(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段が、前記装置本体の予め設定された所定の設置位置に、前記可搬式操作指示入力装置が設置されたことを検出するように構成され、前記可搬式操作指示入力装置の前記装置本体に対する予め定められた前記配置範囲内への配置を、前記可搬式操作指示入力装置の前記配置位置への設置とした請求項1に記載の可搬式操作指示入力装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る可搬式操作指示入力装置および可搬式操作指示入力装置を備えた装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1,2に示した自動旋盤装置100は本発明に係る装置の一実施形態である。
材料を機械加工する自動旋盤装置本体10に、メイン操作盤50およびサブ操作盤60が設けられている。
自動旋盤装置本体10が装置本体の一例である。
メイン操作盤50が操作指示入力装置の一例である。
サブ操作盤60が可搬式操作指示入力装置の一例である。
【0016】
自動旋盤装置本体10は、
図1に示すように外装カバー14の内部に3つの主軸11,12,13や加工用の刃物台等を有する。
自動旋盤装置本体10には、上述した主軸11等の作動制御を行う制御部16が設けられている。
【0017】
メイン操作盤50は、
図2Aに示すように外装カバー14の正面側に固定されている。
メイン操作盤50は制御部16に接続されている。
作業者等は、メイン操作盤50に、自動旋盤装置本体10の動作に対応した操作指示を入力することができる。
各主軸11,12,13や刃物台等は、入力された操作指示に基づく制御部16の制御によって、互いに独立した動作を行う。
自動旋盤装置本体10に対する操作指示の入力は、通常はメイン操作盤50によって行われる。
【0018】
外装カバー14の背面側には、
図2Bに示すように、ホルダ17が設けられている。
ホルダ17は、水平方向Hに延びるリニアガイド10aに沿って移動可能に取り付けられている。
サブ操作盤60は、ホルダ17に着脱自在に装着される。
サブ操作盤60は、ホルダ17に装着されることで、自動旋盤装置本体10に取り付けられる。
【0019】
サブ操作盤60は、ホルダ17から取り外されることで、自動旋盤装置本体10から独立して持ち運びすることができる。
サブ操作盤60は、自動旋盤装置本体10に対して着脱自在である。
サブ操作盤60は、例えば、タブレット型のパーソナルコンピュータによって構成される。
【0020】
図3に示すように、サブ操作盤60の表面61には、表示部65が設けられている。
表示部65に、自動旋盤装置本体10の状態等に関する情報やその他の情報が表示される。
表示部65の表示面は、いわゆるタッチパネル式入力部として、入力部66の機能を兼ねている。
【0021】
自動旋盤装置本体10の動作に対応した操作指示を表すボタンやアイコン、ソフトウェアキーボード(以下、ボタン等という。)が、表示部65に表示される。
指やペンなどでボタン等に触れることによって、それらのボタン等に対応した操作指示が入力される。
作業者等は、表示部65の表示面を操作することによって、自動旋盤装置本体10の動作に対応した操作指示を入力することができる。
【0022】
サブ操作盤60は、
図4に示すように、制御部68と記憶部69と無線通信部67とを備えている。
制御部68は、サブ操作盤60の作動を制御する。
記憶部69は、所定の情報を予め記憶する。
入力部66と表示部65と無線通信部67とは、制御部68に接続されている。
【0023】
自動旋盤装置本体10に、無線通信部15が備えられている。
無線通信部67と無線通信部15とは互いに無線LANによって通信を行う。
サブ操作盤60と自動旋盤装置本体10とは、無線通信部67と無線通信部15とを介して通信する。
無線通信部15は、制御部16に接続されている。
制御部16は無線通信部15によって受信した無線信号に応じた処理を行う。
【0024】
作業者等が、入力部66に操作指示を入力することによって、入力部66は、入力された操作指示に対応した操作指示信号を制御部68に出力する。
無線通信部67は、無線通信部67と無線通信部15との間が、無線LANによって接続が確立している状態であれば、無線通信部15との通信により、操作指示信号を制御部68から制御部16に対して送信し、制御部16から制御部68に対して送信される自動旋盤装置本体10に関する情報等を受信する。
【0025】
これによって、作業者等は、サブ操作盤60により、メイン操作盤50と同様に制御部16を介して各主軸11,12,13を動作させたり、自動旋盤装置本体10に関する情報をサブ操作盤60に表示させて確認したりすることができる。
【0026】
サブ操作盤60は、自動旋盤装置本体10を背面側から確認しながら操作する場合等、メイン操作盤50に操作指示を入力しながらでは、自動旋盤装置本体10の動きを十分に確認できないような場合に、メイン操作盤50に代わって用いることができる。
【0027】
サブ操作盤60の裏面62には、
図5に示すように、無線IDタグ63が貼付されている。
無線IDタグ63には、サブ操作盤60ごとに設定された固有の識別番号(ID番号)が記憶されている。
無線IDタグのID番号は、記憶部69にも記憶されて、サブ操作盤60に登録されている。
【0028】
図3に示すように、ホルダ17には無線IDリーダー18が設けられている。
図6に示すように、無線IDリーダー18は、ホルダ17にサブ操作盤60が装着されると、無線IDタグ63に近接して向かい合う。
【0029】
サブ操作盤60がホルダ17に装着されると、無線IDリーダー18が、サブ操作盤60の無線IDタグ63からID番号を読み取る。
【0030】
無線IDリーダー18によって読み取られたID番号は、制御部16に入力される。
制御部16は、入力されたID番号の情報を、無線通信部15,67を介し、制御部68に送信する。
制御部68は、受信したID番号と、予め記憶部69に記憶されているID番号とを照合する。
【0031】
制御部68は、両ID番号の照合を行う照合手段の一例として機能する。
制御部68は、両ID番号が一致したとき、サブ操作盤60がホルダ17に装着されたものと判定する。
両ID番号の一致によって、制御部68は、表示部65に、自動旋盤装置本体10の操作用の画面を表示させ、入力部66に対して、表示部65に表示された画面におけるボタン等への入力を有効とする。
【0032】
サブ操作盤60側の無線IDタグ63、無線通信部67、制御部68および記憶部69と、自動旋盤装置本体10側の無線通信部15、無線IDリーダー18および制御部16とによって、サブ操作盤60が自動旋盤装置本体10に対して予め定められた範囲内に配置されたことを検出する検出手段の一例が構成される。
上記のように、検出手段は、自動旋盤装置本体10とサブ操作盤60との間に形成される。
【0033】
本実施形態では、サブ操作盤60のホルダ17への装着が、サブ操作盤60の予め定められた範囲内への配置となる。
上述した検出手段によって、サブ操作盤60の予め定められた範囲内への配置(ホルダ17への装着)が検出されると、サブ操作盤60は、自動旋盤装置本体10を操作することが許可される。
【0034】
本実施形態における検出手段は、可搬式操作指示入力装置の装置本体に対する予め定められた範囲内への配置を、装置本体の予め設定された所定の設置位置への配置とし、この設置位置へのサブ操作盤60の設置(ホルダ17へのサブ操作盤60の装着)を検出するように構成されている。
【0035】
一方、両ID番号が一致しないときは、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作が規制される。
【0036】
例えば、入力部66への操作指示の入力が禁止されるように、制御部68が、自動旋盤装置本体10の操作用の画面を、自動旋盤装置本体10の動作に対応した操作指示のボタン等の表示を非アクティブ状態(入力が不可能な状態)にして表示部65に表示させたり、操作指示信号の出力を規制し、操作指示信号を自動旋盤装置本体10に対して送信しないようにしたりすることで、自動旋盤装置本体10の操作を規制する。
【0037】
ただし、無線通信部67と無線通信部15との間が、無線LANによって接続が確立している状態であれば、無線通信部67が無線通信部15から受信する自動旋盤装置本体10に関する情報に基づき、サブ操作盤60は、ホルダ17に装着されているか否かに拘わらず、表示部65に、自動旋盤装置本体10の動作に対応した操作指示以外の情報を表示することができるように構成されている。
なお、サブ操作盤60は、操作指示に関連する表示を非アクティブ状態にして情報が表示されるように構成することもできる。
【0038】
これにより制御部16から送信されるデータに基づいて制御部68が、表示部65に、例えば、自動旋盤装置本体10に関する情報や、動作状態、セットアップ状態、スペックなどの自動旋盤装置本体10に関する情報を表示させることができる。
【0039】
以上のように、無線通信部67と無線通信部15との間が、無線LANによって接続が確立している状態であれば、自動旋盤装置本体10に関する情報がサブ操作盤60に表示され、作業者等は、自動旋盤装置本体10の動作状況等を容易に把握することができる。
【0040】
ただし、サブ操作盤60が、自動旋盤装置本体10に対して所定の範囲内に配置されず、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作が許可されていない場合、作業者等は、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作を行うことができない。
このため、任意のサブ操作盤による自動旋盤装置本体10の操作が防止される。
任意のサブ操作盤としては、例えば、無線IDタグ63が貼付されていないもの、記憶部69にID番号が記憶されていないもの、無線IDタグ63のID番号と記憶部69に記憶されているID番号とが一致しないものなどである。
【0041】
サブ操作盤60は自動旋盤装置本体10に対して着脱自在であるため、作業者等は、自動旋盤装置本体10から離れた場所で、自動旋盤装置本体10の動作状況等をサブ操作盤60で容易に確認等することができる。
【0042】
サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作が許容される場合、サブ操作盤60は自動旋盤装置本体10の背面側のホルダ17にセットされた状態である。
このため、仮に自動旋盤装置本体10が予期しない動作をしたときであっても、操作者は、その動作に対して迅速な対応を執ることが容易になり、自動旋盤装置本体10の操作を安全に行うことができる。
【0043】
なお、サブ操作盤60や自動旋盤装置本体10の電源が切られた状態(電力の供給が断たれた状態)となったり、サブ操作盤60と自動旋盤装置本体10との通信が切断されたり、自動旋盤装置本体10が緊急停止状態となったり、サブ操作盤60がホルダ17から取り外されたり、操作指示に関連する表示がオフにされたりした場合は、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作が許容された状態を操作が規制された状態に、一旦切り替えることができる。
【0044】
本実施形態の自動旋盤装置100は、制御部68が、制御部16からの情報を受信して、操作の許可または不許可の決定を行い、表示部65や入力部66の作動を制御して、結果的に、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作を規制したり、サブ操作盤60への情報の表示を許容または拒否したりする。
したがって、制御部16と制御部68とが協働して、前記検出手段によって、サブ操作盤60の予め定められた範囲内への配置が検出されると、前記情報の表示および自動旋盤装置本体10の操作を許容し、サブ操作盤60が前記範囲外に配置されているときは、自動旋盤装置本体10の操作を規制し、かつ前記情報の表示を許容する規制手段を、自動旋盤装置本体10とサブ操作盤60との間に形成している。
【0045】
なお、メイン操作盤50とサブ操作盤60とにはそれぞれ、自動旋盤装置本体10の操作を、メイン操作盤50またはサブ操作盤60のいずれで行うかを選択するスイッチ等からなる選択手段59,65aが設けられている。
【0046】
制御部16は、メイン操作盤50の選択手段59およびサブ操作盤60の選択手段65aの両方で選択された操作盤でのみ、自動旋盤装置本体10の操作を行うことができるように、メイン操作盤50およびサブ操作盤60からの操作指示を許容する。
【0047】
例えば、選択手段59でメイン操作盤50が選択され、選択手段65aでもメイン操作盤50が選択されたときは、メイン操作盤50でのみ自動旋盤装置本体10の操作が可能となる。
【0048】
反対に、選択手段59でサブ操作盤60が選択され、選択手段65aでもサブ操作盤60が選択されたときは、サブ操作盤60でのみ自動旋盤装置本体10の操作が可能となる。
【0049】
選択手段59でメイン操作盤50が選択され、選択手段65aでサブ操作盤60が選択された場合や、選択手段59でサブ操作盤60が選択され、選択手段65aでメイン操作盤50が選択された場合は、制御部16は、両操作盤50,60からの操作指示の入力を無効としたり、入力できないようにしたりして、選択手段59で選択される操作盤(50または60)と選択手段65aで選択される操作盤(50または60)とが一致するのを待つ。
選択の一致を待った結果、選択が一致したときは上述した動作に従う。
【0050】
なお、選択手段65aは、本実施形態においては、表示面に表示されたタッチパネル式のアイコンスイッチで構成されている。
ただし、選択手段65aをサブ操作盤60(ホルダ17)の近傍に配置したハードウェア等からなるスイッチとすることもできる。
また、選択手段59をメイン操作盤50の表示面に表示されるタッチパネル式のスイッチとすることもできる。
【0051】
選択手段59、選択手段65aおよび制御部16が、本発明における入力切替手段の一例として構成されている。
【0052】
図7に示すように、例えば、この自動旋盤装置本体10と同様の構成または異なる構成で、かつそれぞれ対応するメイン操作盤50,150,250を有する複数(
図7の例では3つ)の自動旋盤装置本体10,110,210が存在する場合、サブ操作盤60を、これら3つの自動旋盤装置本体10,110,210のうち任意の1つを選択して、無線LANによる接続を確立するように構成することができる。
これによって、作業者等が、接続が確立された1つの自動旋盤装置本体に関する情報をサブ操作盤60に表示させたり、サブ操作盤60を予め定められた範囲内に配置(ホルダ17に装着)して、その自動旋盤装置本体に対する操作を行ったりすること等ができる。
【0053】
例えば、サブ操作盤60が、3つの自動旋盤装置本体10,110,210が存在している無線LANに接続されると、表示部65に、3つの自動旋盤装置本体10,110,210が選択可能に表示され、操作者が任意の1つを選択すると、選択された1つの自動旋盤装置本体10,110,210とサブ操作盤60との接続が確立されるように構成することができる。
【0054】
複数の自動旋盤装置本体10,110,210が、無線LANの環境下にあっても、任意の1つの自動旋盤装置本体10,110,210とサブ操作盤60との接続を容易に確立することができる。
【0055】
3つの自動旋盤装置本体10,110,210のそれぞれに個別にサブ操作盤60を設ける必要がなく、自動旋盤装置本体10,110,210の製造コストを低減することが可能となる。
【0056】
サブ操作盤60が、自動旋盤装置本体10等のメンテナンスの際などに使われる程度に使用頻度が比較的低いものであるときは、自動旋盤装置本体10ごとにサブ操作盤60を設けるのはコストが掛る。
本実施形態のように1つのサブ操作盤60を複数の自動旋盤装置本体10,110,210に使うことができることで、コストの低減と利便性の向上を両立させることができる。
【0057】
サブ操作盤60と複数の自動旋盤装置本体10,110,210との接続を確立して、各自動旋盤装置本体10,110,210の情報を表示させたり、所定の自動旋盤装置本体10,110,210を選択的に切り換え、切り換えられた自動旋盤装置本体10,110,210に対する情報の表示や操作を行ったりすることができるように構成してもよい。
【0058】
本実施形態のサブ操作盤60は、サブ操作盤60が、自動旋盤装置本体10,110,210が属する無線LANと同一の無線LANの環境下にあるものとして説明した。
ただし、自動旋盤装置本体10,110,210が属する無線LANが、別のLANとネットワークで接続されているときは、その別のLANと自動旋盤装置本体10,110,210が属する無線LANとを介してサブ操作盤60を所定の自動旋盤装置本体10,110,210に接続することができる。
これによって、サブ操作盤60の表示部65に、所定の自動旋盤装置本体10,110,210に関する情報の表示等を行うことができる。
【0059】
各自動旋盤装置本体10,110,210は、サブ操作盤60との通信が可能であれば、各自動旋盤装置本体10,110,210が同一のLANに接続されていても、別々のLANに接続されていてもよい。
各自動旋盤装置本体10,110,210は、属する所定のLANに、無線LANによって接続されていても、ネットワークケーブル等を介した有線で接続されていてもよい。
【0060】
サブ操作盤60と自動旋盤装置本体10,110,210とは、アドホックモード等のように互いに直接通信してもよいし、インフラストラクチャー・モード等のようにアクセスポイントのような無線LANのホストを介して通信してもよい。
【0061】
サブ操作盤60は、各自動旋盤装置本体10,110,210が属するLANに、有線によって接続することもできる。
【0062】
有線による接続を適用するサブ操作盤60は、LANに有線で接続するためのインターフェース、例えば有線用のLANボード等を備えたものとすればよい。
【0063】
本発明は、本実施形態のサブ操作盤60をメイン操作盤として適用することもできる。
【0064】
本実施形態のサブ操作盤60は、タブレット型のパーソナルコンピュータを適用したものであるが、その他、例えば、携帯情報端末装置や、汎用のパーソナルコンピュータ(特にラップトップ式のもの)などを適用することができる。
【0065】
本実施形態のサブ操作盤60は、記憶部69に予め記憶されているアプリケーションソフトの処理手順にしたがって、制御部68が表示部65や入力部66、無線通信部67等を制御するものであるため、特定の自動旋盤装置本体10等に限らず、記憶させておくアプリケーションソフトを入れ替えたり編集したりすることで、種々の装置本体への操作指示の入力用の操作盤として適用することが可能となる。
【0066】
本実施形態のサブ操作盤60は、無線IDタグ63に記憶されたID番号を無線IDリーダー18で読み取ることにとって、特定される。
サブ操作盤60を特定する構成は無線IDタグ63に限定されるものではなく、サブ操作盤60を個別に識別できるものであればどのようなものであってもよい。
【0067】
例えば、バーコードやマトリックス型二次元コードでID番号を記憶させ、このバーコードやマトリックス型二次元コードを、無線IDタグ63の代わりに、サブ操作盤60に取り付け、自動旋盤装置本体10に、これらバーコードやマトリックス型二次元コードを光学的に読み取るスキャナーを無線IDリーダー18の代わりに設けた構成等を適用することもできる。
【0068】
また、本実施形態のサブ操作盤60は、ホルダ17に設置された上で、ID番号で認証を受けた場合のみ、自動旋盤装置本体10を操作する許可を受けるものであるが、例えば、ホルダ17に設置するだけで、自動旋盤装置本体10から許可を受けるものであってもよい。
【0069】
この場合、サブ操作盤60は無線IDタグ63を備える必要はなく、また自動旋盤装置本体10も無線IDリーダー18を備える必要がない。
【0070】
ただし、自動旋盤装置本体10は、ホルダ17にサブ操作盤60が装着されたことを検出するための、リミットスイッチ等のセンサを備える必要があり、このようなセンサにより、サブ操作盤60がホルダ17に装着されたことを検出したときは、センサが制御部16に通知し、制御部16がサブ操作盤60に対して、自動旋盤装置本体10に対する操作指示の入力を許可すればよい。
【0071】
あるいは、メイン操作盤50等の自動旋盤装置本体10側に所定のパスワードを表示させ、このパスワードをサブ操作盤60に入力し、所定の時間が経過する前にサブ操作盤60がホルダ17に装着されることをセンサ等で検出することによって、サブ操作盤60が正しくホルダ17に装着されたことを判断するように構成することもできる。
【0072】
本実施形態のサブ操作盤60は、表示部65に表示される自動旋盤装置本体10等に関する情報について制限を設けてはいない。
ただし、サブ操作盤60を使用する操作者が有する職務上の権限等に応じて、表示部65に表示される自動旋盤装置本体10等に関する情報のレベルに差を設定してもよい。
【0073】
サブ操作盤60を使用する操作者を特定するために、例えばサブ操作盤60で自動旋盤装置本体10とのLAN接続を確立するときに、操作者ごとに予め設定された操作者ID番号の入力を求める表示を表示部65に表示させるように構成できる。
この場合、操作者は、自己の操作者ID番号を入力部66に入力する。
操作者ID番号が入力されると、制御部68は、無線通信部67,15を介して制御部16に問い合わせを行い、制御部16は、この問い合わせに応じて、自動旋盤装置本体10の記憶部19に予め記憶されている操作者ID番号および各操作者ID番号に対応づけられた権限範囲からなる全ての組み合わせのデータを、無線通信部15,67を介して制御部68に送る。
権限範囲は、操作者ID番号で特定される操作者の職権等に応じて設定されている。
【0074】
制御部68は、送られてきたデータの中に、入力部66に入力された操作者ID番号が存在するか否かを照合する。
制御部68は、操作者ID番号の照合の結果、一致する操作者ID番号が存在したときは、その一致した操作者ID番号に対応づけられた権限範囲に基づいて、その操作者がサブ操作盤60によって参照可能となる自動旋盤装置本体10等に関する情報の範囲(レベル)を設定する。
例えば、制御部68は、制御部16からのデータに基づき、自動旋盤装置本体10等に関する情報を表示する際に、設定された情報のレベルに応じた情報を表示部65に表示させる。
これにより、職務上の権限が低い操作者がサブ操作盤60を使う場合は、その権限に対応した情報だけが表示部65に表示される。
職務上の権限が高い操作者がサブ操作盤60を使う場合は、その権限に対応した情報まで表示部65に表示される。
【0075】
操作者ごとの権限は、表示部65に表示される自動旋盤装置本体10等に関する情報のレベルにのみ対応させるのではなく、自動旋盤装置本体10等に対する操作指示のレベルにまで対応させてもよい。
【0076】
なお、操作者ID番号が入力部66に入力されると、制御部68が、無線通信部67,15を介して制御部16側に操作者ID番号を送信し、制御部16によって、記憶部19に予め記憶されているデータと受信した操作者ID番号とを
照合するようにしてもよい。
【0077】
この場合、制御部16は、操作者ID番号の照合の結果、一致する操作者ID番号が存在したときは、その一致した操作者ID番号の権限範囲の情報を、無線通信部15,67を介して制御部68に送信し、制御部68は、受信したデータに基づいて、その操作者がサブ操作盤60によって参照可能となる自動旋盤装置本体10等に関する情報の範囲を設定することができる。
【0078】
本発明においては、自動旋盤装置本体10の操作の規制や情報表示の許否や表示レベルの制御等を制御部16で行ったり、制御部16と制御部68とで分担して行ったりするように規制手段を構成して、この構成を、自動旋盤装置本体10とサブ操作盤60との間に形成される規制手段の一例とすることもできる。
【0079】
例えば、制御部16を照合手段とし、制御部68が、記憶部69に記憶されているID番号を、無線通信部67を通じて無線通信部15に送信し、制御部16が、無線通信部15が受信したID番号を、無線IDリーダー18で読み取った無線IDタグ63のID番号と照合するように
照合手段を構成してもよい。
【0080】
この場合、制御部16は、両ID番号が一致したとき、サブ操作盤60がホルダ17に装着されたものと判定する。
両ID番号の一致によって、制御部16は、制御部68に、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作を許可する情報を送信し、制御部68が、表示部65に、自動旋盤装置本体10の操作用の画面を表示させ、入力部66に対して、表示部65に表示された画面におけるボタン等への入力を有効とすることができる。
【0081】
また、制御部16が、サブ操作盤60によって自動旋盤装置本体10を操作することができるようなデータを制御部68に送信し、制御部68が、制御部16から送信されるデータに基づいて、例えば表示部65に、自動旋盤装置本体10の操作用の画面を表示するように構成することもできる。
【0082】
なお、両ID番号が一致しない場合は、制御部16から制御部68に、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作を許可する情報を送信しなかったり、自動旋盤装置本体10の操作用の画面が表示部65に表示されないようなデータまたは自動旋盤装置本体10の動作に対応した操作指示のボタン等の表示を非アクティブ状態(入力不可能状態)にして表示部65に表示させるようなデータを、制御部16が制御部68に対して送信したりすることで、サブ操作盤60による自動旋盤装置本体10の操作を規制することができる。
【0083】
本実施形態の自動旋盤装置100は工作機械の一例であるが、本発明に係る装置は、自動旋盤装置に限定されるものではなく、旋盤装置以外の工作機械(特に数値制御のもの)であってもよい。
工作機械以外の、例えば被検者の状態を見守る見守り装置や車両等、何らかの操作部を有する装置であれば如何なるものであっても、本発明に係る装置として適用することができる。
この場合、装置における操作部を可搬式操作指示入力装置とし、操作部を除いた動作部分を含む部分を装置本体とすることで、その操作部も本発明に係る可搬式操作指示入力装置として適用することができる。
【0084】
本実施形態の自動旋盤装置100は、サブ操作盤60を、上方から下方に向けてスライドさせて装着する形態のホルダ17を適用した。
ただし、本発明に係る装置は、可搬式操作指示入力装置(本実施形態におけるサブ操作盤60に対応)を装置本体に取り付ける構成としては上述したホルダ17の構成に限定されるものではない。
可搬式操作指示入力装置を装置本体に取り付ける構成は、単に上方から置くだけの構成や吊す構成であってもよく、可搬式操作指示入力装置を着脱可能に取り付ける取付部であれば如何なる構成であってもよい。
【0085】
本出願は、2012年10月10日に日本国特許庁に出願された特願2012−225001に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。