特許第6328099号(P6328099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6328099
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】ガラス拭き装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 1/02 20060101AFI20180514BHJP
【FI】
   A47L1/02
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-503731(P2015-503731)
(86)(22)【出願日】2013年1月16日
(65)【公表番号】特表2015-512309(P2015-512309A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】CN2013070527
(87)【国際公開番号】WO2013149504
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年1月13日
(31)【優先権主張番号】201210097812.3
(32)【優先日】2012年4月5日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512266028
【氏名又は名称】エコバクス ロボティクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOVACS ROBOTICS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】リュ,シャオミン
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−219831(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0174840(US,A1)
【文献】 特開2009−118995(JP,A)
【文献】 特開平05−100742(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0052867(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0117064(US,A1)
【文献】 特開2007−307354(JP,A)
【文献】 実開昭57−054343(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第101152062(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体(1)と制御部とを備えるガラス拭き装置であって、
前記装置本体(1)には、センサスイッチ(101,101’)と、能動素子(102)と、前記能動素子(102)の下端に取り付けられてガラス(200)の表面を圧迫する接触脚部(1021,1021’)とを有する端部検出部(100)が設けられており、
前記接触脚部(1021,1021’)が前記ガラス(200)の表面を離れると、これに応じて前記能動素子(102)に変位が生じて前記センサスイッチ(101,101’)を起動し、
前記センサスイッチ(101,101’)は前記制御部にスイッチ信号を送信し、前記制御部は、前記スイッチ信号に基づいて、前記ガラス拭き装置を制御してその運転を停止または運転方向に変更し、
前記接触脚部(1021,1021’)は、半円または円弧の端面形状であって、ガラス(200)の表面を圧迫する際に前記ガラスの表面を摺動する、ガラス拭き装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス拭き装置であって、
前記センサスイッチ(101)は走行スイッチであり、前記能動素子(102)は連接棒である、
または、前記センサスイッチ(101’)はホールセンサであり、前記能動素子(102)はこれに対応して設けられる磁気素子(300)を含む、
または、前記センサスイッチ(101’)はマグネトロンであり、前記能動素子(102)はこれに対応して設けられる磁気素子(300)を含む、ガラス拭き装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガラス拭き装置であって、
前記端部検出部(100)は、さらに、階段状貫通孔(1031)が設けられた支持体(103)を有し、
前記能動素子(102)は、前記階段状貫通孔(1031)内に挿設されており、前記能動素子(102)の長さは前記支持体(103)の高さを越え、
前記能動素子(102)の上部は、位置制限部(1022)により前記支持体(103)の外端面で制限され、
バネ(104)は、前記能動素子(102)の周囲に嵌められて、前記階段状貫通孔(1031)と前記接触脚部(1021,1021’)との間で圧縮されている、ガラス拭き装置。
【請求項4】
請求項3に記載のガラス拭き装置であって、
前記走行スイッチは、前記ガラス拭き装置のシェルの内部に設けられる、
または、前記ホールセンサは、前記支持体(103)に設けられる、
または、前記マグネトロンは、前記支持体(103)に設けられる、ガラス拭き装置。
【請求項5】
請求項3に記載のガラス拭き装置であって、
前記位置制限部(1022)は、前記連接棒に固定される留め金である、ガラス拭き装置。
【請求項6】
請求項1に記載のガラス拭き装置であって、
支持体(103)および前記装置本体(1)の端部のシェルは、一体に形成されている、ガラス拭き装置。
【請求項7】
請求項1に記載のガラス拭き装置であって、
前記装置本体(1)の外形形状は、円形、正方形、矩形、長円形、または不規則形状である、ガラス拭き装置。
【請求項8】
請求項1に記載のガラス拭き装置であって、
前記端部検出部(100)は、前記装置本体の端部に設けられている、ガラス拭き装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一つに記載のガラス拭き装置であって、
前記端部検出部(100)は複数設けられており、前記端部検出部(100)にそれぞれ設けられた前記センサスイッチ(101,101’)が前記制御部に接続されている、ガラス拭き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の家庭用電化製品を製造する技術分野に関し、特にガラス拭き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス拭きロボットは、小型かつ精緻な構造と柔軟な制御のために広く用いられてきた。先行技術のガラス拭き装置のいずれにおいても採用されているガラスの枠および端部を検出する方法では、まず、取得した画像にウェーブレット分解を行ってこの画像の低周波部分のヒストグラムを取得し、ヒストグラムに対するウェーブレット解析によりぼやけた画像の閾値を決定する。その後、この閾値に応じて新たなメンバー関数を定義し、画像を同等に不明瞭な性質の面に変換して、高度な数学演算を行って画質を向上させた画像を取得する。最後に、端部検出と画質を向上させた画像の識別を完了する。この検出方法は、プロセスが比較的複雑であり、ガラス拭き装置には比較的高いハードウェア費用が必要とされる。また、市販されているガラス拭き装置はいずれも端部検出機能を備えておらず、とりわけ枠のない板ガラスにおいては、落下の危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術における不備を克服するため、本発明は、構造が単純で、コストが抑えられ、高感度で、制御性が高く、効果的に板ガラスの端部検出を行うことのできるガラス拭き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的目的は、以下の技術的解決法により実現される。
【0005】
装置本体と制御部とを備えるガラス拭き装置が提供される。前記装置本体には、センサスイッチと能動素子とを有する端部検出部が設けられている。前記能動素子の下端には、接触脚部が設けられてガラスの表面を圧迫する。前記接触脚部がガラスの表面を離れると、これに応じて前記能動素子に変位が生じて前記センサスイッチを起動する。前記センサスイッチは、前記制御部にスイッチ信号を送信し、前記制御部は、前記スイッチ信号に基づいて、前記ガラス拭き装置を制御してその運転を停止または運転方向を変更する。
【0006】
必要とされる要件によれば、前記センサスイッチはトラベルスイッチであり、前記能動素子は連接棒である。または、前記センサスイッチはホールセンサであり、前記能動素子はこれに対応して設けられる磁気素子を含む。または、前記センサスイッチはマグネトロンであり、前記能動素子はこれに対応して設けられる磁気素子を含む。
【0007】
具体的には、前記端部検出部は、さらに、ステップ貫通孔が設けられた支持体を有する。前記能動素子は、このステップ貫通孔内に挿設されており、その長さは前記支持体の高さを越える。前記能動素子の上部は、位置制限部により前記支持体の外端面で制限される。バネは、前記能動素子の周囲に嵌められて、前記ステップ貫通孔と前記接触脚部との間で圧縮されている。
【0008】
前記トラベルスイッチは、前記ガラス拭き装置のシェルの内部に設けられる。または、前記ホールセンサは、前記支持体に設けられる。または、前記マグネトロンは、前記支持体に設けられる。
【0009】
前記支持体の能動素子の上下運動の移動の制限に関する利便性のために、前記制限要素は、前記連接棒に固定される留め金である。
【0010】
別の必要とされる要件によれば、前記ガラス拭き装置を取り除く場合に前記接触脚部が容易に格納できるように、前記接触脚部の端面形状は、ガイド用傾斜を有する、半円、円弧、または台形形状である。
【0011】
処理に関する利便性のために、前記支持体および前記装置本体の端部のシェルは、一体に形成されている。
【0012】
実際に必要とされる要件によれば、前記ガラス拭き装置は、様々な外形形状をとる。前記装置本体の外形形状は、円形、正方形、矩形、長円形、または不規則形状である。
【0013】
板ガラスの端部の正確な検出を行い、検出システムの感度および精度を高めるため、前記端部検出部は複数設けられ、前記端部検出部にそれぞれ設けられた前記センサスイッチが前記制御部に接続されている。
【0014】
タイムリーに検出を行って速やかにガラスの端部を回避するために、前記端部検出部は前記ガラス拭き装置の装置本体の端部に設けられている。
【発明の効果】
【0015】
まとめると、構造が単純で、コストが抑えられ、制御性が高いので、本発明は効果的に板ガラスの端部検出を実現することができる。
【0016】
添付の図面と実施形態を参照し、本発明についてさらに詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1実施形態の一構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態の別の構成図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態の一構成図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態の別の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の一構成図である。図1に示すように、本発明は、装置本体1と制御部とを備えるガラス拭き装置を提供する。装置本体とは、吸引機構、運転機構、作動機構等を含むガラス拭き装置の一体構造のことである。制御部とは、ガラス拭き装置に設けられて、ガラス拭き装置の個々の機構の作業および各機構間の調整作業を制御する、統合制御部のことである。装置本体1の端部には、センサスイッチ101と能動素子102とを有する端部検出部100が設けられている。能動素子102は、その下端に、ガラスの表面を圧迫する接触脚部1021が設けられている。接触脚部1021がガラス200の表面を離れると、これに応じて能動素子102に変位が生じてセンサスイッチ101を起動する。センサスイッチ101は制御部にスイッチ信号を送信し、制御部は、このスイッチ信号に基づいて、ガラス拭き装置を制御してその運転を停止または運転方向を変更する。必要とされる要件によれば、センサスイッチ101はトラベルスイッチであり、能動素子102は連接棒である。
【0019】
具体的には、端部検出部100は、ステップ貫通孔1031が設けられた支持体103をさらに有しており、能動素子102はステップ貫通孔1031内に挿設されており、能動素子102の長さは支持体の高さを越える。能動素子102の上下方向の運動は、ステップ貫通孔1031によって制限される。能動素子102の上部は、支持体103の能動素子102の上下運動の移動が制限されるよう、位置制限部1022により支持体103の外端面で制限されている。位置制限部1022は、能動素子102の上部に固定される留め金である。能動素子102の周囲にはさらにバネ104が嵌められている。接触脚部102がガラスを圧迫すると、バネ104は圧縮されてステップ貫通孔1031と接触脚部1021との間で圧迫される。
【0020】
ガラス拭き装置を取り除く場合に接触脚部が容易に格納できるように、接触脚部1021の端面は、通常、半円形状に設計される。別の必要とされる要件または処理の難易度によれば、接触脚部1021の端面は、ガイド用傾斜を有する、円弧または台形形状に設計されてもよい。摩擦力を抑えるために、接触脚部1021は、滑らかで摩耗可能な金属または硬質ゴム材料からなる。
【0021】
処理およびコスト低減に関する利便性のために、支持体103および装置本体1の端部のシェルは、一体に形成されている。ステップ貫通孔1031は、装置本体1に直接くり抜かれている。必要であれば、別パーツとしての支持体103が装置本体1と組み合わさるように、別々に設けてもよい。
【0022】
実際に必要とされる要件によれば、ガラス拭き装置の外形形状は、様々な用途によって異なってもよい。したがって、装置本体1の外形形状は、円形、正方形、矩形、長円形、または不規則な形状に設計してもよい。板ガラスの端部の正確な検出を行い、ガラス拭き装置の感度および精度を高めるため、端部検出部100は複数設けられ、これら端部検出部100にそれぞれ設けられたセンサスイッチ101が制御部に接続されている。外形形状の異なる装置本体1については、複数の端部検出部100は異なる位置に設けられてもよい。例えば、装置本体1が正方形または矩形形状である場合、装置本体の4つの頂角に4つの端部検出部100をそれぞれ対応して設けてもよい。装置本体1が円形または長円形形状である場合、円形または長円形形状の円周上に4つ以上の端部検出部100を均等に配置してもよい。装置本体1が不規則な形状である場合、4つ以上の端部検出部100を、例えばガラス拭き装置の移動方向における前端と後端とに設けてもよく、また例えばガラス拭き装置の全体形状の大まかな方向において左端および右端に設けてもよい。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態の別の構成図である。図2と合わせて図1に示すように、本実施形態においては、ガラス拭き装置の端部検出動作を実現するために、単純バネ104、接触脚部1021、およびトラベルスイッチ間の相互調整を採用するガラス拭き装置が提供される。ガラス拭き装置の具体的な検出動作プロセスを詳述する。
【0024】
本実施形態におけるガラス拭き装置の外形形状は、正方形である。また、このガラス拭き装置は4つの端部検出部100を含んでおり、これらはそれぞれガラス拭き装置の四隅に配置されている。能動素子102は、検出部支持体103のステップ貫通孔1031内に配置されている。ステップ貫通孔1031の上端および下端は開放されている。ステップ貫通孔1031は、能動素子102の運動方向を制限するよう、能動素子102の形状に対応した形状をしている。接触脚部1021は能動素子102の下端に設けられる。本実施形態では、接触脚部1021の形状は、半球形状である。能動素子102の周囲にはバネ104が嵌められている。図1に示すように、ガラス拭き装置が通常運転状態である場合、バネ104は圧縮状態であり、接触脚部1021がガラス200の上面を圧迫し、能動素子102の上部がトラベルスイッチを圧迫し接触してトラベルスイッチが閉状態となるようにしている。図2に示すように、ガラス拭き装置が枠のないガラス表面の端部に達すると、接触脚部1021がガラス200の表面を離れる。このとき、バネ104が解放されて、接触脚部1021が支持体103のステップ貫通孔1031の外に押し出され、能動素子102の上部に固定された位置制限部1022(例えば、留め金)がステップ貫通孔1031の上端ステップ面を圧迫し、このとき、トラベルスイッチが切断される。この状態が検出されると、制御部は「後退」指示を送信し、ガラス拭き装置は直ちに後退動作を実行することになる。半球状の底面のガイド機能により、接触脚部1021も強制的にステップ貫通孔1031内に押し戻され、このように、ガラス拭き装置がガラス200の表面の範囲を超えて落下することを防止する。
【0025】
(第2実施形態)
図3および図4は、本発明の第2実施形態の構成図2つである。図4と合わせて図3に示すように、本実施形態では、感度を向上させるために、センサスイッチ101’はホールセンサであり、支持体103に設けられている。能動素子102は、対応して設けられる磁気素子300を含む。または、センサスイッチ101’はマグネトロンであり、能動素子102はこれに対応して設けられる磁気素子300を含む。
【0026】
本実施形態におけるガラス拭き装置の外形形状は円形形状であり、円周上に均等に設けられた4つの端部検出部100を含む。能動素子102は、検出部支持体103のステップ貫通孔1031内に配置されている。ステップ貫通孔1031の上端および下端は開放されている。ステップ貫通孔1031は、能動素子102の運動方向を制限するよう、能動素子102の形状に対応した形状をしている。接触脚部1021’は能動素子102の下端に設けられる。本実施形態では、接触脚部1021’は、円弧形状をしている。能動素子102の周囲にはバネ104が嵌められている。図3に示すように、ガラス拭き装置が通常運転状態である場合、バネ104は圧縮状態であり、接触脚部1021’の下面がガラス200の上面を圧迫し、能動素子102に設けられた磁気素子300および支持体103に設けられたホールセンサまたはマグネトロンの位置がずれて、フィードバック信号が生成されない。図4に示すように、ガラス拭き装置が枠のないガラス表面の端部に達すると、接触脚部1021’がガラス200の表面を離れる。このとき、バネ104が解放されて、接触脚部1021’が支持体103のステップ貫通孔1031の外に押し出され、能動素子102の上部に固定された位置制限部1022(例えば、留め金)がステップ貫通孔1031の上端ステップ面を圧迫する。このとき、能動素子102に設けられた磁気素子300および支持体103に設けられたホールセンサまたはマグネトロンの位置が整列し、ホールセンサまたはマグネトロンが指示を生成して制御部にフィードバック信号を与える。制御部は「後退」指示を送信し、ガラス拭き装置は直ちに後退動作を実行することになる。接触脚部1021’の円弧形状の底面のガイド機能により、ガラス拭き装置は強制的にステップ貫通孔1031内に押し戻され、このように、ガラス拭き装置がガラス200の表面の範囲を超えて落下することを防止する。
【0027】
まとめると、構造が単純で、コストが抑えられ、制御性が高いので、本発明は効果的に板ガラスの端部検出を実現することができる。
図1
図2
図3
図4