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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6326901
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】画像処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20180514BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20180514BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20180514BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20180514BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20180514BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20180514BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   G06F3/0346 423
   G06F3/12 304
   B41J29/00 Z
   B41J29/38 Z
   B41J29/42 F
   G03G21/00 386
   G03G21/00 388
   G03G21/00 378
   H04N1/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-63719(P2014-63719)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-185126(P2015-185126A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 友梨
【審査官】 永野 志保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−102426(JP,A)
【文献】 特開2008−003816(JP,A)
【文献】 特開平08−328715(JP,A)
【文献】 特開平11−085442(JP,A)
【文献】 特開2010−033183(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0088599(US,A1)
【文献】 特開2009−206751(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0217193(US,A1)
【文献】 特開2007−079806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0346
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者を撮像する撮像手段と、
複数の画像処理のうち一を画像処理装置に行わせるための操作表示を行う表示手段と、
前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記操作者による前記表示手段の視認を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した時間を前記複数の画像処理ごとに累積計測する計測手段と、
前記累積計測した時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記複数の画像処理に応じた案内を報知する報知手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記操作者を識別する識別情報の入力を受け付ける第1受付手段と、
前記操作者による画像処理の実行の指示の入力を受け付ける第2受付手段と、
操作者を識別する識別情報と前記画像処理の内容を示す情報とを対応付けて記憶する記憶手段から、前記入力が受け付けられた識別情報に対応する情報を取得する取得手段と
を更に備え、
前記計測手段は、予め定められた開始タイミングから前記指示の入力を受け付けるまで期間において、前記検知手段が前記視認を検知した累積時間を計測し、
前記報知手段は、前記計測された累積時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記取得された情報に応じた案内を報知する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記計測された累積時間が予め定められた閾値を越える場合に、前記入力が受け付けられた指示に対応する画像処理の内容を示す情報を、前記入力が受け付けられた識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶する記憶制御手段
を更に備える請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取得手段によって前記情報が取得された場合に、前記開始タイミングから前記指示の入力を受け付けるまでの期間の少なくとも一部の期間において、前記取得された情報に応じた案内を報知する第2報知手段
を更に備える請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1受付手段は、前記撮像手段から出力される撮影データに基づいて前記操作者の認証を行い、
前記予め定められた開始タイミングは、前記認証が成功したタイミングである
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶制御手段は、前記計測された累積時間が予め定められた閾値を超える場合に、前記情報と前記識別情報とを、該累積時間に対応付けて記憶し、
前記報知手段は、前記入力が受け付けられた識別情報に対応付けて複数の前記情報が前記記憶手段に記憶されている場合に、該複数の情報の中から、対応付けて記憶された累積時間が予め定められた条件を満たすものを選択し、選択した情報に応じた案内を報知する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記記憶されている情報の示す内容の画像処理を指示するための操作ボタンを前記表示手段に表示させる
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記操作者が当該画像処理装置から予め定められた範囲内に位置しているかを特定する特定手段
を更に備え、
前記報知手段は、前記特定手段によって前記操作者が前記範囲内に位置していないと特定された場合に、予め定められた端末へ前記案内を示す情報を送信する
請求項2ないし7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
操作者を撮像する撮像手段を備えるコンピュータに、
複数の画像処理のうち一を当該コンピュータに行わせるための操作表示を行うステップと、
前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記操作者による前記操作表示の視認を検知するステップと、
前記複数の画像処理ごとに前記検知された時間を累積計測するステップと、
前記累積計測した時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記複数の画像処理に応じた案内を報知するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザ端末からプリント受領ユーザを指定したプリントジョブを管理サーバに送信し、管理サーバにおいてプリントジョブをプリント受領ユーザのユーザ識別子に対応付けて管理することが記載されている。特許文献1に記載のシステムは、情報出力装置に備えられたカメラによって、ユーザ画像情報を取得して管理サーバに送信する。管理サーバは、画像情報の照合処理によるユーザ認証を実行し、ユーザ認証の成立を条件として認証ユーザをプリント受領ユーザとして設定したプリントジョブデータを情報出力装置に対して送信し、出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−133847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像処理装置の操作に不慣れな操作者であっても、画像処理装置の操作を行い易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、操作者を撮像する撮像手段と、複数の画像処理のうち一を画像処理装置に行わせるための操作表示を行う表示手段と、前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記操作者による前記表示手段の視認を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した時間を前記複数の画像処理ごとに累積計測する計測手段と、前記累積計測した時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記複数の画像処理に応じた案内を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、請求項1に記載の構成において、前記操作者を識別する識別情報の入力を受け付ける第1受付手段と、前記操作者による画像処理の実行の指示の入力を受け付ける第2受付手段と、操作者を識別する識別情報と前記画像処理の内容を示す情報とを対応付けて記憶する記憶手段から、前記入力が受け付けられた識別情報に対応する情報を取得する取得手段とを更に備え、前記計測手段は、予め定められた開始タイミングから前記指示の入力を受け付けるまで期間において、前記検知手段が前記視認を検知した累積時間を計測し、前記報知手段は、前記計測された累積時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記取得された情報に応じた案内を報知することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像処理装置は、請求項2に記載の構成において、前記計測された累積時間が予め定められた閾値を越える場合に、前記入力が受け付けられた指示に対応する画像処理の内容を示す情報を、前記入力が受け付けられた識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶する記憶制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像処理装置は、請求項2または3に記載の構成において、前記取得手段によって前記情報が取得された場合に、前記開始タイミングから前記指示の入力を受け付けるまでの期間の少なくとも一部の期間において、前記取得された情報に応じた案内を報知する第2報知手段を更に備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像処理装置は、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の構成において、前記第1受付手段は、前記撮像手段から出力される撮影データに基づいて前記操作者の認証を行い、前記予め定められた開始タイミングは、前記認証が成功したタイミングであることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像処理装置は、請求項に記載の構成において、前記記憶制御手段は、前記計測された累積時間が予め定められた閾値を超える場合に、前記情報と前記識別情報とを、該累積時間に対応付けて記憶し、前記報知手段は、前記入力が受け付けられた識別情報に対応付けて複数の前記情報が前記記憶手段に記憶されている場合に、該複数の情報の中から、対応付けて記憶された累積時間が予め定められた条件を満たすものを選択し、選択した情報に応じた案内を報知することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像処理装置は、請求項2ないし6のいずれか1項に記載の構成において、前記報知手段は、前記記憶されている情報の示す内容の画像処理を指示するための操作ボタンを前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る画像処理装置は、請求項2ないし7のいずれか1項に記載の構成において、前記操作者が当該画像処理装置から予め定められた範囲内に位置しているかを特定する特定手段を更に備え、前記報知手段は、前記特定手段によって前記操作者が前記範囲内に位置していないと特定された場合に、予め定められた端末へ前記案内を示す情報を送信することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係るプログラムは、操作者を撮像する撮像手段を備えるコンピュータに、複数の画像処理のうち一を当該コンピュータに行わせるための操作表示を行うステップと、前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記操作者による前記操作表示の視認を検知するステップと、前記複数の画像処理ごとに前記検知された時間を累積計測するステップと、前記累積計測した時間が予め定められた閾値を超えた場合に、前記複数の画像処理に応じた案内を報知するステップとを実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および9に係る発明によれば、操作者による視認が検知された時間を累積計測しない場合と比べて、画像処理装置の操作に不慣れな操作者が画像処理装置の操作を行い易い。
請求項2に係る発明によれば、操作者を識別する識別情報と画像処理の内容を示す情報とを対応付けて記憶する記憶手段から取得された情報に応じた案内を報知しない場合と比べて、画像処理装置の操作に不慣れな操作者が画像処理装置の操作を行い易い。
請求項3に係る発明によれば、これまでの操作において時間を要した画像処理に応じた案内を操作者に報知することができる。
請求項4に係る発明によれば、情報が取得された場合に案内を報知しない場合と比べて、画像処理装置の操作に不慣れな操作者が画像処理装置の操作を行い易い。
請求項5に係る発明によれば、予め定められた開始タイミングを認証が成功したタイミングとしない場合と比べて、利用者が操作に要した時間を正確に計測し易い。
請求項6に係る発明によれば、複数の情報の中からいずれかを選択して選択した情報に応じた案内を報知しない場合と比べて、画像処理装置の操作に不慣れな利用者が画像処理装置の操作を行い易い。
請求項7に係る発明によれば、記憶されている情報の示す内容の処理を指示するための操作ボタンが表示されない場合と比べて、画像処理装置の操作に不慣れな利用者が画像処理装置の操作を行い易い。
請求項8に係る発明によれば、利用者が画像処理装置から離れた場合であっても、端末に情報が送信されない場合と比べて、送信された情報により画像処理装置の操作を行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】画像形成装置10の外観を示す図。
図2】画像形成装置10の機能構成を示す図。
図3】画像形成装置10のハードウェア構成を示す図。
図4】画像形成装置10が行うガイダンス表示処理の流れを示すフローチャート。
図5】UI部107に表示される画面の一例を示す図。
図6】平均累積時間テーブル41の内容の一例を示す図。
図7】履歴テーブル42の内容の一例を示す図。
図8】UI部107に表示される画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.構成
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の外観を示す斜視図である。画像形成装置10は、本発明に係る画像処理装置の一例である。画像形成装置10は、例えば電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置10は、用紙などの記録媒体に画像を形成する画像形成機能、画像を複写(コピー)する複写機能、記録媒体に形成されている画像を読み取るスキャン機能などを備えている。画像形成装置10が備える機能はこれらの機能に限定されるものではなく、例えばファクシミリ機能を備えていてもよい。また、画像形成装置10は上述した機能を全て備えているものに限定されず、例えば、画像形成機能および複写機能を備えており、他の機能を備えていない構成であってもよい。
【0017】
画像形成装置10には、焦電センサー105と、カメラ106とが設けられている。焦電センサー105は、カメラ106よりも低消費電力であり、また、カメラ106よりも広い検知領域で利用者の動きを検知するセンサーである。カメラ106は、画像形成装置10の前に位置する利用者を撮影し、撮影した動画像または静止画像を表す撮影データを出力する。撮影データは利用者の認証を行うために用いられる。操作者が節電ボタンを押下するなどして画像形成装置10がスリープ状態になっている場合において、焦電センサー105によって利用者が検知されると、画像形成装置10はスリープ状態を解除し、カメラ106を起動して、利用者の認証を行う。この例で、利用者の認証は、カメラ106によって撮影された撮影データが解析されることによって行われる。
【0018】
図2は、画像形成装置10の機能構成を示す図である。画像形成装置10は、撮像手段22、表示手段20、検知手段12、計測手段14、報知手段16、第1受付手段11、第2受付手段13、取得手段15、記憶制御手段17、第2報知手段18および特定手段19を有する。撮像手段22は操作者を撮影する。表示手段20は、複数の画像処理のうち一を画像形成装置10に行わせるための操作表示を行う。検知手段12は、操作者による表示手段20の視認を、撮像手段22による撮像結果に基づいて検知する。計測手段14は、検知手段12が検知した時間を複数の画像処理ごとに累積計測する。報知手段16は、累積計測された時間が予め定められた閾値を超えた場合に、複数の画像処理に応じた案内を報知する。
【0019】
第1受付手段11は、操作者を識別する識別情報の入力を受け付ける。この例で、第1受付手段11は、撮像手段22から出力される撮影データを解析し、撮影データから抽出した認証用のデータを識別情報として取得する。第2受付手段13は、操作者による画像処理の実行の指示の入力を受け付ける。この例で、画像形成装置10が行う「画像処理」には、例えば、「コピー」や「スキャン」など、画像データを用いた種々の処理が含まれる。
【0020】
取得手段15は、操作者を識別する識別情報と、画像処理の内容を示す情報とを対応付けて記憶する記憶手段21から、第1受付手段11によって入力が受け付けられた識別情報に対応する情報を取得する。記憶制御手段17は、計測手段14によって計測された累積時間が予め定められた閾値を超える場合に、前記第2受付手段13によって入力が受け付けられた指示に対応する画像処理の内容を示す情報を、前記第1受付手段によって入力が受け付けられた識別情報に対応付けて記憶手段21に記憶する。
【0021】
第2報知手段18は、取得手段15によって記憶手段21から情報が取得された場合に、予め定められた開始タイミングから前記第2受付手段13が画像処理の指示の入力を受け付けるまでの期間の少なくとも一部の期間において、取得手段15によって取得された情報に応じた案内を報知する。特定手段19は、操作者が画像形成装置10から予め定められた範囲内に位置しているかを特定する。この例で、特定手段19は、焦電センサー105から出力される信号に基づいて、操作者が画像形成装置10から予め定められた範囲内に位置しているかを特定する。
【0022】
図3は、画像形成装置10のハードウェア構成を例示する図である。画像形成装置10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ストレージ104と、焦電センサー105と、カメラ106と、UI部107と、画像形成部108と、画像読取部109とを有する。CPU101は、画像形成装置10の各部を制御する制御装置(プロセッサ)である。ROM102は、プログラムおよびデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域として機能する揮発性の主記憶装置である。ストレージ104は、プログラムおよびデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。焦電センサー105は、利用者(操作者)の動きを検知するセンサーである。カメラ106は、画像形成装置10の前に位置する利用者を撮影し、撮影した動画像または静止画像を表す撮影データを出力する。
【0023】
UI部107は、各種のキーやタッチセンサーなどの操作子を備え、利用者の操作に応じた操作情報をCPU101に供給する。CPU101はこの操作情報に応じた処理を行う。また、UI部107は、液晶パネルや液晶駆動回路を備え、CPU101による制御の下で画像を表示する。画像形成部108は、電子写真方式で用紙などの記録媒体に画像を形成する。画像読取部109は、原稿の画像を光学的に読み取る。
【0024】
この例で、ストレージ104(またはROM102)に記憶されているガイダンス表示プログラムをCPU101が実行することにより、図2に示される機能が実装される。ガイダンス表示プログラムを実行しているCPU101は、第1受付手段11、検知手段12、第2受付手段13、計測手段14、取得手段15、記憶制御手段17および特定手段19の一例である。ガイダンス表示プログラムを実行しているCPU101、またはCPU101およびUI部107は、報知手段16および第2報知手段18の一例である。UI部107は、表示手段20の一例である。ストレージ104は、記憶手段21の一例である。カメラ106は、撮像手段22の一例である。
【0025】
2.動作
次に、画像形成装置10が行う動作について説明する。利用者は、画像形成装置10のUI部107を操作するために、画像形成装置10の近くに移動する。この利用者は、焦電センサー105によって検知される。利用者が検知されることによりカメラ106が起動され、撮影が開始される。カメラ106は、利用者を撮影し、撮影データを出力する。
【0026】
図4は、画像形成装置10のCPU101が行う処理の流れを示すフローチャートである。ステップS101において、CPU101は、カメラ106から出力される撮影データを解析し、解析結果を予め定められた認証用データと照合することによってユーザ認証を行う。CPU101は、認証に成功した場合は、ステップS102の処理に進む。ステップS102において、CPU101は、認証に成功してから利用者がスタートボタンを押下するまでの時間(以下「操作時間」という)の計測を開始する。一方、ステップS101においてユーザ認証に成功しなかった場合は、CPU101は、ユーザ認証が成功するまで再度認証処理を行う。ユーザ認証に成功すると、CPU101は、画像処理の指示の入力を受け付ける画面をUI部107に表示させる。
【0027】
図5は、UI部107に表示される画面(以下「UI画面」という)を例示する図である。この例で、UI部107には、コピーボタンB1、スキャンボタンB2、ファクシミリボタンB3、OKボタンB4が表示される。利用者は、UI部107を用いて、画像処理を画像形成装置10に行わせるための操作を行う。例えば、コピーを行う場合は、利用者はUI部107に表示されたコピーボタンB1を押下する。コピーボタンB1が押下されると、UI部107には、コピー処理についての各種の設定を行うための画面が表示される。例えば、「読取方法(片面から片面、片面から両面、両面から両面、など)」や、「倍率」を設定するための画面がUI部107に表示される。利用者は、例えば、「片面から片面」、「片面から両面」、「両面から両面」、といった複数の処理種別の中からいずれかを選択する操作を行う。また、例えば、拡大コピーや縮小コピーを行う場合には、利用者は、倍率を設定するための操作を行う。これらの設定処理は、利用者が画像形成装置10の操作に不慣れな場合は、かなりの時間を要する場合がある。利用者は、画像処理を行わせるための各種の設定を終えると、設定した画像処理の実行を指示するための操作をUI部107を用いて行う。この例で、利用者は、UI部107に設けられているスタートボタンを押下する。スタートボタンが押下されると、UI部107は、利用者によって操作された内容に応じた情報を出力し、CPU101は、UI部107から出力される情報に基づいて、設定された画像処理の実行を開始する。
【0028】
CPU101は、ステップS103以降の処理において、ユーザ認証が成功してからスタートボタンが押下されるまでの間において、利用者の視線がUI部107に向いている時間の累積(以下、「累積時間」という)を計測する。まず、ステップS103において、CPU101は、撮影データを解析して利用者の顔画像から視線を検出し、検出した視線がUI部107に向いているか、すなわち利用者がUI部107を見ているか(視認しているか)を判定する。利用者がUI部107を視認しているか否かの検出は、周知の視線検知の技術が用いられる。視線がUI部107に向いていないと判定された場合は(ステップS103;NO)、CPU101は、カメラ106(顔カメラ)の撮影データの解析による累積時間の計測を停止し(ステップS104)、再度ステップS103の判定処理に戻る。一方、視線がUI部107に向いていると判定された場合は(ステップS103;YES)、CPU101は累積時間を計測する(ステップS105)。
【0029】
ステップS106において、CPU101は、スタートボタンが押下されたかを判定する。スタートボタンが押下されたと判定された場合は(ステップS106;YES)、CPU101は、ステップS107の処理に進む。一方、スタートボタンが押下されていないと判定された場合は(ステップS106;NO)、CPU101はステップS103の処理に戻る。ステップS107において、CPU101は、操作時間の計測を終了し、履歴テーブル42に計測結果(操作時間および累積時間)を履歴として登録する。また、CPU101は、計測結果を用いて平均累積時間テーブル41に記憶されている、処理種別ごとに集計された平均の累積時間(以下「平均累積時間」という)を更新する。
【0030】
図6は、平均累積時間テーブル41の内容の一例を示す図である。図示のように、このテーブルには、「処理種別」と「平均累積時間」との各項目が互いに関連付けられて記憶されている。これらの項目のうち、「処理種別」の項目には、「コピー」や「スキャン」などの画像処理の種別を示す情報が格納される。「平均累積時間」の項目には、処理種別ごとの累積時間の平均値を示す情報が格納される。
【0031】
ステップS108において、CPU101は、計測された累積時間が予め定められた閾値よりも大きいかを判定する。この例で、閾値としては、平均累積時間テーブル41に記憶されている、処理種別ごとの平均累積時間が用いられる。この例で、CPU101は、ステップS108において、それまでに利用者によって操作されることによってUI部107から出力された情報に基づいて画像処理の処理種別を特定し、特定した処理種別に対応する平均累積時間を閾値として特定する。累積時間が閾値以下である場合は(ステップS108;NO)、CPU101は、ステップS109の処理をスキップし、そのまま処理を終了する。一方、累積時間が閾値よりも大きい場合は、CPU101は、ステップS109の処理に進み、ガイダンス表示を行う。ステップS109において、CPU101は、ストレージ104の履歴テーブル42に記憶されている情報に基づいてUI部107にガイダンス表示を行う。なお、ステップS108の判定で用いられる閾値は、処理種別ごとの平均累積時間に限られない。例えば、利用者ごとに閾値が予め設定されていてもよく、また、全ての処理種別において共通の閾値が用いられてもよい。
【0032】
図7は、履歴テーブル42の内容の一例を示す図である。このテーブルには、利用者の過去の操作において累積時間が予め定められた閾値よりも大きかった処理の内容が、履歴として蓄積される。図示のように、このテーブルには、「ユーザID」と、「処理種別」と、「累積時間」との各項目が互いに関連付けられて記憶される。これらの項目のうち、「ユーザID」の項目には、利用者を識別する識別情報が格納される。「処理種別」の項目には、「コピー」や「スキャン」などの画像処理の内容を示す情報が格納される。この情報には、「コピー」や「スキャン」などの画像処理の種別を示す情報や、画像処理における各種の設定情報(例えば、「読取方法」の設定値、「倍率」の設定値、など)が含まれる。「累積時間」の項目には、その利用者が過去にその画像処理を指示する操作を行ったときに要した累積時間が格納される。
【0033】
ステップS109において、CPU101は、履歴テーブル42に記憶されている情報に基づいてUI部107にガイダンス表示を行う。この例で、CPU101は、履歴テーブル42に履歴として登録されている処理種別の示す画像処理を実行するためのショートカットボタンをガイダンスとしてUI部107に表示する。通常の操作においては、利用者は、図5に例示したUI画面において表示されているボタンのいずれかを押下することによって指示する画像処理を選択し、選択した画像処理について、更に細かい設定処理を行う。例えば、利用者は、図5に例示されるUI画面おいてコピーボタンB1を押下し、その後、コピー処理についての「読取方法」や「倍率」などの設定を逐次行う。それに対し、ショートカットボタンは、利用者が以前の操作において設定した設定値で画像処理を指示するためのボタンである。すなわち、利用者は、所望する画像処理を指示するためにショートカットボタンを押下するだけでよく、細かい設定操作(「読取方法」や「倍率」などを設定する操作)を別途行う必要がない。
【0034】
図8は、ショートカットボタンが表示されたUI画面を例示した図である。図8に示すように、図5で示したUI画面において表示される操作ボタンに加えて、履歴テーブル42に履歴として登録されている処理種別の示す処理を実行するためのショートカットボタンB11、B12が、UI部107に表示される。
【0035】
ステップS109において、履歴テーブル42に複数の処理種別が記憶されている場合には、CPU101は、記憶されている処理種別に対応する全てのショートカットボタンをUI部107に表示してもよく、また、複数の処理種別の中からいずれかを選択して表示してもよい。選択の手法としては、例えば、CPU101は、複数の処理種別の中から、対応する累積時間が最も長いものを選択してもよく、また、例えば、対応する累積時間が予め定められた閾値以上のものを選択してもよい。
【0036】
この実施形態では、利用者による累積時間が予め定められた閾値を超えた場合に、利用者の操作履歴に応じたショートカットボタンB11、B12が表示される。利用者は、所望する画像処理の実行を画像形成装置10に指示するために、ショートカットボタンB11、B12を押下すればよく、それ以外の煩雑な操作を行う必要がない。
【0037】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の一例である。これらの実施形態は、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例は、互いに組み合わせてもよい。
【0038】
3−1.変形例1
上述の実施形態では、CPU101は、利用者の視線がUI部107に向いている累積時間が予め定められた閾値以上となった場合に、ガイダンス表示を行った。ガイダンス表示を行うタイミングは、例えば、その利用者が画像形成装置10において再度認証されたタイミングであってもよい。この場合、CPU101は、ユーザ認証が成功したタイミングで、履歴テーブル42にその利用者に対応する情報が格納されているか否かを判定し、対応する情報が格納されている場合に、格納されている情報に応じたガイダンス表示を行う。すなわち、CPU101が、履歴テーブル42にその利用者に対応する情報が格納されている場合に、操作時間の計測を開始するに先立って、ガイダンス表示を行ってもよい。また、他の例として、例えば、CPU101は、利用者によってスタートボタンが押下されるまでに累積時間が予め定められた閾値を超えた場合に、累積時間が閾値を超えたタイミングにおいてガイダンス表示を行ってもよい。
【0039】
3−2.変形例2
上述の実施形態では、CPU101は、撮影によるユーザ認証が成功したタイミングを、累積時間の計測の開始タイミングとした。計測の開始タイミングはこれに限られない。例えば、CPU101は、焦電センサー105によって利用者が検知されたタイミングを、計測の開始タイミングとしてもよい。また、他の例として、利用者を撮影することによりユーザ認証を行うに代えて、利用者がUI部107にユーザIDやパスワードを入力することによってユーザ認証が行われる場合に、CPU101が、ユーザIDやパスワードによるユーザ認証が成功したタイミングを、操作時間の計測の開始タイミングとしてもよい。
【0040】
また、操作時間の計測の開始タイミングの他の例として、例えば、CPU101が、ユーザ認証が成功したタイミングおよび直前に指示された画像処理の実行が完了したタイミングの少なくともいずれか一方を、計測の開始タイミングとしてもよい。例えば、ひとりの利用者が画像形成装置10に複数の画像処理を連続して行わせる場合には、CPU101は、直前に指示された画像処理の実行が完了したタイミングで、次の画像処理についての操作時間の計測を開始してもよい。
【0041】
3−3.変形例3
上述の実施形態では、CPU101がUI部107にショートカットボタンを表示させることによって、利用者に操作の案内(ガイダンス)を報知した。報知の態様はこれに限られない。例えば、CPU101は、履歴テーブル42に記憶されている情報に対応する操作ガイダンスをUI部107に表示してもよい。表示される操作ガイダンスとしては、例えば、操作の手順を具体的に表すメッセージや画像であってもよく、また、「履歴を登録しますか?」といったメッセージが含まれていてもよい。この場合、利用者によって履歴を登録する旨が選択された場合は、CPU101は、選択された内容に基づいて、それまでの操作の内容を履歴テーブル42に登録してもよい。また、例えば、画像形成装置10がスピーカを備える構成とし、CPU101が、操作ガイダンスの音声メッセージをスピーカから出力させることによって報知してもよい。
【0042】
また、他の例として、CPU101が、例えば、予め定められたメールアドレスに、操作ガイダンスを示すデータを送信してもよい。この場合、例えば、利用者が所有するパーソナルコンピューターや携帯端末に、「頻度の高い操作は、次回からショートカットボタンが作成されます」といったメッセージが送信されてもよい。このように、利用者への報知の態様は種々のものが用いられる。要は、何らかの方法でCPU101が利用者に報知するものであればよい。
【0043】
また、CPU101が、累積時間が閾値を越えた画像処理について、その旨を示すデータを、予め定められた管理装置に送信してもよい。この場合、管理装置でそれらの情報が集計されることによって、どの操作に時間を要しているか、といった統計処理が行われてもよい。
【0044】
また、他の例として、CPU101が、焦電センサー105から出力される信号に基づいて利用者が画像形成装置10から予め定められた範囲内に位置しているかを特定し、予め定められた範囲内に利用者が位置していない場合に、予め定められた端末へ操作ガイダンスを示すデータを送信してもよい。また、例えば、スキャンした書類などが画像形成装置10に残っている状態のまま、焦電センサー105によって利用者が検知されなくなった場合に、CPU101が、その旨を報知する処理を行ってもよい。具体的には、例えば、「忘れ物があります」といった音声メッセージや、電子音が画像形成装置10から出力されてもよい。また、CPU101が、忘れ物がある旨のメッセージを、予め定められた端末(利用者が所有する端末)へ送信するようにしてもよい。
【0045】
3−4.変形例4
上述の実施形態では、平均累積時間テーブル41や、履歴テーブル42は、画像形成装置10のストレージ104に記憶されていた。平均累積時間テーブル41や、履歴テーブル42は、画像形成装置10の外部に設けられた記憶手段に記憶されていてもよい。この場合は、例えば、画像形成装置10のCPU101は、通信ネットワークを介してテーブルの参照や更新を行ってもよい。
【0046】
3−5.変形例5
上述の実施形態では、利用者がUI部107に表示されたスタートボタンやショートカットボタンを押下することによって、画像形成装置10に画像処理の実行の指示を入力した。利用者が画像処理の実行を指示する手法はこれに限られない。例えば、いわゆる視線入力や音声入力によって画像処理の実行が指示されるものであってもよい。本発明に係る表示手段は、利用者の手によって操作されるものに限られず、利用者が画像形成装置10を操作する(視線入力や音声入力により操作する場合を含む)際に、利用者の操作を案内または補助するための画像を表示するものを含む。
【0047】
3−6.変形例6
上述の実施形態において、画像形成装置10のCPU101により実行されるプログラムは、インターネットなどの通信回線を介してダウンロードされてもよい。また、このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…画像形成装置、11…第1受付手段、12…検知手段、13…第2受付手段、14…計測手段、15…取得手段、16…報知手段、17…記憶制御手段、18…第2報知手段、19…特定手段、20…表示手段、21…記憶手段、22…撮像手段、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…ストレージ、105…焦電センサー、106…カメラ、107…UI部、108…画像形成部、109…画像読取部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8