図4】上記基板搬送装置のシャトル搬送装置を示す斜視図である。
図5】上記シャトル搬送装置の要部を示す正面図である。
図6】上記シャトル搬送装置の要部のアームを除いた状態を示す正面図である。
図7】(a)〜(c)上記アームの回動状態を示す図である。
図8】(1)〜(4)上記シャトル搬送装置に含まれる移動体とアーム保持部(アームを除いたもの)との連結を切り離す場合の作動図である。
図9】(1)〜(4)上記移動体と上記アーム保持部を含むアームユニットとの連結を切り離す場合の作動図である。
図10】(a)基板搬送装置の制御装置の周辺を示すブロック図である。(b)制御装置の記憶部に記憶されたアーム状態切換制御プログラムを表すフローチャートである。
図11】(a)2つのアームが作動状態にある場合の搬送状態を示す図である。(b)1つのアームが休止状態にある場合の搬送状態を示す図である。
【発明の実施の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態である基板搬送装置を含む自動組立装置について説明する。
図1には、自動組立装置の一種である電子回路組立装置が図示されている。この電子回路組立装置は、(a)組立装置本体10,(b)基板搬送装置14,(c)部品供給装置16,(d)部品装着装置20等を含む。
基板搬送装置14は、回路基板P(以後、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものである。図1において、xは基板搬送装置14による基板Pの搬送方向であり、yは基板Pの幅方向であり、zは基板Pの厚み方向、すなわち、電子回路組立装置の上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。
なお、基板搬送装置14は、基板Pをx1方向に搬送する場合、x2方向に搬送する場合があり、本電子回路組立装置は、いずれの場合にも適用することができる。換言すれば、搬送方向(x方向)とは、正・逆両方向(x1方向とx2方向との両方)を含む。厚み方向(y方向)、上下方向(z方向)についても同様である。また、基板搬送装置14については後述する。
【0009】
部品供給装置16は、基板Pに装着される部品を供給するものであり、例えば、複数のテープフィーダを含むものとしたり、複数のトレイを含むものとしたりすること等ができる。
部品装着装置20は、部品供給装置16において供給された部品を受け取って、基板搬送装置14に保持された基板Pの予め定められた位置に装着するものである。部品装着装置20は、図2に示すように、2つの作業ヘッド30,32および作業ヘッド移動装置34を含む。作業ヘッド移動装置34は、x方向移動装置35,y方向移動装置36およびz方向移動装置37,38を含む。作業ヘッド30,32は、x方向移動装置35およびy方向移動装置36により水平面内の任意の位置へ一体的に移動させられ、z方向移動装置37,38によりそれぞれ、個々に独立してz方向に移動させられ得る。作業ヘッド30,32は、それぞれ、例えば、部品を保持する部品保持ツール40(例えば、チャックや吸着ノズル等とすることができる)を備えたものとすること等ができる。なお、符号44,46はカメラであるが、カメラ44は組立装置本体10に設けられ、カメラ46は作業ヘッド30に保持される。
【0010】
基板搬送装置14は、図3に示すように、(a)互いにy方向に隔てて設けられ、x方向に延びた一対のガイド50,52、(b)一対のガイド50,52の間隔(y方向の間隔)を変更可能な幅替え装置54、(c)一対のガイド50,52の一方の端部に設けられた第1コンベア装置56、(d)他方の端部に設けられた第2コンベア装置58、(e)第1コンベア装置56と第2コンベア58装置との間に設けられた基板保持装置60、(f)少なくとも第1コンベア装置56と基板保持装置60との間、基板保持装置60と第2コンベア装置58との間で基板Pを移動させるシャトル搬送装置62等を含む。
【0011】
<第1コンベア装置,第2コンベア装置>
コンベア装置は、搬送ベルトの作動により基板Pを搬送するものである。
第1コンベア装置56は、(a)ガイド50,52にそれぞれ設けられた第1コンベア66p,q(ガイド50に設けられたコンベア66pを図示し、ガイド52に設けられたコンベア66qの図示を省略する。第2コンベア装置58についても同様とする)、(b)第1コンベアモータ68、(c)第1コンベアモータ68の駆動力を、第1コンベア66p,qに伝達する駆動伝達部70等を含むものとすることができる。第1コンベア66p,qは、それぞれ、複数のプーリ72p,qと、複数のプーリ72p,qに巻きかけられた搬送ベルト74p,qとを含み、第1コンベアモータ68の回転駆動が駆動プーリ72pd,qdを介して第1コンベア66p,qに伝達される。
第2コンベア装置58は、第1コンベア装置56と同様の構造を成したものであり、(a)ガイド50,52にそれぞれ設けられた第2コンベア78p,q、(b)第2コンベアモータ80、(c)駆動伝達部82等を含む。第2コンベア78p,qは、それぞれ、駆動プーリ84pd,qdを含む複数のプーリ84p,qと、搬送ベルト86p,qとを含む。
なお、基板の搬送方向がx1である場合には、第1コンベア装置56がIN側のコンベア装置として機能し、第2コンベア装置58がOUT側のコンベア装置として機能する。搬送方向がx2である場合には、第2コンベア装置58がIN側コンベア装置、第1コンベア装置56がOUT側コンベア装置として機能する。
<基板保持装置>
基板保持装置60は、基板Pをクランプするものであり、ガイド50,52にそれぞれ設けられた基板保持部90p,qを含む。基板保持部90p,qは、それぞれ、(a)基板Pを下方から保持するレール92p,q、(b)基板Pを上方から押さえるクランパ94p,q、(c)クランパ駆動部96p,q等を含む。クランパ駆動部96p,qによりクランパ94p,qがクランプ解除位置と、レール92p,qとともに基板Pを上下方向から把持するクランプ位置とに切り換えられる。
【0012】
<シャトル搬送装置>
シャトル搬送装置62は、図4〜6に示すように、基板Pを後方から押しつつ移動させるものであり、ガイド50に沿って設けられる。シャトル搬送装置62は、(a)2つのアームユニット100a,b、(b)2つのアームユニット100a,bの間に設けられた移動体102、(d)シャトル水平移動装置104、(e)アーム回動装置108、(f)休止装置110a,b(図3参照)等を含む。2つのアームユニット100a,bの各々と移動体102とは、それぞれ、接続・分離可能とされており、移動体102と、移動体102に接続された少なくとも1つのアームユニット100a,bとによりシャトル112が構成される。
【0013】
{ シャトル水平移動装置 }
シャトル水平移動装置104は、シャトル112をx方向に水平に直線移動させるものであり、(a)正・逆両方向に回転可能な水平移動駆動源としての1つのシャトルモータ122(図3参照)、(b)ガイド50と平行に延びたシャトルガイド124、(c)シャトルモータ122の回転を直線移動に変換するとともに、シャトルモータ122の駆動力をシャトル112に伝達する駆動伝達装置126等を含む。駆動伝達装置126は、(x)ガイド50等の基板搬送装置14の本体に回転可能に設けられた複数のプーリ130(図4,6に1つのプーリを記載)、(y)シャトルモータ122の出力軸と複数のプーリ130とに巻きかけられたシャトル搬送ベルト132、(z)シャトル搬送ベルト132に相対移動不能に係合させられるとともに、シャトルガイド124に相対移動可能に係合させられたスライダ134等を含む。
【0014】
{ アーム回動装置 }
アーム回動装置108は、アームユニット100a,bのアーム136a,bを回動させるものであり、(a)回動駆動源としての1つの回動シリンダ(エアシリンダ)140、(b)回動シリンダ140の可動部材(ピストンロッド)142のz方向の水平移動を回転運動に変換するラックアンドピニオン機構144、(c)ラックアンドピニオン機構144の出力軸であり、ガイド50と平行に延びたスプライン軸146等を含む。回動シリンダ140において、電磁弁148(図10参照)の制御により高圧エアの供給状態が制御されて、可動部材142の移動が制御される。可動部材142がz1方向へ移動させられるとスプライン軸146はR1方向に回転させられ、z2方向へ移動させられるとR2方向に回転させられる。
スプライン軸146には、スプラインナット150a,bが一体的に回転可能、かつ、x方向に相対移動可能に嵌合される。
【0015】
{ 移動体 }
移動体102は、上記スライダ134およびスプラインナット150a,bを含み、シャトル水平移動装置104、アーム回動装置108により移動させられるものである。アームユニット100a,bは、移動体102に接続された状態において移動体102の移動に伴って移動させられるが、分離された状態において移動体102が移動させられても移動させられることはない。このことから、移動体102は、シャトルモータ122、回動シリンダ140の駆動をアームユニット100a,bに伝達する駆動伝達部の一構成要素としての機能を有する。また、移動体102に2つのアームユニット100a,bが接続された状態において、2つのアームユニット100a,bは互いに連結される。このことから、移動体102は2つのアームユニット100a,bを連結する連結体としての機能も有する。
【0016】
前記スプラインナット150a,bは、ナット保持部152a,bに一体的に回転可能に保持され、ナット保持部152a,bは、スライダ134のx方向の両端部に、それぞれx軸回りに相対回転可能、かつ、x方向に一体的に移動可能に保持される。
ナット保持部152a,bは、それぞれ、大径部と小径部とを有する段付き形状を成したものであり、互いに対向する側が大径部153a,bとされ、アームユニット側が小径部154a,bとされる。上記スプラインナット150a,bは、それぞれ、大径部153a,bにおいて固定的に嵌合される。
小径部154a,bには、それぞれ、アームユニット100a,bのユニット回動体160a,bが、一体的に回転可能に嵌合される。例えば、小径部154a,bの外周面に形成されたキー溝156a,bにユニット回動体160a,bに設けられたキー162a,b(図7に156a、162aを記載)が係合した状態で嵌合されるようにすることができる。
大径部153a,bの小径部側の端部には、それぞれ、x方向と交差する方向に延びた接続凹部164a,bが設けられ、アームユニット100a,bとの接続に利用される。また、大径部153a,bの小径部154a,bとは反対側の端部には、それぞれ、接線がx方向に直交する円環状の溝163a,bが形成される。一方、スライダ134のx方向の両端部には、それぞれ、z方向に突出した突部165a,bが設けられる。ナット保持部152a,bは、円環状の溝163a,bに突部165a,bが係合させられた状態で、詳細には、突部165a,bの両側面がそれぞれx方向において円環状の溝163a,bの壁部と対向した状態でスライダ134に保持されるのである。それにより、スライダ134のx方向の移動に伴ってナット保持部152a,bが移動可能とされる。また、ナット保持部152a,bのx軸回りの回転が案内されることにより、回転に伴うナット保持部152a,bのx方向への移動が良好に防止される。
【0017】
{ アームユニット }
2つのアームユニット100a,bは、z軸に対して互いに対称な形状を成したものであるが、構造は同じである。以下、アームユニット100aについて説明し、アームユニット100bについては、図において対応する部材に同じ数字に添え字bを付して、説明を省略する。
アームユニット100aは、アーム136aと、アーム136aを保持するアーム保持部166aとを含む。アーム136aは、概してx方向に延び、基部においてアーム保持部166aに保持された本体部170aと、本体部170aの基部とは反対側のy方向に突出した先端部に設けられた係合部としての爪172aとを含む。爪172aは本体部170aから下方に突出し、基板Pに係合可能とされる。
【0018】
また、図4,5に示すように、移動体102に2つのアームユニット100a,bが接続された状態で、アーム136a,bは、それぞれ、移動体102から離間する方向に延びるため、爪172a,bの間の間隔L0が大きくされる。本実施例においては、間隔L0が基板保持部60のレール92p,qの長さとほぼ同じ長さとされる。また、爪172aは、基板Pがx1方向に搬送される場合にシャトル112の下流側端部に位置し、x2方向に搬送される場合に上流側端部に位置する。そのため、爪172aは、基板Pがx2方向へ搬送される場合に適したものである。
【0019】
アーム保持部166aは、それぞれ、保持部本体174aと、前記ユニット回動体160aとを含む。ユニット回動体160aは保持部本体174aにx軸回りに相対回動可能に保持されており、保持部本体174aに対してアーム136aがリンク機構178a(図7参照)を介して回動可能に保持される。
保持部本体174aは、シャトルガイド124との係合部180aを含み、回動不能かつx方向に直線的に水平移動可能とされる。
ユニット回動体160aの中央部にはx方向に延びた貫通穴182aが形成され、貫通穴182aにナット保持部152aの小径部154aが挿抜可能に挿入した状態にある。ユニット回動体160aの外側には、レバー186aがy方向に延びた回動軸188aの回りに回動可能に保持される。レバー186aは、x方向の長さがユニット回動体160aより長く、ユニット回動体160aからx方向の両側においてそれぞれ突出する。そして、レバー186aの移動体側の端部の内周側の面には接続爪190aが内周側に向かって突出して設けられ、移動体102とは反対側の端部(休止装置側の端部)の外周側の面には傾斜部192aが設けられる。傾斜部192aは、図8(4),図9(4)に示すように、ユニット回動体160aの周方向に、R1方向の前方から後方に向かって厚みが増す(外側面が外周側に突出する)向きに傾斜する。レバー186aは、接続爪190aが移動体102のナット保持部152aの接続凹部164aに係合させられる接続位置と、接続凹部164aから離間した離間位置との間で回動可能とされるが、回動軸188aに設けられたスプリング196aにより接続位置に付勢される。また、ユニット回動体160aの貫通穴182aの休止装置側の端部には、x方向に突出した円弧状の回転係合突部200aが設けられる。回転係合突部200aの先端部には、内周側に突出する円弧状の係合爪202a{図7図8(3)、(4)参照}が設けられる。
【0020】
リンク機構178aは、図7(a)〜(c)に示すように、(1)ユニット回動体160aに相対回動可能に連結された第1ロッド178ap、(2)保持部本体174aに相対回動可能に連結された第2ロッド178aq、(3)これら第1、第2ロッド178ap、aqに相対回動可能に連結されるとともにアーム136aを保持する第3ロッド178ar、(4)第2ロッド178aqに、保持部本体174aに向かう弾性力を付与するスプリング178as、(5)保持部本体174aに設けられ、第1ロッド178apの動きを案内するカム178at等を含む。アーム136aは、リンク機構178aにより、図7(a)に示す爪172aが搬送ベルト74p,q,86p,q、または、レール92p,q上にある基板Pに係合可能な作動可能位置と、図7(c)に示す爪172aが基板Pから離間する退避位置との間で可動可能とされる。
【0021】
{ 休止装置 }
休止装置110a,b(図3参照)は、爪172a,bを基板Pを搬送可能状態と休止状態とに切り換えるとともに、休止状態に保持するものである。休止状態とは、シャトルモータ122が作動状態にあっても直線的に水平移動させられず、かつ、スプライン軸146が回転しても回動させられない状態であり、静止状態と称することもできる。
休止装置110a,bは、シャトル112の基板Pの搬送時における移動範囲から外れた位置、本実施例においては、スプライン軸146の両端部に設けられるのであり、ストッパとしての機能も有する。
休止装置110a,bはz軸に対して対称なものであるが、構造は同じであるため、休止装置110aについて説明し、休止装置110bについての説明を省略する。
【0022】
休止装置110aは、図6に示すように、基板搬送装置14の本体(ガイド50等)に固定的に設けられたものであり、(a)本体210a、(b)スプライン軸146の外周に設けられた概して円筒状を成す係合部212a、(c)本体210aに、係合部212aの上方にx方向に突出して設けられたレバー回動部としてのプレート214a等を含む。係合部212aの軸方向の中間部には、概して円環状の環状凹部216aが設けられるとともに、その環状凹部216aを横切って軸方向に延びた切欠218aが設けられる。切欠218aの円周方向の長さ(隙間の大きさ)d1は、回転係合突部200aの係合爪202aの円周方向の長さd2{図7(c)参照}よりわずかに大きくされ(d1>d2)、係合爪202aが切欠212aに係合可能とされている。
【0023】
{ 制御装置 }
本電子部品組立装置には、コンピュータを主体とする制御装置250が設けられる。制御装置250には、シャトル位置センサ252、アーム回動位置センサ254等が接続されるとともに、シャトルモータ122、電磁弁148等が接続される。シャトル位置センサ252は、シャトル122のx方向の位置を検出するものであり、シャトル122が予め定められたエンド位置に達したか否かが検出される。アーム回動位置センサ254は、回動シリンダ140の可動部材142のz方向の位置を検出するものであり、アーム136a,bが作動可能位置、退避位置にあることが検出される。
【0024】
<基板搬送装置における作動>
{ 基板搬送 }
本実施例においては、搬送方向がx1である場合について説明する。
シャトル搬送装置62において、通常は、アームユニット100a,b(爪172a,b)の各々が移動体102に接続された状態、すなわち、2つのアームユニット100a,bが移動体102を介して連結された状態にある。2つの爪172a,bは一体的に(同時に)水平移動させられ、かつ、2つのアーム136a,bは一体的に回動させられる。この状態において、基板Pのx方向の長さLが2つの爪172a,bの間隔L0より小さい場合には、2つの爪172a,bにより2枚の基板が同時に搬送される。
また、本基板搬送装置14において、第1コンベア装置56の搬送ベルト74p,q上の予め定められた位置が待機位置とされ、基板保持部60のレール92p,q上の予め定められた位置が装着位置(挿入位置、作業位置)とされ、第2コンベア装置58の搬送ベルト84p,q上の予め定められた位置が搬出位置とされる。基板Pは待機位置から装着位置、装着位置から搬出位置へ搬送される。
【0025】
その場合の作動について、図11(a)に基づいて簡単に説明する。
(T1)待機位置に搬送された基板P1は爪172bによって後方から押されて、x1方向へ移動させられる。(T2)基板P1が装着位置に移動させられると、2つのアーム136a,bは退避位置に回動させられ、待機位置へ水平移動させられる(x2方向へ戻される)。基板P1については、レール92p,qとクランパ94p,qとによりクランプされた状態で、リード部品の挿入、リード線のカット、クリンチ等の作業が行われる。(T3)基板P1に対する作業が終了するとクランプが解除される。また、待機位置に搬入された基板P2が爪172bによって押されてx1方向へ移動させられる。爪172aが基板P1に当接すると、爪172a,bが基板P1,P2を同時にx1方向へ移動させる。(T4)基板P2が装着位置へ移動させられ、基板P1は搬出位置へ移動させられる。(T5)基板P1は、OUT側の第2コンベア装置58により搬出させられ、次の基板P3が待機位置に搬入される。以下、(T3)〜(T5)が繰り返し行われる。
また、爪172a,bで基板P1,P2を移動させる際に、第1コンベア装置56、第2コンベア装置58の搬送ベルト74p,q、84p,qが駆動させられる。それにより、搬送ベルト74p,q、84p,qの摩耗防止、爪172a,bおよびアーム136a,bへの負荷低減、基板搬送の高速化等が図られる。
【0026】
このように、2つの爪172a,bにより、2枚の基板Pが同時に搬送される。待機位置にある基板Pを装着位置まで移動させるのに要する時間t1と、作業終了後に、装着位置から搬出位置まで移動させるのに要する時間t2(=t1)との和(t1+t2)をローディング時間と称するが、本実施例においては、装着位置から搬出位置への移動と、待機位置から装着位置への移動とが同時に行われるため、ローディング時間はt1となり、基板を1枚ずつ搬送する場合に比較して短くなる。
【0027】
それに対して、基板Pの長さLが間隔L0より大きい場合には、爪172aが休止状態とされる。爪172bによって1枚の基板Pがx1方向へ搬送されるのであり、この場合の作動を図11(b)に基づいて説明する。
(T11)待機位置に達した基板P*1が爪172bにより後方から押されて装着位置へ移動させられる。(T12)基板P*1についての作業が終了すると、(T13)爪172bは基板P*1を搬出位置へ移動させる。(T14)アーム136bが退避位置へ回動させられ、待機位置へ水平移動させられる。(T15)アーム136bは作動可能位置に回動させられ、爪172bは、待機位置に搬入された次の基板P*2を後方から押しつつ装着位置へ移動させる。また、搬出位置にある基板P*1はOUTコンベア装置58により搬出させられる。以下、(T13)〜(T15)が繰り返し実行される。
このように、基板Pの長さLがL0より大きい場合には、爪172aが休止状態とされるため爪172bにより基板Pが搬送されるのであるが、この場合のローディング時間は、待機位置から装着位置まで移動させる時間t*1と装着位置から搬出位置まで移動させる時間t*2との和となる(t*1+t*2)。
【0028】
{ 爪の自動休止 }
2つの爪172a,bにより基板を搬送できない場合には、爪172a,bのうち、基板Pの搬送方向に基づいて決まる1つの爪172が選択的に休止状態とされる。搬送方向がx1である場合には爪172aが休止状態とされ、搬送方向がx2である場合には爪172bが休止状態とされるのである。
また、爪172aは、搬送される基板Pの長さLが間隔L0より大きい場合に自動で休止状態とされる。生産プログラムから取得された搬送される基板Pの大きさに関する情報に基づき、基板Pの長さLが間隔L0より大きいと判断された場合には、シャトル水平移動装置104、アーム回動装置106の制御により爪172aが休止状態とされるのである。
【0029】
制御装置250においては、図10のフローチャートで表される係合部休止プログラムが実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、基板サイズに関する情報が読み込まれ、S2において、そのサイズが、基板Pの長さLが間隔L0以下であるサイズであるか否かが判定される。基板Pの長さLがL0以下である場合には、S3において、休止状態にある爪が存在するか否か(爪172aが休止状態にあるか否か)が判定される。爪172aが搬送可能状態にある場合にはそのままである。それに対して、基板Pの長さLが間隔L0より大きい場合には、S2の判定がNOとなり、S4において、爪172aが休止状態にあるか否かが判定される。休止状態にない場合には、S5において、爪172aが自動で休止状態とされる。
【0030】
移動体102に2つのアームユニット100a,bが接続された状態から、1つのアームユニット100aを分離して爪172aを休止状態とするのであり、その場合の作動を図8,9に基づいて説明する。
(1)シャトルモータ122によりシャトル112がx1方向(下流側)へ移動させられる。アーム136aの作動可能位置において、アーム保持部166aと休止装置110aとは、係合爪202aが切欠218aに対向する相対位相関係にあるため、アーム保持部166aの休止装置110aへのx方向の接近が許容される。また、係合部212aの外径と小径部54aの外径とがほぼ同じであるため、貫通穴182aの内周面が係合部212aの外周面に沿ってx方向へ移動させられる。アーム保持部166aが、係合爪202aが環状凹部216aに嵌合可能なエンド位置に達すると、シャトルモータ122が停止させられる。
(2)電磁弁148の制御により回動シリンダ140が作動させられ、スプライン軸146が図8,9のR1方向に回転させられる。ユニット回動体160a,bがR1方向に回動させられ、図7(a)〜(c)に示すように、アーム136a,bが作動可能位置から退避位置に回動させられる。また、係合爪202aが環状凹部216aに沿って回転させられ、係合爪202aは切欠218aから外れた位置に達する。その位置においてユニット回動体160aの係合部212aからのx方向の移動が防止される。
(3)ユニット回動体160a,bのR1方向の回転に伴ってレバー186aがレバー回動部214aによって離間位置に回動させられる。アーム保持部166aは移動体102から切り離される。この場合において、レバー186aに設けられた傾斜部192aにより、レバー回動部214aの下方へ侵入し易く、かつ、回動に伴って回動角度が大きくされ得る。なお、(1)、(3)から明らかなように、ユニット回動体160aは180度以上回転させられる。また、アームユニット100bは休止装置110bから離間しているため、ユニット回動体160bが回転させられても、レバー168bは接続位置のままである。
(4)シャトルモータ122が逆方向へ回転させられ、移動体102およびアームユニット100bが上流側、すなわち、x2方向へ移動させられ、アームユニット100aから移動体102が離間させられる。アームユニット100aが移動体102から分離されたのである。
その後、アーム保持部166aは休止装置110aの係合部212aに保持された状態のままである。アーム保持部166aにはナット保持部154aの小径部154aが嵌合されていないため、スプライン軸146が回転させられてもユニット回動体160aが回動させられることがなく、シャトルモータ122が作動状態にあってもx方向に移動させられることがない。アーム保持部166aは静止状態にあるのであり、爪172aは休止状態に保たれる。さらに、スプリング178asの弾性力、リンク機構178aのストッパ構造、アーム136aの自重等により、アーム保持部166aの位相はアーム136aの退避位置において保持される。休止装置110aにおいて、アーム保持部166aの位相、軸方向の位置は(4)の状態のままで維持されるのである。
【0031】
一方、基板Pの長さLがL0以下であり、爪172aが休止状態にある場合には、S2,3の判定がYESとなり、S6において、爪172aが休止状態から搬送可能状態に復帰させられる。その場合には、シャトルモータ122、回動シリンダ140等が上述の場合と逆の順序で制御される。
(4)シャトル112(移動体102とアームユニット100b)は、アーム136bの退避位置において、x1方向へ移動させられる。移動体102のナット保持部152aの小径部154aがアーム保持部166aの貫通穴182aに嵌入される。キー162aとキー溝156aとの係合により、ユニット回動体160aはスプラインナット150aの回転に伴って回動可能な状態とされる。シャトル112は、ナット保持部152aの大径部153aと小径部154aとの段部が、アーム保持部166aに設けられたストッパ260aに当接するまでx方向へ移動させられる。この位置は、シャトル112のエンド位置である。(3)回動シリンダ140によりスプライン軸146がR2方向に回転させられ、アーム136a,bが退避位置から作動可動位置へ回動させられる。(2)レバー186aがレバー回動部214aから外れ、スプリング196aにより接続位置に戻され、移動体102にアーム保持部166aが接続される。また、係合爪202aは切欠218aに対向する相対位相とされる。アームユニット100aは休止装置110aから分離可能な状態となる。(1)シャトルモータ122の逆方向の回転により、アームユニット100aは移動体102とともにx2方向へ移動させられ、休止装置110aから離れる。爪172aは、シャトルモータ122、回動シリンダ140の作動により、水平方向移動も、回動も可能な状態とされるのであり、搬送可能状態とされる。
【0032】
また、基板Pがx2方向に搬送される場合には、2つの爪172a,bのうちの爪172bが選択されて、休止装置110bによって休止状態とされる。シャトルモータ122、回動シリンダ140の作動は、爪172aを休止状態とする場合とほぼ同じである。
【0033】
以上、本実施例においては、休止装置110a,bおよびシャトルモータ122、電磁弁148、回動シリンダ140、制御装置250の図10のフローチャートで表される係合部休止プログラムを記憶する部分、実行する部分等により選択的休止装置が構成される。選択的休止装置は、選択的移動休止部、選択的回動休止部、選択的水平移動休止部でもある。また、レバー回動部214a,bにより保持部分離部が構成され、スプラインナット150a,bおよびナット保持部152a,b等により回動体が構成され、アーム保持部166a,b等により係合部保持部が構成される。さらに、スプライン軸146等によりアクチュエータとしての回動アクチュエータが構成され、シャトル搬送ベルト132等によりアクチュエータとしての水平移動アクチュエータが構成される。また、シャトル水平移動装置106、係合部回動装置としてのアーム回動装置108は移動装置であり、本実施例の基板搬送装置は移動装置を2つ含むものである。
また、本基板搬送装置においては、2つ(第1設定個数)の爪172a,bによって2枚(第1設定枚数)の基板を搬送可能な第1搬送状態と、1つ(第2設定個数)の爪172a,bのいずれか一方によって1枚(第2設定枚数)の基板を搬送可能な第2搬送状態とに切り換え可能とされるのであり、上述の選択的休止装置は搬送状態切換装置でもある。
【0034】
このように、本実施例においては、2つの爪172a,bが作動可能な状態にある場合には、ローディング時間を短くでき、1つの爪172aが休止状態とされれば、大きな基板も搬送可できるのであり、基板搬送装置の使い勝手を向上させることができる。
また、爪172a,bの各々を、基板の大きさに基づいて、それぞれ自動で搬送可能状態と休止状態とに切り換えることができる。
さらに、休止装置110a,bがシャトル搬送装置62の両端部に設けられるため、基板の搬送方向で決まる爪172a,bのいずれか一方を選択的に休止状態とすることができる。なお、休止装置110a,bの両方を設けることは不可欠ではなく、予め搬送方向が決まっている場合には、いずれか一方のみを設ければよい。
また、爪172を搬送可能状態と休止状態との間で切り換える場合において、シャトルモータ122の始動、停止等はシャトル位置センサ252の検出値に基づいて行われるようにしたり、シャトル112がストッパ等に当接することによりシャトルモータ122に流れる電流が大きくなったことに基づいて行われるようにしたりすること等ができる。
また、基板Pの装着位置において、カット・クランチが行われる装置に限らず、はんだ付着が行われる装置等に適用することもできるのであり、部品組立装置に広く適用することができる。
その他、本発明は、上記実施形態に記載の態様に限らず、当業者の知識に基づいて上記記載の対象の他、種々の変形、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
62:シャトル搬送装置 100:アームユニット 102:移動体 104:アーム水平移動装置 108:アーム回動装置 110:休止装置 122:シャトルモータ 134:スライダ 136:アーム 140:回動シリンダ 148:電磁弁 146:スプライン軸 160:ナット保持部 150:スプラインナット 166:アーム保持部 164:接続凹部 176:回動体 186:レバー 190:接続爪 192傾斜部 212:係合部 214:レバー回動部 216:環状凹部 218:切欠 250:制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11