(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)第1担体とその上に配された三元触媒を含む第1成分であって、第2担体とその上に配されたアンモニア酸化触媒を含む第2成分の上流に該第2成分と流体連通して配された第1成分を含み、該アンモニア酸化触媒が、セリウム、コバルト、銅、鉄、マンガン、およびニッケル並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を担持する小細孔モレキュラーシーブを含む第1触媒層を有し、該第1触媒層は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、および白金(Pt)を除く、
(b)前記第1成分と第2成分との間に配された酸素含有ガスのインプットを含む、
450−650℃の範囲内の温度でリッチバーン排ガス中のアンモニア(NH3)をアンモニア酸化触媒と反応させることによりリッチバーン排ガスからのアンモニア(NH3)排出を減少させるシステムであって、
前記アンモニア酸化触媒が、白金族金属を含む第2触媒層をさらに含み、前記第1触媒層が第2触媒層に対して、排ガスが、第2触媒層に接触する前に、第1触媒層に接触するように配される、システム。
前記小細孔モレキュラーシーブが、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、金属置換アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、アルミノリン酸塩(AlPO)モレキュラーシーブ、金属置換アルミノリン酸塩(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコ−アルミノリン酸塩(SAPO)モレキュラーシーブ、および金属置換シリコ−アルミノリン酸塩(MeAPSO)モレキュラーシーブ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
前記小細孔モレキュラーシーブが、CHA、LEV、ERI、AEI、UFI、およびDDR、並びにこれらの混合物および/または連晶からなるフレームワークタイプの群から選択される、請求項1に記載のシステム。
(a)(i)細孔を画定し、原子位置を有するフレームワークを含む小細孔モレキュラーシーブ、および(ii)少なくとも1つの前記原子位置に配置された原子形態であり、少なくとも1つの前記細孔に自由に存在する酸化物形態である、セリウム、コバルト、銅、鉄、マンガン、およびニッケル並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む第1触媒層を有する触媒組成物であって、該第1触媒層は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、および白金(Pt)を除く、
(b)前記触媒が配置された担体
を含む、触媒体であって、
450−650℃の範囲内の温度でリッチバーン排ガスの触媒変換により発生したアンモニアを酸化するように適合され、前記触媒組成物が白金族金属を含む第2触媒層をさらに含み、前記第1触媒層が第2触媒層上に配される、
触媒体。
【背景技術】
【0002】
通常、エンジン排気は異種混合物であり、該異種混合物は構成要素の中に、ガス排出物、例えば一酸化炭素(CO)、未燃もしくは部分燃焼の炭化水素(HC)またはこれらの酸素化物および窒素酸化物(NO
x)を含有する。多くの場合、触媒組成物および該組成物が配される担体が、エンジン排気
システムに備えられており、これらの排気成分のある程度またはすべてを無害な成分に変換する。例えば、三元(TWC)触媒が、定置過濃燃焼エンジンに適切に用いられ、窒素酸化物(NO
x)、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)の排出を減少させることで公知である。これらのエンジンは、空燃比が化学量論より大きな量の燃料を有し(すなわち、空燃比が化学量論比より低い)、過濃条件下で作動するので、エンジンから排出されるNO
xのかなりの部分が三元触媒によりアンモニア(NH
3)に変換され、その結果、二次排出として排出される。TWC触媒を備えた通常の過濃燃焼エンジンの場合、排気管のNH
3はおよそ400ppmであり得る。
【0003】
希薄排気条件の固定発生源に適用される証明済みのNO
x低減技術は、選択的触媒還元(SCR)である。この工程において、NO
xが、アンモニア(NH
3)などの還元剤を用いて、通常卑金属からなる触媒により窒素(N
2)に還元される。SCRは、排気温度が触媒の活性温度範囲内である限り、NO
xの効率的な変換を提供する。NH
3を使用するNO
x種のN
2への還元は、希薄燃焼エンジンにおけるNO
x排出目標を満たすための対象である。NH
3を還元剤として使用すると、不完全な変換または排気温度上昇の条件の下で、NH
3が車両の排気からスリップ(slip)する可能性がある。NH
3のスリップを回避するために、準化学量論的な量のNH
3を排気流に注入することができるが、NO
xの変換が低下することになる。代替的には、NH
3を
システムに過剰投与し、NO
x変換比を上昇させることができるが、その場合排気をさらに処理し、過剰のNH
3またはスリップしたNH
3を除去する必要がある。NH
3の準化学量論的な適用量であっても、排気温度の上昇が、NO
x低減触媒において吸蔵されたアンモニアを放出し、NH
3のスリップをもたらし得る。既存の高価な金属系酸化触媒、例えばアルミナ担持白金は、225℃を超えるNH
3の除去に非常に効率的であり得るが、これらの金属系酸化触媒は、望ましくない副産物である多量のN
2OおよびNO
xを、所望のN
2生成物の代わりに生成する。一般に、ガソリンエンジン、定置用ディーゼルエンジンまたは天然ガスエンジンのためのディーゼルエンジン触媒の使用は、この触媒が非常に活性であるため、NH
3排出の発生をもたらす。
【0004】
段階的NO
x処理−NH
3処理構造を用いる2段階
システムが、この業界では公知である。しかし、これらの
システムにより用いられる触媒は、400℃を超える温度においてNH
3からN
2への高い選択性を得ることに失敗しており、NH
3からNO
xへの過酸化が、NO
x規制を超える
システムにつながり得る。さらに、先行技術の
システムは通常、化学量論比を超えて作動する希薄燃焼エンジンに関する。この希薄燃焼条件を前提として、先行技術の
システムの大部分は、NO
xの選択的触媒還元(SCR)のための触媒を用いる。窒素化合物、例えばアンモニアまたは尿素によるNO
xのSCRが、工業的定置用途、火力発電所、ガスタービン、石炭火力発電所、化学処理工業における工場および製油所のヒーターおよびボイラー、加熱炉、コークス炉、都市廃棄物プラントおよび焼却炉ならびに多数の車両(可動)用途、例えばディーゼル排気ガスの処理を含む、多数の希薄燃焼用途のために開発されている。しかし、公知の2段階
システムと同様に、公知のSCR触媒および
システムは、400℃を超える温度においてNH
3からN
2への高い選択性を得ることに失敗しており、NH
3からNO
xへの過酸化が、NO
x規制を超える
システムにつながり得る。
【0005】
現在、燃焼
システムにおいて、NO
x、HCおよびCOの厳しい排出規制もまた満たしながら、NH
3排出を減少させる市販の技術がないため、このような
システムからの排気に対するNH
3排出の規制はない。したがって、NH
3排出を、例えば10ppm未満に最小化でき、一方NO
x、HCおよびCOの排出を既存の規制より低く維持する触媒および該触媒を用いる
システムを特定することが有用である。したがって、高温で作動する過濃燃焼エンジンの排気から窒素酸化物(NO
x)、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)の排出を減少させ、廃液中のNH
3の量を減少させるためのNH
3酸化の機能性を提供する、触媒および
システムが依然として非常に望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒が、NH
3からN
2への選択的酸化に利用できることが特定されている。これらの触媒は、ガソリンエンジンおよびガスタービンの高出力作動、石炭火力発電所などにおいて遭遇するような、過濃燃焼工程の排気中に存在する還元性雰囲気に曝露後に、優れた活性、卓越した熱安定性および耐久性を保持している。しかし、媒体および大細孔モレキュラーシーブは、還元性雰囲気に曝露された場合、おそらく遷移金属の移動、焼結および/または還元された遷移金属の分散の効果ため、それらの安定性および活性を維持していない。本発明の方法は、高温におけるリッチバーン排ガス由来の、またはNH
3および過剰な純還元種(例えばラムダ<1)を有する他の排気ガスのNH
3排出の減少に特に有効であることが見出された。特定の実施形態において、変換されるリッチバーン排ガスの温度は、少なくとも約350℃、好ましくは約400−650℃の範囲内である。
【0015】
NH
3は、リッチバーン排ガスが三元(TWC)触媒を通過することによって発生し得る。本明細書において使用する場合、TWC触媒は、エンジン排気ガス中に存在する窒素酸化物(NO
x)、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)の排出レベルを、例えばこのようなガスの少なくとも一部をN
2、O
2、H
2OおよびCO
2に変換することによって、同時に減少できる。TWCは、キャリア材料に担持された活性触媒材料(すなわち、白金族金属(PGM)または非PGM)の単層または多層からなる触媒として定義され、これらは、コーティングされたモノリスの形態または押出形態のいずれかで、特異的触媒活性(例えば、H
2S抑制、NO
xの吸蔵、HCの吸蔵)を強化するための追加の添加物を有しても、または有さなくてもよい。過濃、つまり、予燃焼空燃比が化学量論より大きな量の燃料を有する(すなわち、空燃比が化学量論比より低い)条件下で作動する燃焼工程において、排気されたNO
xのかなりの部分が三元触媒によりアンモニア(NH
3)に変換され、変換されたアンモニアは通常二次排出として排出される。本発明は、NH
3酸化触媒、特に小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒の、NH
3をN
2に選択的に酸化し、それによってNH
3排出レベルを減少させるための使用に関する。同様の触媒が、NH
3を還元剤として使用してNO
xを減少させるために、希薄燃焼排気の処理に利用されている。さらにこれらの触媒は、NH
3酸化触媒として、高温で作動する過濃燃焼エンジンの排気において驚くべき結果を有することが現在見出されている。複合
システムにおいて、AOC触媒は、TWC触媒により正常な過濃作動条件においてスリップする、または産生されるNH
3の一部またはすべてを選択的に酸化する。
【0016】
希薄燃焼条件と比較して、過濃燃焼条件は、触媒成分に対する追加の要求を課している。すなわち、優れた活性および卓越した安定性の他に、AOC触媒は、高温における還元雰囲気に曝露された後の耐久性が必要である。
【0017】
空燃比(AFR)は、燃焼の間に存在する空気と燃料との質量比である。正確に十分な空気が燃料すべてを完全に燃焼するために提供された場合、この比は、化学量論的混合物として公知である。ラムダ(λ)は、AFRを表す代替の方法である。理想的に純粋なオクタンであるガソリン燃料に関して、化学量論的空燃混合物はおよそ14.7(すなわち、空気のおよその質量が、燃料の質量の14.7倍である)である。14.7対1未満のこの燃料の任意の混合物は、過濃混合物として考えられ、一方14.7対1より大きい任意の混合物は希薄混合物と考えられる。もっとも実践的なAFR装置は、実際には排気ガス中の(希薄混合物に関しては)残留酸素または(過濃混合物に関しては)未燃の炭化水素を測定する。ラムダ(λ)は、所与の混合物の実際のAFR対化学量論の比であり、ガスの正味の酸化種対正味の還元種の比の尺度である。ラムダ1.0が化学量論であり、過濃混合物は1.0未満のラムダを有し、希薄混合物は1.0より大きいラムダを有する。
【0018】
本明細書において使用する場合、還元性雰囲気は、純還元性の、例えば1未満のラムダ値を有する(例えば、化学量論より低い空燃比に由来する)排気ガスである。対照的に、非還元性雰囲気は、純酸化性、例えば1より大きいラムダ値を有する(例えば、化学量論より大きい空燃比に由来する)。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、本発明の方法は、例えば注入により、酸素含有ガスを、NH
3を含有するガス流に導入し、酸素化NH
3ガス流を生成するステップを含む。酸素含有ガスは、好ましくは、NH
3のN
2への選択的酸化のための少なくとも最小量の酸素を提供するために十分な比率で導入され、NH
3の量を所望のレベルに減少させる。少なくとも1つの実施形態において、酸素含有ガスは、少なくとも約1:1、好ましくは約2:1から約1:1のO
2:NH
3比を有する酸素化ガス流を生成するように導入される。少なくとも1つの実施形態において、酸素含有ガスは、少なくとも0.1%の酸素、好ましくは少なくとも0.5%の酸素を含む。一方、酸素含有ガスは、0.5%の酸素を上回る任意の量の酸素を含有することができ、酸素の量は0.5%の酸素から21%の酸素(すなわち周囲空気)の範囲であってよく、さらなる酸素含有量を有する酸素含有ガスの供給は必要ない。他の酸素含有ガス、例えばアルゴンなどの不活性ガス中の酸素を使用することも可能である。当業者により理解されるように、酸素注入は、NH
3を含有するガス流のラムダ値を、例えば希薄である(すなわち、1より大きいラムダ値を有する)ように調整することが可能である。
【0020】
AOC触媒は、少なくとも1種の遷移金属を担持する小細孔モレキュラーシーブを含む。モレキュラーシーブは、通常、下記の員環により画定される:大細孔環は12員以上の環であり、中細孔環は10員環であり、小細孔環は、8員以下の環である。本発明の小細孔モレキュラーシーブは、好ましくは8個の四面体原子の最大環サイズを有する。本明細書において使用する場合、「モレキュラーシーブ」は、正確かつ均一なサイズの微小な細孔を含有する準安定材料を意味すると理解される。モレキュラーシーブのフレームワークは、国際ゼオライト会議フレームワークタイプコード(http://www.iza−online.org/)により一般に許容されるものとして定義することができる。これらのモレキュラーシーブは、下記においてより詳細に説明する。
【0021】
本発明の別の実施形態に従って、リッチバーン排ガス由来のNH
3排出を減少させる
システムは、エンジン排気由来の窒素酸化物(NO
x)、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を変換するための三元触媒(TWC)を含む第1担体、酸素含有ガスが第1担体の下流で導入される同ガスを導入する手段、例えば燃料噴射装置、ならびに燃料噴射装置の下流にNH
3酸化触媒(AOC)を含み、同NH
3酸化触媒が、少なくとも1種の遷移金属を担持する小細孔モレキュラーシーブを含む少なくとも1種触媒を含む第2担体、を含む。当業者には理解されるように、「注入した」および「燃料噴射装置」という用語は、酸素含有ガスを導入する特定の設備および方法に本発明を限定する意図のものではない。酸素含有ガスを導入するための任意の公知の設備または手段が、本発明に関して利用可能である。
【0022】
図1は、本発明のこのような実施形態に従った
システムの構成を示す。
図1に示す
システムの構成は、例えば、エンジン10からの排気に由来するNO
x、HCおよびCOを変換するためのTWC触媒を含有する第1担体12を含む。燃料噴射装置14は、同燃料噴射装置が、TWC触媒の下流であり、AOC触媒を含有する第2担体18の上流である点16において酸素含有ガスを導入するように設置される。燃料噴射装置14は、酸素含有ガス、例えば空気をTWC触媒由来のNH
3ガス流に注入し、酸素化NH
3ガス流を発生させる。当業者には理解されるように、TWC触媒を含有する第1担体12は、排気ガス条件が、特定の汚染物質、例えばNO
x、HCおよびCOの排出減少を必要としない場合、必要ないと思われる。したがって、代替の実施形態において、該
システムは、酸素含有ガス、例えば空気を、NH
3を含有するガス流に注入するための燃料噴射装置を含むことができ、該燃料噴射装置は、AOC触媒を含有する第2担体の上流に設置される。好ましくは、
システムに導入される酸素含有ガスは、アンモニアもしくはこれらの前駆物質、例えば尿素を含まない、または実質的に含まない。
【0023】
特定の型のエンジンからもたらされる特定の排気ガス条件において、AOC触媒は、少なくとも1種の遷移金属を担持する小細孔モレキュラーシーブだけからなってもよい。このような触媒は、例えば、TWC触媒を伴うガソリンエンジンまたは定置ディーゼルエンジンの排出減少に関する
システム構成に適用可能である。この実施形態において、少なくとも1種の遷移金属を担持する小細孔モレキュラーシーブは、第1触媒層の形態であってよい。他の型のエンジンからもたらされる他の排気ガス条件において、AOC触媒は、別の型の触媒をさらに含んでもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態において、AOC触媒は、白金族金属(PGM)を含む第2触媒層をさらに含むことができ、第1触媒層は、触媒を通りぬけて、または通り過ぎて流れる排気ガスに対して第2の触媒層の上部に配置される。このような構成において、排気ガスは、第1触媒層と接触した後で、第2触媒層と接触する。例えば、2種の触媒が、モノリスの長さに沿って動くことができ、第2触媒層は第1触媒層の下に配置される。代替的には、2種の触媒は、連続して配置することができ、第1触媒層は第2触媒層の上流である。別の実施形態において、第1触媒層および第2触媒層は、例えば、少なくとも1つの層の長さの約25%、約50%または約75%が、重複してもよい。
【0024】
このような多層AOC触媒は、例えば天然ガス用定置エンジンに利用可能である。天然ガス用定置エンジンは、過濃条件において作動することが公知であり、PGMを含む第2触媒層は、NH
3をNO
xへ酸化することなく、一酸化炭素(CO)の酸化に利用可能である。このような多層触媒は、PGM触媒下層および上層として選択的NH
3酸化のための触媒を有するので、一般にアンモニア−スリップ触媒(ASC)と称され得る。このような構成において、PGM触媒下層に到達して、過酸化を起こし、NO
xを形成するNH
3が許容量であるか、またはPGM触媒に到達しないように、十分量の上層触媒がNH
3のN
2への選択的酸化に使用される。本発明の少なくとも1つの実施形態において上層の触媒と下層の触媒との比は、約0.5:1から約10:1、より好ましくは約2:1から約7:1である。
【0025】
当業者には理解されるように、このような多層触媒は、他の構成を有してもよく、無数の方法で用いられてもよい。例えば、AOC触媒を含有する第2担体が、入口端および出口端、入口端から出口端まで伸長する長さ、長さに沿って伸長する壁要素および壁要素により画定される複数の通路を有する場合、多層AOC触媒は、壁要素上に配置されてもよい。担体の例は、フロースルーハニカム状モノリスおよびウォールフローハニカム状モノリスを含む。白金族金属は、例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)および白金(Pt)ならびにこれらの混合物であってよい。通常の担持体は、例えばアルミナ、ジルコニア、セリアなどを使用することができる。
【0026】
本発明の別の実施形態に従って、アンモニア(NH
3)排出を減少させる方法は、酸素含有ガスを、NH
3およびラムダ<1を有する排気ガスに導入し、酸素化ガス流を提供するステップ、および酸素化ガス流を、少なくとも1種の遷移金属を担持する少なくとも1つの小細孔モレキュラーシーブを含むNH
3酸化触媒に曝露し、NH
3の少なくとも一部をN
2に選択的に酸化するステップ、を含む。本発明のさらに別の実施形態において、該方法は、酸素含有ガス導入ステップの上流に、リッチバーン排ガスを、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を変換するための三元触媒に曝露し、NH
3およびラムダ<1を含むガス流を生成するステップをさらに含む。酸素含有ガスを導入し、少なくとも約1:1、好ましくは約2:1から約1:1のO
2:NH
3比を有する酸素化ガス流を発生させてもよい。少なくとも1つの実施形態において、酸素含有ガスは、少なくとも0.1%の酸素、例えば周囲空気を含む。曝露ステップは、リッチバーン排ガスが少なくとも約350℃、好ましくは約400−650℃の範囲の温度である場合に起こることが好ましい。酸素含有ガスは、NH
3のN
2への選択的酸化のための少なくとも最小量の酸素を提供するために十分な比率で注入され、NH
3の量を所望のレベルに減少させる。したがって、導入される酸素の量により、少なくとも約1:1、好ましくは約2:1から約1:1のO
2:NH
3比および1より大きいラムダ値を有する酸素化ガス流が好適に生成される。
【0027】
モレキュラーシーブを、それらのフレームワークタイプコード(FTC)により画定することによって、本発明者らは、「型材料(Type Material)」およびそのFTCにより画定される、任意およびすべての同一構造型のフレームワーク材料を含むことを意図することが理解されるであろう。(「型材料」は、フレームワークタイプを確立するために最初に使用される種である。)表1を参照すると、表1は、本発明において使用する例示的モレキュラーシーブ材料の範囲を記載している。誤解を避けるために、特に明記していない限り、名称、例えば「菱沸石」によるモレキュラーシーブに対する本明細書における言及は、モレキュラーシーブ材料それ自体に対するものであり(この例では、天然型材料の菱沸石)、個別のモレキュラーシーブが属し得るフレームワークタイプコードにより指名される任意の他の材料、例えば、いくつかの他の同一構造型のフレームワーク材料に対するものではない。
【0028】
モレキュラーシーブ型材料、例えば天然の(すなわち鉱物の)菱沸石と、同じフレームワークタイプコード内の同一構造型との区別は、単なる任意ではなく、材料間の特性の違いを反映しており、この違いは、本発明の方法における活性の違いにつながり得る。例えば、本明細書の下記の表1から、「MeAPSO」および「MeAlPO」により、本発明者らが、1種または複数種の金属により置換された類似型を意図することが理解されるであろう。適切な置換成分金属は、限定するものではないが、As、B、Be、Co、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Zn、Cu、Ti、Sn、InおよびZrを含む。
【0029】
特定の実施形態において、本発明において使用する小細孔モレキュラーシーブ触媒は、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、金属置換アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブおよびアルミノリン酸塩モレキュラーシーブからなる群から選択することができる。本発明に適用されるアルミノリン酸塩モレキュラーシーブは、アルミノリン酸塩(AlPO)モレキュラーシーブ、金属置換(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコ−アルミノリン酸塩(SAPO)モレキュラーシーブおよび金属置換シリコ−アルミノリン酸塩(MeAPSO)モレキュラーシーブを含む。
【0030】
一実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONならびにこれらの混合物および/または連晶(intergrowths)からなるフレームワークタイプの群から選択される。さらなる実施形態において、8個の四面体原子の最大環サイズを含有する小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、ERI、AEI、UFIおよびDDRならびにこれらの混合物および/または連晶からなるフレームワークタイプの群から選択される。さらに別の実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、CHAフレームワークタイプを含む。下記に述べるように、少なくとも1つの実施形態において、本発明の小細孔モレキュラーシーブは、少なくとも1種の遷移金属、例えば銅を担持する。本発明において使用する、好ましい銅含有三次元小細孔モレキュラーシーブ/アルミノリン酸塩モレキュラーシーブは、Cu/CHA例えばCu/SAPO−34からなる。多層AOC触媒において、上記のように、小細孔モレキュラーシーブは、少なくとも1種の遷移金属を第1触媒である上層に担持し、白金族金属としてPtを第2触媒である下層に担持するので、好ましいAOC触媒は、Cu担持CHAフレームワークタイプ小細孔モレキュラーシーブ、例えばSAPO−34を含む。
【0031】
本発明に適用されるモレキュラーシーブは、水熱安定性を改良するように処理されているモレキュラーシーブを含むことができる。水熱安定性を改良する例示的方法は、
(i)蒸気処理および酸または錯化剤、例えば(EDTA−エチレンジアミン四酢酸)を使用する酸抽出;酸および/または錯化剤による処理;SiCl
4のガス流による処理(モレキュラーシーブフレームワーク中のAlをSiと置き換える);による脱アルミニウム、
(ii)陽イオン交換−多価陽イオン、例えばLaの使用;ならびに
(iii)亜リン酸含有化合物の使用(例えば米国特許第5,958,818号明細書を参照されたい)。
を含む。
【0032】
適切な小細孔モレキュラーシーブの実例を表1に示す。
【0034】
NH
3酸化に特に適用される小細孔モレキュラーシーブを表2に示す。
【0035】
表2:好ましい小細孔モレキュラーシーブ
【0036】
本出願における使用のためのモレキュラーシーブは、天然および合成のモレキュラーシーブを含み、モレキュラーシーブが、より均一な、シリカ−アルミナ比(SAR)、結晶子サイズ、結晶子形態を有し、不純物(例えばアルカリ土類金属)が不在なので、合成のモレキュラーシーブが好ましい。小細孔アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブは、2対300、場合により4対200、好ましくは8対150のシリカ−アルミナ比(SAR)を有することができる。任意のSAR比が、熱安定性の改良のために選択可能であるが、これが遷移金属交換に悪影響を及ぼす恐れがあることは理解されるであろう。
【0037】
本発明において使用する小細孔モレキュラーシーブは、三次元的次元数、すなわち、3つすべての結晶学的次元において相互連結している細孔構造または二次元的次元数を有することができる。一実施形態において、本発明において使用する小細孔モレキュラーシーブは、三次元的次元数を有するモレキュラーシーブからなる。別の実施形態において、本発明において使用する小細孔モレキュラーシーブは、二次元的次元数を有するモレキュラーシーブからなる。
【0038】
ある実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、ABC−6、AEI/CHA、AEI/SAV、AEN/UEI、AFS/BPH、BEC/ISV、ベータ、ホージャサイト、ITE/RTH、KFI/SAV、ロウダル石、モンテソンマ沸石、MTT/TON、ペンタシル、SBS/SBT、SSF/STF、SSZ−33およびZSM−48からなる群から選択される、無秩序なフレームワークを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。好ましい実施形態において、1または複数の小細孔モレキュラーシーブは、SAPO−34、AlPO−34、SAPO−47、ZYT−6、CAL−1、SAPO−40、SSZ−62もしくはSSZ−13から選択されるCHAフレームワークタイプおよび/またはAlPO−18、SAPO−18、SIZ−8もしくはSSZ−39から選択されるAEIフレームワークタイプを含むことができる。一実施形態において、混合相組成物は、AEI/CHA混合相組成物である。モレキュラーシーブ中の各フレームワークタイプの比は、特に限定されない。例えば、AEI/CHAの比は、約5/95から約95/5、好ましくは約60/40から40/60の範囲であってよい。例示的実施形態において、AEI/CHAの比は、約5/95から約40/60の範囲であってよい。
【0039】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、1種または複数種の遷移金属の担持体である。本明細書において使用する場合、少なくとも1種の遷移金属は、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、セリウム(Ce)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、およびスズ(Sn)ならびにこれらの混合物のうちの1種または複数種を含むことが定義される。好ましくは、1種または複数種の遷移金属は、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)ならびにこれらの混合物であってよく、もっとも好ましくは銅である。当業者には理解されるように、遷移金属、例えば銅は、小細孔モレキュラーシーブのフレームワーク内でアルミナと交換され、小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒を生成することができる。
【0040】
遷移金属負荷が、本発明の実施形態に従った触媒の性能を改良することが見出された。当業者には理解されるように、キャリア触媒、例えばモレキュラーシーブは、数多くの方法で遷移金属を負荷することができる。遷移金属は、例えばモレキュラーシーブ構造の原子交換位置において原子的構成要素と交換可能である。さらに、または代替的に、遷移金属は、モレキュラーシーブ中に非交換遷移金属として塩の形態で、例えばモレキュラーシーブの細孔内に存在可能である。か焼において、非交換遷移金属塩が分解して、遷移金属酸化物を形成し、この遷移金属酸化物は「遊離金属」と称される。非交換遷移金属は、遷移金属負荷が原子交換部位の飽和限界を超えた(すなわち、すべての交換位置が交換されている)場合、モレキュラーシーブ中に存在可能である。このような高い遷移金属負荷は、本発明のNH
3酸化適用に採用可能であるが、このような負荷は、遷移金属の酸化作用が還元反応と競合するので、標準的SCR適用に反するものである。例えば、遷移金属として銅を利用した場合、銅酸化物は、「遊離銅」としてモレキュラーシーブの細孔に存在可能である。この遊離の銅または金属は、活性および選択性の両方であり、高温における熱エージングに供された触媒に高い安定性をもたらすこともまた、現在見出されている。
【0041】
当業者には理解されるように、モレキュラーシーブに含むことができる遷移金属の総量は、例えば利用するモレキュラーシーブの型および酸性度を含む、数多くの因子に依存し得る。モレキュラーシーブに含むことができる遷移金属の総量は、最高で1金属原子/酸性位置を有することができ、金属対酸性位置の好ましい比は、当分野において公知の代表的NH
3吸着法により測定して、約0.02:1から約1:1である。遷移金属の量は、例えば、AOCが単層触媒として利用されるか、または多層触媒、例えば小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒が上層として、白金族金属触媒の下層の上に用いられる場合、として利用されるかにも依存する。銅は、任意の実現可能な方法によりモレキュラーシーブに含むことが可能である。例えば、銅は、モレキュラーシーブが合成された後、例えば初期湿潤法もしくは交換法により添加可能であり、またはモレキュラーシーブの合成中に添加可能である。
【0042】
本発明のさらなる実施形態において、触媒体は、(a)(i)細孔を画定し、原子位置を有するフレームワークを含む小細孔モレキュラーシーブ、および(ii)少なくとも1つの前記原子位置に配置された原子形態および少なくとも1つの前記細孔に自由に存在する酸化物形態の少なくとも1種の遷移金属、を含む触媒組成物、ならびに(b)前記触媒が配置された担体を含み、前記触媒体は、リッチバーン排ガスの触媒変換により発生したアンモニアを酸化するように適合される。さらに別の実施形態において、遊離遷移金属、例えば遊離銅は、触媒の窒素酸化物変換の熱水分解を防止するために十分な量で存在する。理論に縛られるものではないが、低負荷(すなわち、一部の飽和限界を下回る)の遷移金属が、フレームワーク中の原子位置で交換されると考えられる。遷移金属がこの飽和限界を上回る量で加えられた場合、残存する遷移金属は、触媒中に遊離遷移金属(すなわち、遷移金属酸化物)の形態で存在する。
【0043】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、CHAフレームワークタイプの小細孔モレキュラーシーブ担持銅触媒である。本発明において使用する、好ましい銅含有三次元小細孔モレキュラーシーブ/アルミノリン酸塩モレキュラーシーブは、Cu/CHA、例えばCu/SAPO−34からなる。Cu/SAPO−34が、小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒として単層触媒に利用される場合、銅金属の総量は、触媒の総重量に基づいて、0.01から20wt%、好ましくは2から8wt%、もっとも好ましくは2.5から6wt%であってよい。Cu/SAPO−34が小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒として多層触媒に利用される場合、銅金属の総量は、触媒の総重量に基づいて、0.01から20wt%、好ましくは0.2から4wt%、もっとも好ましくは0.5から3wt%であってよい。別の実施形態において、遊離銅は、触媒の窒素酸化物変換の熱水分解を防止するために十分な量で存在する。しかし、当業者には理解され、上で述べたように、モレキュラーシーブに含むことができる遷移金属の総量は、例えば利用するモレキュラーシーブの型および酸性度ならびに触媒層の数を含む、数多くの因子に依存し得る。
【0044】
本発明において使用する触媒(モレキュラーシーブ触媒およびPGM触媒の両方を含む)は、適切な担体モノリスにコーティングするか、または押出型触媒を形成することができる。一実施形態において、触媒は、フロースルーモノリス担体(すなわち、全体を軸方向に走る多数の小型で平行なチャネルを有する、ハニカム状モノリス触媒担持体構造)またはウォールフローフィルター、例えばウォールフローフィルターにコーティングされる。本発明において使用する触媒は、例えば、ウォシュコート成分として、適切なモノリス担体、例えば金属またはセラミックのフロースルーモノリス担体またはろ過担体、例えばウォールフローフィルターもしくは焼結金属もしくは部分的フィルター(例えば国際公開第01/80978号パンフレットまたは欧州特許第1057519号明細書に開示されているフィルターであり、後者の文献は、煤煙の通過を少なくとも遅らせる、らせん状の流路を含む担体を記載している)上にコーティングすることができる。代替的には、本発明において使用する触媒は、担体上に直接合成することができる。代替的には、本発明に従った触媒は、押出型フロースルー触媒に形成することができる。このような押出型触媒は、触媒キャニスターとして成形することができる。押出AOC触媒キャニスターは、単層または多層のAOC触媒キャニスターとして個別に形成することができ、またはTWC触媒キャニスターと併用することができる。他の形態、例えばペレット、ビーズまたは他の形状の触媒が可能である。
【0045】
本発明の小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒を含有する、担体上へのコーティング用ウォッシュコート組成物は、当業者に公知の他の構成要素を含むことができる。例えば、このようなウォッシュコート組成物は、アルミナ、シリカ、(非モレキュラーシーブ)シリカ−アルミナ、天然粘土、TiO
2、ZrO
2、CeO
2およびSnO
2ならびにこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される結合剤をさらに含むことができる。該触媒組成物は、まずスラリーとして調製し、任意の公知の方法を使用して、ウォッシュコートスラリー組成物として担体に適用することができる。
【0046】
本発明の方法は、燃焼過程、例えば内燃エンジン(可動でも定置でも)、ガスタービンおよび石炭、石油または天然ガスの火力発電所またはエンジンに由来するガスに対して実施することができる。本方法は、例えば精製などの工業的過程、製油所のヒーターおよびボイラー、炉、化学処理工業、コークス炉、都市廃棄物処理場および焼却炉、コーヒー焙煎設備などからのガス処理に使用することができる。特定の実施形態において、本方法は、過濃条件の車両内燃エンジン由来、例えばガソリンエンジン、または液化石油ガスまたは天然ガスを動力源とした定置エンジン由来の排気ガス処理に使用することができる。
【0047】
本明細書に引用したすべての特許および文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0048】
下記の実施例は例示であり、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0049】
比較
システムおよび本発明の
システムに由来するアンモニア(NH
3)排出および窒素酸化物(NO
x)排出を測定する試験を実施した。三元触媒(TWC)を含有する比較
システムを、本発明の一実施形態に従った、三元触媒およびNH
3酸化触媒を含む
システム(TWC−AOC
システム)ならびに本発明の別の実施形態に従った、三元触媒およびアンモニアスリップ触媒を含有する多層NH
3酸化触媒
システム(TWC−ASC)と比較した。多層NH
3酸化触媒
システムは、小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒の第1層(すなわち上層)および白金族金属触媒の第2層(下層)を含んだ。具体的には、Cu/SAPO−34を多層NH
3酸化触媒の上層として使用し、白金を下層として使用した。特に、触媒層は、フロースルー担体の壁に沿ってコーティングし、第2層をまず担体上にコーティングし、第1層は第2層の上にコーティングした。
【0050】
ガス流の空間速度は、TWC触媒において100,000hr
−1であり、NH
3酸化触媒において50,000hr
−1であった。TWC触媒への入り口における排気ガスは、C
1として1410ppm C
3H
8、0.45% CO、0.15% H
2、2700ppm NO、0.25% O
2、10% CO
2、10% H
2Oおよび残部窒素を含んだ。TWC触媒における排気ガスのラムダ値は、0.9905と計算され、一方、酸素含有ガスの注入後のNH
3酸化触媒におけるガスのラムダ値は、約1.022と計算された。0.5%酸素を酸素含有ガスの一部として加えた。白金担持コーティングモノリス担体を利用した。
【0051】
図2は、550℃および600℃における3種の
システム由来のNH
3排出を示す。同様に、
図3は、550℃および600℃における3種の
システム由来のNO
x排出を示す。
図2および3を見て分かるように、TWC−AOC
システムおよびTWC−ASC
システムの両方が、出口のNH
3を30ppm未満に有意に減少させることができるが、TWC−AOC
システムのNH
3酸化触媒(すなわち単層小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒)だけが、出口NO
x濃度を減少または維持している。TWC−ASC
システムの多層NH
3酸化触媒(すなわち、上層が小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属触媒および下層が白金族金属触媒)は、NO
xの200ppmの増加をもたらした。NH
3の一部が白金族金属下層触媒(すなわちASC触媒)に到達し、下層触媒に接触したときに、ガス中に存在する一部の酸化剤により酸化されてNO
xになったことが理由である。この作用は、交換されたモレキュラーシーブのさらに高い上層負荷、例えば、上層負荷が、触媒の総重量に対して約0.1から約20.0wt%の銅、好ましくは約0.1から約10.0wt%の銅、もっとも好ましくは0.1wt%から6.0wt%の銅を含有することより最小化することができる。加えて、TWC−ASC
システムは、酸化電位がより低いガスに対してより適切である。
【実施例2】
【0052】
小細孔モレキュラーシーブ触媒の排出減少機能についての、遷移金属負荷の作用を比較する試験を実施した。銅を、遷移金属として用いた。三元触媒(TWC)を含有する比較
システムを、本発明に従った、三元触媒および2.5%の銅負荷を有するNH
3酸化触媒(TWC−AOC
システム)を含む
システムならびに本発明に従った、三元触媒および三元触媒および4.2%の銅負荷を有するNH
3酸化触媒(TWC−AOC
システム)を含む
システムと比較した。具体的には、Cu/SAPO−34を、NH
3酸化触媒として使用した。
【0053】
ガス流の空間速度は、TWC触媒において100,000hr
−1であり、NH
3酸化触媒において50,000hr
−1であった。TWC触媒への入り口における排気ガスは、C
1として1410ppm C
3H
8、0.45% CO、0.15% H
2、2700ppm NO、0.25% O
2、10% CO
2、10% H
2Oおよび残部窒素を含んだ。TWC触媒における排気ガスのラムダ値は、0.9905と計算され、一方、酸素含有ガスの注入後のNH
3酸化触媒におけるガスのラムダ値は、約1.022と計算された。0.5%酸素を酸素含有ガスの一部として加えた。白金担持コーティングモノリス担体を利用した。
【0054】
図4は、これらの
システム由来の550℃および600℃におけるNH
3排出を示し、一方
図5はNO
x排出を示す。
図4および5を見て分かるように、比較TWC
システムと比較して、銅負荷が高いほど、さらなるNO
xスリップを有する改良されたNH
3酸化がもたらされた。過剰な遊離銅が、NO
xスリップを増加させることが特定された。いくつかの
システムにおいて、一定量のNO
xスリップは許容可能であり、それらの
システムにおいて、当業者は、(例えば、触媒の窒素酸化物変換の熱水分解を防止する)追加の遊離銅触媒の利益と、増加したが、それでも許容可能である量のNO
xスリップとのバランスを容易にとることができる。
【実施例3】
【0055】
小細孔モレキュラーシーブ触媒の排出減少機能についての、温度の作用を比較する試験を実施した。銅を、遷移金属として用いた。三元触媒(TWC)を含有する比較
システムを、本発明に従った、三元触媒および4.2%の銅負荷を有するNH
3酸化触媒を含む
システム(TWC−AOC
システム)と比較した。具体的には、Cu/SAPO−34を、NH
3酸化触媒として使用した。
【0056】
ガス流の空間速度は、TWC触媒において100,000hr
−1であり、NH
3酸化触媒において50,000hr
−1であった。TWC触媒への入り口における排気ガスは、C
1として1410ppm C
3H
8、0.45% CO、0.15% H
2、2700ppm NO、0.25% O
2、10% CO
2、10% H
2Oおよび残部窒素を含んだ。TWC触媒における排気ガスのラムダ値は、0.9905と計算され、一方、酸素含有ガスの注入後のNH
3酸化触媒におけるガスのラムダ値は、約1.022と計算された。0.5%酸素を酸素含有ガスの一部として加えた。白金担持コーティングモノリス担体を利用した。
【0057】
図6は、これらの
システム由来の450℃、500℃、550℃および600℃におけるNH
3排出を示し、一方
図7はNO
x排出を示す。
図6および7を見て分かるように、NH
3酸化触媒は、高温においてさえ、出口NH
3を有意に減少させることができ、NO
x排出もまた減少させることができる。
【0058】
したがって、遷移金属を担持する小細孔モレキュラーシーブ(すなわち小細孔モレキュラーシーブ担持遷移金属)は、過濃燃焼適用に要求される長期の高温エージングに対して耐久性があり、高温、低酸素条件下で、NH
3のN
2への変換において高度に選択性である。過濃燃焼条件において既存の
システムおよび触媒は、通常、有意なNH
3スリップをもたらし、高温において有効ではない。
【0059】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態は、単なる例の目的で提供していると理解するべきである。多数の変形、変更および置換が、本発明の精神から逸脱することなく、当業者には思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の精神および範囲内に収まるすべてのこのような変形に及ぶことが意図される。