特許第6326596号(P6326596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェニックス電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000002
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000003
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000004
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000005
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000006
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000007
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000008
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000009
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000010
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000011
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000012
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000013
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000014
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000015
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000016
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000017
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000018
  • 特許6326596-発光ダイオードランプ 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6326596
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】発光ダイオードランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20180514BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20180514BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20180514BHJP
   F21V 7/06 20060101ALI20180514BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20180514BHJP
   F21V 11/00 20150101ALI20180514BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20180514BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20180514BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180514BHJP
【FI】
   F21S2/00 350
   F21S2/00 310
   F21S2/00 330
   F21S2/00 340
   F21V5/00 320
   F21V5/00 510
   F21V7/00 320
   F21V7/00 510
   F21V7/06 100
   F21V9/00
   F21V11/00
   G02B5/00 Z
   G02B5/08 A
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-133172(P2017-133172)
(22)【出願日】2017年7月6日
【審査請求日】2017年7月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】郷田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−043885(JP,U)
【文献】 特開2014−164098(JP,A)
【文献】 特開2012−074550(JP,A)
【文献】 特表2009−500786(JP,A)
【文献】 特開2012−200469(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/132530(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 7/00
F21V 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードと、
前記発光ダイオードからの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタが前記光遮断機能を奏することができる最大入射角度以下の角度で前記発光ダイオードからの光を前記バンドパスフィルタに対して入射させる光角度調整具とを備えており、
前記光角度調整具は、回転放物面で規定された反射面を有するリフレクタであり、
前記発光ダイオードは、前記反射面の底部に配設されており、
前記バンドパスフィルタは、前記反射面の開口に配設されており、
前記発光ダイオードの光軸を含む仮想断面における、前記発光ダイオードの発光中心と前記反射面の前記開口の端縁とを結ぶ直線と、前記光軸とが成す角度は、前記最大入射角度以下であることを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項2】
発光ダイオードと、
前記発光ダイオードからの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタと、
前記発光ダイオードからの光の内、前記バンドパスフィルタに対して前記バンドパスフィルタが前記光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光を遮断する光遮断具とを備えており、
前記光遮断具は、筒状の遮断筒であり、
前記遮断筒の一方端部に前記発光ダイオードが配設され、他方端部に前記バンドパスフィルタが配設されており、
前記発光ダイオードの光軸を含む仮想断面における、前記発光ダイオードの発光中心と前記遮断筒の他方端縁とを結ぶ直線と前記光軸とが成す角度は、前記最大入射角度以下であることを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項3】
発光ダイオードと、
前記発光ダイオードからの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタと、
前記発光ダイオードからの光の内、前記バンドパスフィルタに対して前記バンドパスフィルタが前記光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光の少なくとも一部を遮断する光遮断具と、
前記光遮断具で遮断されない前記発光ダイオードからの光を前記最大入射角度以下の角度で前記バンドパスフィルタに対して入射させる光角度調整具とを備えており、
前記光遮断具は筒状の遮断筒であり、
前記光角度調整具はレンズであり、
前記遮断筒の一方端部に前記発光ダイオードが配設され、他方端部に前記バンドパスフィルタが配設されており、
前記レンズは、前記遮断筒の内部空間に配設されていることを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項4】
前記最大入射角度θは、以下の式1および2を満たすことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の発光ダイオードランプ。
式1: λ=λ0×(1−sin2θ)0.5
λ0:垂直入射(入射角0°)時の透過中心波長[nm]
λ:透過中心波長[nm]
式2: λ=λ0×(1−sin2θ)0.5−α
λ0:垂直入射(入射角0°)時の透過中心波長[nm]
λ:透過下限波長[nm]
α:バンドパスフィルタ60の透過中心波長λ−透過下限波長λ [nm]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば可視光の放射を効率的に制限した発光ダイオードランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の白熱灯(例えば、ハロゲンランプ)に比べて、消費電力が低く、かつ、長寿命といった長所を有する発光ダイオードは、需要者のエコロジー意識の高まりとともに、省エネ対策のひとつとしてその使用範囲が急速に広まっており、特にセンサー等に使用される比較的小型の光源として発光ダイオードが使用されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された発光ダイオードランプでは、バンドパスフィルタを用いて発光ダイオードから放射される光に含まれる可視光を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−186095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、赤外線センサー等に使用されているAlGaAs系の赤外線発光ダイオードは、発光量のピークに対応する波長が十分に赤外線領域にある場合であっても、発光波長分布が可視光側に長く延びる傾向にあることから、当該赤外線発光ダイオードからの光にも可視光が含まれている。
【0006】
センサーとして使用する場合、発光ダイオードランプからの光には可視光(赤色光)が含まれずセンサー用の発光ダイオードランプが点灯しているのかどうかがわからない方が好まれる傾向にある。
【0007】
不要な波長の光をカットしたい場合は一般にバンドパスフィルタが使用されており、センサー用の発光ダイオードランプの場合もバンドパスフィルタを使用することで大部分の可視光をカットすることができる。
【0008】
しかしながら、バンドパスフィルタには、所定の角度よりも大きい入射角で入ってきた光に対しては光遮断(カットオフ)機能を奏することができない(以下、これをバンドパスフィルタの「入射角依存性」という。)傾向があることがわかった。さらに、この傾向は基板の表面に光学薄膜を成膜したバンドパスフィルタにおいて顕著であることもわかった。この光学薄膜のバンドパスフィルタは、例えば吸収によって透過する光を選択するバンドパスフィルタに比べて、カットする波長とカットしない波長との境界波長が明確であることから、光学薄膜のバンドパスフィルタを使用したいという要望が多い。
【0009】
さらに言えば、発光ダイオードは、一般に、放射する光の「開き角」を明示して販売等されているが、例えば、開き角が10°の発光ダイオードから放射される光は、当該発光ダイオードから放射されるすべての光のうち、光軸と成す角度が10°以下となる光の量が50%であることを意味している。換言すれば、残りの50%の光は、光軸と成す角度が10°を超える光である。この点を上述したバンドパスフィルタの入射角依存性と併せて考えたとき、単に発光ダイオードとバンドパスフィルタとを組み合わせただけの発光ダイオードランプの場合、バンドパスフィルタが光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きい角度で多くの光がバンドパスフィルタに入光することになる。このため、バンドパスフィルタを使用しているにもかかわらず、不所望な波長を有する光を遮断しきれないという問題が多発している。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、特定の入射角依存性を有するバンドパスフィルタを使用する場合において、不所望な波長の光を出してしまう可能性を極小化できる発光ダイオードランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、
発光ダイオードと、
前記発光ダイオードからの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタが前記光遮断機能を奏することができる最大入射角度以下の角度で前記発光ダイオードからの光を前記バンドパスフィルタに対して入射させる光角度調整具とを備えており、
前記光角度調整具は、回転放物面で規定された反射面を有するリフレクタであり、
前記発光ダイオードは、前記反射面の底部に配設されており、
前記バンドパスフィルタは、前記反射面の開口に配設されており、
前記発光ダイオードの光軸を含む仮想断面における、前記発光ダイオードの発光中心と前記反射面の前記開口の端縁とを結ぶ直線と、前記光軸とが成す角度は、前記最大入射角度以下であることを特徴とする発光ダイオードランプが提供される。
【0012】
本発明の他の局面によれば、
発光ダイオードと、
前記発光ダイオードからの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタと、
前記発光ダイオードからの光の内、前記バンドパスフィルタに対して前記バンドパスフィルタが前記光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光を遮断する光遮断具とを備えており、
前記光遮断具は、筒状の遮断筒であり、
前記遮断筒の一方端部に前記発光ダイオードが配設され、他方端部に前記バンドパスフィルタが配設されており、
前記発光ダイオードの光軸を含む仮想断面における、前記発光ダイオードの発光中心と前記遮断筒の他方端縁とを結ぶ直線と前記光軸とが成す角度は、前記最大入射角度以下であることを特徴とする発光ダイオードランプが提供される。
【0013】
本発明の他の局面によれば、
発光ダイオードと、
前記発光ダイオードからの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタと、
前記発光ダイオードからの光の内、前記バンドパスフィルタに対して前記バンドパスフィルタが前記光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光の少なくとも一部を遮断する光遮断具と、
前記光遮断具で遮断されない前記発光ダイオードからの光を前記最大入射角度以下の角度で前記バンドパスフィルタに対して入射させる光角度調整具とを備えており、
前記光遮断具は筒状の遮断筒であり、
前記光角度調整具はレンズであり、
前記遮断筒の一方端部に前記発光ダイオードが配設され、他方端部に前記バンドパスフィルタが配設されており、
前記レンズは、前記遮断筒の内部空間に配設されていることを特徴とする発光ダイオードランプが提供される。
【0020】
好適には、前記最大入射角度θは、以下の式1および2を満たすことを特徴とする。
式1: λ=λ0×(1−sin2θ)0.5
λ0:垂直入射(入射角0°)時の透過中心波長[nm]
λ:透過中心波長[nm]
式2: λ=λ0×(1−sin2θ)0.5−α
λ0:垂直入射(入射角0°)時の透過中心波長[nm]
λ:透過下限波長[nm]
α:バンドパスフィルタ60の透過中心波長λ−透過下限波長λ [nm]
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、特定の入射角依存性を有するバンドパスフィルタを使用する場合において、不所望な波長の光を出してしまう可能性を極小化できる発光ダイオードランプを提供することができた。
【0022】
なお、本明細書の全体を通して、「回転放物面」とは厳密な数学的定義に基づく回転放物面に限定されるものではなく、発明の意義を没却しない範囲であれば、反射面で反射した光の平行度合いが多少低くなる面であっても「回転放物面」に含まれる。
【0023】
また、同じく本明細書の全体を通して、「バンドパスフィルタの入光側平面が回転放物面の回転軸と互いに直交する」とは厳密な意味での「直交」に限定されるものではなく、発明の意義を没却しない範囲であれば、多少の傾きがあっても「直交」に含まれる。さらに、本明細書の全体を通して、バンドパスフィルタに対する光の「入射角」とは、当該光とバンドパスフィルタの入光側平面に直交する線とが成す角度をいう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明が適用された発光ダイオードランプ10の一例を示す平面図である。
図2】本発明が適用された発光ダイオードランプ10の一例を示す断面図である。
図3】本発明が適用された発光ダイオードランプ10の一例を示す断面図である。
図4】変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す断面図である。
図5】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す断面図である。
図6】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す断面図である。
図7】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図8】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図9】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図10】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す断面図である。
図11】ヒートシンク50に対する発光ダイオード20の取り付け態様の例を示す断面図である。
図12】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す断面図である。
図13】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す断面図である。
図14】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図15】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図16】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図17】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
図18】他の変形例に係る発光ダイオードランプ10を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発光ダイオードランプ10の構成)
以下、本発明が適用された発光ダイオードランプ10について説明する。なお、各符号に関し、以下の説明では、同一構造のものが複数個使用されている場合、各構造を上位概念として説明する場合にはアルファベットの枝番を付けずアラビア数字のみで示し、各構造を互いに区別する必要がある場合(すなわち下位概念で示す場合)にはアルファベット小文字の枝番をアラビア数字に続けて付すことにより区別する。
【0026】
この発光ダイオードランプ10は、図1および図2に示すように、大略、発光ダイオード20と、光角度調整具12としてのリフレクタ30と、ヒートシンク50と、バンドパスフィルタ60とを備えている。
【0027】
発光ダイオード20は、外部から電力を受け取ることによって所定のピーク波長の光を放出する電子部品である。本実施例では、発光ダイオード20として、ピーク波長が900nm以上1100nm以下の赤外線光を発する1つの発光ダイオード素子22と、当該発光ダイオード素子22から放出された光を所定の開き角にまとめる発光ダイオードレンズ24とで構成されたものを使用しているが、発光ダイオード素子22が発する光のピーク波長はこれに限定されるものではないし、また、複数の発光ダイオード素子を並べたものを発光ダイオード20に使用してもよい。また、発光ダイオードレンズ24は本発明に必須の構成要素ではない。
【0028】
リフレクタ30は、ガラスやアルミニウム等の金属で形成されたリフレクタ本体32と、発光ダイオード20から放出された光を反射させる反射面34と、反射面34で反射した光を外部へ放射するための開口36とを有している。
【0029】
反射面34は、一部を欠いた回転放物面(パラボラ)で構成されている。具体的に説明すると、本実施例に係るリフレクタ30の反射面34は、回転軸RCLを有する回転放物面を、当該回転軸RCLを含む平面PAに平行な切断面PBで切断することによって得られた大小2つの回転放物面の一部のうち、大きい方(つまり、回転軸RCLを含む方)で規定されている。換言すれば、反射面34は、小さい方の回転放物面の一部を欠いたようになっている。なお、回転軸RCLを含む平面PAと切断面PBとの間の距離DSは、発光ダイオード20の底面から発光中心までの距離と一致している。
【0030】
ヒートシンク50は、本実施例の場合、略直方体状に形成されており、ひとつの側面の表面に発光ダイオード20が配設および保持されている(以下、この側面を「発光ダイオード配設側面52」という。)。この発光ダイオード配設側面52は、リフレクタ30の反射面34を規定する切断面PBと一致するように形成されている。また、ヒートシンク50は、発光中の発光ダイオード20からの熱を受け取り、この熱を拡散および放散する役割を有している。このため、ヒートシンク50は熱伝導性の高い材料で形成するのが好ましい。
【0031】
また、ヒートシンク50をリフレクタ30と組み合わせたとき、ヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52上に配設された発光ダイオード20の発光中心Cがリフレクタ30の反射面34を規定する回転放物面の焦点Fの位置と一致するようになっている。
【0032】
さらに、ヒートシンク50の全体形状は、当該ヒートシンク50をリフレクタ30と組み合わせたとき、リフレクタ30の反射面34を規定する回転放物面の欠けた部分(つまり、回転軸RCLを含まない小さい方の回転放物面の一部)をヒートシンク50が含むようになっている(図中の点線Rを参照)。
【0033】
これにより、リフレクタ30の反射面34およびヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52で周囲が囲われたひとつの凹所38が形成され、この凹所38内に発光ダイオード20が位置することになる。この結果、発光ダイオード20からの光が不所望に周囲に漏れることなく、開口36およびバンドパスフィルタ60を通して外部に出ることになる。また、ヒートシンク50が発光ダイオードランプ10の外側に露出しているので、発光中の発光ダイオード20からの熱がヒートシンク50を介して外部へ放出されやすいという利点もある。
【0034】
なお、図示していないが、ヒートシンク50は、発光ダイオード20に給電する給電回路も備えている。この給電回路は、ヒートシンク50の表面上に形成されていてもよいし、ヒートシンク50の内部に形成されていてもよい。もちろん、給電ケーブル等で発光ダイオード20に直接給電してもよい。
【0035】
バンドパスフィルタ60は、所定範囲の波長の光のみを透過させ、その範囲外の波長の光(本実施例では、920nm以下の光)は透過させない(遮断する)カットオフ機能を有する薄板材である。本実施例の場合、可視領域の波長を有する光(可視光)を遮断する機能を有する多層膜で構成されたバンドパスフィルタ60が使用されている。もちろん、バンドパスフィルタ60が透過させる光の波長の範囲は発光ダイオードランプ10に求められる光の波長に応じて決定される。
【0036】
先に述べたように、バンドパスフィルタ60には「入射角依存性」があり、このバンドパスフィルタ60に対して所定の角度よりも大きい入射角で入ってきた光は遮断することができない。例えば、本実施例に係るバンドパスフィルタ60の入射角依存性による、バンドパスフィルタ60が光遮断機能を奏することができる最大入射角度は後述するように約11°である。すなわち、バンドパスフィルタ60の入光側平面62に対して11°よりも大きな入射角で入った可視光はこのバンドパスフィルタ60で遮断されることなく発光ダイオードランプ10から出ることになる。
【0037】
本実施例のバンドパスフィルタ60はリフレクタ30の開口36を覆い、このバンドパスフィルタ60の入光側平面62は、反射面34を規定する回転放物面の回転軸RCLと互いに直交するようになっている。
【0038】
ここで、バンドパスフィルタ60の入射角依存性による、バンドパスフィルタ60が光遮断機能を奏することができる最大入射角度について説明する。ある入射角θにおいてバンドパスフィルタ60を透過する光の中心波長(以下、「透過中心波長λ」という。)は、以下の式で求めることができる。
λ=λ0×(1−sin2θ)0.5
λ0:垂直入射(入射角0°)時の透過中心波長[nm]
λ:透過中心波長[nm]
しかし、この式で求められる透過中心波長λは、あくまでバンドパスフィルタ60を透過する光の中心波長であり、透過することのできる透過下限波長λ(換言すると、遮断することのできる光の最大波長)ではない。そこで、バンドパスフィルタ60ごとに異なる透過下限波長λを用いて以下の式を構成する。
λ=λ0×(1−sin2θ)0.5−α
λ0:垂直入射(入射角0°)時の透過中心波長[nm]
λ:透過下限波長[nm]
α:バンドパスフィルタ60の透過中心波長λ−透過下限波長λ [nm]
上記式を用いることにより、透過下限波長λを設定すれば最大入射角度θを算出することができる。
【0039】
例えば、透過下限波長λが人間の目に見えない赤色光の最大波長である920nmに近い920.5nm、透過中心波長λ0が930nmのバンドパスフィルタ60を用いる場合、最大入射角度は11°になる。ここで、一般に可視光の波長は780から800nm程度と言われている。しかし、発明者らが35人の被検者に対して実験を試みたところ、35人全員が910nmまでの波長の光を見ることができ、波長が920nmになると35人全員が見えなくなることがわかった。この結果を踏まえて、上記の通り、人間の目に見えない赤色光の最大波長を920nmに設定している。
【0040】
(発光ダイオードランプ10の組立)
発光ダイオードランプ10の組立の手順を簡単に説明する。先ず、所定の形状に成形したヒートシンク50における発光ダイオード配設側面52に発光ダイオード20を配設する。ヒートシンク50に対する発光ダイオード20の配設方法は特に限定されるものではないが、発光中に生じる発光ダイオード20の熱が効率よくヒートシンク50に伝導するような配設方法を選択するのが好適である。例えば、熱伝導率の高い接着剤で発光ダイオード20をヒートシンク50の表面に接着することが考えられる。また、ヒートシンク50に対する発光ダイオード20の配設とともに、発光ダイオード20への給電回路の実装を行う。
【0041】
然る後、ヒートシンク50をリフレクタ30と組み合わせ、最後に、リフレクタ30(より正確には、ヒートシンク50をリフレクタ30と組み合わせることによってできた凹所38)の開口36を覆うようにバンドパスフィルタ60を配設して、発光ダイオードランプ10が完成する。
【0042】
(発光ダイオードランプ10の特徴)
本実施例に係る発光ダイオードランプ10によれば、リフレクタ30の反射面34を構成する回転放物面の焦点Fの位置に発光ダイオード20の発光中心Cが一致するように発光ダイオード20が保持されている。これにより、図3に示すように、当該発光ダイオード20からの光は反射面34で反射することによって回転放物面の回転軸RCLに平行な平行光となって開口36から出る。一方、バンドパスフィルタ60はリフレクタ30の開口36を覆うように配置されており、かつ、バンドパスフィルタ60の入光側平面62は回転放物面の回転軸RCLと互いに直交するようになっている。つまり、リフレクタ30の開口36から出る平行光はバンドパスフィルタ60の入光側平面62に対してほぼ垂直(入射角がほぼゼロ度)で入射するようになる。したがって、バンドパスフィルタ60が強い入射角依存性を有している場合(つまり、許容されうる入射角の範囲が狭い場合)であっても、発光ダイオードランプ10から不所望な波長の光を出してしまう可能性を極小化できる。
【0043】
(変形例1)
図4に示すように、上記実施例に係る発光ダイオードランプ10の構成に、遮光部材70,72,74のうち少なくともひとつを加えてもよい。この遮光部材70,72,74は、回転放物面の回転軸RCLと互いに平行な角度(つまり、発光ダイオードランプ10の正面)から発光ダイオードランプ10を見たときに発光ダイオード20を直視できないようにするための部材である。なお、遮光部材70,72,74は、発光ダイオード20からの光を遮光できるものであれば特にその材質が限定されるものではなく、例えば、金属、不透明樹脂、セラミック材等が考えられる。
【0044】
遮光部材70,72,74の長さは、例えば、遮光部材70のように、ヒートシンク50における発光ダイオード配設側面52に対応する位置から少なくとも発光ダイオード20の発光中心Cまでを遮光するようになっている。これに代えて、遮光部材72のように、ヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52に対応する位置から発光ダイオード20を構成する発光ダイオードレンズ24の先端までにしてもよい。さらに言えば、遮光部材74のように、発光ダイオード20の発光中心Cと反射面34の開口36側端とを結ぶ直線LLまで長くしてもよい。遮光部材74のように長くすることで、発光中心Cから出て反射面34で反射することなく直接開口36に向かう光(つまり、バンドパスフィルタ60に対して大きな入射角で入る光)を遮断することができる。
【0045】
また、遮光部材70を配設する位置は、発光ダイオード20の上方(開口36に向かう方向)であればどの位置でもよい。図4には、ヒートシンク50における発光ダイオード配設側面52から突設された遮光部材72,74と、バンドパスフィルタ60の上方表面に沿って配設された遮光部材70とを示しているが、いずれかひとつを選択すればよい。また、遮光部材70,72,74に当たった光が反射して不所望な角度で開口36から出るのを避けるため、遮光部材70,72,74における発光ダイオード20に対向する面に光吸収材(例えば黒色塗膜。以下、同じ。)を設けてもよい。
【0046】
(変形例2)
さらに、図4に示したようにヒートシンク50とは別個の遮光部材70,72,74を配設するのではなく、図5に示すように、発光ダイオード20の上方に位置する少なくとも一部のヒートシンク50を反射面34に向かって突出させることにより、ヒートシンク50における発光ダイオード配設側面52の上下方向断面において段76を設けてこれを遮光部材78とすることで、ヒートシンク50と遮光部材78とを一体に形成してもよい。これにより、図4に示したように、遮光部材70,72,74をヒートシンク50とは別体として形成するのと同様の効果を得ることができる。また、遮光部材78に当たった光が反射して不所望な角度で開口36から出るのを避けるため、段76における発光ダイオード20に対向する面に光吸収材を設けてもよい。
【0047】
(変形例3)
また、ヒートシンク50と遮光部材78とを一体に形成する他の例として、図6に示すように、ヒートシンク50における発光ダイオード配設側面52の上下方向断面形状を傾斜させてもよい。具体的に説明すると、発光ダイオード20の発光中心Cの位置は反射面34を規定する回転放物面の焦点Fの位置と一致させつつ、発光ダイオード配設側面52の開口36側端(上方端)が少なくとも発光ダイオード20の発光中心Cに対応する位置となるように発光ダイオード配設側面52の上下方向断面形状を回転軸RCLに対して傾ける。これにより、発光ダイオード20よりも上方に位置する発光ダイオード配設側面52の全体を遮光部材78として機能させることができる。また、遮光部材78に相当する面に当たった光が反射して不所望な角度で開口36から出るのを避けるため、当該面に光吸収材を設けてもよい。
【0048】
(変形例4)
上述した実施例では、リフレクタ30の反射面34は、回転軸RCLを含む平面PAに平行な切断面PBで当該回転軸RCLを有する回転放物面を切断することによって得られた大小2つの回転放物面の一部のうち、大きい方(つまり、回転軸RCLを含む方)で規定されているが、反射面34は一部を欠いた回転放物面で規定されていればこの態様に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、回転放物面の回転軸RCLを中心として4分の1(中心角度90°に相当する部分)を欠いたような反射面34であってもよく、また、図8に示すように、回転放物面の回転軸RCLを中心として8分の1(中心角度45°にほぼ相当する部分)を欠いたような反射面34であってもよい。いずれの場合でも、ヒートシンク50をリフレクタ30と組み合わせたとき、当該ヒートシンク50がリフレクタ30の反射面34を規定する回転放物面の欠けた部分を含むようになっている(図7および図8の点線Rを参照)。
【0049】
これにより、リフレクタ30の反射面34およびヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52で周囲が囲われたひとつの凹所38が形成され、この凹所38内に発光ダイオード20が位置することになる。この結果、発光ダイオード20からの光が不所望に周囲に漏れることなく、バンドパスフィルタ60を通して外部へ出すことができる。また、ヒートシンク50が発光ダイオードランプ10の外側に直接露出しているので、発光中の発光ダイオード20からの熱がヒートシンク50を介して外部へ放出されやすいという利点がある。
【0050】
(変形例5)
また、図9に示すように、一対の発光ダイオード20a,20bと、各発光ダイオード20a,20bにそれぞれ対応する反射面34a,34bを組み合わせて発光ダイオードランプ10を構成してもよい。反射面34a,34bはそれぞれ別個の焦点Fa,Fbを有しており、一対の発光ダイオード20a,20bの各発光中心Ca,Cbはそれぞれ対応する反射面34a,34bの焦点Fa,Fbに一致している。
【0051】
これにより、複数の発光ダイオード20a,20bを用いて発光ダイオードランプ10を構成する場合であっても、個々の発光中心を各反射面34a,34bの焦点Fa,Fbに合わせることができるので、焦点Fa,Fbからずれて各発光ダイオード20a,20bから放射され、反射面34a,34bで反射した後で平行光にならない光を低減することができる。この結果、複数の発光ダイオード20a,20bを用いる場合であっても、バンドパスフィルタ60の入射角依存性にかかわらず、発光ダイオードランプ10から不所望な波長の光を出してしまう可能性を極小化できる。
【0052】
(変形例6)
また、ヒートシンク50がリフレクタ30の反射面34を規定する回転放物面の欠けた部分を含むようにすることは、図10に示すような場合も含まれる。図10に示す発光ダイオードランプ10では、リフレクタ30は完全な(一部が欠けていない)回転放物面で規定された凹所80を有している。そして、ヒートシンク50は発光ダイオード配設側面52の反対側に凹所80を規定するのと同じ回転放物面の一部で規定された曲面82を有しており、ヒートシンク50は、リフレクタ30の凹所80の表面に曲面82をぴったりと当接させるようにして当該凹所80内に配設されている。このとき、ヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52は上述した実施例で述べた切断面PBと一致しており、発光ダイオード20の発光中心Cは凹所80を規定する回転放物面の焦点Fの位置と一致するようになっている。また、反射面34は、ヒートシンク50の曲面82が凹所80の表面に当接しない範囲に形成されている。
【0053】
図10に示すような発光ダイオードランプ10であっても、発光中の発光ダイオード20からの熱はヒートシンク50の曲面82から凹所80の表面を介してリフレクタ本体32に伝わり、リフレクタ本体32から外部へ放出されることになる。
【0054】
(変形例7)
上述した実施例では、発光ダイオード20をヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52に直接取り付けるようにしていたが、発光ダイオード20は、その発光中心Cが反射面34を規定する回転放物面の焦点Fに一致されていればどのような態様でヒートシンク50に取り付けられていてもよい。例えば、図11に示すように発光ダイオード20を実装基板84に実装し、然る後、発光ダイオード20が実装された実装基板84をヒートシンク50の発光ダイオード配設側面52に接着等の手段で取り付けてもよい。
【0055】
(変形例8)
さらに、図12に示すように、光角度調整具12として、発光ダイオード20の前側に集光レンズ39を追加してもよい。集光レンズ39の焦点F1の位置は、発光ダイオード20の発光中心Cおよび回転放物面の焦点Fと一致している。集光レンズ39を使用することにより、回転放物面の回転軸RCLを中心とした角度がより狭い範囲の反射面34を有するリフレクタ30を使用しつつ、より広い範囲の反射面34を有するリフレクタ30を使用した場合と同じ光量を放射することができる。
【0056】
(他の変形例)
上述してきたように、光角度調整具12として一部を欠いた回転放物面で規定された反射面34を有するリフレクタ30を使用する場合はリフレクタ30の反射面34の形状に起因して断面形状が円形の光を出力することが難しいが、以下の変形例のようにすれば、断面形状が円形の光を容易に出力できる。
【0057】
(変形例9)
上述した実施例では、光角度調整具12としてリフレクタ30を使用していたが、光角度調整具12はこれに限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、レンズ90を使用してもよい。
【0058】
具体的に説明すると、レンズ90は発光ダイオード20とバンドパスフィルタ60との間に配設されており、また、レンズ90の焦点F2の位置が発光ダイオード20の発光中心Cの位置と一致するようにレンズ90の位置および発光ダイオード20の位置が互いに調整されている。また、レンズ90の中心軸LCLがバンドパスフィルタ60の入光側平面62と直交するようにレンズ90の位置およびバンドパスフィルタ60の位置が互いに調整されている。
【0059】
これにより、発光ダイオード20からのほぼ全ての光はレンズ90で屈折した後、レンズ90の中心軸LCLと互いに平行な平行光としてバンドパスフィルタ60に入射する。このとき、上述のように、レンズ90の中心軸LCLがバンドパスフィルタ60の入光側平面62と直交するように調整されていることから、レンズ90から出る平行光はバンドパスフィルタ60の入光側平面62に対してほぼ垂直(入射角がほぼゼロ度)で入射するようになる。したがって、バンドパスフィルタ60が強い入射角依存性を有している場合(つまり、許容されうる入射角の範囲が狭い場合)であっても、発光ダイオードランプ10から不所望な波長の光を出してしまう可能性を極小化できる。
【0060】
(変形例10)
また、光角度調整具12であるレンズ90と、光遮断具14である遮光筒100とを組み合わせてもよい。例えば、図14に示すように、遮光筒100の内部空間102にレンズ90を配設する。そして、遮光筒100の一方端部104において、当該内部空間102に向けて光を放射するように発光ダイオード20を配設する。さらに、遮光筒100の他方端部106にバンドパスフィルタ60を配設する。発光ダイオード20の発光中心Cとレンズ90の焦点F2との位置関係、および、レンズ90の中心軸LCLとバンドパスフィルタ60の入光側平面62との位置関係は変形例9で説明したものと同じである。
【0061】
これにより、発光ダイオード20から放射された光の内、遮光筒100の内面108に当たることなく直接レンズ90に入った光がレンズ90の中心軸LCLと平行な平行光となり、バンドパスフィルタ60を通過する際に所定の範囲の波長の光が遮断されるので、発光ダイオードランプ10からは所望の範囲の波長を有する光を出すことができる。
【0062】
逆に、発光ダイオード20から放射された光の内、遮光筒100の内面108に当たった光は内面108で吸収されるなどして減少するので、不所望な角度でレンズ90に入って中心軸LCLと平行な平行光にならない光が減少し、バンドパスフィルタ60を通過する光に不所望な範囲の波長の光が混ざる可能性をより低減させることができる。この点、遮光筒100の内面108に光吸収材を塗布する等して配設するのがさらに好適である。以上の通り、本実施例における遮光筒100は、バンドパスフィルタ60が光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光の少なくとも一部を遮断する機能を有している。
【0063】
(変形例11)
光角度調整具12を使用せず、光遮断具14である遮光筒100だけで発光ダイオードランプ10を構成してもよい。例えば、図15に示すように、遮光筒100の一方端部104に発光ダイオード20を配設し、他方端部106にバンドパスフィルタ60を配設する。この実施例において、発光ダイオード20の光軸CLを含む断面における、発光ダイオード20の発光中心Cと遮光筒100の他方端縁110とを結ぶ直線LL2と、光軸CLとが成す角度は、バンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく角度(例えば、10°)以下となるように遮光筒100の長さLと他方端部106の径Dとが設定されている。なお、発光ダイオード20の光軸CLがバンドパスフィルタ60の入光側平面62と直交するように発光ダイオード20の位置およびバンドパスフィルタ60の位置が互いに調整されている。
【0064】
これにより、発光ダイオード20から放射された光の内、光軸CLと成す角度がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)以下の光はバンドパスフィルタ60を通り、遮光筒100から出て行く。また、光軸CLと成す角度がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)よりも大きい光は内面108に当たって吸収されるなどして減少するので、バンドパスフィルタ60を通過する光に不所望な範囲の波長の光が混ざる可能性をより低減させることができる。この点、遮光筒100の内面108に光吸収材を塗布する等して配設するのがさらに好適である。以上の通り、本実施例における遮光筒100は、バンドパスフィルタ60が光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光を遮断する機能を有している。
【0065】
(変形例12)
例えば、図16に示すように、光遮断具14を遮光板120で構成してもよい。この遮光板120は、バンドパスフィルタ60の入光側平面62、あるいはそれと反対側の面に沿って配設される板材であり、光通過孔122が形成されている。なお、発光ダイオード20の光軸CLがバンドパスフィルタ60の入光側平面62と直交するように発光ダイオード20の位置およびバンドパスフィルタ60の位置が互いに調整されている。遮光板120の発光ダイオード20に対向する面に光吸収材を塗布する等するのがさらに好適である。
【0066】
遮光板120における光通過孔122の径D1は、発光ダイオード20における発光中心Cから遮光板120までの距離Lに応じて決定される。すなわち、発光ダイオード20の光軸CLを含む断面における、発光ダイオード20の発光中心Cと、遮光板120における光通過孔122の縁124とを結ぶ直線LL3と光軸CLとが成す角度が、バンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)以下となるように距離Lと光通過孔122の径D1とが設定されている。
【0067】
これにより、発光ダイオード20から放射された光の内、光軸CLと成す角度がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)以下の光は遮光板120の光通過孔122を通過した後、バンドパスフィルタ60を通って行く。また、光軸CLと成す角度がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)よりも大きい光は遮光板120に当たって吸収されるなどして減少するので、バンドパスフィルタ60を通過する光に不所望な範囲の波長の光が混ざる可能性をより低減させることができる。この点、遮光板120の発光ダイオード20に向かう面に光吸収材を塗布する等して配設するのがさらに好適である。また、本実施例の場合、図16に示すように、遮光筒100の一方端部104に発光ダイオード20を配設し、他方端部106にバンドパスフィルタ60および遮光板120を配設してもよい。本実施例における遮光筒100は、変形例10や11における遮光筒100とは異なり、他方端部106の径Dの上限設定に制限はなく、径Dを十分に大きく設定することができる。以上の通り、本実施例における遮光板120は、バンドパスフィルタ60が光遮断機能を奏することができる最大入射角度よりも大きな角度で入射する光を遮断する機能を有している。
【0068】
(変形例13)
光角度調整具12としてのリフレクタ30を使用する場合であっても、例えば、図17に示すように、完全な回転放物面で規定された反射面34を有するリフレクタ30を用いることで断面形状が円形の光を容易に出力できる。本実施例では、リフレクタ30における反射面34の底部40に発光ダイオード20が配設され、開口36にバンドパスフィルタ60が配設されている。そして、発光ダイオード20の光軸CLを含む断面における、発光ダイオード20の発光中心Cと反射面34の他方端縁42とを結ぶ直線LL4と、光軸CLとが成す角度は、バンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)以下となるように反射面34(リフレクタ30)の長さLと開口36の径Dとが設定されている。
【0069】
また、反射面34を規定する回転放物面の焦点Fの位置が発光ダイオード20の発光中心Cの位置と一致するようにリフレクタ30の位置および発光ダイオード20の位置が互いに調整されている。また、発光ダイオード20の光軸CLがバンドパスフィルタ60の入光側平面62と直交するように発光ダイオード20の位置およびバンドパスフィルタ60の位置が互いに調整されている。
【0070】
これにより、発光ダイオード20から放射された光の内、光軸CLと成す角度がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)以下の光は反射面34に当たることなく直接にバンドパスフィルタ60を通過して出て行く。また、光軸CLと成す角度がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)よりも大きい光は反射面34で反射した後、光軸CLにほぼ平行な平行光としてバンドパスフィルタ60に十分に小さな入射角で入る。本実施例によれば、光軸CLと成す角度に関係なく、発光ダイオード20から放射されるほぼすべての光がバンドパスフィルタ60の入射角依存性に基づく最大入射角度(例えば、11°)以下の角度でバンドパスフィルタ60を通過する点で好適である。
【0071】
(変形例14)
また、図18に示すように、レンズ90の出光面(発光ダイオード20に対向する面とは反対側の面)に沿ってバンドパスフィルタ60を配設してもよい。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
10…発光ダイオードランプ、12…光角度調整具、14…光遮断具
20…発光ダイオード、22…発光ダイオード素子、24…発光ダイオードレンズ
30…リフレクタ、32…リフレクタ本体、34…反射面、36…開口、38…凹所、39…集光レンズ、40…(リフレクタ30の)底部、42…(反射面34の)他方端縁、
50…ヒートシンク、52…発光ダイオード配設側面
60…バンドパスフィルタ、62…入光側平面
70,72,74…遮光部材、76…段、78…遮光部材
80…凹所、82…曲面、84…実装基板
90…レンズ
100…遮光筒、102…内部空間、104…(遮光筒100の)一方端部、106…(遮光筒100の)他方端部、108…(遮光筒100の)内面、110…(遮光筒100の)他方端縁
120…遮光板、122…光通過孔、124…(光通過孔の)縁
【要約】
【課題】特定の入射角依存性を有するバンドパスフィルタを使用する場合において、赤色光を出してしまう可能性を極小化できる発光ダイオードランプを提供する。
【解決手段】発光ダイオードランプ10を、発光ダイオード20と、発光ダイオード20からの光に含まれる特定の波長の光を遮断する光遮断機能を有するバンドパスフィルタ60と、バンドパスフィルタ60が光遮断機能を奏することができる最大入射角度以下の角度で発光ダイオード20からの光をバンドパスフィルタ60に対して入射させる光角度調整具12とで構成することにより、上記課題を解決できる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18