(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る制御装置の一実施形態(パチンコ機へ設置した一実施形態)について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(1)制御装置の構造
図1は、制御装置を設置したパチンコ機の裏面を示したものである。パチンコ機1の裏側に付設された機構板2の中央よりやや下側には、パチンコ機1の遊技内容を制御ずるための制御装置20が取り付けられており、当該制御装置20の外側は、透明な合成樹脂製の裏カバー7で覆われた状態になっている。
【0015】
図2、
図3は、それぞれ、制御装置20の正面、鉛直断面を示したものであり、
図4は、制御装置20を分解した状態を示したものである。なお、制御装置20は、正面をパチンコ機1の後方に向けた状態で、機構板に設置されており、以下の説明における“左右上下”は、特に断り書きがない限り、制御装置20の正面側(かしめカバー部材側)から見た場合の“左右上下”を言うものとする。制御装置20は、メイン制御基板21、メイン制御基板21を収容可能な裏側ケース部材31および表側ケース部材32からなる内ケース22、当該内ケース22を収容可能なベース部材41およびカバー部材42からなる外ケース23、シール切断部材12等によって構成されている。なお、制御装置20においては、表側ケース部材32およびかしめカバー部材42(キャップ11,11を含む)が上カバーとして機能し、裏側ケース部材31およびベース部材41が下カバーとして機能する。
【0016】
メイン制御基板21は、パチンコ機1の遊技内容に係る制御を実行するものであり、表面には、ROM10,CPUやRAM(図示せず)等の種々の制御素子が設置されている。また、メイン制御基板21の表面下部には、メイン制御基板21を他の電子部材と接続するためのコネクタ25,25が設けられている。さらに、メイン制御基板21の左右側縁部には、内ケース22内にネジ止めするためのネジ孔21a,21a・・が設けられている。そして、当該メイン制御基板21は、表面を外側へ向けてコネクタ25,25を下方に位置させた状態で、内ケース22内に収容され固定されている。
【0017】
図5は、内ケース22およびメイン制御基板21を示したものであり、内ケース22は、メイン制御基板21の裏面を覆う裏側ケース部材31と、メイン制御基板21の表面を覆う表側ケース部材32とを組み付けてなるもので、両ケース部材31,32を組み付けることで形成される内部空間にメイン制御基板21を収容可能となっている。裏側ケース部材31は、ポリカーボネート樹脂により成形されており、ポリカーボネート樹脂の特性によって、外力が加わっても割れにくいようになっている。また、表側ケース部材32は、AS樹脂により成形されており、当該樹脂の特性によって、内ケース22を強引にこじ開けようとした場合等にドライバー等の先端によって表面に傷がつき易く、不正行為の痕跡が残り易いようになっている。
【0018】
表側ケース部材32は、略中央に外方へ膨出する膨出部を有し、後方側(メイン制御基板21と対峙した側)を開口させた箱状体であって、膨出部の中央上方には、メイン制御基板21の表面に設置されたROMを視認するための視認窓9が設けられている。また、表側ケース部材32の下部には、メイン制御基板21のコネクタ25,25を露出させるためのコネクタ窓33,33・・が開設されている。各コネクタ窓33,33・・の形状(外周の形状)は、各コネクタ25,25の形状と略同じに形成されている。また、表側ケース部材32の下部の左右両端には、係止凹部34,34が設けられている。さらに、表側ケース部材32の上部の左右両端には、ベース部材41へネジ止めするためのネジ孔を穿設した固定片35,35が突設されている。加えて、表側ケース部材32の上端縁には、一対の鍔片36,36が上方へ突設されており、表側ケース部材32の左右側縁には、一対の押止片37,37が外方へ突出するように設けられている。加えて、表側ケース部材32の内面には、裏側ケース部材31およびメイン制御基板21をネジ止めするためのネジ受け部(図示せず)が設けられている。
【0019】
また、裏側ケース部材31は、表側ケース部材32の開口と略同じ大きさに形成された板状体であり、表側ケース部材32の開口内へ嵌め込むようにして組み付けることができるようになっている。当該裏側ケース部材31の四隅には、表側ケース部材32と一体化するためのネジ孔38,38・・が穿設されている。また、裏側ケース部材31の下縁には、後方へ突出する凸条部39が設けられており、表側ケース部材32と一体化した後でコネクタ窓33,33・・周縁からの工具等の差し込み、メイン制御基板21に設置された各種素子への干渉を防止可能となっている。
【0020】
一方、
図4等の如く、外ケース23は、前方に開口を有するベース部材41と、当該ベース部材41の開口を覆うように組み付けられるかしめカバー部材42とからなるもので、両部材41,42を組み付けることで形成される内部空間に内ケース22を収容可能となっている。ベース部材41は、ポリカーボネート樹脂により成形されており、当該樹脂の特性によって、外力が加わった際に割れにくく、且つ、後述する不正防止用ビス44が食い込み易いようになっている。また、かしめカバー部材42は、アクリル樹脂により成形されており、当該樹脂の特性によって、後ケース32同様、外ケース23を強引にこじ開けようとした場合等にドライバー等の先端によって表面に傷がつき易く、不正行為の痕跡が残り易いようにしている。なお、かしめカバー部材42に使用するアクリル樹脂にはゴム等の樹脂が添加されており、かしめカバー部材42は、表側ケース部材32よりも若干傷付きにくくなっており、運搬時等における傷付きや破損等を防止可能としている。
【0021】
また、
図6は、ベース部材41を示したものであり、ベース部材41は、前板の上下左右縁に沿って上機能部45、側機能部46,46、および下壁部47をそれぞれ後方へ立設してなるもので、当該上機能部45、左右の両側機能部46,46、および下壁部47に囲まれた空間41a内に内ケース22を収容することができるようになっている。上機能部45には、一対のビス収納部48,48が凹設されており、各ビス収納部48,48には、ベース部材41とかしめカバー部材42とを組み付けるための予備の不正防止用ビス44が収納可能となっている。
【0022】
また、上機能部45の中央および左右両端部には、上面に開口した嵌入凹部45a,45a・・が設けられており、かしめカバー部材42に設けられた嵌入突起52cを嵌入可能となっている(
図3(a),(b)参照)。一方、各側機能部46には、4つの支持リブにより円筒部を支持してなる2つのビス受け部49,49が上下方向に連設されている。各ビス受け部49,49の円筒部は、固着前の不正防止用ビス44を挿通可能な径とされており、該円筒部の後方は、前板(被覆部)によって被覆状態とされている。また、ビス受け部49,49の下方には、下側のビス受け部49と下壁部47とを連結するように補強部50が設けられており、当該補強部50の左右方向内側には、内ケース22を組み付けた際に係止凹部34に係止する係止片43,43が一体的に形成されている。さらに、空間41aの上部位置には、内ケース22を収容状態でネジ止めするためのネジ止め部51,51が設けられている。加えて、片側のネジ止め部51の外側には、制御装置20を機枠3の後面側に設置する際に使用する取付部材80が設置されている。なお、ビス収納部48内には、不正防止用ビス44の軸部を挟持する一対の挟持リブ48aが設けられており、穴を空けて予備の不正防止用ビス44を取り出すといった不正行為を防止可能としている。また、各補強部50の前方と前板との間には空間が形成されており、後述するかしめカバー部材42の嵌合突起53dを嵌合可能になっている。
【0023】
一方、
図7は、かしめカバー部材42を示したものであり、かしめカバー部材42は、前板の上縁および左右縁に沿って、後方へ突出する上機能部52、および側機能部53,53をコ字状に連設してなるもので、ベース部材41の空間41aの前方を覆うように組み付け可能となっている。上機能部52は、ベース部材41の上機能部45の上面を被覆する上壁52aと、上壁52aおよび前板と一体的に形成された押さえリブ52bおよび嵌入突起52cとからなる。押さえリブ52bは、かしめカバー部材42の組み付け時に、空間41aに収容された内ケース22の鍔片36に当接して内ケース22の表側ケース部材32を押さえる機能を果たすとともに、かしめカバー部材42上部の補強をも担っている。また、嵌入突起52cは、かしめカバー部材42をベース部材41に組み付ける際に、嵌入凹部45aへ上方から嵌入して、ベース部材41とかしめカバー部材42とをより強固に一体化可能としている。
【0024】
また、かしめカバー部材42の各側機能部53,53は、不正防止用ビス44を挿通可能な六角形状の挿通孔を有するビス挿通部53a,53aと、収容状態にある内ケース22を押止する押止リブ53bと、格子状に形成された補強リブ53cとからなる。ビス挿通部53aは、ネジ保持部として機能するものであり、ベース部材41のビス受け部49に対応して上下に2つ連設されている。各ビス挿通部53aは、ニッパ等により切断可能な切断リブ54,54・・を介して後板等と連結されており、切断リブ54,54・・(
図2参照)を切断することによって、かしめカバー部材42の本体から切り離すことができる。また、押止リブ53bは、ビス挿通部53aや補強リブ53c等よりも後方へ突出しており、ベース部材41への組み付け時に、収容状態にある内ケース22の押止片37に当接し、上記押さえリブ52b同様、内ケース22の表側ケース部材32を押止する機能を果たす。さらに、補強リブ53cは、前板等と一体的に形成されており、ベース部材41への組み付け時に、空間41aに収容された表側ケース部材32の表面や固定片35に当接して表側ケース部材32を押さえる機能を果たす(
図3(a)参照)とともに、かしめカバー部材42側部の補強をも担っている。また、各側機能部53の下端部は、後板よりも下方へ突出しており、組み付け時に係止片43の前方を覆うようになっている。加えて、各側機能部53,53の下端部には、ベース部材41への組み付け時に補強部50の前方に嵌合する嵌合突起53dが設けられている。
【0025】
(2)不正防止用ビスの構造
また、
図8は、かしめカバー部材42とベース部材41とを螺着するための不正防止用ビス44を示したものであり、不正防止用ビス44は、筒状に形成された金属製のビス部材61と、ビス部材61へ挿入する(ねじ込む)金属製の芯部材62とからなる。ビス部材61は、六角形状のフランジを有する頭部61cと、当該頭部61cから前方へ一体的に突設された軸部とからなる。軸部の先端部は、先割れ状に形成されており、外周面にやすり状の掛止面が形成されてなる複数の舌部61a,61a・・が設けられている。また、ビス部材61の内周面には、軸部の基端部から各舌部61aの先端際にわたってネジ溝61dが形成されている(なお、ネジ溝61dは、各舌部61aの先端に到達するまで形成されている訳ではなく、ネジ溝61dと舌部61aの先端との間にネジ溝61dが設けられていない帯状部61eが形成されている)。さらに、各舌部61aの先端には、係止突起61bが径方向へ突設されている。そして、舌部61a,61a・・は、ビス挿通部53aおよびビス受け部49よりも小径となるように先細り状に窄められており、芯部材62がねじ込まれた際に、舌部61a,61a・・におけるビス部材61の径が拡開するようになっている。加えて、頭部61cの外側には、ねじ込まれた芯部材62のねじ頭62bの略全体を収納できるように、収納凹部63が扁平な円柱状に刻設されている。
【0026】
一方、芯部材62は、軸の先端部にのみ雄ねじ部62aが設けられたネジ部材であって、ねじ頭62bは、ねじ込み方向へのみトルクをかけることが可能なワンウェイタイプに成形されている。なお、芯部材62の雄ねじ部62aの山位置での径は、軸よりも大径とされているものの、谷位置での径は軸と同径とされており、後述の如く芯部材62をねじ込む際にビス部材61の先端(舌部61a,61a・・の位置)を必要以上に拡開させないようになっている。
【0027】
上記の如く構成された不正防止用ビス44を使用する場合には、まず、ビス部材61を、その係止突起61b,61b・・がビス受け部49よりも前方まで突出するように、ビス挿通部53aを介して押し込む。このとき、舌部61a,61a・・は先細り状に窄められているため、手作業等により難なく押し込むことができる。
【0028】
次に、上記した状態にあるビス部材61に対して、芯部材62を強引にねじ込み、そのねじ込み力によって、雄ねじ部62aをビス部材61の先端からさらに前方へ突出させる。すると、ビス部材61の先割れ状部は、やすり状(無数の突起状)とされた各舌部61aの掛止面が被螺着体(後述するビス受け部49の内周面)に食い込んで掛止するまで拡開する。また、先割れ状部の拡開により、係止突起61bがビス受け部49の端縁に係止してビス部材61が抜け止めされる。なお、当該掛止状態において、帯状部61e位置でのビス部材61の内径は、雄ねじ部62aの山位置での径よりも小径となっている。
【0029】
一方、芯部材62の雄ねじ部62aは、帯状部61eを通過する際に、先割れ状部が雄ねじ部62aの山位置での径まで拡開することはないため、潰れた状態となる(
図8(d)参照)。また、雄ねじ部62aがビス部材61の先端から突出すると、ビス部材61の先割れ状部は芯部材62の軸径まで若干縮径し、雄ねじ部62aの後端部がビス部材61の先端面に係止する。なお、芯部材62をねじ込む際には、六角形状の頭部61cとビス挿通部53aの挿通孔とが係合しているため、芯部材62にトルクをかけ易くなっているとともに、トルクをかけることによるビス部材61の回転を防止している。また、ビス部材61に芯部材62がねじ込まれて、ビス部材61の頭部61cの収納凹部63に、芯部材62のねじ頭62bが収納されると、ペンチ等の工具で芯部材62のねじ頭62bを把持して無理矢理に回転させることもできなくなる。
【0030】
(3)制御装置の組み付け方法
以下、上記の如く構成された内ケース22および外ケース23の組み立てについて、
図9、
図10に基づいて説明する。まず、内ケース22の組み付けに際しては、裏側ケース部材31を、その前方にメイン制御基板21を介在させた状態で、後方からネジ24、24・・により表側ケース部材32へネジ止めする。その際に、メイン制御基板21も、同ネジ24、24・・により、内ケース22内部において表側ケース部材32へネジ止めされる。そのように組み付けられると、裏側ケース部材31が、表側ケース部材32の開口内へ嵌め込まれた状態となり、強引にこじ開けようとしてもメイン制御基板21の表面(素子設置面)が露出しにくいようになっている。
【0031】
次に、上記の如く組み立てた内ケース22をベース部材41に組み付ける。当該組み付けに際しては、今回の組み立てにおいては使用しない予備の不正防止用ビス44,44をベース部材41のビス収納部48へ収納した後、空間41a内へ内ケース22を嵌め込み、ネジ55,55により固定片35をネジ止め部51にネジ止めして組み付ける。その際に、内ケース22の鍔片36,36がビス収納部48の開口を覆った状態となり、内ケース22の下部では、係止凹部34に係止片43が係止した状態となる。また、内ケース22の前面は、ベース部材41の内面に当接した状態となる。
【0032】
しかる後、固有のIDを記憶したICタグを有する識別シール56を、内ケース22の鍔片36の前面とベース部材41の上機能部45の上面とに跨るように貼着する。このとき、ICタグ(すなわち、IDを記憶したチップおよび外部端末との間で無線通信を行うためのアンテナ部を含むもの)をベース部材41の上面側に位置させるように識別シール56を貼着し、かしめカバー部材42を介して外部端末を近接させた場合にIDを読み取り可能とする。また、識別シール56の鍔片36側の表面には、IDとは異なる別の識別番号が記載されており、目視で識別番号の確認を可能としている。さらに、同表面には、シールの剥離に使用するような溶液等が付着すると化学反応によって変色する反応部(残痕部)が設けられおり、識別シール56の不正剥離を防止している。
【0033】
上記の如くベース部材41に内ケース22を組み付け、識別シール56を貼着した後には、ベース部材41とかしめカバー部材42とを不正防止用ビス44,44を用いて一体化する。このとき、かしめカバー部材42は、ベース部材41の上方から下方へスライドさせ、各嵌入突起52cを嵌入凹部45a内へ嵌入させるとともに、嵌合突起53d、53dを補強部50の前方へ嵌合させる。そして、左右のビス挿通部53a,53aのうちそれぞれ下側のビス挿通部53a,53aへ不正防止用ビス44を前方(かしめカバー部材42側)から挿入し、不正防止用ビス44の先端をベース部材41のビス受け部49に係止および食い込ませることにより、ベース部材41とかしめカバー部材42とを一体化することによって、外ケース23の組み付けを完了する。
【0034】
上記の如く組み付けられた状態においては、メイン制御基板21が、内ケース22および外ケース23により二重に覆われ、コネクタ25,25・・のみがコネクタ窓33,33・・から露出した状態となる。また、かしめカバー部材42の押さえリブ52bや押止リブ53b,53b、補強リブ53c,53c・・等が、表側ケース部材32の鍔片36、押止片37,37、固定片35や表面に当接しており、かしめカバー部材42を取り外さない限り、内ケース22を開放したり、固定片35をネジ止めしているネジ55を取り外したり、ビス収納部48から予備の不正防止用ビス44を取り出したり、識別シール56を剥離したりできないようになる。また、かしめカバー部材42の上壁52aにより上機能部45の上面も被覆され、識別シール56のICタグを有する側の面に容易に触れることができないようになる。
【0035】
上記の如く組み付けられた制御装置20は、取付部材80,80等(
図4参照)によって、機枠3の後面側に取り付けられる。そして、メイン制御基板21の検査(たとえば、ROMのチェック)等のため、再び開放する際には、不正防止用ビス44により固着状態にあるビス挿通部53aの周縁の切断リブ54,54・・をニッパ等によって切断する。そのように切断すると、ビス挿通部53aとかしめカバー部材42とが切り離され、ビス挿通部53aをベース部材41側へ残したまま、かしめカバー部材42をベース部材41から取り外すことが可能となる。そのため、上記した組み付け手順とは逆の順序でネジ55,55を取り外すとともに識別シール56を剥離して、内ケース22をベース部材41から取り出し、ネジ24,24・・を外すことにより、メイン制御基板21の検査を行うことが可能となる。さらに、再び組み付ける際には、上記した手順と略同様の手順により、当初ビス収納部48へ収納していた予備の不正防止用ビス44,44を、当初使用しなかった上側のビス挿通部53a,53aへ挿入し、それらの不正防止用ビス44の先端をベース部材41のビス受け部49に係止および食い込ませれば良い。
【0036】
(4)本発明の特徴部分の説明
図11は、かしめカバー部材42のビス挿通部53aを拡大して示したものであり、左右のビス挿通部53a,53aにおいては、上記の如くベース部材41とかしめカバー部材42とを螺着した不正防止用ビス44,44の外側にキャップ11,11が嵌め込まれており、不正防止用ビス44,44が外から見えないように隠されている。
【0037】
図12は、キャップ11を示したものでああり、各キャップ11,11は、紫外線発光蛍光体(ペリレン系化合物)を含有したポリカーボネート樹脂によって、扁平な六角柱状に形成されており、上面が略球面状になっている。さらに、外周面には、4個の係合突起66,66・・が一体的に設けられている。それらの係合突起66,66・・は、鉛直断面が略三角形状になっており、上方にいくほど、外側への突出量が大きくなっている。そして、上端面(
図12(b)における上端面)は、キャップ11の下端面に対して略平行になっている。
【0038】
一方、
図12の如く、かしめカバー部材42の各ビス挿通部53a,53aの内壁には、キャップ11の外周の係合突起66,66・・を係合させるための同数の係合凹部68,68・・が、係合突起66,66・・の形状と略同一の空洞状に設けられている。そして、それらのビス挿通部53a,53aの内部においては、キャップ11が、不正防止用ビス44,44の芯部材62のネジ頭62bの外側において、係合突起66,66・・を係合凹部68,68・・に係合させた状態で、嵌め込まれている。そのようにビス挿通部53a,53a内に嵌め込まれたキャップ11,11は、上記の如く、係合突起66,66・・が矢尻状になっているため、工具等を利用して無理矢理に引き抜かない限り、取り外すことができない。
【0039】
(5)制御装置の効果
制御装置20は、上記の如く、メイン制御基板21が、ベース部材41とかしめカバー部材42とを組み付けてなる外ケース23の内部に収容された内ケース22内に収容されているため、メイン制御基板21に対して不正行為を働くためには、内ケース21と外ケース23との両方をこじ開けたり、穴を空けたりする必要があるため、メイン制御基板21に対して不正行為を働くことがきわめて困難であり、優れた防犯性を発揮することができる。また、内ケース22と外ケース23とに跨るように、固有の識別シール56が貼着されているため、メイン制御基板21に対して不正行為を働くためには、識別シール56の剥離をも行わなければならないので、防犯性が一段と高いものとなっている。
【0040】
上記した効果に加えて、制御装置20は、上カバーとして機能するかしめカバー部材42の一部(不正防止用ビス44,44を隠すようにビス挿通部53a,53aに装着されるキャップ11,11)に、所定の波長の紫外線を照射すると発光する紫外線発光部が設けられているため、上カバーと下カバーとが開放された後に偽造された上カバーに取り替えられた場合でも、所定の波長の紫外線を照射することによって、上カバーが偽造されたものであること(すなわち、不正にROM等が取り替えられたこと)を容易に認識することができる。それゆえ、容易に不正の事態を発見することができ、不正遊技者にとって都合良く作動する事態を未然に防止することができる。
【0041】
さらに、制御装置20は、ワンウェイタイプのネジである不正防止用ビス44,44を隠すようにビス挿通部53a,53aに装着されるキャップ11,11が紫外線発光部であるため、上カバーおよび下カバーを通常のプラスチック(紫外線発光蛍光体を含有しないプラスチック)によって形成するとともに、キャップ11,11のみを紫外線発光蛍光体を含有したプラスチックによって形成することができるので、非常に安価に構築することができる。
【0042】
加えて、制御装置20は、紫外線発光部(キャップ11,11)が紫外線発光蛍光体(ペリレン系化合物)を含有したポリカーボネート樹脂によって形成されているため、通常の光を照射した場合には、紫外線発光部とその他の部分との見分けがつきにくい上、所定の波長の紫外線を照射した場合には、紫外線発光部とその他の部分とをきわめて明瞭に見分けることができる。したがって、所定の波長の紫外線を照射することによって、上カバーが偽造されたものであること(すなわち、不正にROM等が取り替えられたこと)をより短時間で明確に認識することができる。
【0043】
加えて、上述したような制御装置20をパチンコ機1に設置することで、ROM等が不正に取り替えられたりするおそれがなく、遊技者が安心して遊技可能なパチンコ機1を提供することができる。
【0044】
(6)制御装置の変更例
なお、本発明の制御装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、基板、上カバー(表側ケース部材、カバー部材、キャップ)、下カバー(裏側ケース部材、ベース部材)、不正防止用ビス等の形状、構造、あるいは取付位置、取付方法等の構成を本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができる。
【0045】
たとえば、本発明の制御装置は、上記実施形態の如く、上カバーの一部を紫外線発光部としたものに限定されず、下カバーの一部を紫外線発光部としたものや、上カバーおよび/または下カバーの全体を紫外線発光部としたもの等に変更することも可能である。また、上カバーおよび/または下カバーの一部を紫外線発光部とする場合でも、上記実施形態の如く、ワンウェイタイプのネジを覆う(隠す)キャップを紫外線発光部としたものに限定されず、他の部分を紫外線発光部としたものに変更することも可能である。
【0046】
さらに、上カバーおよび/または下カバーの一部を紫外線発光部とする場合には、上記実施形態の如く、上カバーおよび/または下カバーと別個に設けられる他の部材を紫外線発光部とするものに限定されず、上カバーおよび/または下カバーと一体的に設けられる部材あるいは部分を紫外線発光部としたものに変更することも可能である。そのように、上カバーおよび/または下カバーと一体的に設けられる部材あるいは部分を紫外線発光部としたものの一例としては、上カバーの前方の板状部分あるいは下カバーの後方の板状部分に、社名等を示す凸状部分を形成するとともに、当該凸状部分を紫外線発光部としたもの等を挙げることができる。かかる構成を採用する場合には、凸状部分のみを空隙(キャビティ)とした金型を利用して紫外線発光蛍光体を含有した合成樹脂の射出成形を行った後に、成形された凸状部分を設置した別の金型を利用して紫外線発光蛍光体を含有しない合成樹脂の射出成形を行う、所謂、二色成形法を採用することも可能である。
【0047】
加えて、上記実施形態においては制御装置がパチンコ機用のものである場合の一例について説明したが、本発明に係る制御装置は、スロットマシーンやテレビゲーム等のパチンコ機以外の遊技機用のものであっても良い。
【0048】
なお、上記実施形態においては、本発明に係る制御装置の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲、明細書、図面に記載されたすべての要素(たとえば、基板、上カバー(表側ケース部材、カバー部材、キャップ)、下カバー(裏側ケース部材、ベース部材)、不正防止用ビス等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、それらの要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。したがって、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。たとえば、「〜装置」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。さらに、上記したすべての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、いずれも当業者であれば容易に考えられる事項である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する制御装置を、上記実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない(すなわち、本発明に係る制御装置の技術的範囲から外れるものとしたことにはならない)。その他、各要素の構成や形状等における、上記実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。