(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ウォータジャケットの内部に組み付けられて、冷却水の流れを制御するウォータジャケット用スペーサを射出成形によって製造するにあたり、複数の分割体からなるウォータジャケット用スペーサの個々の分割体や、ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状とされたウォータジャケット用スペーサを成形性よく製造することができるウォータジャケット用スペーサの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、水冷式の内燃機関が備えるウォータジャケットの内部に組み付けて冷却水の流れを制御するウォータジャケット用スペーサの製造方法であって、
前記ウォータジャケット用スペーサが、複数の円弧状周面部がくびれ部を介して連接され、前記ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状とされ、
前記ウォータジャケット用スペーサの内周面に相当する位置に、長手方向に沿って複数のゲートが配列
し、該ゲートに櫛歯状に接続するランナと該ゲートに櫛歯状に接続するランナを繋ぐランナとが形成されるように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形し、
型開きしてエジェクトした後も、前記ゲートに連なるランナを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、前記ランナを切除することを特徴とするウォータジャケット用スペーサの製造方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、水冷式の内燃機関が備えるウォータジャケットの内部に組み付けて冷却水の流れを制御するウォータジャケット用スペーサの製造方法であって、
前記ウォータジャケット用スペーサが、複数の円弧状周面部がくびれ部を介して連接された分割成形体を組み合わせてなり、
前記分割成形体の内周面に相当する位置に、長手方向に沿って複数のゲートが配列
し、該ゲートに櫛歯状に接続するランナと該ゲートに櫛歯状に接続するランナを繋ぐランナとが形成されるように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形し、
型開きしてエジェクトした後も、前記ゲートに連なるランナを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、前記ランナを切除することを特徴とするウォータジャケット用スペーサの製造方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、水冷式の内燃機関が備えるウォータジャケットの内部に組み付けて冷却水の流れを制御するウォータジャケット用スペーサの製造方法であって、
複数の円弧状周面部がくびれ部を介して連接され、前記ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状を有し、内周面が対向する同一形状又は異なる形状の2つのウォータジャケット用スペーサの成形空間が形成され、且つ、該2つのウォータジャケット用スペーサの内周面の相当する位置に、該2つのウォータジャケット用スペーサの内周面同士を繋ぐブリッジ部が、長手方向に配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形し、
型開きしてエジェクトした後も、前記ブリッジ部を残した状態としたまま冷却し、しかる後に、前記ブリッジ部を切除することを特徴とするウォータジャケット用スペーサの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の分割体からなるウォータジャケット用スペーサの個々の分割体や、ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状とされたウォータジャケット用スペーサを製造するにあたり、成形後の冷却工程における変形を防止しつつ、射出成形によって生産性よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法は、水冷式の内燃機関が備えるウォータジャケットの内部に組み付けて冷却水の流れを制御するウォータジャケット用スペーサの製造方法であって、
前記ウォータジャケット用スペーサが、複数の円弧状周面部がくびれ部を介して連接され、前記ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状とされ、
前記ウォータジャケット用スペーサの内周面に相当する位置に、長手方向に沿って複数のゲートが配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形し、
型開きしてエジェクトした後も、前記ゲートに連なるランナを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、前記ランナを切除することを特徴とするウォータジャケット用スペーサの製造方法である。
【0012】
以下、本発明の第一の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
本実施形態により製造されるスペーサ2は、
図3に示すように、シリンダブロックCBLと、図示しないシリンダヘッドとを有し、シリンダブロックCBLに、直列に配置された四つのシリンダボアCBが形成された自動車用の水冷式直列4気筒エンジンが備えるウォータジャケットWJの内部に組み付けられる。
シリンダブロックCBLには、複数(図示する例では四つ)のシリンダボアCBのボア壁BWが、隣接するシリンダボアCBの間でくびれた形状で連続して一体となるように形成されるとともに、かかるボア壁BWの周囲に、冷却水循環路としてのウォータジャケットWJが形成されている。
なお、
図3は、スペーサ2が組み付けられる水冷式の内燃機関の一例を示す説明図であり、図中、スペーサ2を二点鎖線で示している。
【0014】
スペーサ2は、ウォータジャケットWJの内部に挿入して、隣接するシリンダボアCBの間でくびれた形状とされたボア壁BWに沿うように組み付けることによって、ウォータジャケットWJ内を流動する冷却水の流れを制御して、ボア壁BWの温度分布を最適化することができるように設計される。例えば、ウォータジャケットWJ内に冷却水が流入する側の一部にスペーサ2を組み付けて、ウォータジャケットWJから冷却水が排出される側にはスペーサ2を組み付けないような場合などには、ウォータジャケットWJの内部に部分的に挿入可能な形状に設計する。本実施形態は、このような形状のスペーサ2を製造対象とする。
【0015】
スペーサ2は、
図1に示すように、スペーサ2の一方の端縁側と他方の端縁側とが対称とされた形状であっても、
図2に示すように、一方の端縁側を他方の端縁側よりも長くした非対称な形状であってもよく、ウォータジャケットWJの内部にシリンダボアCBのボア壁BWに沿って挿入できるように、複数の円弧状の側壁部4がくびれ部3を介して連接した形状を有していればよい。
このような形状のスペーサ2は、その内周面(ウォータジャケットWJの内部に組み付けた際にボア壁BWに対向する面)に相当する位置に、キャビティ内に充填される樹脂材料の流入口となるゲート6が、長手方向に沿って複数配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形することによって成形される。射出成形により得られる成形体1には、少なくとも、スペーサ2とゲート6とランナ7とが形成されている。
【0016】
そして、射出成形型を型開きして、成形された成形体1をエジェクトした後も、ゲート6に連なるランナ7を櫛歯状に残した状態としたまま冷却し、しかる後に、当該ランナ7を切除する。
このようにすることで、スペーサ2の側壁部4の内周面に、櫛歯状に接続したままのランナ7が、エジェクト直後の軟化状態にあるスペーサ1の変形を抑制し、スペーサ1が冷却されて固化していくまでの間のスペーサ2の形状保持が可能となる。スペーサ2の側壁部4に櫛歯状に接続したランナ7によってスペーサ2の形状を保持するにあたり、ランナ7の分岐部には、図示するような火打ち状の補強部7aを形成することもできる。
そして、スペーサ2の側壁部4に櫛歯状に接続したランナ7は、スペーサ2が十分に固化して変形の虞がなくなってから切除する。
【0017】
このように、本実施形態によれば、成形後の冷却工程におけるスペーサ2の変形を防止しつつ、スペーサ2を射出成形によって生産性よく製造することができる。
【0018】
また、
図1及び
図2に示す例では、スペーサ2の側壁部4の高さ方向中央に相当する位置にゲート6を配列させている。このようにすることで、成形後の冷却工程におけるスペーサ2の変形をより有効に防止することができるが、スペーサ2の形状保持が可能であれば、ゲート6を配列させる側壁部4の高さ方向の位置は、これに限定されない。
【0019】
また、
図1及び
図2に示す例では、スペーサ2の円弧状の側壁部4に相当する位置にゲート6を配列させている。このようにすることで、ゲート6の出口付近での樹脂圧の低下が起こり難く充填不良を抑制することができるが、その反面、くびれ部3にウェルドなどの流動不良が生じてしまうことが懸念される。このため、ウェルドなどの流動不良がくびれ部3に生じるのを避ける必要がある場合は、
図4(a)及び(b)に示すように、スペーサ2のくびれ部3に相当する位置にゲート6を配列させてもよい。また、
図4(c)及び(d)に示すように、スペーサ2のくびれ部3に相当する位置とともに、スペーサ2の端縁にもゲート6を配列するようにしてもよい。
いずれの位置にゲート6を配列させるかは、樹脂の流動などを考慮して成形性の観点から適宜設計することができ、必要に応じて、円弧状の側壁部4に相当する位置と、スペーサ2のくびれ部3に相当する位置の両方にゲート6を配置させてもよい。
【0020】
さらに、スペーサ2を射出成形によって製造するにあたっては、
図4(e)〜(h)に示すように、スペーサ2を2個取りとすることで、より生産性を高めることができる。
スペーサ2を2個取りで射出成形するには、
図4(f)に示すように、一方のスペーサ2と他方のスペーサ2とで、長手方向に沿ってゲートを互い違いに配置してもよい。このようにすることで、スペーサ2の端縁どうしの干渉を避けて各スペーサ2を成形するキャビティを近接させることができ、これによって、ランナ7の距離を短くして樹脂の使用量を削減することができる。
【0021】
スペーサ2を2個取りする場合、
図4(e)〜(h)に示す実施形態では、2つのスペーサ2は、同一の形状をしているが、本発明の第一の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法では、これに限定されず。2つのスペーサ2の形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。2つのスペーサ2の形状が異なるとは、スペーサを形成する円弧状側壁部の数が異なる場合と、スペーサの外側面に一体成形により形成されている種々の部材が異なる場合とがある。
【0022】
本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法は、水冷式の内燃機関が備えるウォータジャケットの内部に組み付けて冷却水の流れを制御するウォータジャケット用スペーサの製造方法であって、
複数の円弧状周面部がくびれ部を介して連接され、前記ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状を有し、内周面が対向する同一形状又は異なる形状の2つのウォータジャケット用スペーサの成形空間が形成され、且つ、該2つのウォータジャケット用スペーサの内周面の相当する位置に、該2つのウォータジャケット用スペーサの内周面同士を繋ぐブリッジ部が、長手方向に配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形し、
型開きしてエジェクトした後も、前記ブリッジ部を残した状態としたまま冷却し、しかる後に、前記ブリッジ部を切除することを特徴とするウォータジャケット用スペーサの製造方法である。
【0023】
以下、本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図5及び
図6(i)に示す実施形態では、2つのスペーサ2は、それぞれ、複数の円弧状の側壁部4がくびれ部3を介して連接した形状を有しており、内側同士が対向している。
そして、2つのスペーサ2は、2つのスペーサ2の内周面のくびれ部3同士を繋ぐ位置にブリッジ部8aが、端部同士を繋ぐ位置にブリッジ部8bが、長手方向に複数配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形することによって成形される。ブリッジ部には、スペーサ2のくびれ部の内側同士を繋ぐくびれ部ブリッジ部8aと、スペーサ2の端部同士を繋ぐ端部ブリッジ部8bがある。
【0025】
そして、射出成形型を型開きして、成形された成形体1をエジェクトした後も、ブリッジ部8a、8bを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、当該ブリッジ部8a、8bを切除する。
このようにすることで、スペーサ2のくびれ部3の内側に接続したままのブリッジ部8a、8bが、エジェクト直後の軟化状態にあるスペーサ2の変形を抑制し、スペーサ2が冷却されて固化していくまでの間のスペーサ2の形状保持が可能となる。
そして、スペーサ2のくびれ部3に接続したブリッジ部8a、8bを、スペーサ2が十分に固化して変形の虞がなくなってから切除する。
なお、
図5及び
図6(i)に示す実施形態では、例えば、スペーサ2の両端の端部ブリッジ部8bから樹脂材料を射出することができる。
【0026】
また、
図6(j)に示す実施形態では、2つのスペーサ2は、それぞれ、複数の円弧状の側壁部4がくびれ部3を介して連接した形状を有しており、内側同士が対向している。
そして、スペーサ2は、2つのスペーサ2の側壁部4の内周面の円弧状(上から見たとき)の中央近傍に、ブリッジ部8c、8dが、長手方向に複数配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形することによって成形される。ブリッジ部には、スペーサ2の側壁部4の内周面の円弧状の中央近傍同士を繋ぐブリッジ部で、スペーサ2の長手方向で両端に形成される端側ブリッジ部8cと、スペーサ2の側壁部4の内周面の円弧状の中央近傍同士を繋ぐブリッジ部で、スペーサ2の長手方向で内側に形成される内側ブリッジ部8dがある。
【0027】
そして、射出成形型を型開きして、成形された成形体1をエジェクトした後も、ブリッジ部8c、8dを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、当該ブリッジ部8c、8dを切除する。
このようにすることで、スペーサ2の側壁部4の内側に接続したままのブリッジ部8c、8dが、エジェクト直後の軟化状態にあるスペーサ2の変形を抑制し、スペーサ2が冷却されて固化していくまでの間のスペーサ2の形状保持が可能となる。
そして、スペーサ2の側壁部4に接続したブリッジ部8c、8dを、スペーサ2が十分に固化して変形の虞がなくなってから切除する。
なお、
図6(j)に示す実施形態では、例えば、スペーサ2の両端の端側ブリッジ部8cから樹脂材料を射出することができる。
【0028】
本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法では 射出成形型には、更に、隣り合うブリッジ部を繋ぐブリッジ間ブリッジ部が形成されるように樹脂流路が設計されていてもよい。
図7には、本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法において、隣り合うブリッジ部を繋ぐブリッジ間ブリッジ部が形成されるように樹脂流路が設計されている射出成形型を用いて製造されるウォータジャケット用スペーサの実施形態を示す。
【0029】
図7(k)に示す実施形態では、2つのスペーサ2は、それぞれ、複数の円弧状の側壁部4がくびれ部3を介して連接した形状を有しており、内側同士が対向している。
そして、2つのスペーサ2は、2つのスペーサ2の内周面のくびれ部3同士を繋ぐ位置にブリッジ部8aが、端部同士を繋ぐ位置にブリッジ部8bが、長手方向に複数配列し、且つ、隣り合うブリッジ部8aを繋ぐブリッジ間ブリッジ部9aが形成されるように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形することによって成形される。ブリッジ部には、スペーサ2のくびれ部の内側同士を繋ぐくびれ部ブリッジ部8aと、スペーサ2の端部同士を繋ぐ端部ブリッジ部8bがある。
【0030】
そして、射出成形型を型開きして、成形された成形体1をエジェクトした後も、ブリッジ部8a、8b及びブリッジ間ブリッジ部9aを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、当該ブリッジ部8a、8b及びブリッジ間ブリッジ部9aを切除する。
このようにすることで、スペーサ2のくびれ部3の内側に接続したままのブリッジ部8a、8b及びブリッジ間ブリッジ部9aが、エジェクト直後の軟化状態にあるスペーサ2の変形を抑制し、スペーサ2が冷却されて固化していくまでの間のスペーサ2の形状保持が可能となる。
そして、スペーサ2のくびれ部3に接続したブリッジ部8a、8b及びブリッジ間ブリッジ部9aを、スペーサ2が十分に固化して変形の虞がなくなってから切除する。
なお、
図7(i)に示す実施形態では、例えば、スペーサ2の両端の端部ブリッジ部8bから樹脂材料を射出することができる。あるいは、ブリッジ間ブリッジ部9aの中央の位置10aから樹脂材料を射出することができる。
【0031】
また、
図7(m)に示す実施形態では、2つのスペーサ2は、それぞれ、複数の円弧状の側壁部4がくびれ部3を介して連接した形状を有しており、内側同士が対向している。
そして、スペーサ2は、2つのスペーサ2の側壁部4の内周面の円弧状(上から見たとき)の中央近傍に、ブリッジ部8c、8dが、長手方向に複数配列し、且つ、隣り合うブリッジ部8cと8d又は隣り合うブリッジ部8dと8dを繋ぐブリッジ間ブリッジ9bが形成されるように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、所定の樹脂材料を射出成形することによって成形される。ブリッジ部には、スペーサ2の側壁部4の内周面の円弧状の中央近傍同士を繋ぐブリッジ部で、スペーサ2の長手方向で両端に形成される端側ブリッジ部8cと、スペーサ2の側壁部4の内周面の円弧状の中央近傍同士を繋ぐブリッジ部で、スペーサ2の長手方向で内側に形成される内側ブリッジ部8dがある。
【0032】
そして、射出成形型を型開きして、成形された成形体1をエジェクトした後も、ブリッジ部8c、8d及びブリッジ間ブリッジ部9bを残した状態としたまま冷却し、しかる後に、当該ブリッジ部8c、8d及びブリッジ間ブリッジ部9bを切除する。
このようにすることで、スペーサ2の側壁部4の内側に接続したままのブリッジ部8c、8d及びブリッジ間ブリッジ部9bが、エジェクト直後の軟化状態にあるスペーサ2の変形を抑制し、スペーサ2が冷却されて固化していくまでの間のスペーサ2の形状保持が可能となる。
そして、スペーサ2の側壁部4に接続したブリッジ部8c、8d及びブリッジ間ブリッジ部9bを、スペーサ2が十分に固化して変形の虞がなくなってから切除する。
なお、
図7(j)に示す実施形態では、例えば、スペーサ2の両端の端側ブリッジ部2cから樹脂材料を射出することができる。あるいは、ブリッジ間ブリッジ部9bの中央の位置10bから樹脂材料を射出することができる。
【0033】
ブリッジ間ブリッジ部9は、
図7(m)に示す形態例のように、射出成形型内に形成される全てのブリッジ8を繋ぐものであっても、あるいは、
図7(k)に示す形態例のように、射出成形型内に形成されるブリッジ部8の一部を繋ぐものであってもよい。
【0034】
このように、本実施形態によれば、成形後の冷却工程におけるスペーサ2の変形を防止しつつ、スペーサ2を射出成形によって生産性よく製造することができる。
【0035】
本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法では、ブリッジ部8を配列させる側壁部4の高さ方向の位置は、特に制限されず、例えば、スペーサ2の側壁部4の高さ方向中央に相当する位置にブリッジ部8を配列させてもよいし、あるいは、スペーサ2の側壁部4の高さ方向の中央より上寄り又は下よりにブリッジ部8を配列させてもよい。
【0036】
本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法では、ブリッジ部8及びブリッジ間ブリッジ部9に、ランナー及びゲートを兼ねさせることもできる。
【0037】
ウォータジャケット用スペーサを平面視したときに、いずれの位置にブリッジ部8を配列させるかは、樹脂の流動などを考慮して成形性の観点から適宜設計することができ、必要に応じて、側壁部4の内側の円弧状の中央近傍に相当する位置と、くびれ部3の内側に相当する位置の両方にブリッジ部8を配置させてもよい。
【0038】
図5、
図6(i)及び(j)並びに
図7(k)及び(m)に示す実施形態では、内側同士が対向する2つのスペーサ2は、同一の形状をしているが、本発明の第二の形態のウォータジャケット用スペーサの製造方法では、これに限定されず。内側同士が対向する2つのスペーサ2の形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。内側同士が対向する2つのスペーサ2の形状が異なるとは、スペーサを形成する円弧状側壁部の数が異なる場合と、スペーサの外側面に一体成形により形成されている種々の部材が異なる場合とがある。なお、
図5は、本発明の実施形態により製造されるウォータジャケット用スペーサの他の例を示す説明図であり、斜視図である。また、
図6(i)は、
図5の平面図である。また、
図6(j)は、本発明の実施形態により製造されるウォータジャケット用スペーサの他の例を示す説明図であり、平面図である。また、
図7(k)及び(m)は、本発明の実施形態により製造されるウォータジャケット用スペーサの他の例を示す説明図であり、平面図である。
【0039】
本発明の第二の形態のウォータージャケットスペーサの製造方法において、射出成形により得られる成形体に形成されているブリッジ部の形状としては、
図8(A)に示す形態例のように、上から見たときに一本の線状のブリッジ部本体部12a1とその両端のそれぞれとスペーサのくびれ部の内側又は側壁部の内周面とを繋ぐブリッジ部細径部12a2とからなるブリッジ部8eや、
図8(B)に示す形態例のように、上から見たときに一本の線状のブリッジ部本体部のみからなるブリッジ部8fや、
図8(C)又は(D)に示す形態例のように、上から見たときに、スペーサの延びる方向(長手方向)に延びる一本の線状の長手方向伸張部及び長手方向伸張部から分岐してスペーサのくびれ部の内側又は側壁部の内周面に向かって延びる分岐部からなるブリッジ部本体部12d1又は12e1と、分岐部の端とスペーサのくびれ部の内側又は側壁部の内周面とを繋ぐブリッジ部細径部12d2又は12e2と、からなるブリッジ部8g又は8hや、上から見たときに、ウォータージャケットスペーサの延びる方向(長手方向)に延びる一本の線状の長手方向伸張部と長手方向伸張部から分岐してスペーサのくびれ部の内側又は側壁部の内周面に繋がる分岐部とからなるブリッジ部等が挙げられる。このような形態例のブリッジ部8gや8hは、内側が対向する2つのウォータージャケットスペーサが、それぞれのくびれ部が互いにずれるよう配置される場合、言い換えると、くびれ部が、対向する相手方のくびれ部とくびれ部の間、例えば、各ボア部の中央近傍に対向するように、2つのウォータージャケットスペーサが配置される場合に、2つのウォータージャケットスペーサの内側同士を繋ぐブリッジ部として形成される。なお、本発明では、ブリッジ部の形状は、これらに制限されるものではない。
【0040】
なお、
図1、
図2、
図4、
図5、
図6及び
図7に示す実施形態では、説明の都合上、スペーサ1の外側面(ウォータジャケットWJの内部に組み付けた際にボア壁BWに対向する面とは反対側の面)には、何らの部材も形成されていないが、実際には、種々の機能を果たす目的で、スペーサの外側面には、一体成形により種々の部材が適宜形成されている。
【0041】
本実施形態において、樹脂材料としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニルサルフォンなどが挙げられるが、耐熱性、耐水性、耐不凍液性、耐摩耗性などに優れた樹脂材料を適宜選択することができる。
【0042】
本発明のウォータージャケットスペーサの製造方法により製造されるウォータージャケットスペーサは、内側に保温用のゴム部材及びその付属部材が取り付けられた後、溝状冷却水流路内に設置されるウォータージャケットスペーサであってもよいし、あるいは、内側に保温用のゴム部材等は取り付けられないで、溝状冷却水流路内に設置されるウォータージャケットスペーサであってもよい。
【0043】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0044】
例えば、前述した実施形態では、ウォータジャケットの内部に部分的に挿入可能な形状とされたスペーサ2を製造する例を挙げて説明したが、本発明は、複数の円弧状周面部がくびれ部を介して連接された形状の分割成形体を組み合わせてなるウォータジャケット用スペーサを製造する場合にも、前述した実施形態と同様にして適用することができる。この場合には、分割成形体の内周面に相当する位置に、長手方向に沿って複数のゲートが配列するように樹脂流路が設計された射出成形型を用いて、当該分割成形体を射出成形する。
【0045】
また、前述した実施形態では、自動車用の水冷式直列4気筒エンジンに利用されるウォータジャケット用スペーサを例に挙げて説明したが、直列3気筒エンジンなどの他の直列多気筒エンジンにも適用することもできる。また、直列エンジンに限らず、V型エンジン、水平対向エンジンにも適用することができ、ウォータジャケットを備えた水冷式の内燃機関に広く適用可能である。