(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の金属端子は、前記押圧部材が前記第1のハウジングに挿入されたときに前記押圧部材と前記第1の金属端子との間に位置するように前記第1のハウジングに挿入され、
前記第2のハウジングは、前記押圧部材によって押圧される方向及びその逆方向に移動可能に前記第2の金属端子を保持する保持部を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
前記第2のハウジングは、固定ハウジングと、前記複数の第2の金属端子が設けられている可動ハウジングであって、前記固定ハウジングに対して前記突出方向に垂直な方向のスライド及び前記突出方向に平行な軸線周りの回動の少なくとも一方が可能に前記固定ハウジングに保持されている可動ハウジングとを有する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術によると、各機器側端子同士を絶縁するために絶縁片が必要である。絶縁片は絶縁距離を確保するためにある程度の大きさが必要であるので、絶縁片を設けるとコネクタ装置の体格が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
本明細書では、複数の第1の金属端子を有する雌コネクタと複数の第2の金属端子を有する雄コネクタとを備えるコネクタ装置において、コネクタ装置の体格が大きくなってしまうことを抑制しつつ第1の金属端子と第2の金属端子とを確実に接触させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示されるコネクタ装置は、開口を有する第1のハウジングと、前記第1のハウジングの内周に沿って前記第1のハウジングの内側に設けられている複数の第1の金属端子と、を有する雌コネクタと、第2のハウジングと、前記第1の金属端子と同数の第2の金属端子であって、前記第2のハウジングから互いに同一方向に突出し、その突出方向を挿入方向として前記開口から前記第1のハウジングに挿入される第2の金属端子と、を有する雄コネクタと、前記第1のハウジングに挿入される押圧部材であって、前記第1の金属端子と前記第2の金属端子との組毎に個別に前記第1の金属端子及び前記第2の金属端子のうち一方の金属端子を他方の金属端子に向けて押圧することにより、前記第1の金属端子と前記第2の金属端子とを接触させる押圧部材と、を備える。
【0008】
上記のコネクタ装置によると、押圧部材によって複数の一方の金属端子をそれぞれ他方の金属端子に向けて個別に押圧するので、第1の金属端子同士を絶縁する絶縁片や第2の金属端子同士を絶縁する絶縁片を備えなくてよい。これにより、コネクタ装置の体格が大きくなってしまうことを抑制しつつ第1の金属端子と第2の金属端子とを確実に接触させることができる。
【0009】
また、上記のコネクタ装置において、前記雌コネクタはN個(N≧3)の前記第1の金属端子が前記第1のハウジングの内周に沿って等間隔に設けられており、前記押圧部材はN個の前記一方の金属端子を放射状に押圧してもよい。
【0010】
例えばN個の金属端子が一列に配列されているとすると、それらの金属端子を個別に押圧するために押圧部材をN個の金属端子の配列方向に長く延びる形状にしなければならない。これに対し、N個の一方の金属端子を放射状に押圧するようにすると、押圧部材をコンパクトにすることができる。これにより、コネクタ装置の体格が大きくなってしまうことをより抑制できる。
【0011】
また、上記のコネクタ装置において、前記押圧部材は、棒状部材と、前記第1の金属端子と同数の板バネであって前記棒状部材の外周に沿って等間隔に前記棒状部材に設けられている板バネとを有し、前記板バネによって前記一方の金属端子を押圧してもよい。
【0012】
上記のコネクタ装置によると、一方の金属端子を板バネによって押圧するので、ゴムなどによって押圧する場合に比べて強い力で押圧することができる。
【0013】
また、上記のコネクタ装置において、前記棒状部材は軸方向に貫通する貫通穴が形成されており、当該コネクタ装置は、前記貫通穴に挿入されるボルトと、前記第1のハウジングの前記挿入方向の奥側の壁に設けられ、前記ボルトとネジ結合されるナットと、を備えてもよい。
【0014】
例えば作業者が手だけで押圧部材を第1のハウジングに挿入しようとした場合、押圧部材を撓ませるために押圧部材を強く押し込まなければならないので大きな力が必要となる。上記のコネクタ装置によると、作業者は工具などを用いてボルトを締めることによって押圧部材を挿入することができるので、比較的小さな力で挿入することができる。これにより押圧部材を挿入するときの作業性が向上する。
【0015】
また、上記のコネクタ装置において、前記第2の金属端子は、前記押圧部材が前記第1のハウジングに挿入されたときに前記押圧部材と前記第1の金属端子との間に位置するように前記第1のハウジングに挿入され、前記第2のハウジングは、前記押圧部材によって押圧される方向及びその逆方向に移動可能に前記第2の金属端子を保持する保持部を有してもよい。
【0016】
第2の金属端子の剛性が高い場合、押圧部材によって押圧される方向及びその逆方向に第2の金属端子が移動可能に設けられていないと、第2の金属端子が弾性変形しないことによって第1の金属端子に十分に接触しない虞がある。上記のコネクタ装置によると、押圧部材によって第2の金属端子を押圧すると第2の金属端子が押圧される方向に移動することにより、第1の金属端子と接触し易くなる。これにより、第2の金属端子の剛性が高くても第1の金属端子と第2の金属端子とをより確実に接触させることができる。
【0017】
また、上記のコネクタ装置において、前記第2の金属端子及び前記第2のハウジングのうちいずれか一方に設けられている被係合部と、前記第2の金属端子及び前記第2のハウジングのうちいずれか他方に設けられており、前記被係合部に係合して前記突出方向とは逆方向への前記第2の金属端子の移動を規制する係合部と、を有していてもよい。
【0018】
上記のコネクタ装置によると、第2の金属端子を第1のハウジングに挿入したときに第2の金属端子が突出方向とは逆方向に移動してしまわないようにすることができる。
【0019】
また、上記のコネクタ装置において、前記第2のハウジングは、固定ハウジングと、前記複数の第2の金属端子が設けられている可動ハウジングであって、前記固定ハウジングに対して前記突出方向に垂直な方向のスライド及び前記突出方向に平行な軸線周りの回動の少なくとも一方が可能に前記固定ハウジングに保持されている可動ハウジングとを有していてもよい。
【0020】
第1のハウジング及び第2のハウジングがそれぞれ他の部品に固定されていることにより、第1のハウジングと第2の金属端子との相対的な位置を自由に調整できないこともある。その場合、製造公差などによって第1のハウジングに対する第2の金属端子の相対的な位置がずれていると、第2の金属端子を第1のハウジングに挿入できなくなってしまう虞がある。上記のコネクタ装置によると、第2の金属端子が設けられている可動ハウジングをスライドさせることにより、あるいは回動させることにより、第2の金属端子の位置を調整することができる。これにより、第2の金属端子をより確実に第1のハウジングに挿入することができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に開示されるコネクタ装置によれば、コネクタ装置の体格が大きくなってしまうことを抑制しつつ第1の金属端子と第2の金属端子とを確実に接触させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
図1から
図6を参照して実施形態1に係るコネクタ装置1について説明する。コネクタ装置1はハイブリッド自動車や電気自動車においてモータとそのモータを駆動するインバータ装置とを電気的に接続するものである。
【0024】
(1)コネクタ装置の構成
図1はコネクタ装置1の側面図であり、
図2はコネクタ装置1の斜視図である。
図1に示すようにコネクタ装置1は雌コネクタ10と雄コネクタ20とを備えている。本実施形態ではインバータ装置が収容されている図示しないインバータハウジングの側壁に嵌合穴が形成されており、雌コネクタ10はその嵌合穴に嵌合挿入されてインバータハウジングに固定されているものとする。また、モータが収容されている図示しないモータハウジングの側壁にも嵌合穴が形成されており、雄コネクタ20はその嵌合穴に嵌合挿入されてモータハウジングに固定されているものとする。なお、コネクタ装置1は雌コネクタ10及び雄コネクタ20の他に後述する押圧部材30も備えている。
【0025】
図3を参照して、雌コネクタ10、雄コネクタ20、及び、押圧部材30について説明する。
雌コネクタ10は開口101Aを有する有底筒状の端子台101、6個の細長い板状の第1の金属端子102、及び、図示しないナット101C(
図5参照)を備えている。なお、
図3では一つの第1の金属端子にのみ符号を付している。
【0026】
端子台101は樹脂によって形成されている。また、端子台101の内周壁には周方向に離間して6つの平面が等間隔に形成されている。つまり、端子台101の内部空間の断面形状は大まかにいうと6角形である。そして、それら6つの平面は6つの板状の壁103によって互いに仕切られている。なお、
図3では一つの壁にのみ符号を付している。端子台101は第1のハウジングの一例である。
【0027】
6個の第1の金属端子102は端子台101の内周に沿って等間隔に端子台101の内側に設けられている。具体的には、これら6個の第1の金属端子102はそれぞれ端子台101の上述した6つの平面に密接するように設けられている。
図3では見えていないが、端子台101の底壁には第1の金属端子102を通すための開口が6箇所に設けられており、第1の金属端子102は端子台101の外からその開口を通して端子台101の内側に挿入されている。第1の金属端子102は他方の金属端子の一例である。
【0028】
また、
図3では見えていないが、第1の金属端子102の他端側は端子台101から外に延びており、それぞれ図示しないケーブルが接続されている。これらのケーブルはインバータ装置に接続される。また、
図3では見えていないが、端子台101の底壁には中央に前述した図示しないナット101Cが嵌め込まれている。ナット101Cについての説明は後述する。
【0029】
雄コネクタ20は、第2のハウジング201、6本のケーブル202、6個の細長い板状の第2の金属端子203、ゴムリング204、及び、リテーナ205を備えている。第2の金属端子203は一方の金属端子の一例である。
【0030】
第2のハウジング201はベースハウジング210、フローティングハウジング211、及び、ハウジングカバー212を備えている。これらはいずれも樹脂によって形成されている。ベースハウジング210は固定ハウジングの一例であり、フローティングハウジング211は可動ハウジングの一例である。
【0031】
ベースハウジング210は矩形の筒状に形成されており、軸方向の両側が開口している。また、ベースハウジング210の外壁にはケーブル202を保持するケーブル保持部213、及び、ハウジングカバー212を係止するための爪部214が形成されている。
【0032】
6本のケーブル202はベースハウジング210を樹脂成形する際に一端部がケーブル保持部213に埋め込まれることによってベースハウジング210と一体化されている。各ケーブル202の上述した一端部は先端部分がベースハウジング210の内側に延びており、その先端部分に第2の金属端子203が接続されている。各ケーブル202の他端部はモータに接続される。ケーブル保持部213にケーブル202を埋め込んだ理由は、ゴム栓などを用いることなくケーブル202とベースハウジング210との間を止水するためである。
【0033】
フローティングハウジング211は第2の金属端子203を保持するものである。フローティングハウジング211は中央部に開口215Aを有する円形の基台215、及び、基台215の開口215A側の縁部に一体に形成されている6個の端子保持部216を有している。端子保持部216は保持部の一例である。フローティングハウジング211の具体的な説明は後述する。
【0034】
ハウジングカバー212はベースハウジング210の開口であって端子台101側の開口を塞ぐ部材である。ハウジングカバー212はベースハウジング210の開口を塞ぐ板状の蓋部222、ベースハウジング210の内側に嵌合挿入される嵌合部223、及び、ベースハウジング210の外壁に形成されている爪部214に係合するフック部224が設けられている。
【0035】
蓋部222の中央部にはフローティングハウジング211の端子保持部216が挿入される開口225が形成されている。
図3では一部しか示されていないが、開口225の形状は6個の端子保持部216の外壁面を連ねたような形状に形成されている。また、蓋部222には端子台101側の面に開口225を囲む円環状の壁部226が設けられている。
【0036】
上述した開口225は、より具体的には6個の端子保持部216の外壁面を連ねたような形状よりも一回り大きく形成されている。また、円環状の壁部226の内径はフローティングハウジング211の基台215の外径よりも少し大きく形成されている。このためフローティングハウジング211がハウジングカバー212に組み付けられたとき、端子保持部216と蓋部222との間、及び、基台215と円環状の壁部226との間に隙間が生じる(
図5参照)。
【0037】
それらの隙間があることにより、フローティングハウジング211はハウジングカバー212に対して、言い換えるとベースハウジング210に対して、基台215の台面に平行な方向(第2の金属端子203の突出方向に垂直な方向)のスライド、及び、基台215の台面に垂直な軸線(第2の金属端子203の突出方向に平行な軸線)周りの回動が可能である。
【0038】
ゴムリング204は円環状の壁部226の外周面と図示しない金属板金との間を止水するための部材である。具体的には、第2のハウジング201は図示しない金属板金によって周囲を覆われる。ゴムリング204はその金属板金との間を止水するものである。また、ゴムリング204を設けるとその金属板金の中心軸とフローティングハウジング211の中心軸とが一致するようにセンタリングすることができるという効果もある。
【0039】
リテーナ205はフローティングハウジング211の抜けを防止するための部材である。リテーナ205も樹脂によって形成されている。リテーナ205は円筒状の内側筒状部227を有している。内側筒状部227の外周形状は円環状の壁部226の内周形状と略一致する。
【0040】
また、内側筒状部227には端子台101側を全周に亘って径方向外側に折り返したような形状の外側筒状部228が一体に形成されている。外側筒状部228の内周形状は円環状の壁部226の外周形状と略一致する。内側筒状部227の外周面と外側筒状部228の内周面とは、円環状の壁部226が挿入される環状の溝を形成している。
【0041】
押圧部材30は、円柱状に形成されている樹脂製の棒状部材301、6個の金属製の板バネ302、及び、端子台101に設けられているナット101Cにネジ結合されるボルト303を備えている。棒状部材301には軸方向に貫通する貫通穴305が形成されている。また、棒状部材301の端子台101側には板バネ302を保持するための6つのバネ保持部304(
図3では一つのバネ保持部にのみ符号を付している)が外周に沿って等間隔に一体形成されている。
図3に示すようにバネ保持部304は棒状部材301の軸方向に延びる細長い立方体状に形成されている。
【0042】
板バネ302は金属製の板を折り曲げたものである。板バネ302は棒状部材301を樹脂成形する際にバネ保持部304に埋め込まれることによってバネ保持部304に保持されている。
図3に示すように板バネ302はバネ保持部304から露出している部分が外側に凸となるように折り曲げられている。
【0043】
次に、
図4及び
図5を参照して、フローティングハウジング211についてより具体的に説明する。ここで、理解を容易にするため
図5では断面以外の面については省略して示している。
【0044】
図4に示すように、端子保持部216は基台215の台面に垂直な方向の概ね中央部分が基台215と一体化している。端子保持部216には円形の基台215の径方向に対して垂直な壁面を有する底壁部217と、底壁部217の短辺方向の両側から基台215の径方向内側に向かって延びる二つの側壁部218とを有している。
【0045】
二つの側壁部218の内壁にはそれぞれ基台215の台面に垂直な方向に延びる溝219であって互いに逆方向に凹む溝219が形成されている。第2の金属端子203は短辺方向の両側がそれぞれ溝219に挿入されることにより、板面が基台215の径方向に対して垂直になる姿勢で端子保持部216に保持される。
【0046】
ここで、溝219の幅Hは第2の金属端子203の板厚よりも大きく形成されている。すなわち溝219には第2の金属端子203が基台215の径方向に移動可能な遊びが設けられている。
【0047】
また、端子保持部216の底壁部217には基台215の径方向外側に向かって凹む溝220が形成されている。溝220の底面には第2の金属端子203を係止するための弾性部221が一体に形成されている。
【0048】
図5に示すように、弾性部221は底壁部217に設けられている溝220(
図4参照)の底面から延びてその底面と平行に端子台101側に延伸するアーム部221Aを有している。
【0049】
アーム部221Aの先端部には基台215の径方向内側を向く面にランス221Bが設けられている。ランス221Bは端子台101側に向かって基台215の径方向内側に傾斜する斜面と、斜面に連なる平面であって基台215の台面に平行な平面とを有している。ランス221Bは係合部の一例である。
【0050】
第2の金属端子203の長手方向の中心近傍にはランス221Bが嵌る開口203Aが形成されている。第2の金属端子203において開口203Aを形成している部分は被係合部の一例である。また、第2の金属端子203の先端部には、基台215の径方向外側を向く面に、端子台101側に向かって径方向内側に傾斜する斜面が形成されている。
【0051】
作業者が端子保持部216の溝219に第2の金属端子203を挿入すると、ランス221Bが第2の金属端子203に押されることによって弾性部221が基台215の径方向外側に弾性変形する。そして、作業者が更に第2の金属端子203を押し込むと
図5に示すようにランス221Bが開口203Aに嵌る。
【0052】
図5に示すように、挿入された第2の金属端子203は第2のハウジング201から互いに同一方向に突出した状態となる。このとき第2の金属端子203は弾性部221によって押されていることにより、基台215の径方向に移動可能な範囲内で径方向内側に移動しきった状態となる。
【0053】
次に、
図5を参照して、前述したナット101Cについて説明する。端子台101の底壁101Bの中心部には6角形の穴が形成されており、その穴に6角形のナット101Cが嵌め込まれている。底壁101Bは第2の金属端子203を端子台101に挿入するときの端子台101の挿入方向の奥側の壁の一例である。なお、ナット101Cは底壁101Bの内側に固定されていてもよいし、外側に固定されていてもよい。ナット101Cを底壁101Bの外側に固定する場合は底壁101Bにボルト303を通すための穴を形成すればよい。
【0054】
(2)雄コネクタと雌コネクタとの接続
次に、
図6を参照して、雌コネクタ10と雄コネクタ20との接続について説明する。作業者は第2のハウジング201から突出している第2の金属端子203を、その突出方向を挿入方向として開口101Aから端子台101に挿入する。
図6に示すように第2の金属端子203は第1の金属端子102の近傍であって第1の金属端子102よりも基台215の径方向内側に挿入される。言い換えると、第2の金属端子203は押圧部材30が端子台101に挿入されたときに押圧部材30と第1の金属端子102との間となる位置関係で挿入される。
【0055】
次に、作業者はモータハウジングの内側から第2のハウジング201の開口225、及び、端子台101の開口101Aを介して端子台101に押圧部材30を挿入する。作業者はボルト303をナット101Cにネジ結合できるところまで押圧部材30を押し込んだ後、貫通穴305(
図3参照)にボルト303を通してナット101Cにネジ結合する。このときボルト303の回転に伴って押圧部材30が端子台101の底壁101A側に移動することにより、押圧部材30が端子台101の奥まで挿入される。
【0056】
図6に示すように、押圧部材30が端子台101に挿入されると板バネ302によって第2の金属端子203が端子台101の径方向中心近傍から径方向外側に向かって個別に押圧される。言い換えると、押圧部材30は6個の第2の金属端子203を端子台101の内側から放射状に押圧する。これにより各第2の金属端子203がそれぞれ第1の金属端子102側に移動し、第2の金属端子203の板面が第1の金属端子102の板面に押し当てられる。
【0057】
(3)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係るコネクタ装置1によると、押圧部材30によって複数の第2の金属端子203をそれぞれ第1の金属端子102に向けて個別に押圧するので、第1の金属端子102同士を絶縁する絶縁片や第2の金属端子203同士を絶縁する絶縁片を備えなくてよい。このため、コネクタ装置1の体格が大きくなってしまうことを抑制しつつ第1の金属端子102と第2の金属端子203とを確実に接触させることができる。
【0058】
また、コネクタ装置1によると、雌コネクタ10は6個の第1の金属端子102が端子台101の内周に沿って等間隔に設けられており、押圧部材30は6個の第2の金属端子203を放射状に押圧する。例えば6個の第1の金属端子102が一列に配列されているとすると、第2の金属端子203を第1の金属端子102に向けて個別に押圧するために押圧部材30を6個の第1の金属端子102の配列方向に長く延びる形状にしなければならない。これに対し、6個の第2の金属端子203を放射状に押圧するようにすると、押圧部材30をコンパクトにすることができる。これにより、コネクタ装置1の体格が大きくなってしまうことをより抑制できる。
【0059】
また、コネクタ装置1によると、第2の金属端子203を板バネ302によって押圧するので、ゴムなどによって押圧する場合に比べて強い力で押圧することができる。
【0060】
また、コネクタ装置1によると、作業者は棒状部材301に形成されている貫通穴305にボルト303を通してナット101Cにネジ結合することによって押圧部材30を端子台101の奥まで挿入することができる。例えば作業者が手だけで端子台101に押圧部材30を挿入した場合、作業者は板バネ302を撓ませるために押圧部材30を強く押し込まなければならないので大きな力が必要となる。これに対し、コネクタ装置1によると、作業者は工具などを用いてボルト303を締めることによって棒状部材301を挿入することができるので、比較的小さな力で挿入することができる。これにより押圧部材30を挿入するときの作業性が向上する。
【0061】
また、コネクタ装置1によると、端子保持部216は第2の金属端子203を押圧部材30によって押圧される方向及びその逆方向に移動可能に保持する。第2の金属端子203の剛性が高い場合、押圧部材30によって押圧される方向及びその逆方向に第2の金属端子203が移動可能に設けられていないと、第2の金属端子203が弾性変形しないことによって第1の金属端子102に十分に接触しない虞がある。コネクタ装置1によると、押圧部材30によって押圧される方向に第2の金属端子203が移動するので、第1の金属端子102と接触し易くなる。これにより、第2の金属端子203の剛性が高くても第1の金属端子102と第2の金属端子203とをより確実に接触させることができる。
【0062】
また、コネクタ装置1によると、ランス221Bが開口203Aに嵌ることにより、第2の金属端子203が突出方向とは逆方向に抜けてしまうことを抑制することができる。
【0063】
また、コネクタ装置1によると、フローティングハウジング211は、ベースハウジング210に対して第2の金属端子203の突出方向に垂直な方向のスライド及び突出方向に平行な軸線周りの回動の少なくとも一方が可能にベースハウジング210に保持されている。
【0064】
雌コネクタ10と雄コネクタ20とを接続するとき、予め端子台101がインバータハウジングに固定されており、且つ、第2のハウジング201がモータハウジングに固定されている場合もある。その場合は端子台101と第2の金属端子203との相対的な位置を調整することが困難である。このため、製造公差などによって端子台101に対する第2の金属端子203の相対的な位置がずれていると、第2の金属端子203を端子台101に挿入できなくなってしまう虞がある。コネクタ装置1によると、第2の金属端子203が設けられているフローティングハウジング211をスライドさせることにより、あるいは回動させることにより、端子台101に対する第2の金属端子203の位置を調整することができる。これにより、第2の金属端子203をより確実に端子台101に挿入することができる。
【0065】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0066】
(1)上記の実施形態では第2の金属端子203が第1の金属端子102よりも基台215の径方向内側に挿入される場合を例に説明した。これに対し、第2の金属端子203は第1の金属端子102よりも基台の径方向外側に挿入されてもよい。そして、押圧部材30は第1の金属端子102を第2の金属端子203に向けて押圧してもよい。あるいは、第1の金属端子102と第2の金属端子203との組毎に、第2の金属端子203を第1の金属端子102より径方向内側に挿入するか外側に挿入するかが異なっていてもよい。
【0067】
(2)上記の実施形態では、第1の金属端子102及び第2の金属端子203がそれぞれ6個の場合を例に説明したが、これらの数は6個に限定されるものではなく、2個以上であればよい。
【0068】
(3)上記の実施形態では雌コネクタ10がインバータハウジングに固定され、雄コネクタ20がモータハウジングに固定される場合を例に説明した。すなわち雌コネクタ10と雄コネクタ20とが異なる機器に固定される場合を例に説明した。これに対し、これらは一つの機器に固定されてもよい。
【0069】
例えば雌コネクタ10がモータハウジングの外側に固定されてもよい。そして、その状態で雄コネクタ20がモータハウジングの内側から嵌合穴(モータハウジングの側壁に形成されている嵌合穴)に嵌合挿入され、モータハウジングの外側で雌コネクタ10に挿入される構成であってもよい。
【0070】
ところで、雌コネクタ10をモータハウジングの外側に固定する場合、製造交差などによって雌コネクタ10の位置がずれてしまうことも考えられる。この場合、雄コネクタ20にフローティングハウジング211が設けられていないとすると、端子台101に対する第2の金属端子203の位置を調整することができず、第2の金属端子203を端子台101に挿入できなくなってしまう虞がある。従って、雌コネクタ10と雄コネクタ20とを一つの機器に固定する場合も、雄コネクタ20にフローティングハウジング211を設けることが望ましい。
【0071】
(4)上記の実施形態では第2のハウジング201がフローティングハウジング211を備えている場合を例に説明した。これに対し、端子台101と第2のハウジング201との相対的な位置を作業者が調整可能な場合はフローティングハウジング211を備えなくてもよい。
【0072】
(5)上記の実施形態では押圧部材30が棒状部材301と6個の板バネ302とを備えている場合を例に説明した。これに対し、押圧部材30は6個の板バネ302に替えて円形あるいは6角形のゴムリングを備え、そのゴムリングによって6個の第2の金属端子203を放射状に押圧してもよい。
【0073】
(6)上記の実施形態ではフローティングハウジング211にランス221B(係合部)が設けられ、第2の金属端子203に開口203A(被係合部)が設けられている場合を例に説明した。これとは逆に、フローティングハウジング211に被係合部を設け、第2の金属端子203に係合部を設けてもよい。
【0074】
(7)上記の実施形態では6個の第2の金属端子203を放射状に押圧する場合を例に説明した。これに対し、
図7に示すように、端子台101に替えて矩形状の端子台2101を用いるとともに、棒状部材301に替えて板状の部材2301を用い、その板状の部材2301の各面にそれぞれ3個の板バネ302を設け、一方の面に設けられている板バネ302と他方の面に設けられている板バネ302とが互いに逆方向に第2の金属端子203を押圧してもよい。