(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロジック部は、前記第1コンパレータと前記第2コンパレータとの応答遅延差分だけ前記可変基準電圧が前記基準電圧よりも早く前記入力信号とクロスするように前記可変基準電圧の掃引完了タイミングを決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の比較回路。
入力電圧から所望の出力電圧を生成する非線形制御方式のスイッチング電源装置に設けられ、前記入力信号として前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧を受け付けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の比較回路。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<スイッチング電源装置>
図1は、スイッチング電源装置の全体構成を示すブロック図である。本構成例のスイッチング電源装置1は、非線形制御方式(ボトム検出オン時間固定方式)によって入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成する降圧型DC/DCコンバータである。スイッチング電源装置1は、半導体装置10と、半導体装置10に外付けされた種々のディスクリート部品(Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタN1及びN2、コイルL1、コンデンサC1、並びに、抵抗R1及びR2)によって形成されるスイッチ出力段20と、を有する。
【0022】
半導体装置10は、スイッチング電源装置1の全体動作を統括的に制御する主体(いわゆる電源制御IC)である。半導体装置10は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1〜T7(上側ゲート端子T1、下側ゲート端子T2、スイッチ端子T3、帰還端子T4、入力電圧端子T5、出力電圧端子T6、及び、接地端子T7)を備えている。
【0023】
外部端子T1は、トランジスタN1のゲートに接続されている。外部端子T2は、トランジスタN2のゲートに接続されている。外部端子T3は、スイッチ電圧Vswの印加端(トランジスタN1のソースとトランジスタN2のドレインとの接続ノード)に接続されている。外部端子T4は、分圧電圧Vdivの印加端(抵抗R1と抵抗R2との接続ノード)に接続されている。外部端子T5は、入力電圧Vinの印加端に接続されている。外部端子T6は、出力電圧Voutの印加端に接続されている。外部端子T7は、接地端に接続されている。
【0024】
次に、半導体装置10に外付けされるディスクリート部品の接続関係について述べる。トランジスタN1のドレインは、入力電圧Vinの印加端に接続されている。トランジスタN2のソースは、接地端に接続されている。トランジスタN1のソースとトランジスタN2のドレインは、いずれもコイルL1の第1端に接続されている。コイルL1の第2端とコンデンサC1の第1端は、いずれも出力電圧Voutの印加端に接続されている。コンデンサC1の第2端は、接地端に接続されている。抵抗R1と抵抗R2は、出力電圧Voutの印加端と接地端との間に直列に接続されている。
【0025】
トランジスタN1は、外部端子T1から入力されるゲート信号G1に応じてオン/オフ制御される出力トランジスタである。トランジスタN2は、外部端子T2から入力されるゲート信号G2に応じてオン/オフ制御される同期整流トランジスタである。なお、整流素子としては、トランジスタN2に代えてダイオードを用いても構わない。また、トランジスタN1およびN2は、半導体装置10に内蔵することも可能である。コイルL1とコンデンサC1は、外部端子T3に現れる矩形波状のスイッチ電圧Vswを整流平滑して出力電圧Voutを生成する整流平滑部として機能する。抵抗R1及びR2は、出力電圧Voutを分圧して分圧電圧Vdivを生成する分圧電圧生成部として機能する。ただし、出力電圧Voutがリップルインジェクション回路11(ないしはメインコンパレータ13)の入力ダイナミックレンジ内である場合には、分圧電圧生成部を省略してもよい。
【0026】
次に、半導体装置10の内部構成について述べる。半導体装置10には、リップルインジェクション回路11と、基準電圧生成回路12と、メインコンパレータ13と、ワンショットパルス生成回路14と、RSフリップフロップ15と、オン時間設定回路16と、ゲートドライバ回路17と、逆流検出回路18と、が集積化されている。
【0027】
リップルインジェクション回路11は、分圧電圧Vdivにリップル電圧Vrpl(コイルL1に流れるコイル電流ILを模擬した疑似リップル成分)を加算して帰還電圧Vfb(=Vdiv+Vrpl)を生成する。このようなリップルインジェクション技術を導入すれば、出力電圧Vout(延いては分圧電圧Vdiv)のリップル成分がそれほど大きくなくても安定したスイッチング制御を行うことができるので、コンデンサC1としてESRの小さい積層セラミックコンデンサなどを用いることが可能となる。ただし、出力電圧Voutのリップル成分が十分に大きい場合には、リップルインジェクション回路11を省略することも可能である。
【0028】
基準電圧生成回路12は、所定の基準電圧Vrefを生成する。
【0029】
メインコンパレータ13は、反転入力端(−)に入力される帰還電圧Vfbと、非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefとを比較して比較信号S1を生成する。比較信号S1は、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときにローレベルとなり、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときにハイレベルとなる。
【0030】
ワンショットパルス生成回路14は、比較信号S1の立下りエッジをトリガとしてセット信号S2にワンショットパルス(例:立下りパルス)を生成する。
【0031】
RSフリップフロップ15は、セット端(S)に入力されるセット信号S2のパルスエッジ(例:立下りエッジ)で出力信号S4をハイレベルにセットし、リセット端(R)に入力されるリセット信号S3のパルスエッジ(例:立下りエッジ)で出力信号S4をローレベルにリセットする。
【0032】
オン時間設定回路16は、RSフリップフロップ15の反転出力信号S4B(=出力信号S4の論理反転信号)がローレベルに立ち下げられてから、所定のオン時間Tonが経過した後、リセット信号S3にワンショットパルス(例:立下りパルス)を生成する。
【0033】
ゲートドライバ回路17は、RSフリップフロップ15の出力信号S4に応じてゲート信号G1及びG2を生成し、トランジスタN1及びN2を相補的にスイッチングさせる。なお、本明細書中で用いられる「相補的」という文言の意味には、トランジスタN1及びN2のオン/オフが完全に逆転している場合のほか、貫通電流防止の観点からトランジスタN1及びN2のオン/オフ遷移タイミングに遅延が与えられている場合(いわゆる同時オフ期間(デッドタイム)が設けられている場合)も含む。
【0034】
逆流検出回路18は、コイル電流ILの逆流(コイルL1からトランジスタN2を介して接地端に流れるコイル電流IL)を監視して逆流検出信号S5を生成する。逆流検出信号S5は、コイル電流ILの逆流が検出された時点でハイレベル(逆流検出時の論理レベル)にラッチされ、次周期におけるゲート信号G1の立上りエッジでローレベル(逆流未検出時の論理レベル)にリセットされる。なお、コイル電流ILの逆流を監視する手法としては、例えば、トランジスタN2のオン期間中にスイッチ電圧Vswが負から正に切り替わるゼロクロスポイントを検出すればよい。ゲートドライバ回路17は、逆流検出信号S5がハイレベルであるときには、出力信号S4に依ることなくトランジスタN2を強制的にオフするようにゲート信号G2を生成する。
【0035】
なお、上記したリップルインジェクション回路11、基準電圧生成回路12、メインコンパレータ13、ワンショットパルス生成回路14、RSフリップフロップ15、オン時間設定回路16、ゲートドライバ回路17、及び、逆流検出回路18は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの比較結果に応じてトランジスタN1及びN2のオン/オフ制御を行うことにより、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成する非線形制御方式(本構成例ではボトム検出オン時間固定方式)のスイッチング制御回路として機能する。
【0036】
<スイッチング動作>
図2は、重負荷時(電流連続モード時)のスイッチング動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、帰還電圧Vfb、セット信号S2、リセット信号S3、及び、出力信号S4が描写されている。
【0037】
時刻t11において、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefまで低下すると、セット信号S2がローレベルに立ち下がり、出力信号S4がハイレベルに遷移される。従って、トランジスタN1がオンとなり、帰還電圧Vfbが上昇に転ずる。
【0038】
その後、オン時間Tonの経過により、時刻t12において、リセット信号S3がローレベルに立ち下がると、出力信号S4がローレベルに遷移される。従って、トランジスタN1がオフとなって、帰還電圧Vfbが再び下降に転ずる。
【0039】
ゲートドライバ回路17は、出力信号S4に応じてゲート信号G1及びG2を生成し、これを用いてトランジスタN1及びN2のオン/オフ制御を行う。具体的に述べると、出力信号S4がハイレベルであるときには、基本的に、ゲート信号G1がハイレベルとされてトランジスタN1がオンされるとともに、ゲート信号G2がローレベルとされてトランジスタN2がオフされる。逆に、出力信号S4がローレベルであるときには、基本的に、ゲート信号G1がローレベルとされてトランジスタN1がオフされるとともに、ゲート信号G2がハイレベルとされてトランジスタN2がオンされる。
【0040】
上記したトランジスタN1及びN2のオン/オフ制御により、外部端子T3には矩形波形状のスイッチ電圧Vswが現れる。スイッチ電圧Vswは、コイルL1とコンデンサC1によって整流平滑され、出力電圧Voutが生成される。なお、出力電圧Voutは、抵抗R1及びR2により分圧され、分圧電圧Vdiv(延いては帰還電圧Vfb)が生成される。このような出力帰還制御により、スイッチング電源装置1では、極めて簡易な構成によって、入力電圧Vinから所望の出力電圧Voutが生成される。
【0041】
<逆流遮断動作>
図3は、軽負荷時(電流不連続モード時)の逆流遮断動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、ゲート信号G1及びG2、逆流検出信号S5、コイル電流IL、並びに、スイッチ電圧Vswが描写されている。
【0042】
時刻t21〜t22では、ゲート信号G1がハイレベルとされており、ゲート信号G2がローレベルとされているので、トランジスタN1がオンとなり、トランジスタN2がオフとなる。従って、時刻t21〜t22では、スイッチ電圧Vswがほぼ入力電圧Vinまで上昇し、コイル電流ILが増大していく。
【0043】
時刻t22において、ゲート信号G1がローレベルに立ち下げられ、ゲート信号G2がハイレベルに立ち上げられると、トランジスタN1がオフとなり、トランジスタN2がオンとなる。従って、スイッチ電圧Vswが負電圧(=GND−IL×RN2、ただし、RN2はトランジスタN2のオン抵抗値)まで低下し、コイル電流ILが減少に転じる。
【0044】
ここで、負荷に流れる出力電流Ioutが十分に大きい重負荷時には、コイルL1に蓄えられているエネルギが大きいので、ゲート信号G1が再びハイレベルに立ち上げられる時刻t24まで、コイル電流ILはゼロ値を下回ることなく負荷に向けて流れ続け、スイッチ電圧Vswは負電圧に維持される。一方、負荷に流れる出力電流Ioutが小さい軽負荷時には、コイルL1に蓄えられているエネルギが少ないので、時刻t23において、コイル電流ILがゼロ値を下回り、コイル電流ILの逆流が発生して、スイッチ電圧Vswの極性が負から正に切り替わる。このような状態では、コンデンサC1に蓄えられた電荷をコイルL1を介して入力側に戻していることになるので、軽負荷時における効率が低下する。
【0045】
そこで、スイッチング電源装置1は、逆流検出回路18を用いてコイル電流ILの逆流(スイッチ電圧Vswの極性反転)を検出し、逆流検出信号S5のハイレベル期間(時刻t23〜t24)において、トランジスタN2を強制的にオフさせる構成とされている。このような構成とすることにより、コイル電流ILの逆流を速やかに遮断することができるので、軽負荷時における効率低下を解消することが可能となる。
【0046】
<メインコンパレータ(第1構成例)>
図4は、メインコンパレータ13の第1構成例を示すブロック図である。本構成例のメインコンパレータ13は、帰還電圧Vfb(入力信号に相当)と基準電圧Vrefとを比較して比較信号S1を生成する比較回路であり、第1コンパレータ131と、第2コンパレータ132と、可変基準電圧生成部133と、ロジック部134と、を含む。
【0047】
第1コンパレータ131は、非反転入力端(+)に入力される帰還電圧Vfbと、反転入力端(−)に入力される基準電圧Vrefとを比較して第1比較信号S131を生成する。第1比較信号S131は、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときにハイレベルとなり、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときにローレベルとなる。
【0048】
また、第1コンパレータ131は、ロジック部134から入力されるイネーブル信号EN131に応じてその動作可否が制御される。具体的に述べると、第1コンパレータ131は、イネーブル信号EN131が第1論理レベル(=イネーブル時の論理レベル)であるときに動作状態となり、イネーブル信号EN131が第2論理レベル(=ディセーブル時の論理レベル)であるときに停止状態となる。なお、第1コンパレータ131を停止状態とすることにより、その消費電力をほぼゼロとすることができる。
【0049】
第2コンパレータ132は、非反転入力端(+)に入力される帰還電圧Vfbと、反転入力端(−)に入力される可変基準電圧Vref2を比較して第2比較信号S132を生成する。第2比較信号S132は、帰還電圧Vfbが可変基準電圧Vref2よりも高いときにハイレベルとなり、帰還電圧Vfbが可変基準電圧Vref2よりも低いときにローレベルとなる。なお、第2コンパレータ132は、第1コンパレータ131と異なり、半導体装置10の起動以降、常に動作し続ける。
【0050】
なお、第1コンパレータ131の応答速度は、第2コンパレータ132の応答速度よりも速い。また、第2コンパレータ132の消費電力は、第1コンパレータ131の消費電力よりも極めて小さい。すなわち、第1コンパレータ131は、消費電力の低減よりも応答速度の向上を優先させた高速応答型であり、第2コンパレータ132は、応答速度の向上よりも消費電力の低減を優先させた超低消費電力型である。
【0051】
可変基準電圧生成部133は、可変基準電圧Vref2を生成する回路部であり、カウンタ133aとDAC133bを含む。
【0052】
カウンタ133aは、ロジック部134から入力されるイネーブル信号EN133が第1論理レベル(=イネーブル時の論理レベル)であるときに、出力信号S4のパルス数をカウントしてカウンタ値Scntを出力する。出力信号S4は、スイッチング電源装置1のスイッチング周期Tsw(=1/fsw)に同期した論理信号である。従って、カウンタ値Scntは、基本的にスイッチング周期Tswに同期してトランジスタN1のオンタイミング到来毎にインクリメントされていく。なお、スイッチング周期Tswに同期した論理信号としては、セット信号S2やゲート信号G1などを用いても構わない。
【0053】
DAC133bは、デジタルのカウンタ値Scntをアナログ電圧Vdacに変換し、これを可変基準電圧Vref2として出力する。従って、可変基準電圧Vref2は、カウンタ値Scntのインクリメントに伴って段階的に上昇していく。
【0054】
このように、可変基準電圧生成部133は、スイッチング電源装置1のスイッチング周期Tswに同期して可変基準電圧Vref2を掃引する機能を備えている。なお、可変基準電圧Vref2の掃引開始時点における初期値は、基準電圧Vrefよりも低い電圧値(=基準電圧Vrefに対して負のオフセットを与えた電圧値)に設定しておけばよい。
【0055】
ロジック部134は、第1比較信号S131と第2比較信号S132の一方を比較信号S1として出力する。なお、ロジック部134は、第1比較信号S131を比較信号S1として出力している間、イネーブル信号EN131を第1論理レベル(=イネーブル時の論理レベル)とすることにより、第1コンパレータ131を動作させる。一方、ロジック部134は、第2比較信号S132を比較信号S1として出力している間、イネーブル信号EN131を第2論理レベル(=ディセーブル時の論理レベル)とすることにより、第1コンパレータ131を停止させる。
【0056】
より具体的に述べると、ロジック部134は、メインコンパレータ13の高速応答性が求められる状況(例えば重負荷時)では、第1コンパレータ131を動作させ、第1比較信号S131を比較信号S1として出力する。一方、ロジック部134は、メインコンパレータ13の省電力化が求められる状況(例えば超軽負荷時または無負荷時)では、第1コンパレータ131を停止させ、第2比較信号S132を比較信号S1として出力する。このように、ロジック部134は、高速応答用の第1コンパレータ131と超低消費電力用の第2コンパレータ132を状況(負荷状態)に応じて使い分ける機能を備えている。
【0057】
ただし、第1コンパレータ131と第2コンパレータ132の入力オフセットが乖離していた場合には、第1コンパレータ131と第2コンパレータ132のいずれを用いているかにより、比較信号S1の論理切替タイミングが異なってくるので、メインコンパレータ13全体としての出力精度(延いては出力電圧Voutの精度)が低下してしまう。
【0058】
そのため、第1コンパレータ131の動作を停止して第2コンパレータ132を有効とするためには、それに先立ち、各コンパレータ間における入力オフセットのミスマッチを解消しておく必要がある。以下では、
図5及び
図6を参照しながら、メインコンパレータ13における自動オフセット調整動作(AOC[auto offset calibration]動作)について詳述する。
【0059】
図5は、自動オフセット調整動作の第1例を示すタイミングチャートであり、上から順に、可変基準電圧Vref2、出力信号S4、トリガ信号AOC_trig、及び、調整完了信号AOC_endが描写されている。なお、詳細は後述するが、トリガ信号AOC_trigと調整完了信号AOC_endは、いずれもロジック部134の内部で取り扱われる論理信号である。
【0060】
また、
図6は、
図5の時刻t31付近を拡大したタイミングチャートであり、上から順番に、帰還電圧Vfb(破線)、基準電圧Vref(一点鎖線)、可変基準電圧Vref2(実線)、第1比較信号S131、第2比較信号S132、及び、トリガ信号AOC_trigが描写されている。
【0061】
ロジック部134は、半導体装置10の起動後、イネーブル信号EN131及び133をいずれも第1論理レベル(=イネーブル時の論理レベル)とすることにより、第1比較信号S131を比較信号S1として出力しつつ、第1比較信号S131と第2比較信号S132のモニタリングを行い、各々が所望の応答挙動となるまで可変基準電圧Vref2を掃引するように可変基準電圧生成部133を制御する状態となる。
【0062】
上記所望の応答挙動とは、例えば、時刻t31で示すように、カウンタ値Scntのインクリメントに伴って可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefよりも高くなり、第1コンパレータ131よりも先に第2コンパレータ132が反応した結果、第1比較信号S131がローレベルに立ち下がるよりも先に第2比較信号S132がローレベルに立ち下がるようになった状況を指す。
【0063】
トリガ信号AOC_trigは、上記所望の応答挙動が検出されたか否かを示す論理信号である。時刻t31以前(時刻t41及びt42)で示すように、第2コンパレータ132よりも先に第1コンパレータ131が反応している間(=第2比較信号S132がハイレベルに維持されている間)は、トリガ信号AOC_trigがローレベルに維持される。一方、時刻t31で示すように、可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefよりも高くなり、第1コンパレータ131よりも先に第2コンパレータ132が反応した結果、第1比較信号S131がローレベルに立ち下がるよりも先に第2比較信号S132がローレベルに立ち下がると、トリガ信号AOC_trigがハイレベルに立ち上がる。
【0064】
この時点で可変基準電圧Vref2の掃引を完了することもできるが、本図の例では、トリガ信号AOC_trigがハイレベルに立ち上がった後、さらに、出力信号S4の2パルス分に亘り、可変基準電圧Vref2の掃引(=カウンタ値Scntのインクリメント)が継続されている。そして、時刻t32において、出力信号S4に3つ目のパルスが立ち上がった時点で、調整完了信号AOC_endがハイレベルに立ち上がり、一連の自動オフセット調整動作が完了される。
【0065】
このとき、ロジック部134は、イネーブル信号EN133を第2論理レベル(=ディセーブル時の論理レベル)とすることにより、可変基準電圧Vref2の掃引動作(=出力信号S4のパルスカウント動作)を停止させる。従って、これ以降、可変基準電圧Vref2は、その掃引完了時点における電圧値に維持される。
【0066】
なお、トリガ信号AOC_trigのハイレベル遷移後における可変基準電圧Vref2の掃引継続期間は、第1コンパレータ131と第2コンパレータ132との応答遅延差を考慮して適宜設定されている。
【0067】
すなわち、ロジック部134は、上記一連の自動オフセット調整動作に際して、第1コンパレータ131と第2コンパレータ132との応答遅延差分だけ可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefよりも早く帰還電圧Vfbとクロスするように、可変基準電圧Vref2の掃引完了タイミングを意図的に遅らせる構成とされている。このように、第1コンパレータ131と第2コンパレータ132との間に意図的なオフセット差を付けることにより、両コンパレータ間の応答遅延差をキャンセルすることができるので、比較信号S1の出力精度を高めることが可能となる。
【0068】
上記一連の自動オフセット調整動作(=可変基準電圧Vref2の掃引動作)が完了して以降、ロジック部134は、第2比較信号S132を比較信号S1として出力することのできる状態に移行する。このように、第1コンパレータ131を用いる動作モード(=高速応答モード)から、第2コンパレータ132を用いる動作モード(=超低消費電力モード)への切替を行う前に、両コンパレータ間における入力オフセットのミスマッチを解消しておくことにより、双方の動作モードで同等の出力精度を保つことが可能となる。
【0069】
逆に言えば、上記一連の自動オフセット調整動作が完了しない限り、たとえスイッチング電源装置1が超軽負荷状態や無負荷状態になったとしても、第1コンパレータ131が停止されることはなく、第1比較信号S1に応じた出力帰還制御が継続される。
【0070】
また、これまでの説明からも分かるように、メインコンパレータ13は、第1コンパレータ131を用いた通常の出力帰還制御と並行して上記一連の自動オフセット調整動作を実施する。従って、スイッチング電源装置1では、半導体装置10の起動後、速やかに出力動作を開始することが可能となる。
【0071】
なお、可変基準電圧Vref2の掃引(=カウンタ値Scntのインクリメント)については、これをスイッチング周期Tswと非同期に行うことも可能である。ただし、そのような構成を採用した場合には、第1コンパレータ131さえも反応していないタイミングで可変基準電圧Vref2が引き上げられたり、逆に、第1コンパレータ131が第2コンパレータ132よりも先に反応したにも関わらず可変基準電圧Vref2が引き上げられなかったりする懸念がある。一方、これまでに説明してきたように、スイッチング周期Tswと同期して可変基準電圧Vref2の掃引を行う構成であれば、このような不具合を生じるおそれは殆どないと言える。
【0072】
また、
図5及び
図6では、第1コンパレータ131の入力オフセットと第2コンパレータ132の入力オフセットが一致(またはほぼ一致)していた場合の挙動、すなわち、可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefを上回った直後に第1コンパレータ131と第2コンパレータ132の反応順序が逆転する例を挙げて説明を行った。
【0073】
ただし、各コンパレータ間における入力オフセットのミスマッチ具合(ミスマッチの正負や大きさ)によっては、可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefとクロスする前に第1コンパレータ131と第2コンパレータ132の反応順序が逆転する場合や、これとは逆に、可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefとクロスしても第1コンパレータ131と第2コンパレータ132の反応順序が暫く逆転しない場合もあり得る。しかしながら、上記の自動オフセット調整動作であれば、入力オフセットのミスマッチ具合に依ることなく、これを適切に解消することが可能となる。
【0074】
<メインコンパレータ(第2構成例)>
図7は、メインコンパレータ13の第2構成例を示すブロック図である。本構成例のメインコンパレータ13は、先の第1構成例(
図4)をベースとしつつ、可変基準電圧生成部133(より具体的にはカウンタ133a)に動作モード判別信号SKIPを入力した構成とされている。そこで、先の第1構成例と同様の回路要素については、
図4と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2構成例の特徴部分について重点的に説明する。
【0075】
スイッチング電源装置1が高速にスイッチング動作しているときには、第2コンパレータ132の応答遅延により、第2比較信号S132の論理レベルが正しく切り替わらない場合がある。そのため、スイッチング周期Tswが短い状況(例えば重負荷時)では、上記の自動オフセット調整動作を必ずしも適切に実施することができない。
【0076】
そこで、可変基準電圧生成部133は、スイッチング周期Tswが所定値よりも長いとき(例えば、第2コンパレータ132の応答遅延が問題とならない電流不連続モード時)にのみ、可変基準電圧Vref2の掃引を行う構成とされている。
【0077】
なお、第2構成例のメインコンパレータ13では、スイッチング周期Tswが所定値よりも長いか否かを判別するための一手法として、動作モード判別信号SKIPがカウンタ133aに入力されている。
【0078】
上記の動作モード判別信号SKIPは、コイル電流ILの逆流が検出されてトランジスタN1及びN2がいずれもオフされたとき(すなわち電流不連続モード時)にハイレベルとなり、コイル電流ILの逆流が検出される前にトランジスタN1がオンされたとき(すなわち電流連続モード時)にローレベルとなる論理信号である。なお、ここでは、電流不連続モード移行時に動作モード判別信号SKIPが遅滞なくハイレベルとなる例を挙げたが、動作モード判別信号SKIPは、例えば、電流不連続モード移行から所定時間の経過後にハイレベルとなる論理信号としてもよい。このような構成とすることにより、第2コンパレータ132の応答遅延に対してより適切に対処することが可能となる。
【0079】
カウンタ133aは、イネーブル信号EN133がたとえ第1論理レベル(=イネーブル時の論理レベル)とされていた場合であっても、動作モード判別信号SKIPがローレベル(=電流連続モード時の論理レベル)であるときには、出力信号S4のパルス数をカウントすることなく、カウンタ値Scntのインクリメントを一時停止する。
【0080】
以下では、動作モード判別信号SKIPを用いた自動オフセット調整動作の一時停止処理について詳述する。
【0081】
図8は、自動オフセット調整動作の第2例を示すタイミングチャートであり、上から順に、出力信号S4、動作モード判別信号SKIP、可変基準電圧Vref2、及び、調整完了信号AOC_endが描写されている。
【0082】
時刻t51以前、及び、時刻t52〜t53で示すように、動作モード判別信号SKIPがローレベル(=電流連続モード時の論理レベル)であるときには、可変基準電圧Vref2の掃引が停止される。従って、第2コンパレータ132の応答遅延により自動オフセット調整動作の不具合を生じることはない。
【0083】
一方、時刻t51〜t52、及び、時刻t53〜t55で示したように、動作モード判別信号SKIPがハイレベル(=電流不連続モード時の論理レベル)であるときには、可変基準電圧Vref2の掃引が行われる。
【0084】
本図の例では、1回目の電流不連続モード期間中(時刻t51〜t52)に自動オフセット調整動作が完了せず、2回目の電流不連続モード期間中(時刻t53〜t55)に自動オフセット調整動作が完了した様子を描写している。
【0085】
すなわち、電流連続モードと電流不連続モードが切り替わる毎に、自動オフセット調整動作の一時停止と再開が繰り返され、第1比較信号S131がローレベルに立ち下がるよりも先に第2比較信号S132がローレベルに立ち下がるようになった時点(本図の例では時刻t54)で、調整完了信号AOC_endがハイレベルに立ち上がる。
【0086】
従って、電流不連続モード期間の長さにより、1回の電流不連続モード移行で自動オフセット調整動作が完了する場合もあれば、複数回の電流不連続モード移行を経てようやく自動オフセット調整動作が完了する場合もある。
【0087】
<メインコンパレータ(第3構成例)>
図9は、メインコンパレータ13の第3構成例を示す回路図である。本構成例のメインコンパレータ13は、先の第1構成例(
図4)をベースとしつつ、可変基準電圧生成部133(より具体的にはカウンタ133a)にクロック信号CLKを入力した構成とされている。そこで、先の第1構成例と同様の回路要素については、
図4と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では第3構成例の特徴部分について重点的に説明する。
【0088】
上記のクロック信号CLKは、スイッチング周期Tswと非同期のクロック周期Tclkを持つパルス信号である。クロック信号CLKとしては、例えば、ロジック部134の動作に必要なシステムクロック信号を流用することができる。
【0089】
ここで、可変基準電圧生成部133は、スイッチング周期Tswと、これと非同期のクロック周期Tclkのいずれか一方に同期して、可変基準電圧Vref2を掃引する構成とされている。
【0090】
以下では、クロック信号CLKを用いた自動オフセット調整動作の初期設定処理について詳細に説明する。
【0091】
図10は、自動オフセット調整動作の第3例を示すタイミングチャートであり、上から順に、可変基準電圧Vref2、クロック信号CLK、及び、出力信号S4が描写されている。なお、可変基準電圧Vref2について、実線は本動作例での挙動を示しており、破線は先の
図5と同じく可変基準電圧Vref2が下限値Vref2Lから段階的に引き上げられていくときの挙動を示している。
【0092】
ロジック部134は、半導体装置10の起動後、時刻t61以前で示したように、クロック信号CLKに同期して、可変基準電圧Vref2を上限電圧Vref2H(>Vref)から基準電圧Vrefとクロスするまで急速に引き下げるように、可変基準電圧生成部133を制御する。このとき、カウンタ134aは、クロック信号CLKのパルス数に応じてカウンタ値Scntを上限カウンタ値から1つずつデクリメントしていく。
【0093】
その後、ロジック部134は、時刻t61以降で示したように、出力信号S4に同期して、可変基準電圧Vref2を掃引開始電圧Vref2S(=先のデクリメント完了時点の可変基準電圧Vref2)から基準電圧Vrefとクロスするまで引き上げるように、可変基準電圧生成部133を制御する。このとき、カウンタ134aは、出力信号S4のパルス数に応じてカウンタ値Scntを1つずつインクリメントしていく。
【0094】
可変基準電圧Vref2の実線と破線を比べれば明らかなように、出力信号S4よりも高速なクロック信号CLKを用いて、基準電圧Vref近傍の掃引開始電圧Vref2Sを初期設定し、この掃引開始電圧Vref2Sを起点として可変基準電圧Vref2を引き上げていく構成であれば、可変基準電圧Vref2を下限値Vref2Lから引き上げていく構成と比べて、自動オフセット調整動作の所要時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0095】
<メインコンパレータ(第4構成例)>
図11は、メインコンパレータ13の第4構成例を示す回路図である。本構成例のメインコンパレータ13は、先の第1構成例(
図4)をベースとしつつ、さらに加算部133cを追加した構成とされている。そこで、先の第1構成例と同様の回路要素については、
図4と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では第4構成例の特徴部分について重点的に説明する。
【0096】
加算部133cは、基準電圧Vrefに対してアナログ電圧Vdacを加算することにより、可変基準電圧Vref2(=Vref+Vdac)を生成し、これを第2コンパレータ132の反転入力端(−)に出力する。
【0097】
つまり、アナログ電圧Vdacは、可変基準電圧Vref2そのものとしてではなく、基準電圧Vrefに足し合わされるオフセット電圧として用いられている。なお、アナログ電圧Vdacは、可変基準電圧Vref2が基準電圧Vrefに対して正負双方の電圧値を取り得るように、カウンタ値Scntに対するアナログ出力値が設定されている。
【0098】
このような構成とすることにより、第1コンパレータ131に入力される基準電圧Vrefを中心値として第2コンパレータ132のオフセット調整を行うことが可能となる。
【0099】
なお、ここでは、第1構成例(
図4)をベースとしたが、第2構成例(
図7)や第3構成例(
図9)をベースとして、加算部133cを追加することもできる。
【0100】
<テレビへの適用>
図12は、上記のスイッチング電源装置を搭載したテレビの一構成例を示すブロック図である。また、
図13A〜
図13Cは、それぞれ、上記のスイッチング電源装置を搭載したテレビの正面図、側面図、及び、背面図である。本構成例のテレビAは、チューナ部A1と、デコーダ部A2と、表示部A3と、スピーカ部A4と、操作部A5と、インタフェイス部A6と、制御部A7と、電源部A8と、を有する。
【0101】
チューナ部A1は、テレビAに外部接続されるアンテナA0で受信された受信信号から所望チャンネルの放送信号を選局する。
【0102】
デコーダ部A2は、チューナA1で選局された放送信号から映像信号と音声信号を生成する。また、デコーダ部A2は、インタフェイス部A6からの外部入力信号に基づいて、映像信号と音声信号を生成する機能も備えている。
【0103】
表示部A3は、デコーダ部A2で生成された映像信号を映像として出力する。
【0104】
スピーカ部A4は、デコーダ部A2で生成された音声信号を音声として出力する。
【0105】
操作部A5は、ユーザ操作を受け付けるヒューマンインタフェイスの一つである。操作部A5としては、ボタン、スイッチ、リモートコントローラなどを用いることができる。
【0106】
インタフェイス部A6は、外部デバイス(光ディスクプレーヤやハードディスクドライブなど)から外部入力信号を受け付けるフロントエンドである。
【0107】
制御部A7は、上記各部A1〜A6の動作を統括的に制御する。制御部A7としては、CPU[central processing unit]などを用いることができる。
【0108】
電源部A8は、上記各部A1〜A7に電力供給を行う。電源部A8としては、先述のスイッチング電源装置1を好適に用いることができる。
【0109】
<その他の変形例>
なお、上記実施形態では、降圧型のスイッチング電源装置に本発明を適用した構成を例示して説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えば、スイッチング電源装置の出力段を昇圧型や昇降圧型、若しくは、反転型としても構わない。
【0110】
また、上記実施形態では、オン時間固定方式のスイッチング電源装置(オン時間設定回路)を例示して説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、上記と同様の技術的思想に基づいて可変基準電圧Vref2の挙動を変更することにより、オフ時間固定方式のスイッチング電源装置にも適用することが可能である。
【0111】
このように、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。