特許第6327685号(P6327685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6327685-無段階角度調節機構 図000002
  • 特許6327685-無段階角度調節機構 図000003
  • 特許6327685-無段階角度調節機構 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6327685
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】無段階角度調節機構
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20180514BHJP
【FI】
   H05K5/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-102396(P2017-102396)
(22)【出願日】2017年5月24日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】國井 優
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−238516(JP,A)
【文献】 実開昭60−085481(JP,U)
【文献】 米国特許第7969732(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 1/00−13/08
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の軸に接続する2個の歯車と、
円筒形の側部を有し、当該側部に前記軸が上下方向に移動可能な一対の開口部を有する土台と、
前記歯車と接する第1の面を有し、厚みが一律でない第1の円筒形部材と、
前記歯車と接する第2の面を有し、厚みが一律でない第2の円筒形部材とを備え、
前記本体部は、前記土台の側部の内径よりも小さく、前記軸を有する部位を有し、
前記第1の円筒形部材が、前記土台に外嵌し、
前記第2の円筒形部材が、前記第1の円筒形部材上に配置されて、前記土台に外嵌し、
前記本体部が、前記第2の円筒形部材上に配置されるとともに、前記軸が、前記土台の開口部の内側に配置され、
前記2個の歯車が、前記土台の開口部の外側に配置されて前記軸と接続し、
前記2個の歯車が、それぞれ、前記第1の円筒形部材の第1の面と、前記第2の円筒形部材の第2の面とに挟持され、
前記第1の円筒形部材と、前記第2の円筒形部材が、前記土台の円周方向に回転する、無段階角度調節機構。
【請求項2】
前記第1の面と前記第2の面とが、それぞれ前記歯車に噛合する凹凸を有する、請求項1に記載の無段階角度調節機構。
【請求項3】
前記第1の円筒形部材と、前記第2の円筒形部材のうち、一方を回転すると、他方が連動して、逆方向に回転する、請求項1又は2に記載の無段階角度調節機構。
【請求項4】
前記厚みが一律でない第1の円筒形部材は、上面側が曲面である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無段階角度調節機構。
【請求項5】
前記厚みが一律でない第2の円筒形部材は、下面側が曲面である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無段階角度調節機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段階角度調節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タッチパネルなどを搭載した卓上機器は角度調節できないものが多く、角度調節できるものであっても2、3段の決まった角度で固定するものや、高価なトルクヒンジを使用しているものであった。また角度調節機構を設けることにより、製品全体としてのデザイン性が損なわれることも多かった。
卓上機器の無段階角度調節機構の一例としては、特許文献1などが挙げられる。特許文献1の手法は、概説すると、装置本体を、特定の支脚により任意の角度に調節し、ストッパにより固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−25101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、トルクヒンジを使用せず、より簡易な構成で無段階角度調節ができ、省スペース化が可能で、デザイン性にも優れた、無段階角度調節機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る無段階角度調節機構は、
本体部と、
前記本体部の軸に接続する2個の歯車と、
円筒形の側部を有し、当該側部に前記軸が上下方向に移動可能な一対の開口部を有する土台と、
前記歯車と接する第1の面を有し、厚みが一律でない第1の円筒形部材と、
前記歯車と接する第2の面を有し、厚みが一律でない第2の円筒形部材とを備え、
前記本体部は、前記土台の側部の内径よりも小さく、前記軸を有する部位を有し、
前記第1の円筒形部材が、前記土台に外嵌し、
前記第2の円筒形部材が、前記第1の円筒形部材上に配置されて、前記土台に外嵌し、
前記本体部が、前記第2の円筒形部材上に配置されるとともに、前記軸が、前記土台の開口部の内側に配置され、
前記2個の歯車が、前記土台の開口部の外側に配置されて前記軸と接続し、
前記2個の歯車が、それぞれ、前記第1の円筒形部材の第1の面と、前記第2の円筒形部材の第2の面とに挟持され、
前記第1の円筒形部材と、前記第2の円筒形部材が、前記土台の円周方向に回転する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トルクヒンジを使用せず、より簡易な構成で無段階角度調節ができ、省スペース化が可能で、デザイン性にも優れた、無段階角度調節機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の無段階角度調節機構の一実施形態を示す、各部材の組立前及び組立後の斜視図である。
図2図2は、本発明の無段階角度調節機構の動作を説明する斜視図及び側面図である。
図3図3は、図1の例における各部材の配置の詳細を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る無段階角度調節機構の実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
まず、図1図3を参照して、本発明に係る無段階角度調節機構の構成を説明する。図1は、本発明の無段階角度調節機構の一実施形態を示す斜視図である。図3は、図1の例における各部材の配置の詳細を説明する斜視図である。なお、図3においては説明のため、円筒形部材等の一部を記載せず、歯車2が見えるようにしている。図1の無段階角度調節機構10は、概説すると、主面6を有する本体部5と、当該本体部5が有する軸7の両端にそれぞれ接続する2個の歯車2と、開口部9を有する円筒形の側部12を有する土台1と、前記歯車2と接する第1の面8aを有し厚みが一律でない第1の円筒形部材3と、前記歯車と接する第2の面8bを有し、厚みが一律でない第2の円筒形部材4とを備えている。なお、円筒形部材の厚みとは、高さ方向の厚みである。第1の円筒形部材3の上面と第2の円筒形部材4の下面は接している。また、本体部5は、第2の円筒形部材4の上面と接している。
【0010】
土台1は、底面11と、円筒形の側部12を有している。側部12には、本体部の軸7が挿通する対向する一対の開口部9を有する。開口部9は、長穴となっていることが好ましい。開口部9を長穴とすることで、軸7及び軸7に接続する歯車2が上下方向に移動可能で、円周方向には固定される。
【0011】
第1の円筒形部材3は、土台1の側部12に外嵌する。第1の円筒形部材3は、側部12の円周方向に回転可能である。第1の円筒形部材3は、歯車2と接する第1の面8aを有する。歯車2は第1の面8a上に接して保持される。第1の面8aは歯車2に噛合する凹凸を有することが好ましい。第1の円筒形部材3は厚みが一律でない。そのため、第1の円筒形部材3の回転に応じて、本体部5の正面における第1の円筒形部材3と第2の円筒形部材4の合計の厚みが変化し、本体部5の主面6の角度が変化すると共に、歯車2は上下に可動する。第1の円筒形部材3において厚みが一律でないことは、第2の円筒形部材4と接する上面側が曲面となっていることにより達成されることが好ましい。曲面としては、例えば、第1の円筒形部材3の展開図を仮想したときに、上面側がサインカーブとなる曲面などが挙げられる。一方、第1の円筒形部材3の下面側は土台の底面11に沿った平坦面であることが好ましい。第1の面8aは、第1の円筒形部材3の上面側の曲面と同様の曲面を有している。また、第1の面8aは歯車2の直径を考慮して第1の円筒形部材3の上面から一定の距離をとって設けられる。
【0012】
第2の円筒形部材4は、前記第1の円筒形部材3上に配置されて、土台1の側部12に外嵌する。第2の円筒形部材4は、側部12の円周方向に回転可能である。第2の円筒形部材4は、歯車2と接する第2の面8bを有する。第2の面8bは歯車2の上側から接し、歯車2は、前記第1の面8aと前記第2の面8bとに挟持される。第2の面8bは歯車2に噛合する凹凸を有することが好ましい。前記第1の面8aと前記第2の面8bが歯車2に噛合する凹凸を有する場合、前記第1の円筒形部材又は、前記第2の円筒形部材のいずれか一方を回転することにより、他方の円筒形部材は、歯車2を介して逆方向に回転する。第2の円筒形部材4は厚みが一律でない。第2の円筒形部材4において厚みが一律でないことは、第2の円筒形部材4と接する下面側が曲面となっていることにより達成されることが好ましい。曲面としては、例えば、第2の円筒形部材4の展開図を仮想したときに、下面側がサインカーブとなる曲面などが挙げられる。一方、第2の円筒形部材4の上面側は本体部5と接する面であり平坦面であることが好ましい。第2の面8bは、第2の円筒形部材4の下面側の曲面と同様の曲面を有している。また、第2の面8bは歯車2の直径を考慮して第2の円筒形部材4の下面から一定の距離をとって設けられる。
特に限定されないが、一例として第1の円筒形部材3の上面側の曲面と、第2の円筒形部材4の下面側の曲面とが、同様の曲面となっていることが好ましい。
【0013】
本体部5は、一部に土台1の側部12の内径よりも小さな部位を有しており、第2の円筒形部材4上に配置したときに、側部12の内径よりも小さな部位が、土台1の側部12の内側に配置される。当該土台1の側部12の内径よりも小さな部位には本体部5の軸7が配置されており、当該軸7は土台1の開口部9の内側に配置される。また歯車2は開口部9の外側に配置され、軸7と歯車2は当該開口部9を通して接続され、土台1の側部12を挟んでいる。
【0014】
本発明は本体部5の主面6を無段階に角度調節するものであり、本体部5は角度調節が必要な公知のものの中から適宜選択することができる。本体部5として、例えば、主面6が液晶表示装置等の表示面となっていてもよく、更にタッチパネル等の操作面を有していてもよい。また、本体部5が卓上電話機等の各種卓上機器本体であって、主面6がボタン等の操作部となっていてもよい。また、主面6が、指紋やICカード等の読み取り面等となっていてもよい。さらに、本体部5はこれらの装置の置台であってもよく、例えば、スマートフォン等の置台であってもよい。
【0015】
次に、図2を参照して、本発明の無段階角度調節機構の動作を説明する。図2は、本発明の無段階角度調節機構の動作を説明する斜視図及び側面図である。なお、図2においては説明のため、円筒形部材等の一部を記載せず、歯車2が見えるようにしている。図2に示されるように、本発明の無段階角度調節機構は、第1の円筒形部材3、又は、第2の円筒形部材4のいずれか一方を回転すると、歯車2により、他方の円筒形部材が連動して逆方向に回転する。2つの歯車2は、第1の円筒形部材3及び第2の円筒形部材4により、上下方向に可動する。第1の円筒形部材3及び第2の円筒形部材4は各々厚みが一律でないため、本体部5の正面において第1の円筒形部材3及び第2の円筒形部材4の最も厚い箇所同士が重なったときに、本体部5の手前側が持ち上がって、主面6の土台の底面11(水平面)からの角度が最も小さくなる(図2の左側)。一方、本体部5の正面において第1の円筒形部材3及び第2の円筒形部材4の最も薄い箇所同士が重なったときに、本体部5の手前側が下がって、主面6の土台の底面11(水平面)からの角度が最も大きくなる(図2の右側)。本発明においては、本体部5の軸7が歯車2と接続し、土台の側部12の開口部9を挟み込んでおり、本体部5の軸7は動きが制約されている。このような構成とすることにより、主面6が決まった方向にのみ可変し、主面6が左右に傾くことや、向きが変わることが制限されるという効果も有する。
【符号の説明】
【0016】
1 土台
2 歯車
3 第1の円筒形部材
4 第2の円筒形部材
5 本体部
6 主面
7 軸
8a 歯車と接する第1の面
8b 歯車と接する第2の面
9 開口部
10 無段階角度調節機構
11 底面
12 側部
【要約】
【課題】本体の操作面等の傾斜角度を、簡易な機構で容易に無段階調節できる、無段階角度調節機構を提供する。
【解決手段】本体部と、本体部の軸に接続する2個の歯車と、円筒形の側部を有し側部に一対の開口部を有する土台と、第1の面を有し厚みが一律でない第1の円筒形部材と、第2の面を有し厚みが一律でない第2の円筒形部材とを備え、本体部は前記土台の側部の内径よりも小さく前記軸を有する部位を有し、第1の円筒形部材が前記土台に外嵌し、第2の円筒形部材が第1の円筒形部材上に配置されて土台に外嵌し、本体部が第2の円筒形部材上に配置され、軸が土台の開口部の内側に配置され、2個の歯車が土台の開口部の外側に配置されて軸と接続し、2個の歯車が第1の円筒形部材の第1の面と第2の円筒形部材の第2の面とに挟持され、第1の円筒形部材と第2の円筒形部材が土台の円周方向に回転する、無段階角度調節機構。
【選択図】図1
図1
図2
図3