特許第6326154号(P6326154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6326154LaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326154
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】LaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20180507BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20180507BHJP
   H01L 33/18 20100101ALI20180507BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   H01L21/205
   H01L33/32
   H01L33/18
   C23C16/34
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-574326(P2016-574326)
(86)(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公表番号】特表2017-513236(P2017-513236A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】CN2015074828
(87)【国際公開番号】WO2015144023
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年9月13日
(31)【優先権主張番号】201410112151.6
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516275930
【氏名又は名称】上海卓霖半導体科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI CHIPTEK SEMICONDUCTOR TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100155848
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 東成
(72)【発明者】
【氏名】蔡 卓然
(72)【発明者】
【氏名】高 海
(72)【発明者】
【氏名】劉 智
(72)【発明者】
【氏名】尹 祥麟
(72)【発明者】
【氏名】劉 正偉
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0062437(US,A1)
【文献】 特開2013−115105(JP,A)
【文献】 特開2002−029896(JP,A)
【文献】 特開2007−311371(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1881625(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1761080(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0240876(US,A1)
【文献】 特表2008−543087(JP,A)
【文献】 特開平07−201745(JP,A)
【文献】 特開2007−294772(JP,A)
【文献】 特表2010−512661(JP,A)
【文献】 Jeoung Ju LEE, 外8名,Epitaxial Growth of GaN on LaAlO3(100) Substrate by RF Plasma Assisted Molecular Beam Epitaxy,Japanese Journal of Applied Physics,1999年11月,Vol. 38, Part 1, No. 11,pp. 6487-6488
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/31、21/365、21/469、
21/86、33/00−33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LaAlxOy基板上に、非極性m面GaNバッファ層、非極性ノンドープu−GaN層、非極性n型ドープGaN薄膜、非極性InGaN/GaN量子井戸層、非極性m面AlGaN電子バリア層、及び非極性p型ドープGaN薄膜が順に設置される非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、
a)LaAlxOy基板を用い、結晶配向を選択し、且つLaAlxOy基板に対して表面洗浄処理を行うステップと、
b)LaAlxOy基板に対してアニール処理を行い、且つLaAlxOy基板の表面にAlN種結晶層を形成するステップと、
c)LaAlxOy基板上に有機金属化学気相成長で非極性m面GaNバッファ層、非極性ノンドープu−GaN層、非極性n型ドープGaN薄膜、非極性InGaN/GaN量子井戸、非極性m面AlGaN電子バリア層及び非極性p型ドープGaN薄膜を順に形成するステップと、を含み、
前記ステップb)では、反応室内でLaAlxOy基板を900〜1200℃で1〜4時間高温ベーキングして室温に空冷し、次に前記反応室の外部に設置された高周波プラズマ発生源から活性Nを注入して30〜80分間保温し、LaAlxOy基板を構成するAlを選択的に窒化してLaAlxOy基板の表面にAlN種結晶層を形成し、前記活性Nの流量が40〜90sccm、前記活性Nを発生させる高周波電力が200〜500Wであることを特徴とするLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項2】
前記ステップc)では非極性m面GaNバッファ層の形成過程は、LaAlxOy基板の温度を400〜800℃に下げ、TMGaと前記活性Nを注入し、反応室の圧力を400〜700torrに、前記活性Nの流量を40〜90sccmに、前記活性Nを発生させる高周波電力を200〜700Wに、V/III比を800〜1200に制御することであることを特徴とする請求項に記載のLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項3】
前記ステップc)では非極性ノンドープu−GaN層の形成過程は、LaAlxOy基板の温度を1000〜1500℃に制御し、TMGaを注入し、反応室の圧力を400torrに、V/III比を180に制御することであることを特徴とする請求項に記載のLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項4】
前記ステップc)では非極性n型ドープGaN薄膜の形成過程は、LaAlxOy基板の温度を1000〜1300℃に制御し、TMGaとSiH4を注入し、SiH4の流量を60〜100sccmに維持し、反応室の圧力を240torrに、V/III比を160に、ドープ電子濃度を1.0×1017〜5.3×1019cm−3に制御することであることを特徴とする請求項に記載のLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項5】
前記ステップc)では非極性InGaN/GaN量子井戸の形成過程は、
LaAlxOy基板の温度を750〜950℃に制御し、H2を閉じ、TEGaとアンモニアを注入し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を986に、厚みを10〜15nmに制御するバリア層形成ステップと、
LaAlxOy基板の温度を750〜950℃に制御し、H2を閉じ、TEGa、TMIn及びアンモニアを注入し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を1439に、厚みを2〜4nmに制御する井戸層形成ステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載のLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項6】
前記ステップc)では非極性m面AlGaN電子バリア層の形成過程は、LaAlxOy基板の温度を900〜1050℃に上げ、TMGaとアンモニアを注入し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を986に制御することであることを特徴とする請求項に記載のLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項7】
前記ステップc)では非極性p型ドープGaN薄膜の形成過程は、LaAlxOy基板の温度を900〜1100℃に制御し、TMGa、CP2Mg及びアンモニアを注入し、CP2Mgの流量を250〜450sccmに維持し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を1000〜1250に、ドープ正孔濃度を1.0×1016〜2.2×1018cm−3に制御することであることを特徴とする請求項に記載のLaAlxOy基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDエピタキシャルウェハ及びその製造方法に関し、特にLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLED青色エピタキシャルウェハ基板は主にサファイアである。サファイア基板に基づくLED技術は2つの深刻な問題がある。まず、サファイアとGaN格子の不整合率は17%と高く、このような高い格子不整合によってサファイアにおけるLEDエピタキシャルウェハが非常に高い欠陥密度を有し、LEDチップの発光効率を大きく損なう。また、サファイア基板の価格は非常に高いため、窒素化物LEDの生産コストが高くなってしまう。
【0003】
LEDチップの発光効率が十分に高くないことを引き起こすさらに1つの要因は従来幅広く使用されるGaN系LEDが極性を有することである。現在では高効率LEDデバイスを製造する最も理想的な材料はGaNである。GaNは六方最密結晶構造であり、その結晶面は極性面c面[(0001)面]と非極性面a面[(11−20)面]とm面[(1−100)面]とに分けられる。現在、GaN系LEDはほとんどGaNの極性面に基づいて構築される。極性面GaNにおいて、Ga原子集合とN原子集合の質量中心は重ならず、それにより電気双極子を形成し、自発分極場と圧電分極場を発生させ、更に量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum−confined Starker Effect、QCSE)を引き起こし、電子を正孔と分離させ、電荷キャリアの放射複合効率が低下し、最終的にLEDの発光効率に影響を与え、且つLED発光波長の不安定さを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題はLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハ及びその製造方法を提供することであり、欠陥密度が低く、結晶品質が高く、発光特性に優れたという利点を有し、且つ製造コストが低い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が上記技術的課題を解決するために用いる技術的解決手段は、バッファ層、第一ノンドープ層、第一ドープ層、量子井戸層、電子バリア層及び第二ドープ層が順に設置されるLAO基板である基板を備えるLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハを提供することである。
【0006】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハは、前記バッファ層が非極性m面GaNバッファ層、前記第一ノンドープ層が非極性ノンドープu−GaN層、前記第一ドープ層が非極性n型ドープGaN薄膜、前記量子井戸層が非極性InGaN/GaN量子井戸層、前記電子バリア層が非極性m面AlGaN電子バリア層、前記第二ドープ層が非極性p型ドープGaN薄膜である。
【0007】
本発明は上記技術的課題を解決するために、さらにLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法を提供し、a)LAO基板を用い、結晶配向を選択し、且つLAO基板に対して表面洗浄処理を行うステップと、b)LAO基板に対してアニール処理を行い、且つLAO基板の表面にAlN種結晶層を形成するステップと、c)LAO基板上に有機金属化学気相成長で順に非極性m面GaNバッファ層、非極性ノンドープu−GaN層、非極性n型ドープGaN薄膜、非極性InGaN/GaN量子井戸、非極性m面AlGaN電子バリア層及び非極性p型ドープGaN薄膜を形成するステップとを含む。
【0008】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップb)では、LAO基板を900〜1200℃で1〜4時間高温ベーキングして室温に空冷し、次にN2プラズマを注入して30〜80分間保温し、LAO基板の表面に高周波プラズマ強化有機金属化学気相成長でAlN種結晶層を形成し、Nプラズマの流量が40〜90sccm、プラズマ窒素を発生させる高周波電力が200〜500Wである。
【0009】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップc)では非極性m面GaNバッファ層の形成過程は、LAO基板の温度を400〜800℃に下げ、TMGaとNプラズマを注入し、反応室の圧力を400〜700torrに、Nプラズマの流量を40〜90sccmに、プラズマ窒素を発生させる高周波電力を200〜700Wに、V/III比を800〜1200に制御することである。
【0010】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップc)では非極性ノンドープu−GaN層の形成過程は、LAO基板の温度を1000〜1500℃に制御し、TMGaを注入し、反応室の圧力を400torrに、V/III比を180に制御することである。
【0011】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップc)では非極性n型ドープGaN薄膜の形成過程は、LAO基板の温度を1000〜1300℃に制御し、TMGaとSiH4を注入し、SiH4の流量を60〜100sccmに維持し、反応室の圧力を240torrに、V/III比を160に、ドープ電子濃度を1.0×1017〜5.3×1019cm−3に制御することであり、
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップc)では非極性InGaN/GaN量子井戸の形成過程は、
LAO基板の温度を750〜950℃に制御し、H2を閉じ、TEGaとアンモニアを注入し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を986に、厚みを10〜15nmに制御するバリア層形成ステップと、
LAO基板の温度を750〜950℃に制御し、H2を閉じ、TEGa、TMIn及びアンモニアを注入し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を1439に、厚みを2〜4nmに制御する井戸層形成ステップと、を含む。
【0012】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップc)では非極性m面AlGaN電子バリア層の形成過程は、LAO基板の温度を900〜1050℃に上げ、TMGaとアンモニアを注入し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を986に制御することである。
【0013】
上記LAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法であって、前記ステップc)では非極性p型ドープGaN薄膜の形成過程は、LAO基板の温度を900〜1100℃に制御し、TMGa、CP2Mg及びアンモニアを注入し、CP2Mgの流量を250〜450sccmに維持し、反応室の圧力を200torrに、V/III比を1000〜1250に、ドープ正孔濃度を1.0×1016〜2.2×1018cm−3に制御することである。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べて、本発明に係るLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハ及びその製造方法は、LAO基板を用い、且つLAO基板上にバッファ層、第一ノンドープ層、第一ドープ層、量子井戸層、電子バリア層及び第二ドープ層を順に設置することにより、欠陥密度が低く、結晶品質が高く、発光特性に優れたという利点を有し、且つ製造コストが低いという有益な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明のLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの構造模式図である。
図2図2は本発明のLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造装置の構造模式図である。
図3図3は本発明のLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造プロセスの模式図である。
図4図4は本発明のLAO基板の(001)面上に成長する非極性青色LEDエピタキシャルウェハのXRDパターンである。
図5図5は本発明のLAO基板上に成長する非極性m面青色LEDエピタキシャルウェハの室温でのPLスペクトルパターンである。
図6図6は本発明のLAO基板上に成長する非極性m面青色LEDエピタキシャルウェハの室温でのELスペクトルパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面と実施例を参照しながら本発明を更に説明する。
【0017】
図1は本発明のLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの構造模式図である。
【0018】
図1を参照し、本発明に係るLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハは、バッファ層、第一ノンドープ層、第一ドープ層、量子井戸層、電子バリア層及び第二ドープ層が順に設置されるLAO基板である基板を備える。本発明のLAO基板上に成長する非極性青色LEDエピタキシャルウェハにおいて、前記LAO基板はランタンアルミニウム酸化物基板とも呼ばれ、La、Al、O元素で構成され、分子式がLaAlxOyである。図1に示されるように、本発明に係る非極性青色LEDエピタキシャルウェハは、下から上へ順に配列されるLAO基板10、非極性m面GaNバッファ層11、非極性ノンドープu−GaN層12、非極性n型ドープGaN薄膜13、非極性InGaN/GaN量子井戸層14、非極性m面AlGaN電子バリア層15、及び非極性p型ドープGaN薄膜16を備える。
【0019】
図2は本発明のLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造装置の構造模式図である。
【0020】
続いて図2を参照し、20、21はそれぞれNH3とSiH4であり、NとSiを提供することに用いられ、22はH2であり、キャリアガスとして、Cp2Mg、TMGa、TMInを輸送することに用いられ、23、24、25はそれぞれCp2Mg、TMGa、TMInであり、LED成長に必要なMg、Ga、Inを提供することに用いられ、26はマニピュレーターであり、基板とサンプルを搬送することに用いられ、27は高周波誘導加熱装置であり、基板に対して加熱及び温度制御を行うことに用いられ、28はグラファイト板であり、LAO基板を載置することに用いられ、29は反応チャンバーであり、各種の反応ガスが化学反応してLEDを生成するチャンバーであり、30はノズルであり、反応ガスを十分に混合して基板の表面に均一に噴射する装置であり、31は高周波プラズマ源装置であり、活性Nを提供することに用いられ、32−40はバルブであり、各種の配管におけるガスの輸送状態を制御することに用いられる。MFCは流量コントローラであり、気体の流量を制御し、それにより成長ニーズを満たすことに用いられる。
【0021】
図3は本発明のLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造プロセスの模式図である。
【0022】
続いて図3を参照し、本発明のLAO基板上に成長する非極性青色LEDエピタキシャルウェハの製造方法は、具体的には、
LAO基板を用い、結晶配向を選択し、且つLAO基板に対して表面洗浄処理を行うステップS1と、
LAO基板に対してアニール処理を行い、且つLAO基板の表面にAlN種結晶層を形成するステップS2と、
LAO基板上に有機金属化学気相成長で順に非極性m面GaNバッファ層、非極性ノンドープu−GaN層、非極性n型ドープGaN薄膜、非極性InGaN/GaN量子井戸、非極性m面AlGaN電子バリア層及び非極性p型ドープGaN薄膜を形成するステップS3と、を含む。
【0023】
以下、具体的な実施例を挙げて、製造ステップ及びプロセス条件は以下のとおりである。
(1)LAO基板を用い、結晶配向を選択し、
(2)基板に対して表面洗浄処理を行い、
(3)基板に対してアニール処理を行い、基板を900−1200℃で1〜4h高温ベーキングして室温に空冷し、次にN2プラズマを注入して30〜80分間保温し、基板の表面にAlN種結晶層を形成し、GaN薄膜の成長にテンプレートを提供し、Nプラズマの流量が40〜90sccm、プラズマ窒素を発生させる高周波電力が200〜500Wであり、
(4)高周波プラズマ(RF)強化有機金属化学気相成長(MOCVD)で非極性m面GaNバッファ層を生長させ、プロセス条件は、基板の温度を400〜800℃に下げ、TMGaとNプラズマを注入し、反応室の圧力が400〜700torr、Nプラズマの流量が40〜90sccm、プラズマ窒素を発生させる高周波電力が200〜700W、V/III比が800〜1200であることであり、
(5)MOCVDプロセスで非極性ノンドープu−GaN層を成長させ、プロセス条件は、基板の温度が1000〜1500℃で、TMGaを注入し、反応室の圧力が400torr、V/III比が180であることであり、
(6)MOCVDプロセスで非極性n型ドープGaN薄膜を成長させ、プロセス条件は、基板の温度が1000〜1300℃で、TMGaとSiH4を注入し、SiH4の流量を60〜100sccmに、反応室の圧力を240torrに、V/III比を160に、ドープ電子濃度を1.0×1017〜5.3×1019cm−3に維持することであり、
(7)MOCVDプロセスで非極性InGaN/GaN量子井戸を成長させ、プロセス条件は、バリア層を形成するステップでは、基板の温度が750〜950℃であり、H2を閉じ、TEGaとアンモニアを注入し、反応室の圧力が200torr、V/III比が986、厚みが10〜15nmであり、井戸層を形成するステップでは、基板の温度が750〜950℃であり、H2を閉じ、TEGa、TMIn及びアンモニアを注入し、反応室の圧力が200torr、V/III比が1439、厚みが2〜4nmであることであり、
(8)MOCVDプロセスで非極性m面AlGaN電子バリア層を成長させ、プロセス条件は、基板の温度を900〜1050℃に上げ、TMGaとアンモニアを注入し、反応室の圧力が200torr、V/III比が986であることであり、
(9)MOCVDプロセスで非極性p型ドープGaN薄膜を成長させ、プロセス条件は、基板の温度が900〜1100℃であり、TMGa、CP2Mg及びアンモニアを注入し、CP2Mgの流量を250〜450sccmに、反応室の圧力を200torrに、V/III比を1000〜1250に、ドープ正孔濃度を1.0×1016−2.2×1018cm−3に維持することである。
【0024】
図4は本発明のLAO基板の(001)面上に成長する非極性青色LEDエピタキシャルウェハのXRDパターンである。
【0025】
図4から分かるように、本発明のLEDエピタキシャルウェハの×線ロッキングカーブの半値幅(FWHM)値をテストしたところ、その半値幅(FWHM)値が0.1°より低く、本発明で製造される非極性青色LEDエピタキシャルウェハは欠陥密度でも結晶品質でも、非常に良好な性能を有することを示す。
【0026】
図5は本発明のLAO基板上に成長する非極性m面青色LEDエピタキシャルウェハの室温でのPLスペクトルパターンである。
【0027】
図5から分かるように、本発明は温度が293KのPLスペクトルテストを行ったところ、得られた発光ピーク波長が460nm、半値幅が23nmである。これは本発明で製造される非極性GaN薄膜が良好な光学的特性を有することを示す。
【0028】
図6は本発明のLAO基板上に成長する非極性m面青色LEDエピタキシャルウェハの室温でのELスペクトルパターンである。
【0029】
図6から分かるように、温度が293KのELスペクトルテストを行ったところ、得られた発光ピーク波長が461nm、半値幅が22nm、出力電力が7.8mw@20mAである。本発明で製造される非極性GaN薄膜は非常に良好な電気的特性を有することを示す。
【0030】
要するに、本発明に係るLAO基板に基づく非極性青色LEDエピタキシャルウェハ及びその製造方法は、LAO基板を用い、且つLAO基板上に順に非極性m面GaNバッファ層、非極性ノンドープGaN層、非極性n型ドープGaN薄膜、非極性InGaN/GaN量子井戸層、非極性m面AlGaN電子バリア層及び非極性p型ドープGaN薄膜を形成する。従来技術と比べて、本発明は、成長プロセスがシンプルで、製造コストが低いという利点を有し、且つ製造する非極性青色LEDエピタキシャルウェハは欠陥密度が低く、結晶品質が高く、良好な電気的・光学的特性を有する。
【0031】
以上、好適な実施例を参照して本発明を開示したが、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の精神と範囲を逸脱せずに、いくつかの変更や改良を行うことができ、従って本発明の保護範囲は特許請求の範囲が定義する範囲を基準とするべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6